説明

アンテナ装置

【課題】簡単な構成により、アンテナから放射する電波の放射特性を制御することのできる技術を提供する。
【解決手段】直線偏波の電波を放射する平板状の放射素子11と、前記放射素子11に給電する給電素子と、前記放射素子11と平行に配置され、前記放射素子よりも大きい外形を有する平板状の地導体13と、前記地導体13に着脱可能な拡張導体板22であって、装着時に前記地導体13に対する法線方向視において前記拡張導体板22が前記放射素子を略包囲するように、前記地導体13を拡張する平板状の拡張導体板22と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFタグとの間での無線通信を行うアンテナ装置に関し、特に、アンテナから放射する電波の指向性や偏波方向の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線を利用した自動認識技術として、RFID(Radio Frequency Identification)システムが知られている。RFIDシステムでは、RFタグと、当該RFタグと無線通信を行うRFタグリーダライタ(RFタグリーダライタ)とが無線通信を行う。
【0003】
製造業、物流業、店舗等では、RFタグを管理対象となる物品に貼り付け、イベント発生時にRFタグリーダライタでRFタグのIDを読み取ったり、RFタグにデータを書き込んだりして、物品管理に利用している。
【0004】
棚卸等の作業時には、RFタグリーダライタは複数のRFタグとの通信を行う。このような状況下では、RFタグリーダライタにおけるRFタグと通信可能な距離は長いほうが好ましい。そこで、RFタグリーダライタとRFタグとの間の通信距離を長くするために、RFタグリーダライタのアンテナとRFタグのアンテナとの間の空間にブースタアンテナをさらに配置する構成が知られる(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
一方、RFタグリーダライタによってRFタグへのデータ書き込みを行う場合、RFタグリーダライタにおける書き込み対象となるRFタグは特定の単一のRFタグであることが好ましい。したがって、書き込み対象とすることを意図していない他のRFタグへの誤った書き込み処理を行うことを防止するため、RFタグへの書き込み処理を行う際には、RFタグリーダライタの通信距離を短くすることが望ましい。
【0006】
具体的に、RFタグリーダライタのRFタグとの通信距離を長くしたい場合には、ブースタアンテナを使用することが考えられる。また、RFタグリーダライタのRFタグとの通信距離を短くしたい場合には、ブースタアンテナを使用しないことが考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、RFタグリーダライタのアンテナとRFタグのアンテナの相対的な位置は相対的に変化する場合が多く、上述のようにブースタアンテナをRFタグリーダライタとRFタグの間に配置することは難しい。
【0008】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、簡単な構成により、アンテナから放射する電波の放射特性を制御することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、直線偏波の電波を放射する平板状の放射素子と、前記放射素子に給電する給電素子と、前記放射素子と平行に配置され、前記放射素子よりも大きい外形を有する平板状の地導体と、前記地導体に着脱可能な拡張導体板であって、装着時に前記地導体に対する法線方向視において前記拡張導体板が前記放射素子を略包囲するように、前記地導体を拡張する平板状の拡張導体板と、を備えるアンテナ装置に関する。
【0010】
本発明の一態様は、直線偏波の電波を放射する平板状の放射素子と、前記放射素子に給電する給電素子と、前記放射素子と平行に配置され、前記放射素子よりも大きい外形を有する平板状の地導体と、前記アンテナ装置に着脱可能であり、装着時に前記放射素子に平行となり、前記放射素子から放射される直線偏波の電波を円偏波の電波に変換する導波器をさらに備えるアンテナ装置に関する。
【発明の効果】
【0011】
以上に詳述したように、本発明によれば、簡単な構成により、アンテナから放射する電波の放射特性を制御することのできる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるRFタグリーダライタの利用形態について説明するための概略図である。
【図2】近傍用直線偏波アンテナ1の構成について説明するための図である。
【図3】近傍用直線偏波アンテナ1の構成について説明するための図である。
【図4】近傍用直線偏波アンテナ1の構成について説明するための図である。
【図5】遠方円偏波用パーツ2の構成について説明するための図である。
【図6】遠方円偏波用パーツ2の構成について説明するための図である。
【図7】遠方円偏波用パーツ2の構成について説明するための図である。
【図8】近傍用直線偏波アンテナ1に対する遠方円偏波用パーツ2の着脱について説明するための概略図である。
【図9】近傍用直線偏波アンテナ1に対する遠方円偏波用パーツ2の着脱について説明するための概略図である。
【図10】近傍用直線偏波アンテナ1に対する遠方円偏波用パーツ2の着脱について説明するための概略図である。
【図11】導波器21と放射器11との形状の関係について説明するための図である。
【図12】放射器11に対する給電について説明するための図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態におけるRFタグリーダライタRから送信される電波の出力設定を行うスイッチ14の動作について説明するための概略等価回路図である。
【図14】本発明の第1の実施の形態によるRFタグリーダライタRの動作について説明するためのフローチャートである。
【図15】他の形状の導波器について説明するための図である
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態によるRFタグリーダライタの利用形態について説明するための概略図である。
【0015】
同図に示すように、本実施の形態によるRFタグリーダライタRは、棚卸等において、複数のRFタグとの無線通信を行うことが可能となっている。
【0016】
本実施の形態によるRFタグリーダライタRは、アンテナ1(もしくは、1および2からなるアンテナQ)と、通信制御部3と、を備えている。アンテナ1と通信制御部3とは不図示の同軸ケーブルで接続されている。アンテナ1は、RFタグへ向けた信号送信時には高周波信号を電波として放射し、RFタグからの応答信号の受信時には受信した電波を高周波信号に変換する働きをする。アンテナ1から放射された電波は、RFタグ3a〜RFタグ3eに到達し、RFタグ3a〜RFタグ3eそれぞれに受信される。RFタグ3a〜RFタグ3eは、それぞれが固有の識別番号を記憶している。
【0017】
RFタグリーダライタRが、問合せのための信号をRFタグへ向けて送信すると、RFタグ3a〜RFタグ3eは上記問合せ信号を受信できた場合に、当該受信信号に対応した動作をする。例えば、問合せのための信号がRFタグ3aに対応する識別番号宛てのデータだけを含んでいる場合は、RFタグ3aだけが応答信号を返し、他のRFタグは応答しない。
【0018】
また、アンテナ1から放射される電波は、空間で減衰するため、アンテナ1から遠い位置にあるRFタグほど、アンテナ1からの信号に対する受信電力が小さくなる。RFタグは、一般に、受信電力が所定の閾値以上である場合にのみ、信号の受信を行うことができる。
【0019】
以下、RFタグリーダライタRに備わっているアンテナの構成について詳細に説明する。
【0020】
本実施の形態によるRFタグリーダライタRは、RFタグとの無線通信用のアンテナとして、近傍用直線偏波アンテナ1単体、近傍用直線偏波アンテナ1に遠方円偏波用パーツ2を装着した状態のアンテナQ、の内のいずれか一方を用いる。具体的には、RFタグリーダライタRの近傍に位置するRFタグとのみ無線通信を行いたい場合には、近傍用直線偏波アンテナ1のみをRFタグとの通信用アンテナとして使用する。RFタグリーダライタRの遠方にあるRFタグとの通信を行いたい場合には、 近傍用直線偏波アンテナ1に遠方円偏波用パーツ2を装着した状態のアンテナQを、RFタグとの通信用アンテナとして使用する。
【0021】
図2〜図4は、近傍用直線偏波アンテナ1の構成について説明するための図である。図2は近傍用直線偏波アンテナ1の外観斜視図であり、図3は近傍用直線偏波アンテナ1を上方から見た概略透過図であり、図4は図3におけるF−F’断面図である。
【0022】
近傍用直線偏波アンテナ1は、放射器11、給電線12、第1の地導体13、スイッチ14、上面カバー15、誘電体16、下面カバー17を備えている。
【0023】
放射器11は、直線偏波の電波を放射するための平板状の放射素子である。
【0024】
給電線12は放射器11に接続されている。図示しないが、同軸ケーブルの芯線が近傍用直線偏波アンテナ1の下面で給電線12と接続し、同軸ケーブルの外側の線が第1の地導体13と接続される。上面カバー15と下面カバー17で、第1のカバーが構成されている。
【0025】
本実施の形態における近傍用直線偏波アンテナ1は、第1の地導体13と放射器11の間に誘電体16を配置することにより、平面パッチアンテナを構成している。放射器11はz軸方向に見た外形が長方形であり、給電線12との接続点が給電点となり、放射器11の長手方向に電流が流れる。放射素子11の長手方向だけに電流が流れるため、近傍用直線偏波アンテナ1は直線偏波アンテナとなる。第1の地導体13は、放射器11と平行に配置され、放射器11よりも大きい外形を有する平板状の地導体である。また、放射器11および第1の地導体13は、給電線12と一体的に構成されている。このように、放射器11、第1の地導体13および給電線12を、ユニット化することにより、これら構成要素から構成される近傍用直線偏波アンテナ1を最小単位のアンテナユニットとして使用することができる。
【0026】
また、本実施の形態による近傍用直線偏波アンテナ1では、上面カバー15によって放射器11の一部を覆い隠すことにより、放射器11を物理的な衝撃から保護する構成となっている。なお、上面カバー15は、第1の地導体13を部分的に覆い隠すが、第1の地導体13の特定の部分だけは外部に露出するように形成されている。
【0027】
読み取り対象となるRFタグ3a〜RFタグ3eも通信用のアンテナを備えており、当該アンテナも指向性と偏波方向性を有している。RFタグリーダライタRの近傍用直線偏波アンテナ1とRFタグのアンテナとが対向して偏波方向が揃うとき、両者の間で最もエネルギ効率の良い通信を行うことができる。
【0028】
したがって、近傍用直線偏波アンテナ1の近傍に、通信対象とするRFタグの向きを意図的に合わせて配置することにより、RFタグリーダライタRは小さな送信電力でRFタグとの安定的な通信を実現することができる。この場合、RFタグリーダライタRからの信号送信電力を小さくすることになるため、近傍用直線偏波アンテナ1と偏波方向が異なる配置のRFタグや遠くにあるRFタグは、RFタグリーダライタRと通信することはない。
【0029】
このように、RFタグリーダライタRにおける通信用アンテナとして近傍用直線偏波アンテナ1を使用した場合、RFタグリーダライタRの近傍にある特定のRFタグのみとの通信を行うことができる。
【0030】
なお、本実施の形態では、誘電体16を配置して放射器11を固定する構成を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。たとえば、誘電体16の材質を誘電率の高い材質にすると、波長短縮により、放射器11を小型化することができる。また、放射器11の形状が大きくなるが、放射器11の固定を別の手段で行うことにより、誘電体16を空気層として、誘電体16を用いることなくアンテナとして使用することができる。
【0031】
図5〜図7は、遠方円偏波用パーツ2の構成について説明するための図である。図5は遠方円偏波用パーツ2の外観斜視図であり、図6は遠方円偏波用パーツ2を上方から見た概略透過図であり、図7は図6におけるN−N’断面図である。
【0032】
遠方円偏波用パーツ2は、導波器21、第2の地導体22、遠方用上面カバー23、遠方用誘電体24、遠方用下面カバー25を備えている。遠方用円偏波用パーツ2は、近傍用直線偏波アンテナ1に対して着脱可能となっている。
【0033】
第2の地導体22(拡張導体板)は、第1の地導体13に対して着脱可能な平板状の導体板であり、近傍用直線偏波アンテナ1に装着されている状態において、第1の地導体13に対する法線方向視(z軸方向視)において第2の地導体22が放射器11を略包囲するように構成されている(後述の図10を参照。)。
【0034】
本実施の形態における第2の地導体22は、遠方用下面カバー25に囲まれて保護されているが、第2の地導体22の下面側に保護されずに露出している部分がある。遠方用下面カバー25の上部には、遠方用誘電体24があり、その上面に導波器21が配置されている。
【0035】
導波器21は、その外形が、正方形(矩形)の対角にある2つの角を点対称に切り欠いた形状に形成されており、遠方用上面カバー23で覆われている。遠方用上面カバー23は、導波器21を物理的な衝撃から保護することができる。遠方用上面カバー23と遠方用下面カバー25で第2のカバーを構成している。
【0036】
図8図10は、近傍用直線偏波アンテナ1に対する遠方円偏波用パーツ2の着脱について説明するための概略図である。
【0037】
図8は遠方円偏波用パーツ2を近傍用直線偏波アンテナ1に装着する途中の断面図であり、図9は遠方円偏波用パーツ2を近傍用直線偏波アンテナ1に装着した状態を示す断面図であり、図10は遠方円偏波用パーツ2を近傍用直線偏波アンテナ1に装着した状態を上方から見た透過図である。
【0038】
近傍用直線偏波アンテナ1に遠方円偏波用パーツ2を装着すると、第1の地導体13の上面と第2の地導体22の下面が接触する(図9を参照)。このとき、2つの地導体の接触面を広くすることで、良好な地導体とすることができる。
【0039】
また、近傍用直線偏波アンテナ1に遠方円偏波用パーツ2を装着すると、地導体の上方に放射器11および導波器21が配置される。具体的に、導波器21は、近傍用直線偏波アンテナ1に装着されている状態において放射器11と平行になり、放射器11から放射される直線偏波の電波を円偏波の電波に変換する。
【0040】
本実施の形態では、放射器11は、長方形状の平板から構成されている。これに対し、導波器21は、点対称の外形に形成されており、放射器11の長手方向(y軸方向)におけるサイズは、遠方円偏波用パーツ2が近傍用直線偏波アンテナ1に装着されているときの導波器21の長手方向(y軸方向)におけるサイズよりも大きくなるように設定されている(図11を参照)。
【0041】
図12は、放射器11に対する給電について説明するための図である。
【0042】
本実施の形態では、放射器11に対する給電は、アンテナの入力インピーダンスを50Ωとするとき、図12に示すような配置とすることが好ましい。もちろん、入力インピーダンスが50Ω以外の値とする場合には、給電点の位置は変更することが望ましい。
【0043】
また、本実施の形態では、導波器21と第2の地導体22とが遠方円偏波用パーツ2としてユニット化されており、近傍用直線偏波アンテナ1に対して一体的に着脱可能に形成されている。このような構成とすることにより、ユーザは、遠方円偏波用パーツ2単体を近傍用直線偏波アンテナ1に装着するだけで、指向性が高い円偏波の電波を放射するRFタグリーダライタを利用することができる。
【0044】
図13は、本発明の第1の実施の形態におけるRFタグリーダライタRから送信される電波の出力設定を行うスイッチ14の動作について説明するための概略等価回路図である。
【0045】
RFタグリーダライタRにおける、通信制御部3は、制御回路30、アンテナ検出回路31、送受信回路32、インダクタ33、抵抗34、コンデンサ35および抵抗36を備えている。
【0046】
制御回路30は、送受信回路32を制御する役割を有している。制御回路30は、CPUやメモリを備えており、メモリに記憶されたプログラムに従った動作を実行する。
【0047】
アンテナ検出回路31は、インダクタ33から入力される直流電圧の検出を行い、検出結果を制御回路30に出力する。インダクタ33は、送受信の高周波信号を通過させないが、直流電流を通過させる。抵抗34と抵抗36も、送受信の高周波信号を通過させないが、直流電流を通過させる。コンデンサ35は、直流電流を遮断するが、送受信の高周波信号を通過させる。
【0048】
スイッチ14は、近傍用直線偏波アンテナ1のみで使用するときは開放状態となっており、遠方円偏波用パーツ2を装着するときにはスイッチ14が押されて短絡状態になる。スイッチ14は、y軸方向に進退可能なように弾性支持されている。
【0049】
近傍用直線偏波アンテナ1のみで使用するときは、スイッチ14が開放状態であるため、アンテナ検出回路31の入力電圧はV+と同じ電圧値になっている。遠方円偏波用パーツ2を装着するときは、スイッチ14が短絡状態となり、アンテナ検出回路31への入力電圧は、V+を抵抗34と抵抗36で分圧した電圧値になる。アンテナ検出回路31は、入力電圧に応じた出力信号を制御回路30に伝達する。
【0050】
このような構成により、制御回路30は、遠方円偏波用パーツ2の装着の有無を検知することができる。
【0051】
このように、通信制御部3およびスイッチ14(スイッチ部)は、給電制御部としての機能を有しており、給電線12を介して放射器11に「第1の送信出力」での給電を行う「第1のモード」と、給電線12を介して放射器11に「第2の送信出力」での給電を行う「第2のモード」と、を切り替え可能となっている。スイッチ14(スイッチ部)は、近傍用直線偏波アンテナ1に対する遠方円偏波用パーツ2の着脱に応じて、通信制御部3による給電を「第1のモード」と「第2のモード」との間で切り替える。
【0052】
図14は、本発明の第1の実施の形態によるRFタグリーダライタRの動作について説明するためのフローチャートである。このフローチャートの処理手順は、制御回路30の内部メモリにプログラムとして記憶されている。
【0053】
まず、制御回路30のCPUは、スイッチ14が短絡状態であるか否かを判断する(ACT101)。
【0054】
制御回路30のCPUは、スイッチ14が短絡状態であると判断した場合(ACT101,Yes)、ACT102にて最大送信電力を大きく設定し、ACT104にて信号送信を行わせる。
【0055】
制御回路30のCPUは、スイッチ14が短絡状態ではないと判断した場合(ACT101,No)、ACT103にて最大送信電力を小さく設定し、ACT104にて信号送信を行わせる。
【0056】
このようにすることにより、RFタグリーダライタRの近傍にあるRFタグとの通信をしたいときには送信電力を小さくし(第1のモード)、アンテナから離れたRFタグとの通信をしたいときには送信電力を大きくする(第2のモード)ことができる。
【0057】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0058】
本発明の第2の実施の形態は、上述した第1の実施の形態の変形例である。以下、上述の第1の実施の形態にてすでに述べた構成部分と同様な機能を有する部分には同一符号を付し、説明は省略する。
【0059】
上述の第1の実施の形態では、RFタグリーダライタに対して導波器および地導体が着脱可能である構成を例示したが、本発明の構成は必ずしもこれに限られるものではない。
たとえば、RFタグリーダライタに対して導波器のみが着脱可能である構成とすることもできる。
【0060】
すなわち、本実施の形態によるRFタグリーダライタは、直線偏波の電波を放射する平板状の放射器11と、放射器11に給電する給電線12と、放射器11と平行に配置され、放射器11よりも大きい外形を有する平板状の地導体13と、アンテナ装置に着脱可能であり、装着時に放射器11に平行となり、放射器11から放射される直線偏波の電波を円偏波の電波に変換する導波器21を備えている。
【0061】
また、上述の第1の実施の形態と同様に、スイッチ14によって、給電線12を介して放射器11に第1の送信出力での給電を行う「第1のモード」と、給電線12を介して放射器11に第2の送信出力での給電を行う「第2のモード」と、を切り替え可能とすることもできることは言うまでもない。このとき、スイッチ14は、RFタグリーダライタに対する導波器21の着脱に応じて、通信制御部3による給電を「第1のモード」と「第2のモード」との間で切り替える。
【0062】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0063】
本発明の第3の実施の形態は、上述した各実施の形態の変形例である。以下、上述の各実施の形態にてすでに述べた構成部分と同様な機能を有する部分には同一符号を付し、説明は省略する。
【0064】
上述の各実施の形態では、導波器21が、矩形状の導体板の対角に切り込み(摂動素子)を設けた形状に形成されている構成を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。たとえば、図15に示すように、円形の導体版にその輪郭が中央に向けて凹むように延びるスリットを形成することによっても、直線偏波を円偏波に変換する機能をもたせることができる。
【0065】
また、導波器21を、摂動素子を有しない正方形や円などの形状の導体板とすることにより、直線偏波のアンテナとして使用することもできる。
【0066】
以上詳述したように、上述の各実施の形態によれば、RFタグリーダライタによって読み取ろうとしているRFタグがRFタグリーダライタに対してどのような距離にあるかに応じて、適切な電波放射形態を選択することができ、安定的かつ操作性の高いRFタグとの通信を実現することができる。
【0067】
本発明は、その精神または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施の形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、すべて本発明の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0068】
1 近傍用直線偏波アンテナ、11 放射器、12 給電線、13 第1の地導体、14 スイッチ、15 上面カバー、16 誘電体、17 下面カバー、2 遠方円偏波用パーツ、21 導波器、22 第2の地導体、23 遠方用上面カバー、24 遠方用誘電体、25 遠方用下面カバー。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0069】
【特許文献1】特開2005−323019号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直線偏波の電波を放射する平板状の放射素子と、
前記放射素子に給電する給電素子と、
前記放射素子と平行に配置され、前記放射素子よりも大きい外形を有する平板状の地導体と、
前記地導体に着脱可能な拡張導体板であって、装着時に前記地導体に対する法線方向視において前記拡張導体板が前記放射素子を略包囲するように、前記地導体を拡張する平板状の拡張導体板と、
を備えるアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記アンテナ装置に着脱可能であり、装着時に前記放射素子と平行になり、前記放射素子から放射される直線偏波の電波を円偏波の電波に変換する平板状の導波器をさらに備えるアンテナ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のアンテナ装置において、
前記導波器と前記拡張導体板とが、前記アンテナ装置に対して、一体的に着脱可能に形成されているアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記放射素子および前記地導体は、前記給電素子と一体的に構成されているアンテナ装置。
【請求項5】
請求項2に記載のアンテナ装置において、
前記放射素子は、長方形状の平板から構成されており、
前記導波器は点対称の外形に形成されており、前記放射素子の長手方向におけるサイズは、前記アンテナ装置に装着されているときの前記導波器の前記長手方向におけるサイズよりも大きいアンテナ装置。
【請求項6】
請求項5に記載のアンテナ装置において、
前記導波器の外形は矩形における対角線上の2つの角を点対称に切り欠いた形状に形成されているアンテナ装置。
【請求項7】
請求項1に記載のアンテナ装置において、
前記給電素子を介して前記放射素子に第1の送信出力での給電を行う第1のモードと、前記給電素子を介して前記放射素子に第2の送信出力での給電を行う第2のモードと、を切り替え可能な給電制御部と、
前記アンテナ装置に対する前記拡張導体板の着脱に応じて、前記給電制御部による給電を前記第1のモードと前記第2のモードとの間で切り替えるスイッチ部と、
をさらに備えるアンテナ装置。
【請求項8】
直線偏波の電波を放射する平板状の放射素子と、
前記放射素子に給電する給電素子と、
前記放射素子と平行に配置され、前記放射素子よりも大きい外形を有する平板状の地導体と、
前記アンテナ装置に着脱可能であり、装着時に前記放射素子に平行となり、前記放射素子から放射される直線偏波の電波を円偏波の電波に変換する導波器をさらに備えるアンテナ装置。
【請求項9】
請求項8に記載のアンテナ装置において、
前記放射素子は、長方形状の平板から構成されており、
前記導波器は点対称の外形に形成されており、前記放射素子の長手方向におけるサイズは、前記アンテナ装置に装着されているときの前記導波器の前記長手方向におけるサイズよりも大きいアンテナ装置。
【請求項10】
請求項9に記載のアンテナ装置において、
前記導波器の外形は矩形における対角線上の2つの角を点対称に切り欠いた形状に形成されているアンテナ装置。
【請求項11】
請求項8に記載のアンテナ装置において、
前記給電素子を介して前記放射素子に第1の送信出力での給電を行う第1のモードと、前記給電素子を介して前記放射素子に第2の送信出力での給電を行う第2のモードと、を切り替え可能な給電制御部と、
前記アンテナ装置に対する前記導波器の着脱に応じて、前記給電制御部による給電を前記第1のモードと前記第2のモードとの間で切り替えるスイッチ部と、
をさらに備えるアンテナ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−61622(P2011−61622A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210897(P2009−210897)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】