説明

アンバーガラス製造用混合物、アンバーガラス、着色電球の管及びブランクの製造方法、並びにガラスで得られる着色電球

本発明は、バット染料アンバーガラスの製造のための組成物;ソーダ−石灰−シリカ組成物をベースとしたガラス質に変わる組成物から形成するアンバーガラス;及び、そのガラスを用いた電球(1)のための管とブランク(2)の製造のための方法に関する。組成物は以下の成分の100重量%を含む:0.01重量%〜1重量%の二硫化モリブデン及び0.01重量%〜7重量%の硫化ストロンチウム。このようにして得られたガラスは、カドミウムのような有害物を持たず、所望の色を得るための付加的な熱処理は不要である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルク着色アンバーガラスを得るための、ソーダ−石灰−シリカ組成物をベースとしたガラスバッチに関する。
【0002】
また、その様なガラス、アンバーガラスで作られるブランク及び/又は管を製造する方法、並びにブランクから得られる管又は電球などの製品に関する。
【0003】
「アンバーカラー」という用語は、国際標準、特に、CIE1931として知られる照明関連作業についての国際調査委員会で定義されている、黄色から橙色の範囲の色を意味するものと理解されるべきである。
【0004】
更に詳しく言えば、照明についての国際調査委員会は、SAE J578基準により、車両について使用できる光源のための色度標準を定義しており、アンバーに対する境界は、次の通りである:
赤色境界: y=0.390;
白色境界: y=0.79−0.67x;
緑色境界: y=x−0.12。
【0005】
これは、広がった第一の四角形に関わり、その図式的な表示は標準比色空間を示す図上にあり、本明細書に添付の図2として与えられる。
【0006】
CEN(欧州標準化委員会)は、それ自身、規則ECE37を定義して、道路交通で使用される点滅灯電球に関する低減された比色許容領域の境界を、次の様に設定した:
黄色境界: y≦0.429;
赤色境界: y≦0.398;
白色境界: z≦0.007。
【0007】
ここで再び、これらの境界は、第一の四角形を含む第二の四角形で表すことができる(図2参照)。
【0008】
通常、これらの色は、CdS/Se/CdS又は3CdSe形態におけるカドミウム及びセレンの添加により、ソーダ−石灰をベースとしたガラスにおいて得られる。
【0009】
フランスの会社であるベルモント社(Vermont)は、1918年以来、工業ガラスを製造しており、その主たる業務は、家庭用及び自動車用照明のためのブロー成形バルク着色ガラスの分野に関わり、したがって、1980年代の末以来、その様な技術、特に、指示ランプの製造の技術を基礎にしたアンバーガラスの開発及び商品化が可能であった。
【0010】
しかしながら、このタイプの電球の製造は、カドミウム/セレンの添加により着色されるソーダ−石灰をベースとしたガラスで作られる管の製造と同様に、バルク着色電球よりもコストの安いことが証明されている橙色/ラッカー塗りランプの製造方法の出現、及び、また、カドミウムを含めた一定の重金属の使用制限をもたらすヨーロッパ指令(1991年6月18日の91/338/CEE)により1994年以来、挑戦を受けている。
【0011】
ラッカー塗布作業は、透明なガラス電球にアンバー色調(ティント)を与えるために、それを有機顔料をベースとしたワニス又はラッカーでコーティングすることからなる。
【0012】
この方法は、しかしながら欠点を有しており、しかもベルモント社としては決して納得しておらず、実施もしていない。
【0013】
これは、数年の研究及び使用の後に確立されたもので、コーティングの品質及び耐久性が、経時的に劣化するというものである。
【0014】
年を経るにつれて、色調は、色において相当に薄くなり、一方、繰り返される熱衝撃が、はがれ、又はそのひび割れにより、最後にはコーティングの層間剥離をもたらす。
【0015】
バルク着色の分野におけるその評判及びその従来の経験を考慮して、ベルモント社は、黄色/橙色範囲を得るために本発明を開発した。
【0016】
本発明の目的は、上述の欠点を軽減すること、並びにアンバーガラスを得るためのガラスバッチ、その様なガラス、及びアンバーガラス製の管及び/又はブランクの製造方法、及び、以前に知られたものよりも実用的要件によりよく合致するように着色された管又は電球を提案することであり、特に、本発明は、規制対象の毒性物質及び/又は環境的に有害な物質、例えば、鉛、カドミウム、セレン又はクロム等を含まないガラスを提供することであり、得られるガラスは、耐久期間(durable period)の間温度上昇する中間のまたは追加の作業なしに直接製造される色を有し(「耐久期間」という用語は、数分、例えば、30分又は1時間を意味するものと理解されるべきである)、色は、施行されている信号発信(signaling)についての国際標準内に収まり、経時的に安定であり、変動せず(成型後の着色のための処理を必要としない)、熱衝撃に無感応であり、改善されるコストのために達成されるべき高い製造生産速度(例えば、ブランク製造の場合、約90ブランク/分)を可能にする。
【0017】
この目的のために、本発明は、特に、バルク着色アンバーガラスを得るための、ソーダ−石灰−シリカ組成物をベースとしたガラスバッチであって、バッチが、バッチ100重量%当たり0.01重量%〜1重量%の二硫化モリブデン及び0.01重量%〜7重量%の硫化ストロンチウムを含むことを特徴とするガラスバッチを提供するものである。
【0018】
有利な態様においては、以下の1つ又はその他の特徴が使用されてもよい:
硫化ストロンチウムの割合は、バッチの重量の4%を超えない;
二硫化モリブデンの割合は、バッチの重量の0.3%を超えない;
バッチの鉄含有量は、0.04%未満である;及び
バッチは、硫黄を含まない(「硫黄を含まない」という表現は、0.01重量%未満又は0.005重量%未満の硫黄含有量割合を意味するものと理解されるべきである);並びに
バッチは、粉末形態におけるアルミニウムを0.2%まで含む。
【0019】
本発明は、また、溶融ガラス100重量%当たり:
SiO: 65〜72%
: 0.5〜3%
NaO: 5〜15%
O: 5〜15%
LiO: 0.2〜2%
CaO: 1〜5%
BaO: 0.5〜4%
Al: 0.5〜3%
MoO: 0.05〜0.5%
SO: 0.1〜0.7%
SrO: 2〜7%
を含み、MoO及びSOは、バッチにおけるMoS/SrS比が、0.015〜0.04であるように、二硫化モリブデンMoS及び硫化ストロンチウムSrSから得られる、上記バッチから得られるバルク着色アンバーガラスを提供するものである。有利には、この比は、0.015〜0.025である。
【0020】
更に有利には、バッチは、硫黄を含まない。
【0021】
本発明は、また、上述のアンバーガラスを得るための方法を提案する。
【0022】
また、ソーダ−石灰−シリカ組成物をベースとしたバッチから、アンバーガラス製の管又はブランクを製造する方法であって、バッチが、バッチ100重量%当たり65〜72%のSiO及び5〜15%のNaOを含む組成物に、0.01重量%〜1重量%の二硫化モリブデン及び0.01重量%〜7重量%の硫化ストロンチウムを添加することにより製造され、次いで、ガラスが、炉の中でバッチから、それ自身公知の方法において製造され、管及びブランクが熱応力を除くための制御された冷却以外には何らの追加的熱処理なしでその完成した色を伴って直接に形成されることを特徴とする方法を提案する。
【0023】
通常、この冷却は、約550℃から室温までで形成されるガラスブランクをゆっくりと(約20分にわたって)冷却することからなる。一般に、冷却は、内部引張り応力を除去するためにトンネルにおいて行われる。
【0024】
従来は、ガラスの色調を正確に生み出すために必要な、例えば、約500℃で少なくとも1時間は続く熱処理が、体系的に提供されている点に注意すべきである。
【0025】
本発明は、従来のそれとは異なり、バッチ組成物が、驚くべきことに、そして予期せぬことに、この熱処理を省くことを可能にする。
【0026】
有利には、管又はブランクのガラスは、ガラスが冷却される前に、数分間、例えば5分未満の時間、更にとりわけ1〜2分間、製造出口温度(500〜550℃)で維持される。
【0027】
本発明による方法及びそれを実施する装置により、毎分約50mの管又は70〜100のブランク(ガラスのゴブをブロー成形することにより得られる)を処理することが可能である。
【0028】
有利には、本発明方法は、硫化ストロンチウムの割合が、バッチの重量の4%を超えないことを特徴とする。
【0029】
実施の1つの有利な形態においては、本発明方法は、二硫化モリブデンの割合が、バッチの重量の0.3%を超えないことを特徴とする。
【0030】
更に有利には、鉄粒子は、バッチの鉄含有量が0.04%未満であるように、磁気的に除去される。
【0031】
また、有利には、バッチは、硫黄を含まない(0.01%未満及び/又は痕跡量)。
【0032】
実施の他の形態においては、ガラスの色調の明暗(shade)は、バッチの0.3重量%の量までの金属粉末ベースの還元剤の量の調整により、加熱炉内部の酸化−還元パラメータを変更することにより調節される。
【0033】
本発明は、また、管又はブランクから、及び上述の方法等から得られる、例えば、家庭用又は装飾用、その他自動車の点滅灯もしくは信号発信手段としての使用のための、照明システムのためのアンバーガラス電球を提案する。
【0034】
炉を出て直ぐにガラスのゴブから形成されるブランクは(そのアンバー色調は、必要とされる色標準に一致する)、色調を固定するための従来の方法の状況内では知られている熱処理やその他の補完的作業なしで、完成した方法において得られる。
【0035】
本発明は、非制限的実施例の方法により与えられる、本発明の態様の、以下の記述を読むことにより一層よく理解される。
【0036】
記述は、添付の図面を参照して行われる。
図1は、SiO/RO/R′Oタイプ(ここで、Rは、アルカリ金属元素であり、R′は、アルカリ土類金属元素である)のガラスをベースとしたポッド形状のガラスブランク2を含む、電球1を示す。
【0037】
ブランクは、アンバーカラーである。それは、処理されたシリカで形成されたガラスバッチから得られ、例えば、0.04%未満の鉄含有量(Fe)と共に、4%の硫化ストロンチウム(SrS)、0.25%の二硫化モリブデン(MoS)及び0.2%の粉末アルミニウム(Al)を含む。
【0038】
電球1は、それ自身公知の方法において、電力供給システムへの接続のためのキャップ3、及びフィラメント4を含む。
【0039】
溶融条件下の硫化物の存在において、これらは多硫化物を形成し、バッチにおいて存在する酸化鉄と共に、Fe2+、Fe3+、S2−、S2−イオン配合のイオン平衡に依存して、淡褐色から暗褐色の範囲の色調を生み出すことが知られている。
【0040】
この観察を考慮して、本明細書において更に詳細に記述される本発明の態様によるバッチにおいては、所望のアンバー着色のガラス色調を得るために、それらの低鉄含有量のために選択された材料、及び/又は、それらの金属粒子の精製が、例えばそれらを磁気グリッドに通して行われる材料が使用される。
【0041】
また、反応:
2FeS + Na = 2NaFeS
によるアルカリ金属スルホフェライトの形成が、淡褐色になる傾向を有する色調について容易には調節できない影響を及ぼすことが観察された。
【0042】
しかしながら、平衡は、所望のアンバー色調に更に密接に近づくことを可能にする硫化物を使用することにより保たれる。
【0043】
更に特に記述される態様においては、この平衡は、粉末アルミニム等の還元剤の存在により更に高められ、強力な酸化が淡褐色に向う色の漸進的ドリフトを常にもたらす。
【0044】
ガラスにおいて低溶解度(<1%)を有するモリブデンに関して、当業者は、過剰量が冷却されるか低温で保たれることにより結晶化する、高温における過飽和溶液に例えることができ、鉄の存在は、「アベンチュリン・ガラス(adventurine glass)」を創り出すポイントへの現象を際立たせることを知っている。
【0045】
事実、本発明者は、低鉄含有量を伴う硫化モリブデン要素と、上述のバッチによりもたらされる比率との組合せの存在が、黄色から橙色を通り橙色−赤色までの範囲の色調を予期に反して生じさせることを可能にし、通常の溶融範囲に相当する作業温度に対して、色調の色座標が、現に有効な国際信号発信標準に常に適合することを観察した。
【0046】
したがって、パーキンエルマーUV/VIS/NIRラムダ19分光計を使用して行った測定に基づいた、本発明の方法により得られた一連の試料について作成された透過曲線は、紫外領域及び500nmまでの可視領域において優れた吸収を示す。
【0047】
換言すれば、全ての青色及び多少の緑色が吸収され、黄色及び赤色だけが透過する。
【0048】
550nm近辺での透過における突然の増加はあまり顕著ではないが、得られた結果は、それ故に、CdSベースのガラスで得られたものに極めて近く、着色はS2−及びS2−の平衡が決定要因であるアニオンタイプである。
【0049】
事実、硫化物及び多硫化物の一部は、疑いなく所望のアンバーカラーの出現の原因であるスルホモリブデートおよびチオモリブデート等の新しい化合物を形成するために、少量のモリブデンと有利な錯体結合を与えることに注意するべきである。
【0050】
最後に、バッチのMoO/SO比、MoS/SrS比を変えることにより、色調の所望の明暗が決定されることが観察される。
【0051】
この比が増加すると、ドリフトは橙色に向う。それが減少すると、ドリフトは黄色に向い、比は約0.010〜約0.04の間で変動する。
【0052】
本発明によれば、上述のガラスバッチの使用は、溶融パラメータ(炉における温度及び滞留時間)の周知の調節を伴い、ガラス溶融体の最適化した酸化−還元は適当な比率のお陰であり、したがって、何らの追加的熱処理を伴うことなしに所望の色調で、直接にブランクを製造することを可能にする。
【0053】
図1A、1B及び1Cは、本発明によるバルク着色ガラスのゴブをブロー成形することにより得られたガラスブランク5、6及び7の他の態様を示し、ブランク1Cは、例えば、自動車の点滅灯用に設計されている。
【0054】
それらの照明部分における電球ブランク用のパリソン8、9及び10の厚さe、e′及びe″は、約0.4mmである。この厚さはガラスの重量及びその粘度に依存し、ばらつき度は約0.2mmまでの範囲であってもよく、上記特徴は、また、図1において示される電球にも適用できる。
【0055】
従来においては、平均値の周りを変動する、調節不可能な色変動が原因で、所望の色標準の外側の色調に帰することとなるかもしれない、同じパリソンの厚さに対して、正確な色調を系統的に与えることは不可能ではないが困難であった。
【0056】
本発明によれば、ばらつき度は、大体機械的に調節することのできる厚さにおける相違にだけ依存するのではないので、色調は、常に、許容される範囲内にある。
【0057】
図2においてプロットされているのは、ECE(ヨーロッパ経済委員会)標準(参照12)及びSAE(自動車技術者協会)標準(参照13)による、ガラスのアンバーカラー三角形におけるガラスの色特徴を示す色度図11である。これらの標準におけるアンバーカラーに対する境界は、図において広げられた四角形で表示されてもよく、ECE標準12は、色の更に高い純度領域に向う更に広いSAE標準13内に含まれている。
【0058】
丸14、星15及び三角16、17は、例えば、重量で、
68% SiO
1.65% B
9.10% Na
8.10% K
1% LiO
2.5% CaO
2.5% BaO
1.8% Al
5% SrO
を含むガラス組成物に相当し、そこではMoS及びSrS成分が変化して丸18の場合はMoS/SrS比が0.017であり、星15の場合は0.038であり、三角17の場合は0.03を超える。
【0059】
標準との比較は目視で行われ、比色分析測定は、積分球体及び、全体の明度を得るために、既知タイプのコンピュータ、例えば、DP100の名称で知られているミノルタコンピュータに接続された、日本企業のミノルタ社製のChroma−meter CL100の名称の比色計を使用して行われる。
【0060】
更に正確な領域にわたる測定は、次いで、TF6−120の名称のTHOMA(商標)の比色計を使用して行った。
【0061】
両方の場合において、光源は、標準光源Aであり、その近接色温度は2856Kである。この光源は、標準電源装置に接続され、その電圧は、13.5Vに調整される。
【0062】
測定は、CIE1931座標における2点x及びyで行われる。測定は、色度図における試料の色の飽和度、主波長及び位置、とりわけ信号送信を対象としたアンバー色調を定義する2つの現存する標準に関わる位置を定義することを可能とする。
【0063】
この色空間においてプロットされるものは、したがって、二硫化モリブデン/硫化ストロンチウム比が達成可能ないくつかの色調明暗を代表する幾何学的記号(星15、三角17等)である。
【0064】
この比の増加は、その座標が、平均色座標x=0.525、y=0.448を有する黄色−緑色(丸に十字の18)から、橙色−黄色を経て、SAE標準(三角17)の内側の座標の橙色に向い、平均色座標x=0.584、y=0.412(円14)を伴うECE及びSAE標準内の橙色−赤色までの範囲の多数の異なる明暗を生成する能力を示す。星15は、調整実験室で、完成したランプについて行った色測定を表し、平均色座標x=0.579、y=0.416を持つ。
【0065】
本発明によるバッチから得られたいくつかのガラス組成物は以下で与えられる。
【0066】
実施例1
ガラスのベースは、ソーダ−石灰−シリカタイプであり、主たる構成成分は、次の通りであった(重量%):
65〜72% SiO
0.5〜3% B
5〜15% Na
5〜15% K
0.2〜2% LiO
1〜5% CaO
0.2〜2% MgO
2〜7% SrO
0.5〜4% BaO
0.5〜3% Al
0.05〜0.5% MoO
0.1〜0.7% SO
【0067】
鉄、チタン、マグネシウム及びジルコニウム酸化物、Fe、TiO、MgO、ZrO等のような成分は、少量存在した(不可避的に添加された不純物)。
【0068】
このベースから得られたガラスの平均的物性は、次の通りであった:
融点(logη=2):1360℃;
ゴブ点(logη=3):1110℃;
軟化点(リトルトンlogη=7.6):675℃;
焼きなまし点(logη=13):515℃;
Tg(logη=13.3):500℃;
歪点(logη=14.5):460℃;及び
Δl(20/300℃)=93×10−7
【0069】
実施例2
このベースは、重量で以下の比率を与え、低コストで、照明ランプ工業において一般に使用されるソーダ−石灰ガラスに都合よく適合させることができた。
68〜72% SiO
12〜16% Na
0.5〜1.5% K
0.2〜1% LiO
6〜9% CaO
0.2〜2% MgO
0.5〜2% BaO
2〜7% SrO
0.5〜4% BaO
1〜3% Al
0.05〜0.5% MoO
0.1〜0.7% SO
Fe、TiO、ZrO等のような成分は、少量存在した(不純物)。
【0070】
このガラスの平均的物性は、次の通りであった:
融点(logη=2):1390℃;
ゴブ点(logη=3):1140℃;
軟化点(logη=4):975℃;
焼きなまし点(logη=7.6):695℃;
Tg(logη=13):530℃;
歪点(logη=13.3):503℃;及び
Δl(20/300℃)=93×10−7/℃。
【0071】
ガラスは、自動車における信号送信を対象とした取り付けランプ用として使用することが可能である。
【0072】
適当な色調の明暗において用意されたブランクは、また、広範囲の達成できる形態及び色調を伴う家庭用照明及び/又は装飾ランプを取り付けるために使用してもよい。
【0073】
したがって、製造されたガラスは、例えば、図1、1A及び1Bにおいて示されるもの等の、装飾を対象とした、アンバーワニスで被覆された装飾電球を有利に置き換えることが可能である。
【0074】
ブランクを連続的に製造するための方法は、ここで更に詳しく記述される本発明の態様により、図3及び4を参照して記述される。
【0075】
図3は、本発明の方法を実施するための設備20を示す。
【0076】
それは、ガラス溶融炉21、炉からの溶融ガラスで充たすためのチャンネル22、図4を参照して更に詳しく記述されるブランクを形成するためのカルーセル24を供給するディストリビューター23、冷却空気供給27及びブロー空気調整/分配28のための圧縮空気供給26のための自動調整及び調節手段25を含む。
【0077】
後者は、特に、コンプレッサー及びブロー成形中に使われる圧力を、自動プロセス調節システムにより安定化させるための手段を含む。
【0078】
次いで、カルーセルは、形成されたブランク29を、冷却トンネルを連続的に通過するコンベヤーベルト30に送る。冷却トンネルの目的は、ブランクの温度を約550℃で、例えば、1〜2分の範囲の時間維持して、成型中の機械上で急に冷却された時に創り出されるガラスの内部引張り応力を除去し、次いで、これらのブランクを、室温までゆっくりと(約20分かけて)下げて冷却することであり、この作業は決して色に影響を及ぼさない。
【0079】
自動調節手段32は、コンベヤーベルトの適切な作業を可能にし、ブランクは、例えば、その完成した色を伴って毎分90の割合で連続的に得られ、トンネル31において500℃/600℃から40℃まで通過して約20分間冷却される。次いで、それらは、34で貯蔵のために33のトンネルの出口で集められる。
【0080】
図4は、ブランクをブロー成形により連続的に形成できる上述のカルーセル24の概略平面図である。
【0081】
本明細書において更に詳細に記述される本発明の態様による、ブロー成形による製造のためのこのカルーセルを含む、ブランクを形成するための様々な工程/ステーションは、41〜69を参照して示されている。
【0082】
画定された比率においてバッチ材料を調製後、一連のバッチは、ガラス溶融体を供給するために炉中に導入される。ガラスペーストは、公知の方法で、1300℃から1500℃の温度まで加熱され、当業者の能力内で特定された溶融時間の間、この温度で維持される。
【0083】
溶融ペーストは、容器(ボール)から約1150℃の温度で取り出されるために、カルーセルに向けてゆっくりと流動し、次いで、ブランクの形成が、以下の工程により行われる:
41. ガラスの調製(容器温度);
42. ゴブの形成(供給プランジャー);
43. ゴブの切断(剪断);
44. ガラス研磨台上におけるゴブの位置合わせ;
45. ディスク形状へのゴブの加圧;
46. 移送及びテーブル上の堆積;
47. ディスクの局部冷却;
48. 引き延ばし冷却;
49. 装着された割型中への水の噴霧;
50. テーブルの回転の開始;
51. 金型からの過剰水の除去;
52. パリソンの自己形成;
53. リング形成ノズルの下降;
54. パリソン中への第一のブロー成形;
55. パリソンの外側へのブロー成形;
56. パリソン中への第二のブロー成形;
57. 金型の閉鎖;
58. 第一の充填ブロー成形;
59. 第二の仕上げブロー成形;
60. ノズルの上昇;
61. 金型の開放;
62. 再加熱トーチ;
63. テーブルの回転の停止;
64. ブランクの中のリングの分離;
65. ブランクの突き出し;
66. リングの突き出し、テーブルの噴霧;
67. テーブルの空気冷却;
68. 対象物の冷却焼きなまし炉への搬送;及び
69. 熱応力のみを除去するための冷却焼きなまし炉への入場。
【0084】
41〜69の工程は、カルーセルの連続回転速度によって、約30秒〜2分続く。
【0085】
言うまでもなく、そしてまた前述の結果の通り、本発明は、記述された更に特定の態様に限定されない。それどころか、本発明は、その変形の全て、特に、それが管であって、この様にして製造されるブランクではないものを包含する。
【0086】
管の製造方法の場合、ダンナーシステム(Danner system)及びベローシステム(Vello system)として知られている幾つかの公知のシステムが適用できる。
【0087】
更に正確には、ガラス管の工業的製造のためには4つの方法が存在し、その内の上記2つの方法は、全製造の90%超に相当する。
【0088】
ダンナーシステムでは、正確な粘度を伴う溶融ガラスが、小さな溝(注ぎ口)を介して、一般に耐火材料で作られている中空マンドレルの上を細流として流れる。
【0089】
このマンドレルは、約30°の角度で下方に傾斜している。
【0090】
マンドレルは、およそ1mから1.5mの長さと、製造に依存する15〜30cmの直径を有する。マンドレルは、その流動体としてのガラスを均一な厚さでこの耐火性管の周りに巻き付けるために、ゆっくりした回転運動を受ける。
【0091】
ガラス管の形成を可能にする延伸は、低圧空気が吹き込まれるマンドレルのその末端から起り、ガラス管の直径及び厚さは、ガラスの粘度、マンドレルのタイプ、吹き込まれる空気の量、とりわけ延伸速度に依存する。
【0092】
その最初の数メートルの延伸の間、未だ赤色の管は、熱衝撃を避けるために等温ボックスに保持され、次いで、制御された冷却を受ける。温度及び粘度が制御された冷却を可能にしたらすぐに、冷却作業の間に管が誘導されることを可能にするように管をエッジロール上に置く。
【0093】
管は、延伸システムの速度を調整する(レーザーによる)連続的な直径チェックを受け、次いで包装前の最後にファイアポリッシュされる前に、30〜100mの距離にわたって延伸され、その間(レーザーによる)連続的な直径チェックを受けて延伸システムの速度を調整する。
【0094】
ベローシステムは、厚さの一様性において良好な調節及び優れた品質を可能にする。更に、マンドレルの不存在は、マンドレルの交換(頻繁な摩耗及び破損)による停止時間及びラインの「起動」問題を減少する。
【0095】
このシステムは、床より上の高い位置に配置された目盛付きオリフィス(ブッシング)を備えた炉の出口にある通常の容器(ボール)を含む。
【0096】
コーンを備えた管の基底は、ブッシングオリフィスの流動面積を制限する。空気は、管を形成するために吹き込まれる(ロッドの製造は、空気なしで行うが、原理は同じである)。この原理により、ガラスは、重力下で自然に、一方で延伸速度により決められた力の助けにより流動し、十分にゆとりのある曲線を形成する。
【0097】
この方法の残りは、最初の方法と同じである。
【0098】
上述の2つの方法(ダンナー及びベロー)は、タンク炉を経由してガラスで供給され、その設計及び技術は、末端部分を除いて上述のものと同じである。本発明による管の一日の生産量は、約5トン/日から数十トン/日である。
【0099】
本発明により更に詳細に記述される用途、即ち、照明を対象とした電球等の形態に転換する目的のためのアンバー管の製造について、その直径は、5〜40mmで変動してもよい。
【0100】
好ましくは、そして、信号照明用に主として使用される目的のためには、管の断面は5mm〜20mmである。
【0101】
固定されたままで残り、かつ破損を誘発する可能性のある引張り力を創り出すことなしに他のガラス(フィラメントベース)への溶接に適した膨張係数とは関係なく、物理化学的性質は形成方法及び溶融のタイプ、特に、管の延伸、ランプへのその転換又は自動装置でそれをシールすることによる電球のために必要とされる条件に依存し、ある程度まで変更されてもよい粘度に関して適合できる。
【0102】
したがって、ガラスがホットに作られることのできる間の温度間隔、いわゆる作業範囲(ワークレンジ)は、延伸作業に関しては、η=3dPa.s〜η=7.6dPa.sの粘度範囲において、又は、転換/シール作業の場合には、η=6dPa.s〜η=9dPa.sの粘度範囲において、拡大されてもよく又は縮小されてもよい。
【0103】
この調整は、上述の比率によるそれらのモル質量の割合として、移動及び他の化学物質による一つの化学物質の一部の代替により、炉に供給されるバッチの化学物質において行われる。
【0104】
要するに、本発明を使用する管の製造は、鉛、カドミウム、セレン又はクロム等の規制の対象となる毒性物質及び/又は環境に有害な物質を含まないアンバーガラス管を得ることを可能にする。それは、得られるガラスが、温度が相当な時間上昇される間の、中間の又は追加の作業なしで直接生成される色を有し、色は施行されている信号発信のための国際標準に適合し、経時的に安定であり、管を転換のために再加熱する時及び電球を形成するとき及び最後にそれをシールするときも不変であるという、特別な特徴を維持することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明により製造されたガラスから製造された電球の側面図である。
【図1A】本発明による電球の様々な形状に対するガラスブランクの側面図である。
【図1B】本発明による電球の様々な形状に対するガラスブランクの側面図である。
【図1C】本発明による電球の様々な形状に対するガラスブランクの側面図である。
【図2】標準比色空間を示す図であり、その中に、本発明による電球の色が、確実にかつ着実に位置している。
【図3】本発明による方法を実施する1つの方法を実行するための例示の概念的透視図である。
【図4】図3の例示を使用する、ブロー成形によるブランクの形成工程を示す概念図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスバッチが、ガラスバッチ100重量%当たり、0.01重量%〜1重量%の二硫化モリブデン及び0.01重量%〜7重量%の硫化ストロンチウムを含むことを特徴とする、バルク着色アンバーガラスを得るためのソーダ−石灰−シリカ組成物をベースとしたガラスバッチ。
【請求項2】
硫化ストロンチウムの割合が、ガラスバッチの重量の4%を超えないことを特徴とする、請求項1記載のガラスバッチ。
【請求項3】
二硫化モリブデンの割合が、組成物の重量の0.3%を超えないことを特徴とする、請求項1又は2記載のガラスバッチ。
【請求項4】
ガラスバッチの鉄含有量が、0.04%未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項記載のガラスバッチ。
【請求項5】
ガラスバッチが、硫黄を含まないことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項記載のガラスバッチ。
【請求項6】
粉末形態のアルミニウムを0.2%まで含む、請求項1〜5のいずれか1項記載のガラスバッチ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載のガラスバッチを溶融することにより得られることを特徴とするアンバーガラス。
【請求項8】
バッチから得られるバルク着色アンバーガラスであって、ガラスが溶融ガラス100重量%当たり、
SiO: 65〜72%
: 0.5〜3%
NaO: 5〜15%
O: 5〜15%
LiO: 0.2〜2%
CaO: 1〜5%
BaO: 0.5〜4%
Al: 0.5〜3%
MoO: 0.05〜0.5%
SO: 0.1〜0.7%
SrO: 2〜7%
を含み、MoO及びSOは、バッチにおけるMoS/SrS比が、0.015〜0.04であるように、二硫化モリブデンMoS及び硫化ストロンチウムSrSから得られる、アンバーガラス。
【請求項9】
MoS/SrS比が、0.015〜0.025であることを特徴とする、請求項8記載のアンバーガラス。
【請求項10】
バッチが硫黄を含まないことを特徴とする、請求項9記載のアンバーガラス。
【請求項11】
ソーダ−石灰−シリカ組成物をベースとしたバッチから、アンバーガラス製の管又はブランク(2、5、6、7、29)を製造する方法であって、バッチが、バッチ100重量%当たり65〜72%のSiO及び5〜15%のNaOを含む組成物に、0.01重量%〜1%重量の二硫化モリブデン及び0.01重量%〜7重量%の硫化ストロンチウムを添加することにより製造され、次いで、ガラスが、それ自身公知の炉で前記バッチから製造され、管及びブランクが、熱応力を除くための制御された冷却以外には何らの追加的熱処理なしでその完成した色を伴って直接に形成されることを特徴とする方法。
【請求項12】
硫化ストロンチウムの割合が、バッチの重量の4%を超えないことを特徴とする、請求項11記載のブランクの製造方法。
【請求項13】
二硫化モリブデンの割合が、バッチの重量の0.3%を超えないことを特徴とする、請求項11又は12記載のブランクの製造方法。
【請求項14】
バッチの鉄含有量が0.04%未満であるように、鉄粒子が磁気的に除去されることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか1項記載のブランクの製造方法。
【請求項15】
バッチが硫黄を含まないことを特徴とする、請求項11〜14のいずれか1項記載のブランクの製造方法。
【請求項16】
ガラスの色調の明暗が、バッチの0.3重量%の量までの金属粉末ベースの還元剤の量の調整により、加熱炉内部の酸化−還元パラメータを変更することにより調節されることを特徴とする、請求項11〜15のいずれか1項記載のブランクの製造方法。
【請求項17】
自動車の点滅灯又は信号発信手段としての使用のための、請求項11〜16のいずれか1項記載の方法により製造されるブランク又は管から得られる、照明装置用アンバーガラス電球。

【図1】
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【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−516926(P2007−516926A)
【公表日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−546258(P2006−546258)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003386
【国際公開番号】WO2005/063641
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(506219786)
【氏名又は名称原語表記】VERMONT
【Fターム(参考)】