説明

アンテナ装置および通信端末装置

【課題】給電コイルとアンテナコイルとの結合度が高く、RF信号の伝達効率に優れたアンテナ装置を得る。また、通信端末装置に容易に適用できるようにする。
【解決手段】アンテナ装置301は給電コイルル101とアンテナコイル201とで構成されている。給電コイル101は、板状の磁性体コア13およびその周囲を巻回する給電コイル12を備えている。給電コイル12の両端はRFICを含む給電回路に接続されている。アンテナコイル201は、フレキシブル基材21に形成されたアンテナコイル導体22および磁性体コア25を備えている。磁束MF1は給電コイル101の磁性体コア13およびアンテナコイル201の磁性体コア25を通る。磁束MF2はアンテナコイル201の磁性体コア25を通り、アンテナコイル導体22の内縁部を通り抜ける経路で周回することで、通信相手のアンテナと鎖交する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、相手側機器と電磁界信号を介して通信するRFID(Radio Frequency Identification)システムや短距離無線通信(NFC:Near Field Communication)システムに用いられるアンテナ装置および通信端末装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば特許文献1には、ブースターコイルを用いたRFIDタグが開示されている。図12はそのRFIDタグに備えられたブースターコイルとIC素子との配置を示す平面図である。このRFIDタグは、アンテナコイルが一体形成されたRFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)チップ2と、ブースターコイル3及び静電容量接続用の導体膜4a,4bが形成された絶縁部材6と、これらを一体にケーシングする基体とで構成されている。RFIC2には、矩形スパイラル状のアンテナコイルが一体に形成されていて、そのアンテナコイルが絶縁部材6のブースターコイル形成面側に向けて取り付けられている。
【0003】
絶縁部材6の裏面には、表面の導体膜4a,4bに対向する静電容量接続用の導体膜が形成される。この絶縁部材6の裏面側に形成された静電容量接続用の導体膜は導線を介して電気的に接続されている。
【0004】
RFICチップ2のアンテナコイルとブースターコイル3とは電磁界結合して、RFICチップ2とブースターコイル3との間で信号が伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−042083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図12に示したようなRFIDタグにおいては、アンテナコイルはRFICチップのサイズと近似したサイズ、ブースターコイルはそれよりも大きい例えばカードサイズであるため、両者のサイズが大きく異なる。そのため、アンテナコイルとブースターコイルとの結合度を高くすることが難しい。
【0007】
また、図12に示されるような、アンテナコイルが一体形成されたRFICチップをブースターコイルに重ねた構造は、ブースターコイルを備えたアンテナ装置とは別にRFICを設けた装置には適用できない。そのため、RFIDシステムや短距離無線通信(NFC)システムに用いられる通信端末装置に適用するためには設計上の自由度が低いという問題がある。
【0008】
本発明は、上述した実情に鑑み、給電コイルとアンテナコイルとの結合度が高く、RF信号の伝達効率に優れ、さらには通信端末装置に容易に適用できるようにしたアンテナ装置、およびそれを備えた通信端末装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明のアンテナ装置は、
給電コイルと、前記給電コイルに磁界を介して結合されるアンテナコイルとを備えるアンテナ装置であって、
前記アンテナコイルのコイル導体は内縁部および外縁部を有する渦巻き状に形成されていて、
前記アンテナコイルの、前記給電コイルが近接する面とは反対面側に、前記アンテナコイルのコイル導体の一部を覆うように第1の磁性体層が設けられていることを特徴としている。
【0010】
(2)前記第1の磁性体層は、前記アンテナコイルのコイル導体の内縁部から外縁部に亘って配置されていることが好ましい。
【0011】
(3)前記給電コイルのコイル導体の巻回軸は前記アンテナコイルのコイル導体の巻回軸に対してほぼ直交していて、
前記第1の磁性体層および前記給電コイルは、前記アンテナコイルのコイル導体の巻回軸方向からの平面視で前記給電コイルと前記第1の磁性体層とが重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0012】
(4)前記アンテナコイルの、前記給電コイルが近接する面側で、前記第1の磁性体層が重なる位置とは別の位置に、前記アンテナコイルのコイル導体の内縁部から外縁部に亘って、前記アンテナコイルのコイル導体の一部に沿って覆うように第2の磁性体層が配置されていることが好ましい。
【0013】
(5)前記アンテナコイルのコイル導体は、フレキシブル基材に形成された開口部の周囲に巻回された渦巻き状の導体パターンで構成されていて、
前記第1の磁性体層および第2の磁性体層は一体化されたシート状の磁性体層であって、前記フレキシブル基材の前記開口部に挿通されていることが好ましい。
【0014】
(6)本発明の通信端末装置は、
端末筐体の内面または表面に、磁界を介して給電コイルが結合されるアンテナコイルを備え、
前記アンテナコイルのコイル導体は内縁部および外縁部を有する渦巻き状に形成されていて、
前記アンテナコイルの、前記給電コイルが近接する側とは反対側に、前記アンテナコイルのコイル導体の一部に沿って覆うように第1の磁性体層が設けられていて、
前記給電コイルおよびこの給電コイルに接続された給電回路が前記筐体内に配置されていることを特徴としている。
【0015】
(7)(6)において、前記アンテナコイルの、前記給電コイルが近接する面側で、前記第1の磁性体層が重なる位置とは別の位置に、前記アンテナコイルのコイル導体の内縁部から外縁部に亘って、前記アンテナコイルのコイル導体の一部に沿って覆うように第2の磁性体層が配置され、
前記給電コイルが近接する面側の前記第2の磁性体層と近接する位置に金属物品が配置されていることが好ましい。
【0016】
(8)(7)において、前記アンテナコイルのコイル導体は、フレキシブル基材に形成された開口部の周囲に巻回された渦巻き状の導体パターンで構成されていて、
前記第1の磁性体層および第2の磁性体層は一体化されたシート状の磁性体層であって、前記フレキシブル基材の前記開口部に挿通されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、給電コイルとアンテナコイルとの結合度が高く、RF信号の伝達効率に優れたアンテナ装置が構成でき、さらには通信端末装置に容易に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は第1の実施形態に係るアンテナ装置301の分解斜視図である。
【図2】図2(A)はアンテナコイル201のフレキシブル基材およびそれに形成された導体パターンを示す図である。図2(B)はアンテナコイル201の平面図、図2(C)はアンテナコイル201の正面図である。
【図3】図3は、給電コイル101とアンテナコイル201との結合、およびアンテナコイル201と通信相手のアンテナとの結合について示す図である。
【図4】図4はアンテナ装置301を備えた通信端末装置の断面図である。
【図5】図5(A)〜(D)は第2の実施形態のアンテナ装置が備えるアンテナコイルの構成を示す図である。図5(A)は磁性体コアの図示を省略したアンテナコイルの平面図、図5(B)はフレキシブル基材21の上面に形成されたアンテナコイル導体22のパターンを示す図、図5(C)はフレキシブル基材21の下面に形成されたアンテナコイル導体23のパターンを示す図である。図5(D)はアンテナコイルの等価回路図である。
【図6】図6は第3の実施形態のアンテナ装置が備えるアンテナコイル203の構成を示す図である。
【図7】図7は、給電コイル101とアンテナコイル203との結合、およびアンテナコイル203と通信相手のアンテナとの結合について示す図である。
【図8】図8は第4の実施形態のアンテナ装置が備えるアンテナコイル204の構成を示す図である。
【図9】図9は、給電コイル101とアンテナコイル204との結合、およびアンテナコイル204と通信相手のアンテナとの結合について示す図である。
【図10】図10は第5の実施形態のアンテナ装置305の、給電コイル102とアンテナコイル202との結合、およびアンテナコイル202と通信相手のアンテナとの結合について示す図である。
【図11】図11は第6の実施形態の通信端末装置の断面図である。
【図12】図12は、特許文献1のRFIDタグに備えられたブースターコイルとIC素子との配置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
《第1の実施形態》
図1は第1の実施形態に係るアンテナ装置301の分解斜視図である。図1に示すアンテナ装置301は給電コイル101とアンテナコイル201とで構成されている。
【0020】
給電コイル101は、板状の磁性体コア13およびその周囲を巻回する給電コイル導体12を備えている。この給電コイル導体12の両端は、RFICを含む給電回路が接続される入出力端子14につながっている。給電コイル導体12および入出力端子14はフレキシブル基材に形成された導体パターンである。但し、図1ではフレキシブル基材の図示は省略している。
【0021】
図2(A)はアンテナコイル201のフレキシブル基材およびそれに形成された導体パターンを示す図である。図2(B)はアンテナコイル201の平面図、図2(C)はアンテナコイル201の正面図である。
【0022】
アンテナコイル201は、フレキシブル基材21に形成されたアンテナコイル導体22および磁性体コア25を備えている。フレキシブル基材21はポリイミドフィルムやPETフィルムなどであり、アンテナコイル導体22はフレキシブル基材21の第1主面に形成された、銅箔等の導体パターンである。
【0023】
アンテナコイル導体22は最も内周側の導体部分である内縁部および最も外周側の導体部分である外縁部を有する渦巻き状に形成されている。このアンテナコイル導体22の、給電コイル101が近接する面とは反対面側にアンテナコイル導体22の一部に沿って覆うように磁性体コア25が設けられている。但し、この第1の実施形態では、磁性体コア25の周囲にアンテナコイル導体22が巻回された構造となるように、磁性体コア25が延長されている。この磁性体コア25が本発明の「磁性体層」に相当する。
【0024】
前記アンテナコイル導体22は、図2(A)に示すように、フレキシブル基材21に形成された開口部24の周囲に巻回された渦巻き状の導体パターンで構成されている。但し、図1ではフレキシブル基材の図示は省略している。渦巻き状の導体パターンの内周端と外周端とは導通している。磁性体コア25は、フレキシブル基材の開口部を挿通するフェライトシート等のシート状の磁性体である。
【0025】
図3は、給電コイル101とアンテナコイル201との結合、およびアンテナコイル201と通信相手のアンテナとの結合について示す図である。
【0026】
給電コイル101はプリント配線板32に搭載されていて、アンテナコイル201は通信端末装置の筐体31の内面に、両面粘着シート等を介して貼付されている。
【0027】
給電コイル101の磁性体コア13を通る磁束MF1は、アンテナコイル201の磁性体コア25を通る。この磁性体コア25を通る磁束MF1はアンテナコイル導体22の内縁部を通り抜ける経路で周回する。このことにより、給電コイル101とアンテナコイル201とは磁界結合する。
【0028】
また、アンテナコイル201の磁性体コア25を通る磁束MF2は、アンテナコイル201のアンテナコイル導体22の内縁部を通り抜ける経路で周回する。この磁束MF2は通信相手のアンテナ(例えばループアンテナ)と結合する。このことにより、アンテナコイル201と通信相手のアンテナとは磁界結合する。
【0029】
図4はアンテナ装置301を備えた通信端末装置の断面図である。通信端末装置の筐体31内のプリント配線板32には給電コイル101以外にバッテリーパック33やその他の搭載部品34が搭載されている。筐体31の内面にはアンテナコイル201が貼付されている。
【0030】
アンテナコイル201の磁性体コア25は、給電コイル101が近接する部分(図4では磁性体コア25の右半分)については、アンテナコイル導体22を挟んで給電コイル101より遠い側に配置されている。また、磁性体コア25のうち、バッテリーパック33が近接する部分(図4では磁性体コア25の左半分)は、アンテナコイル導体22とバッテリーパック33との間に介在するように、磁性体コア25が配置されている。このように、アンテナコイル導体22とバッテリーパック33との間に磁性体コア25が介在していれば、磁性体コア25の磁気遮蔽作用により、アンテナコイル導体22を通る磁束がバッテリーパック33を通るのを防止できる。そのため、バッテリーパック33の金属材で渦電流が生じることがなく、損失が低減できる。しかも、バッテリーパックに近接する位置にアンテナコイル201を配置できるので、集積度が高まり、全体に小型化できる。
【0031】
このように、バッテリーパック33のような金属物品が近接する部分において、アンテナコイル導体22とバッテリーパック33との間に磁性体コア25を配置することにより、アンテナの損失が低減できるとともに、集積度が高い小型な通信端末装置が得られる。
【0032】
なお、金属物品としてはバッテリーパックに限らず、他の通信システムのアンテナ、メモリーカード、液晶ディスプレイ、金属ケース、半導体チップなど、金属の存在によりアンテナの磁界を打ち消すような渦電流が生じる可能性のある物品をすべて含み、そのような金属物品が近接している場合に同様の効果を奏する。
【0033】
なお、図4に示した例では、アンテナ装置301が通信端末装置の筐体31の下面CS1側に配置されているので、通信端末装置の下面を、リーダライターなどの通信相手のアンテナにかざすことによって通信が可能となる。また、アンテナ装置301が筐体31の後端CS3寄りの位置に配置されていて、且つ筐体31の下面から見てアンテナコイル導体22の背面に磁性体コア25が隠れるように磁性体コア25が配置されているので、アンテナコイル201の指向性は矢印D方向に向く。そのため、通信端末装置の筐体31の下面CS1の中央部を通信相手のアンテナの中央部に平行にかざした状態で高い利得が得られる。
【0034】
《第2の実施形態》
図5(A)〜(D)は第2の実施形態のアンテナ装置が備えるアンテナコイルの構成を示す図である。図5(A)はアンテナコイルの平面図である。但し、磁性体コアの図示は省略している。図5(B)はフレキシブル基材21の上面に形成されたアンテナコイル導体22のパターン、図5(C)はフレキシブル基材21の下面に形成されたアンテナコイル導体23のパターンをそれぞれ示している。このように、アンテナコイル導体22,23はフレキシブル基材21の開口部24の周囲に巻回された渦巻状の導体パターンである。アンテナコイル導体22とアンテナコイル導体23とは、互いの導体間に生じる浮遊容量、もしくは、フレキシブル基材21に設けられたビアホール(図示せず)による直接接続により電気的に接続されている。
【0035】
図5(D)はアンテナコイルの等価回路図である。ここでインダクタL22はアンテナコイル導体22のインダクタンスに相当するインダクタ、インダクタL23はアンテナコイル導体23のインダクタンスに相当するインダクタである。キャパシタC1,C2はアンテナコイル導体22,23の間に生じるキャパシタンスを集中定数回路的に表したキャパシタである。
【0036】
このようにして、アンテナコイル導体22,23によりLC共振回路が構成されている。この共振回路の共振周波数は通信信号の周波数に一致させておく。そのことにより、給電コイルと整合させ、また通信相手のアンテナと整合させることができる。
【0037】
なお、図5(A)に示したように、平面視で、上面のアンテナコイル導体22と下面のアンテナコイル導体23の導体パターンが互いに補間するように配置すれば、フレキシブル基材21を通り抜けようとする磁束が導体パターンで遮蔽されるので、開口部24に挿通される磁性体コアに対して磁束が有効に通る。そのため、給電コイルとの結合度および通信相手のアンテナとの結合度をそれぞれ高めることができる。
【0038】
《第3の実施形態》
図6は第3の実施形態のアンテナ装置が備えるアンテナコイル203の構成を示す図である。フレキシブル基材21の上面に渦巻き状のアンテナコイル導体22、下面に渦巻き状のアンテナコイル導体23がそれぞれ形成されている。アンテナコイル導体22の外周端はアンテナコイル導体23の外周端に導通していて、アンテナコイル導体22の内周端はアンテナコイル導体23の内周端に導通している。
【0039】
図7は、給電コイル101とアンテナコイル203との結合、およびアンテナコイル203と通信相手のアンテナとの結合について示す図である。
【0040】
アンテナコイル導体22,23の、給電コイル101が近接する面とは反対面側(すなわちアンテナコイル導体22の形成面側)に、アンテナコイル導体22,23の一部に沿って覆うように磁性体コア26が配置されている。また、この磁性体コア26はアンテナコイル導体22,23の内縁部から外縁部に亘って配置されている。
【0041】
給電コイル101の構成は第1の実施形態で示した給電コイル101と同じである。この給電コイル101とアンテナコイル203とでアンテナ装置303が構成される。
【0042】
給電コイル101はプリント配線板32に搭載されていて、アンテナコイル203は通信端末装置の筐体31の内面に貼付されている。
【0043】
給電コイル101の磁性体コア13を通る磁束MF1は、アンテナコイル203の磁性体コア26を通る。この磁性体コア26を通る磁束MF1はアンテナコイル導体22,23の内縁部を通り抜ける経路で周回する。このことにより、給電コイル101とアンテナコイル203とは磁界結合する。
【0044】
また、アンテナコイル203の磁性体コア26を通る磁束MF2は、アンテナコイル203のアンテナコイル導体22,23の内縁部を通り抜ける経路で周回する。この磁束MF2は通信相手のアンテナ(例えばループアンテナ)と結合する。このことにより、アンテナコイル203と通信相手のアンテナとは磁界結合する。
【0045】
なお、アンテナコイル導体はフレキシブル基材21の両面に形成された一対のコイル導体で構成されたものに限らず、フレキシブル基材の片面にのみ形成されたものでも同様に適用できる。
【0046】
《第4の実施形態》
図8は第4の実施形態のアンテナ装置が備えるアンテナコイル204の構成を示す図である。フレキシブル基材21の上面に渦巻き状のアンテナコイル導体22、下面に渦巻き状のアンテナコイル導体23がそれぞれ形成されている。アンテナコイル導体22の外周端はアンテナコイル導体23の外周端に導通していて、アンテナコイル導体22の内周端はアンテナコイル導体23の内周端に導通している。
【0047】
図9は、給電コイル101とアンテナコイル204との結合、およびアンテナコイル204と通信相手のアンテナとの結合について示す図である。
【0048】
アンテナコイル導体22,23の、給電コイル101が近接する面とは反対面側(すなわちアンテナコイル導体22の形成面側)に、アンテナコイル導体22,23の一部に沿って覆うように磁性体コア26が配置されている。また、アンテナコイル導体22,23の、給電コイル101が近接する面側(すなわちアンテナコイル導体23の形成面側)に、磁性体コア27が配置されている。磁性体コア26,27はアンテナコイル導体22,23の内縁部から外縁部に亘ってそれぞれ配置されている。
【0049】
給電コイル101の構成は第1の実施形態で示した給電コイル101と同じである。この給電コイル101とアンテナコイル204とでアンテナ装置304が構成される。
【0050】
給電コイル101はプリント配線板32に搭載されていて、アンテナコイル204は通信端末装置の筐体31の内面に貼付されている。
【0051】
給電コイル101の磁性体コア13を通る磁束MF1は、アンテナコイル204の磁性体コア26を通る。この磁性体コア26を通る磁束MF1はアンテナコイル導体22,23の内縁部を通り抜ける経路で周回する。このことにより、給電コイル101とアンテナコイル204とは磁界結合する。
【0052】
一方、アンテナコイル204の磁性体コア26,27を通る磁束MF2は、アンテナコイル204のアンテナコイル導体22,23の内縁部を通り抜ける経路で周回する。この磁束MF2は通信相手のアンテナ(例えばループアンテナ)と結合する。このことにより、アンテナコイル204と通信相手のアンテナとは磁界結合する。
【0053】
なお、アンテナコイル導体はフレキシブル基材21の両面に形成された一対のコイル導体で構成されたものに限らず、フレキシブル基材の片面にのみ形成されたものでも同様に適用できる。
【0054】
《第5の実施形態》
図10は第5の実施形態のアンテナ装置305の、給電コイル102とアンテナコイル202との結合、およびアンテナコイル202と通信相手のアンテナとの結合について示す図である。
【0055】
給電コイル102はプリント配線板32に搭載されていて、アンテナコイル201は通信端末装置の筐体31の内面に貼付されている。
【0056】
アンテナコイル導体22,23の、給電コイル102が近接する面とは反対面側(アンテナコイル導体22の形成面側)に、アンテナコイル導体22,23の一部に沿って覆うように磁性体コア26が配置されている。磁性体コア26はアンテナコイル導体22,23の内縁部から外縁部に亘って配置されている。
【0057】
給電コイル102は、フェライトによる直方体状の磁性体コア13の四側面に沿って給電コイル12が巻回されている。すなわちコイル巻回軸は、アンテナコイル導体22,23が形成する面に対して垂直の関係にある。そして、この給電コイル102は、平面視で、アンテナコイル導体22,23の内縁部で囲まれる位置に配置されている。そのため、給電コイル102の磁性体コア13を通る磁束MF1は、アンテナコイル202の磁性体コア26を通る。この磁性体コア26を通る磁束MF1はアンテナコイル導体22,23の内縁部を通り抜ける経路で周回する。このことにより、給電コイル102とアンテナコイル202とは磁界結合する。
【0058】
また、アンテナコイル202の磁性体コア26を通る磁束MF2は、アンテナコイル202のアンテナコイル導体22,23の内縁部を通り抜ける経路で周回する。この磁束MF2は通信相手のアンテナと結合する。このことにより、アンテナコイル202と通信相手のアンテナとは磁界結合する。
【0059】
なお、アンテナコイル導体はフレキシブル基材21の両面に形成された一対のコイル導体で構成されたものに限らず、フレキシブル基材の片面にのみ形成されたものでも同様に適用できる。
【0060】
このように、給電コイル12の巻回軸はアンテナコイル導体の成す面に対して垂直であってもよい。
【0061】
《第6の実施形態》
図11は第6の実施形態の通信端末装置の断面図である。通信端末装置の筐体31内のプリント配線板32には給電コイル101以外に金属物品であるバッテリーパック33やその他の搭載部品が搭載されている。筐体31の内面にはアンテナコイル201が貼付されている。給電コイル101とアンテナコイル201とで構成されるアンテナ装置301は第1の実施形態で示したものと同じである。
【0062】
図11に示した例では、アンテナ装置301が通信端末装置の筐体31の下面CS1側に配置されているので、通信端末装置の下面を、リーダライターなどの通信相手のアンテナにかざすことによって通信が可能となる。また、アンテナ装置301が筐体31の先端CS4寄りの位置に配置されていて、且つ筐体31の下面から見てアンテナコイル導体22の背面に磁性体コア25が隠れるように磁性体コア25が配置されているので、アンテナコイル201の指向性は矢印D方向に向く。そのため、通信端末装置の筐体31の先端CS4と下面CS1とで形成される稜を通信相手のアンテナの中央部にかざすことによって高い利得が得られる。
【0063】
《他の実施形態》
以上に示した各実施形態では、アンテナコイルを筐体の内面に貼付した例を示したが、アンテナコイルを筐体の表面(外面)に設けて、筐体内に給電コイルを配置してもよい。
【符号の説明】
【0064】
CS1…筐体の下面
CS3…筐体の後端
CS4…筐体の先端
MF1,MF2…磁束
12…給電コイル
13…磁性体コア
14…入出力端子
21…フレキシブル基材
22,23…アンテナコイル導体
24…開口部
25,26,27…磁性体コア
31…筐体
32…プリント配線板
33…バッテリーパック
34…搭載部品
101,102…給電コイル
201〜204…アンテナコイル
301,303〜305…アンテナ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電コイルと、前記給電コイルに磁界を介して結合されるアンテナコイルとを備えるアンテナ装置であって、
前記アンテナコイルのコイル導体は内縁部および外縁部を有する渦巻き状に形成されていて、
前記アンテナコイルの、前記給電コイルが近接する面とは反対面側に、前記アンテナコイルのコイル導体の一部を覆うように第1の磁性体層が設けられていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1の磁性体層は、前記アンテナコイルのコイル導体の内縁部から外縁部に亘って配置されている、請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記給電コイルのコイル導体の巻回軸は前記アンテナコイルのコイル導体の巻回軸に対してほぼ直交していて、
前記第1の磁性体層および前記給電コイルは、前記アンテナコイルのコイル導体の巻回軸方向からの平面視で前記給電コイルと前記第1の磁性体層とが重なる位置に配置されている、請求項1または2に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記アンテナコイルの、前記給電コイルが近接する面側で、前記第1の磁性体層が重なる位置とは別の位置に、前記アンテナコイルのコイル導体の内縁部から外縁部に亘って、前記アンテナコイルのコイル導体の一部に沿って覆うように第2の磁性体層が配置された、請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記アンテナコイルのコイル導体は、フレキシブル基材に形成された開口部の周囲に巻回された渦巻き状の導体パターンで構成されていて、
前記第1の磁性体層および第2の磁性体層は一体化されたシート状の磁性体層であって、前記フレキシブル基材の前記開口部に挿通される、請求項4に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
筐体の内面または表面に、磁界を介して給電コイルが結合されるアンテナコイルを備えた通信端末装置であって、
前記アンテナコイルのコイル導体は内縁部および外縁部を有する渦巻き状に形成されていて、
前記アンテナコイルの、前記給電コイルが近接する側とは反対側に、前記アンテナコイルのコイル導体の一部に沿って覆うように第1の磁性体層が設けられていて、
前記給電コイルおよびこの給電コイルに接続された給電回路が前記筐体内に配置されていることを特徴とする通信端末装置。
【請求項7】
前記アンテナコイルの、前記給電コイルが近接する面側で、前記第1の磁性体層が重なる位置とは別の位置に、前記アンテナコイルのコイル導体の内縁部から外縁部に亘って、前記アンテナコイルのコイル導体の一部に沿って覆うように第2の磁性体層が配置され、
前記給電コイルが近接する面側の前記第2の磁性体層と近接する位置に金属物品が配置されている、請求項6に記載の通信端末装置。
【請求項8】
前記アンテナコイルのコイル導体は、フレキシブル基材に形成された開口部の周囲に巻回された渦巻き状の導体パターンで構成されていて、
前記第1の磁性体層および第2の磁性体層は一体化されたシート状の磁性体層であって、前記フレキシブル基材の前記開口部に挿通される、請求項7に記載の通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−81072(P2013−81072A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−220043(P2011−220043)
【出願日】平成23年10月4日(2011.10.4)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】