説明

アンテナ制御システム及びBSモデム

【課題】制御装置が出力する電源以外の電源を使用することが可能なアンテナ制御システム及びBSモデムを提供する。
【解決手段】アンテナ10の制御を行うAISGデバイス17と、AISGデバイス17に制御信号とAISG規格にて規定される一の電圧の電源信号を送信する制御装置16と、アンテナ10の給電線12の途中に設けられ、制御装置16から入力された制御信号を変調した変調信号と電源信号を給電信号に重畳して出力するBSモデム2と、BSモデム2から入力された給電信号から変調信号と電源信号を分離し、変調信号を復調した制御信号と電源信号をAISGデバイス17に出力するアンテナモデム14とを備え、BSモデム2は、入力された電源信号からAISG規格にて規定される他の電圧の電源信号を生成するDC/DCコンバータ3を備え、生成した電源信号を給電信号に重畳して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AISG(Antenna Interface Standards Group)規格に準拠してアンテナの制御を行うアンテナ制御システム及びBSモデムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
移動通信用の無線基地局では、一般に、アンテナのチルト制御を遠隔制御により行えるようになっている。当初は、アンテナの制御方式としてメーカーごとに独自の方式を用いていたが、近年のLTE(Long Term Evolution)無線基地局などでは、アンテナの制御をAISG規格で行うことが多くなっている。AISG規格は、アンテナの基本的な相互運用を確実にすべく標準化された規格である(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
通常、無線基地局のアンテナや、アンテナの制御を行うRET(Remote Electrical Tilt)ユニットなどのAISGデバイス(AISG端末機器)は、鉄塔の上部やビルの屋上など高い位置に配置される。他方、アンテナに給電を行う無線機や、AISGデバイスを制御する制御装置(AISG制御装置)は、鉄塔の下部など低い位置に配置されるのが一般的である。ここで、制御装置は、AISGデバイスに制御信号(RS485規格信号)を送信し、AISGデバイスを制御してアンテナの制御を行うと共に、AISGデバイスに電源を供給するものである。
【0004】
アンテナと無線機とは同軸ケーブルからなる給電線(RF給電線)により接続され、AISGデバイスと制御装置とはAISG規格に準拠した制御ケーブル(AISG制御ケーブル)により接続されるので、例えばアンテナとAISGデバイスを鉄塔の上部に、無線機と制御装置を鉄塔の下部に配置する場合には、鉄塔の上部から下部にわたって、給電線と制御ケーブルの2本のケーブルが敷設されることになる。
【0005】
しかし、例えば数十mと高い鉄塔においては、鉄塔の上部から下部にわたってケーブルを敷設することは非常に手間がかかり、工事にかかるコストも高くなってしまう。この問題を解決するため、AISG規格では、コアキシャルインターフェイス(Coaxial Interface)またはモデムオプション(Modem Option)と呼ばれる方式(以下、コアキシャルインターフェイス方式と呼称する)が規定されている。
【0006】
図4に示すように、コアキシャルインターフェイス方式を用いたアンテナ制御システム41では、アンテナ10と無線機11とを接続する給電線12の途中に、BSモデム13とアンテナモデム14と呼ばれる2つのモデムを設け、これらBSモデム13とアンテナモデム14を使用して、給電線12を経由してAISGデバイス17用の制御信号や電源信号を伝送する。
【0007】
BSモデム13は、無線機11の近傍(例えば鉄塔の下部)に設けられ、制御ケーブル15を介して制御装置(AISG制御装置)16が接続される。アンテナモデム14は、アンテナ10の近傍(例えば鉄塔の上部)に設けられ、制御ケーブル15を介してAISGデバイス17が接続される。
【0008】
図5に示すように、BSモデム13では、制御装置16から入力AISGコネクタ21を介して入力された制御信号(RS485A,RS485B)を、モデム(モデム回路)22にて変調して変調信号を生成し、その変調信号と制御装置16から入力された電源信号とを合成回路23で合成し、その合成した信号(AISG信号という)をバイアスT回路(Bias Tee)24に出力する。バイアスT回路24は、直流遮断用のキャパシタ(容量素子)と交流遮断用のインダクタ(誘導素子)とを組み合わせて構成され、合成回路23から入力されたAISG信号を、無線機11から入力側RFコネクタ25を介して入力された給電信号(RF信号)に重畳して、出力側RFコネクタ26からアンテナ10側の給電線12に出力する。
【0009】
図6に示すように、従来のアンテナモデム14では、BSモデム13から入力側RFコネクタ31を介して入力された給電信号(AISG信号を重畳した給電信号)をバイアスT回路32に入力し、バイアスT回路32にて、給電信号からAISG信号を分離する。分離後の給電信号は、出力側RFコネクタ33から、アンテナ10側の給電線12に出力される。バイアスT回路32で分離されたAISG信号は、分離回路34にてさらに変調信号と電源信号とに分離され、分離された変調信号はモデム(モデム回路)35で復調されて制御信号に戻され、その復調された制御信号と、分離回路34で分離された電源信号とが、出力AISGコネクタ36を介してAISGデバイス17に出力される。
【0010】
BSモデム13のモデム22と、アンテナモデム14のモデム35としては、同じ構成のものを用いるのが一般的である。図7に示すように、モデム22,35は、RS485インターフェイス91に入力された制御信号(RS485規格信号)を、変調回路92で変調して変調信号を生成し、生成した変調信号を方向性結合器93から外部に出力するように構成されると共に、方向性結合器93に入力された変調信号を、復調回路94で復調して制御信号に戻し、RS485インターフェイス91から外部に出力するように構成されている。モデム22,35の電源回路95は、制御装置16から供給される電源を利用し、入力される電源電圧をモデム22,35用の電圧に変換して、RS485インターフェイス91、変調回路92、復調回路94に出力するように構成されている。
【0011】
このようなコアキシャルインターフェイス方式を採用することにより、鉄塔の上部から下部にわたって給電線12のみを敷設すればよいこととなり、工事費も含めたアンテナ制御システムのトータルコストを大幅に抑制することが可能になる。
【0012】
なお、コアキシャルインターフェイス方式のアンテナ制御システム41では、同軸ケーブルからなる給電線12を介して電源信号を伝送しており、同軸ケーブルは中心導体と外部導体の2つの導体しか備えていないので、1種類の電源しか伝送することができないという特徴がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特表2010−519804号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、表1に示すように、AISG規格では、+12V(1番)、−48V(2番)、10〜30V(6番)の3種類の電源が用意されている。なお、表1は、AISG規格にて規定されているコネクタのピン端子の番号(Pin Number)、各ピン端子で伝搬する信号(Signal)、必須接続(Mandatory)であるか任意接続(Optional)であるかという要求(Requirement)を示したものであり、8番のNCは無接続(No Connection)を意味している。
【0015】
【表1】

【0016】
しかしながら、従来のアンテナ制御システム41では、制御装置16からBSモデム13に入力された電源(例えば、必須接続である10〜30V電源)をそのままアンテナモデム14に伝送するしかなく、制御装置16が出力する電源以外の電源(例えば、任意接続の+12V電源や−48V電源)を使用するAISGデバイス17を使用することができないという問題があった。
【0017】
10〜30V電源は必須接続となっているため、現在では、10〜30V電源を使用するAISGデバイスが一般的となっているが、古いAISGデバイスでは+12V電源のみを使用するものもあり、また、電圧を大きくすれば小電流でも大電力を供給でき、制御ケーブル等での電圧降下を抑制して電力効率を向上できることから、将来的には、−48V電源を使用するAISGデバイスが増えると考えられる。よって、アンテナ制御システムの柔軟性や拡張性を高めるためにも、制御装置16が出力する電源と異なる電源を使用するAISGデバイス17であっても使用可能とすることが望まれる。
【0018】
本発明は、上記事情に鑑み為されたものであり、コアキシャルインターフェイス方式のアンテナ制御システムにおいて、制御装置が出力する電源以外の電源を使用することが可能なアンテナ制御システム及びBSモデムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイスと、前記AISGデバイスに制御信号を送信し、前記AISGデバイスを制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記AISGデバイスにAISG規格にて規定される一の電圧の電源信号を送信する制御装置と、前記アンテナと該アンテナに給電を行う無線機とを接続する給電線の途中に設けられると共に、前記制御装置が接続され、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成し、その変調信号と前記制御装置から入力された電源信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するBSモデムと、前記BSモデムよりも前記アンテナ側の前記給電線の途中に設けられると共に、前記AISGデバイスが接続され、前記BSモデムから入力された給電信号から変調信号と電源信号とを分離すると共に、変調信号を復調して制御信号に戻し、制御信号と電源信号を前記AISGデバイスに、分離後の給電信号を前記アンテナ側の前記給電線に出力するアンテナモデムと、を備えたアンテナ制御システムにおいて、前記BSモデムは、前記制御装置から入力された電源信号から、AISG規格にて規定される他の電圧の電源信号を生成するDC/DCコンバータを備え、前記DC/DCコンバータが生成した電源信号と変調信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するように構成されるアンテナ制御システムである。
【0020】
前記BSモデムは、前記DC/DCコンバータと、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成するモデムと、前記DC/DCコンバータで生成した電源信号と、前記モデムで生成した変調信号とを合成する合成回路と、前記合成回路で合成した信号を、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するバイアスT回路と、を備えてもよい。
【0021】
また、本発明は、AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイスと、前記AISGデバイスに制御信号を送信し、前記AISGデバイスを制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記AISGデバイスにAISG規格にて規定される一の電圧の電源信号を送信する制御装置と、前記アンテナと該アンテナに給電を行う無線機とを接続する給電線の途中に設けられると共に、前記AISGデバイスが接続され、入力された給電信号から変調信号と電源信号とを分離すると共に、変調信号を復調して制御信号に戻し、制御信号と電源信号を前記AISGデバイスに、分離後の給電信号を前記アンテナ側の前記給電線に出力するアンテナモデムと、を備えたアンテナ制御システムに用いられ、前記アンテナモデムよりも前記無線機側の前記給電線の途中に設けられると共に、前記制御装置が接続され、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成し、その変調信号と前記制御装置から入力された電源信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するBSモデムであって、前記制御装置から入力された電源信号から、AISG規格にて規定される他の電圧の電源信号を生成するDC/DCコンバータを備え、前記DC/DCコンバータが生成した電源信号と変調信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するように構成されるBSモデムである。
【0022】
前記DC/DCコンバータと、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成するモデムと、前記DC/DCコンバータで生成した電源信号と、前記モデムで生成した変調信号とを合成する合成回路と、前記合成回路で合成した信号を、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するバイアスT回路と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、制御装置が出力する電源以外の電源を使用することが可能なアンテナ制御システム及びBSモデムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は、本発明の一実施の形態に係るアンテナ制御システムの概略構成図であり、(b)はBSモデムの概略構成図である。
【図2】図1のアンテナ制御システムに用いる制御ケーブルの一例を示す横断面図である。
【図3】図1(b)のBSモデムの変形例を示す概略構成図である。
【図4】従来のアンテナ制御システムの概略構成図である。
【図5】図4の従来のアンテナ制御システムに用いる従来のBSモデムの概略構成図である。
【図6】図4の従来のアンテナ制御システムに用いるアンテナモデムの概略構成図である。
【図7】図5のBSモデム、図6のアンテナモデムに用いるモデム(モデム回路)の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0026】
図1(a)は、本実施の形態に係るアンテナ制御システムの概略構成図であり、図1(b)は、BSモデムの概略構成図である。
【0027】
図1(a)に示すように、アンテナ制御システム1は、AISG規格に準拠してアンテナ10の制御を行うAISGデバイス17と、AISGデバイス17に制御信号を送信し、AISGデバイス17を制御してアンテナ10の制御を行うと共に、AISGデバイス17にAISG規格にて規定される一の電圧の電源信号を送信する制御装置16と、アンテナ10とアンテナ10に給電を行う無線機11とを接続する給電線12の途中に設けられた本発明のBSモデム2と、BSモデム2よりもアンテナ10側の給電線12の途中に設けられたアンテナモデム14と、を備えている。
【0028】
ここでは、一例として、制御装置16が、必須接続である10〜30V電源を供給するものであり、AISGデバイス17が、−48V電源を使用するものである場合を説明する。
【0029】
BSモデム2は、制御装置16から入力AISGコネクタ(オスコネクタ)21を介して入力された制御信号を変調して変調信号を生成し、その変調信号と制御装置16から入力された電源信号とを合成した信号(AISG信号という)を、無線機11から入力側RFコネクタ25を介して入力された給電信号に重畳して、出力側RFコネクタ26から、アンテナ10側の給電線12に出力するものである。BSモデム2の詳細については後述する。入力AISGコネクタ21は、AISG規格に準拠した一般的なコネクタ(AISGコネクタ)であり、RFコネクタ25,26は、一般的な同軸ケーブル用のコネクタである。
【0030】
アンテナモデム14は、BSモデム2から入力側RFコネクタ31を介して入力された給電信号からAISG信号を分離すると共に、AISG信号を変調信号と電源信号とに分離し、変調信号を復調して制御信号に戻し、制御信号と電源信号を出力AISGコネクタ36からAISGデバイス17に、分離後の給電信号を出力側RFコネクタ33からアンテナ10側の給電線12に出力するものである。アンテナモデム14は、従来より用いられている一般的なアンテナモデムであり、図6で説明したものと同じものである。出力AISGコネクタ36は、AISG規格に準拠した一般的なコネクタ(AISGコネクタ)であり、RFコネクタ31,33は、一般的な同軸ケーブル用のコネクタである。
【0031】
BSモデム2は、無線機11の近傍(例えば鉄塔の下部)に設けられ、制御ケーブル15を介して制御装置16が接続される。アンテナモデム14は、アンテナ10の近傍(例えば鉄塔の上部)に設けられ、制御ケーブル15を介してAISGデバイス17が接続される。
【0032】
制御ケーブル15は、図2に示すように、制御信号を伝送する2本の制御信号線44と、電源を供給するための3本の電源線45とを備えている。2本の制御信号線44には、ドレインワイヤ46が縦添えされており、2本の制御信号線44とドレインワイヤ46の周囲には、これらを一括して取り囲むようにシールドテープ(金属テープ)47が設けられている。
【0033】
3本の電源線45は、異なる電圧が設定された2本の電源線45a,45cと、DCリターン用の電源線45bとからなる。ここでは、−48V電源を伝送する−48V線45aと10〜30V電源を伝送する10〜30V線45cを備える場合を示している。
【0034】
3本の電源線45は、介在48と共に2本の制御信号線44の周囲(シールドテープ47の周囲)に配置され、これらを一括して取り囲むように、シールドテープ49、編組シールド50、シース51が順次設けられている。
【0035】
なお、図2の制御ケーブル15は、あくまで一例として示したものであり、制御ケーブル15は、図2の構成に限定されるものではない。例えば、図1(a)のアンテナ制御システム1では、制御装置16とBSモデム2間に設けられる制御ケーブル15については、−48V線45aを使用しないので、−48V線45aを省略したものを用いることも可能である。
【0036】
図1(a)に戻り、制御ケーブル15の両端には、オスコネクタ15aとメスコネクタ15bがそれぞれ設けられている。また、制御装置16には出力コネクタ(メスコネクタ)16aが、AISGデバイス17には入力コネクタ(オスコネクタ)17aが設けられている。これらコネクタ15a,15b,16a,17aは、AISG規格に準拠した一般的なコネクタ(AISGコネクタ)である。なお、図示していないが、AISGデバイス17には、出力コネクタ(メスコネクタ)が設けられており、複数台のAISGデバイス17をデイジーチェーン接続できるようになっている。
【0037】
制御ケーブル15のオスコネクタ15aを制御装置16の出力コネクタ16aに接続し、その制御ケーブル15のメスコネクタ15bをBSモデム2の入力AISGコネクタ21に接続することで、制御装置16とBSモデム2とが制御ケーブル15を介して接続される。また、BSモデム2の入力側RFコネクタ25には、無線機11から延びる給電線12が接続され、これにより、無線機11とBSモデム2とが給電線12を介して接続される。
【0038】
さらに、制御ケーブル15のオスコネクタ15aをアンテナモデム14の出力AISGコネクタ36に接続し、その制御ケーブル15のメスコネクタ15bをAISGデバイス17の入力コネクタ17aに接続することで、アンテナモデム14とAISGデバイス17とが制御ケーブル15を介して接続される。また、アンテナモデム14の出力側RFコネクタ33には、アンテナ10に延びる給電線12が接続され、これにより、アンテナモデム14とアンテナ10とが給電線12を介して接続される。
【0039】
さらにまた、給電線12の一端をBSモデム2の出力側RFコネクタ26に接続し、その給電線12の他端をアンテナモデム14の入力側RFコネクタ31に接続することで、BSモデム2とアンテナモデム14とが給電線12を介して接続される。
【0040】
次に、BSモデム2について説明する。
【0041】
図1(b)に示すように、BSモデム2は、制御装置16から入力された電源信号から、AISG規格にて規定される他の電圧の電源信号を生成するDC/DCコンバータ3を備え、DC/DCコンバータ3が生成した電源信号と変調信号とを、無線機11から入力された給電信号に重畳して、アンテナ10側の給電線12に出力するように構成されている。
【0042】
より詳細には、BSモデム2は、制御装置16から入力AISGコネクタ21を介して入力された電源信号(ここでは10〜30V電源)から、AISG規格にて規定される他の電圧の電源信号(ここでは−48V電源)を生成するDC/DCコンバータ3と、制御装置16から入力AISGコネクタ21を介して入力された制御信号を変調して変調信号を生成するモデム(モデム回路)22と、DC/DCコンバータ3で生成した電源信号と、モデム22で生成した変調信号とを合成する合成回路23と、合成回路23で合成した信号(AISG信号という)を、無線機11から入力側RFコネクタ25を介して入力された給電信号に重畳して、出力側RFコネクタ26からアンテナ10側の給電線12に出力するバイアスT回路24と、を備えている。
【0043】
入力AISGコネクタ21の6番(10〜30V DC)のピン端子は、内部配線によりDC/DCコンバータ3の入力端子の正極に電気的に接続されると共に、モデム22の電源回路に電気的に接続され、モデム22に電源が供給されるようになっている。なお、モデム22は、図7で説明したものと同じものである。
【0044】
DC/DCコンバータ3の入力端子の負極と出力端子の正極は、図示していないが、内部配線により入力AISGコネクタ21の7番(DC return)のピン端子(つまりDCリターンライン)に電気的に接続される。DC/DCコンバータ3の出力端子の負極は、内部配線により合成回路23の電源信号の入力と電気的に接続される。
【0045】
入力AISGコネクタ21の3,5番(RS485A,RS485B)のピン端子は、内部配線によりモデム22の制御信号の入出力部(RS485インターフェイス)と電気的に接続され、モデム22の変調信号の入出力部(方向性結合器)は、内部配線により合成回路23の変調信号の入力と電気的に接続される。
【0046】
なお、本実施の形態では、AISGデバイス17として−48V電源を使用するものを用いているため、DC/DCコンバータ3として、10〜30V電源から−48V電源を生成するものを用いているが、AISGデバイス17として+12V電源を使用するものを用いる場合は、DC/DCコンバータ3として、10〜30V電源から+12V電源を生成するものを用いればよい。
【0047】
さらに、図3に示すように、入力AISGコネクタ21の近傍にサージ保護回路5を備え、雷サージなどのサージ電圧から内部回路(DC/DCコンバータ3やモデム22など)を保護するようにBSモデム2を構成してもよい。
【0048】
本実施の形態の作用を説明する。
【0049】
本実施の形態に係るアンテナ制御システム1では、BSモデム2に、制御装置16から入力された電源信号から、AISG規格にて規定される他の電圧の電源信号を生成するDC/DCコンバータ3を備え、DC/DCコンバータ3が生成した電源信号と変調信号とを、無線機11から入力された給電信号に重畳して、アンテナ10側の給電線12に出力するように構成している。
【0050】
従来、コアキシャルインターフェイス方式のアンテナ制御システムでは、制御装置16が出力する電源をそのまま伝送するしかなかったので、制御装置16が出力する電源以外の電源を使用するAISGデバイスを使用することができなかったが、本発明によれば、BSモデム2内にDC/DCコンバータ3を設けることにより、BSモデム2にて制御装置16から給電される電源電圧以外の電圧の電源を生成することが可能となり、アンテナモデム14の下流側(制御装置16と反対側)において、制御装置16が出力する電源以外の電源を使用することが可能となる。
【0051】
つまり、本発明によれば、AISG制御系(制御装置16)から給電される電源電圧以外の電源電圧を使用するAISGデバイス17を接続して使用することが可能となり、システムの柔軟性や拡張性を向上できる。
【0052】
本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【0053】
例えば、上記実施の形態では、10〜30V電源から−48V電源、あるいは+12V電源を生成して出力するようにBSモデム2を構成したが、これに限らず、制御装置16が出力する電源電圧と、AISGデバイス17が使用する電源電圧に応じて、−48V電源から10〜30V電源や+12V電源を生成して出力したり、あるいは、+12V電源から10〜30V電源や−48V電源を生成して出力するようにBSモデム2を構成することも当然に可能である。
【0054】
また、BSモデム2に、制御装置16から入力された電源信号(例えば10〜30V電源)から、AISG規格にて規定される他の電圧で、かつ異なる電圧の電源信号(例えば−48V電源と+12V電源)を生成する2台のDC/DCコンバータ3を設け、スイッチ素子等により、BSモデム2から出力する電源電圧を任意に切り替えられるように構成することも可能である。
【0055】
さらに、上記実施の形態では、無線機11と制御装置16とが別体となっている場合を説明したが、無線機11と制御装置16が一体となった無線機能付きの制御装置を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0056】
1 アンテナ制御システム
2 BSモデム
3 DC/DCコンバータ
10 アンテナ
11 無線機
12 給電線
14 アンテナモデム
15 制御ケーブル
16 制御装置
17 AISGデバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイスと、
前記AISGデバイスに制御信号を送信し、前記AISGデバイスを制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記AISGデバイスにAISG規格にて規定される一の電圧の電源信号を送信する制御装置と、
前記アンテナと該アンテナに給電を行う無線機とを接続する給電線の途中に設けられると共に、前記制御装置が接続され、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成し、その変調信号と前記制御装置から入力された電源信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するBSモデムと、
前記BSモデムよりも前記アンテナ側の前記給電線の途中に設けられると共に、前記AISGデバイスが接続され、前記BSモデムから入力された給電信号から変調信号と電源信号とを分離すると共に、変調信号を復調して制御信号に戻し、制御信号と電源信号を前記AISGデバイスに、分離後の給電信号を前記アンテナ側の前記給電線に出力するアンテナモデムと、
を備えたアンテナ制御システムにおいて、
前記BSモデムは、
前記制御装置から入力された電源信号から、AISG規格にて規定される他の電圧の電源信号を生成するDC/DCコンバータを備え、
前記DC/DCコンバータが生成した電源信号と変調信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するように構成される
ことを特徴とするアンテナ制御システム。
【請求項2】
前記BSモデムは、
前記DC/DCコンバータと、
前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成するモデムと、
前記DC/DCコンバータで生成した電源信号と、前記モデムで生成した変調信号とを合成する合成回路と、
前記合成回路で合成した信号を、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するバイアスT回路と、を備える
請求項1記載のアンテナ制御システム。
【請求項3】
AISG規格に準拠してアンテナの制御を行うAISGデバイスと、
前記AISGデバイスに制御信号を送信し、前記AISGデバイスを制御して前記アンテナの制御を行うと共に、前記AISGデバイスにAISG規格にて規定される一の電圧の電源信号を送信する制御装置と、
前記アンテナと該アンテナに給電を行う無線機とを接続する給電線の途中に設けられると共に、前記AISGデバイスが接続され、入力された給電信号から変調信号と電源信号とを分離すると共に、変調信号を復調して制御信号に戻し、制御信号と電源信号を前記AISGデバイスに、分離後の給電信号を前記アンテナ側の前記給電線に出力するアンテナモデムと、を備えたアンテナ制御システムに用いられ、
前記アンテナモデムよりも前記無線機側の前記給電線の途中に設けられると共に、前記制御装置が接続され、前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成し、その変調信号と前記制御装置から入力された電源信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するBSモデムであって、
前記制御装置から入力された電源信号から、AISG規格にて規定される他の電圧の電源信号を生成するDC/DCコンバータを備え、
前記DC/DCコンバータが生成した電源信号と変調信号とを、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するように構成される
ことを特徴とするBSモデム。
【請求項4】
前記DC/DCコンバータと、
前記制御装置から入力された制御信号を変調して変調信号を生成するモデムと、
前記DC/DCコンバータで生成した電源信号と、前記モデムで生成した変調信号とを合成する合成回路と、
前記合成回路で合成した信号を、前記無線機から入力された給電信号に重畳して、前記アンテナ側の前記給電線に出力するバイアスT回路と、を備える
請求項3記載のBSモデム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−26893(P2013−26893A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160895(P2011−160895)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】