説明

アンテナユニットおよびこれを用いた受信装置

【課題】保有する全ての受信アンテナの使用履歴に関する情報を記録でき、これら全ての受信アンテナが無線信号を正常に受信できる状態であるか否かを容易に確認できること。
【解決手段】被検体の内部に導入されるカプセル型内視鏡によって撮像された画像データを蓄積する受信装置本体5と着脱可能に電気的に接続され、前記カプセル型内視鏡との間で無線通信を行う受信アンテナ4a〜4dを有し、受信アンテナ4a〜4dのいずれかを介して受信された前記画像データを受信装置本体5に送信するアンテナユニットとして、受信アンテナ4a〜4dの使用履歴に関する使用履歴情報を更新可能に記憶できる履歴記憶部42を備えたアンテナユニット4を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被検体の内部に導入されるカプセル型内視鏡によって撮像された画像データを含む無線信号を受信するための受信アンテナが設けられたアンテナユニットおよびこれを用いた受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡の分野においては、撮像機能と無線通信機能とが設けられた飲込み型の内視鏡であるカプセル型内視鏡が登場し、このカプセル型内視鏡によって撮像された被検体内の画像データを取得するカプセル型内視鏡システムが開発されている。このカプセル型内視鏡システムにおいて、カプセル型内視鏡は、観察(検査)のために被検体の口から飲込まれた後、この被検体から自然排出されるまでの間、この被検体内たとえば胃または小腸等の臓器の内部をその蠕動運動に従って移動するとともに、所定間隔たとえば0.5秒間隔でこの被検体内を撮像するように機能する。
【0003】
カプセル型内視鏡が被検体内を移動する間、このカプセル型内視鏡によって撮像された画像データは、順次無線通信によって外部に送信され、外部に設けられた受信アンテナを介して受信装置に受信される。この受信装置は、受信アンテナを介して順次受信した無線信号に基づいて画像データを再構築し、これによって、カプセル型内視鏡による被検体内の画像データを取得できる。この受信装置は、取得した画像データをメモリに順次格納する。被検体は、この無線通信機能とメモリ機能とを有する受信装置を携帯することによって、カプセル型内視鏡を飲込んでから自然排出するまでの間に亘り、自由に行動できる。その後、医者または看護士は、受信装置のメモリに格納された画像データを表示装置に取り込ませ、得られた画像データに基づく被検体内の画像たとえば臓器画像を表示装置のディスプレイに表示させる。医者または看護士は、ディスプレイに表示された臓器画像等を用い、被検体の診断を行うことができる(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
この受信装置は、一般的に、被検体の内部に導入されたカプセル型内視鏡から送信された無線信号を受信するための1以上の受信アンテナを有するアンテナユニットと、このアンテナユニットを介して受信されたカプセル型内視鏡からの無線信号をもとに被検体の画像データを再構築して取得する機能を備えた受信装置本体とを用いて構成される。この場合、アンテナユニットと受信装置本体とは、コネクタ接続によって着脱可能に電気的に接続される。
【0005】
【特許文献1】特開2001−231186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した受信アンテナは、被検体の内部に導入されたカプセル型内視鏡からの無線信号を受信するために、通常、このカプセル型内視鏡の移動経路に対応する被検体の体表に配置され、ケーブルを介してアンテナユニットと電気的に接続される。このように受信アンテナを用いて被検体の画像データを取得する作業を繰り返し行い、受信アンテナの使用回数を重ねるに連れ、この受信アンテナとアンテナユニットとを電気的に接続するケーブルが徐々に劣化し、さらにはこのケーブルが断線する場合がある。この場合、被検体の内部に導入されたカプセル型内視鏡からの無線信号を正常に受信することは困難である。
【0007】
しかしながら、上述した従来のアンテナユニットでは、ケーブルを介して電気的に接続された受信アンテナの使用回数を記録可能な構成を備えていないので、保有する受信アンテナが使用限度を超えているか否かを確認することは困難である。このため、被検体内のカプセル型内視鏡からの無線信号を受信する作業を行う場合に、例えばケーブルの断線によって無線信号を正常に受信できない状態の受信アンテナを用いる事態を招来する恐れがあった。
【0008】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、保有する全ての受信アンテナの使用履歴に関する情報を記録でき、これら全ての受信アンテナが無線信号を正常に受信できる状態であるか否かを容易に確認できるアンテナユニットおよびこれを用いた受信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかるアンテナユニットは、被検体の内部に導入されるカプセル型内視鏡によって撮像された画像データを蓄積する受信装置本体と着脱可能に電気的に接続され、前記カプセル型内視鏡との間で無線通信を行う1以上の受信アンテナを有し、該1以上の受信アンテナのいずれかを介して受信された前記画像データを前記受信装置本体に送信するとともに、前記受信アンテナの使用履歴に関する使用履歴情報を更新可能に記憶できる記憶手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2にかかるアンテナユニットは、上記発明において、前記使用履歴情報は、前記受信アンテナの使用回数を示す使用回数情報、前記受信アンテナの使用時間を示す使用時間情報、前記受信アンテナの断線発生の有無を示す断線有無情報、および前記受信アンテナに対する断線検査処理の実施履歴を示す検査実施履歴情報の少なくとも一つを含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3にかかるアンテナユニットは、上記発明において、前記記憶手段は、不揮発性メモリであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4にかかる受信装置は、請求項1〜3のいずれか一つに記載のアンテナユニットと、前記アンテナユニットと着脱可能に電気的に接続され、前記アンテナユニットを介し、被検体の内部に導入されるカプセル型内視鏡によって撮像された画像データを受信し、受信した前記画像データを蓄積する受信装置本体と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、請求項5にかかる受信装置は、上記発明において、前記受信装置本体は、前記記憶手段に対して前記使用履歴情報を記憶するように制御する制御手段を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項6にかかる受信装置は、上記発明において、前記制御手段は、前記画像データを受信する前記受信装置本体の駆動を制御し、該受信装置本体の駆動を制御開始する毎に、前記記憶手段内の前記使用回数情報を更新することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7にかかる受信装置は、上記発明において、前記制御手段は、前記画像データを受信する前記受信装置本体の駆動を制御し、該受信装置本体の駆動を制御開始してから所定の単位時間が経過する毎に、前記記憶手段内の前記使用時間情報を更新することを特徴とする。
【0016】
また、請求項8にかかる受信装置は、上記発明において、前記制御手段は、前記受信装置本体の駆動を制御開始する前に前記記憶手段内の前記使用履歴情報を読み取り、該読み取った使用履歴情報の内容をもとに、前記受信装置本体の駆動を制御開始するか否かを判断することを特徴とする。
【0017】
また、請求項9にかかる受信装置は、上記発明において、前記制御手段は、前記アンテナユニットが保有する1以上の受信アンテナの各受信結果をもとに、前記1以上の受信アンテナのうちの少なくとも一つが断線した状態であるか否かを検査する断線検査処理を行うことを特徴とする。
【0018】
また、請求項10にかかる受信装置は、上記発明において、前記制御手段は、前記1以上の受信アンテナのうちの少なくとも一つが断線した状態であると判断した場合、前記記憶手段に対し、前記断線した状態である旨を示す情報を前記断線有無情報として記憶するように制御することを特徴とする。
【0019】
また、請求項11にかかる受信装置は、上記発明において、前記制御手段は、前記記憶手段内の使用回数情報をもとに、前記断線検査処理を行った時点での前記受信アンテナの使用回数を検出し、前記記憶手段に対し、該検出した使用回数を示す情報を前記検査実施履歴情報として記憶するように制御することを特徴とする。
【0020】
また、請求項12にかかる受信装置は、上記発明において、前記アンテナユニットに関する警告情報を表示する表示手段を備え、前記制御手段は、前記読み取った使用履歴情報の内容をもとに、前記表示手段に対して前記警告情報を表示するように制御することを特徴とする。
【0021】
また、請求項13にかかる受信装置は、上記発明において、前記警告情報は、前記アンテナユニットが有する1以上の受信アンテナの少なくとも一つが断線した状態である旨を警告する情報、前記アンテナユニットに対する断線検査処理を実施する必要がある旨を警告する情報、または前記アンテナユニット交換する必要がある旨を警告する情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、保有する全ての受信アンテナの使用履歴に関する情報をユニット毎に記録でき、これら全ての受信アンテナが無線信号を正常に受信できる状態であるか否かを容易に確認できるアンテナユニットおよびこれを用いた受信装置を実現できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、この発明にかかるアンテナユニットおよびこれを用いた受信装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によって、この発明が限定されるものではない。
【0024】
まず、この発明の実施の形態であるアンテナユニットおよびこれを用いた受信装置を備えたカプセル型内視鏡システムの構成について説明し、続いてこのアンテナユニットおよび受信装置の構成について説明する。図1は、このカプセル型内視鏡システムの一構成例を模式的に例示する模式図である。図1に示すように、このカプセル型内視鏡システムは、被検体1内の通過経路に沿って移動するとともに被検体1内を撮像するカプセル型内視鏡2と、カプセル型内視鏡2によって撮像された画像データを受信する受信装置3と、カプセル型内視鏡2によって撮像された画像データをもとに被検体1内の画像を表示する表示装置6と、受信装置3と表示装置6との間の情報の受け渡しを行うための携帯型記録媒体7とを備える。
【0025】
カプセル型内視鏡2は、被検体1内を撮像する撮像機能と被検体1内を撮像して得られた画像データを受信装置3に送信する無線通信機能とを有する。カプセル型内視鏡2は、被検体1に飲込まれることによって被検体1内の食道を通過し、消化管腔の蠕動によって体腔内を進行する。これと同時に、カプセル型内視鏡2は、被検体1の体腔内の画像を逐次撮像し、得られた被検体1内の画像データを受信装置3に逐次送信する。
【0026】
表示装置6は、カプセル型内視鏡2によって撮像された被検体1内の画像等を表示するためのものであり、携帯型記録媒体7を媒介にして得られる画像データ等に基づいた画像たとえば被検体1内の臓器等の画像を表示するワークステーション等のような構成を有する。表示装置6は、CRTディスプレイまたは液晶ディスプレイ等によって画像を表示してもよいし、プリンタ等のように他の媒体に画像を出力してもよい。また、表示装置6は、医者または看護士がカプセル型内視鏡2による被検体内の臓器等の画像に基づいて診断を行うための処理機能を有する。
【0027】
携帯型記録媒体7は、コンパクトフラッシュ(登録商標)またはスマートメディア等の携帯可能な記録メディアである。携帯型記録媒体7は、受信装置3および表示装置6に対して着脱可能であって、両者に対する装着時に情報の出力および記録が可能な構造を有する。具体的には、携帯型記録媒体7は、受信装置3に装着された場合、受信装置3がカプセル型内視鏡2から受信した被検体1内の画像データ等を逐次記憶できる。また、携帯型記録媒体7は、カプセル型内視鏡2が被検体1から排出された後、受信装置3から取り出されて表示装置6に装着され、記憶した画像データ等が表示装置6によって読み出される。携帯型記録媒体7を用いて受信装置3と表示装置6とのデータの受け渡しを行うことによって、被検体1は、受信装置3と表示装置6とが有線接続された場合と異なり、カプセル型内視鏡2が被検体1の内部を移動中であっても、受信装置3を携帯した状態で自由に行動できる。
【0028】
受信アンテナ4a〜4dは、たとえばループアンテナを用いて実現され、カプセル型内視鏡2から送信された無線信号を受信する。受信アンテナ4a〜4dは、図1に示すように、被検体1の体表上の所定位置たとえばカプセル型内視鏡2の通過経路に対応する位置に配置される。なお、受信アンテナ4a〜4dは、被検体1に着用させるジャケットの所定位置に配置されてもよい。この場合、受信アンテナ4a〜4dは、被検体1がこのジャケットを着用することによって、被検体1の体表上の所定位置に配置される。また、被検体1には1以上の受信アンテナが配置されればよく、望ましくは複数の受信アンテナが配置される。この場合、受信アンテナの配置数は、特に4つに限定されない。
【0029】
この発明の実施の形態である受信装置3は、受信アンテナ4a〜4dのいずれかを介して受信された無線信号の受信処理を行うためのものである。受信装置3は、この発明の実施の形態であるアンテナユニット4と受信装置本体5とを有する。アンテナユニット4は、受信アンテナ4a〜4dと各ケーブルを介してそれぞれ電気的に接続され、受信アンテナ4a〜4dのいずれかを介してカプセル型内視鏡2から受信した無線信号に基づく画像データ等を受信装置本体5に送信する。受信装置本体5は、カプセル型内視鏡2と受信アンテナ4a〜4dのいずれかとの間で送受信される所定の電波を介し、カプセル型内視鏡2による被検体1内の画像データを逐次取得する。この場合、受信装置3は、被検体1に複数の受信アンテナが配置されることによって、被検体1内でのカプセル型内視鏡2の位置に応じ、無線信号の受信に適した位置の受信アンテナを介してカプセル型内視鏡2による画像データを受信できる。
【0030】
図2は、アンテナユニット4と受信装置本体5とを用いて受信装置3を構成する状態を模式的に例示する模式図である。図2に示すように、アンテナユニット4は、各ケーブルを介して受信アンテナ4a〜4dを保有し、受信装置本体5の所定部分に着脱可能に装着される。この場合、アンテナユニット4は、受信装置本体5とコネクタまたは端子等を介して着脱可能に電気的に接続される。受信装置3は、このようにアンテナユニット4と受信装置本体5とが電気的に接続されることによって実現される。また、受信装置本体5は、受信装置3の各構成部に駆動電力を供給する電力供給部51と、受信装置3に対して指示する指示情報を入力するための入力部52と、情報を表示出力するための表示部53とを備える。
【0031】
つぎに、受信装置3の構成について詳細に説明する。図3は、受信装置3の一構成例を模式的に例示するブロック図である。受信装置3は、上述したように、アンテナユニット4と受信装置本体5とが電気的に接続されることによって実現される。図3に示すように、アンテナユニット4は、受信アンテナ4a〜4dの中から無線信号の受信に適した受信アンテナに切り替えるアンテナ切替部41と、アンテナユニット4の使用履歴に関する情報を記録するための履歴記憶部42とを有する。
【0032】
アンテナ切替部41は、アンテナユニット4が保有する受信アンテナ4a〜4dのいずれかと受信装置本体5とを電気的に接続するためのアンテナ切替動作を行う。アンテナ切替部41は、このアンテナ切替動作を行い、受信アンテナ4a〜4dのいずれかを介して受信された無線信号を受信装置本体5に出力する。
【0033】
履歴記憶部42は、EEPROMまたはフラッシュメモリ等の情報の書換処理が可能な不揮発性メモリを用いて実現され、アンテナユニット4の使用履歴に関する各種情報をアンテナ履歴情報として記憶する。なお、このアンテナ履歴情報としては、アンテナユニット4が使用された回数を示すアンテナ使用回数情報と、保有する受信アンテナ4a〜4dのいずれかが断線した状態である旨を示す断線検知情報と、保有する受信アンテナ4a〜4dのうちの断線状態と判断された受信アンテナを特定する断線アンテナ情報と、保有する受信アンテナに対する断線検査処理が行われた時点でのアンテナユニット4の使用回数を示す検査時使用回数情報と、保有する全受信アンテナが無線信号を正常に受信できる状態(正常状態)である旨を示す正常状態情報とが考えられる。
【0034】
一方、受信装置本体5は、上述したように、受信装置3の各構成部に駆動電力を供給する電力供給部51と、受信装置3に対して指示する指示情報を入力するための入力部52と、情報を表示出力するための表示部53とを有する。また、受信装置本体5は、アンテナ切替部41によって選択された受信アンテナ4a〜4dのいずれかを介して受信された無線信号に復調処理等を行いかつこの無線信号の受信電界強度を検出する受信回路54と、受信回路54によって検出された受信電界強度をもとにアンテナ切替部41のアンテナ切替動作を制御する切替制御回路55と、受信回路54によって抽出された画像信号をもとにたとえばカプセル型内視鏡2による画像データ等を抽出する信号処理回路56とを有する。さらに、受信装置本体5は、画像データ等の情報を記憶する記憶部57と、履歴記憶部42によるアンテナ履歴情報の記憶処理に関する制御および記憶部57による画像データ等の記憶処理に関する制御を含む受信装置3の各構成部の駆動制御を行う制御部58とを有する。
【0035】
電力供給部51は、上述したように、受信装置3の各構成部に駆動電力を供給する。すなわち、電力供給部51は、受信装置本体5の各構成部に駆動電力を供給しかつ受信装置本体5と電気的に接続されたアンテナユニット4の各構成部に駆動電力を供給する。この場合、電力供給部51は、受信装置3が図1に示したように被検体1に携帯された状態であっても、受信装置3の各構成部に駆動電力を供給する。なお、電力供給部51としては、乾電池、リチウムイオン二次電池、またはニッケル水素電池等を例示することができる。また、電力供給部51は、充電式であってもよい。
【0036】
入力部52は、複数の入力キーまたは回転式スイッチ等を用いて実現される。入力部52は、受信装置3に対して指示する指示情報として、たとえば制御部58の動作モードを画像受信モードまたは断線検査モードに切替指示するための指示情報を制御部58に入力する。具体的には、入力部52は、使用者の入力操作に応じ、動作モードを画像受信モードに切替指示する画像受信モード指示情報または動作モードを断線検査モードに切替指示する断線検査モード指示情報を制御部58に入力する。なお、この画像受信モードは、受信装置3がたとえばカプセル型内視鏡2によって撮像された画像データを受信して取得するまでの動作を順次行う動作モードである。また、この断線検査モードは、アンテナユニット4が保有する受信アンテナ4a〜4dに対する断線検査処理を行うための動作モードである。
【0037】
表示部53は、液晶表示装置または有機ELパネル等の薄型ディスプレイを用いて実現され、制御部58の制御に基づく情報を表示する。表示部53は、たとえばアンテナ履歴情報に関する警告情報または断線検査処理の結果に関する情報を外部に表示出力する。
【0038】
受信回路54は、アンテナ切替部41から入力された無線信号に対して復調処理等を行いかつこの無線信号の受信電界強度を検出するためのものである。具体的には、受信回路54は、受信アンテナ4a〜4dのいずれかとアンテナ切替部41とを介してカプセル型内視鏡2からの無線信号を受信した場合、この無線信号に含まれる画像信号を復元し抽出する復調処理等を行う。受信回路54は、得られた画像信号を信号処理回路56に出力する。また、受信回路54は、この無線信号の受信電界強度を検出し、検出した受信電界強度を示す強度検出信号を切替制御回路55に出力する。
【0039】
切替制御回路55は、上述したアンテナ切替部41によるアンテナ切替動作を制御する。具体的には、切替制御回路55は、受信回路54から入力された強度検出信号をもとに、受信アンテナ4a〜4dの中から無線信号の受信に適した受信アンテナを決定し、決定した受信アンテナと受信回路54とを電気的に接続するようにアンテナ切替部41を制御する。また、切替制御回路55は、制御部58が動作モードとして断線検査モードを設定した場合、制御部58によって駆動制御され、この強度検出信号を制御部58に出力する。
【0040】
信号処理回路56は、受信回路54によって抽出された画像信号をもとに、この画像信号に含まれる画像データ等を抽出するためのものである。たとえば、受信回路54によって抽出された画像信号がカプセル型内視鏡2によって生成された画像信号である場合、信号処理回路56は、受信回路54から入力された画像信号をもとに、カプセル型内視鏡2によって撮像された画像データ等を抽出する。信号処理回路56は、得られた画像データ等を制御部58に出力する。
【0041】
記憶部57は、上述した携帯型記録媒体7を着脱可能に装着でき、制御部58の制御に基づく情報たとえば信号処理回路56によって抽出された画像データを携帯型記録媒体7に順次書き込む。なお、記憶部57は、RAMまたはフラッシュメモリ等のメモリICを有することによって記憶部57自体が情報を記憶するように構成されてもよい。
【0042】
制御部58は、各種処理プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、各種処理プログラム等が予め記録されたROMと、各処理の演算パラメータまたはアンテナ履歴情報等の各種情報を記憶するRAMとを用いて実現される。制御部58は、受信装置本体5の各構成部の駆動を制御しかつ受信装置本体5と電気的に接続されたアンテナユニット4の各構成部の駆動を制御する。この場合、制御部58は、上述した画像受信モード指示情報または断線検査モード指示情報が入力部52から入力されたか否かを常時監視し、入力された指示情報に基づく動作モードを設定し、受信装置3の各構成部に対し、この設定した動作モードに基づく駆動制御を行う。
【0043】
たとえば、制御部58は、画像受信モードにおいて、画像受信モードの駆動制御を開始する前に、履歴記憶部42内のアンテナ履歴情報をもとにアンテナユニット4の使用回数または保有する受信アンテナの断線有無等の使用履歴を確認し、確認した結果に応じた警告表示を表示部53に表示出力させる。または、制御部58は、この確認した結果に基づき、受信装置3の各構成部に対して画像受信モードの駆動制御を開始する。図4は、アンテナ履歴情報を確認した結果に基づいて警告表示を制御しまたは画像受信モードの駆動制御を開始するための処理手順を例示するフローチャートである。
【0044】
図4において、制御部58は、入力部52から画像受信モード指示情報が入力されなければ、画像受信モード指示情報を検知せず(ステップS101,No)、入力部52から画像受信モード指示情報が入力されるまでこのステップS101を繰り返す。すなわち、制御部58は、画像受信モード指示情報が入力部52から入力されたか否かを常時監視する。
【0045】
一方、制御部58は、入力部52から画像受信モード指示情報が入力された場合、この入力された画像受信モード指示情報を検知し(ステップS101,Yes)、検知した画像受信モード指示情報に基づき、動作モードとして画像受信モードを設定する。制御部58は、画像受信モードにおいて、履歴記憶部42に記録されたアンテナ履歴情報を先ず読み取る(ステップS102)。この場合、制御部58は、履歴記憶部42から読み取ったアンテナ履歴情報の内容を確認する。
【0046】
つぎに、制御部58は、ステップS102において読み取ったアンテナ履歴情報を確認した結果、このアンテナ履歴情報をもとに断線検知情報を検知した場合(ステップS103,Yes)、この断線検知情報をもとに、受信アンテナ4a〜4dのうちの少なくとも一つが断線した状態であると判断し、表示部53に対し、このことを外部に警告するための断線検知警告を表示する制御を行う(ステップS104)。この場合、制御部58は、この断線検知警告とともに、断線アンテナ情報を表示部53に表示させてもよい。その後、制御部58は、画像受信モードの駆動制御を開始せずに処理手順を終了する。
【0047】
一方、制御部58は、ステップS102において読み取ったアンテナ履歴情報を確認した結果、このアンテナ履歴情報をもとに断線検知情報を検知しなかった場合(ステップS103,No)、このアンテナ履歴情報をもとにアンテナ使用回数情報と検査時使用回数情報とを抽出し、抽出したアンテナ使用回数情報と検査時使用回数情報とを用いてアンテナユニット4の検査後使用回数を算出する(ステップS105)。この検査後使用回数は、たとえばアンテナユニット4に対して前回の断線検査処理が行われてから現在までのアンテナユニット4の使用回数である。したがって、制御部58は、アンテナ使用回数情報に基づくアンテナユニット4の使用回数と検査時使用回数情報に基づくアンテナユニット4の使用回数との差を算出することによって、この検査後使用回数を取得できる。なお、制御部58は、このアンテナ履歴情報に基づく検査時使用回数情報を抽出できなかった場合、この抽出したアンテナ使用回数情報に基づく使用回数を検査後使用回数とする。
【0048】
つぎに、制御部58は、ステップS105において算出した検査後使用回数と判定基準情報として予め記録された基準回数とを比較し、この検査後使用回数が基準回数以上である場合(ステップS106,Yes)、表示部53に対し、アンテナユニット4に対する断線検査処理の実施を促す断線検査実施警告を表示する制御を行う(ステップS107)。なお、この基準回数は、断線検査処理の実施頻度を調整するための判定基準情報である。制御部58は、より小さい値に設定された基準回数を用いることによって、断線検査実施警告を頻繁に表示出力させることができる。
【0049】
ステップS107の処理手順が行われた後、制御部58は、このアンテナ履歴情報に基づくアンテナ使用回数と判定基準情報として予め記録された限度回数とを比較し、このアンテナ使用回数が限度回数以上である場合(ステップS108,Yes)、表示部53に対し、アンテナユニット4を別のアンテナユニットに交換するように促すアンテナ交換警告を表示する制御を行う(ステップS109)。なお、この限度回数は、アンテナユニット4が上述した正常状態を維持できる使用回数の所望の限度値を示す判定基準情報である。制御部58は、より小さい値に設定された限度回数を用いることによって、アンテナ交換警告を早期に表示出力させることができる。
【0050】
その後、制御部58は、受信装置3の各構成部に対し、画像受信モードの駆動制御を開始し(ステップS110)、上述したように、たとえばカプセル型内視鏡2によって撮像された画像データ等を順次取得し、取得した画像データ等を記憶部57に順次転送する。これによって、記憶部57は、制御部58から転送された画像データ等をたとえば携帯型記録媒体7に順次書き込む。
【0051】
また、制御部58は、画像受信モードの駆動制御を開始したことをトリガーとして、上述したステップS102において読み取ったアンテナ履歴情報に基づくアンテナ使用回数をカウントアップし(ステップS111)、このアンテナ使用回数を+1上昇させる。その後、制御部58は、このカウントアップしたアンテナ使用回数を示すアンテナ使用回数情報を履歴記憶部42に書き込ませる(ステップS112)。この場合、履歴記憶部42は、制御部58から入力されたカウントアップ済みのアンテナ使用回数を前回記憶したアンテナ使用回数に上書きする。これによって、履歴記憶部42内のアンテナ使用回数は更新される。
【0052】
一方、制御部58は、上述したステップS105において算出した検査後使用回数と基準回数とを比較し、この検査後使用回数が基準回数未満である場合(ステップS106,No)、上述したステップS107の処理手順を行わず、上述したステップS102において読み取ったアンテナ履歴情報に基づくアンテナ使用回数と限度回数とを比較する。制御部58は、このアンテナ使用回数と限度回数とを比較した結果、このアンテナ使用回数が限度回数未満である場合(ステップS108,No)、上述したステップS109の処理手順を行わず、上述したステップS110以降の処理手順を行う。
【0053】
ここで、使用者は、上述したステップS104の処理手順に基づいて表示部53に表示出力された断線検知警告を視認することによって、アンテナユニット4が無線信号を正常に受信できる状態ではない旨を容易に把握できる。また、使用者は、表示部53に表示出力された断線アンテナ情報を視認することによって、受信アンテナ4a〜4dのうちのいずれの受信アンテナが断線状態であるかを容易に把握することができる。使用者は、断線検知警告によって示されるアンテナユニット4に代えて正常なアンテナユニットを受信装置本体5と電気的に接続させればよい。また、使用者は、断線アンテナ情報によって示される受信アンテナに代えて正常な受信アンテナをアンテナユニット4と電気的に接続させればよい。
【0054】
また、使用者は、上述したステップS107の処理手順に基づいて表示部53に表示出力された断線検査実施警告を視認することによって、アンテナユニット4に対する断線検査処理が所定期間以上行われていない旨を容易に把握できる。使用者は、この断線検査実施警告が表示部53に表示出力される毎に、アンテナユニット4に対する断線検査処理を行うようにすればよい。
【0055】
さらに、使用者は、上述したステップS109の処理手順に基づいて表示部53に表示出力されたアンテナ交換警告を視認することによって、アンテナユニット4の使用回数が所望の限度回数以上である旨を容易に把握できる。使用者は、このアンテナ交換警告が表示部53に表示出力される毎に、受信装置本体5と電気的に接続させるアンテナユニットを別の正常なアンテナユニットに交換すればよい。これによって、使用者は、アンテナユニットが保有する受信アンテナのいずれかが断線状態になる前に、このアンテナユニットと正常状態のアンテナユニットとを交換することができ、正常状態のアンテナユニットと受信装置本体5とを備えた受信装置3を常時用いることができる。
【0056】
一方、制御部58は、上述した断線検査モードにおいて、たとえば受信アンテナ4a〜4dによる無線信号の各受信状態を判定することによってアンテナユニット4に対する断線検査処理を行う。この場合、使用者は、カプセル型内視鏡2によって送信される無線信号と同じ周波数帯域のテスト無線信号を生成出力する無線信号発生装置(図示せず)を断線検査対象の受信アンテナ4a〜4dの近傍に配置し、この無線信号発生装置からのテスト無線信号を受信アンテナ4a〜4dに受信させる。制御部58は、受信アンテナ4a〜4dを介して受信されたテスト無線信号の受信電界強度をもとに、アンテナユニット4に対する断線検査処理を行う。
【0057】
図5は、制御部58が断線検査モードにおいて行う断線検査処理の処理手順を例示するフローチャートである。図5において、制御部58は、入力部52から断線検査モード指示情報が入力されなければ、断線検査モード指示情報を検知せず(ステップS201,No)、入力部52から断線検査モード指示情報が入力されるまでこのステップS201を繰り返す。すなわち、制御部58は、断線検査モード指示情報が入力部52から入力されたか否かを常時監視する。
【0058】
一方、制御部58は、入力部52から断線検査モード指示情報が入力された場合、この入力された断線検査モード指示情報を検知し(ステップS201,Yes)、検知した断線検査モード指示情報に基づき、動作モードとして断線検査モードを設定する。断線検査モードにおいて、先ず、制御部58は、受信回路54と電気的に接続させる受信アンテナを受信アンテナ4a〜4dの中から所定順序で順次切り替えるように切替制御回路55に指示する(ステップS202)。この場合、切替制御回路55は、制御部58の制御に基づいてアンテナ切替部41のアンテナ切替動作を制御し、受信回路54と電気的に接続させる受信アンテナを所定順序で順次切り替える制御を行う。
【0059】
この状態において、上述した無線信号発生装置は、受信アンテナ4a〜4dの近傍に既に配置され、受信アンテナ4a〜4dに対してテスト無線信号を送信している。受信回路54は、順次切り替えられる受信アンテナ4a〜4dのそれぞれを介して受信されるテスト無線信号の受信電界強度を受信アンテナ毎に検出し、各受信電界強度に対応する強度検出信号を切替制御回路55に順次出力する。切替制御回路55は、受信回路54から順次入力される強度検出信号を制御部58に順次転送する。制御部58は、切替制御回路55から強度検出信号を受信アンテナ毎に受信し、受信した各強度検出信号をもとに、受信アンテナ4a〜4dのそれぞれを介して受信されたテスト無線信号の受信電界強度を受信アンテナ毎に取得する(ステップS203)。
【0060】
制御部58は、ステップS203において取得した受信アンテナ毎の受信電界強度と判定基準情報として予め記録されたしきい値とを用い、受信アンテナ4a〜4dの各受信状態を受信アンテナ毎に判定する(ステップS204)。この場合、制御部58は、取得した各受信電界強度としきい値とを比較する比較処理を受信アンテナ毎に行い、このしきい値以上の受信電界強度が得られた受信アンテナの受信状態を良好と判定し、それ以外の受信アンテナの受信状態を不良と判定する。
【0061】
制御部58は、ステップS204において、断線検査対象の全受信アンテナ4a〜4dの受信状態が良好であるか否かを判断し、良好であると判断していなければ(ステップS205,No)、これら全ての受信アンテナ4a〜4dの受信状態を判定完了したか否かを確認する。この場合、制御部58は、断線検査対象の全ての受信アンテナ4a〜4dのそれぞれと受信回路54とが電気的に接続されるアンテナ切替動作を所定回数繰り返すだけの期間が経過した旨を検知しなければ、これら全ての受信アンテナ4a〜4dのいずれかの受信状態を判定していないと判断し(ステップS206,No)、上述したステップS202以降の処理手順を繰り返す。一方、制御部58は、この期間が経過した旨を検知した場合、これら全ての受信アンテナ4a〜4dの受信状態を判定完了と判断し(ステップS206,Yes)、断線検査対象の受信アンテナ4a〜4dのうちの受信状態が不良の受信アンテナを断線状態と判断し、これらの受信アンテナ4a〜4dを保有するアンテナユニット4を断線状態と判断する(ステップS209)。
【0062】
その後、制御部58は、断線検査対象の受信アンテナ4a〜4dの少なくとも一つが断線した状態すなわちアンテナユニット4が断線状態である旨を示す断線検知情報と、上述したステップS204において受信状態を不良と判定された受信アンテナすなわち断線状態と判断された受信アンテナを特定する断線アンテナ情報と、この断線検査処理を行った時点でのアンテナ使用回数を示す検査時使用回数情報とを履歴記憶部42に出力し、出力した断線検知情報と断線アンテナ情報と検査時使用回数情報とを履歴記憶部42に書き込ませる(ステップS210)。この場合、履歴記憶部42は、アンテナユニット4に関するアンテナ履歴情報として断線検知情報と断線アンテナ情報とを記憶し、この検査時使用回数情報を上書きする。その後、制御部58は、上述したステップS201以降の処理手順を繰り返す。
【0063】
なお、この断線アンテナ情報は、受信アンテナ4a〜4dを特定できる情報であればよく、たとえば受信アンテナ4a〜4dにそれぞれ割り当てられた番号、記号、または文字等を単独または組み合わせたものでもよい。
【0064】
一方、制御部58は、ステップS204において、断線検査対象の全受信アンテナ4a〜4dの受信状態が良好であるか否かを判断し、良好であると判断した場合(ステップS205,Yes)、これらの受信アンテナ4a〜4dを保有するアンテナユニット4を正常状態と判断する(ステップS207)。
【0065】
その後、制御部58は、断線検査対象の全ての受信アンテナ4a〜4dが無線信号を正常に受信できる状態すなわちアンテナユニット4が正常状態である旨を示す正常状態情報と、この断線検査処理を行った時点でのアンテナ使用回数を示す検査時使用回数情報とを履歴記憶部42に出力し、出力した正常状態情報と検査時使用回数情報とを履歴記憶部42に書き込ませる(ステップS208)。この場合、履歴記憶部42は、アンテナユニット4に関するアンテナ履歴情報として、この正常状態情報を記憶しかつこの検査時使用回数情報を上書きする。その後、制御部58は、上述したステップS201以降の処理手順を繰り返す。
【0066】
なお、制御部58は、上述したステップS208の処理手順を行った後、表示部53に対し、正常状態情報を表示出力する制御を行ってもよい。また、制御部58は、上述したステップS210の処理手順を行った後、表示部53に対し、断線検知情報と断線アンテナ情報とを表示出力する制御を行ってもよい。これによって、使用者は、断線検査処理対象のアンテナユニットの断線検査処理結果をリアルタイムで確認できる。
【0067】
また、上述した無線信号発生装置は、カプセル型内視鏡2によって送信される無線信号と同じ周波数帯域のテスト無線信号を送信できればよいが、カプセル型内視鏡2と同じ信号パターンの画像信号を含むテスト無線信号を生成出力することが望ましい。これによって、制御部58は、より実践的なテスト無線信号を用いて断線検査処理を行うことができる。また、この無線信号発生装置として、カプセル型内視鏡と同様の筐体構造の内部にこのテスト信号を生成出力する機能を備えたダミーカプセルを用いてもよいし、カプセル型内視鏡そのものであってもよい。
【0068】
なお、この発明の実施の形態では、アンテナユニット4の使用回数を示すアンテナ使用回数情報をアンテナ履歴情報の一つとして履歴記憶部42に記録していたが、この発明はこれに限定されるものではなく、所定の単位時間を「1」とする単位時間値を用いてアンテナユニット4の使用時間を示す使用時間カウンタをアンテナ使用回数に代えて履歴記憶部42に記録してもよい。この場合、制御部58は、上述した画像受信モードにおいて、画像受信モードの駆動制御を開始してから所定の単位時間たとえば30分が経過する毎に使用時間カウンタを順次カウントアップし、カウントアップした使用時間カウンタを履歴記憶部42に上書きする制御を行う。また、制御部58は、上述したステップS101〜S112の各処理手順において、アンテナユニットの使用回数に関する情報に代えて使用時間カウンタおよびこれに基づく時間に関する情報を用いてもよい。
【0069】
また、この発明の実施の形態では、画像受信モードの駆動制御を開始する毎にアンテナ使用回数をカウントアップしていたが、この発明はこれに限定されるものではなく、アンテナユニット4の初期状態において、アンテナユニット4の使用限度回数または上述した単位時間値を用いて使用限度時間を示す限度時間カウンタを履歴記憶部42に予め記録し、制御部58は、画像受信モードの駆動制御を開始する毎に、この使用限度回数または限度時間カウンタをカウントダウンしてもよい。この場合、制御部58は、この使用限度回数または限度時間カウンタが零になった旨を検知した場合に、アンテナユニット4の使用回数または使用時間が使用限度であると判断し、アンテナ交換警告を表示部53に表示出力させる。このことは、アンテナユニット毎の使用限度回数または使用限度時間の設定を容易にし、受信装置側の設定たとえば上述した基準回数または限度回数をアンテナユニット毎に変更する必要がなく、アンテナユニット毎に使用履歴を確認する処理を簡易化している。
【0070】
さらに、この発明の実施の形態では、断線検査対象の受信アンテナによって受信された無線信号の受信電界強度をもとに受信アンテナの受信状態を判定していたが、この発明はこれに限定されるものではなく、受信アンテナを介して受信された無線信号に基づく画像データを検出した場合にこの受信アンテナの受信状態を良好と判定してもよいし、受信アンテナを介して受信された無線信号の同期が検出された場合にこの受信アンテナの受信状態を良好と判定してもよい。
【0071】
また、この発明の実施の形態では、受信アンテナ4a〜4dがそれぞれ電気的に接続されたアンテナ切替部41と履歴記憶部42とを備えたアンテナユニット4と、受信装置本体5とを用いて受信装置3を構成していたが、この発明はこれに限定されるものではなく、受信アンテナ4a〜4dがそれぞれ電気的に接続されたアンテナ切替部41、履歴記憶部42、受信回路54、および切替制御回路55を備えたアンテナユニットと、電力供給部51、入力部52、信号処理回路56、記憶部57、および制御部58を備えた受信装置本体とを用いて受信装置を構成してもよい。
【0072】
以上、説明したように、この発明の実施の形態では、保有する受信アンテナの使用履歴に関する各種情報たとえば使用回数、使用時間、または断線有無等のアンテナ履歴情報を記録可能な履歴記憶部を備えるように構成したので、この履歴記憶部に記録されたアンテナ履歴情報をもとに受信アンテナの使用履歴を容易に確認でき、保有する全ての受信アンテナが無線信号を正常に受信できる状態であるか否かをユニット毎に容易に確認できるアンテナユニットを実現することができる。
【0073】
また、このアンテナユニットを介して受信したカプセル型内視鏡からの無線信号をもとにこのカプセル型内視鏡による画像データを取得できる機能と、このアンテナユニットの履歴記憶部に記録されたアンテナ履歴情報をもとにこのアンテナユニットの使用履歴を確認し、確認した使用履歴に基づく警告表示を行う機能と、このアンテナユニットの使用履歴に応じてそのアンテナ履歴情報を逐次更新する機能とを備えた受信装置本体とこのアンテナユニットとを着脱可能に電気的に接続させることによって受信装置を構成している。したがって、カプセル型内視鏡による画像データを取得する処理を行う前に、このアンテナユニットの使用履歴、特に、このアンテナユニットと電気的に接続される全ての受信アンテナが無線信号を正常に受信できる状態であるか否かを容易に視認できる受信装置を実現することができる。
【0074】
この受信装置によれば、断線状態の受信アンテナを用いた状態でカプセル型内視鏡による画像データを取得する処理を開始することを防止でき、使用者は、無線信号を正常な状態で受信できるアンテナユニットを備えた受信装置を常時用いてこの画像データを取得する処理を行うことができる。これによって、この受信装置は、カプセル型内視鏡によって撮像された画像データを確実に蓄積することができ、被検体に対する検査の確実性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】カプセル型内視鏡システムの一構成例を模式的に例示する模式図である。
【図2】アンテナユニットと受信装置本体とを用いて受信装置を構成する状態を模式的に例示する模式図である。
【図3】この発明の実施の形態であるアンテナユニットおよびこれを用いた受信装置の一構成例を模式的に例示するブロック図である。
【図4】アンテナ履歴情報を確認した結果に基づいて画像受信モードの駆動制御を開始するための処理手順を例示するフローチャートである。
【図5】断線検査モードにおける断線検査処理の処理手順を例示するフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1 被検体
2 カプセル型内視鏡
3 受信装置
4 アンテナユニット
4a〜4d 受信アンテナ
5 受信装置本体
6 表示装置
7 携帯型記録媒体
41 アンテナ切替部
42 履歴記憶部
51 電力供給部
52 入力部
53 表示部
54 受信回路
55 切替制御回路
56 信号処理回路
57 記憶部
58 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の内部に導入されるカプセル型内視鏡によって撮像された画像データを蓄積する受信装置本体と着脱可能に電気的に接続され、前記カプセル型内視鏡との間で無線通信を行う1以上の受信アンテナを有し、該1以上の受信アンテナのいずれかを介して受信された前記画像データを前記受信装置本体に送信するとともに、前記受信アンテナの使用履歴に関する使用履歴情報を更新可能に記憶できる記憶手段を備えたことを特徴とするアンテナユニット。
【請求項2】
前記使用履歴情報は、前記受信アンテナの使用回数を示す使用回数情報、前記受信アンテナの使用時間を示す使用時間情報、前記受信アンテナの断線発生の有無を示す断線有無情報、および前記受信アンテナに対する断線検査処理の実施履歴を示す検査実施履歴情報の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のアンテナユニット。
【請求項3】
前記記憶手段は、不揮発性メモリであることを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載のアンテナユニットと、
前記アンテナユニットと着脱可能に電気的に接続され、前記アンテナユニットを介し、被検体の内部に導入されるカプセル型内視鏡によって撮像された画像データを受信し、受信した前記画像データを蓄積する受信装置本体と、
を備えたことを特徴とする受信装置。
【請求項5】
前記受信装置本体は、前記記憶手段に対して前記使用履歴情報を記憶するように制御する制御手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記画像データを受信する前記受信装置本体の駆動を制御し、該受信装置本体の駆動を制御開始する毎に、前記記憶手段内の前記使用回数情報を更新することを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記画像データを受信する前記受信装置本体の駆動を制御し、該受信装置本体の駆動を制御開始してから所定の単位時間が経過する毎に、前記記憶手段内の前記使用時間情報を更新することを特徴とする請求項5に記載の受信装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記受信装置本体の駆動を制御開始する前に前記記憶手段内の前記使用履歴情報を読み取り、該読み取った使用履歴情報の内容をもとに、前記受信装置本体の駆動を制御開始するか否かを判断することを特徴とする請求項5〜7のいずれか一つに記載の受信装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記アンテナユニットが保有する1以上の受信アンテナの各受信結果をもとに、前記1以上の受信アンテナのうちの少なくとも一つが断線した状態であるか否かを検査する断線検査処理を行うことを特徴とする請求項5〜8のいずれか一つに記載の受信装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記1以上の受信アンテナのうちの少なくとも一つが断線した状態であると判断した場合、前記記憶手段に対し、前記断線した状態である旨を示す情報を前記断線有無情報として記憶するように制御することを特徴とする請求項9に記載の受信装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記記憶手段内の使用回数情報をもとに、前記断線検査処理を行った時点での前記受信アンテナの使用回数を検出し、前記記憶手段に対し、該検出した使用回数を示す情報を前記検査実施履歴情報として記憶するように制御することを特徴とする請求項9または10に記載の受信装置。
【請求項12】
前記アンテナユニットに関する警告情報を表示する表示手段を備え、前記制御手段は、前記読み取った使用履歴情報の内容をもとに、前記表示手段に対して前記警告情報を表示するように制御することを特徴とする請求項5〜11のいずれか一つに記載の受信装置。
【請求項13】
前記警告情報は、前記アンテナユニットが有する1以上の受信アンテナの少なくとも一つが断線した状態である旨を警告する情報、前記アンテナユニットに対する断線検査処理を実施する必要がある旨を警告する情報、または前記アンテナユニット交換する必要がある旨を警告する情報であることを特徴とする請求項12に記載の受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−75302(P2006−75302A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−261671(P2004−261671)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】