説明

アーテミシニンの二量体誘導体および抗ガン療法における用途

本発明は、以下の式(I)の10−トリフルオロメチル化アーテミシニンの二量体誘導体;式(I)および薬剤的に許容できるその塩その薬学的に許容可能な塩に関し、その調製方法製造方法および特にガンの治療におけるその使用にも関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一方で10位の炭素により結合し他方で16位の炭素により結合している10−トリフルオロメチルアーテミシニンの二量体誘導体およびガン治療用のその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
アーテミシニン誘導体の細胞傷害性は1992年[Acta Pharmacol. Sin, 13, 541-3, (1992)]に示され、これらの化合物に抗ガン剤としての使用可能性を与えている。その後、アーテミシニンの二量体誘導体が細胞傷害活性を持ち、対応するモノマーよりも高い場合があることが分かった[J. Nat. Prod., 56, 849-56, (1993), J. Nat. Prod., 60, 325-30, (1997)]。
【0003】
その結果、世界中のいくつかの研究チームにより、新しいアーテミシニン二量体の製造を目指して多くの研究がなされた。これらの二量体の大多数は、ジヒドロアーテミシニンエーテル誘導体の[Bioorg. Med. Chem., 5, 1257-65, (1997)]、または代謝的に安定な非ケタールアナログのC−10、すなわち10位の炭素により結合している二量体であり、ケタール官能基の環外酸素原子はCH基に置換されている(以下の図のX基)[J. Med. Chem., 42, 4275-80, (1999)]。C−16の二量体も記載されている[J. Med. Chem., 44, 4688-95, (2001)]。
【0004】
これらの種々のファミリーは以下に図解されている。
【0005】
【化1】

【0006】
アーテミシニンならびに最も有名なアルテメテルおよびアルテスニン酸ナトリウムなどのその誘導体は、マラリア治療に広く使用されている。しかし、これらの誘導体の主な制限はアーテミシニン核の低い生物学的利用能にあり、そのケタール官能基は体内で迅速に加水分解されて不活性な代謝物になる[J. Med. Chem., 47, 2945-64, (2004)]。
【0007】
【化2】

【0008】
マラリア治療のための新しい安定なアーテミシニン誘導体を探索する状況において、Chatenay-Malabry Faculty of Pharmacy(フランス)のBioCIS Laboratoryで実施された研究は、10−トリフルオロメチル化アーテミシニン誘導体の合成につながった(国際公開第03/035651号)。トリフルオロメチル基の導入はケタール官能基を安定化し、その結果これらの化合物の安定性が著しく増大し、とりわけ経口経路による化合物の投与の間のその作用持続期間を延ばす。
【0009】
最近の総説はトリフルオロメチル化アーテミシニン誘導体の化学的利点および薬理学的利点を正確に詳述している[J.-P. Begue, D. Bonnet-Delpon, ChemMedChem, 2, 608-24, (2007)]。
【0010】
満足のいく増殖抑止活性プロファイルを有する、C16位の炭素原子により結合している10−トリフルオロメチルアーテミシニン二量体の最初のシリーズが開発された(出願FR07/60266)。
【0011】
本発明は、より詳細には、FR07/60266に記載のC16位の炭素原子により結合している二量体よりも良好な細胞傷害性を示す、1つの核のC10位および他の核のC16位で結合している10−トリフルオロメチルアーテミシニン二量体に関する。
【0012】
本発明は、C10側またはC16側のいずれかにある、エンドペルオキシドブリッジの一方のみがエーテルブリッジに還元されている10−トリフルオロメチルアーテミシニン二量体にも関する。実際に、「モノエンドペルオキシド」タイプの二量体、より詳細にはC16側のエンドペルオキシドブリッジが還元されている二量体は高い細胞傷害性を保持している。
【0013】
本発明は、より詳細には、式(I)の10−トリフルオロメチル化アーテミシニンの二量体誘導体またはその薬学的に許容可能な塩に関する:
【0014】
【化3】

【0015】
(上記式中、
- aおよびbは互いに独立して1または2を表すが、同時に1を表すことはできず、
- Aは、ヘテロ原子または飽和複素環を表し、
○ 前記ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄の原子から選択されるヘテロ原子であって、前記窒素原子は、R1基により所望により置換されており、R1基は、水素原子および以下の基:(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、アリール−(C−C)アルキル、ヘテロアリール−(C−C)アルキル、複素環−(C−C)アルキル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、−COR2、−COR2、−C(O)NR2R2a、−SOR2、−CHC(O)OR2、および−CHC(O)NR2R2aから選択され(ここで、R2は、水素原子または以下の基:(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、所望により置換されたポリアミン、(C−C)シクロアルキル、アリール−(C−C)アルキル、ヘテロアリール−(C−C)アルキル、所望により置換されたアリール、または所望により置換されたヘテロアリールの1つを表し、R2aは水素原または(C−C)アルキル基を表す)、
○ 前記飽和複素環は、酸素、硫黄、および窒素の原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでなり、そのうちの少なくとも1つの窒素原子が炭素10に結合しており、
- は、Aが酸素もしくは硫黄原子または複素環を表す場合には単結合を表し、Aが窒素原子を表す場合には単結合または二重結合を表し、前記窒素原子は、が単結合を表す場合に先に定義されたR1基により置換されており、
- Bは、−CH−Y−、−C(=O)−Y−、または−CH(OR3)−基を表し(Yは、O、S、N−R1、または複素環を表し、R1は先に定義された通りであり、R3は、水素原子、または(C−C)アルキルまたはアリール基を表す)、
【0016】
- Xは、
が二重結合を表す場合、
=C(X1)−(O−X2)−基(X1およびX2は、互いに独立して、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルケニル基を表し、cは0または1を表す)を表し、
が単結合を表す場合、
・以下の基の1つ:1つ以上のOH基により所望により置換された(C−C)アルキル;(C−C)アルケニル;(C−C)アルキニル;[(C−C)アルキル]−(C−C)シクロアルキル−[(C−C)アルキル];[(C−C)アルキル]−複素環[(C−C)アルキル];[(C−C)アルキル]−アリール−[(C−C)アルキル];[(C−C)アルキル]−ヘテロアリール−[(C−C)アルキル](nおよびpは互いに独立して0または1を表す)、
・−CO−(CH−もしくは−CO−(CH−CO−基(qは1、2、3、または4の整数を表す)、または
・−CO−(CH−Z−(CH−CO−基(rおよびuは互いに独立して0または1の整数を表し、sおよびtは互いに独立して0、1、2、3、または4の整数を表し、Zは、−S−、−S−S−、−SO−、−SO−、−Se−Se−、−O−P(O)(OR3)−O−、−NR1−、(C−C)−シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基を表し、R1およびR3は先に定義された通りである)
を表す)。
【0017】
このように、本発明の二量体誘導体は、先に想起されたフッ化モノマーの利点を持つと同時に、良好な抗腫瘍性を示す。
【0018】
本発明において、「薬学的に許容可能な」は、一般的に安全で、非毒性で、生物学的にも他の面でも望ましくないことがなく、獣医学的使用ならびにヒトの医薬用途に許容できる医薬組成物の製造に使用されることを意味する。
【0019】
本発明において、化合物の「薬学的に許容可能な塩」は、本明細書に定義の通り薬剤的に許容でき、親化合物の望ましい薬理学的活性を有する塩を意味する。そのような塩には以下のものがある:
(1)水和物および溶媒和物、
(2)塩化水素、臭化水素、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸により形成される酸付加塩;または酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸により形成される酸付加塩;および
(3)親化合物に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン(例えば、Na、K、もしくはLiなど)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+もしくはMg2+など)、またはアルミニウムイオンにより置換された場合に形成される塩;または有機もしくは無機の塩基との配位物。許容できる有機塩基には、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミンなどがある。許容できる無機塩基には、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムがある。
【0020】
「ハロゲン」は、フッ素、臭素、塩素、またはヨウ素を意味する。好ましくは、これはフッ素、臭素、または塩素であり、より好ましくはフッ素である。
【0021】
本発明において、「(C−C)アルキル」基は、1から6つの炭素原子を含んでなる飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖を意味し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、tert−ブチル、ペンチル、またはヘキシル基がある。場合によっては、この鎖は一価にも二価にもなるであろう。二価の鎖の場合、nが1から6、好ましくは1、2、3、または4の整数を表す式−(CH−の直鎖が有利であろう。
【0022】
本発明において、「(C−C)アルケニル」基は、1から6つの炭素原子を含んでなり、少なくとも1つの二重結合、有利には1つのみの二重結合を含んでなる、不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖を意味する。これはとりわけビニル基またはアリル基である。場合によって、この鎖は一価にも二価にもなるであろう。二価の鎖の場合、式−CH−CH=CH−CH−の鎖などの直鎖が有利であろう。
【0023】
本発明において、「(C−C)アルキニル」基は、1から6つの炭素原子を含んでなり、少なくとも1つの三重結合、有利には1つのみの三重結合を含んでなる、不飽和の直鎖もしくは分岐鎖の炭化水素鎖を意味する。それはとりわけエチニル基またはプロピニル基である。場合によって、この鎖は一価にも二価にもなるであろう。二価の鎖の場合、式−CH−C≡C−の鎖などの直鎖が有利であろう。
【0024】
本発明において、「ポリアミン」基は、6から20の炭素原子を含んでなる直鎖の炭化水素鎖であって、これらの炭素原子のうちの少なくとも2つが窒素原子により置換されており、2つの窒素原子が隣接する位置に配置されていないものを意味する。上述のポリアミン基は、とりわけ以下の式のものであろう:
−[(CH−NH]−[(CH−NH−(CH−NH]−H
(上記式中、a、b、およびcは、互いに独立して1から5の整数を表し、dおよびeはそれぞれ0または1を表す)。
【0025】
例には、スペルミジンタイプの鎖、すなわち式−(CH−NH−(CH−NHもしくは−(CH−NH−(CH−NH、式−(CH−NH−(CH−NH−(CH−NHのスペルミンタイプの鎖、または式−(CH−NH−(CH−NH−(CH−NHの鎖がある。
【0026】
前記ポリアミン基は所望により置換されていてよく、より詳細には窒素原子上で、とりわけ、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−CO−(C−C)アルキル、−CO−(C−C)アルケニル、−CO−(C−C)アルキル、または−CO−(C−C)アルケニルなどのN保護基により置換されていてよい。
【0027】
したがって、所望により置換されている前記のポリアミン基は、以下の一般式のものであろう:
−[(CH−NA−[(CH−NA−(CH−NA−H、
(上記式中、a、b、c、d、およびeは先に定義された通りであり、A、A、およびAは異なるか好ましくは同一であり、水素原子またはN保護基、例えば、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−CO−(C−C)アルキル、−CO−(C−C)アルケニル、−CO−(C−C)アルキル、もしくは−CO−(C−C)アルケニルを表す)。
【0028】
本発明において、「保護基」は、化学合成の分野で通常定義される通り、多官能性化合物の反応部位を、他の保護されていない反応部位で化学反応が選択的に起こるように、選択的に封鎖する基を意味する。
【0029】
本発明において、「N保護基」は、NHまたはNH基を望ましくない反応から保護する任意の置換基を意味し、Greene, "Protective Groups in Organic Synthesis", (John Wiley & Sons, New York (1981)) and Harrison et al. "Compendium of Synthetic Organic Methods", Vols. 1 to 6 (J. Wiley & Sons, 1971 to 1996)に記載されているN保護基などがある。N保護基には、カルバマート(−CO−(C−C)アルキルまたは−CO−(C−C)アルケニルなど)、アミド(−CO−(C−C)アルキル、−CO−(C−C)アルケニルなど)、N−アルキル化またはN−アルケニル化誘導体、アミノアセタール誘導体、N−ベンジル化誘導体、イミン誘導体、エナミン誘導体、およびN−ヘテロ原子誘導体がある。特に、N保護基は、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、フェニルスルホニル、ベンジル(Bn)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p−メトキシベンジルオキシカルボニル、p−ニトロベンジル−オキシカルボニル、トリクロロエトキシカルボニル(TROC)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、トリフルオロアセチル、ベンジルカルバマート(置換または非置換)などからなる。特にN保護基はBoc基であろう。
【0030】
本発明において、「(C−C)−シクロアルキル」基は、3から8の炭素原子、好ましくは5または6の炭素原子を含んでなる飽和の環状炭化水素基を意味し、例えば、シクロプロピル、シクロヘキシル、シクロペンチルなどの基である。場合によって、この環は一価にも二価にもなるであろう。
【0031】
本発明において、「アリール」基は、好ましくは5から10の炭素原子を含んでなり、1つ以上の連結した環、好ましくは1または2の、より好ましくは1つのみの連結した環を含んでなる芳香族基を意味し、例えば、フェニルまたはナフチル基がある。アリール基がフェニル基であるのが有利である。場合によって、この基は一価にも二価にもなるであろう。
【0032】
このアリール基は、とりわけ、ハロゲン原子ならびに先に定義された(C−C)アルキル基、−OR、−NRR’、および−SOR基から選択される1つ以上の基により所望により置換されていてよい(RおよびR’は水素原子または先に定義された(C−C)アルキル基を表す)。
【0033】
本発明において、「ヘテロアリール核」基は、1つ以上の炭素原子が、例えば硫黄、窒素、または酸素原子などの1つ以上のヘテロ原子に、有利には1から4の、さらにより有利には1から3のヘテロ原子に置換されている、先に定義されたアリール基を意味する。ヘテロアリール基の例には、フリル、チエニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、またはインジル(indyl)基がある。ピリジニルまたは1,2,3−トリアゾリルなどのトリアゾリル基であることが有利である。場合によって、この基は一価にも二価にもなるであろう。
【0034】
このヘテロアリール基は、とりわけ、ハロゲン原子ならびに先に定義された(C−C)アルキル基、−OR、−NRR’、および−SOR基から選択される1つ以上の基により所望により置換されていてよい(RおよびR’は水素原子または先に定義された(C−C)アルキル基を表す)。
【0035】
本発明において、「複素環」は、特記されない限り、1つ以上の連結した環、好ましくは1または2の、より好ましくは1つのみの連結した環を含んでなり、5から10の環原子を含んでなり、そのうち1つ以上の環炭素原子が、例えば、硫黄、窒素、または酸素原子などの1つ以上のヘテロ原子に、有利には1から4の、さらにより有利には1から3のヘテロ原子により置換されている、飽和、不飽和、または芳香族の環状炭化水素化合物を意味する。詳細には、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、フリル、チエニル、ピロリル、テトラゾリル、またはトリアゾリル基でよい。ピペラジニルまたは1,2,3−トリアゾリルなどのトリアゾリル基であるのが有利である。場合によって、この基は一価にも二価にもなるであろう。
【0036】
複素環が飽和である場合、ピペリジン、モルホリン、またはピペラジンであることが有利である。
【0037】
本発明において、「アリール−(C−C)アルキル」基は、先に定義された(C−C)アルキル基を介して分子に結合した先に定義されたアリール基を意味する。それは特にベンジル基である。
【0038】
本発明において、「ヘテロアリール−(C−C)アルキル」基は、先に定義された(C−C)アルキル基を介して分子に結合した先に定義されたヘテロアリール基を意味する。それは特にベンジル基である。
【0039】
本発明において、「複素環−(C−C)アルキル」基は、先に定義された(C−C)アルキル基を介して分子に結合した先に定義された複素環を意味する。それは特にベンジル基である。
【0040】
a=b=2またはa=2かつb=1であれば有利である。a=b=2であればさらに有利である。
【0041】
本発明の特別な態様によれば、R1は、水素原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、アリール−(C−C)アルキル、ヘテロアリール−(C−C)アルキル、複素環−(C−C)アルキル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、−COR2、−COR2、−SOR2基を表す(ここで、R2は、水素原子または(C−C)アルキル、(C−C)シクロアルキル、アリール−(C−C)アルキル、ヘテロアリール−(C−C)アルキル、所望により置換されたアリール、もしくは所望により置換されたヘテロアリール基を表す)。
【0042】
R1は、特に水素原子を表すことがある。
【0043】
R1が、水素原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−CHC(O)OR2、または−CHC(O)NR2R2a基を表すと有利である(ここで、R2は先に定義された通りであり、有利には水素原子または所望により置換されたポリアミン基を表し、R2aは先に定義された通りであり、有利には水素原子を表す)。
【0044】
先に示された通り、Bは、−CH−Y−、−C(=O)−Y−、または−CH(OR3)基を表す(YおよびR3は先に定義された通りである)。−CH−Y−および−C(=O)−Y−基の場合、これら2つの基の炭素原子はアーテミシニン核に結合し、Y基は一般式(I)のX基に結合する。
【0045】
Yが複素環を表す場合、それは、好ましくは窒素原子により、B基のCHまたはC(=O)基に結合する。
【0046】
Bが、−CH−Y−、−C(=O)−Y−、または−CH(OR3)基を表し、YがO、NR1、または複素環を表し、R1およびR3が先に定義の通りであり、好ましくはそれぞれ水素原子を表すことが有利である。
【0047】
好ましくは、Bは、−CHO−、−CHNR1−、−C(=O)NR1−、−CH(OR3)−、および−CH−(複素環)−の群から選択されるが、R1およびR3は先に定義された通りであり、R3は水素原子を表すことが有利であり、R1は、水素原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−CHC(O)OR2、または−CHC(O)NR2R2a基を表すことが有利であり、R2およびR2aは先に定義された通りであり、R2は好ましくは水素原子または所望により置換されたポリアミン鎖を表し、R2aは好ましくは水素原子を表す。この場合、R1およびR3は、より詳細には、それぞれ水素原子を表すことがある。
【0048】
複素環は、詳細には、この場合、5員または6員の1つのみの環を含んでなる複素環であろう。好ましくは、それは、ピペラジニルまたは1,2,3−トリアゾリルなどのトリアゾリル基のように、1つ以上の窒素原子、好ましくは1から4の窒素原子を含んでなるであろう。
【0049】
Bは、特に、−CHO−、−CHNH−、−CH(OH)−、−C(=O)NH−、
【化4】

基を表すことがある。Bは、−CHNCH−、−CHN(CHCH=CH)−、−CHN(CHCOOH)−、−CHN(CHC(O)NH(CHNH(CHNH(CHNH)−、または
【化5】

基も表すことがある。
【0050】
有利には、Bは、Yが先に定義された通りであり好ましくはO、NR1、または複素環を表す−CH−Y−基を表す(R1は先に定義の通りである)。
【0051】
有利には、Aは窒素または酸素原子を表す。Aが単結合でXに結合し窒素原子を表す場合、その窒素原子は好ましくは水素原子により置換されているであろう。
【0052】
有利にはAは酸素原子を表すであろう。
【0053】
Xは、特に、好ましくはが単結合を表す場合:
-(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、[(C−C)アルキル]−(C−C)シクロアルキル−[(C−C)アルキル]、[(C−C)アルキル]−複素環[(C−C)アルキル]、[(C−C)アルキル]−アリール−[(C−C)アルキル]、または[(C−C)アルキル]−ヘテロアリール−[(C−C)アルキル]基(nおよびpは互いに独立して0または1を表す)、
- −CO−(CH−もしくは−CO−(CH−CO−基(qは1、2、3、または4の整数を表す)、または
- −CO(CH−Z−(CH−CO−基(rおよびuは互いに独立して0または1の整数を表し、sおよびtは互いに独立して0、1、2、3、または4の整数を表し、Zは、−S−、−S−S−、−SO−、−SO−、−SeSe−、−O−P(O)(OR3)−O−、−NR1−、(C−C)−シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基を表し、R1およびR3は先に定義の通りである)
を表すことがある。
【0054】
第1の特別な態様によれば、は二重結合を表し、Xは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、またはX1−O−X2基を表す(X1およびX2は先に定義された通りである)。特に、Xは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、または(C−C)シクロアルキル基を表すことがあり、好ましくは、(C−C)アルキル基を表すことがある。
【0055】
第2の特別な態様によれば、は単結合を表し、Xは、
- 1つ以上のOH基により所望により置換された(C−C)アルキル基;(C−C)アルケニル;(C−C)アルキニル;[(C−C)アルキル]−(C−C)シクロアルキル−[(C−C)アルキル];[(C−C)アルキル]−複素環−[(C−C)アルキル];[(C−C)アルキル]−アリール−[(C−C)アルキル];[(C−C)アルキル]−ヘテロアリール−[(C−C)アルキル](nおよびpは、互いに独立して、0または1を表す)、または
- −CO−(CH−もしくは−CO−(CH−CO−基(qは、1、2、3、または4の整数を表す)、または任意に
- −(CHNR1−基(qは、1、2、3、または4の整数を表し、R1は先に定義の通りであり、有利にはメチルなどの−(C−C)アルキル基を表す)
を表す。
【0056】
この場合、Xは、有利には、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、[(C−C)アルキル]−ヘテロアリール−[(C−C)アルキル]、−(CH−NR1−、または−CO−(CH−基(n、p、およびqは先に定義された通りであり、好ましくはn=p=1)を表すであろう。その場合、ヘテロアリール基は、5員または6員の1つのみの環を含んでなり、有利にも1つ以上の窒素原子、好ましくは1から3の窒素原子を含んでなるヘテロアリールであろう。
【0057】
特に、Xは、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、[(C−C)アルキル]−ヘテロアリール−[(C−C)アルキル]、または−CO−(CH−基を表すことがある(n、p、およびqは先に定義された通りであり、好ましくはn=p=1)。その場合、ヘテロアリール基は、有利には、5員または6員の1つのみの環を含んでなり、有利には1つ以上の窒素原子、好ましくは1から3の窒素原子を含んでなるヘテロアリールであろう。
【0058】
特に、Xは以下の基から選択することができる:−(CH−(nは、1、2、3、4、5、または6を表す)、−CH−CH(OH)−CH(OH)−CH−、−CHCHNCH−、−COCH−、−CH−CH=CH−CH−、−CH−C≡C−、
【化6】


【0059】
Xは、とりわけ以下の基から選択することができる:−(CH−(nは、1、2、3、または4を表す)、−COCH−、−CH−CH=CH−CH−、−CH−C≡C−、
【化7】


【0060】
本発明の特別な態様によれば、本発明の化合物は、
−a、b、およびが先に定義された通りであり、
−Aが酸素または窒素原子から選択されるヘテロ原子を表し、前記窒素原子はが単結合を表す場合水素により置換されており、
−Bが−CH−Y−、−C(=O)−NH−、または−CH(OH)−基を表し(YはO、N−R1、または複素環を表し、R1は水素原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−CHC(O)OR2、および−CHC(O)NHR2基から選択され、R2は水素原子または所望により置換されたポリアミン基を表す)、
−Xが、
が二重結合を表す場合、
=C(X1)−(O−X2)−基を表し(X1およびX2は、互いに独立して、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルケニル基を表し、cは0または1を表す)、
が単結合を表す場合、
・ 1つ以上のOH基により所望により置換された(C−C)アルキル基;(C−C)アルケニル;(C−C)アルキニル;[(C−C)アルキル]−複素環−[(C−C)アルキル];[(C−C)アルキル]−ヘテロアリール−[(C−C)アルキル](nおよびpは互いに独立して0または1を表す)、
・−CO−(CH−基(qは1、2、3、または4の整数を表す)、または
・−(CH−NR4基(qは1、2、3、または4の整数を表し、R4は水素原子または(C−C)アルキルを表す)
を表す式(I)の化合物に相当する。
【0061】
本発明の他の特別な態様によれば、本発明の化合物は、
- aおよびbが先に定義された通りであり、
- が単結合を表し、
- Aが酸素原子を表し、
- Bが−CH−Y−基を表し(YはO、N−R1、または複素環を表し、R1は先に定義された通りであり、有利には水素原子、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、−CHC(O)OR2、または−CHC(O)NRR2a基を表し、R2は先に定義された通りであり、有利には水素原子または所望により置換されたポリアミン基を表し、R2aは先に定義された通りであり、有利には水素原子を表す)、
- Xが、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、[(C−C)アルキル]−複素環−[(C−C)アルキル]、または[(C−C)アルキル]−ヘテロアリール−[(C−C)アルキル]基(nおよびpは互いに独立して0または1を表す)
を表す式(I)の化合物に相当する。
【0062】
式(I)の本発明の化合物は、より詳細には以下の化合物から選択することができる。
【化8−1】

【化8−2】

【化8−3】

【化8−4】

【0063】
本発明は、特にガン治療用薬剤として使用するための、先に定義された式(I)の化合物にも関する。
【0064】
本発明は、ガン治療用薬剤を製造するための、本発明の化合物の使用にも関する。
【0065】
本発明は、ガンを治療する方法であって、有効量の少なくとも1つの先に定義された式(I)の化合物の、その必要のある患者への投与を含んでなる方法にさらに関する。
【0066】
本発明は、少なくとも1つの本発明による化合物および少なくとも1つの薬学的に許容可能なキャリアを含んでなる医薬組成物にも関する。
【0067】
本発明の化合物は、経口、舌下、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所、または直腸経路により投与でき、好ましくは経口、静脈内、または皮下経路により投与できる。
【0068】
経口、舌下、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所、または直腸投与用の本発明の医薬組成物において、活性成分は、従来の医薬キャリアと混合されて単位剤形で、動物またはヒトに投与できる。好適な単位剤形は、錠剤、ゼラチンカプセル、パウダー、顆粒、および経口溶液もしくは懸濁液などの経口経路による形態;舌下および経口投与形態;非経口、皮下、筋肉内、静脈内、鼻腔内、または眼内投与形態;および直腸投与用の形態を含んでなる。
【0069】
錠剤形態の固体組成物が製造される場合、主な活性成分が、ゼラチン、スターチ、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアゴム、または類似物などの医薬キャリアと混合される。錠剤はサッカロースまたは他の好適な物質によりコーティングされていてよく、延長または遅延した活性を持つように、所定量の活性成分を連続的に放出するように処理されていてもよい。
【0070】
ゼラチンカプセル中の調合物は、活性成分を希釈剤と混合し、得られた混合物をソフトまたはハードゼラチンカプセルに注ぐことにより得られる。
【0071】
シロップまたはエリクシル形態の調合物は、活性成分とともに甘味剤、防腐剤、ならびに着香剤および好適な着色剤を含んでよい。
【0072】
水分散性パウダーまたは顆粒は、分散剤もしくは湿潤剤、または懸濁剤、ならびに風味矯正剤または甘味剤と混合された活性成分を含んでよい。
【0073】
直腸投与には、直腸温度で溶解する結合剤、例えばココアバターまたはポリエチレングリコールとともに製造される坐薬が使用される。
【0074】
非経口、鼻腔内、または眼内投与には、薬理学的に適合性のある分散剤および/または湿潤剤を含む水性懸濁液、等張食塩溶液、または滅菌注射溶液が使用される。
【0075】
活性成分は、任意に1つ以上の添加剤とともにマイクロカプセルの形態で製剤することもできる。
【0076】
本発明の化合物は、1日あたり0.01mgから1,000mgの投与量で使用でき、1日1回単回投与量で与えても、1日を通して数回の投与量で、例えば等しい投与量で1日2回投与してもよい。投与される1日量は、有利には5mgから500mg、さらにより有利には10mgから200mgである。当業者の経験に従いこれらの範囲を超える投与量の利用が必要な場合もある。
【0077】
特別な実施形態において、この組成物は、有利には抗ガン剤から選択される少なくとも1つの他の活性成分をさらに含んでよい。
【0078】
抗ガン剤の非制限的な例には、6−メルカプトプリン、フルダラビン、クラドリビン、ペントスタチン、シタラビン、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、ラルチトレキセド、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、ミトキサントロン、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、カルムスチン、フォテムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、プロカルバジン、デカルバジン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、L−アスパラギナーゼ、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ゴセレリン、ブセレリン、ホルメスタン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、レトロゾール、タモキシフェン、オクトレオチド、およびランレオチドがある。
【0079】
本発明は、(i)少なくとも1つの先に定義された式(I)の化合物および
(ii)特にガン治療に使用される、少なくとも1つの他の活性成分
を含んでなる、別々の使用、または連続使用するための組み合わせ物としての
医薬組成物にも関する。
【0080】
活性成分の非制限的な例には、6−メルカプトプリン、フルダラビン、クラドリビン、ペントスタチン、シタラビン、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、ラルチトレキセド、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、ミトキサントロン、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、カルムスチン、フォテムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、プロカルバジン、デカルバジン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、L−アスパラギナーゼ、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ゴセレリン、ブセレリン、ホルメスタン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、レトロゾール、タモキシフェン、オクトレオチド、およびランレオチドがある。
【0081】
上述の医薬組成物は、特にガンの治療に使用できる。
【0082】
本発明は、
(i)少なくとも1つの先に定義された式(I)の化合物および
(ii)特にガン治療に使用される、少なくとも1つの他の活性成分
を含んでなる、同時使用、別々の使用、または連続使用するための組み合わせ物としての医薬組成物の、ガン治療用薬剤を製造するための使用にも関する。
【0083】
本発明の化合物は、とりわけ以下に記載される中間体A、A、B、C、D、E、F、G、G、およびRから製造できる。したがって、本発明の化合物は、中間体G、G、またはRと中間体A、A、B、C、D、E、またはFとの
間の、1回以上の工程により実施できるカップリングにより得られる。
【0084】
中間体AおよびB
中間体A、アーテミシニンブロモトリフルオロメチル、およびヒドロキシル化誘導体Bの合成は、J. Med. Chem., 47, 1423-33, (2004)および国際公開第03/035651号に記載されている。プロトコルは以下の反応機構に示されている。
【0085】
【化9】

【0086】
(TMS=トリメチルシリル;TBAF=テトラブチルアンモニウムフルオライド;THF=テトラヒドロフラン;NBS=N−ブロモスクシンイミド;Ac=アセチル;Me=メチル;DMF=ジメチルホルムアミド)
【0087】
中間体CおよびD
【0088】
【化10】

【0089】
工程1:中間体Cの合成
N−メチル−モルホリンオキシド(NMO)(1.08g、8.0mmol、4当量)を、A(0.83g、2.0mmol)をアセトニトリル(20ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で1時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮する。残渣をジクロロメタンに溶かし、水で洗浄する。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で留去する。このように得られたアルデヒド中間体C(白色パウダー、0.68g、98%)を、追加の精製工程無しで以下の反応に直接使用する。
【0090】
工程2:中間体Dの合成
2−メチル−2−ブチレン(3.2ml、30.1mmol、5当量)、リン酸ナトリウム一水和物(2.50g、18.1mmol、3当量)、および亜塩素酸ナトリウム(1.64g、18.1mmol、3当量)を、中間体C(2.10g、6.0mmol)をアセトン/水混合物(1.5/1.75ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で18時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮する。酢酸エチルで希釈した後、有機相を水で洗浄し、ついで飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過後、溶媒を減圧下で留去する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(80:20 シクロヘキサン/酢酸エチル);中間体Dを収率54%で単離する(白色パウダー、1.2g)。
【0091】
中間体EおよびF
【0092】
【化11】

【0093】
中間体Eの合成
アジ化ナトリウム(0.14g、2.25mmol、1.5当量)を、中間体A(0.63g、2.5mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)(10ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で1.5時間攪拌する。次いで、水に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、溶媒を減圧下で留去する。このように得られたアジド中間体E(白色パウダー、0.56g、100%)を、追加の精製工程なしに以下の反応で直接使用する。
【0094】
中間体Fの合成
中間体A(1.03g、2.5mmol)を、アンモニアのメタノール溶液(7N、10ml)に溶かす。反応混合物を室温で3時間攪拌し、次いで減圧下で留去する。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(95:5、次いで90:10のジクロロメタン/メタノール);中間体Fを収率59%で単離する(薄黄色パウダー、0.52g)。
【0095】
中間体GおよびR
本発明の化合物の製造に必要な中間体Gの合成は、Org. Lett., 4, 757-759, (2002)に記載されており、そのプロトコルは以下の反応機構に示されている。
【0096】
【化12】

【0097】
中間体Gからの中間体Rの合成は、以下の化合物14の合成方法に記載されている。
【0098】
中間体AおよびG
中間体AおよびGは、アーテミシニン核中に還元されたエンドペルオキシドブリッジを有する。
【0099】
中間体Aの合成
【0100】
【化13】

【0101】
亜鉛パウダー(264mg、0.403mmol、4.5当量)を、J. Med. Chem., 47, 1423-33, (2004)に記載されているトリフルオロメチル誘導体(300mg、0.897mmol)を100%酢酸(8ml)に溶かした溶液に加える。室温で4.5時間攪拌した後、反応媒体をシリカで濾過し、次いで減圧下で濃縮する。粗反応生成物を、溶離液勾配のついたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(100:0から90:10の石油エーテル/ジエチルエーテル)。還元型ブリッジ(reduce-bridge)誘導体が収率90%(259mg)で得られる。
【0102】
N−ブロモスクシンイミド(NBS)(290mg、1.62mmol、2当量)を、還元型ブリッジ誘導体(259mg、0.813mmol)を四塩化炭素(10ml)に溶かした溶液に加えた。反応媒体を即座に還流した。この温度で1時間後、反応混合物をジクロロメタン(5ml)で希釈し、飽和NaHCO溶液(2×5ml)で洗浄し、次いで飽和NaCl溶液(5ml)で洗浄する。有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。粗反応生成物を、溶離液勾配のついたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(100:0から90:10の石油エーテル/ジエチルエーテル)。中間体Aが収率60%で得られる(186mg)。
【0103】
中間体Gの合成
【0104】
【化14】

【0105】
亜鉛パウダー(1.25g、19.15mmol、4.5当量)を、J. Med. Chem., 47, 1423-33, (2004)に記載されたトリフルオロメチルアルコール(1.5g、4.25mmol)を100%酢酸(37.5ml)に加えた溶液に加える。室温で4.5時間攪拌した後、反応媒体をシリカで濾過し、次いで減圧下で濃縮する。還元型ブリッジ中間体Tが定量的な収率で得られる(1.42g)。
【0106】
後者(1.42g、4.23mmol)をジクロロメタン(26ml)に溶かし、それに0℃で連続的に、ピリジン(690μl、8.46mmol、2当量)、次いで臭化チオニル(972μl、8.46mmol、2当量)を加える。反応混合物を室温に戻し、4.5時間攪拌した後、飽和NaCl溶液で加水分解する。有機相を飽和NaHCO溶液(2×10ml)で塩基性にし、飽和NaCl溶液(10ml)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。中間体Gが収率80%で得られる(1.34g)。
【0107】
本発明はこのように先に定義された式(I)の化合物の製造方法に関するが、式(I)の化合物は、以下の式(II)の化合物と:
【0108】
【化15】

【0109】
(上記式中、aは先に定義された通りであり、Z1はハロゲン原子、好ましくは臭素原子、または−OH、−NH、もしくは−NHR1基であり、R1は先に定義された通りであり、好ましくはZ1はハロゲン原子、または−OHもしくは−NH基を表す)
以下の式(III)の化合物:
【0110】
【化16】

【0111】
とのカップリングにより得られる(上記式中、bは先に定義された通りであり、Z2は−CHOH、−CHO、−COOH、−CH、−CHNH、または−CHHal基を表し、Halはハロゲン原子、好ましくは臭素原子を表す)。
【0112】
このように得られた式(I)の化合物は、当業者に周知の方法により、例えば抽出、溶媒留去により、または沈殿および濾過により、反応媒体から分離できる。
【0113】
さらに、化合物は、必要な場合当業者に周知の技術により精製でき、例えば、化合物が結晶性の場合再結晶により、蒸留により、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製できる。
【0114】
カップリングは、当業者に周知の技術により実施される1つ以上の反応工程を含んでなることがある。
【0115】
第1の特別な態様によれば、B=−CHY−または−C(=O)−Y−(Yは先に定義された通り)である式(I)の化合物は、化合物(II)と(III)と以下の式(IV)の化合物とのカップリングにより製造できる:
Z3−X−Z4(IV)
(上記式中、
Xは先に定義された通りであり、
Z3は、臭素または塩素原子などのハロゲン原子、または−OH、−NHR1、−SH、−N、−C(=O)R4基、または少なくとも1つの環内NH基を含んでなる複素環を表し、R1は先に定義された通りであり、R4は水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
Z4は、臭素または塩素原子などのハロゲン原子、または−OH、−NHR1、−SH、−N基、または少なくとも1つの環内NH基を含んでなる複素環を表し、R1は先に定義された通りである)。
【0116】
この場合、式(III)の化合物により保持されるZ2官能基は、好ましくは、−CHOH、−CHNH、もしくは−CHHal基(B=−CHO−、−CHNR1−、または−CHS−を持つ化合物(I)を与える(give access to)ため)、または−COOH基(B=−C(=O)O−、−C(=O)NR1−、または−C(=O)S−を持つ化合物(I)を与えるため)であり、より好ましくは−CHHalまたは−COOH基であろう。
【0117】
Z3および/またはZ4が複素環を表す場合、カップリング工程で反応する活性官能基は、明らかに環内NH基であろう。複素環は、モルホリニル、ピペリジニル、またはピペラジニル基など、好ましくは5員または6員であろう。
【0118】
その場合、式(I)の化合物は2つの工程、(1)化合物(II)のZ1官能基と化合物(IV)のZ3官能基とのカップリング、および(2)化合物(III)のZ2官能基と化合物(IV)のZ4官能基とのカップリングにより得られる。これらの2工程、(1)および(2)は、当業者に周知の技術を利用して任意の順序で実施できる。
【0119】
必要な場合、第1カップリング工程で反応してはいけない官能基Z3またはZ4を事前に保護でき、次いでこの工程が実施された後に脱保護できる。とりわけ、フリーのアミン官能基(NH)が望まれる場合、ハロゲン化誘導体またはアジド(N)から得ることができる。アミン官能基(NHまたはNH)はカルバマート形態で、とりわけBoc基により保護することができる。同様に、ハロゲン原子は、OH基のハロゲン化(例えば、N−ブロモスクシンイミドの存在下で臭素原子を得る)により得ることができる。
【0120】
同様に、カップリングにおいて役割を果たす特定の官能基(Z1、Z2、Z3、またはZ4)の活性化が必要なことがある。とりわけ、酸官能基(COOH)は、アシルクロライド(COCl)の形態で活性化できる。
【0121】
追加の官能化工程を実施することもできる(実施例25および26を参照)。
【0122】
式(IV)の化合物は市販されているか、当業者に周知の方法により製造できる。
【0123】
第1の態様によれば、Z3は、ハロゲン原子、複素環、または−OH、−NHR1、−SH、もしくは−N基を表し、それはが単結合である式(I)の化合物を与える。
【0124】
第2の態様によれば、Z3は−C(=O)R4基を表し、Z1は−NH基を表すが、それはが二重結合を表しそのためAが窒素原子を表す式(I)の化合物を与える。
【0125】
本発明の化合物を製造する方法のこの第1の特別な実施形態は、とりわけ、化合物1、2、3、4、10、11、12、13、14、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、および29の合成とともに説明される。
【0126】
第2の特別な態様によれば、B=−CH(OR3)−(R3は先に定義された通り)である式(I)の化合物は、化合物(II)と(III)(Z2=−CHO)と、以下の式(V)の化合物とのカップリングにより製造できる:
Z5−X−Z6(V)
(上記式中、
Xは先に定義された通りであり、
Z5は、臭素または塩素原子などのハロゲン原子、または−OH、−NHR1、−SH、−N、もしくは−C(=O)R4基、または少なくとも1つの環内NH基を含んでなる複素環を表し、R1およびR4は先に定義された通りであり、Z6は酸性水素原子またはハロゲン原子を表す)。
【0127】
本発明において、「酸性水素原子」は、塩基により引き抜かれる水素原子を意味する。そのような酸性水素原子の1つは、特にアセチレン性水素原子のことがある。
【0128】
Z5が複素環を表す場合、カップリング工程で反応する活性官能基は明らかに環内NH基であろう。複素環は、モルホリニル、ピペリジニル、またはピペラジニル基など、好ましくは5員または6員であろう。
【0129】
この方法は、詳細には以下の連続工程を含んでなるであろう:
(i)化合物(V)と化合物(II)との反応による、以下の化合物(VI)の生成:
【0130】
【化17】

【0131】
(a、A、X、およびZ6は先に定義された通りである)
(ii)前記工程(I)で得られた化合物(VI)からの、以下の有機金属化合物(VII)の形成、
【0132】
【化18】

【0133】
(上記式中、b、A、およびXは先に定義された通りであり、Mは、リチウムなどのアルカリ金属または塩化マグネシウムもしくは臭化マグネシウムなどのアルカリ土類金属ハロゲン化物を表す)
(iii)前記工程(ii)で得られた化合物(VII)とZ2=−CHOである式(III)の化合物との反応による、B=−CH(OH)−である式(I)の化合物の生成、
(iv)前記工程(iii)で得られた式(I)の化合物のヒドロキシル基の任意の置換による、B=−CH(OR3)−でありR3≠Hである式(I)の化合物の生成、および
(iv)工程(iv)または(v)で得られた式(I)の化合物の反応媒体からの分離。
【0134】
有機金属化合物(VII)は、Z6=Hである化合物(VI)から、アルキルリチウム(n−BuLiなど)または臭化アルキルマグネシウムもしくは塩化アルキルマグネシウムなどの有機金属塩基との反応により形成できる。
【0135】
化合物(VI)が臭素原子などのハロゲン原子を表すZ6基を含む場合、化合物(VI)とリチウムもしくはマグネシウムなどの金属との反応により、ハロゲン金属交換が所望の化合物(VII)を与えることができる。
【0136】
式(V)の化合物は市販されているか、当業者に周知の方法により製造できる。
【0137】
第1の態様によれば、Z5は、ハロゲン原子、複素環、または−OH、−NHR1、−SH、もしくは−N基であり、が単結合を表す式(I)の化合物を与える。この場合、Z5は、好ましくは−OH、−NHR1、または−SH基を表し、Z1は臭素原子などのハロゲン原子を表す。
【0138】
第2の態様によれば、Z5は−C(=O)R4基を表し、Z1は−NH基を表し、が二重結合を表しそのためAが窒素原子を表す式(I)の化合物を与える。
【0139】
本発明の化合物を製造する方法のこの第2の特別な実施形態は、とりわけ化合物9の合成とともに説明される。
【0140】
第3の特別な態様によれば、カップリングは、化合物8および21の製造とともに説明されるとおり、アルケンまたはアルキンの交差メタセシスにより実施される。この場合、化合物(II)および(III)のZ1およびZ2基の代わりに末端二重結合または三重結合を保持する基を導入するために、1つ以上の予備的な工程を実施しなければならない。
【0141】
さらに、追加の官能化工程を、とりわけメタセシスの間に形成される二重結合または三重結合を官能化する工程を実施できる(実施例27および28を参照)。
【0142】
このように、が単結合を表し、Aがヘテロ原子を表し、B=−CHO−、−CHNR1−、または−CHS−、X=−(CH−Z7−(CH−(Z7は−CH=CH−または−C≡C−基を表し、yおよびzは互いに独立して0から4の整数を表しy+z≦4)または
が二重結合を表し、AがNを表し、B=−CHO−、−CHNR1−、または−CHS−、Xが=C((C−C)アルキル)−O−(CH−Z7−(CH−(Z7、y、およびzは先に定義された通りである)である式(I)の化合物は、以下の式(VIII)の化合物と:
【0143】
【化19】

【0144】
(a、Z7、およびyは先に定義された通りであり、TはAまたは−N=C((C−C)アルキル)−O−を表す)
以下の式(IX)の化合物との交差メタセシス反応により得ることができる:
【0145】
【化20】

【0146】
(上記式中、b、B、Z7、およびzは先に定義された通りである)。
【0147】
この反応は、第1世代または第2世代のグラブス触媒などのメタセシス触媒の存在下で実施されるであろう。
【0148】
好ましくはZ7は−CH=CH−を表す。
【0149】
化合物(VIII)は、Z1が好ましくはハロゲン原子を表す式(II)の化合物と、式Z7−(CH)−Rの化合物(Z7およびyは先に定義された通りであり、RはOH、NHR1、またはSH基を表し、R1は先に定義された通りである)との反応により製造できる。
【0150】
化合物(IX)は、Z2が好ましくはハロゲン原子を表す式(III)の化合物と、式Z7−(CH)−R’の化合物(Z7およびzは先に定義された通りであり、R’はOH、NHR1、またはSH基を表し、R1は先に定義された通りである)との反応により製造できる。
【0151】
第4の特別な態様によれば、カップリングは、化合物5、6、および7の製造とともに説明されるとおり、[4+2]または[3+2]付加環化反応により実施される。この場合、化合物(II)および(III)のZ1およびZ2基の代わりに好適な基を導入するために、例えば2つの基の一方の代わりにアルケンまたはアルキンを、そしてもう一方の基のためにジエンまたはN基などの1,3−双極子を導入するために、1つ以上の予備的な工程を実施しなければならない。
【0152】
第5の特別な態様によれば、−A−X−B−が−N=C((C−C)アルキル)−O−CH−を表す式(I)の化合物は、塩基性媒体中で、Z2が臭素原子などのハロゲン原子を表す式(III)の化合物と、以下の式(X)の化合物とのカップリングにより製造できる:
【0153】
【化21】

【0154】
(上記式中、aは先に定義された通りであり、R5は−C(=O)−(C−C)アルキルのアシル基を表す)。
【0155】
好ましくは、この反応は、塩基としてNaHの存在下で、とりわけKIの存在下で実施される。
【0156】
式(X)の化合物は、Z1=NHである式(II)の化合物で出発するアシル化または中間体Vの合成について記載されたプロトコルに従い製造できる。
【0157】
本発明の化合物を製造する方法のこの第2の特別な実施形態は、とりわけ、化合物15の合成とともに説明されている。
【0158】
上述の方法の全てにおいて、当業者に周知である追加の置換および/または活性化および/または保護/脱保護工程を必要であれば実施できる。
【0159】
本発明は、以下の非制限的な実施例に照らして、よりよく理解されるであろう。
【実施例】
【0160】
実施例1:本発明の化合物の合成
化合物1、2、3、4、16、17、18、および19の合成
【0161】
【化22】

【0162】
(Zは、実施例1から4、16から19において、単結合または−CH−、−(CH、−(CH、ピリジニル、または
【化23】

の基を示す)
【0163】
一般的方法A
工程1:ジオール(HO−CH−Z−CHOH)(10当量)およびヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)(5当量)を、中間体GまたはG(1当量)をジクロロメタンに溶かした溶液に連続して加える(c=0.14)。次いで、反応混合物を室温で5時間攪拌してから、ジクロロメタンで希釈する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると(シクロヘキサン/酢酸エチル)、中間体Hを与える。
【0164】
中間体H:1,3−プロパンジオールおよび中間体Gから収率71%で白色パウダーの形態で得られる(85:15から70:30 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0165】
中間体H:1,2−エタンジオールおよび中間体Gから収率71%で白色パウダーの形態で得られる(90:10 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0166】
中間体H:1,4−ブタンジオールおよび中間体Gから収率25%で半透明の油の形態で得られる(80:20 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0167】
中間体H:2,6−ピリジンジメタノールおよび中間体Gから収率39%で半透明な油の形態で得られる(95:5から75:25 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0168】
中間体H:1,5−ペンタンジオールおよび中間体Gから収率82%で無色の油の形態で得られる(100から80:20 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0169】
中間体H:1,6−ヘキサンジオールおよび中間体Gから収率61%で黄色の油として得られる(95:5から80:20 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0170】
中間体H:1,4−ビス−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンおよび中間体Gから収率49%で黄色の泡の形態で得られる(100:0から90:10 ジクロロメタン/メタノール)。
【0171】
中間体H:1,5−ペンタンジオールおよび中間体Gから収率22%で油の形態で得られる(100:0から60:40 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0172】
工程2:中間体H(1当量)を、アセトニトリル(またはジメチルスルホキシド)中のNaH懸濁液(油中60%、2.5当量)に加える(c=0.1);10分間攪拌した後、中間体AまたはA(1.25当量)をアセトニトリル(またはジメチルスルホキシド)(c=0.1)に溶かした溶液およびヨウ化カリウム(触媒量)を、この混合物に加える。反応媒体を室温で1から5時間攪拌し、その後酢酸エチルで希釈する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製すると(シクロヘキサン/酢酸エチル)、期待される二量体を与える。
【0173】
実施例1:中間体Hおよび中間体Aから収率45%で白色パウダーの形態で得られる(95:5から70:30 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0174】
実施例2:中間体Hおよび中間体Aから収率40%で白色パウダーの形態で得られる(90:10 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0175】
実施例3:中間体Hおよび中間体Aから収率20%で白色パウダーの形態で得られる(95:5 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0176】
実施例4:中間体Hおよび中間体Aから収率30%で白色パウダーの形態で得られる(95:5から90:10 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0177】
実施例16:中間体Hおよび中間体Aから収率45%で白色パウダーの形態で得られる(85:15 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0178】
実施例17:中間体Hおよび中間体Aから収率40%で白色パウダーの形態で得られる(75:2 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0179】
実施例18:中間体Hおよび中間体Aから収率58%で白色パウダーの形態で得られる(97:3 ジクロロメタン/メタノール)。
【0180】
実施例19:中間体Hおよび中間体Aから収率1%で無色の油の形態で得られる(98:2から70:30 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0181】
化合物5および6の合成
中間体Jの合成
【0182】
【化24】

【0183】
工程1:2−ブロモエタノール(1.41ml、20.0mmol、10当量)およびヘキサフルオロイソプロパノール(1.05ml、10.0mmol、5当量)を、中間体G(0.83g、2.0mmol)をジクロロメタン(14ml)に溶かした溶液に連続して加える。次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌し、その後ジクロロメタンで希釈する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(95:5 シクロヘキサン/酢酸エチル);中間体Iを収率40%で単離する(薄黄色パウダー、0.365g)。
【0184】
工程2:アジ化ナトリウム(0.02g、0.3mmol、2当量)を、中間体I(0.07g、0.15mmol)をジメチルスルホキシド(2ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で1時間攪拌する。酢酸エチルで希釈した後、有機相を水で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去し、定量的に得られた中間体Jを以下の工程に直接使用する(白色パウダー)。
【0185】
中間体Kの合成
【0186】
【化25】

【0187】
プロパルギルアルコール(64μl、1.0mmol、1当量)を、ジメチルスルホキシド(DMSO)(4ml)中のNaH(油中60%、0.04g、1.0mmol、1当量)懸濁液に加える;5分間攪拌した後、中間体A(0.41g、1.0mmol)をジメチルスルホキシド(2ml)に溶かした溶液を、この混合物に加える。反応混合物を室温で1.5時間攪拌した後、酢酸エチルで希釈する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(95:5 シクロヘキサン/酢酸エチル);中間体Kを収率80%で単離する(無色の油、0.31g)。
【0188】
中間体JとKとのカップリング
【0189】
【化26】

【0190】
中間体J(0.063g、0.15mmol、1当量)と中間体K(0.062g、0.15mmol、1当量)との混合物を、密封したチューブ内で90℃で4時間加熱する。室温に戻した後、反応媒体をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(90:10から75:25 シクロヘキサン/酢酸エチル);より極性の低い化合物5および化合物6が総収率68%で得られる(白色パウダー、それぞれ0.035gおよび0.048g)。
【0191】
化合物7の合成
【0192】
【化27】

【0193】
工程1:プロパルギルアルコール(295μl、5.0mmol、10当量)およびヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)(263μl、2.5mmol、5当量)を、中間体G(0.207g、0.5mmol)をジクロロメタン(3.5ml)に溶かした溶液に連続して加える。次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した後、ジクロロメタンで希釈する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(97:3 シクロヘキサン/酢酸エチル);中間体Lを収率68%で単離する(白色パウダー、0.133g)。
【0194】
工程2:中間体E(0.056g、0.15mmol、1当量)と中間体L(0.058g、0.15mmol、1当量)との混合物を、密封したチューブ内で90℃で16時間加熱する。室温に戻した後、反応媒体をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(80:20 シクロヘキサン/酢酸エチル);化合物7を、総収率28%で単離する(白色パウダー、0.032g)。
【0195】
化合物8の合成
中間体Mの合成
【0196】
【化28】

【0197】
アリルアルコール(823μl、12.0mmol、10当量)およびヘキサフルオロイソプロパノール(634μl、6.0mmol、5当量)を、中間体G(0.5g、1.2mmol)をジクロロメタン(7ml)に溶かした溶液に連続して加える。次いで、反応混合物を室温で4時間攪拌した後、ジクロロメタンで希釈する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(95:5 シクロヘキサン/酢酸エチル);中間体Mを定量的な収率で単離する(白色パウダー、0.47g)。
【0198】
中間体Nの合成
【0199】
【化29】

【0200】
アリルアルコール(60μl、0.87mmol)を、アセトニトリル(2ml)中のNaH(油中60%、0.11g、2.72mmol、2.5当量)懸濁液に加える;5分間攪拌した後、中間体A(0.45g、1.1mmol、1.25当量)をアセトニトリル(2ml)に溶かした溶液およびヨウ化カリウム(触媒量)をこの混合物に加える。反応媒体を室温で16時間攪拌した後、酢酸エチルで希釈する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(95:5から90:10 シクロヘキサン/酢酸エチル);中間体Nを収率34%で単離する(白色パウダー、0.15g)。
【0201】
中間体MとNとのカップリング
【0202】
【化30】

【0203】
第1世代グラブス触媒(cat. Grubb I)(0.031g、0.037mmol、0.1当量)を、中間体M(0.147g、0.37mmol、1当量)およびN(0.146g、0.37mmol、1当量)をジクロロメタン(3ml)に溶かした溶液に加える。混合物を40℃で20時間攪拌し、次いで冷却してセライトで濾過する。溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(95:5 シクロヘキサン/酢酸エチル);化合物8を収率15%で単離する(白色パウダー、0.043g)。
【0204】
化合物9の合成
【0205】
【化31】

【0206】
n−ブチルリチウム(n−BuLi)(ヘキサン中1.6M、100μl、0.16mmol、1.3当量)を、中間体L(0.047g、0.12mmol)をテトラヒドロフラン(1ml)に溶かした−78℃の溶液に滴下して加える。−78℃で20分間攪拌した後、中間体C(0.042g、0.12mmol、1当量)をテトラヒドロフラン(1ml)に溶かした溶液を加える。次いで、反応混合物を室温に戻し、16時間攪拌する。飽和塩化アンモニウム溶液を加えた後、混合物をジクロロメタンで抽出する。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(85:15 シクロヘキサン/酢酸エチル);化合物9を収率40%で単離する(白色パウダー、0.035g)。
【0207】
化合物10の合成
中間体Oの合成
【0208】
【化32】

【0209】
トリフェニルホスフィン(PPh)(0.12g、0.45mmol、1当量)を、中間体J(0.19g、0.45mmol)をテトラヒドロフラン(4ml)に溶かした溶液に加える。室温で24時間後、2mlの水を加え、さらに24時間攪拌する。減圧下で溶媒を留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(100:0から94:6 シクロヘキサン/酢酸エチル);中間体Oを収率42%で単離する(白色パウダー、0.075g)。
【0210】
中間体AとOとのカップリング
【0211】
【化33】

【0212】
炭酸カリウム(0.052g、0.37mmol、2.2当量)およびヨウ化カリウム(触媒量)を、中間体A(0.070g、0.17mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)(0.5ml)に溶かした溶液に加える。10分間攪拌した後、中間体Oをジメチルホルムアミド(0.5ml)に溶かした溶液を加える。次いで、反応混合物を70℃で2.5時間加熱する。室温に戻した後、水および酢酸エチルを媒体に加える。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥する。減圧下で溶媒を留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(100:0から85:15 ジクロロメタン/酢酸エチル);化合物10を収率34%で単離する(薄黄色パウダー、0.042g)。
【0213】
化合物11の合成
【0214】
【化34】

【0215】
1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)(0.17g、0.91mmol、3当量)および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)(0.12g、0.91mmol、3当量)を、中間体D(0.11g、0.30mmol)をジクロロメタン(5ml)に溶かした溶液に加える。室温で30分間攪拌した後、中間体O(0.12g、0.30mmol、1当量)をジクロロメタン(5ml)に溶かした溶液を加える。反応混合物を室温で2時間攪拌する。水を加えた後、混合物をジクロロメタンで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(99:1から97:3 ジクロロメタン/酢酸エチル);化合物11を収率7%で単離する(白色パウダー、0.016g)。
【0216】
化合物12および20の合成
中間体Pの合成
【0217】
【化35】

【0218】
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(1.19ml、9.7mmol、4当量)を、中間体A(1g、2.4mmol)をテトラヒドロフラン(15ml)に溶かした0℃の溶液に加える。反応媒体を0℃で4時間攪拌する。水を加えた後、混合物をジエチルエーテルで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、減圧下で溶媒を留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(97:3から94:6 ジクロロメタン/メタノール);中間体Pを収率84%で単離する(黄色パウダー、0.92g)。
【0219】
中間体Uの合成
【0220】
【化36】

【0221】
N−Boc−4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(1.66g、7.22mmol、5当量)およびヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)(0.76ml、7.22mmol、5当量)を、中間体G(0.60g、1.44mmol)をジクロロメタン(6.0ml)に溶かした溶液に連続して加える。反応混合物を室温で18時間攪拌する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(80:20 シクロヘキサン/酢酸エチル)。期待される化合物を収率22%で単離し(白色パウダー、0.18g)、ジクロロメタン(2.0ml)に溶かし、それにトリフルオロ酢酸(TFA)(0.75ml)を加える。反応混合物を室温で30分間攪拌し、次いで減圧下で濃縮する。残渣をジクロロメタンで希釈する。有機相を、飽和炭酸水素ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続して洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(95:5:0.5 ジクロロメタン/メタノール/アンモニア水溶液);中間体Uを収率61%で単離する(白色パウダー、0.095g)。
【0222】
中間体GとPとのカップリング
【0223】
【化37】

【0224】
中間体P(0.22g、0.48mmol、2当量)およびヘキサフルオロイソプロパノール(127μl、1.2mmol、5当量)を、中間体G(0.1g、0.24mmol)をジクロロメタン(1.5ml)に溶かした溶液に連続して加える。次いで、反応混合物を室温で2時間攪拌した後で、ジクロロメタンで希釈する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(95:5から80:20 シクロヘキサン/酢酸エチル);化合物12を収率6%で単離する(薄黄色パウダー、0.022g)。
【0225】
中間体AとUとのカップリング
【0226】
【化38】

【0227】
炭酸カリウム(0.21g、1.51mmol、2当量)および中間体A (0.30g、0.76mmol、1当量)を、中間体U(0.35g、0.76mmol)をアセトニトリル(5.0ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で2時間攪拌した後、水および酢酸エチルで希釈する。水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(97.5:2.5から92:8 ジクロロメタン/酢酸エチル);化合物20を収率88%で単離する(白色の泡、0.52g)。
【0228】
化合物13の合成
中間体Qの合成
【0229】
【化39】

【0230】
工程1:2−ブロモプロパノール(2.77ml、24.1mmol、10当量)およびヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)(1.27ml、12.0mmol、5当量)を、中間体G(1.0g、2.41mmol)をジクロロメタン(14ml)に溶かした溶液に連続して加える。次いで、反応混合物を室温で2.5時間攪拌した後、ジクロロメタンで希釈する。有機相を炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(95:5 シクロヘキサン/酢酸エチル);臭素化された中間体を収率55%で単離する(透明な油、0.63g)。
【0231】
工程2:アジ化ナトリウム(0.18g、2.75mmol、2当量)を、臭素化された中間体(0.63g、1.38mmol)をジメチルスルホキシド(12ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で2.5時間攪拌する。酢酸エチルで希釈した後、有機相を水で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去し、定量的に得られたアジド中間体を以下の工程で直接使用する(白色パウダー)。
【0232】
工程3:トリフェニルホスフィン(0.36g、1.38mmol、1当量)を、アジド中間体(0.60g、1.38mmol)をテトラヒドロフラン(6ml)に溶かした溶液に加える。室温で24時間後、2mlの水を加え、攪拌をさらに24時間続ける。減圧下で溶媒を留去した後、得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(100:0から85:15 シクロヘキサン/酢酸エチル、次いで99:1から70:30 ジクロロメタン/メタノール);中間体Qを収率62%で単離する(白色パウダー、0.35g)。
【0233】
中間体DとQとのカップリング
【0234】
【化40】

【0235】
EDCI(0.43g、2.24mmol、3当量)およびHOBt(0.30g、2.24mmol、3当量)を、中間体D(0.27g、0.74mmol)をジクロロメタン(10ml)に溶かした溶液に加える。室温で30分間攪拌した後、中間体Q(0.30g、0.74mmol、1当量)をジクロロメタン(10ml)に溶かした溶液を加える。反応混合物を室温で2時間攪拌する。水を加えた後、混合物をジクロロメタンで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(90:10から80:20 シクロヘキサン/酢酸エチル);化合物13を収率59%で単離する(白色パウダー、0.335g)。
【0236】
化合物14の合成
中間体Sの合成
【0237】
【化41】

【0238】
工程1:コハク酸(2.84g、24.1mmol、10当量)およびトリエチルアミン(1.69ml、12.0mmol、5当量)を、中間体G(1.0g、2.41mmol)をアセトニトリル(10ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で96時間攪拌する。炭酸水素ナトリウム溶液を加え、酢酸エチルで抽出する。次いで、有機相を飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(95:5から90:10 シクロヘキサン/酢酸エチル);中間体Rを収率33%で単離する(灰色がかった白色のパウダー、0.28g)。
【0239】
工程2:アセトキシアセチルクロライド(40μl、0.37mmol、1.3当量)およびピリジン(30μl、0.37mmol、1.3当量)を、中間体R(0.1g、0.28mmol)をジクロロメタン(2.5ml)に溶かした溶液に加える。室温で24時間後、アセチルクロライド(1.3当量)およびピリジン(1.3当量)を再び加え、反応媒体をさらに6時間攪拌する。飽和塩化アンモニウム溶液を加え、混合物をジクロロメタンで抽出する。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、次いで減圧下で濃縮する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(95:5から92.5:7.5 ジクロロメタン/酢酸エチル);アセトキシ中間体を収率44%で単離する(白色パウダー、0.055g)。
【0240】
工程3:メタノール(0.5ml)に溶かしたナトリウムメトキシドの溶液(0.010g、0.176mmol)を、アセトキシ中間体(0.053g、0.117mmol)をメタノール(2ml)に溶かした0℃の溶液に加える。0℃で1時間攪拌した後、媒体を酢酸エチルおよび水で希釈する。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、次いで減圧下で濃縮する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(90:10から85:15 ジクロロメタン/酢酸エチル);中間体Sを収率94%で単離する(無色の油、0.045g)。
【0241】
中間体AとSとのカップリング
【0242】
【化42】

【0243】
水素化ナトリウム(油中60%、0.01g、0.25mmol、2.5当量)を、中間体S(0.04g、0.1mmol)をアセトニトリル(2ml)に溶かした溶液に加える。5分間攪拌した後、中間体A(0.05g、0.12mmol、1.2当量)およびヨウ化カリウム(触媒量)をアセトニトリル(1ml)に溶かした溶液を加える。反応混合物を室温で30時間攪拌する(追加の水素化ナトリウム(2.5当量)を加える)。飽和炭酸水素ナトリウム溶液を加えた後、酢酸エチルで抽出する。次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(85:15から75:25 シクロヘキサン/酢酸エチル);化合物14を収率21%で単離する(白色パウダー、0.016g)。
【0244】
化合物15の合成
【0245】
【化43】

【0246】
中間体Vの合成
【0247】
【化44】

【0248】
コハク酸(4.19g、35.5mmol、10当量)およびトリエチルアミン(1.80g、17.7mmol、5当量)を、中間体G(1.47g、3.5mmol、1当量)をアセトニトリルに溶かした溶液に室温で連続して加える。室温で3日間攪拌した後、反応媒体を酢酸エチル(60ml)で希釈し、飽和NaHCO溶液(30ml)で洗浄する。有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、次いで減圧下で濃縮する。粗反応生成物を、溶離液勾配のついたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製する(100:0から40:60 シクロヘキサン/酢酸エチル)。中間体Vを収率30%で得る(401mg)。
【0249】
中間体AとVとのカップリング
水素化ナトリウム(油中60%、0.02g、0.51mmol、2当量)を、中間体V(0.1g、0.25mmol)をジメチルホルムアミド(1.2ml)に溶かした0℃の溶液に加える。5分間攪拌した後、中間体A(0.21g、0.51mmol、2当量)およびヨウ化カリウム(0.01g、0.05mmol、0.2当量)を加える。反応混合物を室温で2時間攪拌する。飽和塩化ナトリウム溶液で加水分解した後、反応混合物をジエチルエーテルで抽出し、次いで、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(98:2から90:10 石油エーテル/ジエチルエーテル);化合物15を収率40%で単離する(白色パウダー、0.073g)。
【0250】
化合物21の合成
【0251】
【化45】

【0252】
工程1:水素化ナトリウム(76mg、1.9mmol、3当量)に次いでヨウ化アリル(174μl、1.9mmol、3当量)を、中間体V(250mg、0.635mmol)を無水ジメチルホルムアミド(DMF)(4ml)に溶かした溶液に0℃で加える。反応媒体を室温に戻す。4.5時間攪拌した後、飽和NaCl溶液で加水分解する。有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、次いで減圧下で留去する。O−アリルイミノエーテル(277mg、80%)が、溶離液勾配のついたシリカゲルクロマトグラフィーによる精製の後で得られる(98:2から95:5 石油エーテル/ジエチルエーテル)。
【0253】
工程2:先に単離したO−アリルイミノエーテル(174mg、0.401mmol、1当量)を、次いで第1世代グラブス触媒(33mg、0.043mmol、0.1当量)を、中間体N(131mg、0.335mmol、0.8当量)をジクロロメタン(1.6ml)に溶かした溶液に加える。室温で23時間攪拌した後、反応媒体をシリカで濾過し、次いで減圧下で濃縮する。化合物21(47mg、15%)が、溶離液勾配のついたシリカゲルクロマトグラフィーによる精製の後で得られる(100:0から85:15 シクロヘキサン/酢酸エチル)。
【0254】
化合物22、23、および24の合成
中間体Waの合成
【0255】
【化46】

【0256】
中間体A(100mg、0.241mmol)を無水THF(1.2ml)に溶かした溶液を、45分かけ、0℃でアルゴン下で、メチルアミン[エタノール中8.03M(300μl、2.41mmol、10当量)]を無水テトラヒドロフラン(THF)(12.5ml)に溶かした溶液に加える。室温で2時間攪拌した後、反応をジエチルエーテルで希釈し、飽和NaCl溶液で洗浄する。有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。粗反応生成物を、溶離液勾配のついたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(80:20から10:90 シクロヘキサン/酢酸エチル)。中間体Waが収率85%で得られる(75mg)。
【0257】
中間体Wbの合成
【0258】
【化47】

【0259】
中間体Wbは、中間体Aとアリルアミンとの反応により、同じ方法に従い収率47%で得られる。
【0260】
中間体Xaの合成
【0261】
【化48】

【0262】
トリフェニルホスフィン(78mg、0.301mmol、1.2当量)を、次いで1−ブロモスクシンイミド(NBS)(67mg、0.376mmol、1.5当量)を、中間体H(110mg、0.250mmol)を無水THF(1ml)に溶かした−15℃でアルゴン下の溶液に加える。反応媒体を室温まで上げる。さらに1時間攪拌した後、反応をジエチルエーテルで希釈し、飽和NaCl溶液で洗浄する。有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮する。粗反応生成物を、溶離液勾配のついたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(100:0から95:5 シクロヘキサン/酢酸エチル)。中間体Xaが収率75%で得られる(92mg)。
【0263】
中間体Xbの合成
【0264】
【化49】

【0265】
中間体Xbは、中間体Hから同じ方法に従い収率89%で得られる。
【0266】
中間体Xcの合成
【0267】
【化50】

【0268】
中間体Xcは、中間体Hから同じ方法に従い収率86%で得られる。
【0269】
中間体WとXとのカップリング
【0270】
【化51】

【0271】
ヨウ化カリウム(34mg、0.204mmol、1.1当量)、炭酸カリウム(57mg、0.411mmol、2.2当量)、次いで中間体Wa(74mg、0.203mmol、1.0当量)を無水DMF(1.0ml)に溶かしたものを、室温でアルゴン下で、中間体Xa(93mg、0.186mmol)を無水DMF(1.6ml)に溶かした溶液に加える。反応媒体を75℃に1.5時間加熱する。冷却すると、反応混合物をジクロロメタン(5ml)で希釈し、飽和NaHCO溶液(5ml)で洗浄し、次いで飽和NaCl溶液(5ml)で洗浄する。有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、次いで減圧下で留去する。粗反応生成物を、溶離液勾配のついたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(100:0から92:8 シクロヘキサン/酢酸エチル)。化合物22が収率70%で得られる(105mg)。
【0272】
化合物23は、中間体Waと中間体Xbとのカップリングにより、同じ手順に従い、収率18%で得られる。
【0273】
化合物24は、中間体Wbと中間体Xcとのカップリングにより、同じ手順に従い、収率76%で得られる。
【0274】
化合物25の合成
【0275】
【化52】

【0276】
工程1:OsO(0.98ml、0.15mmol、0.3当量)およびN−メチルモルホリンオキシド(NMO)(78.1mg、0.67mmol、1.3当量)を、化合物24(0.4g、0.51mmol)をテトラヒドロフラン(20.0ml)および水(5.0ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で18時間攪拌する。水(15.0ml)およびNaIO(0.55g、2.56mmol、10当量)を加え、反応混合物を室温で1時間攪拌した後で、水および酢酸エチルを加えて希釈する。有機相を飽和チオ硫酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。
【0277】
工程2:リン酸ナトリウム(0.23g、1.70mmol、3当量)、アミレン(0.27ml、2.55mmol、4.5当量)および亜塩素酸ナトリウム(0.15g、1.70mmol、3当量)を、先に形成した粗アルデヒド(0.44g、0.57mmol)をアセトン(15.0ml)および水(8.0ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で18時間攪拌した後で、水および酢酸エチルで希釈する。水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。粗反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(50:50 酢酸エチル/メタノール)。化合物25が収率18%で得られる(灰色がかった白色のゴム、0.082g)。
【0278】
化合物26の合成
【0279】
【化53】

【0280】
工程1:ポリアミン(0.045g、0.089mmol、1当量)、2−(1H−ベンゾトリアゾル−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)(0.044g、0.12mmol、1.3当量)およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(0.04ml、0.22mmol、2.5当量)を、26(0.07g、0.089mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(1.0ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で6時間攪拌した後で、水および酢酸エチルで希釈する。水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。粗反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(90:10から70:30 ジクロロメタン/酢酸エチル);期待される生成物が収率44%で得られる(0.050g)。
【0281】
工程2:塩化水素酸をイソプロピルアルコール(1.0ml)に溶かした5Nの溶液を、先に得られた中間体(0.05g、0.039mmol)をイソプロピルアルコール(3.0ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で18時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮する。化合物26が塩酸塩の形態で収率39%で得られる(白色固体、0.015g)。
【0282】
化合物27および28の合成
【0283】
【化54】

【0284】
OsO(0.36ml、0.042mmol、0.3当量)およびNMO(25mg、0.2mmol、1.5当量)を、化合物8(0.11g、0.14mmol)をテトラヒドロフラン(3.5ml)および水(0.9ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で18時間攪拌する。有機相を飽和チオ硫酸ナトリウム溶液、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。粗混合物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(100:0から70:30 シクロヘキサン/酢酸エチル)。化合物27が収率36%で得られる(灰色がかった白色の泡、0.041g)。化合物28が収率13%で得られる(灰色がかった白色の泡、0.015g)。
【0285】
化合物29の合成
中間体Yの合成
【0286】
【化55】

【0287】
工程1:2−N−メチルアミノエタノール(7.0ml、0.087mol、3.5当量)およびPd/C(0.7g)を、N−Boc−ピペリドン(5.0g、0.025mol)をメタノール(85ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を水素雰囲気下で18時間室温で攪拌する。次いで、混合物をセライトで濾過し、溶媒を減圧下で留去する。次いで、粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(85:15 ジクロロメタン/メタノール)。期待される中間体が収率97%で得られる(黄色の油、6.4g)。
【0288】
工程2:中間体G(1.0g、2.42mmol)、先に形成された中間体(6.4g、25.6mmol)およびヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)(1.9ml、18.1mmol)の溶液を室温で14日間攪拌する。次いで、溶媒を減圧下で留去し、粗反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーで精製する(100:0から97:3 ジクロロメタン/メタノール)。期待される中間体を収率15%で得る(0.21g)。
【0289】
工程3:トリフルオロ酢酸(TFA)(0.6ml)を、先に形成された中間体(0.21g、0.36mmol)をジクロロメタン(2.0ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を室温で3時間攪拌し、次いで炭酸カリウム水溶液を加えて塩基性にする。水相をジクロロメタンで抽出する。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(80:20:1から70:30:1 ジクロロメタン/メタノール/アンモニア水溶液);中間体Yが収率42%で得られる(黄色の油、0.074g)。
【0290】
中間体AとYとのカップリング
【0291】
【化56】

【0292】
炭酸カリウム(0.023g、0.16mmol、1.1当量)および中間体A(0.068g、0.16mmol、1.1当量)を、中間体Y(0.074g、0.15mmol)をアセトニトリル(1.0ml)に溶かした溶液に加える。反応混合物を攪拌し、90℃に18時間加熱する。次いで、混合物を室温に冷却し、水および酢酸エチルで希釈する。水相を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機相を水および飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで乾燥する。濾過の後、溶媒を減圧下で留去する。粗反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製する(60:40から40:60 シクロヘキサン/酢酸エチル);化合物29を収率7%で得る(白色固体、0.008g)。
【0293】
実施例2:本発明の化合物の細胞傷害活性
【0294】
本発明の化合物の細胞傷害活性を、A549細胞系(肺)およびナマルバ細胞系(リンパ腫)などのヒト腫瘍細胞系の細胞増殖の阻害を測定して評価した。この活性は、被験生成物が細胞増殖を50%阻害できる濃度であるIC50により示される。利用される方法は、以下の刊行物に記載されているとおり、Perkin Elmerより市販のATPLite(登録商標)キットを利用する72時間のインキュベーションの後に残存するATPの蛍光による測定である:"Measurement of cytotoxicity by ATP-based luminescence assay in primary cell cultures and cell lines." I.A. Cree, P.E. Andreotti, Toxicology in Vitro, 11, 553-6, (1997)。
【0295】
例として、A549およびナマルバ細胞系で評価された本発明のいくつかの化合物の細胞傷害活性を以下の表に示す。
【0296】
【表1】

【0297】
これらの細胞傷害性を考慮に入れると、本発明の化合物は、ガンの病状を治療するためのヒトの療法に使用できる。これらの活性成分を含む医薬調合物は、とりわけ経口、静脈内、または皮下経路により投与するために製剤できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の10−トリフルオロメチル化アーテミシニンの二量体誘導体またはその薬学的に許容可能な塩:
【化1】

(上記式中、
- aおよびbは互いに独立して1または2を表すが、同時に1を表すことはできず、
- Aは、ヘテロ原子または飽和複素環を表し、
○ 前記ヘテロ原子は、窒素、酸素、および硫黄の原子から選択されるヘテロ原子であって、前記窒素原子はR1基により所望により置換されており、R1基は、水素原子および以下の基:(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)シクロアルキル、アリール−(C−C)アルキル、ヘテロアリール−(C−C)アルキル、複素環−(C−C)アルキル、所望により置換されたアリール、所望により置換されたヘテロアリール、−COR2、−COR2、−C(O)NR2R2a、−SOR2、−CHC(O)OR2、および−CHC(O)NR2R2aから選択され(ここで、R2は、水素原子または以下の基:(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、所望により置換されたポリアミン、(C−C)シクロアルキル、アリール−(C−C)アルキル、ヘテロアリール−(C−C)アルキル、所望により置換されたアリール、または所望により置換されたヘテロアリールのうち1つを表し、R2aは水素原子または(C−C)アルキル基を表す)、
○ 前記飽和複素環は、酸素、硫黄、および窒素の原子から選択される1つ以上のヘテロ原子を含んでなり、そのうちの少なくとも1つの窒素原子が炭素10に結合しており、
- は、Aが酸素もしくは硫黄原子または複素環を表す場合には単結合を表し、Aが窒素原子を表す場合には単結合または二重結合を表し、前記窒素原子は、が単結合を表す場合に先に定義されたR1基により置換されており、
- Bは、−CH−Y−、−C(=O)−Y−、または−CH(OR3)−基を表し(Yは、O、S、N−R1、または複素環を表し、R1は先に定義された通りであり、R3は、水素原子、または(C−C)アルキルまたはアリール基を表す)、
- Xは、
が二重結合を表す場合、
=C(X1)−(O−X2)−基(X1およびX2は、互いに独立して、(C−C)アルキルまたは(C−C)アルケニル基を表し、cは0または1を表す)を表し、
が単結合を表す場合、
・以下の基の1つ:1つ以上のOH基により所望により置換された(C−C)アルキル;(C−C)アルケニル;(C−C)アルキニル;[(C−C)アルキル]−(C−C)シクロアルキル−[(C−C)アルキル];[(C−C)アルキル]−複素環[(C−C)アルキル];[(C−C)アルキル]−アリール−[(C−C)アルキル];[(C−C)アルキル]−ヘテロアリール−[(C−C)アルキル];(nおよびpは互いに独立して0または1を表す)、
・−CO−(CH−もしくは−CO−(CH−CO−基(qは1、2、3、または4の整数を表す)、または
・−CO−(CH−Z−(CH−CO−基(rおよびuは互いに独立して0または1の整数を表し、sおよびtは互いに独立して0、1、2、3、または4の整数を表し、Zは、−S−、−S−S−、−SO−、−SO−、−Se−Se−、−O−P(O)(OR3)−O−、−NR1−、(C−C)−シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリール基を表し、R1およびR3は先に定義の通りである)
を表す)。
【請求項2】
Aが酸素または窒素原子を表す、請求項1に記載の二量体誘導体。
【請求項3】
Bが、−CHO−、−CHNR1−、−C(=O)NR1−、−CH(OR3)−、または−CH−(複素環)−基(R1およびR3は請求項1に定義された通り)を表す、請求項1または2に記載の二量体誘導体。
【請求項4】
が単結合を表し、Xが、(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、(C−C)アルキル−ヘテロアリール−(C−C)アルキル、−(CH−NR1−、または−CO−(CH−基(qは請求項1に定義された通り)を表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の二量体誘導体。
【請求項5】
以下の化合物から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の二量体誘導体:
【化2−1】

【化2−2】

【化2−3】


【請求項6】
特にガン治療用薬剤として使用するための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の二量体誘導体。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの二量体誘導体および少なくとも1つの薬学的に許容可能なキャリアを含んでなる、医薬組成物。
【請求項8】
有利には、6−メルカプトプリン、フルダラビン、クラドリビン、ペントスタチン、シタラビン、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、ラルチトレキセド、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、ミトキサントロン、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、カルムスチン、フォテムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、プロカルバジン、デカルバジン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、L−アスパラギナーゼ、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ゴセレリン、ブセレリン、ホルメスタン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、レトロゾール、タモキシフェン、オクトレオチド、およびランレオチドなどの抗ガン剤から選択される、少なくとも1つの他の活性成分をさらに含んでなる、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
(i)請求項1〜5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物、および
(ii)少なくとも1つの他の活性成分
を含んでなる、同時使用、別々の使用、または連続使用するための組み合わせ物としての医薬組成物。
【請求項10】
1つまたは複数の前記活性成分が、6−メルカプトプリン、フルダラビン、クラドリビン、ペントスタチン、シタラビン、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、メトトレキサート、ラルチトレキセド、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、ミトキサントロン、クロルメチン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、カルムスチン、フォテムスチン、ストレプトゾシン、カルボプラチン、シスプラチン、オキサリプラチン、プロカルバジン、デカルバジン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、L−アスパラギナーゼ、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ゴセレリン、ブセレリン、ホルメスタン、アミノグルテチミド、アナストロゾール、レトロゾール、タモキシフェン、オクトレオチド、またはランレオチドなどの抗ガン剤から選択される、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ガン治療用薬剤として使用するための、請求項7〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物の製造方法であって、式(I)の化合物が、以下の式(II)の化合物と:
【化3】

(上記式中、aは請求項1に定義された通りであり、Z1はハロゲン原子、好ましくは臭素原子、または−OH、−NH、もしくは−NHR1基を表し、R1は請求項1に定義された通りである)
以下の式(III)の化合物と:
【化4】

(上記式中、bは請求項1に定義された通りであり、Z2は−CHOH、−CHO、−COOH、−CH、−CHNH、または−CHHal基を表し、Halはハロゲン原子、好ましくは臭素原子を表す)
のカップリングにより得られる、方法。
【請求項13】
B=−CHY−または−C(=O)−Y−(Yは請求項1に定義された通り)である式(I)の化合物が、 化合物(II)と、(III)と、以下の式(IV)の化合物とのカップリングにより製造される、請求項12に記載の方法:
Z3−X−Z4(IV)
(上記式中、
Xは請求項1に定義された通りであり、
Z3は、臭素または塩素原子などのハロゲン原子、または−OH、−NHR1、−SH、−N、もしくは−C(=O)R4基を表し、R1は請求項1に定義された通りであり、R4は水素原子または(C−C)アルキル基を表し、
Z4は、臭素または塩素原子などのハロゲン原子、または−OH、−NHR1、−SH、もしくは−N基、または少なくとも1つの環内NH基を含んでなる複素環を表し、R1は請求項1に定義された通りである)。
【請求項14】
B=−CH(OR3)−(R3は請求項1に定義された通り)である式(I)の化合物が、化合物(II)と、(III)(Z2=−CHO)と、以下の式(V)の化合物とのカップリングにより製造される、請求項12に記載の方法:
Z5−X−Z6(V)
(上記式中、
Xは請求項1に定義された通りであり、
Z5は、臭素または塩素原子などのハロゲン原子、または−OH、−NHR1、−SH、−N、もしくは−C(=O)R4基を表し、R1は請求項1に定義された通りであり、R4は水素原子または−(C−C)アルキル基を表し、かつ
Z6は酸性水素原子またはハロゲン原子を表す)。

【公表番号】特表2011−529472(P2011−529472A)
【公表日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520500(P2011−520500)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059792
【国際公開番号】WO2010/012761
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(500033483)ピエール、ファーブル、メディカマン (73)
【出願人】(594016872)サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) (83)
【出願人】(509003298)ユニヴェルシテ パリ−シュド 11 (6)
【Fターム(参考)】