説明

イオンイメージセンサ及びダメージ計測装置

【課題】 毛髪や肌のダメージの程度を2次元画像として可視化できるイオンイメージセンサ及びダメージ計測装置を提供する。
【解決手段】 本発明によるイオンイメージセンサは、イオン濃度を検出するイオンイメージセンサであって、毛髪もしくは頭皮を含む肌に液体を介して接触するセンシング部を2次元状に配列して備え、該センシング部で検出したイオン濃度を2次元画像データとして出力する。イオン濃度としては、水素イオン濃度やカルシウムイオン濃度等が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンイメージセンサ及びダメージ計測装置に関し、特に、イオン濃度分布の2次元画像データを出力するイオンイメージセンサ及びダメージ計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、生化学分野では、その初期の研究が専ら光学顕微鏡に拠っていた歴史から、電圧・電流や各種分光スペクトルなど画像ではないデータを沢山解析してきた半導体分野などとは違い、主に蛍光や発光によるイメージングという、目で見てわかる2次元画像を得てそれらを解析するという実験手段が主に使われてきた。2008年度ノーベル化学賞を受賞した下川先生の蛍光するタンパク質も、ある特定分子にそのタンパク質を標識として付与するか、あるいはそのタンパク質を合成するDNAに組み込むことにより、対象とする生化学現象を発光によるイメージで捉えることが主たる使用目的である。この手法の開発にノーベル賞が与えられているところに生化学現象解析での発光・蛍光分析の重要性が現れている。
【0003】
このような蛍光・発光分析は、その歴史が長く技術的に洗練されているともいえるが、検出する光が非常に弱いため、真空管をベースとする光電子倍増管が受光器として用いられている。しかし、光電子倍増管は大きさが大きい上に壊れやすく、光学部品が別途必要となり、光学部品がどうしても焦点距離分の空間を取らねばならないため、装置が大型で高価なものとなる。また、定期的なメンテナンスが必要で、そのため装置稼働率が悪く、生化学実験の進歩スピードを鈍らせている原因にもなっている。
【0004】
一方、生化学に近い医療や美容の分野では、イオンセンシングに興味が持たれている。毛髪のダメージは水素イオン濃度(pH)との関連が知られており、そのpHを測定するのにイオンセンシングを行なうことが考えられる。(例えば、特許文献1参照。)。従来、イオンセンシングはガラス電極を使うpHセンサを基本としたセンサしかセンシングするものがない状態が続いていた。ガラス電極は壊れやすい上に、頻繁な洗浄も必要となり、測定が煩わしい割には、測定結果として数値が表示されるだけで、特に一般の人にとって分かりやすい形で情報を提供する装置がなかった。また測定精度が必ずしも十分ではないといった問題があった。
【0005】
ここで、大変な勢いで発達してきたエレクトロニクスをいわゆる家電製品に使うだけでなく、他分野へ適用しようという動きが近年活発で、特に医療分野への応用を揚げた医工連携という言葉が流行になってきている。その中でも、ベーシックなものとしてFET(Field Effect Transistor)を用いたセンサの開発が挙げられる。このようなセンサとして、例えば、ISFET(Ion Sensitive Field Effect Transistor:イオン感応性電界効果型トランジスター)によるイオンセンシング(例えば、特許文献2参照。)やDNAセンシング等が知られている。
【0006】
しかしながら、ISFETにおいても、測定結果として数値が表示されるだけで、特に一般の人にとって分かりやすい形で情報を提供する装置がなかった。医療にしても美容にしても、結局は一般の人にわかりやすい形で説明できなければ、効果的な対策を納得の上で施すことが難しくなる。
【特許文献1】特開2003−202318号公報
【特許文献2】特開2002−98667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、毛髪や肌のダメージの程度を2次元画像として可視化することが可能なイオンイメージセンサ及びダメージ計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、イオン濃度を検出するイオンイメージセンサであって、毛髪もしくは頭皮を含む肌に液体を介して接触するセンシング部を2次元状に配列して備え、該センシング部で検出したイオン濃度を2次元画像データとして出力することを特徴とするイオンイメージセンサである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記イオン濃度は、水素イオン濃度であることを特徴とする請求項1に記載のイオンイメージセンサである。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記イオン濃度は、カルシウムイオン濃度であることを特徴とする請求項1に記載のイオンイメージセンサである。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、前記センシング部には、前記毛髪もしくは前記頭皮を含む肌に対向する単層もしくは複数の層からなるゲート絶縁層が少なくとも配置されており、前記ゲート絶縁層下の電荷を転送するためのフローティングディフュージョン領域が、前記センシング部のセンシング領域の近傍のシリコン基板表層に配置されているCMOS型イメージセンサであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオンイメージセンサである。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、前記センシング部は、前記イオン濃度を電荷に変換する電荷変換機構を有し、該電荷変換機構は前記フローティングディフュージョン領域に電荷を転送するための電荷転送機構と、前記フローティングディフュージョン領域をリセットするためのリセット機構とを有することを特徴とする請求項4に記載のイオンイメージセンサである。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のイオンイメージセンサは、金属もしくは多孔質物質からなる参照電極を、前記センシング部が少なくとも1つ以上配置されたチップ内に備えていることを特徴とするイオンイメージセンサである。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、前記参照電極が前記チップ内に複数配置されていることを特徴とする請求項6に記載のイオンイメージセンサである。
【0015】
また、請求項8に記載の発明は、前記参照電極の任意の一つは複数の前記センシング部に共有されており、前記チップ全体では複数個配置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のイオンイメージセンサである。
【0016】
また、請求項9に記載の発明は、前記参照電極のそれぞれを基準電位とした時に得られる対応するイオン濃度を平均化した上で画像処理データとして出力することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のイオンイメージセンサである。
【0017】
また、請求項10に記載の発明は、前記2次元画像データを2次元グラデーションイメージで表示する画像処理機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のイオンイメージセンサである。
【0018】
また、請求項11に記載の発明は、前記画像処理機構が、前記シリコン基板上に前記センシング部と一緒に備えられたことを特徴とする請求項10に記載のイオンイメージセンサである。
【0019】
また、請求項12に記載の発明は、請求項1〜11のいずれか1項に記載のイオンイメージセンサから出力されるイオン濃度の2次元画像データにより、毛髪もしくは頭皮を含む肌の健康状態を測定することを特徴とする毛髪もしくは頭皮を含む肌のダメージ計測装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、毛髪や肌のダメージの程度を2次元画像として可視化することが可能なイオンイメージセンサ及びダメージ計測装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なり、また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることに留意すべきである。
【0022】
[第1の実施の形態]
(基本構造)
本発明の第1の実施の形態に係るイオンイメージセンサについて、図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態のイオンイメージセンサのセンシング部1を示しており、p型シリコン基板2と、p型シリコン基板2の表層に形成された、n型フローティングディフュージョン(FD)領域3及びn型拡散領域4と、p型シリコン基板2上に配置されたゲート絶縁膜5と、ゲート絶縁膜5上に配置されたイオン感応膜6と、イオン感応膜6を挟んで配置された転送ゲート電極7及び供給調整電極8と、イオン感応膜6上の測定対象液体10内に配置された参照電極9と、測定対象液体10を取り囲むための対物枠19と、n型FD領域3に接続されたアンプ回路11とを含むCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型イメージセンサである。
【0023】
より詳細には、本実施形態のイメージセンサは、このセンシング部1を画素として2次元状に配列し、各画素の位置におけるイオン濃度を2次元画像データとして取得する。この構成に限るものではなく、例えばセンシング部1表面を親水化処理するか、センシング部1表面以外を疎水処理することにより、対物枠19は省略できる。親水化処理にはオゾン処理によるOH基の付与、疎水処理には−NHやハロゲン炭素系の官能基(―CFなど)をもつシランカップリング剤付与等によって達成される。もちろん手法はこれらだけではないが、センシング部1表面とセンシング部1表面以外で親水/疎水性を変化させられていればよい。
【0024】
以下で、p型シリコン基板2表層のn型FD領域3とn型拡散領域4に挟まれたチャネル領域をゲート下チャネル部、ゲート下チャネル部上の測定対象液体10中のイオン感応膜6を介してゲート絶縁膜5に接する領域又はその近傍の領域をゲート部という。
【0025】
イオン感応膜6は、液体中の特定イオンを選択的に透過し、透過したイオンをゲート絶縁膜5表面に吸着させて、ゲート下チャネル部にイオン濃度に対応する電位を発生させるためのものである。材質としては、絶縁性を有し、液体中のイオンに選択的に透過するものであれば、特に限定されない。これに限らず、イオン感応膜6は、液体10中の特定イオンをイオン感応膜6の表面に吸着させることによって、ゲート絶縁膜5を介して、ゲート下チャネル部にイオン濃度に対応する電位を発生させるものであってもよい。対象イオンが水素イオンの場合のイオン感応膜として、このような特性をもつものが用いられることがある。測定対象イオンが水素イオンの場合のイオン感応膜の例としては、SiO、窒化シリコン(Si)、アルミナ(Al)、酸化タンタル(Ta)等が挙げられる。
カルシウム(Ca)イオンの場合、図3に示すような分子構造を有する化合物、Ionophore-K23E1(図3(a))やHDOPP-Ca(図3(b))等を用いればよい。
【0026】
ゲート絶縁膜5は、例えば、酸化シリコン(SiO)からなる。
【0027】
転送ゲート電極7は、ゲート下チャネル部の電荷をFD領域3に転送するための電極であり、転送ゲート制御部Tにより電圧が制御される。転送ゲート電極7の材質は、例えば、金属からなる。
【0028】
供給調整電極8は、n型拡散領域4の電荷をゲート下チャネル部に供給するための電極であり、電荷供給制御部ICGにより電圧が制御される。供給調整電極8の材質は、例えば、金属からなる。上記n型拡散領域4の電荷は電荷供給部Iにより注入される。
【0029】
参照電極9は、測定対象液体10の基準電位を決めるためのものである。参照電極9は、電圧測定部REFを介して電荷供給制御部ICGに接続されている。参照電極9の材質としては、以下に限定はされないが、例えば、Ag/AgClや、Pt、Ag、HgSO、HgCl等を挙げることができる。
【0030】
アンプ回路11は、n型FD領域3に生じた電圧を増幅するためのものである。その等価回路の一例を図2に示した。VFDはn型FD領域3の電圧、VDDは電源電圧、Vはゲート電圧、RSSは抵抗、CSSはコンデンサ、VOUTは増幅されて出力される電圧、である。
【0031】
本実施の形態に係る電荷変換機構は、ごく簡単に説明すると、シリコン基板表層に絶縁膜が形成されたゲート部からなり、該ゲート部にイオンが存在するとイオン濃度に見合った幅の空乏層がゲート直下の半導体層中に生じる。空乏層は電子のポテンシャルウェルとして働き、生じたポテンシャルウェルにICGを通じて電荷を注入する。この電荷量は当然生じたポテンシャルウェルの深さに対応して量が増減する。これをTを通じてFD領域3に転送し、FD領域3のもつキャパシタンス特性から電荷量がキャパシタンスの電圧に変換され、その電圧を読み出す、というものである。電圧の読み出しの際には、例えばソースフォロワで電圧として読み出しをする。
【0032】
(動作原理)
本発明の第1の実施の形態に係るイオンイメージセンサの動作原理は、通常のCMOSイメージセンサの動作と同様である。すなわち、MOSFETのゲート部にイオン感応膜6を表面に積層したゲート絶縁膜5を直接測定対象液体10中に浸し、測定対象液体10−ゲート部のイオン濃度に見合ったポテンシャルウェルをゲート下チャネル部に発生させる。このポテンシャルウェルにICGから電荷を注入し、その注入電荷をFD領域3に転送し、FD領域3の電圧変化をアンプ回路11で増幅することによりイオン濃度を測定するものである。以下に、詳細に説明をする。
【0033】
図4及び図5に、各部位における電位の変化及び電荷の移動を示した。図4では、イオン濃度に見合って発生した電荷をFD領域3へ1回の転送を行う場合を示し、図5では、電荷の転送を2回行う場合を示した。
【0034】
(第1回目の転送)
(a)まず、図4(a)は、イオン濃度による電荷が発生する前の各部位の初期状態の電位を示しており、測定対象液体10のイオン濃度により、そのイオン濃度に見合ったポテンシャルウェルがゲート下チャネル部に形成されている。
【0035】
(b)次に、図4(b)に示すように、参照電極9の基準電圧をもとに電荷供給制御部ICGで制御される供給調整電極8を介して、電荷供給部Iから電荷が注入される。
【0036】
(c)次に、図4(c)に示すように、n型拡散領域4の電位を上げることにより、すり切られた電荷がゲート下チャネル部に残る。つまり、ゲート下チャネル部の電位の変化が電荷量に変換される。
【0037】
(d)次に、図4(d)に示すように、FDリセットゲート電極12(不図示)の電位を上げてFD領域3をFDリセットドレイン領域13(不図示)の電位にリセットする。
【0038】
(e)次に、図4(e)に示すように、FDリセットゲート電極12の電位を下げてFD領域3を閉じる。
【0039】
(f)次に、図4(f)に示すように、転送ゲート制御部Tを介して転送ゲート電極7の電位を上げてイオン濃度に見合った電荷をFD領域3に転送する。電荷を転送した後、転送ゲート電極7の電位を下げて図4(a)の状態に戻す。転送された電荷により、FD領域3の電圧が変化する。このFD領域3の電圧変化をアンプ回路11で増幅してイオン濃度を測定することができる。
【0040】
(第2回目の転送)
(f)次に、図5(a)は、第1回目のFD領域3への電荷の転送が終わった状態を示す。ここでは、まだFD領域3の電圧変化をアンプ回路11には送らない。
【0041】
(g)次に、図5(b)に示すように、参照電極9の基準電圧をもとに電荷供給制御部ICGで制御される供給調整電極8を介して、電荷供給部Iから電荷が注入される。
【0042】
(h)次に、図5(c)に示すように、n型拡散領域4の電位を上げることにより、すり切られた電荷がゲート下チャネル部に残る。この電荷量は、n型拡散領域4から第1回目に発生したイオン濃度に見合った電荷と同量の電荷となる。
【0043】
(i)次に、図5(d)に示すように、転送ゲート電極7の電位を上げてゲート部の電荷をFD領域3に転送し、電荷をFD領域3に蓄積する。電荷を転送した後、転送ゲート電極7の電位を下げて図5(a)の状態に戻す。転送されて蓄積された電荷により、FD領域3の電圧が大きく変化する。このFD領域3の電圧変化をアンプ回路11で増幅してイオン濃度を測定する。
【0044】
図5(a)から図5(e)の動作をn回(nは3以上の整数)繰り返してもよい。多数回の転送を行うことにより、非常に低いイオン濃度により発生する電位でもより正確に測定することができる。
【0045】
(全体構成)
図6に、図1に示す構造を画素14に用いたイオンイメージセンサ全体構成の一例を示した。センシング部1で蓄積した信号電荷を画素14ごとに電圧に変換してアンプ回路11で出力する。変換した電圧は、金属の配線とそれを切り替えるスイッチによって出力端子に送られる。出力端子は垂直走査回路16及び水平走査回路17に接続されており、垂直走査回路16により複数の画素14を有する行をスキャンし、水平走査回路17により列回路15をスキャンして、XY−2次元画像データとして信号出力する。
【0046】
本実施の形態に係るイオンイメージセンサは、公知の半導体製造プロセスにより製造することができる。
【0047】
本実施の形態に係るイオンイメージセンサを用いて、イオンイメージセンサから出力されるイオン濃度の2次元画像データにより、毛髪もしくは頭皮を含む肌の健康状態を測定するための、毛髪もしくは頭皮を含む肌のダメージ計測装置を構成してもよい。
【0048】
本実施の形態において、信号出力された2次元画像データを取り込み、これらのデータをグラデーションイメージ、カラーイメージ、或いは数値表示するための加工を行い、画像表示データとして出力する画像処理機構をさらに備えてもよい。これにより、イオン濃度分布を2次元表示で可視化することが可能となる。
【0049】
また、図7に示すように、本実施の形態においては、p型シリコン基板2上にセンシング部配置領域31、画像処理機構20、A−Dコンバータ21、及びI/O22等を組み込んだシステムオンチップとして構成してもよい。この構成によれば、製造工程がCMOSの製造プロセスをベースにできるため、組み込みが容易になると共に、多機能を有するイオンイメージセンサをより小型化することが可能となる。
【0050】
(イオン濃度測定例)
図8に、本発明の第1の実施の形態に係るイオンイメージセンサを用いて、毛髪の水素イオン濃度(pH)を測定した結果の一例を示した。図8に示すように、毛髪における水素イオン濃度分布が2次元表示されており、直感的に毛髪のダメージ程度を認識することが可能となる。
【0051】
本実施の形態によれば、洗髪後の髪をイメージングすることでキューティクルの剥がれ、髪内部の破損などを2次元的に明らかにすることが可能となる。すなわち、水素イオンやカルシウムイオン等のイオン分布を2次元的に観察することにより髪のダメージ程度を直感することができる。
【0052】
また、本実施の形態によれば、肌の潤い、イオン分布、或いは代謝物をイメージングすることで、肌の状態を簡単かつ直感的に把握することができる。すなわち、イオンイメージングセンサを肌に直接当ててイオンや代謝物の分布を観察することが可能となる。
【0053】
[その他の実施の形態]
以上、上述した第1の実施の形態によって本発明を詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した第1の実施の形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更形態として実施することができる。従って、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るイオンイメージセンサの模式的断面構造図。
【図2】図1のアンプ回路についての等価回路の一例を示す図。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るイオンイメージセンサに用いるイオン感応膜の化合物についてその分子構造の一例を示す図。
【図4】(a)〜(f)本発明の第1の実施の形態に係るイオンイメージセンサの第1回目の電荷転送動作を説明する図。
【図5】(a)〜(d)本発明の第1の実施の形態に係るイオンイメージセンサの第2回目の電荷転送動作を説明する図。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るイオンイメージセンサの構成図。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係るイオンイメージセンサのシステム・オン・チップの一例を示す構成図。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係るイオンイメージセンサにより毛髪の水素イオン濃度の測定結果を表示した一例を示す図。
【符号の説明】
【0055】
1・・・センシング部
2・・・p型シリコン基板
3・・・n型フローティングディフュージョン(FD)領域
4・・・n型拡散領域
5・・・ゲート絶縁膜
6・・・イオン感応膜
7・・・転送ゲート電極
8・・・供給調整電極
9・・・参照電極
10・・測定対象液体
11・・アンプ回路
12・・・FDリセットゲート電極
13・・・FDリセットドレイン領域
14・・・画素
15・・・列回路
16・・・垂直走査回路
17・・・水平走査回路
18・・・出力回路
19・・・対物枠
20・・・画像処理機構
21・・・A−Dコンバータ
22・・・I/O
31・・・センシング部配置領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン濃度を検出するイオンイメージセンサであって、
毛髪もしくは頭皮を含む肌に液体を介して接触するセンシング部を2次元状に配列して備え、
該センシング部で検出したイオン濃度を2次元画像データとして出力することを特徴とするイオンイメージセンサ。
【請求項2】
前記イオン濃度は、水素イオン濃度であることを特徴とする請求項1に記載のイオンイメージセンサ。
【請求項3】
前記イオン濃度は、カルシウムイオン濃度であることを特徴とする請求項1に記載のイオンイメージセンサ。
【請求項4】
前記センシング部には、前記毛髪もしくは前記頭皮を含む肌に対向する単層もしくは複数の層からなるゲート絶縁層が少なくとも配置されており、
前記ゲート絶縁層下の電荷を転送するためのフローティングディフュージョン領域が、前記センシング部のセンシング領域の近傍のシリコン基板表層に配置されているCMOS型イメージセンサであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のイオンイメージセンサ。
【請求項5】
前記センシング部は、前記イオン濃度を電荷に変換する電荷変換機構を有し、該電荷変換機構は前記フローティングディフュージョン領域に電荷を転送するための電荷転送機構と、前記フローティングディフュージョン領域をリセットするためのリセット機構とを有することを特徴とする請求項4に記載のイオンイメージセンサ。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のイオンイメージセンサは、金属もしくは多孔質物質からなる参照電極を、前記センシング部が少なくとも1つ以上配置されたチップ内に備えていることを特徴とするイオンイメージセンサ。
【請求項7】
前記参照電極が前記チップ内に複数配置されていることを特徴とする請求項6に記載のイオンイメージセンサ。
【請求項8】
前記参照電極の任意の一つは複数の前記センシング部に共有されており、前記チップ全体では複数個配置されていることを特徴とする請求項6又は7に記載のイオンイメージセンサ。
【請求項9】
前記参照電極のそれぞれを基準電位とした時に得られる対応するイオン濃度を平均化した上で画像処理データとして出力することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のイオンイメージセンサ。
【請求項10】
前記2次元画像データを2次元グラデーションイメージで表示する画像処理機構をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のイオンイメージセンサ。
【請求項11】
前記画像処理機構が、前記シリコン基板上に前記センシング部と一緒に備えられたことを特徴とする請求項10に記載のイオンイメージセンサ。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載のイオンイメージセンサから出力されるイオン濃度の2次元画像データにより、毛髪もしくは頭皮を含む肌の健康状態を測定することを特徴とする毛髪もしくは頭皮を含む肌のダメージ計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−122090(P2010−122090A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296444(P2008−296444)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】