説明

イオン発生装置を備えた画像読取装置および画像データ出力処理装置

【課題】原稿台上に載置または搬送された原稿に光源から出射された光を照射し、原稿からの反射光に基づいて上記原稿の画像データを生成する画像読取装置において、原稿台の帯電に起因してこの画像読取装置に備えられるIC(半導体集積回路)にラッチアップが生じることを容易かつ適切に防止する。
【解決手段】光源ユニット54に備えられる光源の点灯状態を制御するための、ICを有する光源制御ユニット130と、イオンを生成し、生成したイオンを原稿台92に噴射することによって原稿台92を除電するイオン発生装置171を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿を読み取って原稿の画像データを生成する画像読取装置、およびそれを備えた画像形成装置、画像送信装置、画像記憶装置等の画像データ出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、原稿台上に載置あるいは搬送された原稿を光学的に読み取る画像読取装置、およびそのような画像読取装置を備えた複写機、ファクシミリ装置、複合機等の画像出力装置が用いられている。
【0003】
ところが、この種の装置には、帯電した原稿が原稿台に載置あるいは搬送された場合に原稿台が帯電してしまい、それによって各種の不具合が生じるという問題がある。なお、原稿台がガラスからなる場合、ガラスの方が紙よりも帯電列(2種類の材質を摩擦させたときにプラス側に帯電しやすいものを上位、マイナス側に帯電しやすいものを下位に順に並べた序列)が上位であることから、一般に、原稿台はプラスに帯電し、原稿はマイナスに帯電する。
【0004】
例えば、特許文献1には、搬送ベルト等によってガラス板からなる原稿台の画像読み取り位置に自動的に原稿を搬送し、画像読み取り終了後に原稿台より自動的に原稿を取り出す自動原稿送り装置を備えた構成において、原稿台が帯電すると、原稿が原稿台に吸着されて搬送不良を生じることが記載されている。なお、特許文献1では、原稿台の帯電電荷量の検出結果に応じて警告を行い、警告が行われた場合にサービスマンやオペレータが原稿台に除電剤を塗布することによって搬送不良を防止している。
【0005】
また、特許文献2には、用紙を静電吸着する静電吸着装置において、静電吸着前の用紙同士が帯電すると用紙同士が密着するために重送が生じることが記載されている。なお、特許文献2では、静電吸着前の用紙に正負のイオンを付与することによって重送の防止を図っている。
【0006】
また、上記した特許文献1,2に記載されているような用紙の搬送に関する不具合の他に、原稿載置台の帯電によって装置内に備えられる各種電子部品の動作異常が生じる場合がある。
【0007】
例えば、特許文献3には、原稿が給紙されてから排紙されるまでの間に原稿に帯電した電荷によって静電気が生じ、発生した静電気によって電気部品等に異常が発生することが記載されている。なお、特許文献3では、原稿テーブルに載置された原稿束が原稿テーブルから移動するのを規制する突き当て板を備え、この突き当て板に原稿に帯電した電荷を除去する除電ブラシを設け、給紙される前の原稿を除電することにより、原稿が給紙されてから排紙されるまでの間に生じる静電気を低減させて上記の異常を防止している。
【0008】
また、特許文献4には、半導体装置の入出力ピンに所定値以上の電圧が印加された場合に半導体装置のラッチアップが生じることが記載されている。また、特許文献4では、半導体装置のラッチアップを防止するために、半導体装置の入出力ピンに所定値以上の電圧が印加された場合に入出力ピンを低電位源に接続することによってラッチアップを防止している。
【0009】
なお、ラッチアップとは、ICの入出力端子や電源端子に電源電圧を超える過大なノイズやサージ等が作用した場合にIC内部の寄生素子が動作してICが正常な動作をしなくなる現象であり、ラッチアップが生じると、電源を切るか電源電圧を下げない限り元の状態に戻らず、電源とGNDとの間に大電流が流れ続けることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平8−81077号公報(平成8年3月26日公開)
【特許文献2】特開平10−109775号公報(平成10年4月28日)
【特許文献3】特開2007−168947号公報(平成19年7月5日)
【特許文献4】特開平6−21324号公報(平成6年1月28日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
原稿台上の原稿に光源からの光を照射し、原稿からの反射光に基づいて原稿の画像データを生成する構成の画像読取装置において原稿台が帯電すると、この帯電に起因して画像形成装置に備えられるICにおいてラッチアップが生じるという問題がある。例えば、光源の点灯制御用のICがラッチアップすることにより、光源の点灯不良が生じたりする。
【0012】
そして、このような原稿台の帯電に起因するラッチアップが生じた場合、それを解消するためには、(i)原稿台を除電して原稿台の帯電を解消する処理と、(ii)画像読取装置の電源を一旦OFFにしてから再度電源をONにすることでラッチアップを解消する処理とを行う必要があり、非常に手間がかかるとともに、画像読取処理を再開するまでに時間がかかってしまう。
【0013】
なお、特許文献1の技術では、原稿台の帯電が検出された場合に、サービスマンやオペレータが原稿台に除電剤を塗布する作業を行う必要があるので、除電作業を終えて正常に原稿の読取処理が行えるようになるまでに、非常に手間と時間がかかる。
【0014】
また、特許文献2,3の技術では、静電吸着前の用紙にイオンを付与し、用紙を除電してから搬送を開始することによって原稿台の帯電を多少は抑制することはできるものの、例えば用紙搬送時に用紙と用紙搬送手段等との間に生じる摩擦によってこの用紙が帯電してしまう場合があることなどから、原稿台の帯電を完全に抑制することはできない。
【0015】
また、特許文献4の技術では、半導体装置の入出力ピンに所定値以上の電圧が印加された場合に入出力ピンを低電位源に接続することによってラッチアップを防止することができるものの、入出力ピンを低電位源に接続している間はこの半導体装置に本来の機能を実行させることができないので、画像読取処理を行えない。つまり、原稿台の除電を行わない限りラッチアップの原因は解消しないので、入出力ピンは低電位源に接続されたままになり、結局、原稿台の除電を行うまで画像読取処理を行うことができない。
【0016】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、原稿台上に載置または搬送された原稿に光源から出射された光を照射し、原稿からの反射光に基づいて上記原稿の画像データを生成する画像読取装置において、原稿台の帯電に起因してこの画像読取装置に備えられるICにラッチアップが生じることを容易かつ適切に防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の画像読取装置は、上記の課題を解決するために、原稿台と、この原稿台上に載置または搬送された原稿に光を照射する光源と、上記光源から出射されて上記原稿で反射された反射光を受光して電気信号に変換することにより上記原稿の画像データを生成する撮像部とを備えた画像読取装置であって、この画像読取装置に備えられる電気部品の動作を制御するための半導体集積回路を有する回路基板と、イオンを生成し、生成したイオンを上記原稿台に噴射することによって上記原稿台を除電するイオン発生装置とを備えていることを特徴としている。
【0018】
上記の構成によれば、イオン発生装置がイオンを生成し、生成したイオンを上記原稿台に噴射することによって上記原稿台を除電する。これにより、原稿台の帯電に起因して半導体集積回路のラッチアップが生じることを容易かつ適切に防止できる。
【0019】
また、上記光源を点灯状態と消灯状態とに切り替えるためのスイッチング素子を備えており、上記半導体集積回路は上記スイッチング素子の動作を制御する構成としてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、半導体集積回路のラッチアップを防止できるので、半導体集積回路のラッチアップに起因してスイッチング素子の動作不良が生じ、光源の点灯不良が生じることを防止できる。
【0021】
また、1次側コイルに印加された電圧を昇圧して2次側コイルから上記光源に供給する昇圧トランスを備え、上記スイッチング素子は、ゲート電極が上記半導体集積回路に接続され、ドレイン電極が上記昇圧トランスの1次側コイルを介して電源電圧源に接続され、ソース電極が電気抵抗を介して接地された電界効果トランジスタであり、上記半導体集積回路が上記ゲート電極への印加電圧を制御して上記電界効果トランジスタを導通状態と遮断状態とに切り替えることで上記光源を点灯状態と消灯状態とに切り替えるようになっており、上記ソース電極の電位に応じた検知信号を上記半導体集積回路に出力する過電流検知部と、上記半導体集積回路に設けられ、上記検知信号の電位が過電流を示す電位である場合に上記電界効果トランジスタを遮断状態に切り替える非常遮断回路と、上記検知信号の電位と接地電位との電位差を検出する電位差検出部と、上記電位差検出部の検出した電位差が上記半導体集積回路においてラッチアップが生じる電位に対して所定の安全率を考慮した値に設定される所定値以上になった場合に上記イオン発生装置を制御して上記原稿台にイオンを噴射させる制御部とを備えている構成としてもよい。
【0022】
上記の構成によれば、過電流検出部から非常遮断回路への入力信号の電位と接地電位との電位差に基づいて原稿台の帯電に起因して半導体集積回路への入力電位が所定範囲外になったことを検出し、所定範囲外になった場合に原稿台の除電処理を自動的に行うことができる。これにより、ユーザの手間を増加させることなく、半導体集積回路のラッチアップを容易かつ適切に防止できる。
【0023】
また、上記原稿台の帯電量を検知する検知手段と、上記検知手段の検知した帯電量が所定値以上である場合に上記イオン発生装置を制御して上記原稿台にイオンを噴射させる制御部とを備えている構成としてもよい。
【0024】
上記の構成によれば、原稿台の帯電量が所定値以上になった場合に原稿台の除電処理が自動的に行われるので、ユーザの手間を増加させることなく、半導体集積回路のラッチアップを容易かつ適切に防止できる。
【0025】
また、上記制御部は、上記原稿台の除電を行わない期間中には上記イオン発生装置の動作を停止させる構成としてもよい。
【0026】
上記の構成によれば、原稿台の除電を行わない期間中にイオン発生装置の動作を停止させることで、消費電力を低減することができる。
【0027】
また、上記原稿台はガラスからなり、上記イオン発生装置は少なくとも負イオンを生成して上記原稿台に噴射する構成としてもよい。
【0028】
上記の構成のように原稿台がガラスからなる場合、原稿台はプラスに帯電し、原稿はマイナスに帯電する。したがって、イオン発生装置によって負イオンを生成して原稿台に噴射することにより、原稿台を適切に除電することができる。
【0029】
また、上記イオン発生装置は、正イオンと負イオンとを生成して上記原稿台に噴射する構成としてもよい。
【0030】
上記の構成によれば、原稿台の帯電極性とは同極性のイオンは原稿台に反発され、逆極正のイオンは原稿台に吸引されるので、原稿台を適切に除電することができる。
【0031】
また、上記イオン発生装置は、正イオンおよび負イオンを生成するイオン生成部と、上記イオン生成部の生成した正イオンおよび負イオンを上記原稿台に噴射するための第1ダクトと、上記イオン生成部の生成した正イオンおよび負イオンを画像読取装置の外部に放出するための第2ダクトと、上記イオン生成部の生成した正イオンおよび負イオンの搬送先を上記第1ダクトまたは上記第2ダクトのいずれか一方に切り替えるための切替部とを備えており、上記原稿台の除電を行うときには上記イオン生成部で生成したイオンを上記第1ダクトを介して上記原稿台に噴射させ、上記原稿台の除電を行わない期間中には上記イオン生成部で生成したイオンを上記第2ダクトを介して画像読取装置の外部に放出させるように上記切替部の動作を制御する切替制御部を備えている構成としてもよい。
【0032】
上記の構成によれば、原稿台の除電を行うときにはイオン生成部で生成した正イオンおよび負イオンを第1ダクトから原稿台に噴射させることにより、原稿台の除電を適切に行うことができる。また、原稿台の除電を行わない期間中には、イオン生成部で生成した正イオンおよび負イオンを第2ダクトから画像読取装置の外部に放出することにより、画像読取装置の周囲の空気を清浄、除菌することができる。
【0033】
また、上記半導体集積回路は上記原稿台よりも下方に配置されており、上記イオン発生装置は、イオンを上記原稿台の上面に噴射する構成としてもよい。
【0034】
上記の構成によれば、原稿台を除電処理することで、原稿台の帯電に起因する半導体集積回路のラッチアップをより効果的に防止することができる。
【0035】
本発明の画像データ出力処理装置は、上記したいずれかの画像読取装置と、上記画像読取装置によって生成された原稿の画像データに応じた画像を記録材上に形成する画像形成処理、上記画像データを他の装置に送信する画像送信処理、および上記画像データを記憶媒体に記憶させる画像記憶処理のうちのいずれか1つ以上の処理を行う出力処理部とを備えていることを特徴としている。
【0036】
上記の構成によれば、画像読取装置において原稿台の帯電に起因する動作不良を防止して原稿の画像データを適切に生成し、生成した画像データの出力処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0037】
以上のように、本発明の画像読取装置は、画像読取装置に備えられる電気部品の動作を制御するための半導体集積回路を有する回路基板と、イオンを生成し、生成したイオンを原稿台に噴射することによって上記原稿台を除電するイオン発生装置を備えている。
【0038】
それゆえ、原稿台の帯電に起因して半導体集積回路のラッチアップを容易かつ適切に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】(a)は図1の画像形成装置に備えられる光源制御ユニットの側面図であり、(b)はその上面図である。
【図3】図1の画像形成装置に備えられる光源制御ユニットの回路図である。
【図4】(a)は図1の画像形成装置の正面図であり、(b)はその側面図である。
【図5】図1の画像形成装置における除電処理の概要を示す説明図である。
【図6】(a)は図1の画像形成装置に備えられるイオン発生装置の断面図であり、(b)は上記イオン発生装置に備えられるイオン発生素子の平面図である。
【図7】(a)は図1の画像形成装置に備えられる光源ユニット周辺の断面図であり、(b)は上記光源ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明の一実施形態について説明する。
【0041】
図1は、本実施形態にかかる画像形成装置(画像データ出力処理装置)100の断面図である。この図に示すように、画像形成装置100は、原稿読取装置(画像読取装置)101と、画像形成部110と、通信装置(図示せず)とを備えている。
【0042】
(1−1.原稿読取装置101の構成)
原稿読取装置101は、原稿搬送部120、スキャナ部90、光源制御ユニット130、およびイオン発生装置171を備えている。
【0043】
原稿搬送部120は、原稿セットトレイ41に載置された原稿を1枚ずつピックアップして原稿台92に設定されるスキャナ部90の原稿読取位置に搬送させ、スキャナ部90による原稿の読取処理が行われた後の原稿を排紙トレイ59に排出するものである。
【0044】
具体的には、原稿搬送部120は、原稿が原稿セットトレイ41にセットされると、原稿ピックアップローラ44を原稿表面に押し付けた状態で回転させ、原稿セットトレイ41にセットされた原稿を引き出す。そして、引き出した原稿をサバキローラ45と分離パッド46との間に供給することで原稿を1枚だけ他の原稿から分離させて搬送路47へ搬出する。
【0045】
搬送路47では、原稿の先端を原稿レジストローラ49に当接させることでこの原稿の先端を原稿レジストローラ49の延伸方向に平行に揃えた後、原稿レジストローラ49を回転させてこの原稿を搬送し、読取ガイド51と原稿台92上の第1読取位置52との間を通過させる。さらに、第1読取位置52を通過した原稿を搬送ローラ60によって搬送し、最終的に排紙ローラ58を介して排紙トレイ59に排出させる。
【0046】
スキャナ部90は、原稿を光学的に読み取って画像データに変換するものであり、原稿台92、光源ユニット54、ミラーユニット53、および、CCD(Charge Coupled Device)ユニット56を備えている。
【0047】
原稿台92は、原稿搬送部120によって搬送される原稿を、CCDユニット56等で読み取り可能とするために設けられた透明の部材であり、例えばガラスからなる。
【0048】
図7(a)は光源ユニット54周辺の断面図であり、図7(b)は光源ユニット54の断面図である。これら各図に示すように、光源ユニット54は、基台112、光源111、第1ミラー(レフレクタ)113、スリット114、および第2ミラー115を備えている。また、光源ユニット54には、後述する光源制御ユニット130の主要部である点灯回路135が取り付けられている。第1ミラー113は、光源111からの照射光を原稿台92上の所定の位置に集光させる。また、スリット114は、上記照射光を原稿に照射することよってこの原稿に反射された反射光のみを通過させる。第2ミラー115は、スリット114を通過した反射光の光路を約90度変更してミラーユニット53へ向けて出射する。なお、本実施形態では、光源111として冷陰極線管のランプ(キセノンランプ)を用いた。この光源111の点灯状態は、後述する光源制御ユニット130によって制御される。
【0049】
ミラーユニット53は、一対のミラーを備えており、この一対のミラーにより、光源ユニット54から出射された原稿からの反射光の光路を180度変更し、CCDユニット56に向けて出射する。
【0050】
CCDユニット56は、結像レンズ55とCCD(撮像部)57とを備えている。そして、ミラーユニット53から出射された原稿からの反射光を結像レンズ55でCCD57の検出面に結像させることにより、CCD57によって原稿からの反射光を電気信号に変換して原稿の画像データを生成する。
【0051】
なお、原稿搬送部120によって搬送される原稿を読み取る場合、光源ユニット54およびミラーユニット53は、第1読取位置52に応じた所定の位置に配置され、読取ガイド51と原稿台92上の第1読取位置52との間を通過する際に、光源ユニット54の光源111からの光が原稿台92を介して原稿に照射され、その反射光が原稿台92を介して光源ユニット54に入射し、この反射光が光源ユニット54およびミラーユニット53を介してCCDユニット56の結像レンズ55へと導かれ、結像レンズ55によってCCD57上に結像される。
【0052】
また、原稿読取装置101は、原稿搬送部120によって搬送される原稿を読み取るだけでなく、原稿台92上に載置された原稿を読み取ることもできる。
【0053】
具体的には、原稿搬送部120は原稿読取装置101の背面側の端部を軸として開閉可能に支持されており、原稿搬送部120が開かれると原稿台92が露出され、ユーザが原稿台92上に原稿を手動で載置することができる。原稿台92上に原稿が載置されて原稿搬送部120が閉じられると、光源ユニット54およびミラーユニット53が副走査方向に移動しつつ、光源ユニット54によって原稿台92上の原稿表面が露光され、原稿からの反射光が原稿台92、光源ユニット54、ミラーユニット53、および結像レンズ55を介してCCD57上に結像される。この際、原稿表面からCCD57までの反射光の光路長が一定に維持するように光源ユニット54およびミラーユニット53の移動速度(位置関係)が制御される。これにより、CCD57上での原稿画像のピントが常に正確に維持される。
【0054】
以上のようにして取得した原稿の画像データは、画像形成装置100の制御部(図示せず)へ送られ、この制御部が画像データに応じて画像形成部110の各部の動作を制御することにより、原稿の画像データに応じた画像が記録材上に形成される。なお、原稿読取装置101によって取得した原稿の画像データを、図示しない通信手段を介して他の装置に送信するようにしてもよく、画像形成装置100に備えられる記憶部あるいは画像形成装置100に着脱自在に装着される記憶部に記憶させるようにしてもよい。
【0055】
光源制御ユニット130は、光源ユニット54に備えられる光源111の点灯状態(ON/OFF)を制御するものであり、原稿読取装置101の底面近傍に設けられ、光源111に図示しないケーブルにより接続されている。光源制御ユニット130は、原稿の読取処理を行う際に光源111をONにし、読取処理を行わない期間中は光源111をOFFにする。光源制御ユニット130の詳細については後述する。
【0056】
イオン発生装置171は、正イオンおよび負イオンを生成し、生成したイオンを原稿台92に向けて放出するものである。イオン発生装置171の詳細については後述する。
【0057】
(1−2.画像形成部110の構成)
画像形成部110は、原稿を読み取って取得した画像データまたは通信装置(図示せず)を介して外部から受信した画像データに応じた、カラーまたはモノクロの画像を記録材上に形成するものである。
【0058】
画像形成部110は、図1に示したように、レーザ露光装置1、画像形成ユニットpa〜pd、中間転写ユニット6、2次転写装置10a、定着装置7、用紙搬送路S、給紙トレイ81、および用紙排出トレイ91を備えている。
【0059】
なお、画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたもの、又は単色(例えばブラック)を用いたモノクロ画像に応じたものである。このため、画像形成装置100は、上記各色に対応する4組の画像形成ユニットpa〜pdを備えており、これら4組の画像ユニットによって形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61上に重ね合わせて転写するようになっている。すなわち、画像形成ユニットpa〜pdは、それぞれブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色のトナー像を形成し、これら各トナー像が重なり合うように中間転写ベルト61上に転写する。
【0060】
画像形成ユニットpaは、回転可能に備えられた感光体ドラム(像担持体)3の周囲に、帯電器5と、現像装置2と、クリーナ装置4とが、感光体ドラム3の回転方向に沿ってこの順で配置された構成である。
【0061】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるためのものである。本実施形態では、帯電器5として、帯電ローラ方式(接触帯電方式)のものを用いている。ただし、帯電器5の構成はこれに限るものではなく、例えば、コロナ放電方式等の非接触型の帯電器を用いてもよく、ブラシ帯電等の接触型の帯電器を用いてもよい。
【0062】
レーザ露光装置1は、帯電器5によって帯電された感光体ドラム3の表面を画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム3の表面に画像データに応じた静電潜像を形成するためのものである。レーザ露光装置1には、例えば、光源および反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)が用いられる。
【0063】
現像装置2は、感光体ドラム3上に形成された静電潜像をトナーによって現像する。上記トナーとしては、例えば、非磁性一成分現像剤(非磁性トナー)、非磁性二成分現像剤(非磁性トナーおよびキャリア)、磁性現像剤(磁性トナー)等を用いることができる。
【0064】
現像装置2によって顕像化されたトナー像は、中間転写ユニット6に備えられる中間転写ローラ64によって中間転写ベルト61上に転写される。なお、中間転写ローラ64は感光体ドラム3に対して中間転写ベルト61を介して対向する位置に配置されている。
【0065】
クリーナ装置4は、トナー像を中間転写ベルト61に転写した後に感光体ドラム3の表面に残留したトナーを除去、回収するためのものである。
【0066】
なお、画像形成ユニットpb〜pdは、現像処理に用いるトナーの色が異なる以外は画像形成ユニットpaと実質的に同様の構成である。すなわち、各画像形成ユニットpa〜pdの現像ユニットには、それぞれブラック(B),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)のトナーが収容されている。
【0067】
中間転写ユニット6は、中間転写ベルト61と、中間転写ベルト駆動ローラ(テンションローラ)62と、中間転写ベルト従動ローラ(テンションローラ)63と、中間転写ベルトクリーニングユニット65と、4つの中間転写ローラ64とを備えている。
【0068】
中間転写ベルト61は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムからなる無端状のベルトであり、各中間転写ローラ64と、中間転写ベルト駆動ローラ62と、中間転写ベルト従動ローラ63とに懸架され、各感光体ドラム3に接触するように設けられており、回転駆動される。感光体ドラム3上に形成された各色のトナー画像は、中間転写ベルト61に順次重ね合うように転写され、この中間転写ベルト61上にカラーのトナー画像(多色トナー画像)が形成されるようになっている。
【0069】
各中間転写ローラ64は、感光体ドラム3における現像装置2との対向部とクリーナ装置4との対向部との間の位置において中間転写ベルト61を介して感光体ドラム3に対向するように配置されている。これら中間転写ローラ64に、トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧を印加することによって感光体ドラム3上のトナー画像が中間転写ベルト61上に重ね合わせて転写されるようになっている。なお、各中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)によって覆われたローラである。この導電性の弾性材により、記録用紙に対して均一に高電圧を印加することができるようになっている。
【0070】
中間転写ベルト61上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト駆動ローラ62と2次転写装置10aとの対向部に搬送され、この対向部に搬送される記録用紙等の記録材上に転写されるようになっている。
【0071】
中間転写ベルト61と2次転写装置10aの転写ローラ10とは相互に圧接されてニップ域を形成する。また、2次転写装置10aの転写ローラ10には、中間転写ベルト61上の各色のトナー像を記録用紙に転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。なお、そのニップ域を定常的に得るために、2次転写装置10aの転写ローラ10もしくは中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方を硬質材料(金属等)とし、他方を弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、または発泡性樹脂ローラ等)としてもよい。
【0072】
また、2次転写装置10aによって中間転写ベルト61上のトナー像が記録用紙上に完全に転写されず、中間転写ベルト61上にトナーが残留することがあり、このような残留トナーが生じると次の工程でトナーの混色を発生させる原因となる。このため、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって残留トナーを除去及び回収する。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、例えばクリーニング部材として、中間転写ベルト61に接触して残留トナーを除去するクリーニングブレードが設けられており、クリーニングブレードが接触する部位で、中間転写ベルト従動ローラ63により中間転写ベルト61の裏側が支持されている。
【0073】
給紙トレイ81は、記録用紙(記録材)を格納しておくためのトレイであり、画像形成部110の下側に設けられている。
【0074】
画像形成部110には、給紙トレイ81から供給された記録用紙を2次転写装置10aや定着装置7を経由させて用紙排出トレイ91に送るための用紙搬送路Sが設けられている。この用紙搬送路Sに沿って、用紙ピックアップローラ11a、用紙搬送ローラ12a、用紙レジストローラ13、2次転写装置10a、定着装置7、用紙搬送ローラ12b等が配置されている。
【0075】
用紙ピックアップローラ11aは、給紙トレイ81の端部に設けられ、給紙トレイ81から記録用紙を1枚ずつ用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。用紙搬送ローラ12a,12bは、記録用紙の搬送を促進補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数個設けられている。
【0076】
用紙レジストローラ13は、搬送されて来た記録用紙を一旦停止させて、記録用紙の先端を揃え、中間転写ベルト61と2次転写装置10aの転写ローラ10との間のニップ域で中間転写ベルト61上のトナー像が記録用紙の所定の位置に転写されるように、感光体ドラム3および中間転写ベルト61の回転にあわせて、記録用紙をタイミングよく搬送する。
【0077】
定着装置7は、定着ローラ71と、定着ローラ71に対して所定の荷重で圧接される加圧ローラ(加圧部材)72とを備えており、2次転写装置10aよりも記録用紙の搬送方向下流側に配置されている。また、定着ローラ71は、図示しない温度検出器の検出出力に基づいて所定の定着温度となるように温度制御されている。そして、定着装置7は、2次転写装置10aによってトナー画像を転写された記録用紙を定着ローラ71と加圧ローラ72との圧接部(定着ニップ部)に給紙し、この圧接部を通過させることによって熱と圧力とによりトナー画像を記録材に定着させる。なお、記録材における未定着トナー画像が形成された面は定着ローラ71に当接し、記録材における未定着トナー画像が形成された面とは反対側の面は加圧ローラ72に当接する。
【0078】
定着装置7によって各色のトナー像が定着された記録用紙は、用紙搬送ローラ12bによって用紙排出トレイ91上にフェイスダウンで排出される。
【0079】
(1−3.光源制御ユニット130の構成)
図3は光源制御ユニット130の回路図である。
【0080】
図3に示すように、光源制御ユニット130は、回路基板131、スイッチングFET(電界効果トランジスタ)153、昇圧トランス160、および制御部170を備えている。なお、回路基板131、スイッチングFET153、および昇圧トランス160により、光源111の点灯状態を制御する点灯回路135が構成されている。また、図1に示したように、制御部170は原稿読取装置101の金属製の筐体(フレーム)103の下面に取り付けられており、点灯回路135は光源ユニット54に取り付けられている。
【0081】
図2(a)は点灯回路135の側面図であり、図2(b)は点灯回路135の上面図である。これらの図に示すように、点灯回路135を構成する各部材は筐体134に収容されている。また、回路基板131およびスイッチングFET153には、アルミニウム等の熱伝導性の高い金属からなる放熱板132が取り付けられている。なお、回路基板131、スイッチングFET153、および放熱板132には取り付け用の穴が設けられており、この穴を介して回路基板131と放熱板132、およびスイッチングFET153と放熱板132をそれぞれビスで共締めすることにより、回路基板131およびスイッチングFET153が放熱板132に取り付けられている。
【0082】
スイッチングFET153は、光源ユニット54に備えられる光源111に供給する電力のON/OFFを制御するための光源点灯制御回路であり、回路基板131に備えられる光源点灯制御IC161の出力端子および昇圧トランス160の1次側コイルに電気的に接続されている。昇圧トランス160はスイッチングFET153から出力される電源電圧を昇圧して光源111に供給するものである。
【0083】
具体的には、スイッチングFET153のゲート電極は回路基板131の光源点灯制御IC161に接続されており、ドレイン電極は昇圧トランス160の1次側コイルを介して所定周波数の電源電圧VCCの供給源に接続されており、ソース電極は回路基板131のモジュールB167に接続されるとともに、抵抗R1を介して接地されている。抵抗R1およびモジュールB167はスイッチングFET153の過電流を検出するためのものである。
【0084】
そして、光源111を点灯させる際、回路基板131の光源点灯制御IC161からの制御信号に応じてスイッチングFET153が昇圧トランス160の1次側コイルに電源電圧VCCを通電させるように動作し、これによって昇圧トランス160の2次側コイルに高電圧が発生し、この高電圧が光源111に供給される。なお、昇圧トランス160の2次側コイルの一端は抵抗R2を介して回路基板131の光源点灯制御IC161に接続されており、これによって光源点灯制御IC161が昇圧トランス160の2次側コイルの電圧を検出して当該電圧をフィードバック制御するようになっている。
【0085】
放熱板132は、スイッチングFET153において発生する熱を外部に放熱するためのものであり、スイッチングFET153はこの放熱板132に取り付けられている。なお、放熱板132は、点灯回路135内において大きな面積を占めているため、原稿台92の帯電電位の影響を受けやすい状態にあり、原稿台92が帯電した場合、放熱板132は原稿台92とは逆極性の電位に帯電する。
【0086】
具体的には、図7(a)に示したように、原稿台92と原稿との摩擦により、ガラスからなる原稿台92の上面(原稿との接触面)はプラスに帯電し、紙からなる原稿はマイナスに帯電する。これに伴い、原稿台92の下面は誘電分極によってマイナスに帯電し、原稿台92の下面と筐体103との間の空間にマイナスの電界が生じ、この空間に配置されている放熱板132が帯電する。また、放熱板132の帯電電位がこの放熱板132に接続された回路基板131の端子に入力されてしまう。
【0087】
回路基板131は、図3に示したように、光源点灯制御IC161、モジュールB167、およびモジュールD168を備えている。また、光源点灯制御IC161は、発振器(OSC)162、モジュールA163、モジュールC164、ドライバ165、およびモジュールE166を備えている。
【0088】
光源点灯制御IC161は、スイッチングFET153の駆動を制御するスイッチング電源制御ICである。
【0089】
発振器162は、スイッチングFET153を所定の周波数でON/OFFさせるよう駆動するための発振器である。
【0090】
モジュールA163は、発振器162からの発振出力の電圧と抵抗R2の一端側からフィードバックされる光源111の駆動電圧とに基づいてモジュールE166への出力電圧を制御することにより、このモジュールE166を駆動する。
【0091】
モジュールE(非常遮断回路)166はモジュールA163の出力、および後述するモジュールC164の出力により駆動され、ドライバ165を介してスイッチングFET153を駆動する。
【0092】
ドライバ(非常遮断回路)165は、直列接続された2つのトランジスタ165aおよび165bを備えており、モジュールE166からの出力の極性に応じてスイッチングFET153のゲート電極への制御信号の電位をVcc電位(電源電位)または接地電位に切り換える。これにより、スイッチングFET153が所定の周波数でON/OFFされる。
【0093】
モジュールB(過電流検知部)167は、上述したようにスイッチングFET153のソース電極からのフィードバック電圧に基づいてスイッチングFET153の過電流を検出するためのものである。具体的には、モジュールB167は上記のフィードバック電圧の電圧値に応じた電位の信号をモジュールC164に出力する。本実施形態では、上記のフィードバック電圧が予め設定される閾値(過電流であることを示す電圧値)を超えた場合に、モジュールC164への出力信号の電位が所定の出力電位(+5V)になるように設定している。
【0094】
モジュールC164は、光源点灯制御IC161への入力端子を介して入力されるモジュールB167からの出力電位がスイッチングFET153に過電流が流れていることを示す値である場合に、モジュールE166への出力を制御してスイッチングFET153をOFFにするようにモジュールE166を動作させる。これにより、スイッチングFET153の過電流状態を解消する。
【0095】
モジュールD(電位差検出部)168はモジュールB167からモジュールC164への入力電位を接地電位との電位差を検出し、この電位差が所定値以上になったか否かを示す信号を制御部170に伝達する。
【0096】
制御部170は、上記電位差が所定値以上になった場合に、原稿台92が許容範囲を超えて帯電していると判断し、イオン発生装置171で発生したイオンを原稿台92に向けて放出させて原稿台92を除電する。
【0097】
上記の所定値は、ラッチアップを確実に防止できるように、実際にラッチアップが発生する電位差に対して所定の安全率を考慮した値に設定される。すなわち、上記の所定値は、原稿台92の除電を行わずに原稿読取処理を継続した場合に、ラッチアップが近い将来発生すると予想される値に設定される。例えば、モジュールC164の入力電位が接地電位を10V下回った時点で光源点灯制御IC161のラッチアップが生じるような場合には、上記の所定値を接地電位よりも5V低い電位に設定し、モジュールC164の入力電位が接地電位を5V下回った時点で帯電を報知するように構成すればよい。
【0098】
なお、原稿台92が帯電すると、その影響で放熱板132が帯電する。そして、放熱板132が帯電すると、その影響により、モジュールB167に入力されるスイッチングFET153のソース電極からのフィードバック電圧の電位が低下し、モジュールC164の入力電位が低下する。そして、モジュールC164の入力電位がある値以下に低下すると、モジュールE166に備えられる寄生トランジスタにラッチアップが発生してしまう。モジュールE166はスイッチングFET153への制御信号の出力段であるため、モジュールE166でのラッチアップの発生はスイッチングFET153の制御異常(点灯不良)に直結する。そこで、本実施形態では、モジュールD168によってモジュールC164の入力電位を監視し、この入力電位が所定値以下に低下した場合に、制御部170が、原稿台92が許容範囲を超えて帯電していると判断する。このように、モジュールC164の入力電位を監視することにより原稿台92の帯電の影響を最も敏感に検出することができる。
【0099】
(1−4.イオン発生装置171)
図4(a)は画像形成装置100の正面図であり、図4(b)は画像形成装置100を図4(a)中に示した矢印A方向から見た側面図である。この図に示すように、イオン発生装置171は、原稿読取装置101における原稿台92の上方における一方の側面側に配置されている。
【0100】
図5(a)はイオン発生装置171の断面図であり、図5(b)は図5(a)に備えられるイオン発生素子185を図5(a)に示した矢印A方向から見た側面図である。
【0101】
図5(a)に示したように、イオン発生装置171は、筐体181、筐体181の下部に配置されたファンユニット182、筐体181の下部側壁に形成された複数の吸入孔181a、吸入孔181aとファンユニット182の吸入口182aとの間に配置された吸入ダクト183、筐体181の上部に形成された吹出口181bとファンユニット182の吹出口182bとの間に配置された吹出ダクト184、およびファンユニット182に備えられるファン182cの周囲に配置された複数のイオン発生素子185を備えている。
【0102】
なお、イオン発生装置171は、図4(b)に示したように画像形成装置100の奥行き方向に延伸する形状を有しており、筐体181、各吸入孔181a、吸入ダクト183、ファンユニット182、吹出ダクト184、吹出口181bも画像形成装置100の奥行き方向に延伸する形状になっている。また、イオン発生素子185は、図5(b)に示したように、画像形成装置100の奥行き方向に複数並べて配置されている。
【0103】
また、筐体181の上部に形成された吹出口181bには、イオン発生装置171で発生したイオンを原稿台92の上面に向けて放出するための第1ダクト186aと、イオン発生装置171で発生したイオンを画像形成装置100(原稿読取装置101)の外部へ放出するための第2ダクト186bが接続されている。
【0104】
また、吹出口181bと第1ダクト186aおよび第2ダクト186bとの接続部には切替プレート186が設けられている。この切替プレート186は、一端部がモータ,ギヤ等からなる駆動手段(図示せず)に接続された軸部材によって回転可能に支持されており、制御部170が上記駆動手段の動作を制御することにより上記軸部材を中心(支点)として回動し、第1ダクト186aまたは第2ダクト186bのいずれか一方を閉塞するようになっている。これにより、イオン発生装置171で発生したイオンは、第1ダクト186aまたは第2ダクト186bのいずれか一方に放出されるようになっている。なお、制御部170は、原稿台92の除電を行う場合にはイオン発生装置171で発生したイオンを第1ダクト186aを介して原稿台92に向けて放出させ、その他の場合にはイオン発生装置171で発生したイオンを第2ダクト186bを介して画像形成装置100の外部に放出させるように切替プレート186の動作を制御する。
【0105】
ファンユニット182のファン182cが、図示しないモータ等の駆動手段により回転駆動されると、図5(a)の矢印Gに示すように、各吸入孔181aから吸入ダクト183および吸入口182aを介してファンユニット182内へと空気が吸入され、吸入された空気は各イオン発生素子185の近傍を通ってイオン発生素子185で生成された正イオンおよび負イオンとともに吹出口182bおよび吹出ダクト184を介して吹出口181bから第1ダクト186aまたは第2ダクト186bに放出される。なお、ファン182cの駆動手段の動作は、制御部170によって制御される。
【0106】
本実施形態では、各イオン発生素子185として、プラズマクラスターイオン(登録商標)発生素子(PCI)を用いており、図5(b)に示したように2個のイオン発生素子185を画像形成装置100の奥行き方向に並べて配置している。
【0107】
各イオン発生素子185は、ガラス等の絶縁体(図示せず)を介して対向するように配置された第1電極185aおよび第2電極185bを複数組備えており、第1電極185aと第2電極185bとの間に交流電圧を印加することにより、正イオンと負イオンとが同時に発生するようになっている。具体的には、主に、空気中の水分子からHイオンが生成され、酸素分子からOイオンが生成される。また、これらHイオンおよびOイオンの周囲には水分子がクラスター状に付着してクラスターイオンが生成される。
【0108】
なお、これら各電極としては、例えばステンレス等の導電性の耐酸化性材料が用いられる。このようなイオン発生素子185は、例えば、本願発明の出願人が先に出願した特開2002−58731号公報(参考文献1)に詳しく開示されている。
【0109】
以上のように、本実施形態にかかる画像形成装置100(原稿読取装置101)は、原稿台92が所定値以上に帯電したことを検知した場合に、イオン発生装置171で発生させた正イオンおよび負イオンを原稿台92に向けて放出することにより、原稿台92を除電する。
【0110】
これにより、原稿台92を除電し、原稿台92の帯電に起因して光源制御ユニット130においてラッチアップが生じることを防止し、原稿読取時に光源111が消灯してしまう不具合を防止できる。
【0111】
図6は、正イオンおよび負イオンを原稿台92に向けて放出することにより原稿台92が除電されるメカニズムを説明するための説明図である。
【0112】
上述したように、ガラスの方が紙よりも帯電列が上位であることから、原稿台92はプラスに帯電する。このため、イオン発生装置171から原稿台92上に放出された正イオンは原稿台92の表面に対して反発し、逆に負イオンは吸引される。これにより、原稿台92の電荷は中和され、除電される。
【0113】
また、本実施形態では、原稿台92の除電処理を行わない場合に、イオン発生装置171で発生させたイオンを画像形成装置100(原稿読取装置101)の外部に放出するようになっている。
【0114】
これにより、画像形成装置100の周囲に正イオンおよび負イオンを拡散させ、これら正イオンおよび負イオンによって空気中の浮遊細菌等を除去して、画像形成装置100の周囲の空気を浄化することができる。
【0115】
なお、電子写真方式の画像形成装置においては、記録用紙から発生すると推定されるロンギフォレン等を主成分とする有害な排出ガスが生じる場合がある。これに対して、上述のようにイオン発生装置171で発生させた正イオンおよび負イオンを画像形成装置100の周囲に放出することにより、排出ガスに含まれる有害な成分を除去して画像形成装置100の周囲にいる人に不快感を与えてしまうことを防止できる。
【0116】
ところで、本実施形態では、本発明を、原稿読取装置(画像読取装置)101と原稿読取装置101によって原稿から読み取られた画像データに応じた画像を記録材上に形成する画像形成部110とを備えた画像形成装置(画像データ出力処理装置)100に適用する場合について説明したが、本発明の適用対象はこれに限るものではない。例えば、原稿読取装置101と原稿読取装置101によって読み取られた画像データを通信可能に接続された他の装置に送信する通信装置とを備えた画像送信装置(画像データ出力処理装置)に適用してもよい。あるいは、原稿読取装置101と原稿読取装置101によって読み取られた画像データを所定の記憶媒体に格納する記憶処理部とを備えた画像記憶装置(画像データ出力処理装置)に適用してもよい。上記の記憶媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0117】
また、イオン発生装置171に備えられるイオン発生素子の構成は上述した構成に限るものではなく、従来から公知の種々の構成を用いることができる。
【0118】
また、本実施形態では、正イオンおよび負イオンの両方を発生するイオン発生装置を用いているが、これに限らず、原稿台におけるイオンを噴射する面の帯電極性とは逆極性のイオンのみを発生するイオン発生装置を用いてもよい。すなわち、原稿台92の上面にイオンを噴射する場合には負イオンのみを発生するイオン発生装置を用いてもよい。この場合、原稿台92の除電を行わない場合には生成した負イオンを画像形成装置100の外部に放出するようにしてもよい。あるいは、切替プレート186および第2ダクト186bを省略し、イオン発生装置によって発生させた負イオンの放出先を原稿台92のみにしてもよい。
【0119】
また、本実施形態では、原稿台92の除電を行わない期間中に正イオンおよび負イオンを原稿読取装置101の外部に放出しているが、これに限らず、原稿台92の除電を行わない期間中にはイオン発生装置の動作を停止させるようにしてもよい。
【0120】
また、本実施形態では、イオン発生装置171で発生させたイオンを原稿台92の上面、すなわち原稿が載置される面であって光源制御ユニット130が配置される側の面に向けて放出している。これにより、原稿台92を除電して原稿台92の帯電による光源制御ユニット130への悪影響を防止できる。なお、イオン発生装置171で発生させた正イオンおよび負イオンを、原稿台92の下面に向けて放出するようにしてもよく、原稿台92の上面および下面の両方に向けて放出するようにしてもよい。また、正イオンのみを原稿台92の下面に向けて放出してもよく、負イオンを原稿台92の上面に放出し、正イオンを原稿台92の下面に放出してもよい。いずれの場合にも、原稿台92を除電して原稿台92の帯電による光源制御ユニット130への悪影響を防止できる。
【0121】
また、本実施形態では、光源制御ユニット130の光源点灯制御IC161に備えられるモジュールCへの入力電位と接地電位とを比較し、モジュールC164の入力電位が接地電位に対して所定値以上低下した場合に原稿台92の除電を行っているが、これに限らず、例えば原稿台92の帯電電位を検出する検出手段を設け、制御部170がその検出手段の検出結果に応じて原稿台92の除電を行うか否かを判断するようにしてもよい。この場合、光源点灯制御IC161だけでなく、例えば光源ユニット54やミラーユニット53の駆動用IC、CCD57の制御用IC、原稿搬送部120の制御用ICなどのラッチアップについても適切に防止できる。
【0122】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明は、原稿を読み取って原稿の画像データを生成する画像読取装置、およびそれを備えた画像出力装置に適用できる。
【符号の説明】
【0124】
52 第1読取位置
53 ミラーユニット
54 光源ユニット
55 結像レンズ
56 CCDユニット
57 CCD(撮像部)
90 スキャナ部
92 原稿台
100 画像形成装置(画像データ出力処理装置)
101 原稿読取装置(画像読取装置)
110 画像形成部
111 光源
120 原稿搬送部
130 光源制御ユニット
131 回路基板
132 放熱板
134 筐体
135 点灯回路
160 昇圧トランス
162 発振器
165 ドライバ
165a,165b Nチャネルトランジスタ
170 制御部
171 イオン発生装置
182c ファン
185 イオン発生素子
186a 第1ダクト
186b 第2ダクト
163 モジュールA
167 モジュールB(過電流検知部)
164 モジュールC
165 ドライバ(非常遮断回路)
168 モジュールD(電位差検出部)
166 モジュールE(非常遮断回路)
153 スイッチングFET
161 光源点灯制御IC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿台と、この原稿台上に載置または搬送された原稿に光を照射する光源と、上記光源から出射されて上記原稿で反射された反射光を受光して電気信号に変換することにより上記原稿の画像データを生成する撮像部とを備えた画像読取装置であって、
この画像読取装置に備えられる電気部品の動作を制御するための半導体集積回路を有する回路基板と、
イオンを生成し、生成したイオンを上記原稿台に噴射することによって上記原稿台を除電するイオン発生装置とを備えていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
上記光源を点灯状態と消灯状態とに切り替えるためのスイッチング素子を備えており、
上記半導体集積回路は上記スイッチング素子の動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
1次側コイルに印加された電圧を昇圧して2次側コイルから上記光源に供給する昇圧トランスを備え、
上記スイッチング素子は、ゲート電極が上記半導体集積回路に接続され、ドレイン電極が上記昇圧トランスの1次側コイルを介して電源電圧源に接続され、ソース電極が電気抵抗を介して接地された電界効果トランジスタであり、
上記半導体集積回路が上記ゲート電極への印加電圧を制御して上記電界効果トランジスタを導通状態と遮断状態とに切り替えることで上記光源を点灯状態と消灯状態とに切り替えるようになっており、
上記ソース電極の電位に応じた検知信号を上記半導体集積回路に出力する過電流検知部と、
上記半導体集積回路に設けられ、上記検知信号の電位が過電流を示す電位である場合に上記電界効果トランジスタを遮断状態に切り替える非常遮断回路と、
上記検知信号の電位と接地電位との電位差を検出する電位差検出部と、
上記電位差検出部の検出した電位差が上記半導体集積回路においてラッチアップが生じる電位に対して所定の安全率を考慮した値に設定される所定値以上になった場合に上記イオン発生装置を制御して上記原稿台にイオンを噴射させる制御部とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
上記原稿台の帯電量を検知する検知手段と、
上記検知手段の検知した帯電量が所定値以上である場合に上記イオン発生装置を制御して上記原稿台にイオンを噴射させる制御部とを備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
上記制御部は、上記原稿台の除電を行わない期間中には上記イオン発生装置の動作を停止させることを特徴とする請求項3または4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
上記原稿台はガラスからなり、
上記イオン発生装置は少なくとも負イオンを生成して上記原稿台に噴射することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
上記イオン発生装置は、正イオンと負イオンとを生成して上記原稿台に噴射することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
上記イオン発生装置は、
正イオンおよび負イオンを生成するイオン生成部と、
上記イオン生成部の生成した正イオンおよび負イオンを上記原稿台に噴射するための第1ダクトと、
上記イオン生成部の生成した正イオンおよび負イオンを画像読取装置の外部に放出するための第2ダクトと、
上記イオン生成部の生成した正イオンおよび負イオンの搬送先を上記第1ダクトまたは上記第2ダクトのいずれか一方に切り替えるための切替部とを備えており、
上記原稿台の除電を行うときには上記イオン生成部で生成したイオンを上記第1ダクトを介して上記原稿台に噴射させ、上記原稿台の除電を行わない期間中には上記イオン生成部で生成したイオンを上記第2ダクトを介して画像読取装置の外部に放出させるように上記切替部の動作を制御する切替制御部を備えていることを特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
上記半導体集積回路は上記原稿台よりも下方に配置されており、
上記イオン発生装置は、イオンを上記原稿台の上面に噴射することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
上記画像読取装置によって生成された原稿の画像データに応じた画像を記録材上に形成する画像形成処理、上記画像データを他の装置に送信する画像送信処理、および上記画像データを記憶媒体に記憶させる画像記憶処理のうちのいずれか1つ以上の処理を行う出力処理部とを備えていることを特徴とする画像データ出力処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−35782(P2011−35782A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−181744(P2009−181744)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】