説明

イミドアルカンペルカルボン酸の水性調合物

水性分散液の形状におけるイミドアルカンペルカルボン酸の液体調合物であって、組成物の全質量に対する質量%で:A)7%〜40%及び好ましくは10%〜20%の一般式(I)を有するイミドアルカンペルカルボン酸、前記イミドアルカンペルカルボン酸はβ形状であり、及び99%の理論量に等しい溶解した酸の量に対し、40℃で決定されるときは5分以下又は18℃で決定されるときは15分以下の、40℃又は18℃の温度における溶解速度の試験によって決定される成分A)の溶解時間を有する;B)0.001%〜0.9%の非イオン性界面活性剤を含む、調合物;前記分散液は、20s-1の剪断速度を適用することにより、25℃の温度で2000mPa.秒以下の粘度を有し;40℃又は18℃の温度における溶解速度の試験によって決定される成分A)の溶解時間は、溶解速度の試験で定義されたように、99%の理論量に等しい溶解した酸の量に対し、40℃で決定されるときは5分以下又は18℃で決定されるときは15分以下であり;40℃における7日間の安定性試験における前記分散液は、300mPa.秒以下の粘度の変化を示し;前記水性調合物は、非イオン性界面活性剤から選択される界面活性剤の存在下で、過剰量の水に分散されているα形状のイミドアルカンペルカルボン酸の結晶を粉砕し;30℃以下の温度まで液体分散液を冷却することによって得ることのできる。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、α結晶形状におけるイミドアルカンペルカルボン酸の濃縮調合物を加熱することによって得ることができる、β結晶形状におけるイミドアルカンペルカルボン酸の濃縮水性調合物に関し、前記水性調合物は、以下の特性:20s-1の剪断速度を適用することにより、25℃の温度で2000mPa.秒よりも少ない粘度;物理的安定性の維持、すなわち、前記調合物が40℃で7日間の促進老化試験に付されたとき、300mPa.秒以下、好ましくは150mPa.秒よりも少なく及びよりさらに好ましくは100mPa.秒よりも少ない粘度の変化;化学的安定性の維持、すなわち、前記調合物が上記のように促進老化試験に付されるとき、最初の値に対して、2%以下及び好ましくは1%以下の過酸化物酸素含有率の損失;イミドアルカンペルカルボン酸の溶解時間が減少するのに加え、改善された漂白及び消毒効力を有する。
【0002】
さらに詳細には、本発明の調合物は、β結晶形状におけるイミドアルカンペルカルボン酸の濃縮水性調合物であり、これはα結晶形状におけるイミドアルカンペルカルボン酸の濃縮調合物を加熱することによって得ることができ、そのイミドアルカンペルカルボン酸の濃度は、調合物の質量に対して7質量%〜40質量%及び好ましくは10質量%〜20質量%であり、且つ20s-1の剪断速度を適用することにより、25℃の温度で2000mPa.秒よりも少ない粘度を有する。
【0003】
本出願人名義の特許出願PCT/EP 03/07303号明細書は、α形状のイミドアルカンペルカルボン酸及び関連する調合物を記載している。特に、β形状の微結晶を含有し、及び減少した溶解時間によって特徴付けられる水性調合物が記載されている。25℃で測定すると10分よりも少ない溶解時間t99を有し、5質量%のPAPを含有する調合物が説明されている。5質量%よりも多い高濃度のイミドアルカンペルカルボン酸を有する調合物は、前記特許出願では説明されておらず、及び特に水性調合物の粘度及び長時間に渡る粘度の変化として理解される物理的安定性は、記載されていない。高濃度のイミドアルカンペルカルボン酸の水性調合物は、液体調合物として用いることが可能であるためには、上記の条件下で測定して2000mPa.秒よりも少ない粘度、及び上記の物理的安定性試験において300mPa.秒よりも少なく、好ましくは150mPa.秒よりも少なく及びよりさらに好ましくは100mPa.秒よりも少ない粘度の変化を有するべきである。
【0004】
β結晶形状のイミドアルカンペルカルボン酸の濃縮液体調合物であって、以下の特性の組み合わせ:
20s-1の剪断速度を適用することにより、25℃の温度で2000mPa.秒よりも少ない粘度;
物理的安定性の維持、すなわち、前記調合物が40℃で7日間の促進老化試験に付され、及び続いて粘度決定のために25℃まで冷却されたとき、300mPa.秒以下、好ましくは150mPa.秒よりも少なく及びよりさらに好ましくは100mPa.秒よりも少ない粘度の変化;
化学的安定性の維持、すなわち、前記調合物が上記のように促進老化試験に付されるとき、最初の値に対して、2%以下及び好ましくは1%以下の過酸化物酸素含有率の損失;
改善された漂白及び消毒効力、及びイミドアルカンペルカルボン酸の減少した溶解時間、
を有する調合物が必要とされている。
本出願人は、驚くべきことに且つ予期せぬことに、上記の技術的問題を解決するイミドアルカンペルカルボン酸の水性分散液の調合物を見出した。
【0005】
本発明の一つの主題は、水性分散液の形状におけるイミドアルカンペルカルボン酸の液体調合物であって、組成物の全質量に対する質量%で:
A)7%〜40%及び好ましくは10%〜20%の一般式(I)を有するイミドアルカンペルカルボン酸、
【化1】

式中、Aは以下から選択される基を示し、
【化2】

式中:
nは整数0、1又は2であり、
R1は、以下の意味:水素、塩素、臭素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、アリール又はアルキルアリールの一つを有し、
R2は、水素、塩素、臭素又は以下:-SO3M、-CO2M、-CO3M又は-OSO3Mから選択される基であり、
Mは、水素、アルカリ金属、アンモニウム又は当量のアルカリ土類金属を意味し、
Xは、C1-C19アルキレン又はアリーレンを示し;
前記酸はβ結晶形状である;
B)0.001%〜0.9%、好ましくは0.005%〜0.3%及びさらに好ましくは0.01%〜0.1%の非イオン性界面活性剤から選択される界面活性剤;
を含み、
100%までの差分は水及び洗剤調合物のための他の任意の添加剤からなり、
前記分散液は、20s-1の剪断速度を適用することにより、25℃の温度で2000mPa.秒以下の粘度を有し;
40℃又は18℃の温度における溶解速度の試験によって決定される成分A)の溶解時間は、溶解速度の試験で定義されているように、理論量の99%に等しい溶解した酸の量について、40℃で決定されるときは5分以下又は18℃で決定されるときは15分以下であり;
40℃における7日間の安定性試験における前記分散液は、300mPa.秒以下、好ましくは150mPa.秒よりも少なく及びよりさらに好ましくは100mPa.秒よりも少ない粘度の変化を示し、該粘度は上記の条件下で測定される、調合物である。
【0006】
本発明の水性調合物は、非イオン性界面活性剤から選択される界面活性剤の存在下で、過剰量の水に分散されているα形状のイミドアルカンペルカルボン酸の結晶を粉砕し;30℃以下の温度まで液体分散液を冷却することによって得ることができる。
【0007】
“イミドアルカンペルカルボン酸のα結晶形状”という表現は、固体形状で保存中に安定であり且つ、水に分散されたときに、当技術分野で公知の結晶形状であり且つ水性媒体中で安定なβ結晶形状の結晶に転化する結晶形状を意味し、β結晶形状の前記結晶は、30μmよりも少なく、好ましくは10μmよりも少なく、さらに好ましくは8μmよりも少なく及び特に2μm以下の平均寸法を有し;α結晶形状は、当技術分野で公知のβ結晶形状に対して、X線回折及び表面赤外分光法(IR/S)技術によって得られる関連したスペクトルで特徴付けられ、これらは同様の過酸のβ形状のものに対し、異なるX線スペクトル画像、及びIR/Sにおける領域1697-1707cm-1に典型的な吸収の約8-10cm-1のオーダーのより高い振動数へのシフトを示す。α形状の結晶は、先行技術の結晶(β形状)と同様の水溶解性を有する。従って、それらは水性分散液を形成する。
【0008】
特に、ε-フタルイミドペルオキシヘキサン酸(PAP)の場合、先行技術で公知のβ形状は:
・X線スペクトルでは:18.0及び18.7に典型的なピーク、及び24.2-25.0[°2θ]にカルテット無し、
・IR/Sスペクトルでは:1699-1704cm-1の範囲に吸収最大値を有する典型的なピーク、無水結晶では5%よりも少ない3450-3500cm-1における水の吸収を有する;
ことを示し、同様の化合物PAPでは、α形状は以下のスペクトル特性:
・X線スペクトルでは:17.5及び19.0に典型的なピーク、及び24.2-25.0[°2θ]に典型的なカルテット、
・IR/Sスペクトルでは:無水結晶に対して1707-1712cm-1の範囲に吸収最大値を有する典型的なピーク、これは5%よりも少ない3450-3500cm-1における水の吸収を有する、
ことを示す。
【0009】
X線スペクトルは、真空下(10mmHgの残圧)20℃で48時間乾燥した粉末のサンプルで得られる。従って、前記α結晶形状は、このイミドアルカンペルカルボン酸の先行技術で公知なβ結晶形状から、上記のキャラクタリゼーション技術によるだけでなく、主に、水に懸濁されたときに、それが異なる形状(β)の安定な結晶に自発的に変形するという事実によっても識別可能であり、これは水中で安定であり、且つ30μmよりも少なく、好ましくは10μmよりも少なく、さらに好ましくは8μmよりも少なく及び特に約2μmの平均寸法を有する。
【0010】
本発明の調合物は、洗浄及び消毒の分野で用いられ得る。
さらに、高濃度のイミドアルカンペルカルボン酸、本発明の組成物の成分A)を含有する液体調合物は、40℃で7日間における安定性の試験によって示されるように、高い化学的安定性を示し、前記酸は最初の滴定量に対して2%以下及び好ましくは1%以下の過酸化物酸素含有率の損失を示す。
【0011】
上記の方法によって得られたα結晶形状のイミドアルカンペルカルボン酸は、固体形状で安定であり、及び、前述したように、水相との単純な接触によりβ形状の対応する微結晶に自発的に転化する特性により、β結晶形状の前記酸から明らかに識別される。本発明の調合物では、ε-フタルイミドペルオキシヘキサン酸が、過酸成分A)として好ましく用いられる。
【0012】
本出願人は、驚くべきことに且つ予期せぬことに、調合物の全質量に対して例えば10質量%以上の高濃度のイミドアルカンペルカルボン酸を含有する液体調合物の調製において、界面活性剤の不存在下又はアニオン性界面活性剤の存在下、α形状の過酸から出発して、α形状からβ形状への該酸の転化段階では、調製物の粘度が制御できずに増加し、且つ調合物が水性分散液からペースト状稠度の塊に転化することを見出した。従って、このペースト状塊は、イミドアルカンペルカルボン酸分散液の漂白及び消毒用途のための液体調合物としてはもはや用いることができない。
【0013】
本出願人によって行われた試験は、方法が以下に記載される方法で行われる場合にのみ、7%以上のイミドアルカンペルカルボン酸濃度で、2000mPa.秒よりも少ない粘度及び300mPa.秒よりも少ない上記の物理的安定性試験における粘度の変化を有する、上記の調合物を得ることが可能であることを示した。
【0014】
本発明の液体調合物は、漂白及び消毒のために用いられ得る液体調合物のためのイミドアルカンペルカルボン酸を製造、保存及び輸送するコストを実質的に減らすことができる。この理由は、非常に高い濃度のイミドアルカンペルカルボン酸も調製され得るからである。
【0015】
任意の非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤の混合物が、本発明の液体調合物に用いられ得る。前記界面活性剤は、当業者によく知られている物質である。挙げられ得るのは、例えば、書籍“Nonionic surfactants”, Ed. M.J. Schick, Marcel Dekker 1967, pp 76-85及び103-141のものである。それらは、好ましくはエトキシ化、ポリエトキシ化、プロポキシ化又はポリプロポキシ化されている非イオン性界面活性剤又は1以上のプロポキシ反復単位及び1以上のエトキシ単位を含有する界面活性剤である。これらの界面活性剤の例は、商品名Triton(登録商標)X100(Dow)、Tergitol(登録商標)TMN100x(Dow)、Antarox(登録商標)863(Rhodia)、Rhodasurf(登録商標)870(Rhodia)、Genapol(登録商標)X080(Clariant)、Genapol(登録商標)X020(Clariant)、Genapol(登録商標)X060(Clariant)、Genapol(登録商標)X040(Clariant)及びLutensol(登録商標)XL40(BASF)である。15以下の数のエトキシ又はプロポキシ基を有するポリエトキシ化又はポリプロポキシ化されている非イオン性界面活性剤が、よりさらに好ましい;よりさらに好ましくは、エトキシ化されている基の数が5以下である;プロポキシ及びエトキシ単位を含有する非イオン性界面活性剤としては、エトキシ基の数が10以下であり、及びプロポキシ単位の数が2以下である。
上記のポリエトキシ化界面活性剤が好ましくは用いられる。
【0016】
溶解速度は、以下の試験によって決定される。500mgの調合物のサンプルを、10°Fに等しい硬度を有する水及び1.70gの標準的な洗剤ベースで調製される1リットルの溶液に分散させ、漂白性添加剤(リン酸塩を有するIEC洗剤タイプB-IEC publication 60456)の不存在下で、攪拌しながら18℃又は40℃の温度にサーモスタットで保持する。液相の連続的なサンプルは、0.45μmの濾過器によって注意深く濾過して取り出す。サンプルを取り出す時間は、2種の組成物の混合モーメントから測定してグラフのX軸にプロットし、及びHPLC分析によって決定されるイミドアルカンペルカルボン酸ピークの面積を、Y軸にプロットする。溶解したペルオキシ酸の量が、100%になる無限時間に漸近して得られる濃度(理論濃度)を採用して計算し直されるペルオキシ酸の99%(t99%)に対応する時間は、グラフから決定される。
【0017】
7日間の40℃における安定性の試験は換気オーブンで行われ、その液体調合物は、分散液の自由表面が蓋の内側表面から2-3mmであるように、密閉して閉じた容器に保持する。
本発明の液体組成物は、洗剤及び消毒調合物にとって公知の他の慣用の添加剤又は成分を任意に含み得る。これらの成分は、水溶液に溶解されるか、及び/又はイミドアルカンペルカルボン酸と共に懸濁液に分散され得る。任意の添加剤の例は、調合物の化学的及び物理的安定性をさらに増加させるのに寄与し得るものである。挙げられ得るのは、パラフィン、ホスホン酸、任意にヒドロキシル化されているカルボン酸及びジカルボン酸などである。他の任意の成分は、洗浄用共補助剤及び/又は洗浄浴のpHを最適化するための試薬でもよい。これらの成分の例は、フタル酸、例えばテレフタル酸、及びアジピン酸である。
【0018】
“α結晶”形状は、以下の工程を含む合成方法によって得られる。
I)100℃〜250℃の温度、1〜30bar(0.1-3MPa)の不活性ガスの圧力下、1〜20時間の反応時間で、
a)下式の無水物:
【化3】

又は対応する酸、Aは以下から選択される基である:
【化4】

式中:
nは整数0、1又は2であり、
R1は、以下の意味:水素、塩素、臭素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、アリール又はアルキルアリールの一つを有し、
R2は、水素、塩素、臭素又は以下:-SO3M、-CO2M、-CO3M又は-OSO3Mから選択される基であり、
Mは、水素、アルカリ金属、アンモニウム又は当量のアルカリ土類金属を意味し、
Xは、C1-C19アルキレン又はアリーレンを示す;
【0019】
b1)下式のアミノ酸:
【化5】

Xは上記の通りであり、又は
b2)下式のラクタム:
【化6】

YはX、好ましくはC3-C19アルキレンの意味を有する;
c)水;
を反応させることによって得ることができるイミドアルカンペルカルボン酸前駆体の、一般的には5℃〜50℃の温度における、過酸化水素水溶液及び強酸の存在下での過酸化;
II)固体が完全に融解されるまで前記過酸の水性懸濁液を過熱することによる、式(I)(2頁参照)のイミドアルカンペルカルボン酸の共融組成物の溶融相の製造、前記共融材料は、過酸1モル当たり2モル以下の水のモル組成を有する;
III)平衡状態の水相からの共融組成物の溶融有機相の分離、及びイミドアルカンペルカルボン酸を含有する溶融有機相の回収;
IV)溶融有機相の急冷(クエンチング)及び固体形状で安定であるα相の製造。
【0020】
本方法の工程IV)における急冷(クエンチング)は、種々の方法、例えば共融組成物の溶融有機相を液体窒素に滴下することによって行われ得る。別のクエンチング方法は、例えば、攪拌しながら、例えば、15℃よりも低い温度で冷水に滴下することである。α形状を単独で得るために、当業者は容易に最も好適な温度を決定することが可能であり、温度を増加させることによりα形状と共にβ形状を同時に得ることができる。別のクエンチング方法は、表面で、例えば金属表面上で、又は2つの対になった表面、例えば金属表面上で溶融相をパーコレートして30℃以下の温度に冷却する。
【0021】
工程I)において、一般的なa/(b1又はb2)/cの間のモル比は1/0.8:1.2/0.5:3である。好ましくは、a/(b1又はb2)/cのモル比は1/1.01:1.1/0.5:2.5及びさらに好ましくは1/1.05:1.1/1-2である。
工程I)では、無水物a)、又は対応する酸をラクタムb2)と反応させるのが好ましい。
分類a1)の化合物の中で挙げられ得るのは、以下の無水物又は対応する酸:無水コハク酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリト酸、無水フタル酸、無水ピロメリト酸及び無水アルキル-又はアルケニルコハク酸である。無水フタル酸又はフタル酸が好ましく用いられる。
分類b1)の化合物の中で挙げられ得るのは、以下:オメガ-アミノ酪酸、オメガ-アミノ吉草酸、オメガ-アミノカプロン酸及びオメガ-アミノラウリン酸である。
分類b2)の好ましい化合物の中で挙げられうるのは、ガンマ-ピロリドン、デルタ-ピペリドン、イプシロン-カプロラクタム及びオメガ-ラウロラクタムであり、イプシロン-カプロラクタム(CPL)が特に好ましい。
好ましくは、段階I)では、温度は130℃〜180℃であり、及び圧力は4〜8barである。
段階I)の終わりに、溶媒、好ましくはCH2Cl2及びCHCl3、さらに好ましくはCH2Cl2が好ましくは加えられ、生成物のその後の過酸化を容易にする。
実際は、後者の溶媒は、本出願人名義の欧州特許出願第780373号明細書に記載されているように、その後の過酸化操作を行うのに最も好適である。
【0022】
イミドアルカンペルカルボン酸の中で挙げられ得るのは、フタルイミドペル酢酸、ε-フタルイミドペルオキシヘキサン酸、3-フタルイミドペルプロピオン酸、4-フタルイミドペル酪酸、2-フタルイミドジペルグルタル酸、2-フタルイミドジペルコハク酸、3-フタルイミドペル酪酸、2-フタルイミドペルプロピオン酸、3-フタルイミドジペルアジピン酸、ナフタルイミドペル酢酸及び2-フタルイミドモノペルコハク酸である。
【0023】
段階II)では、金属イオン封鎖剤が水相に加えられ、水の量を減らすことができる。挙げられ得る例は、ヒドロキシカルボン酸、例えばクエン酸;アミノポリカルボン酸、例えばエチレンジアミノテトラメチルホスホン(EDTMP)酸;ピリジンカルボン酸、例えばジピコリン酸;ポリホスホン酸、例えば1-ヒドロキシエチレン-1,1-ジホスホン(HEDP)酸を含む。
上記の方法によって得られたα結晶形状のイミドアルカンペルオキシカルボン酸は固体形状で安定であり、及び、前述のように、水相との単純な接触によりβ形状の対応する微結晶に自発的に転化する特性により、β結晶形状の同様の酸から明らかに識別される。
【0024】
本発明の別の主題は、上記のように定義されるイミドアルカンペルカルボン酸の水性調合物を得るための方法であって:
・非イオン性界面活性剤から選択される界面活性剤の存在下で、過剰量の水に分散されたα形状のイミドアルカンペルカルボン酸の結晶を40℃〜65℃の温度で粉砕し、前記過剰量は、好ましくはペルカルボン酸の1質量部当たり少なくとも2質量部の水であり;
・該液体分散液を30℃以下、好ましくは25℃以下の温度に冷却し、任意に粘性添加剤を加える、
ことを含む方法である。
【0025】
本発明の組成物では、非イオン性界面活性剤以外の他のタイプの界面活性剤が、同時に存在してはいけない。
好ましくは、粉砕はコロイドミル、又は回転子及び固定子を備えて提供され及び任意に放射状流を用いる別のタイプのミル、例えばSilversonミルで行われる。
一般的には、液体分散液が冷却される温度は4℃よりも低くない。
本発明の方法は、例えば数時間のオーダーの短時間で行われ得る;これは、それが通常の操作時間と適合性があるため、化学プラントの使用に有利である。
【0026】
前述のように、本発明の調合物は、長時間に渡って実質的に同じ粘度を維持し、それは2000mPa.秒よりも少ないままであり、及び300mPa.秒よりも少なく、好ましくは150mPa.秒よりも少なく及びよりさらに好ましくは100mPa.秒よりも少ない上記の物理的安定性試験における粘度の変化を実質的に保持し、該粘度は上記の条件下で決定される。
さらに、本発明の高濃度のイミドアルカンペルカルボン酸を有する液体調合物は、上記の安定性試験によって示されるように、高い化学的安定性を示し、前記酸は、最初の値に対して2%以下及び好ましくは1%以下の過酸化物酸素含有率の損失を示す。
さらに、本発明の調合物に分散液の形状で含まれ、織物の家庭内又は工業的洗浄に使用するか、又は他の用途のためのイミドアルカンペルカルボン酸の溶解時間は、非常に短い。従って、本発明の濃縮調合物の漂白力及び消毒力は、使用中最適の水準に保持される。
【0027】
α結晶形状のイミドアルカンペルカルボン酸から得ることができる本発明の水性調合物は、その後の製造バッチの中の粘度の実質的な粘稠度、及び水供給回路及び特に計量型ポンプの保持バルブを汚し得る固体残渣の不存在の両方に関する調合物の質を保証するのに重要であるとき、工業タイプの用途に特に有利である。上記のように、これは驚くべき且つ予期せぬことである。特に、本出願人は、先行技術のβ形状のイミドアルカンペルカルボン酸の水性調合物が公知の粉砕技術、例えばコロイド粉砕を用いて工業スケールで調製されるときに、製造バッチが、ペルカルボン酸含有率が増加するにつれて、異なるバッチ間の粘度の変動が増加するように、得られることを見出した。従って、この場合、望ましいであろう、バッチからバッチへの特性が極めて均一である濃縮調合物を得ることは不可能である。
【0028】
以下の例は、本発明の非限定的な説明として与えられる。
【0029】
実施例
動的粘度の測定
粘度は、直径4cmの平行スピンドルを用い、25℃の温度及び20 s-1の剪断速度において、TA Instruments(登録商標)model AR 500回転粘度計で測定した。
PAP滴定量の測定
分析は、以下の方法に従い、ヨウ素のチオ硫酸塩の滴定によるヨウ素還元滴定によって行い、ヨウ素は調合物における化合物との反応から放出される。
正確に秤量した量である500mgの調合物を、100mLの水で希釈し、及び10mLの氷酢酸及び30mLの10%質量/質量ヨウ化カリウム水溶液を続いて加える。該反応から製造されたヨウ素は、白金電極及び参照電極を備えるMettler(登録商標)DL 40電位差滴定装置を用いて、周知の滴定濃度のチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定する。
【0030】
標準的な洗剤ベースの水溶液における調合物のPAPの溶解速度の測定
溶解速度を、以下の方法によって決定する。
調合物のサンプル500mgを、10°Fに等しい硬度を有する水及び1.70gの標準的な洗剤ベースで、漂白性添加剤(リン酸塩を有するIEC洗剤タイプB-IEC publication 60456)を用いずに調製される1リットルの溶液に分散させ、攪拌しながら18℃又は40℃の温度にサーモスタットで調整する。液相の連続的なサンプルは、0.45μmの濾過器によって注意深く濾過して取り出す。サンプルを取り出す時間は、2種の組成物の混合モーメントから測定してグラフのX軸にプロットする。用いた時間は分で表すと、以下:1、3、5、10、15、30、60、120であった。HPLC分析によって決定されるイミドアルカンペルカルボン酸ピークの面積は、Y軸にプロットする。溶解したPAPの量が、それぞれ、100%になる無限時間に漸近して得られるPAPの濃度(理論濃度)を採用して決定される存在するペルオキシ酸の98%(t98%)、99%(t99%)及び99.8%(t99.8%)に対応する時間は、得られたグラフから決定される。
【0031】
7日間40℃における安定性の試験
7日間の40℃における安定性の試験は換気オーブンで行われ、その液体調合物は、分散液の自由表面が蓋の内側表面から2-3mmであるように密閉して閉じた容器に保持する。
【0032】
比較例1A
β結晶形状のPAPから出発し、アニオン性界面活性剤及び全質量に対して20質量%に等しい量のPAPを含む、水性濃縮調合物の冷却調製
最終濃度が20質量%の活性PAPを有する調合物が、719gの水、274gのPAP及び以下の物質:
・Hostapur SASアニオン性界面活性剤(Clariant)、0.1%;
・HEDP Sequion 10H60(Bozzetto)、0.1%
を最終生成物に対する質量%で表される指定の量で含有するβ形状のペルオキシ酸(Eureco W Solvay Solexis、73%滴定濃度)の市販のバッチから調製される。
【0033】
懸濁液は、室温(20℃)においてFryma MZ80コロイドミルで磨砕し、装置の回転子及び固定子を通る流れの隙間の寸法は、ミルで繰り返し処理した後、ミルにおける最も小さい隙間を通って、懸濁液が自由に流れるまで徐々に減少させる。次に、懸濁液をCoball微小球タイプのミルで処理する。続いて、下記の物質を最終生成物に対する質量%で表される指定の量で、攪拌しながら懸濁液に20℃の温度で30分に渡って加える:
・Kelzan Sキサンタンガム(Kelco)、0.5%。
【0034】
この実施例を表1にまとめる。
得られた懸濁液は、40℃の温度及び7日間オーブンで状態調節した後でさえ、化学的及び物理的に安定である。安定性試験に関するデータ(pH、動的粘度及びPAP滴定濃度)は、表1に示される。
標準的な洗剤溶液における40℃の温度で測定される調合物に存在する過酸の溶解時間、T98%、T99%、T99.8%は、表2に示される。
該表は、この実施例の調製物が、良好な化学的及び物理的安定性を有するが、溶解速度は不十分であることを説明している。
【0035】
比較例2
α結晶形状のPAPの調製
1000mLの“Micropure Grade”脱塩水及び5gのヒドロキシエチリデンジホスホン(HEDP)酸(Bozzettoから:HEDP 10H60)を、底に排水バルブを備える2000mLのジャケット付きビーカーに入れ、及びこの溶液を約78℃まで加熱する。1000gの工業銘柄の結晶性PAP(Ausimont、Eureco(登録商標)Wタイプ)を続いて加える。混合物を、PAPが融解するまで約250rpmの速度で攪拌し、これは系の温度が約78℃の値に再び上昇するときに起こる。この温度では、形成された2種の液相、PAP共融材料と水とからなる有機相及び水相は、各々透明である。攪拌を20rpmまで減らし、及び2種の相のきれいな分離が得られ、より重質な有機相が底に集まる。
【0036】
約2500mLの液体窒素をDewarフラスコに入れ、及び磁気アンカーをそこに入れ、磁気攪拌によって液体を攪拌し、この容器を底に溶融有機相を含有するジャケット付きビーカーの排水バルブの下に直接配置する。
ジャケット付きビーカーの底のバルブをゆっくりと開け、及び液体が液体窒素相に滴下されるようにする。
ジャケット付きビーカーにおける溶融有機相の上位が底のバルブに到達したらすぐに操作を止める。凝固されたPAPを、まだ液体である窒素から分離し、固体を丸いスパチュラで集め、及び耐寒性プラスチック製たらいに移す。
生成物を室温にした後、PAP顆粒を、真空下、約10mmHgの残圧、20℃以下の温度における乾燥によって乾燥させる。約70gの質量の結晶性PAPを有するサンプルを、X線回折及び表面赤外分光法(IR/S)の技術によって特徴付ける。得られたスペクトルはα形状と一致する。
X線:17.5及び19.0に典型的なピーク、及び24.2-25.0[°2θ]に典型的なカルテット。IR/S:1707-1712cm-1の範囲に吸収最大値を有する典型的なピーク(無水結晶:5%減少した3450-3500cm-1における吸収)。PAP滴定濃度は83.7%である。
【0037】
比較例2A
室温(20℃)で加えられるα結晶形状のPAPから出発し、アニオン性界面活性剤、及び全質量に対して20質量%に等しい量のPAPを含む、水性濃縮調合物の冷却調製
最終濃度20質量%の実施例2の活性PAPを含有する調合物を調製し、該調合物は、711gの水、239gのα形状のPAP及び以下の物質:
Hostapur SASアニオン性界面活性剤(Clariant)、0.1%;
HEDP Sequion 10H60(Bozzetto)、0.1%
を最終生成物に対する質量%で表される指定の量で含有する。
【0038】
得られた懸濁液は、室温(20℃)においてFryma MZ80コロイドミルで磨砕し、装置の回転子及び固定子を通る流れの隙間の寸法は、ミルで繰り返し処理した後、ミルにおける最も小さい隙間を通って、懸濁液が自由に流れるまで徐々に減少する。
続いて、下記の物質を最終生成物に対する質量%で表される指定の量で攪拌しながら懸濁液に20℃の温度で30分に渡って加える:
Kelzan Sキサンタンガム(Kelco)、0.3%。
調合物のpHは3.10である。
【0039】
40℃のオーブンで安定性試験を繰り返すと、活性元素の滴定濃度が一定のままであるために、得られた懸濁液は化学的に安定のままである。調合物の物理的安定性に関しては、状態調節の最初の1時間中に、調合物の粘度が実質的に増加し、及び液体懸濁液が非流体ペーストに転化されることが観察される。
この実施例を表1にまとめ、安定性試験の結果も示す。
上記のように40℃で決定される調合物の溶解時間を、表2に示す。
該表は、この例の濃縮調合物が、前例と比較して、より高い溶解速度を有するが、保存中に不安定であるという欠点を有することを説明している。
【0040】
比較例2B
α結晶形状のPAPから出発して45℃の温度で作用させる、アニオン性界面活性剤及び全質量に対して20質量%に等しい量のPAPを含む水性濃縮調合物の加熱調製
調合物を、実施例2Aに示されているのと同様の量(PAPの最終濃度:20質量%)で711gの水及びα形状のPAPに同様の添加剤(アニオン性界面活性剤及びSequion HEDP)を加えることによって調製する。ペルオキシ酸の最初の分散液は、実施例2Aの記載と同様の条件下で磨砕する。次に、分散液を攪拌しながら加熱し、及び45℃の温度に保持して、安定なβ形状へ転化を行う。
45℃で5分間保持した後、調合物の粘度が非常に速く増加し、及び非流体ペーストが得られるのが観察され、これは安定性試験中に実施例2Aで得られたものと粘稠度が類似する。
【0041】
これらの条件下では、溶解速度を決定することができなかった。
混合物を20℃まで冷却し、及びキサンタンガム(Kelzan S-Kelco)を実施例2Aに示されているのと同様の量で加える。
この実施例を表1にまとめ、安定性試験の結果も示す。
40℃で7日間状態調節した後、PAP滴定濃度が有意に変化しないことが見出された。表1参照。
この例は、α形状のPAPから出発し、アニオン性界面活性剤を用いて、有用な流体力学的な特性を保持する濃縮調合物を調製することができないことを説明している。
【0042】
比較例2C
α結晶形状のPAPから出発する、アニオン性界面活性剤及び全質量に対して5質量%に等しい量のPAPを含む水性調合物の加熱調製
比較例2Bを繰り返すが、以下の相違点を有する。
・実施例2のα結晶形状のPAPを用いるが、最終調合物で5質量%の濃度を有するような量で用いる;
・テレフタル酸を、組成物の全質量に対して2質量%を有するような量で加える。
この実施例を表1にまとめ、安定性試験の結果も示す。
得られた懸濁液は、表1に報告されているような7日間オーブンにおいて40℃の温度で状態調節した後でさえ、化学的及び物理的に安定である。
標準的な洗剤溶液における40℃、T98%、T99%、T99.8%での溶解時間を、表2に示す。
この表は、α形状のPAPを出発して調製され、且つ5%のPAP濃度を有する調合物が、良好な化学的且つ物理的安定性及び高い溶解速度を有することを説明している。さらに、粘度は、分散液において乏しい溶解性であるテレフタル酸が調合物において存在するときでさえ最適である。
【0043】
実施例2D
非イオン性界面活性剤の存在下でα結晶形状のPAPから出発する、20%のPAP濃度を有する水性濃縮調合物の加熱調製
非イオン性界面活性剤(ポリエトキシ化されている)を用い、20%のα結晶形状の活性PAPを含有する水性PAP調合物の調製手順は、以下に記載される。
以下の成分:
・HEDP Sequion 10H60(Bozzetto)16.7g(最終濃度:1.67質量%);
・水酸化ナトリウム(50質量%溶液)3.6g;
・Genapol X020 ポリエトキシ化(2-5 EO)非イオン性界面活性剤(Clariant)0.5g(最終濃度:0.05質量%)、
を590.2gの水を含有する1500mLのジャケット付きビーカーに加え、液相を1分当たり120回転に設定され、且つアンカー攪拌用シャフトを備える変速モーターを用いて攪拌する。
得られた溶液を加熱し、及びビーカーのジャケットに接続されている水循環サーモスタットを用いて45℃の一定温度に保持する。
攪拌しながら、実施例2で調製されたα結晶形状のPAPを、少なくとも60分間に渡って239gの全量(最終濃度:20質量%)で、少量を連続的に加えることによって入れる。添加中、この塊を45℃で攪拌し続け、及びコロイドミル又はSilversonミルで粉砕するために同時に送る。PAPの添加終了5分後、粉砕を止め、及び攪拌をさらに60分間続ける。サーモスタットバスの温度は20℃よりも低くされ、及びその塊をそれが冷却するのに必要な時間放置する。キサンタンガムの2質量%(0.3質量%濃度)の150gの溶液を続いて加える。生成物を放置し、10分間穏やかに攪拌することによって均質化する。
【0044】
この実施例を表1にまとめ、安定性試験の結果も示す。
得られた生成物は、7日間オーブンにおける40℃の安定性試験において、化学的且つ物理的に安定である。
表1参照。
標準的な洗剤溶液において40℃の温度で測定される溶解時間T98%、T99%、T99.8%を、表2に示す。
この表は、実施例2Dの調合物が、化学的且つ物理的安定性、及び標準的な水性洗剤ベースにおける高い溶解速度の両方を有することを説明している。
水性ベースにおける溶解速度は、比較例2Aの調合物よりも高く、これはアニオン性界面活性剤を含み、及び20%の同様の濃度でα形状のPAPから調製される。
さらに、溶解速度は比較例2Cの調合物と匹敵し、これは4倍小さいPAPの質量%の量を含む。
【0045】
実施例3
非イオン性界面活性剤の存在下でα結晶形状のPAPから出発する、20%のPAP濃度を有する水性濃縮調合物の加熱調製
実施例2Dを繰り返すが、45℃の代わりに60℃で行い、及びポリエトキシ化(2-5 EO)非イオン性界面活性剤Genapol X020の代わりにポリエトキシ化(6-15 EO)非イオン性界面活性剤Genapol X080を用いる。
この実施例を表1にまとめ、安定性試験の結果も示す。
得られた生成物は、7日間オーブンにおける40℃の安定性試験において、化学的且つ物理的に安定である。
表1参照。
標準的な洗剤溶液において18℃の温度で測定される溶解時間T98%、T99%、T99.8%を、表2に示す。
この表は、実施例3の調合物が化学的且つ物理的安定性を有することを説明している。標準的な水性洗剤ベースにおける溶解速度は、試験が行われた温度が前実施例で用いられた温度(40℃)より非常に低いときでさえ、高いままである。
【0046】
実施例4
非イオン性界面活性剤の混合物の存在下でα結晶形状のPAPから出発する、20%のPAP濃度を有する水性濃縮調合物の加熱調製
実施例3を繰り返すが、80質量%のGenapol X020及び20質量%のGenapol X080によって形成される非イオン性界面活性剤の混合物を用いる。非イオン性界面活性剤の全量は、実施例3のように0.05質量%である。
この実施例を表1にまとめ、安定性試験の結果も示す。
得られた生成物は、7日間オーブンにおける40℃の安定性試験において、化学的且つ物理的に安定である。
表1参照。
標準的な洗剤溶液において18℃の温度で測定される溶解時間T98%、T99%、T99.8%を、表2に示す。
この表は、実施例4の調合物が化学的且つ物理的安定性を有することを説明している。標準的な水性洗剤ベースにおける溶解速度は高い。
【0047】
実施例5
非イオン性界面活性剤の混合物の存在下でα結晶形状のPAPから出発する、20%のPAP濃度を有する水性濃縮調合物の加熱調製
例3を繰り返すが、20質量%のGenapol X020及び80質量%のGenapol X080によって形成される非イオン性界面活性剤の混合物を用いる。非イオン性界面活性剤の全量は、例3のように0.05質量%である。
この実施例を表1にまとめ、安定性試験の結果も示す。
得られた生成物は、7日間オーブンにおける40℃の安定性試験において、化学的且つ物理的に安定である。
表1参照。
標準的な洗剤溶液において18℃の温度で測定される溶解時間T98%、T99%、T99.8%を、表2に与える。
この表は、実施例5の調合物が化学的且つ物理的安定性を有することを説明している。標準的な水性洗剤ベースにおける溶解速度は高い。
【0048】
実施例6
非イオン性界面活性剤の存在下でα結晶形状のPAPから出発する、20%のPAP濃度を有する水性濃縮調合物の加熱調製
例3を繰り返すが、調合物の全質量に対して0.15質量%のGenapol X080の量を用いる。
この実施例を表1にまとめ、安定性試験の結果も示す。
得られた生成物は、7日間オーブンにおける40℃の安定性試験において、化学的且つ物理的に安定である。
表1参照。
標準的な洗剤溶液において18℃の温度で測定される溶解時間T98%、T99%、T99.8%を、表2に与える。
この表は、実施例6の調合物が化学的且つ物理的安定性を有することを説明している。
【0049】
実施例7
非イオン性界面活性剤の存在下でα結晶形状のPAPから出発する、20%のPAP濃度を有する水性濃縮調合物の加熱調製
実施例3を繰り返すが、ただし最終生成物におけるPAPの割合が10質量%であり、ポリエトキシ化(2-5 EO)非イオン性界面活性剤Genapol X020を用い、及び界面活性剤濃度を0.02質量%にする。
この実施例を表1にまとめ、安定性試験の結果も示す。
得られた生成物は、7日間オーブンにおける40℃の安定性試験において、化学的且つ物理的に安定である。
表1参照。
標準的な洗剤溶液において18℃の温度で測定される溶解時間T98%、T99%、T99.8%を、表2に示す。
この表は、実施例7の調合物が化学的且つ物理的安定性を有することを説明している。標準的な水性洗剤ベースにおける溶解速度は非常に高い。
【0050】
表1












【0051】
表1(続き)






















【0052】
表2


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性分散液の形状のイミドアルカンペルカルボン酸の液体調合物であって、組成物の全質量に対する質量%で:
A)7%〜40%及び好ましくは10%〜20%の一般式(I)を有するイミドアルカンペルカルボン酸、
【化1】

式中、Aは以下から選択される基を示し、
【化2】

式中:
nは整数0、1又は2であり、
R1は、以下の意味:水素、塩素、臭素、C1-C20アルキル、C2-C20アルケニル、アリール又はアルキルアリールの一つを有し、
R2は、水素、塩素、臭素又は以下:-SO3M、-CO2M、-CO3M又は-OSO3Mから選択される基であり、
Mは、水素、アルカリ金属、アンモニウム又は当量のアルカリ土類金属を意味し、
Xは、C1-C19アルキレン又はアリーレンを示し;
前記酸はβ結晶形状である;
B)0.001%〜0.9%、好ましくは0.005%〜0.3%及びさらに好ましくは0.01%〜0.1%の非イオン性界面活性剤から選択される界面活性剤;
を含み、
100%までの差分は水及び洗剤調合物のための他の任意の添加剤からなり;
前記分散液は、20s-1の剪断速度を適用することにより、25℃の温度で2000mPa.秒以下の粘度を有し;
40℃又は18℃の温度における溶解速度の試験によって決定される成分A)の溶解時間は、溶解速度の試験で定義されているように、99%の理論量に等しい溶解した酸の量について、40℃で測定されるときは5分以下又は18℃で測定されるときは15分以下であり;
40℃における7日間の安定性試験における前記分散液は、300mPa.秒以下、好ましくは150mPa.秒よりも少なく及びよりさらに好ましくは100mPa.秒よりも少ない粘度の変化を示し、該粘度は上記の条件下で測定される、調合物。
【請求項2】
非イオン性界面活性剤から選択される界面活性剤の存在下で、過剰量の水に分散されているα形状のイミドアルカンペルカルボン酸の結晶を粉砕し;30℃以下の温度まで液体分散液を冷却することによって得ることのできる、請求項1記載の調合物。
【請求項3】
40℃で7日間における安定性の試験において、イミドアルカンペルカルボン酸、成分A)が、最初の滴定量に対して2%以下及び好ましくは1%以下の過酸化物酸素含有率の損失を示す、請求項1又は2記載の調合物。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の調合物であって、イミドアルカンペルカルボン酸、成分A)が、固体形状で保存中に安定であるα結晶形状であり、且つ、水に分散されたときに、それが水性媒体で安定であるβ結晶形状の結晶に転化し、β結晶形状の前記結晶は、30μmよりも少なく、好ましくは10μmよりも少なく、さらに好ましくは8μmよりも少なく及び特に2μm以下の平均寸法を有し;α結晶形状は、β結晶形状に対して、X線回折及び表面赤外分光法(IR/S)技術によって得られる関連したスペクトルで特徴付けられ、これらは同様の過酸のβ形状に対して、異なるX線スペクトル画像、及びIR/Sにおける領域1697-1707cm-1に典型的な吸収の約8-10cm-1のオーダーのより高い振動数へのシフトを示す、調合物。
【請求項5】
非イオン性界面活性剤が、エトキシ化、ポリエトキシ化、プロポキシ化又はポリプロポキシ化されている非イオン性界面活性剤又は1以上のプロポキシ反復単位及び1以上のエトキシ単位を含有する界面活性剤である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項6】
ポリエトキシ化又はポリプロポキシ化されている非イオン性界面活性剤が、15以下及び好ましくは5以下の数のエトキシ又はプロポキシ反復基を有し;プロポキシ及びエトキシ単位を含有する非イオン性界面活性剤が、10以下の数のエトキシ基及び2以下の数のプロポキシ単位を有する、請求項5記載の調合物。
【請求項7】
界面活性剤がエトキシ化されている界面活性剤である、請求項6記載の調合物。
【請求項8】
洗剤及び消毒調合物として慣用的である添加剤又は成分を含み、イミドアルカンペルカルボン酸、成分A)と共に水溶液に溶解されている及び/又は懸濁液に分散されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項9】
前記添加剤が、調合物の化学的及び物理的安定性をさらに増加させるのに寄与し得るもの、好ましくはパラフィン、ホスホン酸、任意にヒドロキシル化されているカルボン酸及びジカルボン酸などであるか、又は洗浄浴のpHを最適化するための共補助剤及び/又は試薬、好ましくはフタル酸及びアジピン酸である、請求項8記載の調合物。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の調合物を得るための方法であって、
非イオン性界面活性剤から選択される界面活性剤の存在下で、過剰量の水に分散されたα形状のPAPの結晶を40℃〜65℃の温度で粉砕し、前記過剰量は、好ましくはペルカルボン酸の1質量部当たり少なくとも2質量部の水であり;
該液体分散液を30℃以下、好ましくは25℃以下の温度に冷却し、任意に粘性添加剤を加える、
ことを含む、方法。
【請求項11】
液体分散液が冷却される温度が、4℃よりも低くない、請求項10記載の方法。
【請求項12】
漂白及び消毒用途における、請求項1〜9のいずれか1項に記載の調合物の使用。
【請求項13】
イミドアルカンペルカルボン酸が、ε-フタルイミドペルオキシヘキサン酸である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の調合物。
【請求項14】
調合物の成分A)が、ε-フタルイミドペルオキシヘキサン酸である、請求項12記載の使用。

【公表番号】特表2007−520595(P2007−520595A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548202(P2006−548202)
【出願日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【国際出願番号】PCT/EP2004/053685
【国際公開番号】WO2005/068470
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(505015750)ソルヴェイ ソレクシス ソチエタ ペル アチオニ (4)
【Fターム(参考)】