アンテナ分波器
【課題】移相器の位相整合機能を確保し、かつ高域側および低域側フィルタの通過帯域外の任意の帯域の減衰特性を改善する。
【解決手段】高域側フィルタ11と低域側フィルタ12と、高域側フィルタとアンテナポート間に介挿されて両フィルタの位相整合をとるローパスフィルタ構成の移相器14とを備えたアンテナ分波器において、アンテナポート側のコンデンサ17と共振する共振用インダクタ18を設け、その共振によって両フィルタの通過帯域外の任意の帯域に減衰特性を得る。例えば、低域側フィルタの通過帯域の周波数fLの2倍の周波数に減衰極を持たせる。ハイパスフィルタ構成の移相器におけるインダクタに直列に共振用コンデンサを設けた構成など、LC共振の回路構成は適宜変更できる。
【解決手段】高域側フィルタ11と低域側フィルタ12と、高域側フィルタとアンテナポート間に介挿されて両フィルタの位相整合をとるローパスフィルタ構成の移相器14とを備えたアンテナ分波器において、アンテナポート側のコンデンサ17と共振する共振用インダクタ18を設け、その共振によって両フィルタの通過帯域外の任意の帯域に減衰特性を得る。例えば、低域側フィルタの通過帯域の周波数fLの2倍の周波数に減衰極を持たせる。ハイパスフィルタ構成の移相器におけるインダクタに直列に共振用コンデンサを設けた構成など、LC共振の回路構成は適宜変更できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高域側フィルタと低域側フィルタの二つのフィルタをアンテナポートに接続したアンテナ分波器に係り、特に両フィルタ間の干渉を抑制する移相器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のアンテナ分波器(デュプレクサ)は、携帯電話、PHSなどの移動体通信端末や、無線LANなどの高周波無線通信装置における送受信波の分波手段として使用され、高域側フィルタと低域側フィルタにはSAW(弾性表面波)フィルタが使用されている。そして高域側フィルタ及び低域側フィルタの一方を送信側に、また他方を受信側に割り当て、両フィルタによってそれぞれ特定の周波数帯の高周波信号のみを通過させ、他の周波数帯の信号を阻止する。また、アンテナ分波器は、通過帯域の異なる複数のSAWフィルタをアンテナに直接接続すると、互いの送受信信号が干渉してしまうため、移相器(位相整合回路)を設ける。
【0003】
図13は、移相器をもつアンテナ分波器の従来の回路構成を示す。同図では800MHz帯US−CDMA向けのアンテナ分波器を例として示す。一般に、デュプレクサでは、電気ポートにはアンテナポート、高域側フィルタポート、低域側フィルタポートの3つが必要となる。デュプレクサ内部には「高域側フィルタ」と「低域側フィルタ」が1系統ずつ実装され、さらに高域側フィルタのアンテナポート側に移相器が実装されており、それらがアンテナポート直下の”A”点に接続される。
【0004】
具体的には、高域側フィルタ11と低域側フィルタ12は、共に複数のSAW共振子10を梯子形(ラダー形)に接続した構成とし、高域側フィルタ11はアンテナ13側(A点側)の初段をT型の入力とし、低域側フィルタ12はアンテナ13側の初段をπ型の入力としている。高域側フィルタ11とアンテナ13との間に移相器14を介挿する。
【0005】
移相器14は、インダクタとコンデンサでπ型に構成される。すなわち、高域側フィルタ11の入出力端とアンテナ13との間に直列に接続したインダクタ15と、高域側フィルタ11の入出力端と対アース間に接続したコンデンサ16と、アンテナ13と対アース間に接続したコンデンサ17からなるフィルタ構成にされる。
【0006】
これらインダクタ15とコンデンサ16,17はλ/4マイクロストリップ線路、集中定数部品などが用いられる(例えば、特許文献1参照)。また、高域側フィルタ11の入出力信号とアンテナとの間に直列にコンデンサを配置し、このコンデンサの両端と対アース間に並列にインダクタを配置したハイパスフィルタ構成の移相器もある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−228911号公報
【特許文献2】特開2006−129445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のように、SAWフィルタを用いたアンテナ分波器では、SAWフィルタの他に移相器14を設ける。この移相器14は高域側フィルタ11と低域側フィルタ12の整合をとる事ができる。しかし、図14(a)及び一部を拡大した図14(b)に示すようにに従来の周波数特性において、所要の帯域外減衰量特性を確保できないという問題、例えば低域側フィルタの中心周波数をfLとすると、この中心周波数の2倍周波数(2×fL)付近の減衰量が確保できないという問題があった。この問題について具体的に説明すると、アンテナ分波器は、高域側フィルタ11及び低域側フィルタ12に夫々増幅器が接続されており、増幅器は通過帯域の整数倍の周波数においてスプリアスが発生する。特に通過帯域の2倍の周波数に相当する高調波のスプリアスが大きい。例えば低域側フィルタ12が送信側に設けられている場合には、増幅器により増幅された信号が低域側フィルタ12を通り、アンテナ13から出力されるが、2×fL付近の減衰量が小さいと、例えば携帯端末に割り当てられた他の周波数域のノイズ信号になってしまう。
【0009】
本発明の目的は、移相器の位相整合機能を確保し、かつ高域側および低域側フィルタの通過帯域外の周波数帯域における減衰特性を改善できるアンテナ分波器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記の課題を解決するため、移相器を構成するインダクタまたはコンデンサとLC共振する共振用コンデンサまたは共振用インダクタを設け、このLC共振によってフィルタの通過帯域外の任意の帯域に減衰特性を得るようにしたもので、以下の構成を特徴とする。
(1)高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、前記インダクタと共振する共振用コンデンサ、または前記コンデンサと共振する共振用インダクタを備え、その共振によって前記両フィルタの通過帯域外の任意の帯域に減衰特性を得ることを特徴とする。
より具体的には、前記高域側フィルタ及び低域側フィルタは、弾性波素子例えば弾性表面波素子を用いて、例えばラダー型に接続して構成される。
(2)前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、前記アンテナポート側のコンデンサに直列に共振用インダクタを設けたことを特徴とする。
(3)前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、前記両コンデンサと対アース間に共通の共振用インダクタを設けたことを特徴とする。
(4)前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にコンデンサを設け、このコンデンサの両端と対アース間にそれぞれインダクタを設けたフィルタ構成とし、前記アンテナポート側のインダクタに直列に共振用コンデンサを設けたことを特徴とする。
更に他の発明は、移相器を構成するコンデンサとLC共振する共振用インダクタを設け、共振周波数をフィルタの通過帯域内に設定することでバンドパスの機能を得、結果としてバンドパスに対応する周波数域の外の減衰量を改善するようにしたものであり、具体的には以下のように構成される。
(5)高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にコンデンサを設け、このコンデンサの両端と対アース間にそれぞれインダクタを設けたフィルタ構成とし、
前記コンデンサに直列に、高域側フィルタまたは低域側フィルタの通過帯域にて共振する共振用インダクタを設けたことを特徴とする
(6)高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、
前記アンテナポート側のコンデンサに並列に、高域側フィルタまたは低域側フィルタの通過帯域にて共振する共振用インダクタを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のとおり、本発明(実施の形態は図1、図5及び図11に対応する)によれば、移相器を構成するインダクタまたはコンデンサとLC共振する共振用コンデンサまたは共振用インダクタを設け、このLC共振によってフィルタの通過帯域外の任意の帯域に減衰特性を得るようにしたため、移相器の位相整合機能を確保し、かつ高域側および低域側フィルタの通過帯域外の任意の周波数帯域における減衰特性を改善できる効果がある。また他の発明(実施の形態は図7及び図9に対応する)によれば移相器内の信号路にて直列共振させるか、あるいは信号路とアースとの間で並列共振させることにより、フィルタの通過帯域に対してバンドパスの機能を得、結果としてバンドパスに対応する周波数域の外の減衰量を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成であり、図13と異なる部分は、LC共振用インダクタ18を追加した点にある。このアンテナ分波器は、図1に示すように、SAW共振子を梯子形に接続した高域側フィルタ11および低域側フィルタ12と、高域側フィルタ11とアンテナポートの間に、インダクタ15とコンデンサ16,17をπ形に接続した移相器14からなり、かつ移相器14にLC共振用インダクタ18を追加した構成にされる。またこの例では、高域側フィルタ11は送信側に設けられ、低域側フィルタ12は受信側に設けられる。LC共振用インダクタ18は、移相器14の入出力端とアンテナ13の接続点と対アース間に設けられていたコンデンサ17に直列に介挿され、このコンデンサ17と直列共振させるためのものである。即ち、LC共振用インダクタ18とコンデンサ17とはLC共振回路を構成する。
【0013】
図1の構成において、コンデンサ17とインダクタ18の素子の直列共振周波数が減衰させようとする周波数付近になるように例えば2×fL付近になるように、インダクタ値とコンデンサ容量を設定する。このとき、アンテナ端子側より移相器14側を見たインピーダンスは、図2の(b)に示すインピーダンス特性にて丸で囲んでいる(左端)ように、2×fL付近の周波数で短絡(SHORT)に近づく。また移相器+高域側フィルタがもつ周波数特性は図2の(a)に示すように、2×fL付近で減衰極が得られ、2×fLでの減衰量を改善できる。また、図2の(b)に示すように、fL付近のインピーダンスが無限大(OPEN)側にあり、移相器としての位相整合機能は確保される。
【0014】
図3は、従来の移相器+高域側フィルタ構成における周波数特性(a)とインピーダンス特性(b)を示している。2×fL付近の周波数では、スミスチャートの中央下部に丸で囲んでいるように、インピーダンスはSHORT付近になく、50Ω付近にあり、周波数特性をみても、2×fL付近には減衰極もない。図1の構成にしたアンテナ分波器の周波数特性を図4に示す。図4(b)は図4(a)の一部を拡大した図である。従来の構成では図14に示したように、低域側フィルタの2×fLの減衰量は16dB程度であつたが、本実施形態の回路では図4(a)に示したように、移相器におけるコンデンサ17とインダクタ18の共振特性で得た2×fL付近の減衰極のため、低域側フィルタの2×fLの減衰量は40dBと減衰量が約23dB改善されている。また、低域側フィルタおよび高域側フィルタの挿入損失もほとんど劣化がない。
【0015】
(他の実施形態)
図1における移相器14の回路構成および配置は適宜設計変更して、高域側および低域側フィルタの通過帯域外の任意の周波数帯域における減衰特性を改善できる。これらの実施形態を以下に説明する。
【0016】
図5に示すアンテナ分波器に用いられる移相器14Aは、高域フィルタ11とアンテナポート13との間に直列に介挿されたインダクタ15と、このインダクタ15の両端とアースとの間に夫々介挿された2個のコンデンサ16及び17と、
これらコンデンサ16、17と対アース間に、コンデンサ16、17の並列回路に対して共通に直列に接続したLC共振用インダクタ19とからなる。この共振用インダクタ19は、コンデンサ16、17の並列回路と共に共振させるためのものであり、コンデンサ16、17及びインダクタ19により共振回路が構成される。そして直列共振周波数が減衰させようとする周波数付近になるように例えば2×fL付近になるように、インダクタ19のインダクタ値とコンデンサ16、17のコンデンサ容量を設定する。この移相器構成とする場合のアンテナ分波器の周波数特性は、図6(a)及び一部を拡大した図6(b)に示すよう、低域側フィルタの2×fLにおける減衰量が38dBであり、従来例(図14)に比べて22dB改善されている。
【0017】
図7に示すアンテナ分波器に用いられる移相器14Bは、高域側フィルタ11の入出力信号とアンテナとの間に直列にコンデンサ20を配置し、このコンデンサ20の両端と対アース間に並列にインダクタ21,22を配置したハイパスフィルタとして構成される。そしてコンデンサ20に対してLC共振用インダクタ23を直列に接続し、高域側フィルタ11または低域側フィルタ12の通過帯域内にて直列共振するようにこの直列共振回路を構成している。この例ではfL付近で直列共振するように設定されている。この移相器における周波数特性は、図8(a)及び一部を拡大した図8(b)に示すように、低域側フィルタの2×fLにおける減衰量が25dBであり、従来例(図14)に比べて9dB改善されている。また低域側フィルタ及び高域側フィルタの100MHz以下の減衰量についても、従来例に比べて格段に改善されている。従ってバンドパスフィルタとしては従来のものに比べて優れている。このような作用が得られる理由は、前記直列共振により移相器の機能に加えてバンドパスフィルタの機能が現れ、結果として通過帯域外の減衰量が改善されたと考えられる。
【0018】
図9に示すアンテナ分波器は、図13と異なる部分は、LC共振用インダクタ24を追加した点にある。即ち、コンデンサ17に対して並列にLC共振用インダクタ24を接続した構成の移相器14Cとする。この場合コンデンサ17とインダクタ24とにより並列共振回路が構成され、この並列共振回路は、高域側フィルタ11または低域側フィルタ12の通過帯域内にて並列共振するようにこの並列共振回路を構成している。この例ではfL付近で並列共振するように設定されている。この移相器構成とする場合の周波数特性は、図10(a)及び一部を拡大した図10(b)に示すように、低域側フィルタの2×fLにおける減衰量は23dBであり、従来例に比べて9dB改善されている。また低域側フィルタと高域側フィルタの100MHz以下の減衰量についても、従来例に比べて格段に改善されている。このような作用が得られる理由は、前記並列共振により移相器の機能に加えてバンドパスフィルタの機能が現れたことに起因していると考えられる。
【0019】
図11に示すアンテナ分波器に用いられる移相器14Dは、高域側フィルタ11の入出力信号とアンテナとの間に直列にコンデンサ20を配置し、このコンデンサ20の両端と対アース間に並列にインダクタ21,22を配置したハイパスフィルタを構成している。更にアンテナ側のインダクタ22とアースとの間には、2×fL付近で当該インダクタ22と直列共振させるLC共振用コンデンサ25を設けている。このように移相器を構成する場合の周波数特性は、図12(a)及び一部を拡大した図12(b)に示すように、高域側フィルタの800MHz以下の減衰量が改善されている。従ってバンドパスフィルタとしては従来のものに比べて優れている。。
このように移相器において、コンデンサ及びインダクタからなる直列共振回路または並列共振回路を設け、その共振周波数を調整することにより、移相器の位相整合機能を確保し、かつ高域側および低域側フィルタの通過帯域外の任意の周波数帯域における減衰特性を改善できる。
【0020】
(変形例)
以上までの実施形態で示すアンテナ分波器において、移相器等の回路構成および回路要素を以下のように変更して、同等の作用効果を得ることができる。
・移相器14,14A〜14Dは、高域側フィルタ11のアンテナポート側に介挿する場合を示すが、アンテナポートに直接接続した回路構成とする。
・移相器はアンテナ分波器に内蔵することとしたが、外付けとすることができる。
・高域側フィルタおよび低域側フィルタの回路構成については、全て梯子形としているが、他の形状とすることができる。
・高域側フィルタおよび低域側フィルタを形成する圧電基板は、LiTaO3,LiNbO3、水晶を始めとする、圧電作用のあるSAWデバイス用ウェハであればよい。
・移相器を構成するインダクタおよびコンデンサは、集中定数部品によるもの、プリント基板やセラミック基板、あるいはSAWチップ上の配線により実現するもの、あるいはその複合構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成図。
【図2】第一の実施形態における移相器+高域側フィルタの回路構成と周波数特性およびインピーダンス特性図。
【図3】従来の周波数特性およびインピーダンス特性図。
【図4】第一の実施形態によるアンテナ分波器の周波数特性図。
【図5】本発明の第二の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成図。
【図6】第二の実施形態によるアンテナ分波器の周波数特性。
【図7】本発明の第三の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成図。
【図8】第三の実施形態によるアンテナ分波器の周波数特性。
【図9】本発明の第四の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成図。
【図10】第四の実施形態によるアンテナ分波器の周波数特性。
【図11】本発明の第五の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成図。
【図12】第五の実施形態によるアンテナ分波器の周波数特性。
【図13】従来のアンテナ分波器の回路構成図。
【図14】従来のアンテナ分波器の周波数特性図。
【符号の説明】
【0022】
11 高域側フィルタ
12 低域側フィルタ
13 アンテナ
14、14A〜14D 移相器
15、21、22 インダクタ
16、17、20 コンデンサ
18、19、23、24 LC共振用インダクタ
25 LC共振用コンデンサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、高域側フィルタと低域側フィルタの二つのフィルタをアンテナポートに接続したアンテナ分波器に係り、特に両フィルタ間の干渉を抑制する移相器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のアンテナ分波器(デュプレクサ)は、携帯電話、PHSなどの移動体通信端末や、無線LANなどの高周波無線通信装置における送受信波の分波手段として使用され、高域側フィルタと低域側フィルタにはSAW(弾性表面波)フィルタが使用されている。そして高域側フィルタ及び低域側フィルタの一方を送信側に、また他方を受信側に割り当て、両フィルタによってそれぞれ特定の周波数帯の高周波信号のみを通過させ、他の周波数帯の信号を阻止する。また、アンテナ分波器は、通過帯域の異なる複数のSAWフィルタをアンテナに直接接続すると、互いの送受信信号が干渉してしまうため、移相器(位相整合回路)を設ける。
【0003】
図13は、移相器をもつアンテナ分波器の従来の回路構成を示す。同図では800MHz帯US−CDMA向けのアンテナ分波器を例として示す。一般に、デュプレクサでは、電気ポートにはアンテナポート、高域側フィルタポート、低域側フィルタポートの3つが必要となる。デュプレクサ内部には「高域側フィルタ」と「低域側フィルタ」が1系統ずつ実装され、さらに高域側フィルタのアンテナポート側に移相器が実装されており、それらがアンテナポート直下の”A”点に接続される。
【0004】
具体的には、高域側フィルタ11と低域側フィルタ12は、共に複数のSAW共振子10を梯子形(ラダー形)に接続した構成とし、高域側フィルタ11はアンテナ13側(A点側)の初段をT型の入力とし、低域側フィルタ12はアンテナ13側の初段をπ型の入力としている。高域側フィルタ11とアンテナ13との間に移相器14を介挿する。
【0005】
移相器14は、インダクタとコンデンサでπ型に構成される。すなわち、高域側フィルタ11の入出力端とアンテナ13との間に直列に接続したインダクタ15と、高域側フィルタ11の入出力端と対アース間に接続したコンデンサ16と、アンテナ13と対アース間に接続したコンデンサ17からなるフィルタ構成にされる。
【0006】
これらインダクタ15とコンデンサ16,17はλ/4マイクロストリップ線路、集中定数部品などが用いられる(例えば、特許文献1参照)。また、高域側フィルタ11の入出力信号とアンテナとの間に直列にコンデンサを配置し、このコンデンサの両端と対アース間に並列にインダクタを配置したハイパスフィルタ構成の移相器もある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2004−228911号公報
【特許文献2】特開2006−129445号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記のように、SAWフィルタを用いたアンテナ分波器では、SAWフィルタの他に移相器14を設ける。この移相器14は高域側フィルタ11と低域側フィルタ12の整合をとる事ができる。しかし、図14(a)及び一部を拡大した図14(b)に示すようにに従来の周波数特性において、所要の帯域外減衰量特性を確保できないという問題、例えば低域側フィルタの中心周波数をfLとすると、この中心周波数の2倍周波数(2×fL)付近の減衰量が確保できないという問題があった。この問題について具体的に説明すると、アンテナ分波器は、高域側フィルタ11及び低域側フィルタ12に夫々増幅器が接続されており、増幅器は通過帯域の整数倍の周波数においてスプリアスが発生する。特に通過帯域の2倍の周波数に相当する高調波のスプリアスが大きい。例えば低域側フィルタ12が送信側に設けられている場合には、増幅器により増幅された信号が低域側フィルタ12を通り、アンテナ13から出力されるが、2×fL付近の減衰量が小さいと、例えば携帯端末に割り当てられた他の周波数域のノイズ信号になってしまう。
【0009】
本発明の目的は、移相器の位相整合機能を確保し、かつ高域側および低域側フィルタの通過帯域外の周波数帯域における減衰特性を改善できるアンテナ分波器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記の課題を解決するため、移相器を構成するインダクタまたはコンデンサとLC共振する共振用コンデンサまたは共振用インダクタを設け、このLC共振によってフィルタの通過帯域外の任意の帯域に減衰特性を得るようにしたもので、以下の構成を特徴とする。
(1)高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、前記インダクタと共振する共振用コンデンサ、または前記コンデンサと共振する共振用インダクタを備え、その共振によって前記両フィルタの通過帯域外の任意の帯域に減衰特性を得ることを特徴とする。
より具体的には、前記高域側フィルタ及び低域側フィルタは、弾性波素子例えば弾性表面波素子を用いて、例えばラダー型に接続して構成される。
(2)前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、前記アンテナポート側のコンデンサに直列に共振用インダクタを設けたことを特徴とする。
(3)前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、前記両コンデンサと対アース間に共通の共振用インダクタを設けたことを特徴とする。
(4)前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にコンデンサを設け、このコンデンサの両端と対アース間にそれぞれインダクタを設けたフィルタ構成とし、前記アンテナポート側のインダクタに直列に共振用コンデンサを設けたことを特徴とする。
更に他の発明は、移相器を構成するコンデンサとLC共振する共振用インダクタを設け、共振周波数をフィルタの通過帯域内に設定することでバンドパスの機能を得、結果としてバンドパスに対応する周波数域の外の減衰量を改善するようにしたものであり、具体的には以下のように構成される。
(5)高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にコンデンサを設け、このコンデンサの両端と対アース間にそれぞれインダクタを設けたフィルタ構成とし、
前記コンデンサに直列に、高域側フィルタまたは低域側フィルタの通過帯域にて共振する共振用インダクタを設けたことを特徴とする
(6)高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、
前記アンテナポート側のコンデンサに並列に、高域側フィルタまたは低域側フィルタの通過帯域にて共振する共振用インダクタを設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のとおり、本発明(実施の形態は図1、図5及び図11に対応する)によれば、移相器を構成するインダクタまたはコンデンサとLC共振する共振用コンデンサまたは共振用インダクタを設け、このLC共振によってフィルタの通過帯域外の任意の帯域に減衰特性を得るようにしたため、移相器の位相整合機能を確保し、かつ高域側および低域側フィルタの通過帯域外の任意の周波数帯域における減衰特性を改善できる効果がある。また他の発明(実施の形態は図7及び図9に対応する)によれば移相器内の信号路にて直列共振させるか、あるいは信号路とアースとの間で並列共振させることにより、フィルタの通過帯域に対してバンドパスの機能を得、結果としてバンドパスに対応する周波数域の外の減衰量を改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成であり、図13と異なる部分は、LC共振用インダクタ18を追加した点にある。このアンテナ分波器は、図1に示すように、SAW共振子を梯子形に接続した高域側フィルタ11および低域側フィルタ12と、高域側フィルタ11とアンテナポートの間に、インダクタ15とコンデンサ16,17をπ形に接続した移相器14からなり、かつ移相器14にLC共振用インダクタ18を追加した構成にされる。またこの例では、高域側フィルタ11は送信側に設けられ、低域側フィルタ12は受信側に設けられる。LC共振用インダクタ18は、移相器14の入出力端とアンテナ13の接続点と対アース間に設けられていたコンデンサ17に直列に介挿され、このコンデンサ17と直列共振させるためのものである。即ち、LC共振用インダクタ18とコンデンサ17とはLC共振回路を構成する。
【0013】
図1の構成において、コンデンサ17とインダクタ18の素子の直列共振周波数が減衰させようとする周波数付近になるように例えば2×fL付近になるように、インダクタ値とコンデンサ容量を設定する。このとき、アンテナ端子側より移相器14側を見たインピーダンスは、図2の(b)に示すインピーダンス特性にて丸で囲んでいる(左端)ように、2×fL付近の周波数で短絡(SHORT)に近づく。また移相器+高域側フィルタがもつ周波数特性は図2の(a)に示すように、2×fL付近で減衰極が得られ、2×fLでの減衰量を改善できる。また、図2の(b)に示すように、fL付近のインピーダンスが無限大(OPEN)側にあり、移相器としての位相整合機能は確保される。
【0014】
図3は、従来の移相器+高域側フィルタ構成における周波数特性(a)とインピーダンス特性(b)を示している。2×fL付近の周波数では、スミスチャートの中央下部に丸で囲んでいるように、インピーダンスはSHORT付近になく、50Ω付近にあり、周波数特性をみても、2×fL付近には減衰極もない。図1の構成にしたアンテナ分波器の周波数特性を図4に示す。図4(b)は図4(a)の一部を拡大した図である。従来の構成では図14に示したように、低域側フィルタの2×fLの減衰量は16dB程度であつたが、本実施形態の回路では図4(a)に示したように、移相器におけるコンデンサ17とインダクタ18の共振特性で得た2×fL付近の減衰極のため、低域側フィルタの2×fLの減衰量は40dBと減衰量が約23dB改善されている。また、低域側フィルタおよび高域側フィルタの挿入損失もほとんど劣化がない。
【0015】
(他の実施形態)
図1における移相器14の回路構成および配置は適宜設計変更して、高域側および低域側フィルタの通過帯域外の任意の周波数帯域における減衰特性を改善できる。これらの実施形態を以下に説明する。
【0016】
図5に示すアンテナ分波器に用いられる移相器14Aは、高域フィルタ11とアンテナポート13との間に直列に介挿されたインダクタ15と、このインダクタ15の両端とアースとの間に夫々介挿された2個のコンデンサ16及び17と、
これらコンデンサ16、17と対アース間に、コンデンサ16、17の並列回路に対して共通に直列に接続したLC共振用インダクタ19とからなる。この共振用インダクタ19は、コンデンサ16、17の並列回路と共に共振させるためのものであり、コンデンサ16、17及びインダクタ19により共振回路が構成される。そして直列共振周波数が減衰させようとする周波数付近になるように例えば2×fL付近になるように、インダクタ19のインダクタ値とコンデンサ16、17のコンデンサ容量を設定する。この移相器構成とする場合のアンテナ分波器の周波数特性は、図6(a)及び一部を拡大した図6(b)に示すよう、低域側フィルタの2×fLにおける減衰量が38dBであり、従来例(図14)に比べて22dB改善されている。
【0017】
図7に示すアンテナ分波器に用いられる移相器14Bは、高域側フィルタ11の入出力信号とアンテナとの間に直列にコンデンサ20を配置し、このコンデンサ20の両端と対アース間に並列にインダクタ21,22を配置したハイパスフィルタとして構成される。そしてコンデンサ20に対してLC共振用インダクタ23を直列に接続し、高域側フィルタ11または低域側フィルタ12の通過帯域内にて直列共振するようにこの直列共振回路を構成している。この例ではfL付近で直列共振するように設定されている。この移相器における周波数特性は、図8(a)及び一部を拡大した図8(b)に示すように、低域側フィルタの2×fLにおける減衰量が25dBであり、従来例(図14)に比べて9dB改善されている。また低域側フィルタ及び高域側フィルタの100MHz以下の減衰量についても、従来例に比べて格段に改善されている。従ってバンドパスフィルタとしては従来のものに比べて優れている。このような作用が得られる理由は、前記直列共振により移相器の機能に加えてバンドパスフィルタの機能が現れ、結果として通過帯域外の減衰量が改善されたと考えられる。
【0018】
図9に示すアンテナ分波器は、図13と異なる部分は、LC共振用インダクタ24を追加した点にある。即ち、コンデンサ17に対して並列にLC共振用インダクタ24を接続した構成の移相器14Cとする。この場合コンデンサ17とインダクタ24とにより並列共振回路が構成され、この並列共振回路は、高域側フィルタ11または低域側フィルタ12の通過帯域内にて並列共振するようにこの並列共振回路を構成している。この例ではfL付近で並列共振するように設定されている。この移相器構成とする場合の周波数特性は、図10(a)及び一部を拡大した図10(b)に示すように、低域側フィルタの2×fLにおける減衰量は23dBであり、従来例に比べて9dB改善されている。また低域側フィルタと高域側フィルタの100MHz以下の減衰量についても、従来例に比べて格段に改善されている。このような作用が得られる理由は、前記並列共振により移相器の機能に加えてバンドパスフィルタの機能が現れたことに起因していると考えられる。
【0019】
図11に示すアンテナ分波器に用いられる移相器14Dは、高域側フィルタ11の入出力信号とアンテナとの間に直列にコンデンサ20を配置し、このコンデンサ20の両端と対アース間に並列にインダクタ21,22を配置したハイパスフィルタを構成している。更にアンテナ側のインダクタ22とアースとの間には、2×fL付近で当該インダクタ22と直列共振させるLC共振用コンデンサ25を設けている。このように移相器を構成する場合の周波数特性は、図12(a)及び一部を拡大した図12(b)に示すように、高域側フィルタの800MHz以下の減衰量が改善されている。従ってバンドパスフィルタとしては従来のものに比べて優れている。。
このように移相器において、コンデンサ及びインダクタからなる直列共振回路または並列共振回路を設け、その共振周波数を調整することにより、移相器の位相整合機能を確保し、かつ高域側および低域側フィルタの通過帯域外の任意の周波数帯域における減衰特性を改善できる。
【0020】
(変形例)
以上までの実施形態で示すアンテナ分波器において、移相器等の回路構成および回路要素を以下のように変更して、同等の作用効果を得ることができる。
・移相器14,14A〜14Dは、高域側フィルタ11のアンテナポート側に介挿する場合を示すが、アンテナポートに直接接続した回路構成とする。
・移相器はアンテナ分波器に内蔵することとしたが、外付けとすることができる。
・高域側フィルタおよび低域側フィルタの回路構成については、全て梯子形としているが、他の形状とすることができる。
・高域側フィルタおよび低域側フィルタを形成する圧電基板は、LiTaO3,LiNbO3、水晶を始めとする、圧電作用のあるSAWデバイス用ウェハであればよい。
・移相器を構成するインダクタおよびコンデンサは、集中定数部品によるもの、プリント基板やセラミック基板、あるいはSAWチップ上の配線により実現するもの、あるいはその複合構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成図。
【図2】第一の実施形態における移相器+高域側フィルタの回路構成と周波数特性およびインピーダンス特性図。
【図3】従来の周波数特性およびインピーダンス特性図。
【図4】第一の実施形態によるアンテナ分波器の周波数特性図。
【図5】本発明の第二の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成図。
【図6】第二の実施形態によるアンテナ分波器の周波数特性。
【図7】本発明の第三の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成図。
【図8】第三の実施形態によるアンテナ分波器の周波数特性。
【図9】本発明の第四の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成図。
【図10】第四の実施形態によるアンテナ分波器の周波数特性。
【図11】本発明の第五の実施形態を示すアンテナ分波器の回路構成図。
【図12】第五の実施形態によるアンテナ分波器の周波数特性。
【図13】従来のアンテナ分波器の回路構成図。
【図14】従来のアンテナ分波器の周波数特性図。
【符号の説明】
【0022】
11 高域側フィルタ
12 低域側フィルタ
13 アンテナ
14、14A〜14D 移相器
15、21、22 インダクタ
16、17、20 コンデンサ
18、19、23、24 LC共振用インダクタ
25 LC共振用コンデンサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、前記インダクタと共振する共振用コンデンサ、または前記コンデンサと共振する共振用インダクタを備え、その共振によって前記両フィルタの通過帯域外の帯域に減衰特性を得ることを特徴とするアンテナ分波器。
【請求項2】
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、前記アンテナポート側のコンデンサに直列に共振用インダクタを設けたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ分波器。
【請求項3】
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、前記両コンデンサと対アース間に共通の共振用インダクタを設けたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ分波器。
【請求項4】
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にコンデンサを設け、このコンデンサの両端と対アース間にそれぞれインダクタを設けたフィルタ構成とし、前記アンテナポート側のインダクタに直列に共振用コンデンサを設けたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ分波器。
【請求項5】
高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にコンデンサを設け、このコンデンサの両端と対アース間にそれぞれインダクタを設けたフィルタ構成とし、
前記コンデンサに直列に、高域側フィルタまたは低域側フィルタの通過帯域にて共振する共振用インダクタを設けたことを特徴とするアンテナ分波器。
【請求項6】
高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、
前記アンテナポート側のコンデンサに並列に、高域側フィルタまたは低域側フィルタの通過帯域にて共振する共振用インダクタを設けたことを特徴とするアンテナ分波器。
【請求項1】
高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、前記インダクタと共振する共振用コンデンサ、または前記コンデンサと共振する共振用インダクタを備え、その共振によって前記両フィルタの通過帯域外の帯域に減衰特性を得ることを特徴とするアンテナ分波器。
【請求項2】
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、前記アンテナポート側のコンデンサに直列に共振用インダクタを設けたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ分波器。
【請求項3】
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、前記両コンデンサと対アース間に共通の共振用インダクタを設けたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ分波器。
【請求項4】
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にコンデンサを設け、このコンデンサの両端と対アース間にそれぞれインダクタを設けたフィルタ構成とし、前記アンテナポート側のインダクタに直列に共振用コンデンサを設けたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ分波器。
【請求項5】
高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にコンデンサを設け、このコンデンサの両端と対アース間にそれぞれインダクタを設けたフィルタ構成とし、
前記コンデンサに直列に、高域側フィルタまたは低域側フィルタの通過帯域にて共振する共振用インダクタを設けたことを特徴とするアンテナ分波器。
【請求項6】
高域側フィルタと、低域側フィルタと、インダクタとコンデンサで構成され、前記両フィルタのアンテナポート側に接続されて前記両フィルタの位相整合をとる移相器とを備えたアンテナ分波器において、
前記移相器は、高域側フィルタとアンテナポート間に直列にインダクタを設け、このインダクタの両端と対アース間にそれぞれコンデンサを設けたフィルタ構成とし、
前記アンテナポート側のコンデンサに並列に、高域側フィルタまたは低域側フィルタの通過帯域にて共振する共振用インダクタを設けたことを特徴とするアンテナ分波器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−33733(P2009−33733A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−161957(P2008−161957)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】
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