説明

アームレスト

【課題】 コイルバネを軸に巻き付けたバネロック式のアームレストにおいて、耐荷重が比較的低くても足りるとしてロック機構やアンロック機構を省いて構造をきわめて簡単にする。
【解決手段】 シートバックから突出する固定軸にコイルバネを巻き付けるとともに、アームにコイルバネの一端に作用してコイルバネを締め付ける方向に回転させる荷重受片と、同じく緩める方向に回転させる復帰片とを設け、荷重受片と復帰片とを設ける位置をそれぞれアームが所定の角度になったときに当接する位置に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下方荷重を受け止める力が比較的小さくて足りる簡易形のアームレストに関するものである。
【背景技術】
【0002】
アームレストは、腕による下方荷重を受け止めるものでなければならないが、さらに、使用時の高さが調整できるものが好ましい。これには留め金によるラッチ式と軸にコイルバネを巻き付けたバネロック式のものとがあるが、中でも、バネロック式のものは比較的構造が簡単であることから、多く採用されている。しかし、従来のバネロック式のものは、耐荷重が50Kgf程度に設定されていることから、コイルバネを巻き付ける軸の径も大きくなるとともに、十分な巻数を確保するために軸の長さも長くなり、重量、サイズ、価格ともに不満があった。
【0003】
下記特許文献1には、バネロック式のアームレストが記載されているが、上記の耐荷重のものであれば、下方への高さ調整やシートバックに沿う斜め後ろ上方の収納位置からの下方回転に際してはロック力を解除しなければならない。このため、解除機構を設けてこの操作をするときには解除機構を作動させているが、構造が複雑になる上に部品点数が多くなって重量が嵩むとともに、組付工数も増してコスト高を来していた。さらに、解除機構を設けると、当然にその操作が必要になり、搭乗者に煩雑感を与えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−192132号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、比較的小型車に装備されるアームレストであり、耐荷重も20Kgf程度で足りるとして構造を簡単にしたものであり、その結果、重量、サイズ、価格及び操作性の面で優位性を確保できたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、シートバックの側面に突出される固定軸と、固定軸に回転可能に嵌合され、略水平な調整範囲下限位置と斜め後ろ上方の収納位置との間で回転し、かつ、調整範囲下限位置と調整範囲下限位置から所定角度上昇した調整範囲上限位置との間の下方回転では所定のロックがかかるアームと、アームに収容され、一端に径方向外方に曲成される感応端を有して固定軸に巻き付けられ、巻き内径が固定軸の外径よりも若干小さいコイルバネとからなるアームレストにおいて、アームの下方回転時に感応端に作用して感応端をコイルバネを締付ける方向に回転させる荷重受片と上方回転時に緩める方向に回転させる復帰片とをアームに設け、荷重受片をアームが調整範囲上限位置に来たときに当接する位置に設けるとともに、復帰片をアームが調整範囲下限位置より収納位置までの角度から調整範囲下限位置より調整範囲上限位置までの角度を減じた角度の位置に来たときに当接する位置に設けたことを特徴とするアームレストを提供したものである。
【0007】
また、本発明は、以上のアームレストにおいて、請求項2に記載した、アームの収納位置と調整範囲下限位置とを超える回転がストッパによって規制されている手段、請求項3に記載した、アームが固定軸の長手方向二カ所で両持ちで支持されている手段、さらに、請求項4に記載した、固定軸の外周とコイルバネの他端側の一部に隙間を持たせるとともに、アームにコイルバネの一端を固定するホルダーAと他端を固定するホルダーBとを収容し、ホルダーAとホルダーBとを位相を変えて結合可能にした手段を提供する。これにおいて、請求項5に記載した、アームにブラケットを一体化して内装し、ブラケットにホルダーAとホルダーBとを収容した手段、請求項6に記載した、固定軸を径小にするかコイルバネの巻き内径を径大にした手段を提供する。また、請求項7に記載した、アームと固定軸との間に少なくともアームの自重に打ち勝つ摺動抵抗を付与した手段を提供し、加えて、請求項8に記載した、アームが断面U字形をしている鋼板の成形品であり、縁部全周を内側にカールさせた手段、請求項9に記載した、アームが樹脂成形品である手段を提供する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によると、必要部材は、固定軸、荷重受片を形成したアーム及び固定軸に巻き付けるコイルバネで足り、非常に簡易なものになる。したがって、重量、サイズ、価格及び操作性の面で優位性を確保できる。請求項2の手段によると、アームは必要以上に回転しない。特に、調整範囲下限位置を超える下方回転の規制は、仮に大きな荷重がかかったときの安全部材ともなる。請求項3の手段によると、アームの回転がスムーズになるとともに、アームにかかるシート左右方向の荷重に対して高い強度を発揮するものとなる。
【0009】
請求項4及び5の手段によると、固定軸を締め付けるコイルバネの締付力(ロック力)を調整できるから、コイルバネの巻き内径の製作誤差によるロック力のバラツキを吸収できる。また、ロック力を調整するためにコイルバネの両端をアームに固定しても、通常のバネロック式の機能を発揮させることができるとともに、コイルバネの長手方向の伸長も許容するものにできる。請求項6の手段によると、隙間の形成を容易にできるし、請求項7の手段によると、アームを途中で止めたときにも自重で落下するようなことはないし、操作感も向上する。請求項8の手段によれば、アームの断面係数が上がって強度が強くなり、厚みの薄いものが使用できて重量軽減に寄与する。請求項9の手段によれば、コスト、重量ともに優れたものになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】アームの斜視図である。
【図2】アームの基端部の一部縦断面図である。
【図3】アームの基端部の他の例の一部縦断面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】アームに組み込まれるブラケットの斜視図である。
【図7】アームの回転を説明する説明図である。
【図8】アームの他の例を示す縦断面図である。
【図9】アームの基端部を補強する例の斜視図である。
【図10】アームの基端部を補強する例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明するが、アームは細長い形態をしていてシートバックに取り付けられた軸の回りを回転するのは周知であり、以下に方向を指称するときには、アームを基準として回転中心が基端部、先端が先端部、内方とはシートバック側、下方回転とは先端部が下方に向けて回転することをいう。図1はアームの斜視図、図2はアームの基端部の一部縦断面図であるが、シートバックのフレーム(図示省略)の側面にはシートブラケット1が固定されており、これにブッシュ2を嵌合したボルト3が螺入される。したがって、ブッシュ2はボルト3に固定されて一体になっており、以下、これを固定軸4と称す。なお、固定軸4はブッシュ2とボルト3とが一体になったものでもよい。
【0012】
固定軸4にはアーム5が回転可能に遊嵌されるが、このとき、アーム5は固定軸4の側面とシートブラケット1との間に介在するウェブワッシャ6で挟圧された状態になっており、アーム5の回転には相応の摺動抵抗が付与されるようになっている。本例のアーム5は断面がU字形をした鋼板の成形品であり、U字の縁は断面係数を上げて強度を高めるため全周に亘って内側にカール5aに形成されている。なお、U字形の開口側が外方であるが、その基端部周辺はウレタン発泡のためのカバー7が組み付けられている。カバー7の孔7aはシートブラケット1に取り付けるためのものであるが、図1の形態のものにウレタンが注入発泡され、発泡体で包まれた後にシートバック1に固定軸4によって取り付けられ、その後、発泡体を被覆する表皮の上からキャップされる。
【0013】
固定軸4の外周にはコイルバネ8が巻き付けられるが、コイルバネ8の外方の一端は外方に曲成されて径方向に突出した感応端8aとなっている。また、コイルバネ8の巻き内径が固定軸4の外径よりも若干(0.5〜4%)小さくなっている。なお、コイルバネ8の巻き方向はアーム5が下方回転して感応端8aを押し下げるときには締め付ける方向で、上方回転して感応端8aを押し上げるときには緩める方向にしておく。さらに、アーム5にはその回転角度と回転方向に伴って感応端8aに当接したり、離反したりする荷重受片9と復帰片10とを設けている。
【0014】
図7はアーム5の各回転角度における荷重受片9と復帰片10の動きを示す説明図であるが、一般に、アームレストにおけるアーム5は、略水平な調整範囲下限位置(以下、下限位置)(ハ)、(ハ´)と斜め後ろ上方の収納位置(イ)、(ホ)とに亘る回転範囲で回転する。この場合、アーム5は、下限位置と下限位置から所定角度上昇した調整範囲上限位置(以下、上限位置)とに亘る調整範囲の中では下方回転は所定にロックされて腕の荷重を支持する。そして、調整範囲の中ではアーム5が荷重を受け止める位置が調整できるようになっており、この調整した位置をセット位置と称する。以下の説明では、理解を容易にするため、セット位置は下限位置として水平方向に対して0°、収納位置は110°、上限位置は30°とする。したがって、回転範囲は110°、調整範囲は30°となる。なお、符号は(イ)のみに記し、後は省略する。
【0015】
アーム5に設ける荷重受片9の位置は、アーム5が110°の収納位置から80°下方回転して30°の上限位置に来たときにその下方回転方向先端が感応端8aに当接する位置に設定しておく。換言すれば、調整範囲の上限位置に設定しておく。一方、復帰片10を設ける位置は、アーム5が下限位置より収納位置までの110°の角度から下限位置より上限位置までの30°の角度を減じた80°の角度の位置に来たときに当接する位置に設定しておく。つまり、回転範囲の角度から調整範囲の角度を減じた位置でもある。
【0016】
今、アーム5が収納位置(イ)から上限位置(ロ)に下方回転すると、荷重受片9は感応端8aに当接し、以後、所定のロックがかかり、腕の荷重を受け止める。この受け止め荷重はコイルバネ8が固定軸4を締め付ける方向に回転するからであり、これをロック荷重と称する。本例では、セット位置を下限位置としたから、荷重受片9が上限位置で感応端8aに当接してからは下限位置までの30°の範囲ではロック荷重に打ち勝つ力を与えてスリップさせなけれならない。しかし、本発明では、ロック荷重は20Kgf程度に設定してあるから、この操作はそれほど困難ではない。なお、セット位置が下限位置より上方にあれば、スリップはその分だけ少なくてもよい。
【0017】
次に、下限位置(ハ´)から収納位置(イ)に戻そうとすると、アーム5を上方回転させるが、アーム5が収納位置(イ)の角度から上限位置(ロ)の角度を減じた位置、すなわち、80°の位置に来ると復帰片10が感応端8aに当接する(ニ)。以後、収納位置(イ)まではコイルバネが8が固定軸4を緩める方向に回転し、比較的軽い力で足りる。ここでは、この荷重をこれをアンロック荷重と称する。一方で、荷重受片9や復帰片10が感応端8aに当接しない間はきわめて軽い力で回転し、これをフリー荷重と称する。ところで、このフリー荷重がアーム5の自重よりも軽いとしたなら、アーム5を途中で留められないし、操作感もよくない。そこで、アーム5には少なくとも自重に打ち勝つ摺動抵抗を与えておく必要があるが、上記した固定軸4の側面とウェブワッシャ6との挟圧力でこれを達成している。
【0018】
この他、アーム5が上限位置と下限位置とを超えて回転しないようにそれぞれストッパ11、12が設けてある。特に、下方のストッパ11については、コイルバネ8がスリップしたときの安全部材となり、重要な意味を持つ。以上のようなアーム5の動きは、セット位置を水平位置とした場合、シートベルト等を装着するに際してアームを40〜50°持ち上げたとしても、80°を超えない限りは下方回転や上方回転を繰り返しても復帰片10は感応端8aに当接しない。したがって、フリー荷重で常にセット位置まで戻すことができる。ところで、以上の説明は、セット位置を下限位置としたものであるが、この位置は調整範囲の中では自由に調整できる。この場合、セット位置を下限位置から上昇させると、その分だけ荷重受片9は感応端8aに早く当接し、復帰片10は遅れて当接することになる。なお、下限位置や収納位置及びこれに伴う回転範囲や調整範囲も上記したものに限るものではない。
【0019】
図3は他の実施例を示すアームの基端部の縦断面図、図4は図3のA−A断面図、図5は図3のB−B断面図、図6はアームに組み込まれるブラケットの斜視図であるが、本例では、アーム5の内部にアーム5と一体化されるブラケット13を内装し、コイルバネ8の一端と他端をブラケット13に収容されるホルダーA14とホルダーB15とで保持したものである。この場合、コイルバネ8の他端も外方に曲成されて径方向に突出して自由端8bを形成しており、上記した一端の感応端8aともどもホルダーA14とホルダーB15の対向する側面に形成された溝に嵌め込まれて一体化されている。なお、荷重受片9や復帰片10はブラケット13に設けることになる。
【0020】
そして、本例では、ホルダーA14とホルダーB15とは位相を変えて結合できるようになっている。具体的には、両者の一部を対向側に張出させて重合させ、この重合部にインボリュートやスプライン等を形成したセレーション嵌合16をさせている。これは、コイルバネ8の感応端8aと自由端8bの位相を変えるためで、セレーション嵌合16の噛み合わせを変えることで、コイルバネ8による固定軸4の締付力を変えてロック荷重を調整できるからである。すなわち、締め付ける方向に変えるとロック荷重とアンロック荷重が増し、緩める方向に変えると両者は弱まる。一般に、コイルバネの巻き内径の精度の確保は非常に難しいから、こうすることでこれを補完できる。
【0021】
さらに、コイルバネ8の自由端8b側と固定軸4(ブッシュ2)の外周の一部に隙間17を設けている。この隙間17は、本例では、その範囲がコイルバネの巻数の40%程度、その量が巻き内径の10%程度にしてあるが、これに限定されるものではない。要は、コイルバネ8が十分な巻数を有して固定軸4を締め付けるものであるとともに、感応端8aと自由端8bの位相を特に締付け側に変えるに際してコイルバネ8の巻き内径の縮小が固定軸4によって妨げられないものであればよい。また、隙間17の形成方法として、本例では、この部分のブッシュ2に径小部2aを形成しているが、これに代えて又は併用してコイルバネ8の巻き内径を大きくしてもよい。これによると、固定軸4の強度を低下させない利点がある。
【0022】
この隙間17はセレーション嵌合16の噛み合わせを変えてコイルバネ8を締め付けるときに有効に作用する。すなわち、コイルバネ8をより締め付けようとするとき、この隙間17の部分で巻き内径が自由に縮小するから、それに伴って隙間17以外の部分で巻き内径を更に縮小させようとすることで締付力をアップさせる。なお、ホルダーA14とホルダーB15の位相を調整するのは、ブラケット5に組み込む前にすることになる。
【0023】
また、この隙間17は復帰片13が感応端8aに当接してコイルバネ8を緩める方向に回転させるときに重要な働きをする。すなわち、ホルダーA14とホルダーB15とはセレーション嵌合16で一体化されているから、復帰片10が感応端8aに当接してコイルバネ8を緩める方向に回転させ始めると同時に自由端8bはコイルバネ8を締め付ける方向に回転する。しかし、隙間17があることによってこの部分でコイルバネ8の巻き内径は自由に縮小してその締付力をスポイルし、上記の例と同様にアーム5はアンロック荷重とほとんど変わらない荷重で軽く回転することができる。
【0024】
さらに、この隙間17はアーム5(ブラケット13)のフリー荷重を付与するのに寄与する。すなわち、コイルバネ8の自由長をホルダーA14とホルダーB15の内面間の長さよりも長くしておき、両ホルダー14、15に圧縮させて収容するのである。この場合、コイルバネ8は固定軸4を締め付けているが、隙間17の部分では自由に長手方向に伸長してホルダーB15をブラケット13に弾圧する。したがって、上記したウェブワッシャ6による摺動抵抗に代えてこのコイルバネ8の長手方向の弾発力を付加することで安定したフリー荷重が得られる。また、ホルダーB14とブラケット13との摺動面に凹凸面や粗面18を形成しておけば、更に安定した摺動抵抗の増大が図れる。
【0025】
以上で説明したように、本発明の基本的な思想は、荷重受片9が締付け状態で固定軸4(ブッシュ2)に巻き付けられたコイルバネ8の感応端8aを更に締付け側に押しやるものである。したがって、コイルバネ8の周回部分から外方に曲がる感応端8aの付け根は集中荷重を受けることになり、アーム5の先端が受け持つ20Kgf程度の耐荷重は感応端8aの付け根ではてこの原理で増大されて数百Kgfの荷重を受けることになる。具体的には、感応端8aの付け根の位置(ブッシュ2の半径)とアーム5の長さの比が1:20であれば、400Kgfにもなる。このため、感応端8aの付け根が曲がったり折れたりする虞があり、何らかの補強が必要になることがある。
【0026】
図9はこの補強の例を示すコイルバネ8部分の斜視図、図10は断面図であるが、ブッシュ2を一種の分割する形態にするホルダーC19を用いている。すなわち、ホルダーC19をアーム5の内側で感応端8a側に起立部(バール)19aを形成してこの起立部19aをブッシュ2に嵌合し(起立部19aの外径とブッシュ2の外径は同じにしてある)、コイルバネ8を起立部19aからブッシュ2にかけて巻き付けている。また、ホルダーC19に溝19b等を形成してこの溝19bに感応端8aを嵌め込んで感応端8aとホルダーC19とを一体化している。このような構成をとることで、コイルバネ8の巻数nの部分はブッシュ2を締め付ける通常の働きをするが、残りの巻数mの部分は起立部19aを締め付けてはいるが、起立部19aと一緒に回って荷重を受けることはない。
【0027】
この割合は、巻数比n:mで決まり、n:mが1:1であれば、巻数mの部分、とりわけ、感応端8aの付け根には荷重はかからない。また、図10のようにn:mが4:2であれば、受ける荷重は半分になる。なお、巻数nの部分と巻数mの部分の境目は強い荷重を受けることになるが、この部分はコイルバネ8がブッシュ2に周回している部分であるから、線体自体が延びるだけで荷重の増加に対して十分に耐性がある。こうすることで、コイルバネ8の線径の自由度が増してより細いもので足り、コイルバネ8の長さを短くできたり、巻数の増大を図ることができる。具体的には、同じ仕様のものにするとして、n:mを4:2にすれば、3.2mmの線径のものを1.6mmにできる。
【0028】
図8はアーム5を樹脂のブロー成形品とした場合の断面図であるが、これによると、成形に要するコスト、重量ともに優れたものになるし、リサイクルも容易になる。なお、成形は射出成形によってもよい。この場合は、内面体5Aと外面体5Bを合わせる構造にするが、内面体5Aと外面体5Bの合わせは相互に突起や孔を形成してこれを嵌合して結合すればよい。
【0029】
ところで、以上のブラケット13は金属製、樹脂製を問わない。いずれの場合も荷重受片9や復帰片10は一体成形が可能である。また、ブラケット13を廃してホルダーA14とホルダーBを直接アーム5に収容してもよい。この場合は、ブラケット13に求められる機能はアーム5が果たすことになる。
【符号の説明】
【0030】
1 シートブラケット
2 ブッシュ
2a ブッシュ(固定軸)の径小部
3 ボルト
4 固定軸
5 アーム
5a アームのカール
5A 樹脂製アームの外面体
5B 樹脂製アームの内面体
6 ウェブワッシャ
7 カバー
7a カバーの孔
8 コイルバネ
8a コイルバネの感応端
8b コイルバネの自由端
9 荷重受片
10 復帰片
11 ストッパ
12 ストッパ
13 ブラケット
14 ホルダーA
15 ホルダーB
16 セレーション結合
17 隙間
18 凹凸面や粗面
19 ホルダーC
19a 〃 の起立部
19b 〃 の溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートバックの側面に突出される固定軸と、固定軸に回転可能に嵌合され、略水平な調整範囲下限位置と斜め後ろ上方の収納位置との間で回転し、かつ、調整範囲下限位置と調整範囲下限位置から所定角度上昇した調整範囲上限位置との間の下方回転では所定のロックがかかるアームと、アームに収容され、一端に径方向外方に曲成される感応端を有して固定軸に巻き付けられ、巻き内径が固定軸の外径よりも若干小さいコイルバネとからなるアームレストにおいて、アームの下方回転時に感応端に作用して感応端をコイルバネを締付ける方向に回転させる荷重受片と上方回転時に緩める方向に回転させる復帰片とをアームに設け、荷重受片をアームが調整範囲上限位置に来たときに当接する位置に設けるとともに、復帰片をアームが調整範囲下限位置より収納位置までの角度から調整範囲下限位置より調整範囲上限位置までの角度を減じた角度の位置に来たときに当接する位置に設けたことを特徴とするアームレスト。
【請求項2】
アームの収納位置と調整範囲下限位置とを超える回転がストッパによって規制されている請求項1のアームレスト。
【請求項3】
アームが固定軸の長手方向二カ所で両持ちで支持されている請求項1又は2のアームレスト。
【請求項4】
固定軸の外周とコイルバネの他端側の一部に隙間を持たせるとともに、アームにコイルバネの一端を固定するホルダーAと他端を固定するホルダーBとを収容し、ホルダーAとホルダーBとを位相を変えて結合可能にした請求項1〜3いずれかのアームレスト。
【請求項5】
アームにブラケットを一体化して内装し、ブラケットにホルダーAとホルダーBとを収容した請求項4のアームレスト。
【請求項6】
固定軸を径小にするかコイルバネの巻き内径を径大にした請求項4又は5のアームレスト。
【請求項7】
アームと固定軸との間に少なくともアームの自重に打ち勝つ摺動抵抗を付与した請求項1〜6いずれかのアームレスト。
【請求項8】
アームが断面U字形をしている鋼板の成形品であり、縁部全周を内側にカールさせたものである請求項1〜7いずれかのアームレスト。
【請求項9】
アームが樹脂成形品である請求項1〜7いずれかのアームレスト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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