説明

イミダゾピリジン化合物

【課題】本発明は、糖尿病、肥満等の予防・治療剤等の医薬として有用なグルコキナーゼ活性化剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 式(I):
【化1】


[式中の各記号は、明細書記載と同意義である。]
で表される化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグを含有してなるグルコキナーゼ活性化剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グルコキナーゼ活性化作用を有し、糖尿病等の治療剤として有用なイミダゾピリジン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
グルコキナーゼ(本明細書中、GKと略称することがある)(EC2.7.1.1)は、哺乳類において見出される4種類のヘキソキナーゼの1つであり、ヘキソキナーゼIVとも呼ばれる。GKは解糖系の最初のステップであるグルコースのグルコース−6−リン酸への変換を触媒する酵素である。GKは主に膵臓β細胞と肝臓に存在し、膵臓β細胞ではグルコース刺激インスリン分泌を規定する細胞外グルコース濃度のセンサーとして働き、肝臓ではGKの酵素反応が律速となり、グリコーゲン合成や解糖が調節される。GK以外の3つのヘキソキナーゼ(I,II,III)は1mM以下のグルコース濃度で酵素活性が最大に達するのに対し、GKはグルコースに対して低い親和性を持ち、そのKm値は8−15mMと生理的な血糖値に近い。従って、正常血糖(5mM)から食後過血糖(10−15mM)の血糖変化に対応して、GKを介した細胞内グルコース代謝の亢進が起こる。
【0003】
Matschinskyらが1984年に提唱した、GKが膵臓β細胞および肝細胞内でグルコースセンサーとして機能するという仮説は、近年のグルコキナーゼ遺伝子操作マウスでの解析により実証された(非特許文献1〜5参照)。即ち、GKヘテロ欠損マウスは、高血糖状態を呈し、さらに糖刺激によるインスリン分泌反応が障害されていた。GKホモ欠損マウスでは、生後まもなく著明な高血糖と尿糖を呈して死亡する。一方、GK過剰発現マウス(ヘテロ型)では、血糖値の低下、血中グルコースクリアランス速度の増加、肝グリコーゲン含量増大等が認められた。これらの知見から、GKは全身のグルコースホメオスタシスに重要な働きを担うことが明らかとなった。即ち、GK活性の低下によりインスリン分泌不全と肝糖代謝の低下が起こり、耐糖能異常や糖尿病を発症し、逆にGKの活性化あるいは過剰発現によるGK活性の増加は、インスリン分泌促進と肝糖代謝亢進を引き起こし、全身の糖利用が増加して耐糖能の向上をもたらす。
【0004】
また、ヒトにおいてもGKはグルコースセンサーとして働き、グルコース恒常性に重要な役割を果たしていることが、MODY2(Maturity Onset Diabetes of the Young)と呼ばれる若年発症成人型糖尿病の家系を中心にGK遺伝子異常症が報告され、その解析から明らかとなった(非特許文献6参照)。GK遺伝子異常症では、GKのグルコースに対する親和性の低下(Km値上昇)やVmax低下により、インスリン分泌の血糖閾値が上昇してインスリン分泌能は低下している。肝臓では、GK活性の低下で、グルコース取り込みの低下、糖新生亢進、グリコーゲン合成の低下および肝インスリン抵抗性が認められる。一方、GK活性を上昇させる突然変異を持つ家系も見つかっており、このような家系では血漿インスリン濃度の上昇を伴う絶食低血糖症状がみられる(非特許文献7参照)。
【0005】
上記のように、GKはヒトを含む哺乳類においてグルコースセンサーとして機能し、血糖調節に重要な役割を果たしている。一方、多くの2型糖尿病患者において、GKのグルコースセンサーシステムを利用して、血糖をコントロールすることは新しい糖尿病治療の道を開くものと考えられる。特に、GK活性化物質は、膵臓β細胞におけるインスリン分泌促進作用と肝臓における糖取り込み促進および糖放出抑制作用が期待できるので、2型糖尿病の予防・治療薬として有用と考えられる。
【0006】
最近、膵臓β細胞型グルコキナーゼがラット脳の摂食中枢(Ventromedial Hypothalamus:VMH)に限局して発現していることが明らかにされた。VMHに存在する一部の神経細胞は、グルコースレスポンシブニューロンと言われ、体重コントロールに重要な役割を果たす。電気生理学的実験からこのニューロンは生理的なグルコース濃度変化(5−20mM)に呼応して活性化されるが、このVHMのグルコース濃度感知システムには膵臓β細胞のインスリン分泌と同様にグルコキナーゼを媒介としたメカニズムが想定されているため、膵臓β細胞、肝臓と別に、VHMのグルコキナーゼ活性化を行う薬剤は血糖是正効果のみではなく、肥満をも改善できる可能性を有する。
【0007】
このように、GK活性化を行う薬剤は、糖尿病および網膜症、腎症、神経症、虚血性心疾患、動脈硬化症等の糖尿病慢性合併症の予防・治療薬、さらには肥満の予防・治療薬として有用である。
【0008】
一方、イミダゾピリジン化合物としては、式:
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、X、X〜Xは、それぞれCまたはNを;A環は5〜6員の含窒素芳香族複素環(フェニルまたはピリジルと縮合してもよい)を;Rは置換されていてもよいアリール、置換されていてもよい4〜10員の複素環を;Xは−O−、−S−、−SO−、−SO−、単結合または−O−C1−6アルキレン−を;qおよびmは0−2を;Rはヒドロキシ基、ホルミル基等を;RはC1−6アルキル基等を示す]
で表される化合物が、グルコキナーゼ活性化剤であり、糖尿病、合併症、肥満等の治療に有用であることが報告されている(特許文献1参照)。
【0011】
しかし、上記の文献には、下記式(I)で表される化合物がグルコキナーゼ活性化作用を有することは開示されていないし、また、下記式(II)で表される化合物も開示されていない。
【0012】
【特許文献1】国際公開第2005/063738号パンフレット
【非特許文献1】ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J Biol. Chem.)1995年、270巻、30253−30256頁
【非特許文献2】ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J Biol. Chem.) 1997年、272巻、22564−22569頁
【非特許文献3】ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(J Biol. Chem.)1997年、272巻、22570−22575頁
【非特許文献4】日本臨床、2002年、60巻、523−534頁
【非特許文献5】セル(Cell)1995年、83巻、69−78頁
【非特許文献6】ネイチャー(Nature)1992年、356巻、721−722頁
【非特許文献7】ニュー イングランド ジャーナル メディスン(New England Journal Medicine)1998年、338巻、226−230頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、糖尿病、肥満等の予防・治療剤等の医薬として有用なグルコキナーゼ活性化剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、種々鋭意検討を重ねた結果、以下の式(I)、(II)で表される化合物が、予想外にも優れたグルコキナーゼ活性化作用を有し、更に安定性等の医薬品としての物性においても優れた性質を有しており、安全でかつ有用な医薬となることを見出し、これらの知見に基づいて本発明を完成した。
【0015】
即ち、本発明は、
[1] 式(I):
【0016】
【化2】

【0017】
[式中、
環Aは置換されていてもよいフェニル基を;
、R、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を示す]
で表される化合物、その塩(以下、これらを化合物(I)と略称する場合がある)またはそのプロドラッグを含有してなるグルコキナーゼ活性化剤;
[2] 式(II):
【0018】
【化3】

【0019】
[式中、
、R、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を;
およびRは同一または異なって、それぞれ置換されていてもよいC1−6アルキル基(但し、該アルキル基がC1−2アルキル基の場合、該C1−2アルキル基は置換されていてもよい環状基で置換されている)を示す]
で表される化合物またはその塩(以下、これらを化合物(II)と略称する場合がある);
[3] 化合物(II)またはそのプロドラッグ;
[4] 化合物(II)またはそのプロドラッグを含有してなる医薬;
等に関する。
【発明の効果】
【0020】
本発明のグルコキナーゼ活性化剤は、優れた活性を有し、糖尿病、肥満等の予防・治療剤等の医薬として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本明細書中の「ハロゲン原子」は、特に断りのない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を意味する。
本明細書中の「C1−3アルキレンジオキシ基」は、特に断りのない限り、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ等を意味する。
本明細書中の「C1−6アルキル基」は、特に断りのない限り、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル等を意味する。
本明細書中の「C1−6アルコキシ基」は、特に断りのない限り、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等を意味する。
本明細書中の「C1−6アルコキシ−カルボニル基」は、特に断りのない限り、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等を意味する。
本明細書中の「C1−6アルキル−カルボニル基」は、特に断りのない限り、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、イソブタノイル、ペンタノイル、イソペンタノイル、ヘキサノイル等を意味する。
【0022】
以下、式(I)および(II)で用いられる各記号の定義について詳述する。
、R、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を示す。
、R、RまたはRで示される「置換基」としては、「置換されていてもよい炭化水素基」、「置換されていてもよい複素環基」、「置換されていてもよいヒドロキシ基」、「置換されていてもよいチオール基」、「置換されていてもよいアミノ基」、「シアノ基」、「ニトロ基」、「アシル基」、「ハロゲン原子」等が挙げられる。
【0023】
前記「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」としては、例えば、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C2−10アルキニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C4−10シクロアルカジエニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基、C8−13アリールアルケニル基、C3−10シクロアルキル−C1−6アルキル基等が挙げられる。
【0024】
ここで、C1−10アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、2,2−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、2−エチルブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル等が挙げられる。
2−10アルケニル基としては、例えば、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル、1−ヘプテニル、1−オクテニル等が挙げられる。
2−10アルキニル基としては、例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、1−オクチニル等が挙げられる。
【0025】
3−10シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ビシクロ[3.2.1]オクチル、ビシクロ[3.2.2]ノニル、ビシクロ[3.3.1]ノニル、ビシクロ[4.2.1]ノニル、ビシクロ[4.3.1]デシル、アダマンチル等が挙げられる。
3−10シクロアルケニル基としては、例えば、2−シクロペンテン−1−イル、3−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル、3−シクロヘキセン−1−イル等が挙げられる。
4−10シクロアルカジエニル基としては、例えば、2,4−シクロペンタジエン−1−イル、2,4−シクロヘキサジエン−1−イル、2,5−シクロヘキサジエン−1−イル等が挙げられる。
上記のC3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基およびC4−10シクロアルカジエニル基は、それぞれベンゼン環と縮合していてもよく、このような縮合環基としては、例えば、インダニル、ジヒドロナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル等が挙げられる。
【0026】
6−14アリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル、アセナフチレニル、ビフェニリル等が挙げられる。なかでもフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等が好ましい。
7−13アラルキル基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、ビフェニリルメチル等が挙げられる。
8−13アリールアルケニル基としては、例えば、スチリル等が挙げられる。
3−10シクロアルキル−C1−6アルキル基としては、例えば、シクロヘキシルメチル等が挙げられる。
【0027】
前記「炭化水素基」として例示した、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基およびC2−10アルキニル基は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。
このような置換基としては、例えば、
(1)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC3−10シクロアルキル基(例、シクロプロピル、シクロヘキシル);
(2)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC6−14アリール基(例、フェニル、ナフチル);
(3)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよい芳香族複素環基(例、チエニル、フリル、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、キノリル、インドリル);
(4)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよい非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフリル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ジオキソリル、ジオキソラニル、1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラニル、チアゾリジニル);
(5)C1−6アルコキシ基、C6−14アリールオキシ基(例、フェノキシ)、カルボキシル基およびC1−6アルコキシーカルボニル基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基;C7−13アラルキル基(例、ベンジル);C1−6アルキル−カルボニル基;C1−6アルコキシ−カルボニル基;C6−14アリール−カルボニル基(例、ベンゾイル);C7−13アラルキル−カルボニル基(例、ベンジルカルボニル、フェネチルカルボニル);C1−6アルキル−カルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル);C6−14アリール−カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル、1−ナフチルカルバモイル、2−ナフチルカルバモイル);C7−13アラルキル−カルバモイル基(例、ベンジルカルバモイル);C1−6アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル);C6−14アリールスルホニル基(例、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル、1−ナフタレンスルホニル、2−ナフタレンスルホニル);およびC7−13アラルキルスルホニル基(例、ベンジルスルホニル);から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいアミノ基;
(6)アミジノ基;
(7)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニル基;
(8)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基;
(9)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル);
(10)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、C6−14アリール基(例、フェニル)、C7−13アラルキル基(例、ベンジル)および芳香族複素環−C1−6アルキル基(例、フルフリル)から選ばれる置換基でモノあるいはジ置換されていてもよいカルバモイル基;
(11)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基でモノあるいはジ置換されていてもよいチオカルバモイル基;
(12)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基でモノあるいはジ置換されていてもよいスルファモイル基;
(13)カルボキシル基;
(14)ヒドロキシ基;
(15)ハロゲン原子、カルボキシル基、C1−6アルコキシ基およびC1−6アルコキシ−カルボニル基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ基;
(16)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC2−6アルケニルオキシ基(例、エテニルオキシ);
(17)C3−10シクロアルキルオキシ基(例、シクロヘキシルオキシ);
(18)C7−13アラルキルオキシ基(例、ベンジルオキシ);
(19)C6−14アリールオキシ基(例、フェニルオキシ、ナフチルオキシ);
(20)C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例、アセチルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ);
(21)チオール基;
(22)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキルチオ基(例、メチルチオ、エチルチオ);
(23)C7−13アラルキルチオ基(例、ベンジルチオ);
(24)C6−14アリールチオ基(例、フェニルチオ、ナフチルチオ);
(25)スルホ基;
(26)シアノ基;
(27)アジド基;
(28)ニトロ基;
(29)ニトロソ基;
(30)ハロゲン原子;
(31)C1−6アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル);
(32)オキソ基;
(33)C3−10シクロアルキル−C1−6アルキルオキシ基(例、シクロプロピルメチルオキシ);
(34)C1−3アルキレンジオキシ基;
等が挙げられる。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0028】
また、前記「炭化水素基」として例示した、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C4−10シクロアルカジエニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基、C8−13アリールアルケニル基およびC3−10シクロアルキル−C1−6アルキル基は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。
このような置換基としては、例えば、
(1)前記したC1−10アルキル基等が有していてもよい置換基として例示した基;
(2)ハロゲン原子、カルボキシル基、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−6アルキル−カルボニルオキシ基(例、アセチルオキシ、tert−ブチルカルボニルオキシ)、カルバモイル基および非芳香族複素環基(例、ピペリジノ)から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基;
(3)ハロゲン原子、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基およびカルバモイル基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC2−6アルケニル基(例、エテニル、1−プロペニル);
(4)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC7−13アラルキル基(例、ベンジル);
等が挙げられる。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0029】
前記「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」としては、芳香族複素環基および非芳香族複素環基が挙げられる。
ここで、芳香族複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する4〜7員(好ましくは5または6員)の単環式芳香族複素環基および縮合芳香族複素環基が挙げられる。該縮合芳香族複素環基としては、例えば、これら4〜7員の単環式芳香族複素環基と、1ないし2個の窒素原子を含む5または6員環、1個の硫黄原子を含む5員環またはベンゼン環等とが1ないし2個縮合した基等が挙げられる。
芳香族複素環基の好適な例としては、
フリル(例、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例、2−チエニル、3−チエニル)、ピリジル(例、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピリミジニル(例、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル)、ピリダジニル(例、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル)、ピラジニル(例、2−ピラジニル)、ピロリル(例、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、イミダゾリル(例、1−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル)、ピラゾリル(例、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル)、チアゾリル(例、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル)、イソチアゾリル(例、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル)、オキサゾリル(例、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル)、イソオキサゾリル(例、3−イソオキサゾリル、4−イソオキサゾリル、5−イソオキサゾリル)、オキサジアゾリル(例、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)、チアジアゾリル(例、1,3,4−チアジアゾール−2−イル)、トリアゾリル(例、1,2,4−トリアゾール−1−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,3−トリアゾール−1−イル、1,2,3−トリアゾール−2−イル、1,2,3−トリアゾール−4−イル)、テトラゾリル(例、テトラゾール−1−イル、テトラゾール−5−イル)、トリアジニル(例、1,2,4−トリアジン−5−イル、1,2,4−トリアジン−3−イル、1,2,4−トリアジン−6−イル)等の単環式芳香族複素環基;
キノリル(例、2−キノリル、3−キノリル、4−キノリル、6−キノリル)、イソキノリル(例、3−イソキノリル)、キナゾリル(例、2−キナゾリル、4−キナゾリル)、キノキサリル(例、2−キノキサリル、6−キノキサリル)、ベンゾフラニル(例、2−ベンゾフラニル、3−ベンゾフラニル)、ベンゾチエニル(例、2−ベンゾチエニル、3−ベンゾチエニル)、ベンズオキサゾリル(例、2−ベンズオキサゾリル)、ベンズイソオキサゾリル(例、7−ベンズイソオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(例、2−ベンゾチアゾリル)、ベンズイミダゾリル(例、ベンズイミダゾール−1−イル、ベンズイミダゾール−2−イル、ベンズイミダゾール−5−イル)、ベンゾトリアゾリル(例、1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−5−イル)、インドリル(例、インドール−1−イル、インドール−2−イル、インドール−3−イル、インドール−5−イル)、インダゾリル(例、1H−インダゾール−3−イル)、ピロロピラジニル(例、1H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−2−イル、1H−ピロロ[2,3−b]ピラジン−6−イル)、イミダゾピリジニル(例、1H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−2−イル、1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−2−イル、2H−イミダゾ[1,2−a]ピリジン−3−イル)、イミダゾピラジニル(例、1H−イミダゾ[4,5−b]ピラジン−2−イル)、ピラゾロピリジニル(例、1H−ピラゾロ[4,3−c]ピリジン−3−イル)、ピラゾロチエニル(例、2H−ピラゾロ[3,4−b]チオフェン−2−イル)、ピラゾロトリアジニル(例、ピラゾロ[5,1−c][1,2,4]トリアジン−3−イル)等の縮合芳香族複素環基;
等が挙げられる。
【0030】
非芳香族複素環基としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし4個含有する4〜7員(好ましくは5または6員)の単環式非芳香族複素環基および縮合非芳香族複素環基が挙げられる。該縮合非芳香族複素環基としては、例えば、これら4〜7員の単環式非芳香族複素環基と、1ないし2個の窒素原子を含む5または6員環、1個の硫黄原子を含む5員環またはベンゼン環等とが1ないし2個縮合した基等が挙げられる。
非芳香族複素環基の好適な例としては、
ピロリジニル(例、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル)、ピペリジニル(例、ピペリジノ、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル)、モルホリニル(例、モルホリノ)、チオモルホリニル(例、チオモルホリノ)、ピペラジニル(例、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル、3−ピペラジニル)、ヘキサメチレンイミニル(例、ヘキサメチレンイミン−1−イル)、オキサゾリジニル(例、オキサゾリジン−2−イル)、チアゾリジニル(例、チアゾリジン−2−イル)、イミダゾリジニル(例、イミダゾリジン−2−イル、イミダゾリジン−3−イル)、オキサゾリニル(例、オキサゾリン−2−イル)、チアゾリニル(例、チアゾリン−2−イル)、イミダゾリニル(例、イミダゾリン−2−イル、イミダゾリン−3−イル)、ジオキソリル(例、1,3−ジオキソール−4−イル)、ジオキソラニル(例、1,3−ジオキソラン−4−イル)、ジヒドロオキサジアゾリル(例、4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)、2−チオキソ−1,3−オキサゾリジン−5−イル、ピラニル(例、4−ピラニル)、テトラヒドロピラニル(例、2−テトラヒドロピラニル、3−テトラヒドロピラニル、4−テトラヒドロピラニル)、チオピラニル(例、4−チオピラニル)、テトラヒドロチオピラニル(例、2−テトラヒドロチオピラニル、3−テトラヒドロチオピラニル、4−テトラヒドロチオピラニル)、1−オキシドテトラヒドロチオピラニル(例、1−オキシドテトラヒドロチオピラン−4−イル)、1,1−ジオキシドテトラヒドロチオピラニル(例、1,1−ジオキシドテトラヒドロチオピラン−4−イル)、テトラヒドロフリル(例、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロフラン−2−イル)、ピラゾリジニル(例、ピラゾリジン−1−イル、ピラゾリジン−3−イル)、ピラゾリニル(例、ピラゾリン−1−イル)、テトラヒドロピリミジニル(例、テトラヒドロピリミジン−1−イル)、ジヒドロトリアゾリル(例、2,3−ジヒドロ−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)、テトラヒドロトリアゾリル(例、2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−1,2,3−トリアゾール−1−イル)等の単環式非芳香族複素環基;
ジヒドロインドリル(例、2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イル)、ジヒドロイソインドリル(例、1,3−ジヒドロ−2H−イソインドール−2−イル)、ジヒドロベンゾフラニル(例、2,3−ジヒドロ−1−ベンゾフラン−5−イル)、ジヒドロベンゾジオキシニル(例、2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシニル)、ジヒドロベンゾジオキセピニル(例、3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピニル)、テトラヒドロベンゾフラニル(例、4,5,6,7−テトラヒドロ−1−ベンゾフラン−3−イル)、クロメニル(例、4H−クロメン−2−イル、2H−クロメン−3−イル)、ジヒドロキノリニル(例、1,2−ジヒドロキノリン−4−イル)、テトラヒドロキノリニル(例、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−4−イル)、ジヒドロイソキノリニル(例、1,2−ジヒドロイソキノリン−4−イル)、テトラヒドロイソキノリニル(例、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−4−イル)、ジヒドロフタラジニル(例、1,4−ジヒドロフタラジン−4−イル)等の縮合非芳香族複素環基;
等が挙げられる。
【0031】
前記「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、前記「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」として例示したC3−10シクロアルキル基等が有していてもよい置換基として例示したものが挙げられる。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0032】
前記「置換されていてもよいヒドロキシ基」としては、例えば、それぞれ置換されていてもよい、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基、C8−13アリールアルケニル基、C1−6アルキル−カルボニル基、5または6員芳香族複素環基等から選ばれる置換基で置換されていてもよいヒドロキシ基が挙げられる。
ここで、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基およびC8−13アリールアルケニル基としては、それぞれ前記「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示したものが挙げられる。
【0033】
5または6員芳香族複素環基としては、前記「置換されていてもよい複素環基」における「複素環基」として例示した「芳香族複素環基」のうち5または6員環基であるものが挙げられる。
【0034】
前記したC1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基、C8−13アリールアルケニル基、C1−6アルキル−カルボニル基および5または6員芳香族複素環基は、それぞれ置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
ここで、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基およびC1−6アルキル−カルボニル基の置換基としては、前記「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」として例示したC1−10アルキル基等が有していてもよい置換基として例示したものが挙げられる。
また、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基、C8−13アリールアルケニル基および5または6員芳香族複素環基の置換基としては、前記「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」として例示したC3−10シクロアルキル基等が有していてもよい置換基として例示したものが挙げられる。
【0035】
前記「置換されていてもよいチオール基」としては、例えば、それぞれ置換されていてもよい、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基、C8−13アリールアルケニル基、C1−6アルキル−カルボニル基、5または6員芳香族複素環基等から選ばれる置換基で置換されていてもよいチオール基が挙げられる。
該置換基としては、前記「置換されていてもよいヒドロキシ基」における置換基として例示したものが挙げられる。
【0036】
前記「置換されていてもよいアミノ基」としては、例えば、それぞれ置換されていてもよい、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基およびC8−13アリールアルケニル基;アシル基等から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいアミノ基が挙げられる。
ここで、C1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基およびC8−13アリールアルケニル基としては、それぞれ前記「置換されていてもよい炭化水素基」における「炭化水素基」として例示したものが挙げられる。
【0037】
これらC1−10アルキル基、C2−10アルケニル基、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基およびC8−13アリールアルケニル基は、それぞれ置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
ここで、C1−10アルキル基およびC2−10アルケニル基の置換基としては、前記「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」として例示したC1−10アルキル基等が有していてもよい置換基として例示したものが挙げられる。
また、C3−10シクロアルキル基、C3−10シクロアルケニル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基およびC8−13アリールアルケニル基の置換基としては、前記「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」として例示したC3−10シクロアルキル基等が有していてもよい置換基として例示したものが挙げられる。
【0038】
「置換されていてもよいアミノ基」の置換基およびR、R、RおよびRで示される「置換基」として例示した「アシル基」としては、例えば、式:−COR、−CO−OR、−SO2、−SOR、−CO−NRa’R’、−CS−NRa’R’[式中、Rは、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示す。Ra’およびR’は、同一または異なってそれぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示すか、あるいはRa’およびR’は、隣接する窒素原子と共に置換されていてもよい含窒素複素環を形成する]で表される基等が挙げられる。
、Ra’またはR’で示される「置換されていてもよい炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」としては、それぞれR、R、RまたはRで示される「置換基」として例示した「置換されていてもよい炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」と同様のものが挙げられる。
【0039】
a’およびR’が隣接する窒素原子と共に形成する「置換されていてもよい含窒素複素環」における「含窒素複素環」としては、例えば、環構成原子として炭素原子以外に少なくとも1個の窒素原子を含み、さらに酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1ないし2個含有していてもよい5〜7員の含窒素複素環が挙げられる。該含窒素複素環の好適な例としては、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、オキソピペラジン等が挙げられる。
該含窒素複素環は、置換可能な位置に1ないし3個(好ましくは1または2個)の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、前記「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」として例示したC3−10シクロアルキル基等が有していてもよい置換基として例示したものが挙げられる。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0040】
「アシル基」の好適な例としては、
(1)ホルミル基;
(2)カルボキシル基;
(3)C1−6アルキル−カルボニル基;
(4)カルボキシル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基およびC1−6アルキル−カルボニルオキシ基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルコキシ−カルボニル基;
(5)C3−10シクロアルキル−カルボニル基(例、シクロペンチルカルボニル、シクロヘキシルカルボニル);
(6)ハロゲン原子、シアノ基、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基(すなわち、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基)、C1−6アルコキシ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基およびカルバモイル基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC6−14アリール−カルボニル基(例、ベンゾイル、1−ナフトイル、2−ナフトイル);
(7)カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基およびカルバモイル基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC6−14アリールオキシ−カルボニル基(例、フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル);
(8)カルボキシル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルキルスルホニル基およびC1−6アルキル基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC7−13アラルキルオキシ−カルボニル基(例、ベンジルオキシカルボニル、フェネチルオキシカルボニル;カルボキシベンジルオキシカルボニル;メトキシカルボニルベンジルオキシカルボニル;ビフェニリルメトキシカルボニル);
(9)ハロゲン原子およびC1−6アルコキシ基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基でモノあるいはジ置換されていてもよいカルバモイル基(例、メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、エチルメチルカルバモイル、プロピルカルバモイル、イソプロピルカルバモイル、ブチルカルバモイル、イソブチルカルバモイル、トリフルオロエチルカルバモイル、N−メトキシエチル−N−メチルカルバモイル);
(10)カルボキシル基、カルバモイル基およびC1−6アルコキシ−カルボニル基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキルスルホニル基(例、メチルスルホニル、カルボキシメチルスルホニル);
(11)C1−6アルキルスルフィニル基(例、メチルスルフィニル);
(12)チオカルバモイル基;
(13)C7−13アラルキル−カルボニル基(例、ベンジルカルボニル、フェネチルカルボニル);
(14)C1−6アルキル基、C6−14アリール基、C7−13アラルキル基、C1−6アルコキシ基、カルボキシル基、C1−6アルコキシ−カルボニル基およびカルバモイル基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよい芳香族複素環(例、フリル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノキサリニル)−カルボニル基(例、フリルカルボニル、チエニルカルボニル、チアゾリルカルボニル、ピラゾリルカルボニル、ピリジルカルボニル、ピラジニルカルボニル、ベンゾフラニルカルボニル、ベンゾチエニルカルボニル、キノキサリニルカルボニル);
等が挙げられる。
【0041】
、R、RおよびRは、好ましくは、それぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、シアノ基、アシル基、ハロゲン原子等である。より好ましくは、
およびRは、共に水素原子等であり、
は、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、アシル基、ハロゲン原子等であり、特に好ましくは、
(1)水素原子;
(2)(a)ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、臭素原子)、(b)1〜3個のハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)で置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、メチル)、(c)C1−6アルコキシ基(好ましくは、メトキシ)、(d)ヒドロキシ基等から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC6−14アリール基(好ましくは、フェニル);
(3)(a)(i)C1−6アルコキシ基(好ましくは、メトキシ)、C6−14アリールオキシ基(好ましくは、フェノキシ)、カルボキシル基、C1−6アルコキシーカルボニル基(好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)等から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、メチル、エチル、イソブチル)、
(ii)C7−13アラルキル基(好ましくは、ベンジル)
等から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいアミノ基、
(b)ヒドロキシ基
等から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、メチル);
(4)置換されていてもよい芳香族複素環基(好ましくは、ピリジル);
(5)ホルミル基;
(6)カルボキシル基;
(7)C1−6アルコキシ−カルボニル基(好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル);
(8)ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子、臭素原子);
等であり、
は、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、シアノ基、アシル基等であり、特に好ましくは、
(1)水素原子;
(2)(a)ヒドロキシ基、(b)カルボキシル基、(c)C1−6アルコキシ−カルボニル基(好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、(d)ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子)、(e)シアノ基等から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、メチル);
(3)シアノ基;
(4)カルボキシル基;
(5)C1−6アルコキシ−カルボニル基(好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル);
等である。
【0042】
環Aは、置換されていてもよいフェニル基を示す。
環Aで示される「置換されていてもよいフェニル基」における「フェニル基」は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、前記R、R、RまたはRで示される「置換基」として例示したものが挙げられる。なかでも、「置換されていてもよい炭化水素基」、「置換されていてもよい複素環基」、「置換されていてもよいヒドロキシ基」、「置換されていてもよいアミノ基」、「ハロゲン原子」等が好ましい。これら置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0043】
好ましい置換基としては、
(1)−OR、−OR[式中、RおよびRは同一または異なって、それぞれ置換されていてもよいC1−6アルキル基(但し、該アルキル基がC1−2アルキル基の場合、該C1−2アルキル基は置換されていてもよい環状基で置換されている)である]で表される基;
(2)ハロゲン原子;
(3)1〜3個のC6−14アリールオキシ基(好ましくは、フェノキシ)で置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、メチル);
(4)1〜3個のC1−6アルキル基(好ましくは、メチル)で置換されていてもよい芳香族複素環基(好ましくは、ピラゾリル);
(5)1〜3個のC1−6アルコキシ基(好ましくは、メトキシ)で置換されていてもよいC6−14アリール基(好ましくは、フェニル)でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基;
(6)C1−2アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ);
等であり、より好ましくは、−OR、−OR[式中、RおよびRは前記と同意義である]で表される基等である。
【0044】
またはRで示される「置換されていてもよいC1−6アルキル基(但し、該アルキル基がC1−2アルキル基の場合、該C1−2アルキル基は置換されていてもよい環状基で置換されている)」における「C1−6アルキル基」は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、前記R、R、RまたはRで示される「置換基」として例示したC1−10アルキル基等が有していてもよい置換基として例示したものが挙げられる。置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0045】
好ましい置換基としては、置換されていてもよい環状基等が挙げられる。当該環状基としては、例えば、C3−10シクロアルキル基(例、シクロプロピル、シクロヘキシル)、C6−14アリール基(例、フェニル、ナフチル)、芳香族複素環基(例、チエニル、フリル、ピリジル、オキサゾリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピラジニル、キノリル、インドリル)、非芳香族複素環基(例、テトラヒドロフリル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペリジニル、ピロリジニル、ピペラジニル、ジオキソリル、ジオキソラニル、1,3−ジヒドロ−2−ベンゾフラニル、チアゾリジニル)等が挙げられる。
【0046】
上記環状基は、好ましくは、C6−14アリール基(好ましくは、フェニル)、C3−10シクロアルキル基(好ましくは、シクロプロピル、シクロヘキシル)、5または6員の芳香族複素環基(好ましくは、チエニル、ピリジル)等である。
【0047】
上記環状基は、置換可能な位置に1ないし3個の置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1−6アルキル基、ヒドロキシ基、C1−6アルコキシ基およびハロゲン原子等が挙げられる。なかでも、ハロゲン原子が好ましい。これら置換基が2個以上である場合、各置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0048】
またはRで示される「置換されていてもよいC1−6アルキル基(但し、該アルキル基がC1−2アルキル基の場合、該C1−2アルキル基は置換されていてもよい環状基で置換されている)」は、好ましくは、置換されていてもよい環状基で置換されたC1−6アルキル基、C3−6アルキル基等であり、より好ましくは、
(1)(a)C6−14アリール基(好ましくは、フェニル)、(b)C3−10シクロアルキル基(好ましくは、シクロプロピル、シクロヘキシル)、(c)5または6員の芳香族複素環基(好ましくは、チエニル、ピリジル)(上記(a)〜(c)は1〜3個のハロゲン原子でそれぞれ置換されていてもよい)等から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されたC1−6アルキル基(好ましくは、メチル);
(2)C3−6アルキル基(好ましくは、イソプロピル);
等である。
【0049】
環Aの置換基として、さらに好ましくは、−OR、−OR[式中、RおよびRは同一または異なって、それぞれ、(1)置換されていてもよい環状基等で置換されたC1−6アルキル基、(2)C3−6アルキル基等である]で表される基等であり、特に好ましくは、−OR、−OR[式中、RおよびRは同一または異なって、それぞれ、(1)(a)C6−14アリール基(好ましくは、フェニル)、(b)C3−10シクロアルキル基(好ましくは、シクロプロピル、シクロヘキシル)、(c)5または6員の芳香族複素環基(好ましくは、チエニル、ピリジル)(上記(a)〜(c)は1〜3個のハロゲン原子でそれぞれ置換されていてもよい)等から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されたC1−6アルキル基(好ましくは、メチル);(2)C3−6アルキル基(好ましくは、イソプロピル);等である]で表される基等である。
【0050】
環Aは、上記の置換基で置換されていることが好ましい。
【0051】
化合物(I)としては、
環Aが、
(1)−OR、−OR[式中、RおよびRは前記と同意義である]で表される基;
(2)ハロゲン原子;
(3)1〜3個のC6−14アリールオキシ基(好ましくは、フェノキシ)で置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、メチル);
(4)1〜3個のC1−6アルキル基(好ましくは、メチル)で置換されていてもよい芳香族複素環基(好ましくは、ピラゾリル);
(5)1〜3個のC1−6アルコキシ基(好ましくは、メトキシ)で置換されていてもよいC6−14アリール基(好ましくは、フェニル)でモノまたはジ置換されていてもよいアミノ基;および
(6)C1−2アルコキシ基(例、メトキシ、エトキシ);
から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいフェニル基である、化合物等が好ましい。
化合物(I)は、より好ましくは、化合物(II)等である。
【0052】
化合物(II)としては、
、R、RおよびRが同一または異なって、それぞれ水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、シアノ基、アシル基またはハロゲン原子であり;かつ
およびRは同一または異なって、それぞれ、(1)置換されていてもよい環状基で置換されたC1−6アルキル基、または(2)C3−6アルキル基である、
化合物等が好ましい。
【0053】
化合物(II)は、より好ましくは、
およびRが、共に水素原子であり;
が、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、置換されていてもよい複素環基、アシル基またはハロゲン原子
[好ましくは、
(1)水素原子;
(2)(a)ハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子、臭素原子)、(b)1〜3個のハロゲン原子(好ましくは、フッ素原子)で置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、メチル)、(c)C1−6アルコキシ基(好ましくは、メトキシ)および(d)ヒドロキシ基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC6−14アリール基(好ましくは、フェニル);
(3)(a)(i)C1−6アルコキシ基(好ましくは、メトキシ)、C6−14アリールオキシ基(好ましくは、フェノキシ)、カルボキシル基およびC1−6アルコキシーカルボニル基(好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、メチル、エチル、イソブチル)、および
(ii)C7−13アラルキル基(好ましくは、ベンジル)
から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいアミノ基、および
(b)ヒドロキシ基
から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、メチル);
(4)置換されていてもよい芳香族複素環基(好ましくは、ピリジル);
(5)ホルミル基;
(6)カルボキシル基;
(7)C1−6アルコキシ−カルボニル基(好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル);または
(8)ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子、臭素原子)]
であり;
が、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基、シアノ基またはアシル基
[好ましくは、
(1)水素原子;
(2) (a)ヒドロキシ基、(b)カルボキシル基、(c)C1−6アルコキシ−カルボニル基(好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)、(d)ハロゲン原子(好ましくは、塩素原子)および(e)シアノ基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、メチル);
(3)シアノ基;
(4)カルボキシル基;または
(5)C1−6アルコキシ−カルボニル基(好ましくは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル)]であり;かつ
およびRは同一または異なって、それぞれ、
(1)(a)C6−14アリール基(好ましくは、フェニル)、(b)C3−10シクロアルキル基(好ましくは、シクロプロピル、シクロヘキシル)および(c)5または6員の芳香族複素環基(好ましくは、チエニル、ピリジル)(上記(a)〜(c)は1〜3個のハロゲン原子でそれぞれ置換されていてもよい)から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されたC1−6アルキル基(好ましくは、メチル);または
(2)C3−6アルキル基(好ましくは、イソプロピル);
である化合物等である。
【0054】
なお、化合物(I)のうち、化合物(II)は新規な化合物である。
【0055】
化合物(I)[以下、化合物(II)を含む]における塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、このような塩としては、例えば、無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩等が挙げられる。
無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩等が挙げられる。
有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン等との塩が挙げられる。
無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等との塩が挙げられる。
塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リジン、オルニチン等との塩が挙げられる。
酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸等との塩が挙げられる。
【0056】
化合物(I)のプロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物である。化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物);化合物(I)のヒドロキシ基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例、化合物(I)のヒドロキシ基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物);化合物(I)のカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例、化合物(I)のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物)等が挙げられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。
また、化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような、生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。
また、化合物(I)は、同位元素(例、3H、14C、35S、125I)等で標識されていてもよい。
さらに、化合物(I)は、無水物であっても、水和物であってもよい。
【0057】
化合物(I)またはそのプロドラッグ(以下、単に本発明化合物と略記することがある)は、毒性が低く、そのまま、または薬理学的に許容し得る担体等と混合して医薬組成物とすることにより、哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル)に対して、後述する各種疾患の予防または治療剤として用いることができる。
ここにおいて、薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等として配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の製剤添加物を用いることもできる。
賦形剤の好適な例としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等が挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカ等が挙げられる。
結合剤の好適な例としては、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等が挙げられる。
【0058】
溶剤の好適な例としては、注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油等が挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等が挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリン等の界面活性剤;例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖等が挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩等の緩衝液等が挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、ベンジルアルコール等が挙げられる。
防腐剤の好適な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸等が挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩等が挙げられる。
着色剤の好適な例としては、水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号等の食用色素)、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラ)等が挙げられる。
甘味剤の好適な例としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビア等が挙げられる。
【0059】
前記医薬組成物の剤形としては、例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の経口剤;および注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤)、外用剤(例、経皮製剤、軟膏剤)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤)、ペレット、経鼻剤、経肺剤(吸入剤)、点眼剤等の非経口剤が挙げられ、これらはそれぞれ経口的あるいは非経口的に安全に投与できる。
これらの製剤は、速放性製剤または徐放性製剤等の放出制御製剤(例、徐放性マイクロカプセル)であってもよい。
医薬組成物は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。
なお、医薬組成物中の本発明化合物の含量は、剤形、本発明化合物の投与量等により異なるが、例えば、約0.1〜100重量%である。
【0060】
本発明化合物は、優れたGK活性化作用を有し、哺乳動物(例、ヒト、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、サル、マウス、ラット)に対し、各種疾患の予防または治療剤として用いることができる。また、本発明化合物は、選択的なGK活性化作用を有するため、毒性(例、急性毒性、慢性毒性、心毒性、癌原性、遺伝毒性)が低く、副作用も少ない。
本発明化合物は、糖尿病(例、1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、肥満型糖尿病等)の予防・治療剤;高脂血症(例、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL血症、食後高脂血症)の予防・治療剤;動脈硬化の予防・治療剤;耐糖能不全[IGT(Impaired Glucose Tolerance)]の予防・治療剤;および耐糖能不全から糖尿病への移行抑制剤として用いることができる。
糖尿病の判定基準については、1999年に日本糖尿病学会から新たな判定基準が報告されている。
この報告によれば、糖尿病とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dl以上、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上、随時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上のいずれかを示す状態である。また、上記糖尿病に該当せず、かつ、「空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が110mg/dl未満または75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dl未満を示す状態」(正常型)でない状態を、「境界型」と呼ぶ。
また、糖尿病の判定基準については、ADA(米国糖尿病学会)およびWHOから、新たな判定基準が報告されている。
これらの報告によれば、糖尿病とは、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が126mg/dl以上、あるいは、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が200mg/dl以上を示す状態である。
【0061】
また、ADAおよびWHOの上記報告によれば、耐糖能不全とは、75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が140mg/dl以上200mg/dl未満を示す状態である。さらに、ADAの報告によれば、空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が100mg/dl以上126mg/dl未満の状態をIFG(Impaired Fasting Glucose)と呼ぶ。一方、WHOは、該IFG(Impaired Fasting Glucose)を空腹時血糖値(静脈血漿におけるグルコース濃度)が110mg/dl以上126mg/dl未満の状態とし、IFG(Impaired Fasting Glycaemia)と呼ぶ。
本発明化合物は、上記した新たな判定基準により決定される糖尿病、境界型、耐糖能異常、IFG(Impaired Fasting Glucose)およびIFG(Impaired Fasting Glycaemia)の予防・治療剤としても用いられる。さらに、本発明化合物は、境界型、耐糖能異常、IFG(Impaired Fasting Glucose)またはIFG(Impaired Fasting Glycaemia)から糖尿病への進展を防止することもできる。
【0062】
本発明化合物は、例えば、糖尿病性合併症[例、神経障害、腎症、網膜症、白内障、大血管障害、骨減少症、糖尿病性高浸透圧昏睡、感染症(例、呼吸器感染症、尿路感染症、消化器感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症)、糖尿病性壊疽、口腔乾燥症、聴覚の低下、脳血管障害、末梢血行障害]、肥満、骨粗鬆症、悪液質(例、癌性悪液質、結核性悪液質、糖尿病性悪液質、血液疾患性悪液質、内分泌疾患性悪液質、感染症性悪液質または後天性免疫不全症候群による悪液質)、脂肪肝、高血圧、多嚢胞性卵巣症候群、腎臓疾患(例、糖尿病性ネフロパシー、糸球体腎炎、糸球体硬化症、ネフローゼ症候群、高血圧性腎硬化症、末期腎臓疾患)、筋ジストロフィー、心筋梗塞、狭心症、脳血管障害(例、脳梗塞、脳卒中)、糖代謝異常、脂質代謝異常、インスリン抵抗性症候群、シンドロームX、メタボリックシンドローム(2型糖尿病、耐糖能異常あるいはインスリン抵抗性の内、少なくとも一つを有し、肥満、脂質代謝異常、高血圧あるいは微量アルブミン尿の内、少なくとも2つ以上を併せ持つ状態)、クッシング症候群、高インスリン血症、高インスリン血症における知覚障害、腫瘍(例、白血病、乳癌、前立腺癌、皮膚癌)、過敏性腸症候群、急性または慢性下痢、炎症性疾患(例、慢性関節リウマチ、変形性脊椎炎、変形性関節炎、腰痛、痛風、手術または外傷後の炎症、腫脹、神経痛、咽喉頭炎、膀胱炎、肝炎(非アルコール性脂肪性肝炎を含む)、肺炎、膵炎、炎症性大腸疾患、潰瘍性大腸炎、胃粘膜損傷(アスピリンにより引き起こされた胃粘膜損傷を含む))、内臓肥満症候群等の予防・治療剤としても用いることができる。
本発明化合物は、インスリン抵抗性の改善、インスリン分泌の促進または増加、内臓脂肪の減少、内臓脂肪蓄積の抑制、糖代謝改善、脂質代謝改善、酸化LDL産生抑制、リポタンパク代謝改善、冠動脈代謝改善、心血管合併症の予防または治療、心不全合併症の予防または治療、血中レムナント低下、無排卵症の予防または治療、多毛症の予防または治療、高アンドロゲン血症の予防または治療、膵(β細胞)機能改善、膵(β細胞)再生、膵(β細胞)再生促進等にも用いられる。
本発明化合物は、上記した各種疾患(例、心筋梗塞等の心血管イベント)の2次予防および進展抑制にも用いられる。
本発明化合物は、とりわけ2型糖尿病、肥満型糖尿病等の予防・治療剤として有用である。
【0063】
本発明化合物の投与量は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状等によっても異なるが、例えば、成人の糖尿病患者に経口投与する場合、通常1回量として約0.01〜100mg/kg体重、好ましくは0.05〜30mg/kg体重、さらに好ましくは0.1〜10mg/kg体重であり、この量を1日1回〜3回投与するのが望ましい。
【0064】
本発明化合物は、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、高脂血症治療剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、化学療法剤、免疫療法剤、抗血栓剤、骨粗鬆症治療剤、抗痴呆剤、勃起不全改善剤、尿失禁・頻尿治療剤、排尿困難治療剤等の薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。この際、本発明化合物と併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、本発明化合物と併用薬剤とは、それぞれの活性成分を含む2種類の製剤として投与されてもよいし、両方の活性成分を含む単一の製剤として投与されてもよい。
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。
【0065】
なお、糖尿病治療剤としては、例えばインスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌またはイーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS-1)、経口インスリン製剤)、インスリン抵抗性改善剤(例、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩酸塩)、ロシグリタゾンまたはその塩(好ましくはマレイン酸塩)、ネトグリタゾン(Netoglitazone)、エダグリタゾン(Edaglitazone)(BM-13.1258)、リボグリタゾン(Rivoglitazone)(CS-011)、FK-614、WO01/38325に記載の化合物、テサグリタザール(Tesaglitazar)(AZ−242)、ラガグリタザール(Ragaglitazar)(NN-622)、ムラグリタザール(Muraglitazar)(BMS-298585)、メタグリダセン(Metaglidasen)(MBX-102)、ナベグリタザール(Naveglitazar)(LY-519818)、MX-6054、LY-510929、バラグリタゾン(Balaglitazone)(NN-2344)、T-131またはその塩、THR-0921)、PPARγアゴニスト、PPARγアンタゴニスト、PPARγ/αデュアルアゴニスト、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミンまたはそれらの塩(例、塩酸塩、フマール酸塩、コハク酸塩))、インスリン分泌促進剤[スルホニルウレア剤(例、トルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾール)、レパグリニド、セナグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物]、GPR40アゴニスト、GLP-1受容体アゴニスト[例、GLP-1、GLP-1MR剤、NN-2211、AC-2993(exendin-4)、BIM-51077、Aib(8,35)hGLP-1(7,37)NH2、CJC-1131]、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド)、フォスフォチロシンフォスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、NVP-DPP-278、PT-100、P32/98、ヴィルダグリプチン(Vildagliptin)(LAF-237)、P93/01、TS-021、シタグリプチン フォスフェート(Sitagliptin phosphate)(MK−431)、サクサグリプチン(Saxagliptin)(BMS-477118) 、E-3024、T-6666(TA-6666)、823093、825964、815541)、β3アゴニスト(例、AJ-9677)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤)、SGLT(sodium-glucose cotransporter)阻害剤(例、T-1095)、11β-HSD1阻害薬(例、BVT-3498)、アジポネクチンまたはその作動薬、IKK阻害薬(例、AS-2868)、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬(例、WO01/25228、WO03/42204、WO98/44921、WO98/45285、WO99/22735に記載の化合物)等が挙げられる。
【0066】
糖尿病性合併症治療剤としては、例えば、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、CT-112)、神経栄養因子およびその増加薬(例、NGF、NT-3、BDNF、WO01/14372に記載のニューロトロフィン産生・分泌促進剤(例、4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾール))、神経再生促進薬(例、Y-128)、PKC阻害剤(例、ルボキシスタウリン メシレート(ruboxistaurin mesylate))、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、N-フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)、ALT-711、EXO-226、ピリドリン(Pyridorin)、ピリドキサミン)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン)、ソマトスタチン受容体作動薬(例、BIM23190)、アポトーシスシグナルレギュレーティングキナーゼ-1(ASK-1)阻害薬が挙げられる。
高脂血症治療剤としては、例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤(例、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩、カルシウム塩))、スクアレン合成酵素阻害剤(例、WO97/10224に記載の化合物、例えば、N−[[(3R,5S)-1-(3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロピル)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル]アセチル]ピペリジン-4-酢酸)、フィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート)、ACAT阻害剤(例、アバシマイブ(Avasimibe)、エフルシマイブ(Eflucimibe))、陰イオン交換樹脂(例、コレスチラミン)、プロブコール、ニコチン酸系薬剤(例、ニコモール(nicomol)、ニセリトロール(niceritrol))、イコサペント酸エチル、植物ステロール(例、ソイステロール(soysterol)、ガンマオリザノール(γ−oryzanol))等が挙げられる。
【0067】
降圧剤としては、例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル)、アンジオテンシンII受容体拮抗剤(例、カンデサルタン シレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、1-[[2'-(2,5-ジヒドロ-5-オキソ-4H-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル]-2-エトキシ-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン)、カリウムチャンネル開口薬(例、レブクロマカリム、L-27152、AL 0671、NIP-121)、クロニジン等が挙げられる。
抗肥満剤としては、例えば、中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;MCH受容体拮抗薬(例、SB-568849;SNAP-7941;WO01/82925およびWO01/87834に記載の化合物);ニューロペプチドY拮抗薬(例、CP-422935);カンナビノイド受容体拮抗薬(例、SR-141716、SR-147778);グレリン拮抗薬)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、ATL-962)、β3アゴニスト(例、AJ-9677)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子))、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL-15849)、摂食抑制薬(例、P-57)等が挙げられる。
【0068】
利尿剤としては、例えば、キサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。
化学療法剤としては、例えば、アルキル化剤(例、サイクロフォスファミド、イフォスファミド)、代謝拮抗剤(例、メソトレキセート、5−フルオロウラシルまたはその誘導体)、抗癌性抗生物質(例、マイトマイシン、アドリアマイシン)、植物由来抗癌剤(例、ビンクリスチン、ビンデシン、タキソール)、シスプラチン、カルボプラチン、エトポシド等が挙げられる。なかでも5−フルオロウラシル誘導体であるフルツロンあるいはネオフルツロン等が好ましい。
免疫療法剤としては、例えば、微生物または細菌成分(例、ムラミルジペプチド誘導体、ピシバニール)、免疫増強活性のある多糖類(例、レンチナン、シゾフィラン、クレスチン)、遺伝子工学的手法で得られるサイトカイン(例、インターフェロン、インターロイキン(IL))、コロニー刺激因子(例、顆粒球コロニー刺激因子、エリスロポエチン)等が挙げられ、なかでもIL−1、IL−2、IL−12等のインターロイキンが好ましい。
【0069】
抗血栓剤としては、例えば、ヘパリン(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウム(dalteparin sodium))、ワルファリン(例、ワルファリンカリウム)、抗トロンビン薬(例、アルガトロバン(aragatroban))、血栓溶解薬(例、ウロキナーゼ(urokinase)、チソキナーゼ(tisokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、ナテプラーゼ(nateplase)、モンテプラーゼ(monteplase)、パミテプラーゼ(pamiteplase))、血小板凝集抑制薬(例、塩酸チクロピジン(ticlopidine hydrochloride)、シロスタゾール(cilostazol)、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム(beraprost sodium)、塩酸サルポグレラート(sarpogrelate hydrochloride))等が挙げられる。
骨粗鬆症治療剤としては、例えば、アルファカルシドール(alfacalcidol)、カルシトリオール(calcitriol)、エルカトニン(elcatonin)、サケカルシトニン(calcitonin salmon)、エストリオール(estriol)、イプリフラボン(ipriflavone)、リセドロン酸二ナトリウム(risedronate disodium)、パミドロン酸二ナトリウム(pamidronate disodium)、アレンドロン酸ナトリウム水和物(alendronate sodium hydrate)、インカドロン酸二ナトリウム(incadronate disodium)等が挙げられる。
抗痴呆剤としては、例えば、タクリン(tacrine)、ドネペジル(donepezil)、リバスチグミン(rivastigmine)、ガランタミン(galanthamine)等が挙げられる。
勃起不全改善剤としては、例えば、アポモルフィン(apomorphine)、クエン酸シルデナフィル(sildenafil citrate)等が挙げられる。
尿失禁・頻尿治療剤としては、例えば、塩酸フラボキサート(flavoxate hydrochloride)、塩酸オキシブチニン(oxybutynin hydrochloride)、塩酸プロピベリン(propiverine hydrochloride)等が挙げられる。
排尿困難治療剤としては、例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬(例、ジスチグミン)等が挙げられる。
【0070】
さらに、動物モデルや臨床で悪液質改善作用が認められている薬剤、すなわち、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例、インドメタシン)、プロゲステロン誘導体(例、メゲステロールアセテート)、糖質ステロイド(例、デキサメサゾン)、メトクロプラミド系薬剤、テトラヒドロカンナビノール系薬剤、脂肪代謝改善剤(例、エイコサペンタエン酸)、成長ホルモン、IGF−1、あるいは悪液質を誘導する因子であるTNF−α、LIF、IL−6、オンコスタチンMに対する抗体等も本発明化合物と併用することができる。
【0071】
併用薬剤は、好ましくはインスリン製剤、インスリン抵抗性改善剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド剤、インスリン分泌促進剤(好ましくはスルホニルウレア剤)等である。
上記併用薬剤は、2種以上を適宜の割合で組み合せて用いてもよい。
本発明化合物が併用薬剤と組み合せて使用される場合には、お互いの剤の量は、それらの剤の反対効果を考えて安全な範囲内で低減できる。特に、インスリン抵抗性改善剤、インスリン分泌促進剤(好ましくはスルホニルウレア剤)およびビグアナイド剤は通常の投与量よりも低減できる。したがって、これらの剤により引き起こされるであろう反対効果は安全に防止できる。それに加えて、糖尿病性合併症治療剤、高脂血症治療剤、降圧剤の投与量は低減でき、その結果これらの剤により引き起こされるであろう反対効果は効果的に防止できる。
【0072】
以下、化合物(I)の製造法について、以下に説明する。
化合物(I)は、自体公知の方法、例えば、コンプリヘンシブ ヘテロサイクリックケミストリーII(Comprehensive Heterocyclic Chemistry II)第7巻、313−316頁(1996年)に記載の方法等により製造することができる。
具体的には、化合物(I)は、例えば、以下の製造法1−a、1−b、2、3、4−a、4−b、5または6により製造することができる。
製造法1−a
【0073】
【化4】

【0074】
〔式中、Halはハロゲン原子を、その他の記号は前記と同意義を示す。〕
本法では、まず、化合物(III)をニトロ基の還元反応に付すことにより、化合物(IV)を製造することができる。還元反応としては、慣用の方法、例えば、鉄粉と適当な酸(例えば、塩酸)との組み合わせによる還元、あるいはパラジウム触媒存在下で水素添加する接触還元等の方法が用いられる。
鉄粉の使用量は、化合物(III)1モルに対して、通常約1モル〜100モル、好ましくは約10モル〜30モルである。また、酸の使用量は、化合物(III)1モルに対して、通常約1モル〜100モル、好ましくは約10モル〜30モルである。
還元反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない溶媒(例、エタノール)中で行われる。
反応温度は、通常0℃から約100℃である。反応時間は、通常30分間から8時間である。なお、鉄を用いる還元反応においては、エタノール中、80℃で数時間反応を行うことが望ましい。
【0075】
次いで、化合物(IV)と化合物(V)とを縮合・環化反応に付すことにより、Rが水素原子である化合物(I)、すなわち化合物(Ia)を製造することができる。
縮合・環化反応は、例えば、1)ポリリン酸エステル(PPE)中で攪拌しながら加熱する方法、2)メタンスルホン酸中、適当な量の五酸化二リンの存在下で加熱攪拌する方法、3)オキシ塩化リン中、攪拌しながら加熱する方法、等により行われる。
化合物(V)の使用量は、化合物(VI)1モルに対して、通常約1モル〜2モル、好ましくは約1モル〜1.1モルである。
反応温度は、いずれも室温から180℃、好ましくは100℃から140℃である。反応時間は、通常1時間から12時間である。
【0076】
次いで、化合物(Ia)と化合物(VI)とを、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、塩基存在下で反応させることにより、化合物(I)を製造することができる。
「反応に悪影響を及ぼさない溶媒」としては、例えば、エーテル類(例、エチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン)、芳香族炭化水素類(例、ベンゼン、トルエン)、アミド類(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、ハロゲン化炭化水素類(例、クロロホルム、ジクロロメタン)等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
「塩基」としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化タリウム、水素化ナトリウム等の無機塩基;トリエチルアミン、ピリジン、2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチルペルヒドロ−1,3,2−ジアザホスホリン(BEMP)、BEMP樹脂等の有機塩基;等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(Ia)1モルに対して、通常約1モル〜10モル、好ましくは約1モル〜3モルである。
化合物(VI)の使用量は、化合物(Ia)1モルに対して、通常約1モル〜10モル、好ましくは約1モル〜2モルである。
反応温度は、0℃〜100℃、好ましくは室温〜50℃である。反応時間は、通常1時間〜24時間である。
【0077】
なお、製造法1−aにおいて原料化合物として用いられる化合物(III)、化合物(V)および化合物(VI)は、自体公知の方法に従って製造することができる。
【0078】
化合物(Ia)は、以下の製造法1−bにより製造することもできる。
製造法1−b
【0079】
【化5】

【0080】
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕
本法では、化合物(IV)と化合物(V)とを、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、所望により塩基存在下で一般的な縮合反応に付し、ついで得られた化合物を環化反応に付すことにより、化合物(Ia)を製造することができる。
【0081】
縮合反応においては、化合物(IV)はそのアミノ基における反応性誘導体として用いてもよく、「化合物(IV)のアミノ基における反応性誘導体」としては、例えば、化合物(IV)とカルボニル化合物(例、アルデヒド、ケトン)との反応によって生成するシッフ塩基型イミノまたはそのエナミン型互変異生体;化合物(IV)とシリル化合物(例、ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、モノ(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)尿素)との反応によって生成するシリル誘導体;化合物(IV)と三塩化リンまたはホスゲンとの反応によって生成する誘導体等が挙げられる。これらの反応性誘導体は、化合物(IV)の種類によって任意に選択することができる。
【0082】
化合物(V)はそのカルボキシル基における反応性誘導体として用いてもよく、「化合物(V)のカルボキシル基における反応性誘導体」としては、例えば、酸塩化物、酸無水物、活性化アミド、活性化エステル等が挙げられる。具体的には、酸塩化物;酸アジ化物;置換されたリン酸(例、ジアルキルリン酸、フェニルリン酸、ジフェニルリン酸、ジベンジルリン酸、ハロゲン化リン酸)、ジアルキル亜リン酸、亜硫酸、チオ硫酸、硫酸、スルホン酸(例、メタンスルホン酸)、脂肪族カルボン酸(例、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸ピバリン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、トリクロロ酢酸)、芳香族カルボン酸(例、安息香酸)等から選ばれる酸との混合酸無水物、あるいはクロロ炭酸エステル(例、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル)との混合酸無水物;対称酸無水物;イミダゾール、4−置換イミダゾール、ジメチルピラゾール、トリアゾールまたはテトラゾールとの活性化アミド;活性化エステル(例、シアノメチルエステル、メトキシメチルエステル、ジメチルイミノメチルエステル、ビニルエステル、プロパルギルエステル、p−ニトロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、メシルフェニルエステル、フェニルアゾフェニルエステル、フェニルチオエステル、p−ニトロフェニルエステル、p−クレジルチオエステル、カルボキシメチルチオエステル、ピラニルエステル、ピリジルエステル、ピペリジルエステル、8−キノリルチオエステル)、またはN−ヒドロキシ化合物(例、N,N−ジメチルヒドロキシアミン、1−ヒドロキシ−2−(1H)−ピリドン、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾ−ル)とのエステル等が挙げられる。これらの反応性誘導体は、化合物(V)の種類によって任意に選択することができる。
【0083】
化合物(V)をクロロ炭酸エステル(例、クロロ炭酸メチル、クロロ炭酸エチル、クロロ炭酸イソブチル)との混合酸無水物とする場合、塩基(例、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアニリン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)の存在下でこれらを反応させることにより行われる。
【0084】
化合物(V)の反応性誘導体を塩として用いてもよく、その場合の好適な塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;アンモニウム塩;トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N−ジベンジルエチレンジアミン塩等の有機塩基塩;等が挙げられる。
【0085】
「反応に悪影響を及ぼさない溶媒」としては、例えば、水、アルコ−ル類(例、メタノ−ル、エタノ−ル)、アセトン、ジオキサン、アセトニトリル、クロロホルム、塩化メチレン、塩化エチレン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N−ジメチルホルムアミド、ピリジン等が挙げられる。これらの溶媒は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
「塩基」としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(V)1モルに対して、通常約1モル〜10モル、好ましくは約1モル〜3モルである。
化合物(IV)の使用量は、化合物(V)1モルに対して、通常1〜10モル、好ましくは1〜3モルである。
反応温度は、通常−30℃〜100℃である。反応時間は、通常0.5〜20時間である。
【0086】
本反応において、化合物(V)を遊離酸またはその塩の形態で使用する場合には、縮合剤の存在下で反応を行うのが望ましく、縮合剤としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−モルホリノエチルカルボジイミド、N−シクロヘキシル−N’−(4−ジエチルアミノシクロヘキシル)カルボジイミド、N,N’−ジエチルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド等のカルボジイミド類;N,N’−カルボニルビス(2−メチルイミダゾ−ル);ペンタメチレンケテン−N−シクロヘキシルイミン;ジフェニルケテン−N−シクロヘキシルイミン;エトキシアセチレン;1−アルコキシ−1−クロロエチレン;亜リン酸トリアルキル;ポリリン酸エチル、ポリリン酸イソプロピル等のポリリン酸アルキル;オキシ塩化リン;ジフェニルホスホリルアジド;塩化チオニル;塩化オキサリル;クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピル等のハロギ酸低級アルキル;トリフェニルホスフィン;2−エチル−7−ヒドロキシベンズイソオキサゾリウム塩、2−エチル−5−(m−スルホフェニル)イソオキサゾリウムヒドロキシド分子内塩;N−ヒドロキシベンゾトリアゾ−ル;1−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシ)−6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾ−ル;N,N’−ジメチルホルムアミドと塩化チオニル、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル、オキシ塩化リン等との反応によって調製したいわゆるビルスマイヤ−試薬;等が挙げられる。縮合剤の使用量は、化合物(V)1モルに対して、通常約1モル〜5モル、好ましくは約1モル〜2モルである。
環化反応は、例えば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸中、あるいはこれらの酸とアルコールとの混合溶媒中で加熱攪拌あるいはマイクロウエーブを照射する方法等により行われる。酸の使用量は、反応基質1ミリモルに対して、3ミリリットルである。
反応温度は、通常約50℃から約200℃である。反応時間は、通常5分から24時間である。
【0087】
以下の製造法2により、化合物(Ib)(化合物(I)のうち、Rが水素原子であり、かつR、RまたはRのいずれか1つがハロゲン原子で、残りが水素原子である化合物)から、化合物(Ic)(化合物(I)のうち、Rが水素原子であり、かつR、RまたはRのいずれか1つがQ(Qは置換されていてもよいC6−14アリール基または置換されていてもよい芳香族複素環基を示す)で、残りが水素原子である化合物)を製造することができる。
ここで、Qで示される「置換されていてもよいC6−14アリール基」および「置換されていてもよい芳香族複素環基」としては、前記R、R、RまたはRで示される「置換基」として例示した「置換されていてもよい炭化水素基」および「置換されていてもよい複素環基」のうち、炭化水素基および複素環基がそれぞれC6−14アリール基および芳香族複素環基であるものが挙げられる。
製造法2
【0088】
【化6】

【0089】
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕
本法では、化合物(Ib)と化合物(VII)とを、反応に悪影響を及ぼさない溶媒(例、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン)中、パラジウム触媒(例、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム)および塩基の存在下、不活性ガス雰囲気下で反応させることにより、化合物(Ic)を製造することができる。
「塩基」としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化タリウム等の無機塩基;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(Ib)1モルに対して、通常約2モル〜20モル、好ましくは約5モル〜12モルである。
パラジウム触媒の使用量は触媒量である。
化合物(VII)の使用量は、化合物(Ib)1モルに対して、1モルからやや過剰量が望ましい。
反応温度は、通常室温から約100℃である。反応時間は、通常1時間から12時間である。
なお、製造法2において原料化合物として用いられる化合物(VII)は、自体公知の方法に従って製造することができる。また、化合物(Ib)は、例えば、上記した製造法1−aまたは1−bにより製造することができる。
【0090】
化合物(Ic)は、以下の製造法3により製造することもできる。
製造法3
【0091】
【化7】

【0092】
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕
本法では、化合物(IIIa)と化合物(VII)とを、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、パラジウム触媒および塩基の存在下、不活性ガス雰囲気下で反応させることにより、化合物(IIIb)を製造することができる。本反応は、前記した製造法2と同様にして行われる。
次いで、化合物(IIIb)をニトロ基の還元反応に付すことにより、化合物(IVa)を製造することができる。本反応は、前記した製造法1−aにおける化合物(III)の還元反応と同様にして行われる。
次いで、化合物(IVa)と化合物(V)とを縮合・環化反応に付すことにより、化合物(Ic)を製造することができる。本反応は、前記した製造法1−aにおける化合物(IV)と化合物(V)の縮合・環化反応と同様にして行われる。
なお、製造法3において原料化合物として用いられる化合物(IIIa)は、自体公知の方法に従って製造することができる。
【0093】
化合物(Ig)(化合物(I)のうち、R、RおよびRが水素原子であり、かつRがカルボキシル基である化合物)は、J.Am.Chem.Soc.(ジャーナル オブ アメリカン ケミストリー ソサイエティー)125巻、5707−5716頁(2003年)に記載の方法;あるいは以下の製造法4により製造することができる。
製造法4−a
【0094】
【化8】

【0095】
〔式中、Yは置換されていてもよい炭化水素基を、その他の記号は前記と同意義を示す。〕
ここで、Yで示される「置換されていてもよい炭化水素基」としては、前記R、R、RまたはRで示される「置換基」して例示したものが挙げられる。中でもC1−6アルキル基が好ましい。
【0096】
本法では、まず、化合物(Id)(化合物(I)のうち、R、R、RおよびRが水素原子である化合物)を酸化反応に付すことにより、化合物(VIII)を製造することができる。
酸化反応は、例えば、ペルオキシド(例、過酸化水素水、過酢酸)、有機過酸(例、m−クロロ過安息香酸)等の酸化剤を用いて行われる。酸化剤の使用量は、化合物(Id)1モルに対して、通常約1モル〜5モル、好ましくは約1.5モル〜2モルである。
反応温度は、通常−20℃から50℃、好ましくは0℃から室温である。反応時間は、通常1時間から24時間である。
【0097】
次いで、化合物(VIII)とシアノ化剤とを塩基存在下で反応させることにより、化合物(Ie)を製造することができる。
「シアノ化剤」としては、例えば、トリメチルシリルシアニド、シアノリン酸ジエチル等が挙げられる。シアノ化剤の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、通常約1モル〜10モル、好ましくは約1モル〜2モルである。
「塩基」としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。塩基の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、通常約1モル〜5モル、好ましくは約2モル〜3モルである。
反応温度は、通常0℃から180℃、好ましくは室温から100℃である。反応時間は、通常1時間から24時間である。
【0098】
次いで、化合物(Ie)と化合物(IX)とを酸存在下で反応させることにより、化合物(If)を製造することができる。
「酸」としては、例えば、塩酸、硫酸等の鉱酸等が挙げられる。酸の使用量は、化合物(Ie)1モルに対して、通常約2モル〜200モル、好ましくは約5モル〜100モルである。
化合物(IX)の使用量は、化合物(Ie)1モルに対して、通常約1モル〜1000モル、好ましくは約10モル〜1000モルである。
反応温度は、通常0℃から180℃、好ましくは室温から100℃である。反応時間は、通常1時間から24時間である。
【0099】
次いで、化合物(If)を加水分解反応に付すことにより、化合物(Ig)を製造することができる。本反応は、通常、塩基または酸の存在下で行われる。
「塩基」としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(例、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム)、アルカリ土類金属水酸化物(例、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム)、アルカリ金属炭酸塩(例、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム)、アルカリ土類金属炭酸塩(例、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム)、アルカリ金属重炭酸塩(例、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム)、アルカリ金属酢酸塩(例、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム)、アルカリ土類金属リン酸塩(例、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム)、アルカリ金属水素リン酸塩(例、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二カリウム)等の無機塩基;トリアルキルアミン(例、トリメチルアミン、トリエチルアミン)、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.2]ノン−5−エン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]ノン−5−エン、1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]−7−ウンデセン等の有機塩基等が挙げられる。
酸としては、例えば、塩酸、ギ酸、臭化水素酸、硫酸等が挙げられる。
これらの塩基または酸の使用量は、化合物(If)1モルに対して、過剰量、具体的には2モル〜50モル程度が好ましい。
上記塩基を用いる場合、本反応は、通常、水または親水性有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒中で行ってもよい。親水性有機溶媒としては、アルコ−ル類(例、メタノ−ル、エタノ−ル)、ジオキサン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
反応温度は、通常0℃から180℃、好ましくは室温から100℃である。反応時間は、通常1時間から24時間である。
【0100】
なお、製造法4−aにおいて原料化合物として用いられる化合物(IX)は、自体公知の方法に従って製造することができる。また、化合物(Id)は、上記した製造法1−aまたは1−bにより製造することができる。
【0101】
前記した化合物(Ie)は、以下の製造法4−bにより製造することもできる。
製造法4−b
【0102】
【化9】

【0103】
〔式中、Xはハロゲン原子、C6−14アリールオキシ基、C1−6アルコキシ基またはC1−6アルキルチオ基を、その他の記号は前記と同意義を示す。〕
本法では、まず、化合物(VIII)と求核剤とを、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中で反応させることにより、化合物(Ih)を製造することができる。
「求核剤」としては、前記Xに対応するチオール、アルコール、ハロゲン化剤がそれぞれ挙げられる。求核剤の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、通常約0.5モル〜5モルである。
「反応に悪影響を及ぼさない溶媒」としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられる。
反応温度は、通常−20℃から150℃、好ましくは0℃から100℃である。反応時間は、通常1時間から12時間である。
【0104】
次いで、化合物(Ih)とシアノ化剤とを塩基存在下で反応させることにより、化合物(If)を製造することができる。本反応は、前記した製造法4−aにおける化合物(VIII)とシアノ化剤との反応と同様にして行われる。
【0105】
以下の製造法5により、化合物(If’)(化合物(I)のうち、Rが水素原子であり、かつR、RまたはRのいずれか1つが−COOY(Yは前記と同意義を示す)で、残りが水素原子である化合物)から、化合物(Ii)(化合物(I)のうち、Rが水素原子であり、かつR、RまたはRのいずれか1つがヒドロキシメチル基で、残りが水素原子である化合物)を製造することができる。
製造法5
【0106】
【化10】

【0107】
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕
本法では、化合物(If’)を還元反応に付すことにより、化合物(Ii)を製造することができる。還元反応は、反応に悪影響を及ぼさない溶媒中、還元剤を用いて行われる。
「反応に悪影響を及ぼさない溶媒」としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル類等が挙げられる。
「還元剤」としては、例えば、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム等が挙げられる。還元剤の使用量は、化合物(If’)1モルに対して、通常約1モル〜5モルである。
反応温度は、通常−20℃から150℃、好ましくは0℃から100℃である。反応時間は、通常1時間から12時間である。
なお、製造法5において原料化合物として用いられる化合物(If’)は、例えば、上記した製造法1−a、1−bまたは4−aにより製造することができる。
【0108】
以下の製造法6により、化合物(Ii)から、化合物(Ik)(化合物(I)のうち、Rが水素原子であり、かつR、RまたはRのいずれか1つが−CHW(Wは置換されていてもよいアミノ基を示す)で、残りが水素原子である化合物)を製造することができる。
ここで、Wで示される「置換されていてもよいアミノ基」としては、R、R、RまたはRで示される「置換されていてもよい炭化水素基」の「炭化水素基」として例示したC1−10アルキル基等が有していてもよい置換基として例示した「C1−6アルコキシ基、C6−14アリールオキシ基、カルボキシル基およびC1−6アルコキシーカルボニル基から選ばれる1ないし3個の置換基で置換されていてもよいC1−6アルキル基;C7−13アラルキル基;C1−6アルキル−カルボニル基;C1−6アルコキシ−カルボニル基;C6−14アリール−カルボニル基;C7−13アラルキル−カルボニル基;C1−6アルキル−カルバモイル基;C6−14アリール−カルバモイル基;C7−13アラルキル−カルバモイル基;C1−6アルキルスルホニル基;C6−14アリールスルホニル基;およびC7−13アラルキルスルホニル基;から選ばれる1または2個の置換基で置換されていてもよいアミノ基」が挙げられる。
製造法6
【0109】
【化11】

【0110】
〔式中、各記号は前記と同意義を示す。〕
本法では、まず、化合物(Ii)を酸化反応に付して、化合物(Ij)(化合物(I)のうち、Rが水素原子であり、かつR、RまたはRのいずれか1つが−CHOで、残りが水素原子である化合物)を製造することができる。
本反応は、通常の一級アルコールの酸化反応に従って行われる。例えば、酸化クロムと硫酸との組み合わせを用いる方法、二酸化マンガンを用いる方法等が挙げられる。
反応温度は、通常0℃から約100℃である。反応時間は、通常30分間から12時間である。
【0111】
次いで、化合物(Ij)と化合物(X)とを還元剤存在下で反応させることにより、化合物(Ik)を製造することができる。
「還元剤」としては、例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。還元剤の使用量は、化合物(Ij)1モルに対して、通常約1モル〜5モルである。
化合物(X)の使用量は、化合物(Ij)1モルに対して、通常約1モル〜10モル、好ましくは、約1モル〜2モルである。
反応温度は、通常0℃から約100℃である。反応時間は、通常30分間から12時間である。
【0112】
なお、製造法6において原料化合物として用いられる化合物(X)は、自体公知の方法に従って製造することができる。
【0113】
上記の各製造法において、原料化合物または化合物(I)が、アミノ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基またはチオール基を有する場合、これらの基にペプチド化学等で一般的に用いられるような保護基が導入されていてもよく、該保護基は各反応式の任意の工程において、通常の脱保護法により除去することができる。
また、上記の各製造法により得られる本発明化合物は、濃縮、減圧濃縮、溶媒抽出、晶出、再結晶、転溶、クロマトグラフィー等の公知の手段により単離精製することができる。また、上記の各製造法において用いられる各原料化合物は、前記と同様の公知の手段によって単離精製することができる。一方、これら原料化合物を単離することなく、そのまま反応混合物として、次の工程の原料として用いてもよい。
化合物(I)の製造に際し、原料化合物が塩を形成し得る場合には、該化合物を塩として用いてもよい。このような塩としては、例えば、化合物(I)の塩として例示したものが挙げられる。
化合物(I)が、光学異性体、立体異性体、位置異性体、回転異性体を含有する場合には、これらも化合物(I)として含有されるとともに、自体公知の合成手法、分離手法によりそれぞれを単品として得ることができる。例えば、化合物(I)に光学異性体が存在する場合には、該化合物から分割された光学異性体も本発明化合物に包含される。
化合物(I)は、結晶であってもよい。
化合物(I)の結晶(以下、本発明の結晶と略記することがある)は、化合物(I)に自体公知の結晶化法を適用して、結晶化することによって製造することができる。

本発明の結晶は、物理化学的性質(例、融点、溶解度、安定性)および生物学的性質(例、体内動態(吸収性、分布、代謝、排泄)、薬効発現)に優れ、医薬として極めて有用である。
【実施例】
【0114】
以下に参考例、実施例、試験例および製剤例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
【0115】
LC−MS測定条件
下記の参考例および実施例においてHPLC-マススペクトル(LC-MS)は以下の条件により測定した。
測定機器:マイクロマス社 ZMD、およびアジレントテクノロジー社 HP1100
カラム: CAPCELL PAK C18UG120, S-3 μm, 1.5 X 35 mm
溶媒:A液;0.05%トリフルオロ酢酸含有水、
B液;0.04%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル
グラジエントサイクル:0.00分(A液/B液=90/10), 2.00分(A液/B液=5/95), 2.75分(A液/B液=5/95), 2.76分(A液/B液=90/10), 3.45分(A液/B液=90/10)
注入量:2 μl、流速:0.5 ml/min、検出法:UV 220 nm
イオン化法:電子衝撃イオン化法 (Electron Spray Ionization: ESI)
【0116】
分取HPLC条件
下記の参考例および実施例において分取HPLCによる精製は以下の条件により行った。
機器:ギルソン社ハイスループット精製システム
カラム:YMC CombiPrep ODS-A, S-5 μm, 50 X 20 mm
溶媒:A液;0.1%トリフルオロ酢酸(あるいは0.1%ギ酸)含有水、B液;0.1%トリフルオロ酢酸(あるいは0.1%ギ酸)含有アセトニトリル
グラジエントサイクル:0.00分(A液/B液=90/10), 1.00分(A液/B液=90/10), 4.00分(A液/B液=10/95), 8.50分(A液/B液=10/95), 8.60分(A液/B液=90/10), 8.70分(A液/B液=90/10)
流速:20 ml/min、検出法:UV 220 nm
【0117】
その他の条件
1H−NMRスペクトルは、内部標準としてテトラメチルシランを用いてブルカー社製DPX300(300MHz)あるいはAV−400M(400MHz)で測定し、全δ値をppmで示した。混合溶媒において示した数値は、特に断らない限り各溶媒の容積混合比である。%は特に断らない限り重量パーセントを意味する。本明細書中における室温(常温)とは、約10℃から約35℃の温度を表す。また、マイクロ波反応装置はバイオタージ社製のエムリスオプティマイザーを使用した。
【0118】
参考例および実施例で用いる略号は、次の意義を有する。
s :シングレット
br :ブロード(幅広い)
d :ダブレット
t :トリプレット
q :クワルテット
dd :ダブルダブレット
dt :ダブルトリプレット
ddd:ダブルダブルダブレット
m :マルチプレット
J :カップリング定数
Hz :ヘルツ
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
【0119】
参考例1
5−ベンジルオキシ−2−メトキシ安息香酸
(第一工程)
2,5−ジヒドロキシ安息香酸メチルエステル(10.0g)、炭酸カリウム(12.3g)およびアセトン(100ml)の混合溶液に臭化ベンジル(7.43ml)を加え、室温で終夜攪拌した。不溶物をろ別した後、母液を濃縮し得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(LL,バイオタージカートリッジ、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:9→1:5)にて精製し、5−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル9.63g(63%)を無色結晶として得た。
(第二工程)
5−ベンジルオキシ−2−ヒドロキシ安息香酸メチルエステル(3.91g)および炭酸セシウム(6.41g)をアセトン(100ml)に懸濁させた溶液にヨウ化メチル(1.41ml)を加え、50℃で6時間攪拌した。反応液を濃縮した後酢酸エチルに再溶解させ、飽和食塩水で洗浄した。有機層を乾燥(MgSO)後、溶媒を減圧留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(バイオタージカートリッジ40+M、酢酸エチル:n−ヘキサン=15:85→1:4)にて精製し、5−ベンジルオキシ−2−メトキシ安息香酸メチルエステル3.72g(90%)を無色結晶として得た。
(第三工程)
5−ベンジルオキシ−2−メトキシ安息香酸メチルエステル(3.72g)をTHF(30ml)とメタノール(30ml)の混合溶媒に溶解させた。この混合溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液(27.3ml)を加え、室温で2日間攪拌した後、1N塩酸水溶液(40ml)を加え析出物をろ取した。これを水で洗浄し5−ベンジルオキシ−2−メトキシ安息香酸3.10g(88%)を無色結晶として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 3.75 (3 H, s), 5.08 (2 H, s), 7.05 (1 H, d, J=9.05 Hz), 7.15 (1 H, dd, J=9.05, 3.18 Hz), 7.24 (1 H, d, J=3.18 Hz), 7.28 - 7.36 (1 H, m), 7.36 - 7.42 (2 H, m), 7.42 - 7.47 (2 H, m), 12.71 (1 H, s).
【0120】
出発物質として市販のジヒドロキシ安息香酸エステルと各種のハライドを適宜選択し、参考例1の方法に準じて以下の参考例2〜8の化合物を得た。
【0121】
参考例2
5−ベンジルオキシ−2−イソプロポキシ安息香酸
M+H:287
参考例3
2,5−ジベンジルオキシ安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 5.03 (2 H, s), 5.05 (2 H, s), 6.83 - 6.89 (1 H, m), 6.89 - 6.95 (1 H, m, J=8.80 Hz), 6.98 - 7.06 (1 H, m, J=2.93 Hz), 7.23 - 7.53 (10 H, m).
【0122】
参考例4
5−(シクロプロピルメトキシ)−2−イソプロポキシ安息香酸
1H NMR (CDCl3) δ ppm 0.30 - 0.38 (2 H, m), 0.60 - 0.68 (2 H, m), 1.18 - 1.34 (1 H, m), 1.45 (5 H, d, J=6.11 Hz), 3.82 (2 H, d, J=7.09 Hz), 4.77 (1 H, ddd, J=18.10, 12.10, 5.99 Hz), 6.99 (1 H, d, J=9.05 Hz), 7.13 (1 H, dd, J=9.05, 3.18 Hz), 7.64 (1 H, d, J=3.18 Hz), 11.49 (1 H, s).
参考例5
3−ベンジルオキシ−5−イソプロポキシ安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 1.25 (6 H, d, J=6.11 Hz), 4.64 (1 H, ddd, J=17.97, 11.98, 5.99 Hz), 5.14 (2 H, s), 6.79 (1 H, t, J=2.20 Hz), 7.00 - 7.05 (1 H, m, J=1.71 Hz), 7.07 - 7.14 (1 H, m), 7.30 - 7.37 (1 H, m), 7.37 - 7.43 (2 H, m), 7.43 - 7.48 (2 H, m), 13.02 (1 H, s).
【0123】
参考例6
3−シクロヘキシルメトキシ−5−イソプロポキシ安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 0.94 - 1.12 (2 H, m), 1.12 - 1.33 (3 H, m), 1.26 (6 H, d, J=5.87 Hz), 1.57 - 1.86 (6 H, m), 3.79 (2 H, d, J=6.11 Hz), 4.55 - 4.70 (1 H, m), 6.61 - 6.70 (1 H, m), 6.97 - 7.04 (2 H, m).
参考例7
3,5−ジイソプロポキシ安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 1.26 (12 H, d, J=6.11 Hz), 4.64 (1 H, ddd, J=17.97, 11.98, 5.99 Hz), 6.67 (1 H, t, J=2.20 Hz), 6.99 (2 H, d, J=2.20 Hz), 12.98 (1 H, s).
参考例8
4−ベンジルオキシ−2−イソプロポキシ安息香酸
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 1.25 (6H, d, J=5.87 Hz), 4.66 (1H, ddd, J=18.03, 11.92, 5.99), 5.17 (2H, s), 6.64 (1H, dd, J=8.80, 2.20 Hz), 6.70 (1H, d, J=2.20 Hz), 7.30 - 7.37 (1H, m), 7.37 - 7.44 (2H, m), 7.44 - 7.50 (2H, m), 7.67 (1H, d, J=8.56 Hz), 12.06 (1H, s).
【0124】
参考例9
3−イソプロポキシ−5−(3−ピリジン−3−イルプロポキシ)安息香酸
(第一工程)
5−ヒドロキシ−3−イソプロポキシ安息香酸メチルエステル(2.0g)と3−(ピリジン−3−イル)プロパノール(1.6g)のTHF溶液(60ml)に氷冷下1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(2.9g)とトリブチルホスフィン(2.8ml)を順次加えた後、室温で終夜攪拌した。反応液にn−ヘキサン(100ml)を加え、析出した結晶をろ別した。ろ液を減圧下濃縮し残渣をカラムクロマトグラフィー(LL,バイオタージカートリッジ、酢酸エチル:n−ヘキサン=15:85→1:4)にて精製し、3−イソプロポキシ−5−(3−ピリジン−3−イルプロポキシ)安息香酸メチルエステル2.70g(86%)を無色油状物として得た。
(第二工程)
3−イソプロポキシ−5−(3−ピリジン−3−イルプロポキシ)安息香酸メチルエステル(2.70g)をTHF(30ml)とメタノール(30ml)の混合溶媒に溶解させた。この混合溶液に1N水酸化ナトリウム水溶液(25ml)を加え、室温で終夜攪拌した後、減圧下濃縮乾固した。これに1N塩酸水溶液(25ml)を加え、析出した結晶をろ取した後、水で洗浄し3−イソプロポキシ−5−(3−ピリジン−3−イルプロポキシ)安息香酸1.55g(60%)を無色結晶として得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 1.26 (6 H, d, J=6.11 Hz), 1.97 - 2.12 (2 H, m), 2.76 (2 H, t, J=7.58 Hz), 4.00 (2 H, t, J=6.24 Hz), 4.51 - 4.74 (1 H, m), 6.60 - 6.76 (1 H, m), 7.01 (2 H, s), 7.31 (1 H, dd, J=7.70, 4.77 Hz), 7.67 (1 H, d, J=7.83 Hz), 8.40 (1 H, d, J=4.65 Hz), 8.46 (1 H, s), 12.95 (1 H, s).
【0125】
参考例10
3−イソプロポキシ−5−[2−(3−チエニル)エトキシ]安息香酸
参考例9の方法に準じて標記化合物を得た。
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 1.23 (6 H, d, J=5.62 Hz), 3.02 (2 H, t, J=6.60 Hz), 4.15 (2 H, t, J=6.60 Hz), 4.47 - 4.65 (1 H, m), 6.39 - 6.59 (1 H, m), 6.97 - 7.20 (3 H, m), 7.28 (1 H, s), 7.39 - 7.51 (1 H, m).
【0126】
参考例11
6−アミノ−5−ニトロニコチン酸
濃硫酸(7.5ml)と濃硝酸(7.5ml)の混合液を氷冷下、6−アミノニコチン酸(15g)の濃硫酸(30ml)溶液に滴下した。反応混合物を室温で3時間攪拌した後、氷水に注ぎ、30分間攪拌した。析出した結晶をろ取、水洗した。得られた結晶を濃硫酸(60ml)に懸濁し、100℃で2時間攪拌した。反応混合物を水酸化ナトリウムでpH4とし、析出した結晶をろ取して、標記化合物を淡黄色結晶(7.26g、収率36%)として得た。純度94%。M+H:184。
【0127】
参考例12
エチル 6−アミノ−5−ニトロニコチナート
6−アミノ−5−ニトロニコチン酸(10g)と濃硫酸(20ml)のエタノール(250ml)溶液を18時間加熱還流した。反応混合物を濃縮し、水で希釈後、炭酸水素ナトリウムでpH8とした。析出した結晶をろ取し、水洗して、標記化合物を黄色結晶(8.5g、収率73%)として得た。純度84%。M+H:212。
【0128】
参考例13
エチル 5,6−ジアミノニコチナート
エチル 6−アミノ−5−ニトロニコチナート(5.0g)と6N塩化カルシウム水溶液(50ml)のエタノール溶液(150ml)に加熱還流下、亜鉛粉末(77g)を加えた。反応混合物を2時間加熱還流した後、亜鉛粉末をろ去した。ろ液を濃縮し、水で希釈した後酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して標記化合物を淡褐色結晶(3.85g、収率89%)として得た。
1H NMR (DMSO-d6)δ: 1.37 (3H, t, J=7.0Hz), 4.38 (2H, q, J=7.1Hz), 4.95 (2H, s), 6.28 (2H, s), 7.15 (1H, d, J=2.1Hz), 7.94 (1H, d, J=2.1Hz).
【0129】
参考例14
3−ニトロ−5−フェニルピリジン−2−アミン
5−ブロモ−3−ニトロピリジン−2−アミン(10g)、フェニルボロン酸(8.39g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(5.3g)、2N炭酸ナトリウム水溶液(100ml)およびジメトキシエタン(500ml)の混合物をアルゴン雰囲気下、5時間加熱還流した。不溶物をろ去し、ろ液を濃縮した後、水で希釈し酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗結晶をジエチルエーテルで洗浄し、標記化合物を黄色結晶(4.58g、収率46%)として得た。純度80%。M+H:216。
【0130】
参考例15
5−フェニルピリジン−2,3−ジアミン
参考例14で得た3−ニトロ−5−フェニルピリジン−2−アミンを用い、参考例13の方法に準じて、標記化合物を褐色アモルファス状粉末(収率74%)として得た。M+H:186。
1H NMR (DMSO-d6)δ: 4.81 (2H, s), 5.59 (2H, s), 7.02 (1H, d, J=1.3Hz), 7.19 - 7.51 (5H, m), 7.61 (1H, d, J=1.7Hz).
【0131】
参考例16
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン 4−オキシド
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(0.2g)とm−クロロ過安息香酸(0.15g)のクロロホルム溶液(10ml)を室温で18時間攪拌した。反応混合液を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して標記化合物を無色結晶として得た。純度80%。M+H:376。
【0132】
実施例1
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
ピリジン−2,3−ジアミン(0.6g)、5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシ安息香酸(1.31g)、1−ヒドロキシベンズトリアゾール水和物(0.93g)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1.32g)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(20ml)を室温で18時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮して淡褐色結晶を得た。得られた結晶を酢酸(2.5ml)−エタノール(2.5ml)に加え、封かん反応容器中180℃で40分間マイクロ波を照射した。反応混合物を濃縮し、析出した結晶をろ取し、エタノールで洗浄して標記化合物を無色結晶(0.53g、収率32%)として得た。融点160〜162℃。純度95%。M+H:360。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.50 (6H, d, J=6.2Hz), 4.64 - 4.85 (1H, m), 5.16 (2H, s), 6.95 - 7.56 (8H, m), 8.08 (1H, d, J=7.9Hz), 8.21 (1H, d, J=2.8Hz), 8.36 (1H, t, J=5.6Hz), 11.06 (1H, s).
【0133】
実施例1の方法に準じて以下の実施例2〜8の化合物を得た。
【0134】
実施例2
2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
無色結晶(収率19%)。融点136〜137℃。純度93%。M+H:360。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.40 (6H, d, J=6.0Hz), 4.51 - 4.81 (1H, m), 5.17 (2H, s), 6.72 (1H, t, J=2.2Hz), 7.02 - 7.64 (8H, m), 8.17 (1H, d, J=7.9Hz), 8.60 (1H, dd, J=5.0, 1.2Hz)。
実施例3
2−{3−イソプロポキシ−5−[2−(3−チエニル)エトキシ]フェニル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
無色結晶(収率20%)。融点82〜83℃。純度99%。M+H:380。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.40 (6H, d, J=6.2Hz), 3.19 (2H, t, J=6.7Hz), 4.30 (2H, t, J=6.7Hz), 4.56 - 4.84 (1H, m), 6.64 (1H, t, J=2.2Hz), 7.07 (1H, dd, J=4.9, 1.1Hz), 7.13 (1H, d, J=1.9Hz), 7.24 - 7.32 (2H, m), 7.43 (2H, dd, J=7.2, 1.9Hz), 8.17 (1H, dd, J=8.0, 1.2Hz), 8.54 (1H, dd, J=5.0, 1.2Hz).
【0135】
実施例4
2−[3−イソプロポキシ−5−(3−ピリジン−3−イルプロポキシ)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
無色結晶(収率19%)。融点110〜112℃。純度99%。M+H:389。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.41 (6H, d, J=6.2Hz), 2.00 - 2.37 (2H, m), 2.88 (2H, t, J=7.6Hz), 4.09 (2H, t, J=6.0Hz), 4.54 - 4.91 (1H, m), 6.62 (1H, t, J=2.1Hz), 7.12-7.37 (2H, m), 7.40 - 7.47 (2H, m), 7.56 (1H, d, J=7.9Hz), 8.17 (1H, dd, J=8.0, 1.2Hz), 8.48 (1H, dd, J=4.8, 1.4Hz), 8.54 (1H, d, J=1.9Hz), 8.58(1H, dd, J=4.9, 1.1Hz).
【0136】
実施例5
2−(5−(ベンジルオキシ)−2−メトキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
1H NMR (DMSO-d6) δ ppm 3.19 (3 H, s), 4.35 and 4.39 (2 H, each s), 7.32 - 7.43 (1 H, m), 7.44 - 7.54 (2 H, m), 7.58 - 7.68 (2 H, m), 7.72 (2 H, d, J=7.09 Hz), 7.90 (1 H, dd, J=8.07, 2.45 Hz), 8.06 and 8.19 (1 H, each d, J=1.96 Hz), 8.55 and 8.64 (1 H, each d, J=1.96 Hz), 12.76 and 13.10 (1 H, each s).
実施例6
6−ブロモ−2−(4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
1H NMR (CDCl3) δ ppm 1.47 (5 H, d, J=6.0 Hz), 2.10 (2 H, s), 4.77 (1 H, sept, J=6.0 Hz), 4.84 (1 H, s), 5.13 (2 H, s), 6.61 (1 H, d, J=2.1 Hz), 6.73 (1 H, dd, J=8.9, 2.2 Hz), 7.34 - 7.47 (4 H, m), 8.00 (1 H, dd, J=11.6, 2.2 Hz), 8.24 (1 H, d, J=8.9 Hz), 9.67 (1 H, s).
【0137】
実施例7
6−ブロモ−2−(3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
1H NMR (CDCl3) δ ppm 1.43 (6 H, d, J=6.03 Hz), 4.62 - 4.74 (1 H, m), 5.17 (2 H, s), 6.73 (1 H, t, J=2.17 Hz), 7.35 - 7.46 (5 H, m), 7.48 - 7.52 (2 H, m), 8.28 (1 H, d, J=1.51 Hz), 8.65 (1 H, d, J=2.07 Hz), 13.66 (1 H, s).
実施例8
6−ブロモ−2−(2,5−ジベンジルオキシ)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
1H NMR (CDCl3) δ ppm 5.14 (2 H, s), 5.36 (2 H, s), 6.92 - 7.15 (2 H, m), 7.28 - 7.56 (10 H, m), 8.17 (1 H, s), 8.23 (1 H, s), 8.34 (1 H, s), 11.64 (1 H, s).
【0138】
実施例9
エチル 2−(2,5−ジイソプロポキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート・トリフルオロ酢酸塩
エチル 5,6−ジアミノニコチナート(50mg)、2,5−ジイソプロポキシ安息香酸(80mg)、1−ヒドロキシベンズトリアゾール水和物(80mg)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(55mg)のN,N−ジメチルホルムアミド溶液(2ml)を室温で18時間攪拌した。反応混合物を水で希釈し、ジクロロメタンを加えて攪拌した。有機層をPTFEチューブ(ポリテトラフルオロエチレン膜加工チューブ)に通した後、窒素雰囲気下溶媒を留去した。生成物を酢酸(1.5ml)−エタノール(1.5ml)に加え、封かん反応容器中180℃で40分間マイクロ波を照射した。反応混合物を濃縮し、残渣を分取HPLCで精製して標記化合物を無色結晶(9.6mg、収率7%)として得た。純度89%。M+H:384。
1H NMR(DMSO-d6)δ: 1.30 (6H, d, J=6.0Hz), 1.35 - 1.42 (9H, m), 4.38 (2H, q, J=7.1Hz), 4.56 - 4.64 (1H, m), 4.68 - 4.76 (1H, m), 7.12 (1H, dd, J=9.0, 3.2Hz), 7.23 (1H, d, J=9.2Hz), 7.76 (1H, d, J=3.2Hz), 8.59 (1H, d, J=2.1Hz),8.97 (1H, d, J=2.1Hz).
【0139】
実施例9の方法に準じて、以下に示す実施例10〜18および29〜37の化合物を得た。但し、目的物がトリフルオロ酢酸塩ではない実施例においては、反応終了後に析出する結晶をろ取することにより目的物を得た。
【0140】
実施例23
2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸
エチル 2−(2,5−ジイソプロポキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート(40mg)と1N水酸化ナトリウム水溶液(1ml)のエタノール(2ml)溶液を室温で48時間攪拌した。反応混合物を1Nクエン酸でpH4とし、析出した結晶をろ取し、水およびエタノールで洗浄して標記化合物を無色結晶(27mg)として得た。純度94%。M+H:404。
1H NMR(DMSO-d6)δ: 1.32 (6H, d, J=6.0Hz), 4.70 - 4.78 (1H, m), 5.21 (2H, s), 6.75 (1H, s), 7.32 - 7.53 (8H, m), 8.44 (1H, s), 8.92 (1H, s).
【0141】
実施例23の方法に準じて、以下に示す実施例19〜22および24〜28の化合物を得た。但し、目的物がトリフルオロ酢酸塩である実施例においては、クエン酸による中和工程の後、残渣を分取HPLCで精製することにより目的物を得た。
【0142】
実施例10
エチル 2−[2,4−ビス(ベンジルオキシ)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート・トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度87%。m/e(M+1):480。
実施例11
エチル 2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート・トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度93%。m/e(M+1):432。
実施例12
エチル 2−(2,4−ジイソプロポキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート・トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度89%。m/e(M+1):384。
実施例13
エチル 2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート
HPLC純度91%。m/e(M+1):432。
【0143】
実施例14
エチル 2−(3,5−ジイソプロポキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート
HPLC純度88%。m/e(M+1):384。
実施例15
エチル 2−[3−(シクロヘキシルメトキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート
HPLC純度85%。m/e(M+1):438。
実施例16
エチル 2−{3−イソプロポキシ−5−[2−(3−チエニル)エトキシ]フェニル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート
HPLC純度85%。m/e(M+1):452。
実施例17
エチル 2−[3−イソプロポキシ−5−(3−ピリジン−3−イルプロポキシ)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート・2トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度91%。m/e(M+1):461。
実施例18
エチル 2−[3,5−ビス(ベンジルオキシ)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート
HPLC純度86%。m/e(M+1):480。
【0144】
実施例19
2−(2,5−ジイソプロポキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸
HPLC純度96%。m/e(M+1):356。
実施例20
2−[2,4−ビス(ベンジルオキシ)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸・トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度95%。m/e(M+1):452。
実施例21
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸
HPLC純度88%。m/e(M+1):404。
実施例22
2−(2,4−ジイソプロポキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸
HPLC純度86%。m/e(M+1):356。
【0145】
実施例24
2−(3,5−ジイソプロポキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸
HPLC純度96%。m/e(M+1):356。
実施例25
2−[3−(シクロヘキシルメトキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸
HPLC純度95%。m/e(M+1):410。
実施例26
2−{3−イソプロポキシ−5−[2−(3−チエニル)エトキシ]フェニル}−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸
HPLC純度95%。m/e(M+1):424。
実施例27
2−[3−イソプロポキシ−5−(3−ピリジン−3−イルプロポキシ)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸・2トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度99%。m/e(M+1):433。
実施例28
2−[3,5−ビス(ベンジルオキシ)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸
HPLC純度97%。m/e(M+1):452。
【0146】
実施例29
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン・トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度93%。m/e(M+1):436。
実施例30
2−(2,5−ジイソプロポキシフェニル)−6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン・トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度99%。m/e(M+1):388。
実施例31
2−[2,4−ビス(ベンジルオキシ)フェニル]−6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン・トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度93%。m/e(M+1):484。
実施例32
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン・トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度91%。m/e(M+1):436。
実施例33
2−(2,4−ジイソプロポキシフェニル)−6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン・トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度90%。m/e(M+1):388。
【0147】
実施例34
2−[3−(シクロヘキシルメトキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度92%。m/e(M+1):442。
実施例35
2−{3−イソプロポキシ−5−[2−(3−チエニル)エトキシ]フェニル}−6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度97%。m/e(M+1):456。
実施例36
2−[3−イソプロポキシ−5−(3−ピリジン−3−イルプロポキシ)フェニル]−6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン・2トリフルオロ酢酸塩
HPLC純度96%。m/e(M+1):465。
実施例37
2−[3,5−ビス(ベンジルオキシ)フェニル]−6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度89%。m/e(M+1):484。
【0148】
実施例38
2−(3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル)−6−フェニル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
2−(3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル)−6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(0.11g)、フェニルボロン酸(0.05g)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.01g)のジメトキシエタン(3.0ml)とエタノール(1ml)の混合溶媒に0.5M炭酸ナトリウム水溶液(1ml)を加え、封かん反応容器中、マイクロ波を照射し150℃で4分間攪拌した。反応終了後、反応液に水(2ml)を加えた後、酢酸エチル(10ml)で抽出した。抽出液を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧下濃縮し得られた結晶をろ取し、イソプロピルエーテルで洗浄、乾燥し、標記化合物(0.11g)を得た。
1H NMR (CDCl3) δ ppm 1.33 (6 H, d, J=6.03 Hz), 4.59 - 4.71 (1 H, m), 5.19 (2 H, s), 6.70 (1 H, t, J=1.88 Hz), 7.35 - 7.50 (9 H, m), 7.58 (1 H, s), 7.70 (2 H, d, J=6.97 Hz), 8.37 (1 H, d, J=1.70 Hz), 8.86 (1 H, d, J=1.70 Hz), 14.11 (1 H, s).
【0149】
実施例39
2−[2,5−ビス(ベンジルオキシ)フェニル]−6−ピリジン−3−イル−3H−イミダゾ[4、5−b]ピリジン
後述の実施例40の方法に準じて、標記化合物を無色粉末(収率40%)として得た。
1H NMR (CDCl3) δ ppm 5.17 (2 H, s), 5.32 (2 H, s), 7.09 (2 H, s), 7.32 - 7.38 (1 H, m), 7.37 - 7.55 (10 H, m), 7.86 - 7.99 (1 H, m), 8.25 (2 H, s), 8.50 - 8.59 (1 H, m), 8.60 - 8.70 (1 H, m), 8.91 (1 H, s), 11.05 (1 H, s).
【0150】
実施例40
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−ピリジン−3−イル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
2−(5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル)−6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(0.06mmol)、ピリジン−3−ボロン酸(0.09mmol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.3μmol)のジメトキシエタン(1.0ml)とエタノール(0.3ml)の混合溶媒に0.5M炭酸ナトリウム水溶液(0.12ml)を加え、封かん反応容器中、マイクロ波を照射し150℃で4分間攪拌した。反応終了後、反応液に水(2ml)、酢酸エチル(2ml)を加えしばらく攪拌した。有機層をPTFEチューブ(ポリテトラフルオロエチレン膜加工チューブ)に通して、目的化合物を含む溶液を得た。減圧下溶媒を留去した後、残渣を分取HPLCで精製することにより、標記化合物を得た(9.5mg、LC−MS純度98%)。
【0151】
実施例40の方法に準じて、以下に示す実施例41〜73の化合物を得た。
【0152】
実施例41
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(4−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度99%。m/e(M+1):455。
実施例42
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度91%。m/e(M+1):467。
実施例43
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(4−クロロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度98%。m/e(M+1):471。
実施例44
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(2−クロロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度97%。m/e(M+1):471。
実施例45
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(2,4−ジメトキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度99%。m/e(M+1):497。
【0153】
実施例46
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度97%。m/e(M+1):505。
実施例47
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(2−メチルフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度97%。m/e(M+1):451。
実施例48
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(2−メトキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度100%。m/e(M+1):467。
実施例49
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度99%。m/e(M+1):505。
実施例50
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(4−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度97%。m/e(M+1):455。
【0154】
実施例51
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度97%。m/e(M+1):467。
実施例52
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(4−クロロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度100%。m/e(M+1):471。
実施例53
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(2−クロロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度100%。m/e(M+1):471。
実施例54
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(2,4−ジメトキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度99%。m/e(M+1):497。
実施例55
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度96%。m/e(M+1):505。
【0155】
実施例56
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(2−メチルフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度99%。m/e(M+1):451。
実施例57
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(2−メトキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度99%。m/e(M+1):467。
実施例58
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度96%。m/e(M+1):505。
実施例59
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(2,6−ジメチルフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度99%。m/e(M+1):465。
実施例60
2−{2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}フェノール
HPLC純度99%。m/e(M+1):453。
【0156】
実施例61
2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−6−ピリジン−3−イル−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度97%。m/e(M+1):437。
実施例62
2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度94%。m/e(M+1):466。
実施例63
2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−6−(2−クロロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度92%。m/e(M+1):470。
実施例64
2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−6−(2,4−ジメトキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度88%。m/e(M+1):496。
実施例65
2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−6−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度93%。m/e(M+1):504。
【0157】
実施例66
2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−6−(2−メチルフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度97%。m/e(M+1):450。
実施例67
2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−6−(2−メトキシフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度100%。m/e(M+1):466。
実施例68
2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−6−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度86%。m/e(M+1):504。
実施例69
2−{2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}フェノール
HPLC純度95%。m/e(M+1):452。
実施例70
2−[3−(ベンジルオキシ)−5−イソプロポキシフェニル]−6−(3−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度99%。m/e(M+1):454。
【0158】
実施例71
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(3−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度98%。m/e(M+1):454。
実施例72
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(2−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度98%。m/e(M+1):454。
実施例73
2−[4−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−6−(3−フルオロフェニル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
HPLC純度91%。m/e(M+1):454。
【0159】
実施例74
エチル 2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート
実施例1の方法に準じて、標記化合物を無色結晶(収率25%)として得た。融点138〜140℃。純度90%。M+H:432。
【0160】
実施例75
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボン酸
エチル 2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート(0.14g)と1N水酸化ナトリウム水溶液(6.5ml)のエタノール(10ml)溶液を室温で18時間攪拌した。反応混合物を1N塩酸でpH4とし、析出した結晶をろ取し、水およびエタノールで洗浄して標記化合物を無色結晶(0.12g、収率93%)として得た。純度96%。M+H:404。
1H NMR(DMSO-d6)δ: 1.35 (6H, d, J=6.0Hz), 4.70 - 4.78 (1H, m), 5.19 (2H, s), 7.35 - 7.53 (8H, m), 8.44 (1H, s), 8.92 (1H, s).
【0161】
実施例76
{2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}メタノール
エチル 2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルボキシラート(0.36g)のテトラヒドロフラン(5ml)に氷冷下、水素化リチウムアルミニウム(48mg)を加え、反応混合物を室温で3時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗結晶をジエチルエーテルで洗浄し標記化合物を無色結晶(0.12g、収率37%)として得た。融点167〜168℃。純度98%。M+H:390。
【0162】
実施例77
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルバルデヒド
{2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}メタノール(1.0g)のジクロロメタン(50ml)溶液に過酸化マンガン(2.3g)を加えて、室温で8時間攪拌した。不溶物をろ去し、ろ液を濃縮した。得られた粗結晶をジエチルエーテルで洗浄し標記化合物を無色結晶(0.70g、収率69%)として得た。融点170〜171℃。純度87%。M+H:388。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.52 (6H, d, J=6.0Hz), 4.76 - 4.85 (1H, m), 5.17 (2H, s), 7.03 - 7.07 (1H, m), 7.11 - 7.16 (1H, m), 7.31 - 7.52 (5H, m), 8.20 (1H, d, J=3.2Hz), 8.53 (1H, s), 8.88 (1H, d, J=1.5Hz), 10.19 (1H, s).
【0163】
実施例78
N−({2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}メチル)−2−メチルプロパン−1−アミン
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−カルバルデヒド(50mg)と2−メチルプロパン−1−アミン(14mg)の10%酢酸−ジクロロメタン(2ml)溶液を室温で20分間攪拌した。トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(55mg)を加え、室温で18時間攪拌した。反応混合物に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を水洗後濃縮し、残渣を分取HPLCで精製した。得られた画分に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、ジクロロメタンで抽出した。抽出液を濃縮し、標記化合物を無色結晶(32mg、収率56%)として得た。融点101〜103℃。純度97%。M+H:445。
1H NMR(CDCl3)δ: 0.92 (6H, dd, J=6.6, 1.7Hz), 1.49 (6H, dd, J=5.9, 1.6Hz), 1.70 - 1.85 (1H, m), 2.50 (2H, d, J=6.8Hz), 3.97 (2H, s), 4.71 - 4.78 (1H, m), 5.15 (2H, s), 6.98 - 7.08 (2H, m), 7.31 - 7.50 (5H, m), 8.05 (1H, s), 8.18 (1H, s), 8.33 (1H, s).
【0164】
実施例78の方法に準じて、以下の実施例79〜82の化合物を得た。
【0165】
実施例79
N−ベンジル−1−{2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}メタンアミン
無色結晶(収率52%)。融点92〜94℃。純度99%。M+H:479。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.50 (6H, d, J=6.0Hz), 3.85 (2H, s), 3.97 (2H, s), 4.72 - 4.80 (1H, m), 5.17 (2H, s), 7.00 - 7.11 (2H, m), 7.32 - 7.50 (10H,m), 8.08 (1H, s), 8.20 (1H, d, J=3.0Hz), 8.35 (1H, d, J=1.7Hz).
【0166】
実施例80
N−({2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}メチル)−2−フェノキシエタンアミン
無色結晶(収率37%)。融点67〜68℃。純度91%。M+H:509。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.50 (6H, d, J=6.0Hz), 3.06 (2H, t, J=5.0Hz), 4.04 (2H, s), 4.11 (2H, d, J=5.0Hz), 4.72 - 4.80 (1H, m), 5.17 (2H, s), 6.89 - 7.11 (2H, m), 7.27 - 7.50 (7H, m), 8.07 (1H, s), 8.20 (1H, d, J=3.0Hz), 8.36 (1H, s).
【0167】
実施例81
N−({2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}メチル)−2−メトキシエタンアミン
無色結晶(収率30%)。融点80〜81℃。純度99%。M+H:447。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.50 (6H, d, J=6.0Hz), 2.83 - 2.86 (2H, m), 3.36 (3H, s), 3.51 - 3.55 (2H, m), 3.98 (2H, s), 4.74 - 4.79 (1H, m), 5.17 (2H, s), 7.00 - 7.10 (2H, m), 7.32 - 7.50 (5H, m), 8.05 (1H, s), 8.20 (1H, d, J=3.0Hz),8.34 (1H, s).
【0168】
実施例82
メチル N−({2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}メチル)グリシナート
無色結晶(収率32%)。融点69〜71℃。純度99%。M+H:461。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.50 (6H, d, J=6.0Hz), 3.46 (2H, s), 3.75 (3H, m), 3.98 (2H, s), 4.72 - 4.80 (1H, m), 5.17 (2H, s), 6.99 - 7.12 (2H, m), 7.29 - 7.51 (5H, m), 8.05 (1H, s), 8.19 (1H, d, J=3.0Hz), 8.34 (1H, s).
【0169】
実施例83
N−({2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}メチル)グリシン
メチル N−({2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−6−イル}メチル)グリシナート(15mg)と1N水酸化ナトリウム水溶液(0.1ml)のメタノール(2ml)溶液を室温で18時間攪拌した。反応混合物を1Nクエン酸水溶液でpH4とした。析出した結晶をろ取し、ジエチルエーテルで洗浄して標記化合物を無色結晶(9.7mg、収率66%)として得た。融点182〜184℃。純度86%。M+H:447。
1H NMR(DMSO-d6)δ: 1.48 (6H, d, J=6.0Hz), 3.46 (2H, s), 3.98 (2H, s), 4.72 - 4.80 (1H, m), 5.17 (2H, s), 6.99 - 7.12 (2H, m), 7.29 - 7.51 (5H, m), 8.05 (1H, s), 8.19 (1H, s), 8.34 (1H, s).
【0170】
実施例84
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−カルボニトリル
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン 4−オキシド、トリエチルアミン(0.11g)およびトリメチルシリルシアニド(0.22g)のアセトニトリル溶液(10ml)を5時間加熱還流した。反応混合物を水で希釈し、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗結晶をジエチルエーテルで洗浄して、標記化合物を無色結晶(0.15g、収率69%)として得た。融点214〜215℃。純度93%。M+H:385。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.53 (6H, d, J=6.0Hz), 4.77 - 4.85 (1H, m), 5.16 (2H, s), 7.06 (1H, d, J=9.0Hz), 7.12 - 7.18 (1H, m), 7.32 - 7.50 (5H, m), 7.66 (1H, d, J=8.1Hz), 8.12 (1H, d, J=8.1Hz), 8.20 (1H, d, J=3.0Hz).
【0171】
実施例85
メチル 2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−カルボキシラート
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−カルボニトリル(60mg)の塩酸−メタノール(5ml)溶液を6時間加熱還流した。反応混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液でpH8とし、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗、硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮した。得られた粗結晶をメタノールで洗浄して、標記化合物を無色結晶(40mg、収率61%)として得た。純度95%。M+H:418。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.50 (6H, d, J=6.2Hz), 4.06 (3H, s), 4.75 - 4.82 (1H, m), 5.17 (2H, s), 7.02 - 7.07 (1H, m), 7.10 - 7.15 (1H, m), 7.31 - 7.50 (5H, m), 8.12 - 8.22 (3H, m), 11.17 (1H, s).
【0172】
実施例86
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−カルボン酸
メチル 2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−カルボキシラート(35mg)と1N水酸化ナトリウム水溶液(0.2ml)のメタノール溶液(2ml)を室温で18時間攪拌した。反応混合物を1N塩酸でpH3とし、析出した結晶をろ取し、アセトニトリルで洗浄して、標記化合物を無色結晶(22mg、収率64%)として得た。純度98%。M+H:404。
1H NMR(DMSO-d6)δ: 1.37 (6H, d, J=5.0Hz), 4.67 - 4.72 (1H, m), 5.17 (2H, s), 7.16 - 7.52 (7H, m), 7.73 - 8.13 (3H, m).
【0173】
実施例87
{2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル}メタノール
メチル 2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−カルボキシラート(0.45g)のテトラヒドロフラン(10ml)に氷冷下、水素化アルミニウムリチウム(82mg)を加えた。反応混合物を室温で1時間攪拌した後、水を加えた。不溶物をろ去し、ろ液を濃縮して、標記化合物を無色結晶(0.26g、収率61%)として得た。融点167〜168℃。純度99%。M+H:390。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.52 (6H, d, J=6.0 Hz), 4.74 - 4.82 (1H, m), 5.16 (2H, s), 7.00 - 7.50 (8H, m), 8.06 (1H, d, J=8.1Hz), 8.19 (1H, d, J=3.0Hz).
【0174】
実施例88
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−5−(クロロメチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
{2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル}メタノール(0.11g)と塩化チオニル(0.1g)のクロロホルム(10ml)溶液を3時間加熱還流した。反応混合物を濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮して標記化合物を無色結晶(0.11g、収率96%)として得た。純度85%。M+H:408。
1H NMR(CDCl3)δ: 1.51 (6H, d, J=6.0Hz), 3.97 - 4.15 (2H, m), 4.72 - 4.81 (1H, m), 5.16 (2H, s), 7.00 - 7.06 (1H, m), 7.07 - 7.12 (1H, m), 7.31 - 7.51 (6H, m), 8.07 (1H, d, J=7.9Hz), 8.20 (1H, s).
【0175】
実施例89
{2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル}アセトニトリル
2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−5−(クロロメチル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン(0.11g)とシアン化カリウム(30mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(5ml)溶液を60℃で16時間攪拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮した。残渣を分取HPLCで精製し、得られた画分に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後ジクロロメタンで抽出した。抽出液を濃縮して、標記化合物を無色結晶(56mg、収率52%)として得た。純度90%。M+H:399。
【0176】
実施例90
メチル {2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル}アセタート
{2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル}アセトニトリル(50mg)と塩酸−メタノール(5ml)の混合物を16時間加熱還流した。反応混合物を濃縮し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。抽出液を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮して、標記化合物を無色結晶(28mg、収率50%)として得た。純度80%。M+H:432。
【0177】
実施例91
{2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル}酢酸
メチル {2−[5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル]−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−イル}アセタート(25mg)と1N水酸化ナトリウム(0.5ml)のメタノール(5ml)を室温で18時間攪拌した。反応混合物を1Nクエン酸でpH4として、析出した結晶をろ取し、ジチルエーテルで洗浄し標記化合物を無色結晶(14mg、収率51%)として得た。純度96%。M+H:418。
1H NMR(CD3OD)δ: 1.45 (6H, d, J=6.0Hz), 4.06 (2H, s), 4.78 - 4.83 (1H, m), 5.16 (2H, s), 7.28 - 7.58 (8H, m), 7.84 (1H, d, J=2.8Hz), 8.28 (1H, d, J=8.3Hz).
【0178】
実施例92
2−(5−(ベンジルオキシ)−2−イソプロポキシフェニル)−6−ブロモ−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン
実施例1の方法に準じて標記化合物を得た。
1H NMR(CD3OD)δ: 1.50 (6 H, d, J=6.11 Hz) 4.70 - 4.83 (1 H, m) 5.16 (2 H, s) 6.98 - 7.06 (1 H, m) 7.07 - 7.14 (1 H, m) 7.30 - 7.37 (1 H, m) 7.37 - 7.44 (2 H, m) 7.44 - 7.51 (2 H, m) 8.16 (1 H, d, J=2.93 Hz) 8.20 (1 H, d, J=1.71 Hz) 8.39 (1 H, d, J=1.96 Hz) 11.13 (1 H, s).
【0179】
上記参考例1〜16および実施例1〜92で製造した化合物の構造式を以下の表1〜4に示す。
【0180】
【表1−1】

【0181】
【表1−2】

【0182】
【表2−1】

【0183】
【表2−2】

【0184】
【表2−3】

【0185】
【表2−4】

【0186】
【表2−5】

【0187】
【表2−6】

【0188】
【表2−7】

【0189】
【表3−1】

【0190】
【表3−2】

【0191】
【表3−3】

【0192】
【表3−4】

【0193】
【表3−5】

【0194】
【表3−6】

【0195】
【表3−7】

【0196】
【表3−8】

【0197】
【表4−1】

【0198】
【表4−2】

【0199】
【表4−3】

【0200】
【表4−4】

【0201】
参考例1A グルコキナーゼ(GK)発現ベクターの構築
ヒト肝臓型GKのアミノ末端にGST(Glutathione S-transferase)を付加したタンパク質(GST-hLGK1)を大腸菌で発現させるためのプラスミドDNAを以下のように作製した。
まず、ヒト肝臓cDNA(クローンテック社Marathon Ready cDNA)を鋳型として、2種類の合成DNA(5’-CAGCTCTCCATCCAAGCAGCCGTTGCT-3’および5’- GGCGGCCTGGGTCCTGACAAG-3’)を用いてPCRを行い、得られたDNA断片をTOPO TA Cloning Kit(インビトロジェン社)を用いてクローニングした。得られるプラスミドDNAを鋳型として、開始コドンの直前にBamHI siteを付加した合成DNA (5’-GGATCCATGCCCAGACCAAGATCCCAACTCCCACAACCCAACTCCCAGGTAGAGCAGATCCTGGCAGAG-3’)および終止コドンの直後にEcoRI siteを付加した合成DNA (5’-GAATTCCTGGCCCAGCATACAGGC-3’)を用いてPCRを行った。得られたDNA断片を、BamHIとEcoRIで切断したpGEX6P-2(アマシャムバイオサイエンス社)にサブクローニングし、ヒト肝GK発現用プラスミド(pGEX6P-2/hLGK1)を得た。
【0202】
参考例2A GST-hLGK1の発現と精製
参考例1Aで得たpGEX6P-2/hLGK1を用いて形質転換したBL21株(ストラッタジーン社)を、100μg/mlアンピシリン含有LB培地50mlが入った200ml三角フラスコ中で、37℃で14時間振とう培養した。培養液25mlを100μg/mlアンピシリン含有LB培地225mlで希釈し、1L三角フラスコ中、37℃でさらに1時間振とう培養した。培養後の三角フラスコを氷上で冷却後、100mMのIsopropyl-Thio-β-D-Galactopyranoside(IPTG)125μLを添加し(終濃度50μM)、17℃で20時間培養した。培養液を遠心後、得られる菌体を超音波破砕し、上清からGlutathione Sepharose 4B(アマシャムバイオサイエンス社)を用いて目的とするタンパク(GST-hLGK1)を精製した。
【0203】
試験例 GK活性化値の測定
384穴黒色プレート(ナルジェヌンク社)の各ウェルに試験化合物の50%ジメチルスルホキシド溶液5μLを添加した。次いで、各ウェルに、参考例2Aで得たGST-hLGK1を測定用緩衝液(50mM HEPES(pH7.4)、200mM KCl、5mM MgCl2、2.5mM DTTおよび50μM 2'-(or-3')-O-(N-methylanthraniloyl)adenosine 5'-triphosphate (Mant-ATP)(ジェナバイオサイエンス社)を含有)で6μg/mLとなるように希釈した液35μLを添加した。
各ウェルを37℃で10分間静置後、25mM D-glucose溶液10μLを添加することにより反応を開始した。
反応開始後の各ウェルを37℃で60分間静置後、反応停止液(200mM HEPES (pH7.4)、20mMMgCl2、200mM EDTA、 0.03% Triton-X 100、0.3% Coating 3 reagent (キャリパーライフサイエンス社)を含有)25μLを添加することにより反応を停止した。
反応停止後の各ウェルから、基質であるMant-ATPおよび反応生成物であるMant-ADPをマイクロチップ型キャピラリー電気泳動装置250HTS (キャリパーライフサイエンス社)により分離した。蛍光検出(励起波長355nm、測定波長460nm)された基質ピーク高および反応生成物ピーク高の比から反応率[(反応生成物のピーク高)/(反応生成物のピーク高+基質のピーク高)×100(%)]を算出し、GK活性の指標とした。
対照群として、「試験化合物の50%ジメチルスルホキシド溶液」の代わりに「50%ジメチルスルホキシド溶液」を用いる以外は前記と同様にして、反応率を算出した。
試験化合物を添加したウェル(試験化合物添加群)の反応率から50%ジメチルスルホキシド溶液のみを添加したウェル(対照群)の反応率を除した百分率を試験化合物のGK活性化値とし、該活性値の最大値の50%を活性化するのに必要な試験化合物濃度をEC50値として表した。結果を表5に示す。
【0204】
[表5]

試験化合物 EC50
(実施例番号) (μM)
2 0.13
3 0.15
4 1.6
5 2.1
40 0.44
45 0.28
47 0.40
48 0.24
50 0.29
51 0.25
61 1.1
72 0.20
73 0.15
76 0.73
80 0.82
82 3.7
【0205】
製剤例1(カプセルの製造)
1)実施例1の化合物 30 mg
2)微粉末セルロース 10 mg
3)乳糖 19 mg
4)ステアリン酸マグネシウム 1 mg
計 60 mg
1)、2)、3)および4)を混合して、ゼラチンカプセルに充填する。
【0206】
製剤例2(錠剤の製造)
1)実施例1の化合物 30 g
2)乳糖 50 g
3)トウモロコシデンプン 15 g
4)カルボキシメチルセルロースカルシウム 44 g
5)ステアリン酸マグネシウム 1 g
1000錠 計 140 g
1)、2)、3)の全量および30gの4)を水で練合し、真空乾燥後、整粒を行う。この整粒末に14gの4)および1gの5)を混合し、打錠機により打錠する。このようにして、1錠あたり実施例1の化合物30mgを含有する錠剤1000錠を得る。
【産業上の利用可能性】
【0207】
本発明のグルコキナーゼ活性化剤は、優れた活性を有し、糖尿病、肥満等の予防・治療剤等の医薬として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


[式中、
環Aは置換されていてもよいフェニル基を;
、R、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を示す]
で表される化合物、その塩またはそのプロドラッグを含有してなるグルコキナーゼ活性化剤。
【請求項2】
式(II):
【化2】


[式中、
、R、RおよびRは同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を;
およびRは同一または異なって、それぞれ置換されていてもよいC1−6アルキル基(但し、該アルキル基がC1−2アルキル基の場合、該C1−2アルキル基は置換されていてもよい環状基で置換されている)を示す]
で表される化合物またはその塩。
【請求項3】
請求項2記載の化合物またはそのプロドラッグ。
【請求項4】
請求項2記載の化合物またはそのプロドラッグを含有してなる医薬。

【公開番号】特開2007−63225(P2007−63225A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254194(P2005−254194)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000002934)武田薬品工業株式会社 (396)
【Fターム(参考)】