説明

イグラチモドを含有する速崩壊性錠剤

【課題】特殊な製造設備を用いることなく通常の製剤工程で製造可能で、かつ取扱いに十分な大きさと錠剤硬度、さらに迅速な崩壊性を有する、イグラチモドを含有する医薬として優れた性質を有する速崩壊性錠剤を提供する。
【解決手段】(1)糖類および糖アルコール類から選ばれる物質、(2)崩壊剤ならびに(3)イグラチモドを組み合わせた速崩壊性錠剤は、高い成形性および速やかな崩壊性を有し、さらに、その製造には特殊な製剤工程を必要としないため、優れた速崩壊性錠剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(1)糖類および糖アルコール類から選ばれる物質、(2)崩壊剤ならびに(3)イグラチモドを含有することを特徴とする速崩壊性錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、服用しやすい薬剤形として、口腔内で迅速に崩壊する速崩壊性錠剤の開発が進められている。薬剤を速崩壊性錠剤とすることで、様々なメリットが生まれる。たとえば、嚥下困難な患者、高齢者および小児にとって、速崩壊性錠剤は、容易にかつ安全に服用することができる錠剤である。睡眠導入剤では、横になったままリラックスした状態で、服用することができ、降圧剤では、急に血圧が上がって気分が悪くなった際、すぐに何処でも服用できる(非特許文献1)。
【0003】
このような速崩壊性錠剤の製造法としては、薬物および糖類を寒天水溶液に懸濁し、予め成型されたPTP(Press Through Package)のポケットに充填し、ゼリー状に固化させた後、乾燥することにより錠剤を得る製造法が知られている(特許文献1)。しかし、この方法では、特殊な製造設備が必要であり、得られる錠剤の硬度は十分なものではなかった。また、薬物、水溶性結合剤および水溶性賦形剤を含む混合物を低圧力で打錠後、加湿し、乾燥させる方法が知られている(特許文献2)。しかし、この方法は、特殊な製造設備が必要であり、製造工程が煩雑になるなどの欠点があった。
一方、崩壊性に優れるが成形性の低い糖類または糖アルコール類を崩壊性に劣るが成形性の高い糖類または糖アルコール類を用いて造粒後、この造粒物を通常の打錠機で圧縮成形して速崩壊性錠剤を製造する方法が知られている(特許文献3)。しかし、この方法により得られる錠剤の硬度は、通常の経口用医薬錠剤よりも小さく、錠剤硬度をさらに高めることが望まれている。
【0004】
速崩壊性錠剤は、通常の錠剤と異なり、錠剤のサイズを大きくしても服用性が損なわれることがない。錠剤を意図的に大きくすることで、服用性ならびに、たとえばPTP包装からの取り出し易さおよび錠剤の摘み易さといった取扱性を同時に改善することができる(非特許文献2)。たとえば、関節リウマチ患者に投与される抗関節リウマチ剤および消炎鎮痛剤などは、速崩壊性錠剤のサイズを大きくすることで、優れた服用性を維持しながら、取扱性を改善し、指先が不自由な患者の服薬コンプライアンスを格段に向上させる。
【0005】
通常、錠剤の服用性を向上させるためには、速やかな崩壊性が必要である。一方、錠剤には、製造から服用までの間に壊れない程度の硬度が必要である。しかしながら、崩壊性および硬度は、通常相反する。そのため、速やかな崩壊性と取り扱いに十分な硬度を同時に満たす錠剤を通常の製造法で製造することは、困難である。
【0006】
イグラチモド(N−(7−((メタンスルホニル)アミノ)−4−オキソ−6−フェノキシ−4H−1−ベンゾピラン−3−イル)ホルムアミド)は、抗リウマチ剤として開発されている薬剤である(特許文献4)。これまで、イグラチモドの速崩壊性錠剤は、知られていない。
【特許文献1】特許第2807346号
【特許文献2】特許第2919771号
【特許文献3】国際公開第93/12769号パンフレット
【特許文献4】国際公開第94/23714号パンフレット
【非特許文献1】ファーム テク ジャパン(PHARM TECH JAPAN)、第20巻、第49〜59頁(2004年)
【非特許文献2】薬局、第51巻、第1393〜1400頁(2000年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
口腔内の唾液または少量の水の存在下において、速やかに崩壊する優れた服用性を有し、かつ取り扱いに十分な硬度を有し、さらに、通常の製造設備で製造できるイグラチモドを含有する速崩壊性錠剤が強く望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような状況下において、本発明者らは、関節リウマチ患者に投与される抗リウマチ作用を有する化合物または消炎鎮痛作用を有する化合物を含有する速崩壊性錠剤について鋭意検討した結果、驚くべきことに、糖類および糖アルコール類から選ばれる物質ならびに崩壊剤に抗リウマチ剤であるイグラチモドを組み合わせることにより、活性成分であるイグラチモドが高い成形性向上能力を発揮し、イグラチモドを含まない錠剤に比べて速やかな崩壊性を保つにもかかわらず、硬度が飛躍的に高まることを見出した。さらに、通常の製造設備で、優れた速崩壊性錠剤が製造できることを見出し、本発明を完成した。
【発明の効果】
【0009】
本発明で得られる(1)糖類および糖アルコール類から選ばれる物質、(2)崩壊剤ならびに(3)イグラチモドを含有することを特徴とする速崩壊性錠剤は、通常の製造法で製造でき、しかも取り扱いに十分耐える非常に高い硬度を有する。また、本発明の錠剤は、大きな錠剤に成形しても口腔内で速やかに崩壊し、患者の取扱性および服用性に優れている。本発明の速崩壊性錠剤は、手指の動きが不自由なリウマチ患者、薬剤の嚥下が困難な患者、高齢者および小児にとって、取扱性および服用性を同時に満たす錠剤である。
本発明の錠剤は、一般に用いられる製造設備を用いて製造することができ、特別な工程が不要である。さらに、本発明の錠剤は、長期間の保存、安定性にも優れている。またイグラチモドは、口腔内で苦味などの不快な味を示さず、たとえば、苦味マスキングのためにイグラチモドにコーティングを施すといった必要もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、発明について詳述する。なお、本明細書中の%は、重量%を示す。
本発明は、(1)糖類および糖アルコール類から選ばれる物質、(2)崩壊剤ならびに(3)イグラチモドを含有する速崩壊性錠剤を開示する。本発明の錠剤は、取り扱いやすく、かつ、服用容易な速崩壊性錠剤であり、好ましい形態は、口腔内速崩壊性錠剤である。
本発明における「口腔内速崩壊性錠剤」とは、口腔内で速やかに、たとえば、30秒以内で、好ましくは25秒以内で、より好ましくは20秒以内で崩壊し得るものである。
本発明の錠剤の大きさは、特に限定されないが、たとえば、円形錠であれば錠剤径が8mm以上であることが好ましい。錠剤の硬度は、形状や大きさにより特に限定されないが、たとえば、扱いやすい大きな錠剤とする場合は、50N以上であることが好ましい。錠剤中のイグラチモドの含率は、0.5〜40%であればよく、好ましくは1〜30%、より好ましくは1.7〜17%である。
【0011】
本発明で用いられる糖類としては、乳糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖およびトレハロースなどが挙げられる。好ましい糖類としては、乳糖が挙げられる。本発明で用いられる糖アルコール類としては、D−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトールおよびD−ソルビトールなどが挙げられる。好ましい糖アルコール類としては、D−マンニトールおよびエリスリトールが挙げられ、D−マンニトールがさらに好ましい。
糖類および糖アルコール類は、それぞれ1種または2種以上を使用してもよい。その使用量は、錠剤に対して30〜95%、好ましくは40〜90%である。
【0012】
崩壊剤としては、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスポビドン、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルメロースなどが挙げられる。崩壊剤は、1種または2種以上を使用してもよい。好ましい崩壊剤としては、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルメロースが挙げられ、より好ましくはクロスポビドンおよびカルメロースが挙げられ、さらに好ましくはクロスポビドンが挙げられる。
崩壊剤を組み合わせて使用する場合は、好ましくは、結晶セルロースおよび粉末セルロースなどのセルロース系の崩壊剤ならびにクロスポビドンの組み合わせが挙げられ、より好ましくは、クロスポビドンおよび結晶セルロースの組み合わせが挙げられる。
その使用量は、錠剤に対して0.5〜50%、好ましくは1〜40%である。
【0013】
その他、本発明の錠剤は、通常の製剤の製造に用いられる種々の添加剤を適量含んでもよい。このような添加剤としては、たとえば、賦形剤、結合剤、酸味剤、発泡剤、甘味料、香料、流動化剤、滑沢剤および着色剤などが挙げられる。
【0014】
賦形剤としては、有機の賦形剤および無機の賦形剤が挙げられる。有機の賦形剤としては、たとえば、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、部分アルファー化デンプン、アルファー化デンプンおよび有孔デンプンなどのデンプン類などが挙げられる。無機の賦形剤としては、たとえば、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウムおよびケイ酸カルシウムなどが挙げられる。結合剤としては、たとえば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチンおよびプルランなどが挙げられる。酸味剤としては、たとえば、クエン酸、酒石酸およびリンゴ酸などが挙げられる。発泡剤としては、たとえば、炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムなどが挙げられる。甘味料としては、たとえば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビアおよびソーマチンなどが挙げられる。香料としては、たとえば、レモン油、オレンジ油およびメントールなどが挙げられる。流動化剤としては、たとえば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、合成ヒドロタルサイト、乾燥水酸化アルミニウムゲル、カオリン、ケイ酸カルシウムおよびメタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。滑沢剤としては、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸およびフマル酸ステアリルナトリウムなどが挙げられる。着色剤としては、たとえば、食用黄色5号および食用赤色2号などの食用色素、食用レーキ色素、三二酸化鉄ならびに黄色三二酸化鉄などが挙げられる。これらに用いられる粒子径は、特に限定されないが、口腔内でザラツキ感を生じにくい粒子径500μm以下が好ましい。また、これらの添加剤は、いずれか1種または2種以上を組み合わせて用いてもよく、配合量は、通常当業者が製薬的に使用する範囲内であれば、特に限定されない。
【0015】
本発明の錠剤は、たとえば、(1)糖類および糖アルコール類から選ばれる物質、(2)崩壊剤ならびに(3)イグラチモドの混合物を圧縮成形することにより、製造することができる。
【0016】
具体的な製造法としては、たとえば、(1)イグラチモドおよび適宜製剤原料を混合粉砕した後、必要に応じ添加剤を加え、混合機で混合し、打錠して製造する方法ならびに(2)イグラチモドおよび適宜製剤原料を混合粉砕した後、造粒後、打錠して製造する方法が挙げられる。
上記の混合粉砕は、常法により、行えばよい。
上記の造粒は、常法により行えばよいが、たとえば、スラッグ法、ローラーコンパクター法および湿式造粒法などにより行うことができる。スラッグ法またはローラーコンパクター法は、乾式で圧縮し、造粒する方法である。湿式造粒法は、溶媒を用いる造粒方法であり、たとえば、結合剤を含む製剤原料に溶媒を加える方法および製剤原料に結合剤を含む溶液を加える方法である。造粒に使用される溶媒としては、たとえば、水、アセトン、エチルアルコールおよびプロピルアルコールなどが挙げられ、これらを1種または2種以上混合して使用してもよい。
また、特開2001−240540号公報記載の方法などにより、粉砕および造粒を同時に行うこともできる。
粉砕末または造粒末を打錠し、錠剤を製造する際には、必要に応じて、糖および糖アルコール、崩壊剤、流動化剤、滑沢剤、甘味料などを混合してもよい。
【0017】
錠剤は、たとえば、単発打錠機またはロータリー式打錠機などを用いて成型される。打錠の際の圧力は、通常1.5〜30kN/cm2である。本発明の錠剤の形状は、特に限定されないが、丸形、キャップレット形もしくはオブロング形などの形状、積層錠または有核錠などが挙げられる。本発明の錠剤は、必要に応じて、コーティングすることもでき、また、必要に応じて、識別性のためマーク、文字、分割用の割線などを付すこともできる。
【実施例】
【0018】
以下に、実施例、比較例および試験例を挙げて本発明を説明するが、これらは本発明を限定するものではない。なお、比較例2〜5では、イグラチモドを一般的に成形性がよいとされる結晶セルロースに置き換えた製剤を用いた。また、比較例6〜7では、イグラチモドを関節リウマチ患者に利用される薬剤であるアセトアミノフェンおよびイブプロフェンに置き換えた製剤を用いた。
【0019】
試験例1 口腔内崩壊時間の測定
3人の被験者(健康な成人男性)の口腔内に錠剤を入れてから完全に崩壊するまでの時間を測定し、その平均値を口腔内崩壊時間とした。なお、試験後、直ちに薬物を吐き出し、口腔内を十分に水ですすいだ。
【0020】
試験例2 錠剤の硬度測定
錠剤硬度計(シュロイニゲル、Tablet Tester 8M)を用いて測定した。試験はn=6で行い、その平均値を錠剤の硬度とした。
【0021】
試験例3 錠剤の重量
電子天秤(メトラートレド、HX-400)を用いて測定した。試験はn=6で行い、その平均値を錠剤の重量とした。
【0022】
実施例1〜4および比較例1〜7の処方を表1に示す。また、得られた錠剤を上記試験例によって測定した結果を表2に示す。実施例において、活性成分をイグラチモドとした錠剤は、迅速な口腔内崩壊性を維持したまま、高い錠剤硬度を維持した。一方、比較例において、活性成分をアセトアミノフェンまたはイブプロフェンとした錠剤は、錠剤硬度が低かった。なお、いずれの処方でも、バインディングおよびステッキングなどの打錠障害を認めなかった。
【0023】
【表1】

【0024】
【表2】

【0025】
実施例1〜4および比較例1〜5の錠剤硬度の測定結果を該処方中のイグラチモドの含率またはイグラチモドと置き換えた結晶セルロースの含率に対してプロットした結果を図1に示す。イグラチモドの含率が高まるに伴い、錠剤硬度が明らかに上昇した。
【0026】
実施例7〜12および15〜17の処方を表3に示す。また、得られた錠剤を上記試験例によって測定した結果を表4に示す。糖および糖アルコール類や崩壊剤の種類を変更しても、高い成形性および速やかな崩壊性を有する錠剤が得られた。なお、いずれの処方でも、バインディングおよびステッキングなどの打錠障害を認めなかった。
【0027】
【表3】

【0028】
【表4】

【0029】
実施例1
イグラチモド(富山化学工業)6.0g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH101)36.0gおよび軽質無水ケイ酸(ワイ・ケイ・エフ:サイリシア350)6.0gを混合し、粉砕機(パウレック:コントラプレックス63C)により粉砕し、粉砕末を得た。得られた粉砕末のうちの40.0g、D−マンニトール(東和化成工業:マンニットP)211.0g、クロスポビドン(ISP:ポリプラスドンXL-10)12.5g、黄色三二酸化鉄(癸巳化成:黄色三二酸化鉄)0.9gおよびヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達:HPC-L)0.8gを攪拌造粒機(パウレック:VG-01)に仕込み、混合し、水を添加して造粒後、流動層乾燥機(パウレック:MP-01)により乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末のうちの176.8gに結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)20.0g、アスパルテーム(味の素:アスパルテーム)0.8gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.4gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を錠剤径9.5mmでダブルアール面の杵を用い、打錠速度30rpmで1錠重量300mgとなるように打錠(畑鐵工所:HT-P18A)し、イグラチモド5mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0030】
実施例2
イグラチモド(富山化学工業)15.1g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH101)36.0gおよび軽質無水ケイ酸(ワイ・ケイ・エフ:サイリシア350)6.0gを混合し、粉砕機(パウレック:コントラプレックス63C)により粉砕し、粉砕末を得た。得られた粉砕末のうちの47.5g、D−マンニトール(東和化成工業:マンニットP)203.5g、クロスポビドン(ISP:ポリプラスドンXL-10)12.5g、黄色三二酸化鉄(癸巳化成:黄色三二酸化鉄)0.9gおよびヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達:HPC-L)0.8gを攪拌造粒機(パウレック:VG-01)に仕込み、混合し、水を添加して造粒後、流動層乾燥機(パウレック:MP-01)により乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末のうちの176.8gに結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)20.1g、アスパルテーム(味の素:アスパルテーム)0.8gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.4gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で打錠し、イグラチモド12.5mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0031】
実施例3
イグラチモド(富山化学工業)30.0g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH101)36.0gおよび軽質無水ケイ酸(ワイ・ケイ・エフ:サイリシア350)6.0gを混合し、粉砕機(パウレック:コントラプレックス63C)により粉砕し、粉砕末を得た。得られた粉砕末のうちの60.0g、D−マンニトール(東和化成工業:マンニットP)191.0g、クロスポビドン(ISP:ポリプラスドンXL-10)12.5g、黄色三二酸化鉄(癸巳化成:黄色三二酸化鉄)0.9gおよびヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達:HPC-L)0.8gを攪拌造粒機(パウレック:VG-01)に仕込み、混合し、水を添加して造粒後、流動層乾燥機(パウレック:MP-01)により乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末のうちの176.8gに結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)20.0g、アスパルテーム(味の素:アスパルテーム)0.8gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.4gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で打錠し、イグラチモド25mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0032】
実施例4
イグラチモド(富山化学工業)60.1g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH101)36.0gおよび軽質無水ケイ酸(ワイ・ケイ・エフ:サイリシア350)6.0gを混合し、粉砕機(パウレック:コントラプレックス63C)により粉砕し、粉砕末を得た。得られた粉砕末のうちの85.1g、D−マンニトール(東和化成工業:マンニットP)166.0g、クロスポビドン(ISP:ポリプラスドンXL-10)12.5g、黄色三二酸化鉄(癸巳化成:黄色三二酸化鉄)0.9gおよびヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達:HPC-L)0.8gを攪拌造粒機(パウレック:VG-01)に仕込み、混合し、水を添加して造粒後、流動層乾燥機(パウレック:MP-01)により乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末のうちの176.8gに結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)20.0g、アスパルテーム(味の素:アスパルテーム)0.8gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.4gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で打錠し、イグラチモド50mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0033】
実施例5
イグラチモド(富山化学工業)262.6g、D−マンニトール(東和化成工業:マンニットP)315.0gおよび軽質無水ケイ酸(フロイント産業:アドソリダー101)52.5gを混合し、粉砕機(不二電機工業:サンプルミルKIIW-1)により粉砕し、粉砕末を得た。
【0034】
実施例6
イグラチモド(富山化学工業)212.5g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH101)255.0gおよび軽質無水ケイ酸(フロイント産業:アドソリダー101)42.5gを混合し、粉砕機(不二電機工業:サンプルミルKIIW-1)により粉砕し、粉砕末を得た。
【0035】
実施例7
実施例5で得られた粉砕末のうちの60.0g、D−マンニトール(東和化成工業:マンニットP)175.6g、カルメロース(五徳薬品:NS-300)30.0gおよびヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達:HPC-L)0.8gを攪拌造粒機(パウレック:VG-01)に仕込み、混合し、水を添加して造粒後、流動層乾燥機(パウレック:MP-01)により乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末のうちの177.6gに結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)20.0gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.4gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で打錠し、イグラチモド25mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0036】
実施例8
実施例6で得られた粉砕末のうちの60.0g、D−マンニトール(東和化成工業:マンニットP)206.2gおよびヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達:HPC-L)0.8gを攪拌造粒機(パウレック:VG-01)に仕込み、混合し、水を添加して造粒後、流動層乾燥機(パウレック:MP-01)により乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末のうちの178.0gにクロスカルメロースナトリウム(旭化成ケミカルズ:キッコレートND-200)10.0g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)10.0gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.0gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で打錠し、イグラチモド25mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0037】
実施例9
実施例6で得られた粉砕末のうちの60.0g、D−マンニトール(東和化成工業:マンニットP)206.2gおよびヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達:HPC-L)0.8gを攪拌造粒機(パウレック:VG-01)に仕込み、混合し、水を添加して造粒後、流動層乾燥機(パウレック:MP-01)により乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末のうちの178.0gに低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業:L-HPC LH-11)20.0g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)20.0gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.0gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で1錠重量330mgとなるように打錠し、イグラチモド25mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0038】
実施例10
実施例6で得られた粉砕末のうちの60.0g、乳糖(DMV:乳糖200M)193.7g、クロスポビドン(ISP:ポリプラスドンXL-10)12.5gおよびヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達:HPC-L)0.8gを攪拌造粒機(パウレック:VG-01)に仕込み、混合し、水を添加して造粒後、流動層乾燥機(パウレック:MP-01)により乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末のうちの178.0gに結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)20.0gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.0gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で打錠し、イグラチモド25mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0039】
実施例11
イグラチモド(富山化学工業)25.0g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH101)30.0g、D−マンニトール(東和化成工業:マンニットP)198.1gおよびクロスポビドン(ISP:ポリプラスドンXL-10)12.5g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達:HPC-L)0.8gを攪拌造粒機(パウレック:VG-01)に仕込み、混合した後、粉末が湿る程度に水を添加して約30分間湿式混合し、さらに水を加えて造粒後、流動層乾燥機(パウレック:MP-01)により乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末のうちの177.6gに結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)20.0gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.4gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で打錠し、イグラチモド25mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0040】
実施例12
イグラチモド(富山化学工業)25.0g、乳糖(DMV:乳糖200M)260.2gおよびクロスポビドン(ISP:ポリプラスドンXL-10)12.5gを攪拌造粒機(パウレック:VG-01)に仕込み、混合した後、粉末が湿る程度に水を添加して約30分間湿式混合し、さらに水を加えて造粒後、流動層乾燥機(パウレック:MP-01)により乾燥し、造粒末を得た。得られた造粒末のうちの198.5gにステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)1.5gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で打錠し、イグラチモド25mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0041】
実施例13
イグラチモド(富山化学工業)180.0g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH101)216.0gおよび軽質無水ケイ酸(フロイント産業:アドソリダー101)36.0gを混合し、粉砕機(パウレック:コントラプレックス63C)により粉砕し、粉砕末を得た。
【0042】
実施例14
実施例13で得られた粉砕末のうちの420.0g、D−マンニトール(東和化成工業:マンニットP)1131.4g、クロスポビドン(ISP:ポリプラスドンINF-10)87.5g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達:HPC-L)5.6gおよび黄色三二酸化鉄(癸巳化成)1.68gを攪拌造粒機(パウレック:VG-10)に仕込み、混合し、水を添加して造粒後、流動層乾燥機(パウレック:MP-01)により乾燥し、造粒末を得た。
【0043】
実施例15
実施例14で得られた造粒末のうちの156.8gに結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)20.0g、D−マンニトール(メルク:パーテックM100)20.0g、アスパルテーム(味の素:アスパルテーム)0.8gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.4gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で打錠し、イグラチモド25mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0044】
実施例16
実施例14で得られた造粒末のうちの156.8gに結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)20.0g、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH302)20.0g、アスパルテーム(味の素:アスパルテーム)0.8gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.4gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で打錠し、イグラチモド25mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0045】
実施例17
実施例14で得られた造粒末のうちの156.8gに結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスKG802)20.0g、トウモロコシデンプン(日本食品加工:コーンスターチ)20.0g、アスパルテーム(味の素:アスパルテーム)0.8gおよびステアリン酸マグネシウム(メルク:ステアリン酸マグネシウム)2.4gを加え、混合し、混合末を得た。この混合末を実施例1と同様な操作で打錠し、イグラチモド25mgを含有する円形の速崩壊性錠剤を得た。
【0046】
比較例1
実施例1の処方中のイグラチモドをD−マンニトール(東和化成工業:マンニットP)に置き換えて、実施例1の方法に従い、錠剤を得た。なお、イグラチモドを含まないため粉砕は行わなかった。
【0047】
比較例2
実施例1の処方中のイグラチモドを結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH101)に置き換えて、実施例1の方法に従い、イグラチモド5mgを含有する速崩壊性錠剤に対応する錠剤を得た。なお、イグラチモドを含まないため粉砕は行わなかった。
【0048】
比較例3
実施例2の処方中のイグラチモドを結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH101)に置き換えて、実施例2の方法に従い、イグラチモド12.5mgを含有する速崩壊性錠剤に対応する錠剤を得た。なお、イグラチモドを含まないため粉砕は行わなかった。
【0049】
比較例4
実施例3の処方中のイグラチモドを結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH101)に置き換えて、実施例3の方法に従い、イグラチモド25mgを含有する速崩壊性錠剤に対応する錠剤を得た。なお、イグラチモドを含まないため粉砕は行わなかった。
【0050】
比較例5
実施例4の処方中のイグラチモドを結晶セルロース(旭化成ケミカルズ:セオラスPH101)に置き換えて、実施例4の方法に従い、イグラチモド50mgを含有する速崩壊性錠剤に対応する錠剤を得た。なお、イグラチモドを含まないため粉砕は行わなかった。
【0051】
比較例6
実施例3の処方中の活性成分をイグラチモドからアセトアミノフェン(岩城製薬)に置き換えて、実施例3の方法に従い、イグラチモド25mgを含有する速崩壊性錠剤に対応するアセトアミノフェンを含有する錠剤を得た。なお、イグラチモドを含まないため粉砕は行わなかった。
【0052】
比較例7
実施例3の処方中の活性成分をイグラチモドからイブプロフェン(セクサリアケミカルズ(SEKHSARIA CHEMICALS))に置き換えて、実施例3の方法に従い、イグラチモド25mgを含有する速崩壊性錠剤に対応するイブプロフェン含有錠剤を得た。なお、イグラチモドを含まないため粉砕は行わなかった。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1〜4および比較例1〜5の錠剤硬度の測定結果を該処方中のイグラチモドの含率またはイグラチモドと置き換えた結晶セルロースの含率に対してプロットした図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)糖類および糖アルコール類から選ばれる物質、(2)崩壊剤ならびに(3)イグラチモドを含有することを特徴とする速崩壊性錠剤。
【請求項2】
イグラチモドが、錠剤中に、1〜30%含まれる請求項1記載の速崩壊性錠剤。
【請求項3】
崩壊剤が、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、クロスポビドン、結晶セルロース、粉末セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルメロースから選ばれる1種または2種以上である請求項1〜2記載の速崩壊性錠剤。
【請求項4】
崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルメロースから選ばれる1種または2種以上である請求項1〜2記載の速崩壊性錠剤。
【請求項5】
崩壊剤が、クロスポビドンおよび結晶セルロースである請求項1〜2記載の速崩壊性錠剤。
【請求項6】
糖類および糖アルコール類から選ばれる物質が、乳糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖およびトレハロースの糖類ならびにD−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトールおよびD−ソルビトールの糖アルコール類から選ばれる1種または2種以上である請求項1〜5記載の速崩壊性錠剤。
【請求項7】
糖類および糖アルコール類から選ばれる物質が、乳糖またはD−マンニトールから選ばれる1種または2種以上である請求項1〜5記載の速崩壊性錠剤。
【請求項8】
糖類および糖アルコール類から選ばれる物質が、D−マンニトールである請求項1〜5記載の速崩壊性錠剤。
【請求項9】
速崩壊性錠剤の口腔内崩壊時間が、30秒以内である請求項1〜8記載の速崩壊性錠剤。
【請求項10】
速崩壊性錠剤の硬度が、50N以上である請求項1〜9記載の速崩壊性錠剤。

【図1】
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【公開番号】特開2007−224021(P2007−224021A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16185(P2007−16185)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000003698)富山化学工業株式会社 (37)
【Fターム(参考)】