説明

インクの製造方法

【課題】着色剤粒子及び非導電性のキャリア液体を含有し、該着色剤粒子の抵抗率が本来的に低いものである、非導電性のインクの製造方法を提供する。
【解決手段】該製造方法は、該着色剤粒子の表面に抵抗率の高い物質を適用することにより、該粒子に更に高い表面抵抗を付与する工程、及び、処理した着色剤粒子を非導電性のキャリアとブレンドすることにより、非導電性のインクを形成する工程を含む。絶縁性の物質は、ポリマー、ワックス、有機顔料及び染料から選択してよく、着色剤は、カーボンブラック、磁気酸化鉄又は金属粉末であってよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクに関する。特に、本発明は、インクジェット印刷装置に好適なインク、及びそのようなインクに使用する顔料の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1993年6月24日に公開されたオーストラリアPty社のリサーチ・ラボラトリーズの国際公開第9311866号公報には、新規なインクジェット印刷技術が開示されている。この方法は、粒状物質を高濃度で含有するサイズ可変の液滴を形成する手段を提供するものである。この方法によりもたらされる効果として、着色剤物質として顔料を使用したまま数ミクロン程度の液滴を形成することが可能となることがある。これは、液滴のサイズが主として吐出点での電圧及び粒子の帯電能力により制御され、そのためインクジェットノズルのサイズにより制限されないことによる。また、着色剤物質は、放出された液滴中に著しく濃縮されている。従って、軽量で耐水性の粒子による高解像度で高濃度の画像を形成することが可能である。
【0003】
良好なパフォーマンスのためには、上記インクジェット装置に使用するインクが109 Ωcmを越える体積抵抗を有し、駆動された粒子放出が液滴を形成することが可能である必要がある。また、放出される粒子の導電率を十分に低くすることにより、インクの抵抗率を高く維持する必要がある。高レベルの導電性粒子を含有するインクは、プリントするのが困難であり、プリントの安定性が劣る傾向にある。これは、主として、このような導電性粒子が局所的に高濃度化することにより空間的に広がった導電体がシステム内で形成され、該導電体が不適当な場所で形成されると必ずシステムに悪影響を及ぼしうることによるものと考えられる。
導電率が高いため、国際公開第9311866号公報に記載のインクジェット方法において最高のパフォーマンスを得るのに好適でない、工業的に重要なマーキング粒子が多数存在する。それらのうち最も重要なものとしては、カーボンブラック、磁気酸化鉄及び金属粉末があるが、本発明はこれらの粒子及びそのインク用顔料としての使用に限定されるものではない。
【0004】
カーボンブラック(CIピグメント・ブラック7)は、従来の印刷技術において最も広く使用されている黒色顔料である。カーボンブラック顔料は、有機(炭素含有)燃料の不完全燃焼により製造される。該顔料は、通常元素炭素と20%以下の残存揮発性物質からなるが、正確な組成は使用する燃料原料及び製造の方法及び条件による。粒子の導電率又は抵抗率を含むカーボンブラックの表面特性は、存在する揮発性物質の量及び種類に大きく依存することが明らかになっている。
カーボンブラックの望ましい特性としては、不透明性が優れていること、天然の黒色を有すること、酸アルカリセッケン及び溶媒に対する耐性が優れていること、耐光性が極めて高いこと及び比較的安価であることが挙げられる。
これらの特徴から、カーボンブラックは、様々な印刷技術用のマーキング粒子として極めて望ましいものである。しかしながら、カーボンブラックの導電性は本来的に高く、そのため上記印刷技術におけるカーボンブラックインクのパフォーマンスは最高のものではない。
【0005】
磁気酸化鉄は、鉱物磁鉄鉱として天然に産出する。あるいは、鉄の塩の溶液から水和酸化第二鉄を沈降させ、次いで脱水し、更に水素で還元する等の、様々な方法により合成することも可能である。この黒色顔料物質は、強力な永久磁性により特徴付けられる。磁気酸化鉄の工業的用途には、MICR(磁気インク文字認識)情報印刷用の磁気インクの製造がある。
このような磁気酸化鉄は高い導電性を有し、従ってまた、マーキング粒子として有用ではあるが、上記インクジェット印刷技術におけるパフォーマンスは最高のものではない。
【0006】
金属粉末は、金属又は合金からなる。例としては、銅と亜鉛との合金であるCIピグメント・メタル2、及び粉末アルミニウムであるCIピグメント・メタル1がある。金属粉末の印刷の用途としては、装飾マーキング及び導電性回路の印刷がある。金属粉末は言うまでもなく本質的に導電性であると理解され、従って上記インクジェット印刷技術に使用した場合、最高の印刷品質を提供するものではない。
上記の通り、本発明はこれら特定の粒子に限定されるものではない。
本発明の目的は、これらの顔料粒子の導電率を低減する方法、及び、そのように導電率を減少させ、又は抵抗率を増加させた粒子を使用してインクを製造する方法を提供することにある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
カーボンブラック、磁気酸化鉄及び金属粉末及びその他のもの等の導電性粒子を改質し、その導電率を低減させることが可能であることが見出された。これは、導電性顔料を、非導電性又は絶縁性の物質と混合することにより達成される。そのようにして製造した複合マーキング粒子は、導電率は低いが、選択した顔料の良好な印刷品質を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
従って、一つの態様として、本発明は、抵抗率の高い、又は導電率の低い、インクに使用するための粒子の製造方法であって、該粒子が低い抵抗率又は高い導電率を有するものであり、該粒子の表面に絶縁性の物質を適用する工程を含む、前記製造方法に係るものである。但し、該態様は必ずしも本発明の唯一の態様ではなく、あるいは最も広い態様でもない。
【0009】
他の態様として、本発明は、非導電性のインクの製造方法であって、該インクが着色剤粒子及び非導電性のキャリア液体を含有し、該着色剤粒子が抵抗率の低いものであり、該粒子の表面に抵抗率の高い物質を適用することにより、該粒子に更に高い表面抵抗を付与する工程、及び、処理した着色剤粒子を非導電性のキャリアとブレンドすることにより、非導電性のインクを形成する工程を含む、前記製造方法に係るものである。
導電性顔料の表面に適用するのに好適な絶縁性の物質の例には、ポリマー、ワックス、有機顔料及び染料が含まれる。
導電性顔料の表面に適用するのに使用しうるポリマーの例には、ビスフェノールAエポキシ、ノボラックエポキシ及び脂環式エポキシ等のエポキシ樹脂;アクリル酸及びそのエステルのポリマー及びコポリマー、メタクリル酸及びそのエステルのポリマー及びコポリマー等のアクリル樹脂;酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール及びビニルブチラールを含むポリマー及びコポリマー等のビニル樹脂;油、フェノール及びロジン変性アルキド等のアルキド樹脂;及び二量化ペンタエリトリトールロジンエステル等のロジンエステルが含まれる。
【0010】
導電性顔料の表面に適用するのに使用しうるワックスの例には、セラックワックス、蜜蝋、カルナウバワックス及び水素化ヒマシ油等の天然ワックス;パラフィンワックス及び微結晶ワックス等の石油ワックス;モンタンワックス等の鉱物ワックス;ポリエチレンワックス、塩素化炭化水素ワックス及びアミドワックスを含む合成ワックスが含まれる。
導電性顔料の表面に適用するのに使用しうる染料の例には、CIベーシックブルー26等の塩基性染料;CIソルベントブラック29、CIソルベントブルー49及びCIソルベントレッド7等の油溶染料が含まれる。
導電性顔料の表面に適用するのに使用しうる有機顔料の例には、CIピグメントイエロー1、CIピグメントイエロー14、CIピグメントレッド48:2、CIピグメントレッド122、CIピグメントブルー15:3及びCIピグメントブルー18が含まれる。
【0011】
印刷の効果に影響する抵抗率の範囲の例として、抵抗率が100Ωcmから125Ωcmに変化することにより、著しい改良がもたらされることが見出された。特定の粒子についてのパフォーマンスの実際の改良は、当初の抵抗率、表面処理又は被覆の種類、及び必要とされるインクの最終特性に依存すると考えられる。
本発明によるインクジェットインクは、導電率又は抵抗率を改良した粒子を製造した後に、改質した着色剤粒子及び必要に応じ他の成分を非導電性の液体に分散させることにより、製造することができる。インクのパーフォレーションを目的として、ボールミル、アトリッター、コロイドミル、スリーロールミル、パールミル及び高速分散機等の様々な方法を採用することができる。
【0012】
非導電性のキャリア液体は、上記の特性を有する任意の好適な液体であってよく、ヘキサン、シクロヘキサン、イソデカン、イソパール(エクソン製)及びシェルソールT(シェル製)等の脂肪族炭化水素;キシレン、トルエン及びソルベッソ100(エクソン製)等の芳香族炭化水素;ジエチレンクロリド及びクロロホルム等の塩素化溶媒;DC200(ダウ・コーニング製)等のジメチルポリシロキサン及びDC345(ダウ・コーニング製)等の環状ジメチルポリシロキサン等のシリコーン液体又は油;及びオリーブ油、紅花油、ヒマワリ油、大豆油又は亜麻仁油等の植物油などであってよい。
インクに添加してもよい他の成分には、粒子帯電剤、バインダー、粘度安定化剤等が含まれる。
実際に絶縁性の物質を粒子の表面に適用する方法は、適用する絶縁性物質の種類に依存すると考えられる。
【0013】
非導電性の染料を使用する場合、表面処理がなされる粒子が溶解しない溶媒に染料を溶解させ、顔料粒子の表面に染料が吸着するまで、溶解した染料と顔料粒子との混合物をロールミル等によりブレンドしてよい。次いで、粒子から溶媒を除去し、インクの製造に使用しうる表面改質された粒子を得ることができる。
絶縁性の物質がワックスである場合、溶融したワックスと着色剤粒子とをブレンドして粒子をワックス中に分散させ、次いで分散体を放冷し再固化させ、次に固化した材料を粉砕し、本発明によるインクの製造に使用しうる微細な粒子材料を得ることができる。透明なワックスであれば、得られる粒子について知覚される色に影響を及ぼすことはない。
有機顔料を使用する場合、2つの材料を一緒に粉砕して、所望の高い絶縁特性を有する複合粒子を製造してよい。
ポリマーを使用する場合、材料を溶液又は溶融状態で粒子とブレンドし、乾燥及び冷却した後に粒子の表面の少なくとも一部が被覆されるようにしてよい。また、ポリマーのモノマーを粒子とブレンドし、重合して、粒子をポリマーで被覆してもよい。
【0014】
上記の各場合において、被覆の程度は、色等の所望の特性には影響を及ぼさないが、粒子の体積導電率及び配合したインクの総体積抵抗率には有効であるような程度としてよい。
本発明により、前記印刷技術に使用するための非導電性インクにおいて着色剤として使用しうるように表面電気特性を改良した粒子が製造されると考えられる。
本発明について一般的に記載したが、理解を助けるために、カーボンブラックの特性の改良、及び、該改質顔料を使用することによるインクの製造についての実施例を示す。言うまでもなく、磁気酸化鉄及び金属粉末等の他の導電性粒子について、同様の方法を使用することができる。
【実施例】
【0015】
以下の顔料改質手法に記載のように、カーボンブラック粒子を処理した。
顔料改質1
ティンタカーブ300 15g
リフレックス・ブルー3G 3g
変性メチル化アルコール 150g
各成分を500mlのボールジャーに入れ、ミルで3時間ロールし、オープントレイに注いで、スラリーを風乾した。
顔料改質2
ティンタカーブ300 50g
ポリエチレンAC6 50g
ポリエチレンワックスを加熱して(100℃)溶融させ、ティンタカーブを添加して、分散機で15分間混合し、放冷し再固化させた。
顔料改質3
実施例1(着色顔料) 45g
イルガライト・ブルーLGLD 15g
ポリエチレンAC6 40g
ポリエチレンワックスを加熱して(100℃)溶融させ、顔料成分を添加して、分散機で15分間混合し、放冷し再固化させた。
【0016】
コントロールであるカーボンブラックとの比較でこれらの粒子の体積抵抗率を測定した。結果は以下の表に示す通りであった。
試料 改質 体積抵抗率(Ωcm)
ティンタカーブ300 カーボンブラックコントロール 100
顔料改質1 CB+染料 125
顔料改質2 CB+PEワックス 200
顔料改質3 CB+染料+フタロ. 200
ブルー+PEワックス
【0017】
上記のように調製した改質顔料を配合して、以下の実施例に記載のインクを調製した。
インク配合
インク1(コントロール)
ティンタカーブ300 25g
アラルダイトGT6084 25g
FOA−2 5g
DC344 420g
6%ナクストラ・ジルコニウム 25g
全ての成分をボールミルで72時間処理した。
インク2
顔料改質1 25g
アラルダイトGT6084 25g
FOA−2 5g
DC344 420g
6%ナクストラ・ジルコニウム 25g
全ての成分をボールミルで72時間処理した。
インク3
顔料改質2 25g
アラルダイトGT6084 25g
FOA−2 5g
DC344 420g
6%ナクストラ・ジルコニウム 25g
全ての成分をボールミルで72時間処理した。
インク4
顔料改質3 25g
アラルダイトGT6084 25g
FOA−2 5g
DC344 420g
6%ナクストラ・ジルコニウム 25g
全ての成分をボールミルで72時間処理した。
【0018】
国際公開第9311866号公報に記載のインクジェット印刷装置を用いてボンド紙にイメージコピーをすることにより、全てのインク試料について試験を行なった。インク1の場合、液滴の吐出が不均一であり、ドットサイズの安定性が乏しかった。また、インク粒子が沈殿し、突出先端が覆われることにより、数分後に吐出が中断するのが観察された。
【0019】
インク(2)、(3)及び(4)は、いずれも同様に改良されたパフォーマンスを示した。突出先端での沈殿の形跡はなく、突出は均一であってかつ制御可能であった。
尚、ティンタカーブ300はキャボット社製のカーボンブラックCIピグメントブラック7であり、リフレックス・ブルー3GはヘキストAG製のCIピグメントブルー18であり、イルガライト・ブルーLGLDはチバガイギー製のピグメントブルー15:3であり、AC−6はアライドシグナル製のポリエチレンワックスであり、アラルダイトGT6084はチバガイギー製のエポキシ樹脂であり、FOA−2はデュポン製の石油添加剤であり、6%ナクストラ・ジルコニウムはヒュールスアメリカ社製のオクタン酸ジルコニウムのホワイトスピリット溶液であり、DC344はダウ・コーニング製のシリコーン液体である。
【0020】
本願明細書の全体にわたって本発明の範囲について様々な記載をしたが、本発明はこれらのいずれかに限定されるものではなく、これのうちの2種以上を組み合わせた多数のものが存在する。実施例は説明のためのものであって、限定するためのものではない。
本願明細書の全体及び請求の範囲において、特に断らない限り、「含む」及び「含有する」等の語は、記載されている事項又は一群の事項を包含することを示唆するものであり、他の事項又は一群の事項を排除することを意図するものではないことが、理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗率の高い、又は導電率の低い、インクに使用するための粒子の製造方法であって、該粒子が当初は低い抵抗率又は高い導電率を有する種類のものであり、該粒子の表面に絶縁性の物質を適用する工程を含む、前記製造方法。
【請求項2】
非導電性のインクの製造方法であって、該インクが着色剤粒子及び非導電性のキャリア液体を含有し、該着色剤粒子が抵抗率の低いものであり、該粒子の表面に抵抗率の高い物質を適用することにより、該粒子に更に高い表面抵抗を付与する工程、及び、処理した着色剤粒子を非導電性のキャリアとブレンドすることにより、非導電性のインクを形成する工程を含む、前記製造方法。
【請求項3】
絶縁性の物質が、ポリマー、ワックス、有機顔料及び染料からなる群から選ばれる、請求項2記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項4】
ポリマーが、ビスフェノールAエポキシ、ノボラックエポキシ及び脂環式エポキシ等のエポキシ樹脂;アクリル酸及びそのエステルのポリマー及びコポリマー、メタクリル酸及びそのエステルのポリマー及びコポリマー等のアクリル樹脂;酢酸ビニル、塩化ビニル、ビニルアルコール及びビニルブチラールを含むポリマー及びコポリマー等のビニル樹脂;油、フェノール及びロジン変性アルキド等のアルキド樹脂;及び二量化ペンタエリトリトールロジンエステル等のロジンエステルからなる群から選ばれる、請求項3記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項5】
ワックスが、セラックワックス、蜜蝋、カルナウバワックス及び水素化ヒマシ油等の天然ワックス;パラフィンワックス及び微結晶ワックス等の石油ワックス;モンタンワックス等の鉱物ワックス;ポリエチレンワックス、塩素化炭化水素ワックス及びアミドワックスを含む合成ワックスからなる群から選ばれる、請求項3記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項6】
染料が、CIベーシックブルー26等の塩基性染料;CIソルベントブラック29、CIソルベントブルー49及びCIソルベントレッド7等の油溶染料からなる群から選ばれる、請求項3記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項7】
有機顔料が、CIピグメントイエロー1、CIピグメントイエロー14、CIピグメントレッド48:2、CIピグメントレッド122、CIピグメントブルー15:3及びCIピグメントブルー18からなる群から選ばれる、請求項3記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項8】
着色剤粒子の抵抗率が少なくとも25Ωcm増加する、請求項3記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項9】
非導電性のキャリア液体が、ヘキサン、シクロヘキサン、イソデカン、イソパール及びシェルソールT等の脂肪族炭化水素;キシレン、トルエン及びソルベッソ100等の芳香族炭化水素;ジエチレンクロリド及びクロロホルム等の塩素化溶媒;DC200等のジメチルポリシロキサン及びDC345等の環状ジメチルポリシロキサン等のシリコーン液体又は油;及びオリーブ油、紅花油、ヒマワリ油、大豆油又は亜麻仁油等の植物油からなる群から選ばれる、請求項2記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項10】
更に、粒子帯電剤、バインダー、粘度安定化剤及び保存料からなる群から選ばれる追加の成分を含む、請求項2記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項11】
絶縁性の物質が非導電性の染料であり、表面処理がなされる粒子が溶解しない溶媒に染料を溶解させる工程、顔料粒子の表面に染料が吸着するまで、溶解した染料と顔料粒子とをロールミルによりブレンドする工程、及び、溶媒を除去し、後に非導電性のキャリア液体とブレンドすることのできる表面改質された粒子を得る工程を含む、請求項3記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項12】
絶縁性の物質がワックスであり、ワックスを溶融する工程、ワックスと着色剤粒子とをブレンドし、粒子をワックス中に分散させる工程、次いで分散体を放冷し再固化させる工程、次にブレンドした材料を粉砕し、後に非導電性のキャリア液体とブレンドすることのできる表面改質された粒子を得る工程を含む、請求項3記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項13】
絶縁性の物質が有機顔料であり、有機顔料を着色剤粒子とともに粉砕し、後に非導電性のキャリア液体とブレンドすることのできる表面改質された粒子を得る工程を含む、請求項3記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項14】
絶縁性の物質がポリマーであり、表面処理がなされる粒子が溶解しない溶媒にポリマーを溶解させる工程、粒子をそのように形成した溶液とブレンドする工程、粒子の表面の少なくとも一部がポリマーで被覆されるようにする工程、及び、次いで溶媒を除去し、後に非導電性のキャリア液体とブレンドすることのできる表面改質された粒子を得る工程を含む、請求項3記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項15】
絶縁性の物質がポリマーであり、ポリマーを溶融する工程、溶融したポリマーと着色剤粒子とをブレンドし、粒子をポリマー中に分散させる工程、次いで分散体を冷却し再固化させる工程、次にブレンドした材料を粉砕し、後に非導電性のキャリア液体とブレンドすることのできる表面改質された粒子を得る工程を含む、請求項3記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項16】
絶縁性の物質がポリマーのモノマーであり、表面処理がなされる粒子が溶解しない溶媒にモノマーを溶解させる工程、粒子をそのように形成した溶液とブレンドする工程、粒子の表面の少なくとも一部がモノマーで被覆されるようにする工程、溶媒を除去し、かつモノマーを重合して、後に非導電性のキャリア液体とブレンドすることのできる表面改質された粒子を得る工程を含む、請求項3記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項17】
着色剤粒子が、カーボンブラック、磁気酸化鉄及び金属粉末からなる群から選ばれる物質からなる、請求項2記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか1項に記載の製造方法により製造される、非導電性のインク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
100Ωcmよりも低い表面抵抗を有する着色剤粒子及び非導電性のキャリア液体を含有するタイプの、濃縮する、非導電性の静電インクジェットインクの製造方法であって、
絶縁性物質を該100Ωcmよりも低い表面抵抗を有する未処理の着色剤粒子の表面に適用することにより、処理した着色剤粒子に125Ωcmを超える表面抵抗を付与する工程、及び、処理した着色剤粒子を非導電性のキャリア液体とブレンドすることにより、濃縮する、非導電性の静電インクジェットインクであって109Ωcmを超える抵抗を有するものを形成する工程
を含む、前記製造方法。
【請求項2】
絶縁性の物質が、ポリマー、ワックス、有機顔料及び染料からなる群から選ばれる、請求項1記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項3】
ポリマーが、ビニル樹脂;アルキド樹脂;及びロジンエステルからなる群から選ばれる、請求項2記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項4】
ワックスが、天然ワックス;石油ワックス;鉱物ワックス;ポリエチレンワックス、塩素化炭化水素ワックス及びアミドワックスを含む合成ワックスからなる群から選ばれる、請求項2記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項5】
染料が、塩基性染料;油溶染料からなる群から選ばれる、請求項2記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項6】
有機顔料が、CIピグメントイエロー1、CIピグメントイエロー14、CIピグメントレッド48:2、CIピグメントレッド122、CIピグメントブルー15:3及びCIピグメントブルー18からなる群から選ばれる、請求項2記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項7】
非導電性のキャリア液体が、脂肪族炭化水素;芳香族炭化水素;塩素化溶媒;及び植物油からなる群から選ばれる、請求項1記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項8】
更に、粒子帯電剤、バインダー、及び粘度安定化剤からなる群から選ばれる追加の成分を含む、請求項1記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項9】
絶縁性の物質が非導電性の染料であり、表面処理がなされる着色剤粒子が溶解しない溶媒に染料を溶解させる工程、着色剤粒子の表面に染料が吸着するまで、溶解した染料と着色剤粒子とをロールミルによりブレンドする工程、及び、溶媒を除去し、後に非導電性のキャリア液体とブレンドすることのできる表面改質された粒子を得る工程を含む、請求項1記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項10】
絶縁性の物質がワックスであり、ワックスを溶融する工程、ワックスと着色剤粒子とをブレンドし、着色剤粒子をワックス中に分散させる工程、次いで分散体を放冷し再固化させる工程、次にブレンドした絶縁性物質を粉砕し、後に非導電性のキャリア液体とブレンドすることのできる表面改質された粒子を得る工程を含む、請求項1記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項11】
絶縁性の物質が有機顔料であり、有機顔料を着色剤粒子とともに粉砕し、後に非導電性のキャリア液体とブレンドすることのできる表面改質された粒子を得る工程を含む、請求項1記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項12】
絶縁性の物質がポリマーであり、表面処理がなされる着色剤粒子が溶解しない溶媒にポリマーを溶解させる工程、着色剤粒子をそのように形成した溶液とブレンドする工程、着色剤粒子の表面の少なくとも一部がポリマーで被覆されるようにする工程、及び、次いで溶媒を除去し、後に非導電性のキャリア液体とブレンドすることのできる表面改質された着色剤粒子を得る工程を含む、請求項1記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項13】
絶縁性の物質がポリマーであり、ポリマーを溶融する工程、溶融したポリマーと着色剤粒子とをブレンドし、粒子をポリマー中に分散させる工程、次いで分散体を冷却し再固化させる工程、次にブレンドした材料を粉砕し、後に非導電性のキャリア液体とブレンドすることのできる表面改質された着色剤粒子を得る工程を含む、請求項1記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項14】
着色剤粒子が、カーボンブラック、磁気酸化鉄及び金属粉末からなる群から選ばれる物質からなる、請求項2記載の非導電性のインクの製造方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法により製造される、非導電性のインク。

【公開番号】特開2006−257433(P2006−257433A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109392(P2006−109392)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【分割の表示】特願平9−520760の分割
【原出願日】平成8年11月28日(1996.11.28)
【出願人】(504066759)トーンジェット リミテッド (5)
【Fターム(参考)】