説明

イメージセンサーユニット及び画像読取装置

照明装置(5、6)がレンズアレイ(2)の両側に互いに対向して配置されている。レンズアレイ(2)の有効被写界深度をaとすると、レンズアレイ(2)の光軸に沿った照明装置(5、6)の光量分布曲線の90%値幅はいずれもa以上である。照明装置(5)からの照明光の光軸(Z2)とレンズアレイ(2)の光軸(Z1)との交点(B)は、レンズアレイ(2)の原稿側焦点(A)よりもレンズアレイ(2)に近く位置しており、照明装置(6)からの出射光の光軸(Z3)と光軸(Z1)との交点(C)は、原稿側焦点(A)よりもレンズアレイ(2)から遠く位置している。また、交点(B、C)と原稿側焦点(A)との距離は、いずれもa/2以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、イメージスキャナ、ファクシミリ及び複写機等に好適なイメージセンサーユニット及び画像読取装置に関し、特に、原稿面からの反射光を読取るイメージセンサーユニット及び画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
従来、イメージスキャナ、ファクシミリ及び複写機等の画像読取装置において、原稿面からの反射光を読取る画像読取手段のひとつとして密着型イメージセンサー(以下CISと略す。)が使用されている。
この密着型イメージセンサーは、原稿を照射するための光源を有しており、レンズを通した反射光を受けて、光電変換素子で形成された受光部で反射光を電気画像に変換する。近年、画像読取装置の読取り速度の高速化に伴い、読取り時間を短縮するために、照明光強度を増すことが求められている。そこで、レンズアレイを挟んで2系統の照明装置を対向させて用いて照射光量を増大させる技術が公開されている(例えば、特許文献1(特開2002−57853号公報))。
密着型イメージセンサーユニット(CISユニット)は、原稿を支持する透明な原稿支持体の下方に取り付けられて用いられる。画像読取装置内におけるイメージセンサーユニットの取り付け方式には、主に下記の2通りがある。
(1)画像読取装置にセンサーユニットを固定して、原稿支持体上の原稿を移動させて読取りを行うシートフィード型
(2)画像読取装置の原稿支持体上に原稿を固定して、センサーユニットを移動させて読取りを行うフラットベッド型
ここで、従来のCISユニットの構成例について説明する。図8は、従来のCISユニットの構成を示す断面図である。従来のCISユニットにおいては、フレーム11に、原稿を照明するためのLEDを搭載する光源15a及び15b、並びに照明装置16a及び16bが支持されている。照明装置16a及び16bは、夫々光源15a及び15bからの出射光を取り入れ、原稿読取部の1ラインの長さにわたって照明光量が略均一になるように出射する導光体から構成されている。また、フレーム11の下方には、原稿の光学像を電気信号に光電変換する受光部を複数備えたライン状のセンサーアレイ13を搭載したセンサー基板14が取り付けられており、フレーム11には、原稿の光学像をセンサーアレイ13上に結像するレンズアレイ12も支持されている。また、センサー基板14の下方には、センサーアレイ13と外部機器とを接続するコネクタ17が取り付けられている。このような従来のCISユニットは、上述のように、原稿支持体18の下方に取り付けて用いられる。
このCISユニットでは、原稿を照明する照明装置の光量を増大させるために、光源及び照明装置からなる照明系が2系統設けられており、これらがレンズアレイ12を挟んで対称な位置に対向するようにして配置されている。また、照明装置16a及び16bの光線射出部に集光機能が設けられており、光の利用効率が高められている。
例えば、レンズアレイ12の原稿側焦点Aを、原稿支持体18の原稿側表面位置よりもわずかに浮かしており、レンズアレイ12から離れた位置に2系統の照明装置からの光を集光させている。つまり、レンズアレイ12の被写界深度が深くされている。このような構造とすることにより、シートフィード型の画像読取装置においては、通紙速度の高速化に伴う原稿と原稿支持体間との間の接触摩擦が過大になることを回避することができ、また、フラットベッド型の画像読取装置においては、表面に凹凸のある原稿を容易に読取ることができる。
特許文献1には、光源からの照明光のピーク位置をレンズアレイの原稿側焦点よりわずかに浮かすことにより、原稿用紙が原稿支持体から浮上した場合にも安定した光量で読取りが行われる構成が提案されている。
この対向する2方向から原稿を照射する方法によれば、原稿を照明する光量が増加すると同時に、原稿上の凹凸等の表面状態に対応して発生する影の発生を小さくすることができ、読取り画像の品位が向上する。
しかしながら、このような従来の技術には、以下のような課題がある。
より高速の読取りを可能にするためには、光源からの光利用効率をより向上する必要があり、導光体の光出射部からの光を集光して、光量を増加させることが必要である。そこで、特許文献1においては、照明装置を複数個使用して原稿を照明する光量を増加するにあたり、2つの光源の焦点位置を揃えて光量を増加させている。しかし、この構成では、導光体の集光性を高めた結果、照明光の合成光量分布が先鋭となり、以下のような副作用が生じる。
図9は、従来のCISユニットを用いた高速のシートフィード型の画像読取装置を示す断面図である。この画像読取装置には、原稿支持体18と対向するようにして圧板27が設けられており、原稿支持体18と圧板27との間の空間が紙搬送路28となっている。また、紙搬送路28を挟むようにして原稿搬送ローラー25が設けられており、原稿搬送ローラー25により原稿26が紙搬送路28内を搬送される。圧板27の高さは、紙搬送路28の中央に原稿側焦点Aが位置するように設定されている。
このようなCISユニットを用いた高速のシートフィード型の画像読取装置では、紙搬送路28を原稿26が通過する時に、レンズアレイ12の光軸方向に対して原稿26の位置が、原稿側焦点Aを基準として遠近両方向(レンズアレイ12の光軸方向)で変動する。紙搬送路28の幅Pは原稿26が揺れてその位置が変動する最大幅を意味している。そして、原稿26の位置がレンズアレイ12の光軸方向で変動すると、原稿26の表面はレンズアレイ12の光軸に対して垂直であるため、原稿26の表面上の照明光量が変化してしまう。このため、原稿26の濃度が均一であっても、読取装置の出力画像には読取り位置の高さの変動に依存した濃度変動が発生しやすい。
また、従来のフラットベッド型の画像読取装置においても、上述のように、一般に、表面に凹凸のある原稿を容易に読取れるように、レンズアレイ12の原稿側焦点Aは原稿支持体18の原稿側表面位置よりも上方に設定されている。このため、原稿の位置がレンズアレイ12の光軸方向で変動した場合に濃度変動が発生しやすい。
このような濃度変動を抑制するために、レンズの被写界深度範囲内において、照明光の光量変動の許容範囲を10%以内にすることが求められている。
そこで、特許文献2(特許第2848477号公報)には、2系統の光源を配置し、各光源の照射位置を受光素子の光軸上において上下方向にずらすことにより、結像手段の被写界深度の範囲内で原稿面の照度がほぼ一定となるようにすることが記載されている。このような構成では、合成光量分布が平坦化され、原稿の位置ずれが生じたとしても、読取り光量の変動が抑制される。
しかしながら、この構成では、光量分布の均一性は向上しているが、合成光量自体は増加しておらず、高速な読取に好適であるとはいえない。
このように、複数の光源を用いた場合、合成光量を大きくすることと、その光量分布を均一にすることとの間には、トレードオフの関係性がある。つまり、均一性を重視すると合成光量分布の先鋭性が減少してピーク光量が減少してしまう。
【特許文献1】 特開2002−57853号公報
【特許文献2】 特許第2848477号公報
【発明の開示】
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、高い照射光量を得ながら、原稿の高さの変動に伴う読取り光量の変動を抑制することができるイメージセンサーユニット及び画像読取装置を提供することを目的とする。
本発明に係るイメージセンサーユニットは、原稿を照明する第1及び第2の照明装置と、原稿からの反射光を結像する結像手段と、前記反射光を電気信号に変換する画素を複数備えたセンサーアレイと、を有するイメージセンサーユニットであって、前記第1及び第2の照明装置は、前記結像手段の両側に互いに対向して配置されており、前記結像手段の有効被写界深度をaとすると、前記結像手段の光軸に沿った各照明装置の光量分布曲線の90%値幅はいずれもa以上であり、前記第1の照明装置からの出射光の光軸と前記結像手段の光軸との第1の交点は、前記結像手段の原稿側焦点よりも前記結像手段に近く位置しており、前記第2の照明装置からの出射光の光軸と前記結像手段の光軸との第2の交点は、前記結像手段の原稿側焦点よりも前記結像手段から遠く位置しており、前記第1及び第2の交点と前記原稿側焦点との距離は、いずれもa/2以下であることを特徴とする。
本発明においては、第1及び第2の交点が原稿側焦点を基準として互いに異なる方向にずれているため、結像手段の光軸に沿った合成光量の変動が抑制される。また、ずれの大きさ及び各照明装置の光量分布曲線が適切に規定されているため、結像手段の有効被写界深度aの範囲内での光量変動が10%以内となると共に、合成光量のピーク値は照明装置が1つのときの180%以上となる。従って、高い照射光量が得られると共に、原稿の高さの変動に伴う読取り光量の変動が抑制される。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るCISユニットの構成を示す断面図である。
図2は、光軸及び照明装置5の光量分布曲線の90%値幅を示す模式図である。
図3は、原稿支持体18の表面からの高さdLと種々の相対光量との関係を示すグラフである。
図4は、原稿支持体18の表面からの高さdLと1個の照射装置の照射光量を基準としたときの相対光量との関係を示すグラフである。
図5は、本発明の第2の実施形態に係るCISユニットの構成を示す断面図である。
図6は、本発明の第3の実施形態に係るCISユニットの構成を示す断面図である。
図7は、本発明の第4の実施形態に係るフラットベッド型イメージスキャナの外観を示す斜視図である。
図8は、従来のCISユニットの構成を示す断面図である。
図9は、従来のCISユニットを用いた高速のシートフィード型の画像読取装置を示す断面図である。
図10は、特許文献2に記載の構成(従来技術)を示す模式図である。
図11は、図10に示す構成で得られる光量分布曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して具体的に説明する。
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るCISユニットの構成を示す断面図である。本実施形態においては、フレーム1に、原稿を照明する照明装置5及び6が支持されている。フレーム1の下方には、原稿の光学像を電気信号に光電変換する受光部を複数備えたセンサーアレイ3を搭載したセンサー基板4が取り付けられており、フレーム1には、原稿の光学像をセンサーアレイ3上に結像するレンズアレイ(結像手段)2も支持されている。センサーアレイ3はレンズアレイ2のセンサー側焦点に位置している。また、センサー基板4の下方には、センサーアレイ3と外部機器とを接続するコネクタ7が取り付けられている。更に、照明装置5及び6には、LED(図示せず)が光源として設けられている。
照明装置5及び6は互いにレンズアレイ2を挟んで対向して配置されている。また、レンズアレイ2の光軸Z1と照明装置5の光軸Z2の基点5aとの水平距離x1が、光軸Z1と照明装置6の光軸Z3の基点6aとの水平距離x2よりも短い。更に、本実施形態では、照明装置5は、その光軸Z2と光軸Z1との交点Bが、レンズアレイ2の原稿側焦点Aよりレンズアレイ2に近くなるように配置されている。一方、照明装置6は、その光軸Z3と光軸Z1との交点Cが、レンズアレイ2の原稿側焦点Aよりレンズアレイ2から遠くなるように配置されている。
また、焦点Aと交点Bとの距離、及び焦点Aと交点Cとの距離は、互いに実質的に等しくなるように、照明装置5及び6が配置されている。更に、レンズアレイ2の有効被写界深度をaとすると、焦点Aと交点Bとの距離及び焦点Aと交点Cとの距離は、いずれもa/2以下である。
更に、レンズアレイ2の光軸に沿った照明装置5及び6の光量分布曲線の90%値幅は、いずれもa以上である。ここで、図2を参照しながら、光軸及び照明装置5の光量分布曲線の90%値幅について説明する。
レンズアレイ2の光軸Z1とは、レンズアレイ2の原稿側焦点Aとセンサー側焦点Dとを結んだ直線をいう。また、照明装置5の光軸Z2とは、照明装置5からの出射光の光軸でもあり、図2に示すように、原稿支持体(図示せず)からの原稿面Oの高さを変化させながら出射光を原稿面Oに投射したときに、原稿面Oと直交する方向への反射光の光量分布曲線Sのピーク位置を結んだ線をいう。なお、センサーアレイ3は、センサー側焦点Dに配置されている。
また、照明装置5の光量分布曲線の90%値幅とは、レンズアレイ2の光軸Z1に沿って原稿面Oを移動させたときの光軸Z1と原稿面Oとの交点(読み取り点)における照明光強度の分布を示す分布曲線I(Z)において、その照明光強度がピーク値の90%以上となる原稿面Oの移動範囲の幅Wをいう。
照明装置6の光軸Z3及び光量分布曲線の90%値幅についても同様である。
なお、基点5a及び5bのレンズアレイ2の光軸方向における高さは互いに一致している。
このようなCISユニットは、原稿を支持する透明な原稿支持体8の下方に取り付けて用いられる。
このように構成された第1の実施形態に係るCISユニットでは、原稿が焦点A付近に位置する時には、照明装置5及び6からの照明光量は、互いにほぼ等しくなり、これらの総和が原稿に照射される。
この状態から原稿が焦点Aよりもレンズアレイ2側にずれると、照明装置5からの照明光量が増加すると共に、照明装置6からの照明光量が減少し、これらの総和が原稿に照射される。
一方、原稿が焦点Aよりもレンズアレイ2から離間する方向にずれると、照明装置5からの照明光量が減少すると共に、照明装置6からの照明光量が増加し、これらの総和が原稿に照射される。
従って、原稿が焦点Aからレンズアレイ2の光軸Z1に沿ってどちらの方向に移動したとしても、つまり原稿支持体8からの原稿の高さが変動したとしても、照明装置5及び6からの照射光量の変動は互いに相殺され、原稿に照射される合成光量はほとんど変動しない。この結果、本実施形態によれば、画像読取装置の出力画像に発生する濃度変動を軽減することができる。
次に、実際に本願発明者が第1の実施形態と同様の構造のCISユニットを備えたシートフィード型画像読取装置を作製し、光量分布を測定した結果について説明する。
このシートフィード型画像読取装置においては、レンズアレイ2の有効被写界深度aを±0.3mm、紙搬送時の位置変動幅Pを0.6mmとし、レンズアレイ2の原稿側焦点Aの位置を原稿支持体18の表面から0.3mm離れた点とした。
この場合、レンズアレイ2の光軸方向における原稿の位置変動は、原稿側焦点Aを基準にして最大±0.3mm発生することになる。よって、この範囲で照明光量分布の変動が小さいことが要求される。
また、光軸Z1と照明装置5内の基点5aとの距離x1を、光軸Z1と照明装置6内の基点6aとの距離x2よりも0.3mm程度小さくした。
図3に、上述のようにして作製したシートフィード型画像読取装置(実施例)及び図8に示す構造を採用したシートフィード型画像読取装置(従来例)の被写界深度特性(照明深度特性)を示す。図3は、原稿支持体18の表面からの高さdLと種々の相対光量との関係を示すグラフである。
従来例の相対的な光量分布曲線(●と実線)では、原稿の位置変動幅Pである±0.3mmの範囲内において、約5%の光量変動が発生していた。これに対し、実施例の相対的な光量分布曲線(○と実線)における光量変動は約2%と極めて小さかった。
ここで、実施例の光量分布は、照明装置5による相対的な光量分布と照明装置6による相対光量分布との合成から得られたものである。
なお、図3に示す相対光量は、照明装置5からの照明光の光量の分布、照明装置6からの照明光の光量の分布、実施例で得られる光量分布及び従来例で得られる光量分布について、夫々最大となる光量を基準としたときの相対的な光量である。
図4は、原稿支持体18の表面からの高さdLと1個の照射装置の照射光量を基準としたときの相対光量との関係を示すグラフである。
従来例では、2個の照明装置の焦点位置を一致させているため、それらを合成して得られる光量分布のピーク光量は2.0と大きかったが、光量分布の先鋭性が大きかった。このため、原稿の位置ずれによって急激に光量が変動した。
これに対し、実施例では、ピーク光量(1.91)は従来例よりも若干小さいものの、光量分布曲線の先鋭性が小さく、レンズアレイ2の被写界深度内における光量変化が著しく低減されていた。つまり、原稿の位置ずれが生じても、光量の変動は小さい。従って、読取光量の誤差も小さくなる。また、ピーク光量が1.9であれば、十分な高速読取りが可能である。
このように、第1の実施形態によれば、レンズアレイ2の原稿側焦点Aから交点B及びCがずらされているため、なだらかな光量分布曲線が得られる。
また、原稿側焦点Aと交点B及びCとのずれの大きさを、レンズアレイ2の被写界深度をaとしたときに、a/2以下とすると共に、照明装置5及び6からの各照射光の光量分布曲線の90%値幅をa以上としているため、照明装置5及び6からの各照射光のピーク光量を1とすると、原稿に照射される光のピーク光量は少なくとも1.8となる。従って、十分な光量が得られ、高速の読取りが可能となる。これに対し、ずれの大きさがa/2を超えているか、又は光量分布曲線の90%値幅がa未満であると、照明装置5からの照射光と照明装置6からの照射光とを足し合わせても、十分なピーク光量が得られないことが懸念される。
ずれの大きさは、上述のように、被写界深度をaとしたとき、±a/2以内であることが好ましいが、この範囲内で若干変動していても同様の効果を得ることができる。
つまり、第1の実施形態においては、レンズアレイ2の原稿側焦点Aから交点B及びCがずらされているだけでなく、そのずれの大きさ及び照明装置5及び6からの照射光の光量分布曲線が適切に規定されているため、十分な合成光量を確保しながら、なだらかな光量分布曲線を得ることができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係るCISユニットの構成を示す断面図である。なお、図1に示す第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付している。
本実施形態では、センサーアレイ3の表面からの基点5aの高さh1が、センサーアレイ3の表面からの基点6aの高さh2よりも低い。更に、本実施形態でも、照明装置5は、その光軸Z2と光軸Z1との交点Bが、レンズアレイ2の原稿側焦点Aよりレンズアレイ2に近くなるように配置され、照明装置6は、その光軸Z3と光軸Z1との交点Cが、レンズアレイ2の原稿側焦点Aよりレンズアレイ2から遠くなるように配置されている。
また、本実施形態においても、焦点Aと交点Bとの距離、及び焦点Aと交点Cとの距離は、互いに実質的に等しくなるように、照明装置5及び6が配置されている。更に、レンズアレイ2の有効被写界深度をaとすると、焦点Aと交点Bとの距離及び焦点Aと交点Cとの距離は、いずれもa/2以下である。
このように構成された第2の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図6は、本発明の第3の実施形態に係るCISユニットの構成を示す断面図である。なお、図1に示す第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付している。
本実施形態では、光軸Z1と基点5a及び5bとの距離は同一であり、また、センサーアレイ3の表面からの基点5a及び5bの高さも同一であるが、フレーム1の照明装置5を支持する部分が内側に傾斜しており、フレーム1の照明装置6を支持する部分が外側に傾斜している。このため、第1の実施形態と比較すると、照明装置5及び6が時計の回転方向に回転移動させられ、また、それらからの照明光の光軸Z2及びZ3も時計の回転方向に回転移動させられている。このため、光軸Z2と光軸Z1とがなす角度と光軸Z3と光軸Z1とがなす角度とが相違している。更に、本実施形態でも、照明装置5は、その光軸Z2と光軸Z1との交点Bが、レンズアレイ2の原稿側焦点Aよりレンズアレイ2に近くなるように配置され、照明装置6は、その光軸Z3と光軸Z1との交点Cが、レンズアレイ2の原稿側焦点Aよりレンズアレイ2から遠くなるように配置されている。
また、本実施形態においても、焦点Aと交点Bとの距離、及び焦点Aと交点Cとの距離は、互いに実質的に等しくなるように、照明装置5及び6が配置されている。更に、レンズアレイ2の有効被写界深度をaとすると、焦点Aと交点Bとの距離及び焦点Aと交点Cとの距離は、いずれもa/2以下である。
このように構成された第3の実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態は、第1乃至第3の実施形態のいずれかを用いたフラットベッド型イメージスキャナ(画像読取装置)である。図7は、本発明の第4の実施形態に係るフラットベッド型イメージスキャナの外観を示す斜視図である。
第4の実施形態では、筐体72の内部にCISユニット71が収納され、更に筐体72内にCISユニット71を移動させるための駆動モータ74及びワイヤ75が設けられている。筐体72の上面にはガラス板76が原稿支持体として貼り付けられている。また、筐体72の端部には、原稿の圧板77が開閉可能に取り付けられている。
このように構成された本実施形態では、駆動モータ74を駆動させてワイヤ75を機械的に動かすことにより、CISユニット71は読取方向(走査方向)に移動して原稿の画像を読取ることができる。CISユニット71は照明部が一体に組み込まれたセンサーユニットとして構成され、光で照らされた原稿からの反射光はCISユニット71中のレンズアレイ(図示せず)によって光電変換素子に集光され、1走査ライン毎に画像情報として出力される。このようにして、シート状の画像情報を読取り出力することが可能となる。
第4の実施形態に係るイメージスキャナでは、CISユニット71が備えられているため、原稿用紙の位置変動や凹凸による影響を受けにくく、安定した画像情報を出力することができる。
本願発明者が、実際に第4の実施形態と同様の構成のイメージスキャナを作製したところ、このイメージスキャナで得られた読取画像の濃度分布は、従来のものと比べて著しく改善されており、原稿に凹凸がある場合にも良好な読取画像が得られた。更に、光量が上がるため、スキャナの読取速度を従来に比べて約2倍に上げても良好な画像が得られた。
次に、特許文献2に記載の構成(従来技術)を採用した場合に得られる光量について説明する。図10は、特許文献2に記載の構成を示す模式図である。また、図11は、図10に示す構成で得られる光量分布曲線を示すグラフである。
この構成では、特許文献2に記載の発明の目的を最もよく達成できるように、照明装置16a及び16bとして、照射光の光量分布曲線の半値幅がレンズアレイ12の被写界深度aと一致するものを用いると共に、各照明装置からの照射光の光軸が、レンズアレイ12の光軸に平行な方向において焦点Aからa/2ずつずれるように照明装置16a及び16bの高さを決定した。
そして、このような構成で得られる合成光量分布曲線(図11中の実線)では、ピーク形状が平坦となり、被写界深度aにおける原稿上の光量変動dIは約2%に改善されてピーク形状が平坦となり、合成光量分布の平坦化が最もよく実現することができる。
しかし、2系統の光源が用いているにも拘わらず、図11に示すように、合成光量は光源が1系統のときよりも5%増加しているに過ぎない。従って、特許文献2に記載の発明のように、単に、合成光量分布を平坦化することのみを考慮して光軸同士の照射装置の高さをずらしただけでは、高速読み取りを行うために、原稿上の合成照射光量が不十分となる。
【産業上の利用可能性】
本発明によれば、高い照射光量を得ることができると共に、原稿の高さの変動に伴う読取り光量の変動を抑制することができる。従って、スキャナ等の画像読取装置における読取速度の高速化に対応することができる。また、被写界深度範囲内で読取画像の濃度分布を低減できる。このため、高速スキャナ等の画像読取装置に対して有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を照明する第1及び第2の照明装置と、
原稿からの反射光を結像する結像手段と、
前記反射光を電気信号に変換する画素を複数備えたセンサーアレイと、
を有するイメージセンサーユニットであって、
前記第1及び第2の照明装置は、前記結像手段の両側に互いに対向して配置されており、
前記結像手段の有効被写界深度をaとすると、前記結像手段の光軸に沿った各照明装置の光量分布曲線の90%値幅はいずれもa以上であり、
前記第1の照明装置からの出射光の光軸と前記結像手段の光軸との第1の交点は、前記結像手段の原稿側焦点よりも前記結像手段に近く位置しており、
前記第2の照明装置からの出射光の光軸と前記結像手段の光軸との第2の交点は、前記結像手段の原稿側焦点よりも前記結像手段から遠く位置しており、
前記第1及び第2の交点と前記原稿側焦点との距離は、いずれもa/2以下であることを特徴とするイメージセンサーユニット。
【請求項2】
前記結像手段の光軸に垂直な方向における前記第1及び第2の照明装置と前記結像手段との距離が相違していることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサーユニット。
【請求項3】
前記結像手段の光軸に平行な方向における前記第1及び第2の照明装置の位置が相違していることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサーユニット。
【請求項4】
前記第1及び第2の照明装置からの照射光の光軸と前記結像手段の光軸とがなす角度が相違していることを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサーユニット。
【請求項5】
前記第1及び第2の交点と前記原稿側焦点との距離は、実質的に等しいことを特徴とする請求項1に記載のイメージセンサーユニット。
【請求項6】
原稿を照明する第1及び第2の照明装置と、
原稿からの反射光を結像する結像手段と、
前記反射光を電気信号に変換する画素を複数備えたセンサーアレイと、
を有するイメージセンサーユニットを備えた画像読取装置であって、
前記第1及び第2の照明装置は、前記結像手段の両側に互いに対向して配置されており、
前記結像手段の有効被写界深度をaとすると、前記結像手段の光軸に沿った各照明装置の光量分布曲線の90%値幅はいずれもa以上であり、
前記第1の照明装置からの出射光の光軸と前記結像手段の光軸との第1の交点は、前記結像手段の原稿側焦点よりも前記結像手段に近く位置しており、
前記第2の照明装置からの出射光の光軸と前記結像手段の光軸との第2の交点は、前記結像手段の原稿側焦点よりも前記結像手段から遠く位置しており、
前記第1及び第2の交点と前記原稿側焦点との距離は、いずれもa/2以下であることを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
前記結像手段の光軸に垂直な方向における前記第1及び第2の照明装置と前記結像手段との距離が相違していることを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記結像手段の光軸に平行な方向における前記第1及び第2の照明装置の位置が相違していることを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の照明装置からの照射光の光軸と前記結像手段の光軸とがなす角度が相違していることを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記第1及び第2の交点と前記原稿側焦点との距離は、実質的に等しいことを特徴とする請求項6に記載の画像読取装置。

【国際公開番号】WO2005/053307
【国際公開日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【発行日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−510912(P2005−510912)
【国際出願番号】PCT/JP2003/015147
【国際出願日】平成15年11月27日(2003.11.27)
【特許番号】特許第3885088号(P3885088)
【特許公報発行日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000104629)キヤノン・コンポーネンツ株式会社 (49)
【Fターム(参考)】