説明

アンテナ装置及び受信装置

【課題】大型化を抑制しつつ異なる周波数帯域の受信を可能にするアンテナ装置及び受信装置を提供する。
【解決手段】携帯電話機は、アンテナを構成するアンテナ線A1,A2及びグランド線G1,G2と、チューナ部3と、チューナ部3が実装された基板4と、を有する。アンテナ線A1,A2は、チューナ部3の信号端子3aに接続され、グランド線G1,G2は、チューナ部3のグランド端子3gに接続されている。アンテナ線A1は、アンテナ線A2の長さよりも長い。そして、アンテナ線A1の長さとグランド線G1の長さとは互いに同一であり、また、アンテナ線A2の長さとグランド線G2の長さとは互いに同一である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等の携帯情報端末やパーソナルコンピュータ等の電子情報端末に用いられるアンテナ装置及び受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話機は、通話機能のみならず、技術の発達と共にメールやインターネット等の通信機能が付加されている。そして、その便利さや手軽さ等のため、携帯電話機は世界的に急速に普及している。
【0003】
そのような携帯電話機の普及に伴い、通話機能や通信機能以外の様々な機能を有する携帯電話機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1には、ラジオ放送又はテレビ放送を受信する機能を備える携帯電話機が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−101164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、地上波のUHF帯を使用して開始された地上デジタル放送が開始され、携帯情報端末で受信してもきれいな映像で視聴できるようになっている。このようにテレビ放送がデジタルに移行すると共に、ラジオ放送でも高品質音声及び各種のデータ放送を可能にする地上デジタルラジオ放送(地上デジタル音声放送)も開始される予定である。地上デジタルラジオ放送が本格的に開始されると、ユーザは携帯情報端末で視聴したいと希望することが予想され、更には、地上デジタル放送の視聴と地上デジタルラジオ放送の視聴を1つの携帯情報端末で行いたいというユーザの要望も予想される。
【0006】
しかしながら、地上デジタル放送の周波数帯域と地上デジタルラジオ放送の周波数帯域とでは異なるため、従来のアンテナ技術を用いると、1つの端末に、地上デジタル放送用の受信アンテナと地上デジタルラジオ放送用の受信アンテナを別々に設ける必要がある。この2本の外部アンテナは互いに異なる長さとなる。このため、装置の大型化や放送受信用外部アンテナを2本にすることによる外観デザイン処理の困難等の種々の問題が発生する。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、大型化を抑制しつつ異なる周波数帯域の受信を可能にするアンテナ装置及び受信装置を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、異なる周波数帯域を受信する機能を持たせても外観デザイン処理を容易にするアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明が適用されるアンテナ装置は、所定のアンテナ長を有する第1のアンテナ素子と、前記第1のアンテナ素子とは異なるアンテナ長を有する第2のアンテナ素子と、前記第1のアンテナ素子のアンテナ長と略同じ長さのグランド長を有する第1のグランドと、前記第2のアンテナ素子のアンテナ長と略同じ長さのグランド長を有する第2のグランドと、前記第1のアンテナ素子、前記第2のアンテナ素子、前記第1のグランド及び前記第2のグランドが接続されるチューナ部と、を含むものである。
【0009】
ここで、前記第2のアンテナ素子及び前記第2のグランドの同調周波数を変更する変更素子を更に含むことを特徴とすることができる。また、前記第2のアンテナ素子及び前記第2のグランドに設けられ、前記第1のアンテナ素子とは異なるアンテナ長を当該第1のアンテナ素子のアンテナの長さ寸法で実現する素子を更に含むことを特徴とすることができる。また、前記第1のアンテナ素子及び前記第2のアンテナ素子が互いに略平行に配置され、前記第1のグランド又は/及び前記第2のグランドが前記第1のアンテナ素子と略平行に配置されていることを特徴とすることができる。
【0010】
他の観点から捉えると、本発明が適用されるアンテナ装置は、所定の長さのケーブルが内蔵する複数の芯線の一部をアンテナ線として用いると共に当該複数の芯線の他の一部又は残余部を当該アンテナ線に対応するグランド線として用い、前記複数の芯線の一部又は全てにアンテナの共振周波数を変更する変更素子を接続することにより、アンテナ線として用いる芯線のアンテナ長を互いに異ならしめると共にグランド線として用いる芯線のグランド長を互いに異ならしめ、前記複数の芯線が受信した電波がチューナ部に入力されるようにアンテナ線及びグランド線として用いる当該複数の芯線が当該チューナ部に接続されることを特徴とするものである。
【0011】
ここで、前記変更素子は、短縮コンデンサ又は伸長コイルであることを特徴とすることができる。
【0012】
更に本発明を別の観点から捉えると、本発明が適用される受信装置は、チューナ部を有する装置本体と、前記チューナ部に接続され、所定のアンテナ長を有する第1のアンテナ素子と、前記チューナ部に接続され、前記第1のアンテナ素子とは異なるアンテナ長を有する第2のアンテナ素子と、前記チューナ部に接続され、前記第1のアンテナ素子のアンテナ長と略同じ長さのグランド長を有する第1のグランドと、前記チューナ部に接続され、前記第2のアンテナ素子のアンテナ長と略同じ長さのグランド長を有する第2のグランドと、を含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、大型化を抑制しつつ異なる周波数帯域の受信が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る携帯電話機1の外観を示す概略図である。
図1に示す携帯電話機(受信装置)1は、例えばFMラジオ放送や地上デジタル放送、デジタルラジオ放送等の所望の電波放送を受信して視聴する機能(アンテナ装置)を有する。すなわち、携帯電話機1は、電波放送を受信するためのアンテナ(ロッドアンテナ)2と、アンテナ2に接続され、アンテナ2で受信した電波放送を視聴するためのチューナ部3(図2参照)と、を有する。このように、携帯電話機1は、アンテナ2で受信した電波がチューナ部3(図2参照)に入力されるように構成されている。なお、アンテナ2として、1/4波長アンテナを用いている。
【0015】
付言すると、携帯電話機1は、図示しない内部メモリ又は外部メモリに、例えばMP3形式の所定のデータ形式で予め記録された音楽を再生する音楽再生機能を有する。ここにいう外部メモリとは、携帯電話機1に脱着可能に装着できる記憶媒体をいい、例えばSDメモリカード等をいう。また、携帯電話機1は、図示しないイヤホンが接続される図示しないジャックを有する。
【0016】
アンテナ2は、携帯電話機1の本体(装置本体)11に一端部が軸支されている。すなわち、ユーザは携帯電話機1に対してアンテナ2の姿勢を変えることができる。このため、ユーザは、携帯電話機1を例えば手に持った状態でアンテナ2の向きを変えることで、アンテナ2の指向特性を電波の到来方向に合致させて受信状態が最適となるようにすることができる。なお、携帯電話機1の本体11は、アンテナ2を収容できるように外形形状が形成されている。また、多段式伸縮アンテナを用いることも考えられる。
【0017】
なお、本実施の形態では、本発明を携帯電話機1に適用する場合について説明したが、他の端末例えばパーソナルコンピュータにも適用することが考えられる。また、パーソナルコンピュータのUSB(Universal Serial Bus)コネクタに接続可能な機器にも適用することが考えられる。
【0018】
〔第1の実施の形態〕
図2の(a)及び(b)は、第1の実施の形態に係る携帯電話機1の要部を説明するための概略構成図である。
携帯電話機1(図1参照)は、図2の(a)に示すように、アンテナ2の一部を構成するアンテナ線(第1のアンテナ素子)A1、アンテナ線(第2のアンテナ素子)A2、グランド線(第1のグランド)G1及びグランド線(第2のグランド)G2を有する。また、携帯電話機1(図1参照)は、チューナ部3が実装された基板4を有する。
【0019】
そして、複数のアンテナ線A1,A2は、チューナ部3の信号端子3aに接続され、複数のグランド線G1,G2は、チューナ部3のグランド端子3gに接続されている。すなわち、複数のアンテナ線A1,A2は、信号端子3aを介してチューナ部3に直結されており、また、複数のグランド線G1,G2は、グランド端子3gを介してチューナ部3に直結されている。なお、グランド線G1又はグランド線G2を本体に接地させて構成することも考えられる。
【0020】
複数のアンテナ線A1,A2及び複数のグランド線G1,G2は、互いに平行に配置されている。そして、これらのアンテナ線A1,A2及びグランド線G1,G2は、束ねられてアンテナ2(図1参照)を構成する。
ここで、通常ではアンテナ線とグランド線とを広げた状態で使用する。広げた状態では、単峰特性が得られ、必要なゲイン特性を得る。その一方で、本実施の形態のように、アンテナ線A1,A2とグランド線G1,G2とを互いに平行な状態で使用すると、アンテナ2(図1参照)をコンパクトに構成することができる反面、ゲイン特性が狭くなり、帯域が狭くなる。そこで、アンテナ線A1,A2及びグランド線G1,G2として、アンテナの共振周波数を互いに少しずらしたものを用い、それら複数本をチューナ部3に接続することで、広い帯域にすることができる。
【0021】
図2の(b)に示す等価回路において、アンテナ線A1とアンテナ線A2とは互いにアンテナ長(電気的長さ)が異なり、かつ、長さ寸法(機械的長さ、物理的長さ)も異なる。すなわち、アンテナ線A1のアンテナ長は、アンテナ線A2のアンテナ長よりも長い。また、アンテナ線A1の長さ寸法は、アンテナ線A2の長さ寸法よりも長い。
【0022】
また、アンテナ線A1のアンテナ長とグランド線G1のグランド長(電気的長さ)とは互いに略同一であり、かつ、アンテナ線A1の長さ寸法とグランド線G1の長さ寸法とは互いに略同一である。
また、アンテナ線A2のアンテナ長とグランド線G2のグランド長とは互いに略同一であり、かつ、アンテナ線A2の長さ寸法とグランド線G2の長さ寸法とは互いに略同一である。
【0023】
図3の(a)及び(b)は、第1の実施の形態に係る携帯電話機1におけるアンテナ2の特性を説明するためのグラフである。具体的には、(a)の横軸は周波数(f)であり、縦軸はゲイン(GAIN)である。また、(b)の横軸は周波数(f)であり、縦軸はインピーダンス(Z)である。
互いにアンテナ長が異なるアンテナ線A1,A2及び互いにグランド長が異なるグランド線G1,G2を用いることにより、図3の(a)及び(b)に示すように、2つの中心周波数f1,f2を備えている。すなわち、中心周波数f1は、アンテナ線A1及びグランド線G1によるものであり、中心周波数f2は、アンテナ線A2及びグランド線G2によるものである。したがって、アンテナ2は、周波数帯域を2つ備えていると言うことができる。すなわち、アンテナ2は、マルチバンドアンテナということができる。
【0024】
図4は、本実施の形態の変形例におけるアンテナ2の構成を説明するための概略構成図である。
図4に示す変形例では、アンテナ2を構成するアンテナ線A1,A2,A3及びグランド線G1,G2,G3を有する。そして、複数のアンテナ線A1,A2,A3の各々は、チューナ部3の信号端子3aに接続され、複数のグランド線G1,G2,G3の各々は、チューナ部3のグランド端子3gに接続されている。
アンテナ線A1,A2,A3は、アンテナ長及び長さ寸法が互いに異なる。すなわち、アンテナ線A2のアンテナ長は、アンテナ線A1のアンテナ長よりも短く、かつ、アンテナ線A3のアンテナ長よりも長い。また、アンテナ線A2の長さ寸法は、アンテナ線A1の長さ寸法よりも短く、かつ、アンテナ線A3の長さ寸法よりも長い。
【0025】
そして、グランド線G1のグランド長は、アンテナ線A1のグランド長と略同一であり、かつ、グランド線G1の長さ寸法は、アンテナ線A1の長さ寸法と略同一である。また、グランド線G2のグランド長は、アンテナ線A2のグランド長と略同一であり、かつ、グランド線G2の長さ寸法は、アンテナ線A2の長さ寸法と略同一である。また、グランド線G3のグランド長は、アンテナ線A3のグランド長と略同一であり、かつ、グランド線G3の長さ寸法は、アンテナ線A3の長さ寸法と略同一である。
【0026】
このように変形例では、1つのチューナ部3に、互いにアンテナ長の異なる複数のアンテナ線A1,A2,A3を直結すると共に複数のアンテナ線A1,A2,A3の数と同じ数のグランド線G1,G2,G3を直結することにより、アンテナ2を構成している。そして、複数のグランド線G1,G2,G3のグランド長は、対応する複数のアンテナ線A1,A2,A3のアンテナ長と略同一である。
【0027】
図5の(a)及び(b)は、図4に示す変形例におけるアンテナ2の特性を説明するためのグラフである。具体的には、(a)の横軸は周波数(f)であり、縦軸はゲイン(GAIN)である。また、(b)の横軸は周波数(f)であり、縦軸はインピーダンス(Z)である。
互いにアンテナ長が異なるアンテナ線A1,A2,A3及び互いにグランド長が異なるグランド線G1,G2,G3を用いることにより、図5の(a)及び(b)に示すように、3つの中心周波数f1,f2,f3を備えている。すなわち、中心周波数f1は、アンテナ線A1及びグランド線G1によるものであり、中心周波数f2は、アンテナ線A2及びグランド線G2によるものであり、中心周波数f3は、アンテナ線A3及びグランド線G3によるものである。したがって、アンテナ2は、周波数帯域を3つ備えたマルチバンドアンテナということができる。
【0028】
ここで、中心周波数f2と中心周波数f3との差は、中心周波数f1と中心周波数f2との差よりも小さい。例えば、アンテナ線及びグランド線の数を更に増やし、各々の中心周波数が近くなるように構成することにより、受信可能な周波数帯域を広帯域化することが可能になる。後述する図6に示すように、デジタルラジオ帯域は比較的狭いものの、地デジ帯域は比較的広い。このため、上述したような広帯域化することで、地デジ帯域の全範囲にわたる受信が可能になる。なお、アンテナ線(グランド線)の数やアンテナ長(グランド長)の数値は、具体的に要求されるアンテナ特性に応じて決定することができる。
【0029】
図6の(a)及び(b)は、本実施の形態のアンテナ2の受信感度を説明するグラフである。具体的には、図6の(a)は、12cmの送信アンテナで飛ばした時の振幅特性を示すものであり、縦軸は、受信した電波をスペクトラムアナライザで測定したスペアナレベル(dB)、横軸は周波数(MHz)である。また、図6の(b)は、VSWR(Voltage Standing Wave Ratio)特性を示すものであり、縦軸はVSWR値、横軸は周波数(MHz)である。
図6の(a)及び(b)における実線は、アンテナ線A1,A2及びグランド線G1,G2で構成されたアンテナ2の受信感度を示したものであり、破線は、12cmのアンテナによる理想アンテナの受信感度を示したものである。
ここで、デジタルラジオ放送の周波数帯域(デジタルラジオ帯域)は、例えば188MHz〜198MHzであり、その場合には中心周波数fc=192MHzである。また、地上デジタル放送の周波数帯域(地デジ帯域)は、470MHz〜770MHz(アナログTV13〜62CH)である。
【0030】
本実施の形態のアンテナ2は、図6の(a)に示すように、デジタルラジオ帯域及び地デジ帯域で理想アンテナとほぼ同等かそれを超えた振幅特性を示している。とりわけ、複数のアンテナ素子及び複数のグランド線を用い、その各々のアンテナの共振周波数を少しずつずらすようにすることにより、地デジ帯域で台形形状になっており、帯域が広くなっている。また、本実施の形態のアンテナ2は、図6の(b)に示すように、デジタルラジオ帯域で理想アンテナよりも優れたVSWR特性を有している。また、地デジ帯域においても、理想アンテナよりも優れたVSWR特性を有する区間がある。
【0031】
このように、本実施の形態では、1つのアンテナで複数のバンドを受信することができる。このため、地上デジタル放送用の受信アンテナと地上デジタルラジオ放送用の受信アンテナを別々に設ける必要がない。更に説明すると、2つの放送受信用アンテナのうち一方を従来から提案されているイヤホンアンテナにすることも考えられる。すなわち、イヤホン(ヘッドホン)のケーブルを外部アンテナとして用いる技術を応用して、いずれか一方のアンテナをイヤホンアンテナとすることも考えられる。しかしながら、地上デジタル放送の映像だけを見たいときや地上デジタルラジオ放送のデータ放送だけを見たいときにも、イヤホンアンテナを携帯情報端末や電子情報端末等に接続する必要があり、ユーザにとっては煩雑である。この観点からすると、本実施の形態に係るアンテナ装置ないしは受信装置は、イヤホンアンテナを用いなくとも2つの放送受信用アンテナを構成することができるので、ユーザにとって使い勝手の良いものということができる。
【0032】
〔第2の実施の形態〕
図7は、第2の実施の形態に係る携帯電話機1(図1参照)の要部を説明するための概略構成図である。
図7に示すように、アンテナ2の一部を構成するアンテナ線(アンテナ素子)AA1,AA2及びグランド線GG1,GG2と、チューナ部3と、を有する。複数のアンテナ線AA1,AA2は、チューナ部3の信号端子3aに接続され、複数のグランド線GG1,GG2は、チューナ部3のグランド端子3gに接続されている。
そして、アンテナ線AA1の長さ寸法とアンテナ線AA2の長さ寸法とは互いに略同一である。また、グランド線GG1の長さ寸法とグランド線GG2の長さ寸法とは互いに略同一である。
【0033】
ここで、アンテナ線AA1には変更素子(素子)La1が設けられ(接続され)、アンテナ線AA2には変更素子La2が設けられている。また、グランド線GG1には変更素子Lg1が設けられ、グランド線GG2には変更素子Lg2が設けられている。これら変更素子La1,La2,Lg1,Lg2の作用により、後述するように、アンテナ線AA1とアンテナ線AA2は長さ寸法が略同一であるにもかかわらずアンテナ長が互いに異なり、また、グランド線GG1とグランド線GG2は長さ寸法が略同一であるにもかかわらずグランド長が互いに異なる。
【0034】
変更素子La1,La2,Lg1,Lg2の作用について説明する。これら変更素子La1,La2,Lg1,Lg2は、同調周波数を変更する素子ないしはアンテナの共振周波数を変更する素子である。この変更素子La1,La2,Lg1,Lg2としては、例えば、伸長コイルとしてのローディングコイル(チップインダクタ)や短縮コンデンサを用いることができる。このローディングコイルは、同調周波数ないしはアンテナの共振周波数を下げるための素子であり、中心周波数fcを下げる作用をする。また、短縮コンデンサは、同調周波数ないしはアンテナの共振周波数を上げるための素子であり、中心周波数fcを上げる作用をする。したがって、例えば、変更素子La1としてローディングコイルをアンテナ線AA1に用いると、アンテナ線AA1のアンテナ長が長くなり、その結果として、アンテナ線AA1の長さ寸法を短くすることができる。また、例えば、変更素子La2として短縮コンデンサをアンテナ線AA2に用いると、アンテナ線AA2のアンテナ長が短くなり、その結果として、アンテナ線AA2の長さ寸法を長くすることができる。
【0035】
更に説明すると、用いる変更素子La1,La2,Lg1,Lg2について、具体的に要求されるアンテナ長及びグランド長を満足すると共にアンテナ線AA1,AA2及びグランド線GG1,GG2の長さ寸法が揃うように、決定することができる。言い換えると、変更素子La1,La2,Lg1,Lg2を適宜組み合わせることで、互いに異なるアンテナ長及びグランド長を同じ長さ寸法で実現することが可能になる。当然ながら、求められるアンテナ特性によっては、変更素子La1,La2,Lg1,Lg2の一部に伸長コイルを用い、他部に短縮コンデンサを用いることも考えられる。
【0036】
また、本実施の形態では、アンテナ線AA1,AA2の長さ寸法及びグランド線GG1,GG2の長さ寸法を揃えるために、アンテナ線AA1,AA2及びグランド線GG1,GG2に変更素子La1,La2,Lg1,Lg2を設けているが、要求されるアンテナ特性によっては、その一部のみ例えばアンテナ線AA1及びグランド線GG1にのみ変更素子La1,Lg1を設け、アンテナ線AA2及びグランド線GG2には変更素子La2,Lg2を設ける必要がない場合も考えられる。
【0037】
図8は、アンテナ2及びチューナ部3の構成を説明するための図である。
図8に示すように、アンテナ2は、カバー部材2aを備えており、このカバー部材2aの内部に、4本の芯線を内蔵するケーブル6が入れられている。このケーブル6は所定の長さに切断された後に、その一端部の被覆が外されて4本の芯線が露出している。4本の芯線は略同じ長さである。4本の芯線の一部がアンテナ線AA1,AA2として用いられ、また、その残余部がグランド線GG1,GG2として用いられている。
【0038】
基板5には、変更素子La1,La2,Lg1,Lg2が取り付けられている。アンテナ線AA1は基板5の変更素子La1に接続され、アンテナ線AA2は基板5の変更素子La2に接続されている。そして、基板5に設けられた信号端子5aにアンテナ線AA1,AA2が接続されている。
また、グランド線GG1は基板5の変更素子Lg1に接続され、グランド線GG2は基板5の変更素子Lg2に接続されている。そして、基板5に設けられたグランド端子5gにグランド線GG1,GG2が接続されている。
【0039】
基板5の信号端子5aがチューナ部3の信号端子3aと線材で互いに接続され、また、基板5のグランド端子5gがチューナ部3のグランド端子3gと線材で互いに接続されている。なお、アンテナ2の直径としては3mmで、長さが例えば40mmとすることが考えられる。
【0040】
図8に示す構成を採用すると、複数の芯線を内蔵するケーブル6を用いてアンテナ2を製造することができるので、製造が容易になり、コストを低減できる。なお、本実施の形態では、4本の芯線を内蔵するケーブル6を用いているが、4本よりも多い数の芯線を内蔵するケーブル6を用いることも可能である。
【0041】
図9は、図8とは別のアンテナ2及びチューナ部3の構成を説明するための図である。
図9に示す構成は、図8に示す構成と多くが共通する。すなわち、アンテナ2のカバー部材2aの内部には、4本の芯線を内蔵するケーブル6が入れられている。このケーブル6は、所定の長さに切断された後に、その一端部の被覆が外されている。そして、4本の芯線のうち3本の芯線が露出しており、残りの1本の芯線は切断されている。露出している3本の芯線は略同じ長さである。4本の芯線の一部がアンテナ線AA1,AA2として用いられ、他の一部がグランド線GG2として用いられている。すなわち、ケーブル6が内蔵する4本の芯線のすべてを用いていない。
【0042】
図9に示す構成では、2本のグランド線GG1,GG2のうちグランド線GG2は、ケーブル6の芯線を利用しているが、もう一方のグランド線GG1は、ケーブル6の芯線を利用せず、代わりに、基板5に設けられたパターンを利用している。このことは、ケーブル6の芯線の数が偶数ではなく奇数の場合であっても対応できることを意味する。また、ケーブル6の芯線のすべてを必ずしも利用しなくてもよいということを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施の形態に係る携帯電話機の外観を示す概略図である。
【図2】第1の実施の形態に係る携帯電話機の要部を説明するための概略構成図である。
【図3】第1の実施の形態に係る携帯電話機におけるアンテナの特性を説明するためのグラフであり、(a)の横軸は周波数(f)、縦軸はゲイン(GAIN)であり、(b)の横軸は周波数(f)、縦軸はインピーダンス(Z)である。
【図4】第1の実施の形態の変形例におけるアンテナの構成を説明するための概略構成図である。
【図5】図4に示す変形例におけるアンテナの特性を説明するためのグラフであり、(a)の横軸は周波数(f)、縦軸はゲイン(GAIN)であり、(b)の横軸は周波数(f)、縦軸はインピーダンス(Z)である。
【図6】第1の実施の形態のアンテナの受信感度を説明するグラフであり、縦軸は、スペアナレベル(dB)、横軸は周波数(MHz)であり、(b)は、縦軸はVSWR値、横軸は周波数(MHz)である。
【図7】第2の実施の形態に係る携帯電話機の要部を説明するための概略構成図である。
【図8】アンテナ及びチューナ部の構成を説明するための図である。
【図9】図8とは別のアンテナ及びチューナ部の構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0044】
1…携帯電話機、11…本体、2…アンテナ、2a…カバー部材、3…チューナ部、3a,5a…信号端子、3g,5g…グランド端子、4,5…基板、6…ケーブル、A1,A2,A3,AA1,AA2…アンテナ線、G1,G2,G3,GG1,GG2…グランド線、La1,La2,Lg1,Lg2…変更素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のアンテナ長を有する第1のアンテナ素子と、
前記第1のアンテナ素子とは異なるアンテナ長を有する第2のアンテナ素子と、
前記第1のアンテナ素子のアンテナ長と略同じ長さのグランド長を有する第1のグランドと、
前記第2のアンテナ素子のアンテナ長と略同じ長さのグランド長を有する第2のグランドと、
前記第1のアンテナ素子、前記第2のアンテナ素子、前記第1のグランド及び前記第2のグランドが接続されるチューナ部と、
を含むアンテナ装置。
【請求項2】
前記第2のアンテナ素子及び前記第2のグランドの同調周波数を変更する変更素子を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記第2のアンテナ素子及び前記第2のグランドに設けられ、前記第1のアンテナ素子とは異なるアンテナ長を当該第1のアンテナ素子のアンテナの長さ寸法で実現する素子を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1のアンテナ素子及び前記第2のアンテナ素子が互いに略平行に配置され、
前記第1のグランド又は/及び前記第2のグランドが前記第1のアンテナ素子と略平行に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
所定の長さのケーブルが内蔵する複数の芯線の一部をアンテナ線として用いると共に当該複数の芯線の他の一部又は残余部を当該アンテナ線に対応するグランド線として用い、
前記複数の芯線の一部又は全てにアンテナの共振周波数を変更する変更素子を接続することにより、アンテナ線として用いる芯線のアンテナ長を互いに異ならしめると共にグランド線として用いる芯線のグランド長を互いに異ならしめ、
前記複数の芯線が受信した電波がチューナ部に入力されるようにアンテナ線及びグランド線として用いる当該複数の芯線が当該チューナ部に接続されることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
前記変更素子は、短縮コンデンサ又は伸長コイルであることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
チューナ部を有する装置本体と、
前記チューナ部に接続され、所定のアンテナ長を有する第1のアンテナ素子と、
前記チューナ部に接続され、前記第1のアンテナ素子とは異なるアンテナ長を有する第2のアンテナ素子と、
前記チューナ部に接続され、前記第1のアンテナ素子のアンテナ長と略同じ長さのグランド長を有する第1のグランドと、
前記チューナ部に接続され、前記第2のアンテナ素子のアンテナ長と略同じ長さのグランド長を有する第2のグランドと、
を含む受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−172295(P2008−172295A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−800(P2007−800)
【出願日】平成19年1月5日(2007.1.5)
【出願人】(504259030)株式会社エーディープラン (21)
【Fターム(参考)】