説明

アンテナ装置

【課題】低域から高域まで受信感度が良好な磁界型アンテナとして動作させることができると共に、アンテナ特性のばらつきが少なく取付も容易なアンテナ装置を提供する。
【解決手段】携帯機器に内蔵されて放送信号波を受信可能なアンテナ装置の放射導体部1を、立体的なループ状に延びて一端を給電点P1となし他端を接地端Q1となした第1帯状導体11と、この第1帯状導体11の途中から枝分かれして延びて先端を給電点P2となした第2帯状導体12とで構成する。給電点P1への給電により第1帯状導体11が第1のループアンテナ素子A1として励振し、給電点P2への給電により第1帯状導体11の一部と第2帯状導体12とが協働して第2のループアンテナ素子A2として励振する。各給電点P1,P2は可変同調手段3に接続されており、可変容量ダイオード4の容量値を制御して各ループアンテナ素子A1,A2の同調周波数を変化させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば地上デジタルテレビジョン放送などの放送信号を受信可能なアンテナ装置に係り、特に、携帯機器に内蔵可能な小型のアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地上デジタルテレビジョン放送を視聴可能な携帯電話機等の携帯機器が普及している。この種の携帯機器では、地上デジタルテレビジョン放送受信用のアンテナ装置として、帯域が広くて放射効率も高めやすいホイップアンテナなどのモノポールアンテナ(電界型アンテナ)が広く採用されている。ただし、携帯電話機などでホイップアンテナが外方へ突出していると邪魔で見栄えも悪く、かつ、ホイップアンテナを破損してしまう危険性も高いため、最近の携帯電話機では、地上デジタルテレビジョン放送受信用の電界型アンテナを筐体に内蔵したものが普及しつつある。
【0003】
しかしながら、電界型アンテナは、誘電体である人体(人の手や頭など)が近接するとその影響を受けやすいため、携帯機器に内蔵させると受信性能が安定させにくいという不具合があった。これに対してループアンテナなどの磁界型アンテナは、人体が近接しても影響を受けにくいという利点があるが、その反面、磁界型アンテナは電界型アンテナに比べて狭帯域であり放射効率も低い。それゆえ、磁界型アンテナを地上デジタルテレビジョン放送受信用の内蔵アンテナとなす場合には特別な工夫が必要となる。
【0004】
そこで従来より、金属板を折曲加工してなる大小2つのループアンテナ素子を電磁結合可能な位置関係に配設し、一方のアンテナ素子に給電することによって他方のアンテナ素子も励振できるようにした地上デジタルテレビジョン放送受信用のアンテナ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる従来のアンテナ装置では、大きいほうの低域用アンテナ素子の給電点に可変容量ダイオード(バラクタダイオード)を含む可変同調手段が接続されているため、高域を除く比較的広い周波数帯域でこの低域用アンテナ素子を放送信号波に同調させることが可能である。また、低域用アンテナ素子の内側に小さい高域専用アンテナ素子が近接配置されており、低域用アンテナ素子へ給電することによって高域専用アンテナ素子が電磁結合して高い周波数の放送信号波に同調できるようにしてある。このように2つのループアンテナ素子を組み合わせることによって、地上デジタルテレビジョン放送の全周波数帯域の受信が可能な小型の磁界型アンテナが実現できるため、これを携帯電話機の内蔵アンテナとなせば、人体が近接しても影響を受けにくくなって受信性能が安定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−325133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述した従来例のように、2つのループアンテナ素子を組み合わせるという構成のアンテナ装置では、低域用アンテナ素子の内側に配置する高域専用アンテナ素子をかなり小さく形成しなければならないため、高域において同調可能な周波数帯域が狭くなってしまう。また、可変同調手段によって低域用アンテナ素子の同調周波数をある程度変化させることは可能であるが、可変容量ダイオードの容量変化比が大きすぎるとアンテナ効率は低下してしまう。そのため、かかる従来例では、高域において受信感度の悪い周波数帯域が生じやすく、例えば高域の受信チャンネル数が多い中国などで使用することは困難であった。
【0007】
また、かかる従来例では、2つのループアンテナ素子を電磁結合に好適な位置関係に配設しなければならないため、両アンテナ素子の相対位置のばらつきによってアンテナ特性が大きくばらついてしまう。それゆえ、金属板を折曲加工してなる2つのアンテナ素子を携帯電話機の筐体等に組み付ける場合、その取付作業は煩雑となり、かつ、取付位置の若干の誤差は避けがたいため、アンテナ特性も安定させにくいという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、低域から高域まで受信感度が良好な磁界型アンテナとして動作させることができると共に、アンテナ特性のばらつきが少なくて取付も容易なアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明のアンテナ装置は、ループ状に延びて一端を第1給電点となし他端を接地導体に接続した第1帯状導体と、この第1帯状導体の途中から枝分かれして延びて先端を第2給電点となした第2帯状導体と、少なくとも前記第1給電点に接続された可変同調手段とを備え、前記第1給電点への給電により前記第1帯状導体が第1のループアンテナ素子として励振し、この第1のループアンテナ素子の同調周波数が前記可変同調手段によって変更可能であると共に、前記第2給電点への給電により前記第1帯状導体の一部と前記第2帯状導体とが協働して第2のループアンテナ素子として励振し、この第2のループアンテナ素子の同調周波数が前記第1のループアンテナ素子の同調周波数よりも高いという構成にした。
【0010】
このように構成されたアンテナ装置では、第1のループアンテナ素子として励振可能な第1帯状導体から第2帯状導体が枝分かれして延びており、これら第1および第2帯状導体を一体品として形成でき、また、第1帯状導体の一部と第2帯状導体とが協働して第2のループアンテナ素子として励振可能なため、第1のループアンテナ素子の同調周波数よりも高い所望の周波数に第2のループアンテナ素子を同調させることができる。しかも、第1給電点への給電によって第1のループアンテナ素子を所定の周波数で励振させることが可能なだけでなく、第2給電点を接地端の如くに動作させて該周波数よりも高い別の周波数で励振させることが可能なため、可変同調手段で同調周波数を変化させることにより、このアンテナ装置の受信可能な帯域幅は容易に広げることができる。それゆえ、このアンテナ装置は、低域から高域まで受信感度が良好な磁界型アンテナとして動作させることができ、人体(人の手や頭など)が近接してもその影響を受けにくいことから受信性能も安定させやすい。また、このアンテナ装置は、2種類のループアンテナ素子が一体化されていることから、携帯機器への取付が容易でアンテナ特性のばらつきも少ない。
【0011】
上記の構成において、可変同調手段が第1給電点と第2給電点の両方に接続されていると、第2給電点への給電によって第2のループアンテナ素子を所定の周波数で励振させることが可能なだけでなく、第1給電点を接地端の如くに動作させて該周波数よりも低い別の周波数で励振させることが可能になるため、可変同調手段で同調周波数を変化させることにより、このアンテナ装置の受信可能な帯域幅を一層容易に広げることができる。つまり、ローバンド選択時だけでなくハイバンド選択時にも同調周波数が変更できるようにしてあると、受信可能な高域の帯域幅が広くなる。
【0012】
また、上記の構成において、可変同調手段が可変容量ダイオードを含んでいると、可変容量ダイオードに印加する逆電圧の大きさに応じて同調周波数を変化させることができるため、可変同調手段の構造を簡素化できて好ましい。
【0013】
また、上記の構成において、第1帯状導体が、互いに非平行な複数の開口面を画成する立体的なループ状に延びていると、比較的電気長の長い第1のループアンテナ素子(第1帯状導体)をコンパクトな外形に形成することができるため好ましい。この場合において、第1帯状導体が複数箇所で直角に屈曲しながら延びる導体として形成されていると共に、第2帯状導体が第1帯状導体から直角に分岐する導体として形成されていると、第1および第2帯状導体の設計や製造が容易になる。
【0014】
また、上記の構成において、誘電体材料からなるブロック体の表面に第1および第2帯状導体がパターン形成されていると、携帯機器への取付が一層容易になってアンテナ特性も安定化させやすくなる。
【0015】
また、上記の構成において、受信可能な周波数帯域が地上デジタルテレビジョン放送の信号波の周波数帯域を含んでいると、携帯電話機等の携帯機器に内蔵可能で受信感度が良好な地上デジタルテレビジョン放送受信用の磁界型アンテナが得られる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のアンテナ装置によれば、第1のループアンテナ素子として励振可能な第1帯状導体から第2帯状導体が枝分かれして延びており、第1帯状導体の一部と第2帯状導体とが第2のループアンテナ素子として励振可能であり、また、第1給電点への給電によって第1のループアンテナ素子を所定の周波数で励振させることが可能なだけでなく、第2給電点を接地端の如くに動作させて該周波数よりも高い別の周波数で励振させることが可能である。したがって、可変同調手段で同調周波数を変化させることにより、このアンテナ装置の受信可能な帯域幅は容易に広げることができる。つまり、このアンテナ装置は、低域から高域まで受信感度が良好な磁界型アンテナとして動作させることができ、人体が近接してもその影響を受けにくいことから受信性能も安定させやすい。また、このアンテナ装置は、2種類のループアンテナ素子が一体化されていることから、携帯機器への取付が容易でアンテナ特性のばらつきも少ない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1実施形態例に係るアンテナ装置の斜視図である。
【図2】図1のアンテナ装置を別の角度から見た斜視図である。
【図3】該アンテナ装置の基本的な回路構成図である。
【図4】該アンテナ装置のVSWR特性を示す説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態例に係るアンテナ装置の斜視図である。
【図6】本発明の第3実施形態例に係るアンテナ装置の斜視図である。
【図7】本発明の第4実施形態例に係るアンテナ装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態例について図面を参照しながら説明する。まず、本発明の第1実施形態例に係るアンテナ装置について説明すると、このアンテナ装置は、地上デジタルテレビジョン放送受信用の内蔵アンテナとして携帯電話機に組み込まれるものである。図1と図2に示すように、このアンテナ装置は、金属板を所定形状に折曲加工してなる放射導体部1と、携帯電話機の回路基板2に設けられた可変同調手段3とを備えており、放射導体部1が回路基板2の長手方向の一端部に取り付けられている。
【0019】
放射導体部1は、立体的なループ状に延びている第1帯状導体11と、この第1帯状導体11の途中から枝分かれして延びている第2帯状導体12とからなる。第1帯状導体11の一端はローバンド用の第1給電点P1となっており、第1帯状導体11の他端は回路基板2に設けられた図示せぬ接地導体に接続される接地端Q1となっている。第1帯状導体11は複数箇所で直角に屈曲しながらループ状に延びる導体として形成されているため、互いに直交する複数の開口面を画成している。第2帯状導体12は第1帯状導体11から直角に分岐する導体として形成されており、この第2帯状導体12の先端はハイバンド用の第2給電点P2となっており、基端は第1帯状導体11との連結端Q2となっている。
【0020】
図3に示すように、可変同調手段3には、第1給電点P1や第2給電点P2に接続された可変容量ダイオード(バラクタダイオード)4を含む整合回路と、第1給電点P1用の信号経路L1と第2給電点P2用の信号経路L2の分岐点に配置されてLNA(低雑音増幅回路)6に接続された高周波用スイッチ5とが備えられている。この可変同調手段3はLNA6等を介してチューナ回路と接続されている。可変容量ダイオード4には、チューナ回路からの制御信号Scによって逆電圧(0ボルト〜2.8ボルトの直流電圧)が印加され、この逆電圧の大きさに応じて可変容量ダイオード4の容量値が変化するようになっている。また、高周波用スイッチ5は、信号の周波数に応じて信号経路L1と信号経路L2を選択的にチューナ回路と接続する切換えスイッチとして動作する。つまり、ローバンド選択時には第1給電点P1がチューナ回路と接続され、ハイバンド選択時には第2給電点P2がチューナ回路と接続される。ただし、ローバンド選択時にもハイバンド選択時にも可変容量ダイオード4には同じ大きさの逆電圧が印加される。なお、高周波用スイッチ5の代わりにダイプレクサを用いることも可能である。そのほか、信号経路L1にローパスフィルタ(LPF)を介在させ、信号経路L2にハイパスフィルタ(HPF)を介在させるという回路構成にしてもよい。
【0021】
本実施形態例に係るアンテナ装置の動作について説明すると、第1給電点P1に給電することにより、放射導体部1は第1帯状導体11が第1のループアンテナ素子A1として励振し、該第1のアンテナ素子A1の同調周波数は可変同調手段3によって変更可能である。すなわち、磁界型アンテナとして動作する第1のループアンテナ素子A1のインピーダンスは誘導性(インダクティブ)であり、そのインダクタンスは低域で増大し高域で低下するため、可変容量ダイオード4に印加する逆電圧を小さくして容量値を大きく設定すれば、低域の所定周波数において第1のアンテナ素子A1とインピーダンスをマッチングさせることができる。また、逆電圧を大きくして可変容量ダイオード4の容量値を小さく設定すれば、より高い周波数において第1のアンテナ素子A1とインピーダンスをマッチングさせることができる。
【0022】
さらに、第1給電点P1への給電によって第1のループアンテナ素子A1を所定の周波数で励振させることができるだけでなく、第2給電点P2を接地端の如くに動作させて、該周波数よりも高い別の周波数で放射導体部1を励振させることもできる。すなわち、このアンテナ装置は、第1給電点P1へ給電するローバンド選択時にVSWR(電圧定在波比)が周波数に応じて図4に示すように変化し、2つの共振点が現れる。同図において、左側の実線カーブは、可変容量ダイオード4に印加する逆電圧が0ボルトのときのVSWR特性を示しており、右側の破線カーブは、逆電圧が2.8ボルトのときのVSWR特性を示している。図4から明らかなように、可変同調手段3で同調周波数を変化させることにより、このアンテナ装置は低域側で受信可能な帯域幅を容易に広げることができる。
【0023】
また、第2給電点P2に給電することにより、放射導体部1は、第2帯状導体12と、連結端Q2から接地端Q1へと至る第1帯状導体11のL字状部分とが協働して、第2のループアンテナ素子A2として励振する。この第2のループアンテナ素子A2の電気長は第1のループアンテナ素子A1の電気長に比べてはるかに短いため、高域の所定の周波数で第2のループアンテナ素子A2を励振させることができる。そして、この場合も、第2給電点P2への給電によって第2のループアンテナ素子A2を所定の周波数で励振させることができるだけでなく、第1給電点P1を接地端の如くに動作させて該周波数よりも低い別の周波数で放射導体部1を励振させることもできる。すなわち、前述したローバンド選択時と同様の動作原理で、第2給電点P2へ給電するハイバンド選択時にも、可変容量ダイオード4に印加する逆電圧の大きさを制御することによって、高域側で受信可能な帯域幅を容易に広げることができる。
【0024】
このように本実施形態例に係るアンテナ装置では、第1のループアンテナ素子A1として励振可能な第1帯状導体11から第2帯状導体12が枝分かれして延びており、これら第1および第2帯状導体11,12が一体品として形成されている。また、第1帯状導体11の一部と第2帯状導体12とが協働して第2のループアンテナ素子A2として励振可能なため、第1のループアンテナ素子A1の同調周波数よりも高い所望の周波数に第2のループアンテナ素子A2を同調させることができる。しかも、このアンテナ装置の放射導体部1は、ローバンド選択時に第1のループアンテナ素子A1を所定の周波数で励振させることができるだけでなく、第2給電点P2を接地端の如くに動作させて該周波数よりも高い別の周波数で励振させることができるため、2つの共振点が設定できる。同様に、放射導体部1はハイバンド選択時にも、第2のループアンテナ素子A2を所定の周波数で励振させることができるだけでなく、第1給電点P1を接地端の如くに動作させて該周波数よりも低い別の周波数で励振させることができるため、やはり2つの共振点が設定できる。それゆえ、このアンテナ装置は、可変同調手段3で同調周波数を変化させることによって、受信可能な帯域幅を容易に広げることができる。つまり、このアンテナ装置は、低域から高域まで受信感度が良好な磁界型アンテナとして動作させることができ、人体(人の手や頭など)が近接してもその影響を受けにくいことから受信性能も安定させやすい。また、2種類のループアンテナ素子A1,A2が一体化されていることから、このアンテナ装置は、携帯電話機の回路基板2への取付が容易でアンテナ特性のばらつきも少ない。
【0025】
また、本実施形態例に係るアンテナ装置では、第1帯状導体11が複数箇所で直角に屈曲しながら延びる導体として形成されていると共に、第2帯状導体12が第1帯状導体11から直角に分岐する導体として形成されているため、比較的電気長の長い第1のループアンテナ素子A1(第1帯状導体11)をコンパクトな外形に形成して放射導体部1の小型化を図ることが容易であるのみならず、第1および第2帯状導体11,12の設計や製造が容易である。
【0026】
なお、高域の受信チャンネル数が少ない場合には、ハイバンド選択時に同調周波数が変更できなくても対応できるため、その場合は第2給電点P2を可変同調手段3と接続しない構成にしてもよい。ただし、上記の実施形態例のように、ローバンド選択時だけでなくハイバンド選択時にも同調周波数が変更できるようにしてあると、受信可能な高域の帯域幅が広くなるため、高域の受信チャンネル数が多い場合に使い勝手が良くなる。
【0027】
また、上記の実施形態例では、アンテナ装置を携帯電話機の長手方向の一端部に内蔵させた場合について例示しているが、このアンテナ装置を携帯電話機以外の携帯機器に内蔵させても、ほぼ同様の効果を期待できる。
【0028】
図5は本発明の第2実施形態例に係るアンテナ装置の放射導体部を示すものであり、図1と対応する部分には同一符号を付してある。
【0029】
図5に示す放射導体部7は、第1実施形態例で示した放射導体部1とループ形状は同じであるが、金属板ではなく導体パターンによって形成されている点が大きく異なっている。すなわち、この放射導体部7では、誘電体材料からなる直方体形状のブロック体8の表面に、第1帯状導体11と第2帯状導体12とがパターニングにより形成されている。
【0030】
この第2実施形態例では、第1および第2の帯状導体11,12がブロック体8の表面に導体パターンによって形成されているため、各帯状導体11,12の位置精度が高まってアンテナ特性を安定化させやすくなる。また、ブロック体8が誘電体材料からなるため、誘電体の波長短縮効果によって放射導体部7を小型化することができる。また、放射導体部7を携帯機器へ取り付ける際に1つのブロック体8として取り扱うことができるため、取付作業性が大幅に向上する。
【0031】
図6は本発明の第3実施形態例に係るアンテナ装置を示すものであり、図1と対応する部分には同一符号を付してある。
【0032】
図6に示すアンテナ装置は、放射導体部9のうち特に第2帯状導体12の形状が、第1実施形態例で示した放射導体部1と大きく異なっている。すなわち、この放射導体部9の第2帯状導体12は、第1帯状導体11との連結端Q2から第2給電点P2へ向かってL字状に延びている。ただし、この放射導体部9を第1実施形態例の放射導体部1と比べた場合、第1のループアンテナ素子A1(第1帯状導体11)のループ形状や、第2のループアンテナ素子A2のループ形状は、基本的に同じである。
【0033】
図7は本発明の第4実施形態例に係るアンテナ装置を示すものであり、図1と対応する部分には同一符号を付してある。
【0034】
図7に示すアンテナ装置は、放射導体部10のうち特に第1帯状導体11の形状が、第1実施形態例で示した放射導体部1と大きく異なっている。すなわち、この放射導体部10の第1帯状導体11は、回路基板2と略平行な面に沿って約1回転半のループを描くように延びている。そのため、この放射導体部10はローバンド選択時の受信感度が高めやすくなっている。
【0035】
なお、図6に示す第3実施形態例の放射導体部9と図7に示す第4実施形態例の放射導体部10は、いずれも金属板を折曲加工して形成したものであるが、第2実施形態例と同様に、誘電体材料からなるブロック体の表面に放射導体部9や放射導体部10をパターン形成してもよい。また、放射導体部(第1および第2の帯状導体11,12)の形状は上記した各実施形態例に限定されるものではなく、用途や材料等に応じて放射導体部の形状は適宜選択可能である。
【符号の説明】
【0036】
1,7,9,10 放射導体部
2 回路基板
3 可変同調手段
4 可変容量ダイオード(バラクタダイオード)
5 高周波用スイッチ
8 ブロック体
11 第1帯状導体
12 第2帯状導体
P1 第1給電点
P2 第2給電点
Q1 接地端
Q2 連結端
A1 第1のループアンテナ素子
A2 第2のループアンテナ素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ループ状に延びて一端を第1給電点となし他端を接地導体に接続した第1帯状導体と、この第1帯状導体の途中から枝分かれして延びて先端を第2給電点となした第2帯状導体と、少なくとも前記第1給電点に接続された可変同調手段とを備え、
前記第1給電点への給電により前記第1帯状導体が第1のループアンテナ素子として励振し、この第1のループアンテナ素子の同調周波数が前記可変同調手段によって変更可能であると共に、前記第2給電点への給電により前記第1帯状導体の一部と前記第2帯状導体とが協働して第2のループアンテナ素子として励振し、この第2のループアンテナ素子の同調周波数が前記第1のループアンテナ素子の同調周波数よりも高いことを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記可変同調手段が前記第1給電点と前記第2給電点のそれぞれに接続されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記可変同調手段が可変容量ダイオードを含んでいることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項の記載において、前記第1帯状導体が、互いに非平行な複数の開口面を画成する立体的なループ状に延びていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項5】
請求項4の記載において、前記第1帯状導体が複数箇所で直角に屈曲しながら延びる導体として形成されていると共に、前記第2帯状導体が前記第1帯状導体から直角に分岐する導体として形成されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項の記載において、誘電体材料からなるブロック体の表面に前記第1および第2帯状導体がパターン形成されていることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項の記載において、受信可能な周波数帯域が地上デジタルテレビジョン放送の信号波の周波数帯域を含んでいることを特徴とするアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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