説明

アンプル容器

【課題】開封時における内溶液の液ハネを防止することができるアンプル容器を提供することを目的とする。
【解決手段】内容液Xを収容した容器本体2と、容器本体2の口部23に装着されるキャップ体3と、を備えており、キャップ体3が、口部23内に連通する開口30aが形成された天壁部30と、天壁部30から垂下されて口部23の外側に周設された外筒部31と、開口30aの上方に配設された頭部33と、頭部33の下端に連設されて頭部33を容器本体2に対して相対的に動かすことで切断可能な弱化部34と、を有するアンプル容器1において、キャップ体3には、口部23の内側に配置されているとともに天壁部30の下面から垂下され、下方に向かうに従い漸次縮径された筒状の内筒部35が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンプル容器に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料水や薬剤、肥料等の内溶液を収容するアンプル容器として、従来、例えば特許文献1に示されているような、内溶液が収容されたアンプル瓶本体部(容器本体)と、アンプル瓶本体部の口部の開口端の上方に起立されてアンプル瓶本体部を密封する把手部(頭部)と、把手部の下端と口部の上端との間に介在された頸部(弱化部)と、を備えた構成が知られている。このアンプル容器では、把手部をアンプル瓶本体部に対して相対的に折り曲げることで頸部が切断され、アンプル瓶本体部が開封される。
【0003】
また、アンプル容器として、従来、例えば特許文献2に示されているような、アンプル本体(容器本体)と、アンプル本体の口部に装着される栓部(キャップ体)と、が備えられ、前記栓部にねじ切り頭部(頭部)及び薄肉部(弱化部)がそれぞれ形成された構成も知られている。つまり、容器本体と頭部及び弱化部とが別体になった構成のアンプル容器である。上記キャップは、口部内に連通する開口が形成された天壁部と、天壁部の外縁部から垂下されて口部の外側に周設された外筒部と、上記開口の上方に配設されたねじ切り頭部と、ねじ切り頭部の下端部と天壁部の上面との間に介在された薄肉部と、を備えている。このアンプル容器では、ねじ切り頭部をアンプル本体に対して相対的に回転させることで薄肉部がねじ切られ、アンプル本体が開封される。
【特許文献1】実開平5−13441号公報
【特許文献2】特開2003−116964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のアンプル容器では、開封時に内溶液の液ハネが生じ易いという問題がある。詳しく説明すると、頭部を容器本体に対して相対的に動かして弱化部を切断する際、容器本体内の内溶液の液面に揺れが生じ、容器本体内の内溶液が容器本体の肩部の内周面に沿って跳ね上がり、内溶液が口部から容器の外へ飛散する。
【0005】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、開封時における内溶液の液ハネを防止することができるアンプル容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るアンプル容器は、内容液を収容した容器本体と、該容器本体の口部に装着されるキャップ体と、を備えており、該キャップ体が、前記口部内に連通する開口が形成された天壁部と、該天壁部から垂下されて前記口部の外側に周設された外筒部と、前記開口の上方に配設された頭部と、該頭部の下端に連設されて該頭部を前記容器本体に対して相対的に動かすことで切断可能な弱化部と、を有するアンプル容器において、前記キャップ体には、前記天壁部の下面から垂下された内筒部が備えられ、該内筒部は、前記口部の内側に配置されているとともに前記開口に連通され、下方に向かうに従い漸次縮径されていることを特徴としている。
【0007】
このような特徴により、頭部を容器本体に対して相対的に動かして弱化部を切断する際、容器本体内の内溶液の液面に揺れが生じて内溶液が跳ね上がっても、その内溶液は内筒部によって遮られるので、天壁部の開口から容器本体の外へ内溶液が飛び出ることが防止される。また、内筒部は下方に向かうに従い漸次縮径されているので、内筒部の下側の開口面積が小さく、跳ね上がった内溶液が内筒部の内側に入り込みにくい。
【0008】
また、本発明に係るアンプル容器は、前記内筒部は周方向に複数に分割されており、該内筒部を構成する複数の分割片は間隔をおいて環状に並設されていることが好ましい。
【0009】
これにより、アンプル容器を傾倒させて天壁部の開口から内溶液を注出する際、隣り合う分割片の間から内溶液が流出するため、内筒部の外周部分に内溶液が溜まることが防止される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るアンプル容器によれば、容器本体内の内溶液の液面に揺れが生じて内溶液が跳ね上がっても、その内溶液は内筒部によって遮られるので、開封時における内溶液の液ハネを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係るアンプル容器の実施の形態について、図面に基いて説明する。
図1は本発明に係るアンプル容器の一例を示した縦半断面図であり、図2は後述するキャップ体3を下方から見た平面図である。
なお、本実施の形態では、容器本体2の口部23側(図1における上側)を上方とし、その反対側(図1における下側)を下方とする。また、図1に示す鎖線Lはアンプル容器1の中心軸線であり、以下単に中心軸線Lと記す。
【0012】
図1に示すように、アンプル容器1は、内容液Xを収容した容器本体2と、容器本体2の口部23に装着されたキャップ体3と、を備えている。容器本体2及びキャップ体3は、それぞれ例えば合成樹脂やガラス等からなる部材であり、容器本体2にキャップ体3を組み付けることによりアンプル容器1が製作される。
【0013】
容器本体2は、中心軸線Lに沿って延びる略円筒形状の胴部20と、この胴部20の下方に設けられて胴部20の下端を閉塞する底部21と、前記胴部20の上端部に連設されているとともに胴部20の上端から上方に向かうに従い漸次縮径された肩部22と、この肩部22の上方に配設された口部23と、を備えている。口部23の下端部の外周面には、口部23の径方向の外側に突出した凸状の係止部23aが全周に亘って形成されている。なお、上記した胴部20、肩部22及び口部23は、中心軸線Lを共通軸として同軸上に延設されており、底部21は中心軸線Lに対して垂直に配設されている。
【0014】
キャップ体3は、中心軸線Lに対して垂直に配設された天壁部30と、天壁部30の外縁部から垂下された外筒部31と、天壁部30の下面から垂下されて外筒部31の内側に配設されたシール筒部32と、天壁部30の上方に起立された中空の頭部33と、頭部33の下端に連設された弱化部34と、天壁部30の下面から垂下されてシール筒部32の内側に配設された筒状の内筒部35と、を備えている。
【0015】
天壁部30は、口部23の上方に配設された円環状の板部であり、その中央部分には、口部23内に連通する平面視円形の開口30aが形成されている。
外筒部31は、略円筒形状の連続壁であり、口部23の外側に周設されている。外筒部31の下端部の内周面には、外筒部31の径方向の内側に突出した係止部31aが全周に亘って形成されており、この係止部31aが、上記した口部23の係止部23aに係止されることで、外筒部31と口部23とがアンダーカット嵌合されている。なお、外筒部31の内周面に雌ねじが形成され、口部23の外周面に雄ねじが形成され、外筒部31と口部23とがねじ嵌合されていてもよい。
シール筒部32は、略円筒形状の連続壁であり、口部23の内側に嵌合されている。このシール筒部32の外周面は口部23の内周面に液密に密接されている。
【0016】
頭部33は、中心軸線Lに沿って延びた筒状の部材であり、容器本体2の口部23の開口端(上端)の上方に配設されている。詳しく説明すると、頭部33は、中心軸線Lに対して垂直に配設された天壁部33aと、天壁部33aの外縁部から垂下された周壁部33bと、を備えている。頭部33の下端は天壁部30の開口30a側に向けて開放されており、上側から、頭部33の内部、弱化部34の内側、天壁部30の開口30a及び内筒部35の内部の順で連通されている。頭部33の上端は天壁部33aにより閉塞されており、この頭部33によって容器本体2が密封されている。周壁部33bの下部の外周面は下方に向かうに従い漸次拡径されている。
【0017】
弱化部34は、頭部33の下端部と天壁部30の内縁部(開口30aの外周部)との間に介在された環状の連結部であり、頭部33等の他の部位よりも脆弱であって頭部33を容器本体2に対して相対的に折り曲げる(傾倒させる)ことで切断可能になっている。具体的に説明すると、弱化部34は、環状の薄肉部であり、その外周面に縦断面視略三角形状の切り込みが全周に亘って入れられた形状になっている。つまり、弱化部34の外径は頭部33の下端から下方に向かうに従い漸次縮径されており、弱化部34の下端部が最も薄肉であって容易に切断可能になっている。
【0018】
内筒部35は、下方に向かうに従い漸次縮径されたテーパー形状の筒部であり、天壁部30の内縁部(開口30aの外周部)から垂下されて口部23の内側に配設されている。内筒部35の両端はそれぞれ開放されており、内筒部35の内部は、天壁部30の開口30aに連通されているとともに口部23の内側に連通されている。内筒部35の外周面は、容器本体2(口部23)の内周面やシール筒部32の内周面に対して口部径方向に離間されている。
【0019】
また、図2に示すように、内筒部35は、その周方向に複数に分割されている。つまり、内筒部35は、天壁部30の内縁(開口30aの外周)に沿って環状に並設された複数の分割片36によって構成されている。分割片36は、天壁部30の内縁部(開口30aの外周部)から中心軸線L側に向けて下向きに傾斜した棒状部材であり、天壁部30の内縁(開口30aの縁)に沿って複数配設されている。複数の分割片36は、周方向に間隔をおいて配設されており、隣り合う分割片36間には隙間Gが形成されている。
【0020】
次に、上記した構成からなるアンプル容器1の作用について説明する。
【0021】
アンプル容器1を開封する際、アンプル容器1を縦置きにした状態(口部23が上向きになる状態)で、頭部33を容器本体2に対して相対的に折り曲げる。例えば、一方の手で容器本体2の胴部20を把持するとともに、他方の手で頭部33の周壁部33bを把持し、頭部33を折り曲げる。これにより、弱化部34が切断され、頭部33を容器本体2や他のキャップ体3の部位から切り離される。そして、頭部33が切り離されると、天壁部30の開口30aが開放され、アンプル容器1が開封される。
【0022】
このとき、容器本体2内の内溶液Xの液面に揺れが生じ、容器本体2内の内溶液Xが肩部22の内周面に沿って跳ね上がる場合がある。このように、内溶液Xが跳ね上がっても、その内溶液Xは内筒部35によって遮られるので、天壁部30の開口30aから容器本体2の外へ内溶液Xが飛び出ることが防止される。
また、内筒部35は、下方に向かうに従い漸次縮径された形状になっているため、内筒部35の下端の開口面積が小さく、跳ね上がった内溶液Xが内筒部35の内側に入り難くい。
【0023】
次に、アンプル容器1(容器本体2)を傾倒させて天壁部30の開口30aから容器本体2内の内溶液Xを注出させる。このとき、隣り合う分割片36間の隙間Gが内溶液Xの流路となり、この隙間Gから内溶液Xが流出する。仮に、内筒部35が連続壁からなると、アンプル容器1を傾倒させて内溶液Xを注出したときに、内筒部35の外周面とシール筒部32の内周面との間に内溶液Xが溜まり、この溜まった分の内溶液Xはアンプル容器1内に残留することになるが、内筒部35が周方向に複数に分割されている場合には、上述したように隙間Gから内溶液Xが流出するため、内筒部35の外周部分に内溶液Xが溜まることが防止される。
【0024】
なお、天壁部30の開口30aから容器本体2内に図示せぬストローや注射針を挿入し、これらストローや注射針等によって容器本体2内の内溶液Xを吸い上げることも可能である。このとき、内筒部35の内側にストローや注射針等が挿通される。
【0025】
上記した構成からなるアンプル容器1によれば、肩部22の内周面に沿って跳ね上がった内溶液Xが内筒部35によって遮られるので、アンプル容器1の開封時における内溶液Xの液ハネを防止することができる。
特に、上記したアンプル容器1では、内筒部35の下端の開口面積が小さく、跳ね上がった内溶液Xが内筒部35の内側に入り難くなっているため、内筒部35によって内溶液Xの液ハネを確実に防止することができる。
【0026】
また、内筒部35が周方向に複数に分割されており、内筒部35を構成する複数の分割片36が間隔をおいて並設されており、アンプル容器1を傾倒させて天壁部30の開口30aから容器本体2内の内溶液Xを注出させる際、隣り合う分割片36間の隙間Gから内溶液Xが流出するため、容器本体2内の内溶液Xを残さずに注出させることができ、内溶液Xの残量を低減させることができる。
【0027】
以上、本発明に係るアンプル容器の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、複数の分割片36に分割された内筒部35が天壁部30の下面から垂下されているが、本発明は、連続壁からなる内筒部が天壁部30の下面から垂下されていてもよい。
【0028】
また、上記した実施の形態では、天壁部30の内縁部(開口30aの外周部)から内筒部35が垂下されているが、本発明は、天壁部30の開口30aよりも径方向外側の天壁部30下面から内筒部35が垂下されていてもよい。
【0029】
また、上記した実施の形態では、複数の分割片36が天壁部30の内縁(開口30aの外周)に沿って並設されているが、本発明は、複数の分割片36が天壁部30の開口30aの外周に沿って並設されていなくてもよい。例えば、平面視円形の開口30aの周りに複数の分割片36を平面視矩形状に並設してもよい。また、連続壁からなる内筒部の場合でも同様であり、例えば、平面視円形の開口30aに連通する角筒形状の内筒部が設けられていてもよい。
【0030】
また、上記した実施の形態では、上方に向けて延びた筒形状の頭部33が備えられているが、本発明は、頭部の形状は適宜変更可能である。例えば、中実柱状の頭部であってもよく、或いは、球状、板状、その他の形状の頭部であってもよい。
【0031】
また、上記した実施の形態では、全周に亘って薄肉にした弱化部34が形成されているが、本発明は、薄肉の弱化部34に限定されるものではなく、頭部33を容器本体2に対して相対的に動かすことで切断可能な弱化部であればよい。例えば、非貫通の切れ目を周方向に間欠的に形成した弱化部であってもよく、或いは、頭部33や天壁部30よりも脆弱な材料によって成形された弱化部であってもよく、或いは、頭部33と天壁部30とを別々に成形してこれらを溶着等で接合した構成にすることで、その接合部分を弱化部とすることも可能である。
【0032】
また、上記した実施の形態では、頭部33を容器本体2に対して相対的に折り曲げることで弱化部34を切断しているが、本発明は、頭部33を容器本体2に対して相対的に折り曲げることで切断される弱化部34に限定するものではなく、他の動作によって切断される弱化部であってもよい。例えば、頭部33を容器本体2に対して相対的に回転させることでねじ切られる弱化部であってもよい。
【0033】
また、上記した実施の形態では、頭部33の下端部と天壁部30の内縁部との間に弱化部34が介在されているが、本発明は、天壁部30の内縁部に沿って筒状の立上り部が立設され、その立上り部の上端部と頭部33の下端部との間に弱化部34が介在された構成であってもよい。
【0034】
また、上記した実施の形態では、天壁部30の下面に、口部23の内側に嵌合されるシール筒部32が垂下されているが、シール筒部32が設けられていないキャップ体を用いることも可能である。
【0035】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態を説明するためのアンプル容器の縦半断面図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明するためのキャップ体を下方から見た平面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 アンプル容器
2 容器本体
3 キャップ体
23 口部
33 頭部
34 弱化部
35 内筒部
36 分割片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液を収容した容器本体と、該容器本体の口部に装着されるキャップ体と、を備えており、
該キャップ体が、前記口部内に連通する開口が形成された天壁部と、該天壁部から垂下されて前記口部の外側に周設された外筒部と、前記開口の上方に配設された頭部と、該頭部の下端に連設されて該頭部を前記容器本体に対して相対的に動かすことで切断可能な弱化部と、を有するアンプル容器において、
前記キャップ体には、前記天壁部の下面から垂下された内筒部が備えられ、
該内筒部は、前記口部の内側に配置されているとともに前記開口に連通され、下方に向かうに従い漸次縮径されていることを特徴とするアンプル容器。
【請求項2】
請求項1記載のアンプル容器において、
前記内筒部は周方向に複数に分割されており、該内筒部を構成する複数の分割片は間隔をおいて環状に並設されていることを特徴とするアンプル容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−153900(P2009−153900A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338016(P2007−338016)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】