説明

アンプルの欠陥検出装置及び欠陥検出方法

【課題】容易かつ確実にアンプルの気泡又はツノの検出ができる気泡又はツノの検出方法及び検出システムを提供する。
【解決手段】気泡又はツノ等の欠陥検出システム100は、画像処理装置1を含んで構成され、アンプル2と、アンプル配置装置3と、アンプル供給装置4と、カメラ5と、リング状照明6及び撮像処理装置7を有する。アンプル配置装置3は、アンプル2の枝先部2Aが、水平面2Bと間隙12を置いた水平面5Bを備えるリング状照明5に対して、リング状照明5の中心線8に位置するようにアンプル2を配置する。撮像処理装置7によって、天面2Cに照射された水平照射光9に基く天面に形成された気泡14又はツノ等の欠陥による乱反射光によってアンプル2の天面2Cを撮像し、画像処理装置1によって天面2Cに形成された欠陥についての撮像画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンプルの枝先部の天面に形成された気泡又はツノ(角)等の構造的欠陥の検出装置及び検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体製剤等の容器として用いられるアンプルは、一般にその枝先部上部に設けられた開口から内部に液体製剤等が注入される。その後、枝先部先端の天面を加熱溶融して上部をピンチャー等で引っ張り余分な枝管部分を除去すると共に、下部溶融部が表面張力による復元力で溶閉され、自然に滑らかにドーム状の封止部が成形される。この一連のアンプルの加工作業は熔封作業と呼ばれる。
【0003】
この際、枝先部の溶融が始まる箇所においては、非溶融部分との境界を示す溶閉境界部が形成される。即ち、このアンプルの溶閉境界部から天面までの間に熔封作業によるアンプル枝先部の封止部が形成される。
【0004】
実際の熔封作業においては、一定の割合でアンプル枝先部の熔封不良が発生する。その典型的な例が、アンプル枝先部の天面に気泡又はツノ等の欠陥の生成である。アンプルの枝先部の天面近傍に気泡が生成されてしまうと、枝先部の強度が低下してこの部分で破裂してしまい、アンプル内部に注入された液体製剤等が漏れ出てしまうおそれ等がある。
【0005】
以上の理由により、アンプル(アンプル剤)の製造工程において、特にアンプル枝先部の気泡又はツノ等の欠陥の外観検査を行うことが要求されてきた。
【0006】
従来、この気泡又はツノの外観検査の方法としては、アンプルの外観部をカメラ等で撮影し、異常がないかどうかを検査する方法が用いられている。この外観検査では、アンプルを1個ずつカメラの前面に停止させ、その位置でアンプルを自転させながらアンプルの全外周面を検査すること等が行われている。
【0007】
アンプルの検査方法及び検査装置としては、特許文献1において、アンプル搬送機構の一部分にアンプル自転機構を設け、照明装置により自転する複数のアンプルに同時に照明を施し、撮影装置により各アンプルが所定の角度自転するごとにその像を撮影し、撮影された画像を画像処理装置により処理して得られたアンプルの枝先の形状とあらかじめ記憶されている許容形状誤差を有する基準データとを比較してアンプルの形状の良否を判定するアンプルの外観検査装置及び検査方法が提案されている。
【0008】
また、アンプルの検査方法及び検査装置に用いる照明装置としては、特許文献2において、二台のスターホイールの各ポケットに、ポケットに支持されるべきガラス壜の略半周を覆うようなミラー面を有するミラーを設け、二台のスターホイールの相対向する二つのポケットが一致する位置の下方に照明を設け、ガラス壜が一方のスターホイールに支持されて移動して他方のスターホイールに挟まれ、ガラス壜が一致した二つのポケットに挟持されたとき、照明からの光が二つのポケットに設けられたミラーを介してガラス壜3の全周からガラス壜内に入射する検査用照明装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平07−71935号公報
【特許文献2】特開2004−212079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献の発明は、いずれもアンプル等の容器の外観の欠陥を検査することはできるが、アンプル枝先部内部に生成される気泡等の欠陥を検査することは困難である。また、これら特許文献の発明は、アンプル検査のためアンプル自体を自転させ何点か撮像処理を行う必要があり、装置が高価になるという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、容易かつ確実にしかも簡便な構成で容易にアンプル枝先部の天面に形成された気泡又はツノ等の欠陥の検出ができるアンプルの欠陥検出装置あるいは欠陥検出システムを提供することにある。
【0012】
さらに本発明の目的は、容易かつ確実にしかも素早くアンプル枝先部の天面に形成された気泡又はツノ等の欠陥の検出ができるアンプルの欠陥検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、アンプルの枝先部に向けられたカメラと、アンプルの枝先部周辺に配置されたリング状照明と、カメラでアンプル枝先部の欠陥を撮像し画像を生成する撮像処理装置と、撮像処理装置で撮影された画像に基づきアンプルの欠陥を識別する画像処理装置を有するアンプルの欠陥検出装置において、アンプルの枝先部を通る水平面とわずかな間隙を置いた水平面を最下端として備えるリング状照明と、リング状照明に対してアンプルの枝先部が前記リング状照明のリング状空間の中央に位置するようにアンプルを配置するアンプル配置装置と、アンプルを前記アンプル配置装置に供給するアンプル供給装置とを有し、
リング状照明からの水平照射光をアンプルの枝先部の天面に照射し、アンプルの枝先部の肉厚変化部による乱反射光と、枝先部天面に形成された欠陥によって乱反射方向が変えられた乱反射光を取得し、乱反射光に基いて前記アンプルの枝先部天面に形成された欠陥についての画像を撮像処理装置により生成することを特徴とする。
【0014】
また、アンプル供給装置に供給されてアンプルの枝先部天面に形成された欠陥が乱反射光を発生する一連のアンプルと、アンプルの枝先部に向けられたカメラと、アンプルの枝先部周辺に配置されたリング状照明と、カメラでアンプル枝先部の欠陥を撮像し画像を生成する撮像処理装置と、撮像処理装置で撮影された画像に基づきアンプルの欠陥を識別する画像処理装置を有するアンプルの欠陥検出システムにおいて、アンプルの枝先部を通る水平面とわずかな間隙を置いた水平面を最下端として備えるリング状照明と、リング状照明に対して、アンプルの枝先部がリング状照明のリング状空間の中央に位置するようにアンプルを配置するアンプル配置装置と、アンプルを前記アンプル配置装置に供給するアンプル供給装置とを有し、リング状照明からの水平照射光をアンプルの枝先部の天面に照射し、アンプルの枝先部の肉厚変化部による乱反射光と、枝先部天面に形成された欠陥によって乱反射方向が変えられた乱反射光を取得し、該乱反射光に基いて前記アンプルの枝先部天面に形成された欠陥についての画像を前記撮像処理装置により生成することを特徴とする。
【0015】
また、アンプルの枝先部に向けられたカメラと、アンプルの枝先部周辺に配置されたリング状照明と、カメラでアンプル枝先部の欠陥を撮像し画像を生成する撮像処理装置と、撮像処理装置で撮影された画像に基づきアンプルの欠陥を識別する画像処理装置を有するアンプルの欠陥検出方法であって、アンプルの枝先部を通る水平面をわずかな間隙を置いた水平面を最下端として備えるリング状照明に対して、リング状照明のリング状空間の中央に位置するようにアンプルの枝先部を配置し、リング状照明からの水平照射光を前記アンプルの枝先部天面に照射し、アンプルの枝先部の欠陥による乱反射光と、枝先部天面における肉厚変化部による乱反射光とに基づいてアンプルの枝先部の画像を撮像し、アンプルの枝先部天面に形成された欠陥による乱反射方向が変えられた乱反射光によって、アンプルの枝先部に形成された欠陥の画像を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、リング状照明からの水平照射光をアンプルの枝先部の天面に照射し、アンプルの枝先部の肉厚変化部による乱反射光と、枝先部天面に形成された欠陥によって乱反射方向が変えられた乱反射光を取得し、乱反射光に基いてアンプルの枝先部天面に形成された欠陥についての画像を撮像処理装置により生成することにより、容易かつ確実に、しかも簡便な構成で容易にアンプルの枝先部の天面に形成された欠陥の検出ができるアンプルの欠陥検出装置または欠陥検出システムを提供することができる。
【0017】
さらに、本発明は、アンプルの枝先部天面に形成された欠陥による乱反射方向が変えられた乱反射光によって、アンプルの枝先部に形成された欠陥の画像を形成することにより、容易かつ確実にしかも素早くアンプル枝先部の天面に形成された欠陥検出ができるアンプルの欠陥検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明実施例である欠陥検出装置及び検出システムを示す模式図である。
【図2】図1におけるアンプル枝先部の天面周辺の拡大模式図である。
【図3】本発明実施例のアンプル枝先部の天面の撮像画像の説明図である。
【図4】比較例として示す欠陥検出装置の模式図である。
【図5】図4におけるアンプル枝先部の天面の撮像画像の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、本発明の実施例の概略を示す模式図であり、図2は、図1のアンプルの枝先部の天面周辺を拡大した模式図である。
〔基本構成〕
図1において、アンプルの枝先部の天面に生成される気泡又はツノ等の構造的欠陥を検出するための欠陥検出システム100は、画像処理装置1と、被検体容器であるアンプル2自体を含み、このアンプル2を所定の位置に配置するアンプル配置装置3、アンプル2を図示しない外部機構よりアンプル配置装置3に供給するアンプル供給装置4、リング状照明5、カメラ6及び後述するアンプル2の天面2Cの撮像画像20を得る撮像処理装置7から構成される。
【0021】
このような構成において、供試される一連のアンプル2を含んだシステムを指す場合に、欠陥検出システムといい、一連のアンプル2を含まない検出装置をいう場合には欠陥検出装置と言う。
【0022】
本発明は、上述のように欠陥検出システム及び欠陥検出装置に関するが、気泡もツノもアンプル枝管の天面近傍に発生するものであって検出方法においては同様であるので、以下気泡の検出を例にとって説明するが、検出する不良箇所は気泡には限定されない。以下、気泡検出システム100、気泡検出装置90として図に示す。以下に本実施例で用いるアンプル2について詳述する。
〔アンプル構造〕
本実施例で用いる被検体容器であるアンプル2は、内部に液体製剤等が封入される主にガラス製の管からなる一般的なアンプル容器であり、上方の管は径が小さくなっている。この小径箇所の管は枝管と呼ばれ、アンプル2の枝先部2Aと呼ばれる。
【0023】
アンプル2は、液体製剤等の封入時には枝先部2Aの内部は天面が開放されて大気にさらされており、この天面から液体製剤等を封入する。その後、枝先部2Aの天面2Cを加熱溶融し、枝先部上部をピンチャー等で引っ張って上部の余分な枝管部分を除去すると共に、枝管下部溶融部の表面張力による復元力で溶閉され、自然に滑らかにかつドーム状封止部を成形する。上記作業をアンプルの熔封作業という。
【0024】
ところで、上述した熔封作業においてある一定の割合でアンプルの枝先部の天面近傍に気泡が形成されてしまう。この気泡は、枝先部を構成する肉厚部とは光の乱反射現象が大いに異なっている。本実施例は、双方の乱反射現象の相違を利用して構成される。
【0025】
熔封作業により、液体製剤等はアンプル2内へ封入される。この際、アンプル2の枝先部2Aには、図2に示すように、枝先部2A及び天面2Cの間に、枝先部2Aの肉厚に対する肉厚変化部11が形成される。
【0026】
アンプル2の熔封作業の際に、アンプル枝先部2Aの天面2Cに気泡14が生成されてしまう場合がある。これは、アンプル2を溶閉する工程において、空気の巻き込み等によって、溶解したガラス原料の中に泡が形成されることに起因する。
【0027】
アンプル2の気泡14が生成された箇所で強度が低下するとアンプル2の天面2Cが破裂してしまい、アンプル2内部に注入された液体製剤等が漏れ出てしまう問題が生じる。
【0028】
本実施例の気泡検出装置及び気泡検出システムは、上述の気泡に基く問題を防ぐ目的で、アンプル2の天面2Cに気泡が生成されている場合は、この気泡を不良箇所として検出して、アンプル2自体の良・不良を判別するように構成されている。以下、本実施例の気泡検出システム100の構成について詳述する。
〔検出システム〕
本実施例の画像処理装置1は、アンプル2の枝先部2Aの周辺に配置されるリング状照明5、アンプル2の枝先部2Aに向けられるカメラ6、及びこのカメラ6により撮像した画像を処理する撮像処理装置7からの撮像信号を処理して欠陥を識別する機能を有する。
また更に、図1に示すように、アンプル配置装置3、アンプル供給装置4が設けられている。
【0029】
リング状照明5は、図1に示すように、略水平方向に照明光が照射されるように構成されている。以下この照射光を水平照射光9として扱う。図2に示す照明部5Cは、光量が多いハロゲン光等を用いるが、光量が多く、本実施例での使用に足りるものであれば、蛍光灯、LED、光ファイバ等の他のものであっても良い。
【0030】
なお、この水平照射光9は、実際にはリング状照明5の下端側の照明部5Cから照射されるようになっている。また、この水平照射光9は、水平方向に照射されるが、一部分は水平方向に対してわずかに傾斜して照射される照射光も含む。
【0031】
アンプル配置装置2は、図2に示すように、リング状照明5が備える最下端の水平面5Bと、アンプル2の枝先部2Aの上端を通る枝先部上端水平面2Bとの間を、わずかな間隙12を置いてアンプル2を配置するように構成されている。間隙12は後述する撮像画像20をより鮮明に得るために零とすることが好ましいが、アンプル2の上端がリング状照明5の下端に接触しないように零に近い値に決定する。
【0032】
また、図1においてアンプル配置装置3は、アンプル2の枝先部2Aを、垂直方向からみてリング状照明5のリング状5Aの中央に位置するようにアンプル2を配置するように構成されている。
【0033】
即ち、リング状照明5はこの中心が中心線8を通るように配置されており、またアンプル配置装置3は、アンプル2の中心が中心線8を通るように配置するように構成されている。なお、カメラ6においても、撮像上、カメラ6の中心が中心線8上を通るように配置することが望ましい。
【0034】
以上の構成により、図2に示すように、アンプル2の枝先部2Aを通る枝先部上端水平面2Bに対して、わずかな角度即ち傾斜角を持ったリング状照明5からの水平照射光9が、大部分が水平方向の成分となる水平照射光として枝先部2Aの天面2Cに照射されることになる。
【0035】
なお、水平照射光9の水平方向の成分を水平方向成分といい、垂直方向の成分を垂直方向成分というが、傾斜角がわずかであるので、以下水平照射光9として説明する。
【0036】
枝先部2Aの天面2Cは、断面略円形状をなし、照射された照射光はその一部が天面2Cに沿って曲り込む性質がある。
〔撮像原理〕
次に、上述の水平照射光9の天面2Cへの照射による、アンプル2の撮像原理を説明する。図2に示すように、上記の水平照射光9がアンプル2の枝先部2Aの天面2Cに照射されると、天面2Cにおける肉厚変化部11による光の乱反射方向に対して、天面2Cに形成された気泡14による光の乱反射方向は変わるようになっている。
【0037】
即ち、アンプル2の枝先部2Aは、天面2Cに水平照射光9が照射されると、照射された光が肉厚変化部11の表面あるいは内部で乱反射するが、乱反射光のうち気泡14に照射される成分の乱反射方向は、気泡14自体の形成過程に起因して多方向に亘ることになる。
【0038】
そして、水平照射光9は、大部分が水平方向の成分であり垂直方向の成分は極めて少ないので、上記の肉厚変化部11にて乱反射された光のうち、垂直方向の上方即ちカメラ6へ向かう成分は極めて少ない。この光の成分によって、肉厚変化部11の画像情報が得られる。
【0039】
気泡14に照射されて乱反射方向が変えられた乱反射光成分は、その一部が容易にカメラ6に向かうことになる。この乱反射光成分は気泡14の画像情報を有する。
〔撮像画像〕
本実施例の気泡検出システムは、撮像処理装置7によって、上述のカメラ6へ向かう垂直方向成分の光に基いて画像が形成され、画像処理装置1によって図3に示す撮像画像20が生成される。即ち、撮像処理装置7は、上記の乱反射方向が変えられた天面2Cに形成された気泡14による乱反射の光によって、天面2Cに形成された気泡14を含む画像20が形成されるように構成される。
【0040】
図3に示すように、アンプルの天面2Cにおける気泡14が明確に撮像されていることが分かる。肉厚変化部11についても、撮像画像20に撮像されている。
【0041】
従って、本実施例の気泡検出システム100は、リング状照明5が備える最下端の水平面5Bと、アンプル2の枝先部2Aを通る枝先部上端部水平面2Bとの間を、わずかな間隙12を置いてアンプル2を配置することにより、水平照射光9をアンプル2の天面2Cに照射したときに、気泡14に基く上述の乱反射光における垂直方向成分の光により、肉厚変化部11の垂直方向の乱反射光成分に妨げられることなく気泡14の撮像画像20を鮮明に得ることができる。
【0042】
なお、このわずかな間隙12は、零に近づくにつれて、上述の気泡14に基く乱反射光における垂直方向成分の光がより多量となり、撮像画像20をより鮮明に得られるため、間隙12は零にすることが好ましいが、アンプル2の上端がリング状照明5の下端に接触しないように零に近い値に決定することとなる。
〔比較例〕
ここで、本実施例の気泡検出システム100の比較例として、図4に従来の気泡検出システム200の概略構成を示し、図5に、気泡検出システム200によるアンプル2の天面2Cの斜め上方からの撮像画像35を示す。なお、本実施例の気泡検出システム100と同様の構成については同符号で示している。
【0043】
この気泡検出システム200は、図4に示すように、画像処理装置1を含んで構成されるものであり、アンプル2、反射光照明30、カメラ6及び撮像処理装置7とから構成される。
【0044】
そして、この気泡検出システム200は、アンプル2の側面から反射光照明30による照明をアンプル2の枝先部2Aへ照射し、この照射によるアンプル2の枝先部2Aの反射光をカメラ6によって撮像することにより、アンプル2の枝先部2Aの天面2Cの気泡14を含む撮像画像35を得るように構成されている。
【0045】
気泡検出システム200におけるカメラ5は、図4に示すように、アンプル2の中心8に対して傾斜した軸線31を中心として配置されている。また、アンプル2はアンプル配置装置3により配置され、アンプル供給装置4により供給されるようになっている。
【0046】
この気泡検出システム200による気泡検出の場合、図5に示すように、撮像画像35はアンプル2の天面2Cの気泡を検出することはできるものの、肉厚変化部11が写り込んでしまう。
【0047】
これは、アンプル2の枝先部2の肉厚変化部11に照射される反射光照明30の照明に基く、軸線31の方向への反射光の成分が多量であるために、撮像画像35に強く反映されてしまうためである。
【0048】
この場合、図5に示すように、気泡14が肉厚変化部11内に生成されていても、肉厚変化部11の画像に隠されてしまい、この箇所での気泡14を検出することができなくなってしまう。
【0049】
また、カメラ5をアンプル2の中心8に対して傾斜して斜めに配置しているために、アンプル2の天面2Cの全周の画像を得るためには、複数回撮像する必要が生じ、そのため気泡検出システム200は、アンプル2を自転させるように構成されている。従って、この気泡検出システム200による気泡14の検出は、本実施例の気泡検出システム100に比べて、素早く確実にしかも容易に行うことができない。
【0050】
これに対し、本実施例の気泡検出システム100は、上述の構成であるので、撮像処理装置7による1回の撮像で、アンプル2の天面2Cに生成される気泡の検出が容易かつ確実にできる。
【0051】
また、本実施例の気泡検出システム100は、上述のように画像処理装置1、アンプル2、アンプル配置装置3、アンプル供給装置4、リング状照明5、カメラ6及び撮像処理装置7を備えて構成することで、容易にアンプル2の枝先部2Aの天面2Cに形成された気泡14の検出をすることができる。
〔検出方法〕
次に、上述の気泡検出システム100による気泡検出方法について説明する。本実施例の気泡検出システム100による気泡検出方法は、アンプル2の枝先部2Aの天面2Cを通る枝先部上端水平面2Bをわずかな間隙12を置いた水平面5Bを最下端として備えるリング状照明5に対して、垂直方向からみてリング状照明5のリング状5Aの中央8に位置するようにアンプル2の枝先部2Aをアンプル配置装置3によって配置する。
【0052】
次に、リング状照明5から、アンプル2の枝先部2Aを通る水平面2Bに対してわずかな角度13を持った水平照射光9を枝先部2Aの天面2Cに照射し、天面2Cにおける肉厚変化部11による光の乱反射方向に対して、天面2Cに形成された気泡14による光の乱反射方向が変わる。
【0053】
そして、この乱反射方向が変えられた、天面2Cに形成された気泡14による乱反射の光によって、天面2Cに形成された気泡14を含む画像20を撮像処理装置7によって形成することで、上述と同様にアンプル2の天面2Cに生成された気泡14の検出を容易かつ確実にすることができる。また、気泡14を検出するためのアンプル2の撮像は、アンプル2の検査毎に1回の撮像で完了するので、素早い気泡14の検出ができる。
【0054】
上述のように、本実施例の気泡検出方法を用いることにより、容易かつ確実に、しかも素早くアンプルの枝先部の天面に形成された気泡の検出ができる。
【0055】
また、上述のように、本実施例の気泡検出システムを構成することにより、容易かつ確実に、しかも簡便な構成で容易にアンプルの枝先部の天面に形成された気泡の検出ができる。
【0056】
なお、一般的なガラス製アンプル容器においても、天面に肉厚変化部を備えているので、上述のアンプル2と同様の性質を有しており、一般的なアンプル容器においても本実施例の気泡検出システムを適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
1…画像処理装置
2…アンプル
2A…枝先部
2B…枝先部上端水平面
2C…天面
3…アンプル配置装置
4…アンプル供給装置
5…リング状照明
5A…リング状空間
5B…リング状照明下端水平面
6…カメラ
7…撮像処理装置
8…中心線
9…水平照射光
11…肉厚変化部
12…間隙
14…気泡
20…撮像画像
90…気泡検出装置
100…気泡検出システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンプルの枝先部に向けられたカメラと、アンプルの枝先部周辺に配置されたリング状照明と、前記カメラでアンプル枝先部の欠陥を撮像し画像を生成する撮像処理装置と、該撮像処理装置で撮影された画像に基づきアンプルの欠陥を識別する画像処理装置を有するアンプルの欠陥検出装置において、
前記アンプルの枝先部を通る水平面とわずかな間隙を置いた水平面を最下端として備えるリング状照明と、該リング状照明に対して、前記アンプルの枝先部が前記リング状照明のリング状空間の中央に位置するようにアンプルを配置するアンプル配置装置と、前記アンプルを前記アンプル配置装置に供給するアンプル供給装置とを有し、
前記リング状照明からの水平照射光を前記アンプルの枝先部の天面に照射し、前記アンプルの枝先部の肉厚変化部による乱反射光と、前記枝先部天面に形成された欠陥によって乱反射方向が変えられた乱反射光を取得し、該乱反射光に基いて前記アンプルの枝先部天面に形成された欠陥についての画像を前記撮像処理装置により生成することを特徴とするアンプルの欠陥検出装置。
【請求項2】
アンプル供給装置に供給されてアンプルの枝先部天面に形成された欠陥が乱反射光を発生する一連のアンプルと、該アンプルの枝先部に向けられたカメラと、アンプルの枝先部周辺に配置されたリング状照明と、前記カメラでアンプル枝先部の欠陥を撮像し画像を生成する撮像処理装置と、該撮像処理装置で撮影された画像に基づきアンプルの欠陥を識別する画像処理装置を有するアンプルの欠陥検出システムにおいて、
前記アンプルの枝先部を通る水平面とわずかな間隙を置いた水平面を最下端として備える前記リング状照明と、該リング状照明に対して、前記アンプルの枝先部が前記リング状照明のリング状空間の中央に位置するようにアンプルを配置するアンプル配置装置と、前記アンプルを前記アンプル配置装置に供給するアンプル供給装置とを有し、
前記リング状照明からの水平照射光を前記アンプルの枝先部の天面に照射し、前記アンプルの枝先部の肉厚変化部による乱反射光と、前記枝先部天面に形成された欠陥によって乱反射方向が変えられた乱反射光を取得し、該乱反射光に基いて前記アンプルの枝先部天面に形成された欠陥についての画像を前記撮像処理装置により生成することを特徴とするアンプルの欠陥検出システム。
【請求項3】
アンプルの枝先部に向けられたカメラと、アンプルの枝先部周辺に配置されたリング状照明と、前記カメラでアンプル枝先部の欠陥を撮像し画像を生成する撮像処理装置と、該撮像処理装置で撮影された画像に基づきアンプルの欠陥を識別する画像処理装置を有するアンプルの欠陥検出方法であって、
アンプルの枝先部を通る水平面をわずかな間隙を置いた水平面を最下端として備えるリング状照明に対して、該リング状照明のリング状空間の中央に位置するようにアンプルの枝先部を配置し、
前記リング状照明からの水平照射光を前記アンプルの枝先部天面に照射し、
前記アンプルの枝先部の欠陥による乱反射光と、枝先部天面における肉厚変化部による乱反射光とに基づいてアンプルの枝先部の画像を撮像し、
前記アンプルの枝先部天面に形成された欠陥による乱反射方向が変えられた乱反射光によって、アンプルの枝先部に形成された欠陥の画像を形成することを特徴とするアンプルの欠陥検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−237203(P2011−237203A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106891(P2010−106891)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【Fターム(参考)】