説明

インク、印刷体の製造方法及び銀鏡印刷体の製造方法

【課題】
密着性に優れ、簡便に印刷体を得るためのケイ素−酸素結合を有する基材用のインクを提供することである。
【解決手段】
ケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷するためのインクであって、ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)、着色顔料(B)及び溶媒(C)を含有してなることを特徴とするインクを用いる。上記のインクをケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷して印刷基材を得る印刷工程(1)、印刷基材を研磨して研磨体を得る工程(2)、銀鏡反応により研磨体に銀鏡面を形成する銀引工程(3)、銅メッキにより形成された銀鏡面に銅皮膜を形成するメッキ工程(4)、銅皮膜に防錆塗料を塗布して硬化させて保護皮膜を形成して銀鏡印刷体を得る防錆工程(5)を含むことを特徴とする銀鏡印刷体の製造方法を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク、印刷体の製造方法及び銀鏡印刷体の製造方法に関する。さらに詳しくは、インクジェット方式用のインク、このインクを用いた印刷体の製造方法及びこのインクを用いた銀鏡印刷体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷するためのインクとしては、紫外線硬化性樹脂インク(特許文献1)やスクリーン印刷用のインク(たとえば、特許文献2)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−11953号公報
【特許文献2】特開平9−175838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された紫外線硬化性樹脂インクでは密着性が不十分であるという問題がある。一方、特許文献2に記載されたようなスクリーン印刷用のインクでは、着色する色の数だけ印刷を繰り返す必要があることや、印刷精度を維持するための熟練技術が必要であること等の問題がある。
本発明の目的は、密着性に優れ、簡便に印刷体を得るためのケイ素−酸素結合を有する基材用のインクを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のインクの特徴は、ケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷するためのインクであって、
ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)、着色顔料(B)及び溶媒(C)を含有してなる点を要旨とする。
【0006】
本発明の印刷体の製造方法の特徴は、上記のインクをケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷する印刷工程(1)を含む点を要旨とする。
【0007】
本発明の銀鏡印刷体の製造方法の特徴は、上記のインクをケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷して印刷基材を得る印刷工程(1)、
印刷基材を研磨して研磨体を得る研磨工程(2)、
銀鏡反応により研磨体に銀鏡面を形成する銀引工程(3)、
形成された銀鏡面に銅メッキにより銅皮膜を形成するメッキ工程(4)、
銅皮膜に防錆塗料を塗布して硬化させて保護皮膜を形成して銀鏡印刷体を得る防錆工程(5)を含む点を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のインクは、ケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷した場合、密着性に優れる。また、インクジェット方式の印刷ができるため、簡便に多色印刷することができる。
【0009】
本発明の印刷体の製造方法は、上記のインクを用いるため、密着性に優れた印刷体を容易に得ることができる。また、インクジェット方式の印刷ができるため、簡便に多色印刷することができる。
【0010】
本発明の銀鏡印刷体の製造方法は、上記のインクを用いるため、密着性に優れた銀鏡印刷体を容易に得ることができる。また、インクジェット方式の印刷ができるため、簡便に多色印刷することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ケイ素−酸素結合を有する基材(X)としては、ケイ素−酸素結合を有する基材であれば制限なく、硝子又はセラミックスからなる基材が含まれる。
【0012】
硝子としては、ソーダ石灰ガラス、カリガラス、クリスタルガラス、石英ガラス、鉛ガラス及び硼珪酸ガラス等が挙げられる。セラミックスとしては、陶器及び磁器等が挙げられる。
【0013】
ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)としては、ヒドロキシシリル基(HO−Si−)を持つ樹脂であれば制限なく、ヒドロキシシリル基を持つポリウレタン、ヒドロキシシリル基を持つアクリル樹脂及びヒドロキシシリル基を持つアクリル−ウレタン樹脂が含まれる。
【0014】
ヒドロキシシリル基を持つポリウレタンとしては、公知の樹脂(特許第3970955号公報、特開2001−278936号公報、特開2009−235257号公報等)等が使用でき、市場から容易に入手できる(たとえば、タケラックWシリーズ及びタケラックWSシリーズ;三井化学株式会社、「タケラック」は同社の登録商標である。)。
【0015】
ヒドロキシシリル基を持つアクリル樹脂としては、公知の樹脂等が使用でき、市場から容易に入手できる(たとえば、シーラスシリーズ;東亞合成株式会社、「シーラス」は同社の登録商標である。)。
【0016】
ヒドロキシシリル基を持つアクリル−ウレタン樹脂としては、公知の樹脂等が使用でき、市場から容易に入手できる。
【0017】
ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)の含有量(重量%)は、ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)、着色顔料(B)及び溶媒(C)の重量に基づいて、5〜27が好ましく、さらに好ましくは9.5〜20である。この範囲であると、ケイ素−酸素結合を有する基材とインクとの密着性がさらに良好となる。
【0018】
着色顔料(B)としては、公知の顔料が使用でき、無機顔料及び有機顔料が含まれる。
【0019】
無機顔料としては、白色顔料{亜鉛華、鉛白、リトポン、二酸化チタン、沈降性硫酸バリウム及びバライト粉等}、赤色顔料{鉛丹及び酸化鉄赤等}、黄色顔料{黄鉛及び亜鉛黄等}、青色顔料{ウルトラマリン青及びフェロシアン化鉄カリウム等}及び黒色顔料{カーボンブラック等}等が挙げられる。
【0020】
有機原料としては、青色顔料{銅フタロシアニン(ピグメントブルー15)、インダススレンブルー(ピグメントブルー22)及びバットブルー4等}、緑色顔料{ピグメントグリーン1及びバットグリーン1等}、紫色顔料{ジオキサジンバイオレット、ピグメントバイオレット19、ピグメントバイオレット3、ピグメントバイオレット5、バットバイオレット1、バットバイオレット3及びバットバイオレット10等}等が挙げられる。
【0021】
着色顔料(B)の含有量(重量%)は、ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)、着色顔料(B)及び溶媒(C)の重量に基づいて、0.3〜3が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5である。この範囲であると、ケイ素−酸素結合を有する基材とインクとの密着性がさらに良好となる。
【0022】
溶媒(C)としては、有機溶媒(c1)及び水(c2)が含まれる。
有機溶媒(c1)としては、アミド、アルコール、ケトン、エステル及びエーテルが含まれる。
【0023】
アミドとしては、炭素数4〜14の環状アミド(2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−ヘキシルピロリドン及びN−デシルピロリドン等)、炭素数2〜8の直鎖状アミド(N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド及びN−フェニル−N−メチルホルムアミド等)等が挙げられる。
【0024】
アルコールとしては、炭素数1〜10のアルコール等が使用でき、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0025】
ケトンとしては、炭素数3〜6のケトン等が使用でき、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン及びジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0026】
エステルとしては、炭素数4〜10のエステル等が使用でき、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0027】
エーテルとしては、炭素数4〜10のエーテル等が使用でき、エチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
【0028】
水(c2)としては、水道水、工業用水、蒸留水、イオン交換水、地下水、海水又は温泉水等が挙げられる。
【0029】
溶媒(C)としては、有機溶媒(c1)及び水(c2)の両方を含むことが好ましい。溶媒(C)として、有機溶媒(c1)及び水(c2)の両方を含む場合、有機溶媒(c1)及び水(c2)の含有重量比(c1/c2)は、0.15〜0.7が好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.6である。
【0030】
溶媒(C)の含有量(重量%)は、ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)、着色顔料(B)及び溶媒(C)の重量に基づいて、70〜94が好ましく、さらに好ましくは78.5〜90である。この範囲であると、ケイ素−酸素結合を有する基材とインクとの密着性がさらに良好となる。
【0031】
本発明のインクには、さらに、本発明の効果を損なわない範囲(含有量、含有種類)内で他の添加剤を含有してもよい。他の添加剤としては、インクに添加される公知の添加剤等が使用でき、界面活性剤{分散剤、消泡剤、レベリング剤及び粘性改良剤等}、硬化剤、酸化防止剤及び紫外線吸収剤が含まれる。
【0032】
本発明のインクは、ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)、着色顔料(B)及び溶媒(C)、並びに必要により他の添加剤が均一に混合されていれば、製造方法に制限はなく、公知の方法で均一混合して製造できる。
【0033】
本発明のインクは、有版式印刷{凸版印刷(樹脂凸版印刷及びフレキソ印刷等)、凹版印刷(グラビア印刷等)、平版印刷(オフセット印刷等)及び孔版印刷(スクリーン印刷及び謄写版(ガリ版)印刷等)等}及び無版式印刷{インクジェット印刷及びディスペンサー印刷等}のいずれの印刷方式にも適用できる。これらのうち、無版式印刷に好適であり、さらにインクジェット式印刷に最適である。
【0034】
本発明の印刷体の製造方法は、上記のインクをケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷する印刷工程(1)を含めば、当然に他の公知の工程{加熱処理工程、乾燥工程等}を含んでもよい。加熱処理工程や乾燥工程は、溶媒(c)を留去できる程度の条件であればよく、温度としては、100〜200℃程度が好ましく、さらに好ましくは105〜150℃程度であり、時間としては、0.1〜5時間程度が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1時間程度である。
【0035】
印刷工程(1)において、上記のインクをケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷する方法としては、有版式印刷及び無版式印刷のいずれでもよいが、無版式印刷が好ましく、さらに好ましくはインクジェット式印刷である。
【0036】
本発明の銀鏡印刷体の製造方法は、上記のインクをケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷して印刷基材を得る印刷工程(1)、印刷基材を研磨して研磨体を得る工程(2)、銀鏡反応により研磨体に銀鏡面を形成する銀引工程(3)、銅メッキにより形成された銀鏡面に銅皮膜を形成するメッキ工程(4)、銅皮膜に防錆塗料を塗布して硬化させて保護皮膜を形成して銀鏡印刷体を得る防錆工程(5)を含めば、当然に他の公知の工程{加熱処理工程、乾燥工程等}を含んでもよい。
【0037】
印刷工程(1)では、上記の印刷体の製造方法をそのまま適用することができる。
【0038】
研磨工程(2)は、印刷基材を研磨して研磨体を得ることができれば、公知の研磨方法等が適用できる。
【0039】
銀引工程(3)は、銀鏡反応により研磨体に銀鏡面を形成することができれば、公知の銀引方法等が適用できる。
【0040】
メッキ工程(4)は、形成された銀鏡面に銅メッキにより銅皮膜を形成することができれば、公知のメッキ方法等が適用できる。
【0041】
防錆工程(5)は、銅皮膜に防錆塗料を塗布して硬化させて保護皮膜を形成して銀鏡印刷体を得ることができれば、公知の防錆方法等が適用できる。
【0042】
本発明の銀鏡印刷体の製造方法で得られる銀鏡印刷体は、装飾硝子や装飾セラミックス等として、各種産業分野で利用できる。
【実施例】
【0043】
以下、特記しない限り、%は重量%を意味し、部は重量部を意味する。
<実施例1>
ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(a1){タケラックWS−5100、三井化学株式会社、不揮発分30%}66.6部、着色顔料(b1){FUJI SP YELLOW4356、冨士色素株式会社、不揮発分18.5%}7.5部、溶媒(c11){N−メチルピロリドン}15部及び溶媒(c21){イオン交換水}10.9部を約25℃で均一攪拌混合した後、孔径1μmのメンブランフィルターでろ過して、本発明のインク(1)を得た。
【0044】
<実施例2>
ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(a1){タケラックWS−4000、三井化学株式会社、不揮発分30%}47.4部、着色顔料(b1){FUJI SP MAGENTA9430、冨士色素株式会社、不揮発分20%}5.3部、溶媒(c12){ジプロピレングリコールモノメチルエーテル}21.1部及び溶媒(c21){イオン交換水}26.3部を約25℃で均一攪拌混合した後、孔径1μmのメンブランフィルターでろ過して、本発明のインク(2)を得た。
【0045】
<実施例3>
ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(a1){シーラスPC−551、東亞合成株式会社、不揮発分30%}66.6部、着色顔料(b2){FUJI SP YELLOW4356、冨士色素株式会社、不揮発分18.5%}2.7部、溶媒(c13){エチレングリコール}30部及び溶媒(c21){イオン交換水}0.7部を約25℃で均一攪拌混合した後、孔径1μmのメンブランフィルターでろ過して、本発明のインク(3)を得た。
【0046】
<実施例4>
ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(a1){タケラックWSA−5920、三井化学株式会社、不揮発分30%}31.6部、着色顔料(b1){FUJI SP MAGENTA9430、冨士色素株式会社、不揮発分20%}2.5部、溶媒(c12){ジプロピレングリコールモノメチルエーテル}30部及び溶媒(c21){イオン交換水}35.9部を約25℃で均一攪拌混合した後、孔径1μmのメンブランフィルターでろ過して、本発明のインク(4)を得た。
【0047】
<比較例1>
樹脂(ha1){プライマルJP−120S、ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社、アクリル・シリコーンエマルション、不揮発分50%}40部、着色顔料(b1){FUJI SP YELLOW4356、冨士色素株式会社、不揮発分18.5%}7.5部、溶媒(c11){N−メチルピロリドン}15部及び溶媒(c21){イオン交換水}37.5部を約25℃で均一攪拌混合した後、孔径1μmのメンブランフィルターでろ過して、比較用のインク(H1)を得た。
【0048】
実施例及び比較例で得たインクについて、ソーダ石灰硝子(150mm×200mm×2mm)に、インクジェットプリンターで乾燥インク厚が50μmとなるように150mm×150mmの大きさでベタ印刷し、このベタから5mm離して2mmの線を印刷し、150℃、30分間加熱処理してから、100mm×100mmの大きさに切り出して評価用試料を調製した。この評価試料について、以下のようにして、硬度、密着性、耐酸性、耐アルカリ性、耐温水性及び耐溶剤性を評価し、これらの結果を下表に示した。
【0049】
<膜厚>
ディップスゲージで測定した。
【0050】
<硬度>
三菱鉛筆ユニを用いて、JIS K5600−5−4:1999の「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法)」に準拠して評価した。
【0051】
<密着性>
JIS K5600−5−6:1999の「塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第6節:付着性(クロスカット法)」に準拠して評価した。
【0052】
<耐酸性>
5%塩酸水溶液を用いて、25℃、8時間の条件で、JIS K5600−6−1:1999の「塗料一般試験方法−第6部:塗膜の化学的性質−第1節:耐液体性(一般的方法)」の7.(方法1)に準拠して評価した。
【0053】
<耐アルカリ性>
5%苛性ソーダ水溶液を用いて、25℃、8時間の条件で、JIS K5600−6−1:1999の「塗料一般試験方法−第6部:塗膜の化学的性質−第1節:耐液体性(一般的方法)」の7.(方法1)に準拠して評価した。
【0054】
<耐温水性>
イオン交換水を用いて、60℃、10日間の条件で、JIS K5600−6−1:1999の「塗料一般試験方法−第6部:塗膜の化学的性質−第1節:耐液体性(一般的方法)」の7.(方法1)に準拠して評価した。
【0055】
<耐溶剤性>
洗浄剤としてキシレンを、研磨パットとしてガーゼを用いて、25℃の条件で、JIS K5600−5−11:1999の「規格名称 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第11節:耐洗浄性」に準拠して評価した。
【0056】
【表1】


【0057】
なお、密着性は、JIS K5600−5−6:1999に準拠して、0〜5段階に分類され、「0」は「カットの縁が完全になめらかで、どの格子の目にもはがれがない。」であり、「4」は「塗膜がカットの縁の沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は数カ所の目が部分的又は全面的にはがれている。」を意味する。
【0058】
実施例1〜4のインクは、比較例のインクに比較して、著しく密着性に優れていた。なお、密着性以外の性能について(上記の評価試験では)大きな差異が認められなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷するためのインクであって、
ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)、着色顔料(B)及び溶媒(C)を含有してなることを特徴とするインク。
【請求項2】
ケイ素−酸素結合を有する基材(X)が、硝子又はセラミックスからなる基材である請求項1に記載のインク。
【請求項3】
ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)がヒドロキシシリル基を持つポリウレタン、ヒドロキシシリル基を持つアクリル樹脂又はヒドロキシシリル基を持つアクリル−ウレタン樹脂である請求項1又は2に記載のインク。
【請求項4】
溶媒(C)が、有機溶媒(c1)及び水(c2)である請求項1〜3のいずれかに記載のインク。
【請求項5】
ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)、着色顔料(B)及び溶媒(C)の重量に基づいて、ヒドロキシシリル基を持つ樹脂(A)の含有量が5〜27重量%、着色顔料(B)の含有量が0.3〜3重量%、溶媒(C)の含有量が70〜94重量%である請求項1〜4のいずれかに記載のインク。
【請求項6】
印刷がインクジェット式印刷である請求項1〜5のいずれかに記載のインク。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載されたインクをケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷する印刷工程(1)を含むことを特徴とする印刷体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれかに記載されたインクをケイ素−酸素結合を有する基材(X)に印刷して印刷基材を得る印刷工程(1)、
印刷基材を研磨して研磨体を得る研磨工程(2)、
銀鏡反応により研磨体に銀鏡面を形成する銀引工程(3)、
形成された銀鏡面に銅メッキにより銅皮膜を形成するメッキ工程(4)、
銅皮膜に防錆塗料を塗布して硬化させて保護皮膜を形成して銀鏡印刷体を得る防錆工程(5)を含むことを特徴とする銀鏡印刷体の製造方法。

【公開番号】特開2012−201703(P2012−201703A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64590(P2011−64590)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(392023371)株式会社ミラーペイント (1)
【出願人】(500013599)株式会社クヌギザ (1)
【出願人】(598109763)有限会社フロイデ (1)
【Fターム(参考)】