説明

アンテナ装置

【課題】付加容量の調整が容易なアンテナ装置を提供すること。
【解決手段】フィルム10の主部10a上に形成された主部側容量形成部11aと放射導体板12との間に付加容量が形成されている。これにより、台座部3の誘電率の製造ばらつきによって付加容量が変動することによりアンテナ装置1の周波数特性が変動した場合であっても、主部側容量形成部11aをトリミングすることによって放射導体板12に対する主部側容量形成部11aの対向面積を調整することにより、付加容量を容易に調整し、アンテナ装置1の周波数特性を所望の周波数特性に調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS用アンテナ装置やGPS用アンテナ装置を含む複合アンテナ装置に利用して好適なアンテナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に搭載される車載用情報機器として、GPS(衛星測位システム:Global Positioning System)やVICS(道路交通情報通信システム:Vehicle Information and Communication System)を利用したナビゲーション装置、ETC(自動料金収受システム:Electronic Toll Collection system)を利用した有料道路における料金自動支払システムなどの普及が目覚ましい。また、車載電話システムとGPSとを併用して事故発生時などに災害救助信号を自動発信する緊急通信システムも実用化されている。これらの車載用情報機器において用いられるアンテナ装置については、自動車の限られた空きスペースに配置されることから、小型であることが求められる。このため、車載用情報機器では、平面アンテナ装置がアンテナ装置として広く利用されている。特にGPS用やETC用のアンテナ装置については、円偏波の電波を送受信する関係から平面アンテナ装置が多用されている。
【0003】
従来の平面アンテナ装置として、接地導体上に設けられた誘電体基板と、誘電体基板上に配設された複数の半田ランドと、誘電体基板上に所定間隔離間して配置された放射導体板と、放射導体板の中央部を除く複数箇所を誘電体基板側へ折り返して形成された複数の脚片とを備え、複数の脚片を半田ランドに半田付けして放射導体板を支持する構成を有するものが知られている。このような構成を有する平面アンテナ装置では、半田ランドが誘電体基板を介して接地導体と対向している。このため、半田ランドに半田付けされている脚片と接地導体との間に容量が付加されることによって、共振周波数が低くなり、結果として、放射導体板及び平面アンテナ装置の小型化を実現することができる。
【0004】
ところが、このような平面アンテナ装置の構成によれば、小型化を実現することはできるが、半田ランドの半田量や半田付け面積のばらつきによって付加容量が変動し、結果として、平面アンテナ装置の周波数特性が変動することがある。このため、特許文献1,2には、誘電体基板に対向する脚片の先端部を折り曲げたり、脚片と接地導体との間にコンデンサ素子を設けたりするなどして、半田ランドを用いることなく脚片と接地導体との間に容量を付加する方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−79009号公報
【特許文献2】特開2009−21884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1,2記載の平面アンテナ装置では、脚片の折り曲げ部やコンデンサなどの容量形成成分は、誘電体基板側に配置されているために、組み付け後にその容量値を調整することは難しい。このため、特許文献1,2記載の平面アンテナ装置によれば、誘電体基板の誘電率の製造ばらつきによって付加容量が変動することにより平面アンテナ装置の周波数特性が変動した場合に、付加容量を調整することによって平面アンテナ装置の周波数特性を調整することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、付加容量の調整が容易なアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1の態様に係るアンテナ装置は、接地基板と、前記接地基板の表面から所定間隔離間して配置された基板部と、前記接地基板上で前記基板部を支持する支持部とを有する台座部と、前記台座部の基板部及び支持部に貼り付けられたフィルムと、前記フィルムの表面又は裏面側に設けられた放射導体板と、前記フィルムの表面側に設けられた、前記放射導体板と電磁結合して該放射導体板との間に容量素子を形成する容量形成部と、を備える。
【0009】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第2の態様に係るアンテナ装置は、接地基板と、前記接地基板の表面から所定間隔離間して配置された基板部と、前記接地基板上で前記基板部を支持する支持部とを有する台座部と、めっき処理によって前記台座部の表面側に形成された放射導体板と、めっき処理によって前記接地基板と対向する前記基板部の裏面側に形成された、放射導体板と電磁結合して該放射導体板との間に容量素子を形成する容量形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るアンテナ装置によれば、接地基板や台座部の誘電率の製造ばらつきによって付加容量が変動した場合であっても、付加容量を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態であるアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、接地基板への支持部及びフィルムの固定方法を説明するための部分拡大図である。
【図3】図3は、フィルムの裏面側の構成を示す平面図である。
【図4】図4は、フィルムの表面側の構成を示す平面図である。
【図5】図5は、台座部へのフィルムの固定方法を説明するための部分拡大図である。
【図6】図6は、付加容量の調整方法を説明するための平面図である。
【図7】図7は、付加容量の他の調整方法を説明するための平面図である。
【図8】図8は、フィルムの表面側の構成を示す平面図である。
【図9】図9は、フィルムの裏面側の構成を示す平面図である。
【図10】図10は、脚部側容量形成部と放射導体板との間に形成される付加容量を示す断面図である。
【図11】図11は、フィルムの表面側の構成を示す平面図である。
【図12】図12は、脚部側容量形成部と放射導体板との間に形成される付加容量を示す断面図である。
【図13】図13は、本発明の第2の実施形態であるアンテナ装置の構成を示す斜視図である。
【図14】図14は、フィルムの裏面側の構成を示す平面図である。
【図15】図15は、フィルムの表面側の構成を示す平面図である。
【図16】図16は、フィルムの裏面側の構成を示す平面図である。
【図17】図17は、フィルムの表面側の構成を示す平面図である。
【図18】図18は、本発明の第3の実施形態であるアンテナ装置の構成を示す図であり、図18(a),(b)はそれぞれアンテナ装置の側面図及び台座部の裏面側の構成を示す図である。
【図19】図19は、図10に示す付加容量の変形例の構成を示す断面図である。
【図20】図20は、図12に示す付加容量の変形例の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の第1乃至第3の実施形態であるアンテナ装置の構成について説明する。
【0013】
〔第1の実施形態〕
始めに、図1乃至図6を参照して、本発明の第1の実施形態であるアンテナ装置の構成について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態であるアンテナ装置の構成を示す斜視図である。図2は、接地基板への支持部及びフィルムの固定方法を説明するための部分拡大図である。図3は、フィルムの裏面側の構成を示す平面図である。図4は、フィルムの表面側の構成を示す平面図である。図5は、台座部へのフィルムの固定方法を説明するための部分拡大図である。図6は、付加容量の調整方法を説明するための平面図である。
【0014】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態であるアンテナ装置1は、接地基板2と、接地基板2の表面2a上に設けられた台座部3とを備える。接地基板2は誘電体材料によって形成され、その裏面側は接地されている。台座部3は、誘電体材料によって形成され、接地基板2の表面2aに対向する基板部3aと、基板部3aの裏面3a2側から接地基板2の表面2a側に向けて立設された4本の支持部3bとを備える。接地基板2と基板部3aとは、4本の支持部3bによって所定間隔離間して配置されている。
【0015】
図2に示すように、4本の支持部3bの端部には位置決めピン3b1が形成されている。台座部3は、位置決めピン3b1を接地基板2に形成された位置決め孔2bに挿入することによって接地基板2に対して位置決めされる。台座部3は、接地基板2に対する位置決め完了後、位置決めピン3b1を接地基板2に熱融着させることによって接地基板2に固定される。
【0016】
図1に示すように、基板部3aの表面3a1側にはフィルム10が貼り付けられている。図3及び図4に示すように、フィルム10は、基板部3aに貼り付けられる主部10aと、支持部3bの外周に貼り付けられる4つの脚部10bとを備える。図5に示すように、主部10aには、位置決め孔10a3が形成されている。フィルム10は、位置決め孔10a3に基板部3aの表面3a1に立設された位置決めピン3a3を挿入することによって台座部3に対して位置決めされた上で接着剤20によって基板部3aの表面3a1に貼り付けられる。なお、フィルム10を貼り付けた後、主部10aと位置決めピン3a3とを熱融着させてもよい。
【0017】
図2に示すように、脚部10bの端部は、半田材料21によって接地基板2に固定されている。図3に示すように、主部10aの裏面側には、銅箔などによって形成された放射導体板12が配置されている。放射導体板12には、円偏波の電波を送受信可能なようにスリット形状の摂動部12aが形成されている。放射導体板12には、導電性部材4(図1参照)が接続されている。図1に示すように、導電性部材4は、接地基板2の表面2a側に立設された部材であり、台座3を貫通して放射導体板12に接続している。図示しない給電ピンから導電性部材4に供給された給電信号は、導電性部材4を介して放射導体板12に供給される。すなわち、放射導体板12は1点給電方式によって直接給電される。
【0018】
図4に示すように、主部10aの四隅と4つの脚部10bとの表面側には、銅箔などによって形成された4つの容量形成部11が配置されている。各容量形成部11は、主部10aの角部に配置された三角形状の主部側容量形成部11aと、脚部10bの表面に配置された脚部側容量形成部11bとを備える。4つの脚部側容量形成部11bは、半田材料21を介して接地基板2に接続されている。4つの主部側容量形成部11aは、主部10aを介して放射導体板12と電磁結合して放射導体板12との間に容量素子を形成する。この結果、アンテナ装置1の共振周波数が低くなり、アンテナ装置1の小型化を実現することができる。
【0019】
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の実施形態であるアンテナ装置1では、フィルム10の主部10a上に形成された主部側容量形成部11aと放射導体板12との間に付加容量が形成されている。従って、このような構成によれば、台座部3の誘電率の製造ばらつきによって付加容量が変動することによりアンテナ装置1の周波数特性が変動した場合であっても、例えば図6に示すように主部側容量形成部11aをトリミングすることによって放射導体板12に対する主部側容量形成部11aの対向面積を調整することにより、付加容量を容易に調整し、アンテナ装置1の周波数特性を所望の周波数特性に調整できる。
【0020】
なお、本発明の第1の実施形態であるアンテナ装置1では、主部側容量形成部11aの形状は三角形状であるとしたが、主部側容量形成部11aの形状は三角形状以外の形状であってもよい。例えば、図7に示すように、フィルム10の主部10aの面内方向に突出する複数の突起部13を主部側容量形成部11aに設け、トリミングする突起部13の長さや本数を調整することによって、付加容量を調整するようにしてもよい。
【0021】
また、本発明の第1の実施形態であるアンテナ装置1では、フィルム10の主部10a上に形成された主部側容量形成部11aと放射導体板12との間に付加容量を形成することとしたが、脚部側容量形成部11bと放射導体板12との間に付加容量を形成するようにしてもよい。具体的には、この場合、図8に示すように、脚部10bの端部表面に配置された脚部側容量形成部11bのみによって容量形成部11を形成すると共に、図9に示すように、脚部側容量形成部11bと対向するように放射導体板12を脚部10bの裏面側まで延伸させる。このような構成によれば、図10に示すように、フィルム10の脚部10bを介して脚部側容量形成部11bと脚部10b側に延伸された放射導体板12との間に付加容量Cが形成される。また、付加容量Cの大きさは、脚部側容量形成部11bをトリミングすることによって放射導体板12に対する脚部側容量形成部11bの対向面積を調整することにより、容易に調整することができる。
【0022】
また、図8乃至図10に示した例では、フィルム10の脚部10bを介して付加容量を形成したが、フィルム10を介さずに容量形成部11と放射導体板12とを直接対向させて付加容量を形成してもよい。具体的には、この場合、図11に示すように、脚部10bの端部表面に配置された脚部側容量形成部11bのみによって容量形成部11を形成すると共に、主部10bの表面に放射導体板12を形成する。また、放射導体板12を脚部10b側に延伸させると共に、延伸方向の端部に複数の突起部14を形成する。このような構成によれば、図12に示すように、脚部側容量形成部11bの端部と突起部14との端部との間に付加容量Cが形成される。また、付加容量Cの大きさは、トリミングする突起部14の長さや本数を調整することによって容易に調整することができる。
【0023】
〔第2の実施形態〕
次に、図13乃至図15を参照して、本発明の第2の実施形態であるアンテナ装置の構成について説明する。図13は、本発明の第2の実施形態であるアンテナ装置1の構成を示す斜視図である。図14は、フィルムの裏面側の構成を示す平面図である。図15は、フィルムの表面側の構成を示す平面図である。
【0024】
図13に示すように、本発明の第2の実施形態であるアンテナ装置1は、接地基板2と、接地基板2の表面2a上に設けられた台座部3とを備える。接地基板2は誘電体材料によって形成され、その裏面側は接地されている。台座部3は、誘電体材料によって形成され、接地基板2の表面2aに対向する基板部3aと、基板部3aの裏面3a2側から接地基板2の表面2a側に向けて立設された4本の支持部3bとを備える。接地基板2と基板部3bとは、4本の支持部3bによって所定間隔離間して配置されている。接地基板2への台座3の固定方法は、本発明の第1の実施形態であるアンテナ装置1と同様であるので、説明は省略する。
【0025】
接地基板2の表面2a側には、ウィルキンソン型分配器30が設けられている。ウィルキンソン型分配器30は、接地基板2の表面2aの面内で互いに90度離れた位置関係にある2つの出力部31a,31bを有する。図示しない1本の給電ピンからウィルキンソン型分配器30に供給された給電信号は、同振幅で90度の位相差を持って出力部31a,31bからそれぞれ出力される。ウィルキンソン型分配器30を用いることにより、図示しない受信回路とのインタフェイスを1本の給電ピンのみとすることができる。
【0026】
台座3の表面側にはフィルム10が貼り付けられている。台座3へのフィルム10の固定方法は、本発明の第1の実施形態であるアンテナ装置1と同様であるので、説明は省略する。図14及び図15に示すように、フィルム10は、基板部3aに貼り付けられる主部10aと、支持部3bの外周に貼り付けられる4つの脚部10bとを備える。図14に示すように、主部10aの裏面側には、銅箔などによって形成された放射導体板12が配置されている。放射導体板12の出力部31a,31bに対応する位置には切り欠き部12b1,12b2が形成されている。
【0027】
図15に示すように、主部10aの四隅と4つの脚部10bとの表面側には、銅箔などによって形成された4つの容量形成部11が配置されている。各容量形成部11は、主部10aの角部に配置された三角形状の主部側容量形成部11aと、脚部10bの表面に配置された脚部側容量形成部11bとを備える。4つの脚部側容量形成部11bは、半田材料21を介して接地基板2に接続されている。4つの主部側容量形成部11aは、主部10aを介して放射導体板12と電磁結合して放射導体板12との間に容量素子を形成する。この結果、アンテナ装置1の共振周波数が低くなり、アンテナ装置1の小型化を実現することができる。
【0028】
主部10aの切り欠き部12b1,12b2に対応する位置には、銅箔などによって形成された一対の給電パッド40a,40bが設けられている。給電パッド40a,40bと出力部31a,31bとは、台座部3を貫通する棒状の導電性部材4a,4b(図13参照)によって電気的に接続されている。これにより、出力部31a,31bから出力された給電信号は、導電性部材4a,4bを介して給電パッド40a,40bに供給され、給電パッド40a,40bと放射導体板12との間に形成される容量素子を介して放射導体板12に容量給電されることになる。すなわち、放射導体板12は2点給電方式によって容量給電される。
【0029】
以上の説明から明らかなように、本発明の第2の実施形態であるアンテナ装置1では、フィルム10の主部10a上に形成された主部側容量形成部11aと放射導体板12との間に付加容量が形成されている。従って、このような構成によれば、台座部3の誘電率の製造ばらつきによって付加容量が変動することによりアンテナ装置1の周波数特性が変動した場合であっても、主部側容量形成部11aをトリミングすることによって放射導体板12に対する主部側容量形成部11aの対向面積を調整することにより、付加容量を容易に調整し、アンテナ装置1の周波数特性を所望の周波数特性に調整することができる。
【0030】
また、本発明の第2の実施形態であるアンテナ装置1では、放射導体板12は2点給電方式によって給電されるので、アンテナ装置1の帯域を広帯域化することができる。また、本発明の第2の実施形態であるアンテナ装置1では、給電パッド40a,40bがアンテナ装置1の最表面に配置されているので、給電パッド40a,40bをトリミングすることによって放射導体板12に対する給電パッド40a,40bの対向面積を調整することにより、給電の際のインピーダンスを容易に調整することができる。
【0031】
なお、本実施形態では、導電性部材4a,4bを介して給電パッド40a,40bと出力部31a,31bとを接続することとしたが、フィルム10を図16及び図17に示すように構成することによって給電パッド40a,40bを出力部31a,31bまで延伸させることにより、給電パッド40a,40bと出力部31a,31bとを直接接続するようにしてもよい。この場合、導電性部材4a,4bを貫通させるための切り欠き部12b1,12b2を放射導体板12に形成する必要が無くなるので、放射導体板12の面積をより広くしてアンテナ特性を向上させることができる。
【0032】
〔第3の実施形態〕
次に、図18を参照して、本発明の第3の実施形態であるアンテナ装置の構成について説明する。図18は、本発明の第3の実施形態であるアンテナ装置1の構成を示す図であり、図18(a),(b)はそれぞれアンテナ装置の側面図及び台座部の裏面側の構成を示す図である。
【0033】
図18に示すように、本発明の第3の実施形態であるアンテナ装置1は、接地基板51と、接地基板51の表面上に設けられた台座部52とを備える。接地基板51は誘電体材料によって形成され、その裏面側は接地されている。台座部52は、基板部53と、接地基板51の表面から所定間隔離間させて基板部53を支持する支持部54とを備える。基板部53には、めっき処理によって導体層55が形成されている。導体層55は、基板部53の表面に形成された放射導体部55aと、放射導体部55aから基板部53の裏面側に延出する容量形成部55bとを備える。
【0034】
容量形成部55bの基板部53の側面に対応する位置には、基板部53の裏面に延出する複数本の突起部55b1が形成されている。複数本の突起部55b1は、基板部53の裏面側において対向する接地基板51と電磁結合して接地基板51との間に容量素子を形成する。複数本の突起部55b1は、放射導体部55aに接続されている。この結果、アンテナ装置1の共振周波数が低くなり、アンテナ装置1の小型化を実現することができる。
【0035】
以上の説明から明らかなように、本発明の第3の実施形態であるアンテナ装置1では、基板部53の側面から裏面側に延出する突起部55b1と接地基板51との間に付加容量が形成されている。従って、このような構成によれば、接地基板51の誘電率の製造ばらつきによって付加容量が変動することによりアンテナ装置1の周波数特性が変動した場合であっても、放射導体部55aと接続する突起部55b1の本数をトリミングすることによって、付加容量を容易に調整し、アンテナ装置1の周波数特性を所望の周波数特性に調整できる。
【0036】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。たとえば、図19や図20に示すように、図10や図12に示す付加容量をめっき処理によって形成するようにしてもよい。すなわち、図19に示す例では、放射導体板12はめっき処理によって台座部3の表面3a1側と裏面3a2側とに連続的に形成されている。また、脚部側容量形成部11bもめっき処理によって形成されている。このような構成によれば、支持部3bを介して脚部側容量形成部11bと支持部3b側に形成された放射導体板12との間に付加容量Cが形成される。また、付加容量Cの大きさは、脚部側容量形成部11bをトリミングすることによって放射導体板12に対する脚部側容量形成部11bの対向面積を調整することにより、容易に調整することができる。
【0037】
また、図20に示す例では、放射導体板12はめっき処理によって台座部3の表面3a1から支持部3bに連続的に形成されている。また、脚部側容量形成部11bもめっき処理によって形成されている。このような構成によれば、支持部3bを介して脚部側容量形成部11bと支持部3b側に形成された放射導体板12との間に付加容量Cが形成される。また、付加容量Cの大きさは、脚部側容量形成部11bをトリミングすることによって放射導体板12に対する脚部側容量形成部11bの対向面積を調整することにより、容易に調整することができる。このように、本実施形態に基づいて当業者などによりなされる他の実施の形態、実施例及び運用技術などは全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
1 アンテナ装置
2 接地基板
3 台座部
3a 基板部
3b 支持部
4 導電性部材
10 フィルム
10a 主部
10b 脚部
11 容量形成部
11a 主部側容量形成部
11b 脚部側容量形成部
12 放射導体板
13 突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地基板と、
前記接地基板の表面から所定間隔離間して配置された基板部と、前記接地基板上で前記基板部を支持する支持部とを有する台座部と、
前記台座部の基板部及び支持部に貼り付けられたフィルムと、
前記フィルムの表面又は裏面側に設けられた放射導体板と、
前記フィルムの表面側に設けられた、前記放射導体板と電磁結合して該放射導体板との間に容量素子を形成する容量形成部と、
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項2】
前記容量形成部は、前記基板部に貼り付けられたフィルムの表面に設けられた第1の容量形成部を有し、該第1の容量形成部は、前記フィルムの基材を介して、前記基板部に貼り付けられたフィルムの裏面側に設けられた放射導体板との間に容量素子を形成することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項3】
前記容量形成部は、前記支持部に貼り付けられたフィルムの表面に設けられた第2の容量形成部を有し、該第2の容量形成部は、前記フィルムの基材を介して、前記支持部に貼り付けられたフィルムの裏面側に設けられた放射導体板との間に容量素子を形成することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記容量形成部は、前記支持部に貼り付けられたフィルムの表面に設けられた第2の容量形成部を有し、該第2の容量形成部は、前記支持部に貼り付けられたフィルムの表面側に設けられた放射導体板との間に容量素子を形成することを特徴とする請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記放射導体板にそれぞれ同振幅で90度位相が異なる2点給電を行う給電部を有することを特徴とする請求項1〜4のうち、いずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記給電部は、前記フィルムの表面側に配置された、前記放射導体板との間に形成される容量素子を介して該放射導体板に給電する容量給電部を備えることを特徴とする請求項5に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記容量形成部は、前記フィルムの面内方向に突出する複数の突起部を備えることを特徴とする請求項1〜6のうち、いずれか1項に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
接地基板と、
前記接地基板の表面から所定間隔離間して配置された基板部と、前記接地基板上で前記基板部を支持する支持部とを有する台座部と、
めっき処理によって前記台座部の表面側に形成された放射導体板と、
めっき処理によって前記接地基板と対向する前記基板部の裏面側に形成された、放射導体板と電磁結合して該放射導体板との間に容量素子を形成する容量形成部と、
を備えることを特徴とするアンテナ装置。
【請求項9】
前記容量形成部は、前記基板部の側面側から裏面側へと延出する複数の突起部を備えることを特徴とする請求項8に記載のアンテナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−80342(P2012−80342A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223924(P2010−223924)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】