説明

アンテナ装置

【課題】誘電体18の中央の空きスペースに組み込んだ電子回路22から外部への信号路の構成が簡単なアンテナ装置12を提供する。
【解決手段】導電体ベース10の上に、中央に空きスペースを設けて誘電体18を配設し、その上側に放射電極20を配設する。空きスペースから誘電体18の外側にまで至る誘電体基板16を導電体ベース10の上に配設する。誘電体基板16の上面で空きスペースの部分に電子回路22を搭載し、この電子回路22をシールドする第1のシールドカバー24を配設する。誘電体基板16の下面で電子回路22から誘電体18の外側に至る部分に第1の導電パターン16dを設け、その一端部と電子回路22を電気的接続し、その他端部を誘電体18の外側の部分で誘電体基板16の上面に配設した同軸ケーブル26の中心導体26aに電気的接続し、中心導体26aを電気的接続させた部分をシールドする第2のシールドカバー28を配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路を組み込んだ平面型のアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
平面型のアンテナ装置にあっては、誘電体基板の上面に誘電体を配設し、この誘電体の上面で支持するように放射電極が設けられ、誘電体基板の下面に電子回路が搭載され、この電子回路をシールドするようにシールドカバーが誘電体基板の下面に設けられていた。かかる構成のアンテナにあっては、誘電体と電子回路が誘電体基板の上面と下面にそれぞれ設けられるために、その上下方向の寸法が大きなものとなる。そこで、誘電体を環状に形成してその中央部に空きスペースを設け、この空きスペースに電子回路を組み込み、上下方向の寸法が従来より小さくなるようにした技術が、実開平5−70013号公報で提案されている。誘電体基板の上面に、誘電体を配設するとともに電子回路を搭載することができ、小型化に好適である。
【特許文献1】実開平5−70013号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の特許文献1で提案された技術にあっては、誘電体の中央部に設けられた空きスペースに組み込まれた電子回路から外部に信号を引き出すための信号路が、ケーブル状のもので構成されており、このケーブル状のものを絶縁状態で誘電体の外部まで引き出すために絶縁碍子が使用されている。かかる構造は、部品点数の多いものであった。
【0004】
そこで、本発明は、上述のごとき事情に鑑みてなされたもので、誘電体の中央部に設けられた空きスペースに組み込まれた電子回路から外部に信号を引き出すための信号路を、電子回路が搭載された誘電体基板を用いて構成することで、部品点数の少ない構造としたアンテナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる目的を達成するために、本発明のアンテナ装置は、導電体ベースの上に、中央に空きスペースを設けてこれを囲むように誘電体を配設し、前記空きスペースの上側を覆うように前記誘電体の上面で支持させて放射電極を配設し、前記空きスペースから前記誘電体の外側にまで至る誘電体基板を前記導電体ベースの上に配設し、前記誘電体基板の上面で前記空きスペースの部分に電子回路を搭載するとともに前記誘電体基板の上面に前記電子回路をシールドする第1のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面で前記電子回路から前記誘電体の外側に至る部分に第1の導電パターンを設け、前記第1の導電パターンの一端部と前記電子回路を第1のスルーホールを介して電気的接続し、前記誘電体の外側の部分で前記第1の導電パターンの他端部を前記誘電体基板の上面に配設された同軸ケーブルの中心導体に第2のスルーホールを介して電気的接続し、前記誘電体基板の上面に前記中心導体と前記第2のスルーホールを電気的接続させた部分をシールドする第2のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面の前記第1の導電パターンと前記第1と第2のスルーホールの前記下面の部分を前記導電体ベースと電気的に絶縁して構成されている。
【0006】
また、導電体ベースの上に、中央に空きスペースを設けてこれを囲むように誘電体を配設し、前記空きスペースの上側を覆うように前記誘電体の上面で支持させて放射電極を配設し、前記空きスペースから前記誘電体の外側にまで至る誘電体基板を前記導電体ベースの上に間隔を設けて配設し、前記誘電体基板の上面全体にGND電極を配設し、前記誘電体基板の下面で前記空きスペースの部分に電子回路を搭載するとともに前記誘電体基板の下面に前記電子回路をシールドする第1のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面で前記電子回路から前記誘電体の外側に至る部分に第1の導電パターンを設け、前記第1の導電パターンの一端部と前記電子回路を電気的接続し、前記誘電体の外側の部分で前記第1の導電パターンの他端部を前記誘電体基板の下面に配設された同軸ケーブルの中心導体に電気的接続し、前記誘電体基板の下面に前記第1の導電パターンと前記中心導体を電気的接続させた部分をシールドする第2のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面の前記第1の導電パターンを前記導電体ベースと電気的に絶縁して構成しても良い。
【0007】
そして、導電体ベースの上に、外形が偏平な直方体または円柱状で下面に凹部を穿設して中央に空きスペースを設けた誘電体を配設し、前記誘電体の上面で支持させて放射電極を配設し、前記空きスペースから前記誘電体の外側にまで至る誘電体基板を前記導電体ベースの上に配設し、前記誘電体基板の上面で前記空きスペースの部分に電子回路を搭載するとともに前記誘電体基板の上面に前記電子回路をシールドする第1のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面で前記電子回路から前記誘電体の外側に至る部分に第1の導電パターンを設け、前記第1の導電パターンの一端部と前記電子回路を第1のスルーホールを介して電気的接続し、前記誘電体の外側の部分で前記第1の導電パターンの他端部を前記誘電体基板の上面に配設された同軸ケーブルの中心導体に第2のスルーホールを介して電気的接続し、前記誘電体基板の上面に前記中心導体と前記第2のスルーホールを電気的接続させた部分をシールドする第2のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面の前記第1の導電パターンと前記第1と第2のスルーホールの前記下面の部分を前記導電体ベースと電気的に絶縁して構成することもできる。
【0008】
さらに、導電体ベースの上に、外形が偏平な直方体または円柱状で下面に凹部を穿設して中央に空きスペースを設けた誘電体を配設し、前記誘電体の上面で支持させて放射電極を配設し、前記空きスペースから前記誘電体の外側にまで至る誘電体基板を前記導電体ベースの上に間隔を設けて配設し、前記誘電体基板の上面全体にGND電極を配設し、前記誘電体基板の下面で前記空きスペースの部分に電子回路を搭載するとともに前記誘電体基板の下面に前記電子回路をシールドする第1のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面で前記電子回路から前記誘電体の外側に至る部分に第1の導電パターンを設け、前記第1の導電パターンの一端部と前記電子回路を電気的接続し、前記誘電体の外側の部分で前記第1の導電パターンの他端部を前記誘電体基板の下面に配設された同軸ケーブルの中心導体に電気的接続し、前記誘電体基板の下面に前記第1の導電パターンと前記中心導体を電気的接続させた部分をシールドする第2のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面の前記第1の導電パターンを前記導電体ベースと電気的に絶縁して構成することも可能である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1および3記載のアンテナ装置にあっては、誘電体の中央に設けた空きスペースから誘電体の外側にまで至る誘電体基板を配設し、誘電体基板の上面で誘電体の中央の空きスペースの部分に電子回路を搭載し、誘電体基板の下面に設けた第1の導電パターンを介して誘電体の外側に信号路を引き出し、誘電体の外側で同軸線路の中心導体に電気的接続しているので、1枚の誘電体基板に電子回路と同軸線路の中心導体を配設でき、信号路の構造が簡単である。しかも、信号路としての第1の導電パターンの位置が安定していて、信号路の位置がずれることによるアンテナ特性への影響がない。
【0010】
請求項2および4記載のアンテナ装置にあっては、誘電体の中央に設けた空きスペースから誘電体の外側にまで至るように配設した誘電体基板の下面で誘電体の中央の空きスペースの部分に電子回路を搭載し、誘電体基板の下面に設けた第1の導電パターンを介して誘電体の外側に信号路を引き出し、誘電体の外側で同軸線路の中心導体に電気的接続しているので、1枚の誘電体基板に電子回路と同軸線路の中心導体を配設するので、請求項1と同様に、信号路の構造が簡単であるとともにその位置が安定している。さらに、誘電体基板の下面に電子回路と第1の導電パターンをともに配設しているので、請求項1の構成のように上面と下面を電気的に接続するスルーホールを必要としない。また、誘電体基板の上面全体にGND電極を設けたので、電子回路と放射電極とのアイソレーション特性が優れている。そしてまた、電子回路をシールドするシールドカバーが誘電体基板の下面に配設されるので、シールドカバーによるアンテナ特性への影響を少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の第1実施例を図1ないし図8を参照して説明する。図1は、本発明のアンテナ装置の第1実施例で、アンテナ装置からレドームを外した斜視図である。図2は、本発明のアンテナ装置の第1実施例の分解斜視図である。図3は、誘電体基板の上面からレジストを分離した斜視図である。図4は、誘電体基板の下面の斜視図である。図5は、誘電体基板の下面からレジストを分離した斜視図である。図6は、導電体ベースに誘電体基板を配設した状態の斜視図である。図7は、導電体ベースに設けた誘電体用係止爪を曲げて誘電体基板を固定することを説明する図である。図8は、図1のA−A断面矢視図である。
【0012】
図1に示すごとく、導電体ベース10の上にアンテナ装置12が組み立てられ、これを覆うように誘電材からなるレドーム14が被せられる。そして、図2に示すごとく、アンテナ装置12は、導電体ベース10に誘電体基板16と誘電体18、18…および放射電極20が組み付けられて構成される。板金からなる導電体ベース10には、誘電体18、18…を載せる基台部10a、10aが一対の対向するコの字状に設けら、基台部10a、10aの内側に誘電体基板16を導電体ベース10から離して少し上に支持するように台座部10b、10b…が設けら、これらの台座部10b、10b…上に誘電体基板16が配設された状態で、誘電体基板の16の周縁部に立設するように誘電体用係止爪10c、10c…が切り起こされている。誘電体基板16は、導電体ベース10の基台部10a、10a内に収容されて台座部10b、10b…に載せられて支持されるとともに、基台部10a、10a内から一対の対向するコの字状の基台部10a、10aの隙間を経て外側にまで至る形状とされている。そして、誘電体基板16の上面で基台部10a,10aで囲まれるスペースの中央部に電子回路22が搭載される。そしてこの電子回路22をシールドするように、誘電体基板16の上面に第1のシールドカバー24が配設される。なお、第1のシールドカバー24は、誘電体基板16の上面に配設されたGND電極16aに半田付けにより電気的接続ならびに固定されている。さらに、誘電体基板16の導電体ベース10の基台部10a、10aより外側の部分で上面に、同軸線路26の中心導体26aが電気的接続される中心導体接続ランド16bが、上面に配設されたGND電極16aと絶縁されて設けられる。そして、中心導体接続ランド16bをシールドするように誘電体基板16の上面に第2のシールドカバー28が配設される。なお、この第2のシールドカバー28も、第1のシールドカバー24と同様に、誘電体基板16の上面に配設されたGND電極16aに半田付けにより電気的接続ならびに固定されている。そして、導電体ベース10の基台部10a、10aの上には、略L字状の4分割された誘電体18、18、18、18が中央に空きスペースを設けてこれを囲むように配設されて搭載される。さらに、これらの誘電体18、18…の上面で支持するように、放射電極20が配設される。
【0013】
誘電体基板16の上面には、図3に示すように、電子回路22と中心導体接続ランド16bが配設され、これらと絶縁状態で上面の残された部分全体にGND電極16aが配設される。しかも、GND電極16aの上には、レジスト16cが適宜な形状で設けられ、第1のシールドカバー24と第2のシールドカバー28と同軸線路26の外部導体26bを半田付けする部分のGND電極16aが露出するようになされ、また導電体ベース10に立設された誘電体用係止爪10c、10c…に対応させて、半田付け部が露出するようになされている。また、誘電体基板16の下面は、図4に示すように、電子回路22が搭載された部分に対応する位置から導電体ベース10の基台部10a、10aの外側にまで至る第1の導電パターン16dが設けられ、その一端部が第1のスルーホール16eにより上面の電子回路22と電気的接続される。そして、第1の導電パターン16dの他端部が、第2のスルーホール16fにより誘電体基板16の上面で外側の部分に設けられた中心導体接続ランド16bに電気的接続される。さらに、誘電体基板16の下面には、放射電極20の給電端子30(図8を参照)が一端部に電気的接続される第2の導電パターン16gが設けられ、第2の導電パターン16gの他端部が、第3のスルーホール16hを介して上面の電子回路22に電気的接続される。そして、図5に示すように、第1の導電パターン16dおよび第2の導電パターン16gとは絶縁状態となるように、下面の残された部分全体にGND電極16iが配設される。しかも、GND電極16iを覆うように、レジスト16jが適宜な形状で設けられている。
【0014】
誘電体基板16に電子回路22を搭載するとともに同軸線路26の中心導体26aと外側導体26bを半田付けし、さらに第1のシールドカバー24および第2のシールドカバー28が半田付けされて配設される。そして、図6のごとく、かかる誘電体基板16が、導電体ベース10の基台部10a、10a内に収容されて台座部10b、10b…により支持されるように配置される。そして、誘電体基板16の周辺部に立設された誘電体基板用係止爪10c、10c…を、図7に示すように折り曲げて誘電体基板16上に位置させる。そして、誘電体基板16の上面で、折り曲げられた誘電体基板用係止爪10c、10c…に対応する部分は、レジスト16cが設けられておらずにGND電極16aが露出していて半田付け部が形成されており、半田付けにより確実に固定される。さらに、同軸線路26が、導電体ベース10に設けた把持部10dにより把持されて、同軸線路26が導電体ベース10に強固に固定される。
【0015】
導電体ベース10の上に組み立てられたアンテナ装置12は、図8に示すように、誘電体18、18…で、中央に空きスペースを設けてこれを囲むようになし、この空きスペースで誘電体基板16に電子回路22を搭載し、その誘電体基板16に設けた第1の導電パターン16dで誘電体18、18…の外側に信号を導出しているので、信号路の構成が簡単である。しかも、第1の導電パターン16dはその位置が固定され、アンテナ特性に影響をあたえることがない。そして、誘電体基板16の下面に設けた第1の導電パターン10dは、誘電体基板16の上面に設けたGND電極16aにより、マイクロストリップアンテナとして作用する。さらに、第1の導電パターン10dは、下側に絶縁状態で導電体ベース10が配設され、上のGND電極16aと下の導電体ベース10の間に配設されることとなり、トリプレート構造が構成される。なお、誘電体基板16は、導電体ベース10の台座部10b、10b…の上に配設され、第1の導電パターン16dと第2の導電パターン16gおよび第1のスルーホール16eと第2のスルーホール16fおよび第3のスルーホール16hの誘電体基板16の下面の部分さらには給電端子30と第2の導電パターン16gが半田付けにより電気的接続される部分は、導電体ベース10から絶縁された状態とされる。また、第1のシールドカバー24と第2のシールドカバー28および同軸線路26の外側導体26bは、誘電体基板16の上面に設けたGND電極16aに半田付けされ、しかもこのGND電極16aに誘電体基板用係止爪10c、10c…が半田付けされるので、第1のシールドカバー24と第2のシールドカバー28と同軸線路26の外側導体26bと誘電体基板16の上面に設けたGND電極16aは、いずれも導電体ベース10と電気的接続されて同電位となっている。なお、誘電体基板16の上面のGND電極16aと下面のGND電極16iは、適宜に電気的接続されることは勿論である。
【0016】
次に、本発明の第2実施例を図9を参照して説明する。図9は、本発明のアンテナ装置の第2実施例の分解斜視図である。図9において、図1ないし図8と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複した説明を省略する。
【0017】
図9に示す第2実施例において、第1実施例と相違するところは、誘電体32の構造にある。この第2実施例にあっては、誘電体32は矩形の環状に形成され、その中央に空きスペースが設けられている。なお、誘電体基板16は、第1実施例と同様に、基台部10a、10a内から一対の対向するコの字状の基台部10a、10aの隙間を経て外側にまで至る形状とされているが、これに限られず、導電体ベース10に設けられる基台部も矩形の環状とし、誘電体32の下辺の一部を凹状に切り欠いて、この基台部の間に隙間を設けて、その隙間を経て誘電体基板16を外側にまで至るように構成しても良い。
【0018】
また、本発明の第3実施例を図10を参照して説明する。図10は、本発明のアンテナ装置の第3実施例の分解斜視図である。図10において、図1ないし図9と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複した説明を省略する。
【0019】
図10に示す第3実施例において、第1実施例および第2実施例と相違するところは、誘電体34の構造にある。この第3実施例にあっては、誘電体34は外形が偏平な矩形の直方体であり、その下面に凹部34aが穿設されて、中央に空きスペースが設けられている。中央の空きスペースの上方が、誘電体34により覆われるので、誘電体34の上面に配設された導電薄膜などで放射電極20を構成することが可能である。
【0020】
さらに、本発明の第4実施例を図11ないし図15を参照して説明する。図11は、本発明のアンテナ装置の第4実施例の分解斜視図である。図12は、誘電体基板の上面からレジストを分離した斜視図である。図13は、誘電体基板の下面の斜視図である。図14は、誘電体基板の下面からレジストを分離した斜視図である。図15は、第4実施例のアンテナ装置の断面矢視図である。図11ないし図15において、図1ないし図10と同じまたは均等な部材には同じ符号を付けて重複した説明を省略する。
【0021】
図11ないし図15に示す第4実施例において、第1ないし第3実施例と相違するところは、誘電体基板36の下面に電子回路22が搭載されており、下面に設けられた第1の導電パターン36dと第2の導電パターン36gが配設されている。なお、第1のシールドカバー24は、誘電体基板36の下面の搭載された電子回路22をシールドするように、誘電体基板36の下面に配設される。また、同軸線路26の中心導体26aも誘電体基板36の下面に電気的接続され、第2のシールドカバー28も誘電体基板36の下面に配設される。
【0022】
そこで、誘電体基板36の上面には、図12に示すように、全面にGND電極16aが配設され、その上に誘電体基板用係止爪10c、10c…が半田付けし得るように半田付け部を露出させるようにレジスト36cが配設される。また、誘電体基板36の下面は、図13に示すように、誘電体32の中央の空きスペースに対応する部分に、電子回路22が搭載され、この電子回路22から第1の導電パターン36dと第2の導電パターン36gが引き出すように配設される。誘電体基板36の上面と下面を電気的接続するためのスルーホールを必要としない。そして、誘電体基板36の下面では、電子回路22と第1の導電パターン36dおよび第2の導電パターン36gと絶縁状態で、その周囲にGND電極36iが配設され、その上に第1のシールドカバー24と第2のシールドカバー28および同軸線路26の外部導体26bを半田付けする部分をのぞいて、レジスト36jが設けられている。
【0023】
第4実施例にあっては、図5に示すように、誘電体基板36の下面に全ての電子部品および回路が配設されるので、スルーホールを必要とせず、その構造が簡単である。また、誘電体基板36の上面全体にGND電極36aが配設されているので、誘電体基板36の下面に設けられた電子回路22と誘電体基板36の上方にある放射電極20との間のアイソレーションに優れている。そして、誘電体基板36の下面に第1のシールドカバー24が配設されるので、この第1のシールドカバー24と放射電極20との間の距離が大きくなり、それだけ第1のシールドカバー24の形状によるアンテナ特性への影響を少ないものとすることができる。
【0024】
誘電体の構造は、上記実施例のものに限られない。図16に示すように、第1例は、一対の対向するコの字状の形状の誘電体38、38で構成されていても良い。また、図17に示すごとく、第2例は、放射電極20の四隅を支持するように4個の直方体の誘電体40、40、40、40で構成されていても良い。また、図18に示すごとく、第3例は、外形が円形で偏平な環状のものが4分割された形状の誘電体42、42、42、42で構成されていても良い。また、図19に示すごとく、第4例は、外形が円形で偏平な環状のものが2分割された形状の誘電体44、44で構成されていても良い。また、図20に示すごとく、第5例は、外形が円形で偏平な環状の誘電体46で構成されていても良い。また、図21に示すごとく、第6例は、放射電極20の四隅を支持するように4個の円柱状の誘電体48、48、48、48で構成されていても良い。さらに、図22に示すように、第7例は、誘電体50は、外形が偏平な円柱状であり、その下面に凹部50aが穿設されて、中央に空きスペースが設けられていても良い。
【0025】
なお、上記第1実施例にあっては、導電体ベース10に設けた基台部10a、10aに誘電体18、18、18、18を配設しているが、かかる構成に限られず、基台部10a、10aを設けることなく、導電体ベース10の上に誘電体18、18、18、18を配設しても良い。かかる構成では、誘電体18、18、18、18の隙間に誘電体基板16を通して、外側にまで至るようにしても良い。また、基台部10a、10aを設けない構造において、第2実施例や第3実施例にあっては、誘電体32、34の下辺部分の一部に凹部を設けて、誘電体基板16を通すようにすれば良い。また、上記第1実施例では、導電体ベース10に台座部10b、10b…を設けて、誘電体基板16を導電体ベース10から離すようにして、誘電体基板16の下面に設けた第1の導電パターン16dと第2の導電パターン16g等を導電体ベース10から絶縁するように構成しているが、これに限られず、導電体ベース10と誘電体基板16の間に絶縁シートまたは絶縁スペーサ等を介在させることで、絶縁しても良い。さらに、放射電極20は、正方形や長方形の矩形に限られず、円形や楕円形であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明のアンテナ装置の第1実施例で、アンテナ装置からレドームを外した斜視図である。
【図2】本発明のアンテナ装置の第1実施例の分解斜視図である。
【図3】第1実施例で、誘電体基板の上面からレジストを分離した斜視図である。
【図4】第1実施例で、誘電体基板の下面の斜視図である。
【図5】第1実施例で、誘電体基板の下面からレジストを分離した斜視図である。
【図6】第1実施例で、導電体ベースに誘電体基板を配設した状態の斜視図である。
【図7】第1実施例で、導電体ベースに設けた誘電体用係止爪を曲げて誘電体基板を固定することを説明する図である。
【図8】図1のA−A断面矢視図である。
【図9】本発明のアンテナ装置の第2実施例の分解斜視図である。
【図10】本発明のアンテナ装置の第3実施例の分解斜視図である。
【図11】本発明のアンテナ装置の第4実施例の分解斜視図である。
【図12】第4実施例で、誘電体基板の上面からレジストを分離した斜視図である。
【図13】第4実施例で、誘電体基板の下面の斜視図である。
【図14】第4実施例で、誘電体基板の下面からレジストを分離した斜視図である。
【図15】第4実施例のアンテナ装置の断面矢視図である。
【図16】上記実施例以外の第1例の誘電体の形状を示す斜視図である。
【図17】上記実施例以外の第2例の誘電体の形状を示す斜視図である。
【図18】上記実施例以外の第3例の誘電体の形状を示す斜視図である。
【図19】上記実施例以外の第4例の誘電体の形状を示す斜視図である。
【図20】上記実施例以外の第5例の誘電体の形状を示す斜視図である。
【図21】上記実施例以外の第6例の誘電体の形状を示す斜視図である。
【図22】上記実施例以外の第7例の誘電体の形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0027】
10 導電体ベース
10a 基台部
10b 台座部
10c 誘電体基板用係止爪
10d 把持部
12 アンテナ装置
14 レドーム
16、36 誘電体基板
16a、16i、36a、36i GND電極
16b 中心導体接続ランド
16c、16j、36c、36j レジスト
16d、36d 第1の導電パターン
16e 第1のスルーホール
16f 第2のスルーホール
16g、36g 第2の導電パターン
16h 第3のスルーホール
18、32、34、38、40、42、44、46、48、50 誘電体
20 放射電極
22 電子回路
24 第1のシールドカバー
26 同軸線路
26a 中心導体
26b 外側導体
28 第2のシールドカバー
30 給電端子
34a、50a 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体ベースの上に、中央に空きスペースを設けてこれを囲むように誘電体を配設し、前記空きスペースの上側を覆うように前記誘電体の上面で支持させて放射電極を配設し、前記空きスペースから前記誘電体の外側にまで至る誘電体基板を前記導電体ベースの上に配設し、前記誘電体基板の上面で前記空きスペースの部分に電子回路を搭載するとともに前記誘電体基板の上面に前記電子回路をシールドする第1のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面で前記電子回路から前記誘電体の外側に至る部分に第1の導電パターンを設け、前記第1の導電パターンの一端部と前記電子回路を第1のスルーホールを介して電気的接続し、前記誘電体の外側の部分で前記第1の導電パターンの他端部を前記誘電体基板の上面に配設された同軸ケーブルの中心導体に第2のスルーホールを介して電気的接続し、前記誘電体基板の上面に前記中心導体と前記第2のスルーホールを電気的接続させた部分をシールドする第2のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面の前記第1の導電パターンと前記第1と第2のスルーホールの前記下面の部分を前記導電体ベースと電気的に絶縁して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
導電体ベースの上に、中央に空きスペースを設けてこれを囲むように誘電体を配設し、前記空きスペースの上側を覆うように前記誘電体の上面で支持させて放射電極を配設し、前記空きスペースから前記誘電体の外側にまで至る誘電体基板を前記導電体ベースの上に間隔を設けて配設し、前記誘電体基板の上面全体にGND電極を配設し、前記誘電体基板の下面で前記空きスペースの部分に電子回路を搭載するとともに前記誘電体基板の下面に前記電子回路をシールドする第1のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面で前記電子回路から前記誘電体の外側に至る部分に第1の導電パターンを設け、前記第1の導電パターンの一端部と前記電子回路を電気的接続し、前記誘電体の外側の部分で前記第1の導電パターンの他端部を前記誘電体基板の下面に配設された同軸ケーブルの中心導体に電気的接続し、前記誘電体基板の下面に前記第1の導電パターンと前記中心導体を電気的接続させた部分をシールドする第2のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面の前記第1の導電パターンを前記導電体ベースと電気的に絶縁して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
導電体ベースの上に、外形が偏平な直方体または円柱状で下面に凹部を穿設して中央に空きスペースを設けた誘電体を配設し、前記誘電体の上面で支持させて放射電極を配設し、前記空きスペースから前記誘電体の外側にまで至る誘電体基板を前記導電体ベースの上に配設し、前記誘電体基板の上面で前記空きスペースの部分に電子回路を搭載するとともに前記誘電体基板の上面に前記電子回路をシールドする第1のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面で前記電子回路から前記誘電体の外側に至る部分に第1の導電パターンを設け、前記第1の導電パターンの一端部と前記電子回路を第1のスルーホールを介して電気的接続し、前記誘電体の外側の部分で前記第1の導電パターンの他端部を前記誘電体基板の上面に配設された同軸ケーブルの中心導体に第2のスルーホールを介して電気的接続し、前記誘電体基板の上面に前記中心導体と前記第2のスルーホールを電気的接続させた部分をシールドする第2のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面の前記第1の導電パターンと前記第1と第2のスルーホールの前記下面の部分を前記導電体ベースと電気的に絶縁して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
導電体ベースの上に、外形が偏平な直方体または円柱状で下面に凹部を穿設して中央に空きスペースを設けた誘電体を配設し、前記誘電体の上面で支持させて放射電極を配設し、前記空きスペースから前記誘電体の外側にまで至る誘電体基板を前記導電体ベースの上に間隔を設けて配設し、前記誘電体基板の上面全体にGND電極を配設し、前記誘電体基板の下面で前記空きスペースの部分に電子回路を搭載するとともに前記誘電体基板の下面に前記電子回路をシールドする第1のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面で前記電子回路から前記誘電体の外側に至る部分に第1の導電パターンを設け、前記第1の導電パターンの一端部と前記電子回路を電気的接続し、前記誘電体の外側の部分で前記第1の導電パターンの他端部を前記誘電体基板の下面に配設された同軸ケーブルの中心導体に電気的接続し、前記誘電体基板の下面に前記第1の導電パターンと前記中心導体を電気的接続させた部分をシールドする第2のシールドカバーを配設し、前記誘電体基板の下面の前記第1の導電パターンを前記導電体ベースと電気的に絶縁して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
請求項1または2記載のアンテナ装置において、前記誘電体が分割されていて、前記放射電極の周縁を部分的に支持するよう前記導電体ベースの上に配設し、分割配置された前記誘電体の間の隙間に、前記誘電体基板を通して、前記空きスペースから前記誘電体の外側に至る前記誘電体基板を前記導電体ベースの上に配設して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1または2記載のアンテナ装置において、前記誘電体が中央に空きスペースが設けられた外形が矩形または円形の環状であり、前記誘電体と前記導電体ベースの間の一部分に隙間を設け、前記隙間に前記誘電体基板を通して、前記空きスペースから前記誘電体の外側にまで至る前記誘電体基板を前記導電体ベースの上に配設して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
請求項1または3記載のアンテナ装置において、前記放射電極に電気的接続された給電端子を、前記誘電体基板の下面に設けた第2の導電パターンの一端部に電気的接続し、前記第2の導電パターンの他端部を第3のスルーホールを介して前記誘電体基板の上面に配設した前記電子回路に電気的接続し、前記誘電体基板の下面の前記第2の導電パターンと前記第3のスルーホールの前記下面の部分を前記導電体ベースと電気的に絶縁して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項8】
請求項2または4記載のアンテナ装置において、前記放射電極に電気的接続された給電端子を、前記誘電体基板の下面に設けた第2の導電パターンの一端部に電気的接続し、前記第2の導電パターンの他端部を前記誘電体基板の下面に配設した前記電子回路に電気的接続し、前記誘電体基板の下面の前記第2の導電パターンを前記導電体ベースと電気的に絶縁して構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項9】
請求項1ないし4記載のいずれかのアンテナ装置において、前記第1の導電パターンが設けられた部分の前記誘電体基板の上面にGND電極を配設して、前記第1の導電パターンがマイクロストリップラインとして作用するように構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項10】
請求項1ないし4記載のいずれかのアンテナ装置において、前記誘電体基板に配設された前記GND電極と前記第1のシールドカバーと前記第2のシールドカバーと前記同軸ケーブルの外側導体および前記導電体ベースを電気的接続して、同電位となるように構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項11】
請求項1ないし4記載のいずれかのアンテナ装置において、前記導電体ベースの上面に前記誘電体基板を前記導電体ベースから離して支持するための台座部を設けて構成したことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項12】
請求項1ないし4記載のいずれかのアンテナ装置において、前記導電体ベースを板金で形成し、誘電体基板用係止爪を切り起こし、前記導電体ベースに前記誘電体基板を配設した状態で前記誘電体基板用係止爪を前記誘電体基板の上面に位置するように折り曲げて、前記誘電体基板を前記導電体ベースに固定するように構成したことを特徴とするアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−103696(P2010−103696A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272163(P2008−272163)
【出願日】平成20年10月22日(2008.10.22)
【出願人】(000006758)株式会社ヨコオ (158)
【Fターム(参考)】