説明

インクジェット印刷を用いてラッカー層を形成する方法

【課題】半導体デバイスにおいて内部光取り出し及び外部光取り出し少なくとも1つを可能にする機能的テクスチャーの製造方法の提供。
【解決手段】半導体デバイスを製造する方法は、所定のアクティブ領域及び非アクティブ領域を有する透明基板を提供することを含む。その後、この方法は、所定のアクティブ領域上にラッカーの液滴を噴霧して対応するラッカー層領域を形成することを含み、これによって、非アクティブ領域にラッカーが存在しない。ラッカー層領域は、所定の厚さを有し、機能的テクスチャーの形成を可能にする。ラッカー層のテクスチャー形成は、光トラッピング又は光取り出しを可能にする。その後、1又は複数の半導体層がラッカー層領域上に堆積され、カバー基板が提供される。カバー基板は、非アクティブ領域の一部で透明基板に接合され、カバー基板と透明基板の間にラッカー層領域及び1又は複数の半導体層を封じ込める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで開示される本発明は、一般に、半導体デバイスに関する。より詳しくは、本発明は、半導体デバイス用のラッカー層の堆積に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の半導体デバイス(例:有機発光ダイオード(OLED)及び光電デバイス(PV))では、光管理は、このようなデバイスの効率に大きな影響を与える非常に重要な観点である。OLEDでは、周囲媒体の屈折率、基板及び堆積される半導体層における差異は、生成された光のうち取り出し可能であるものの割合をかなり減少させ得る。同様にPVデバイスでは、光トラッピングは、PVデバイスにおいて光路を増大させることによって効率に影響を与える主要ファクターであり、それによってその吸収を増大させる。従って、光管理テクスチャーを有するラッカー(lacquer)層が異なる屈折率材料の間の界面においてこのようなデバイスへ加えられる。例えば、OLEDは、半導体層と基板の間に堆積されたラッカー層上に光取り出しテクスチャーを有する場合があり、PVデバイスは、半導体層と基板の間に堆積されたラッカー層上に光トラッピングテクスチャーを有する場合がある。
【0003】
ラッカーの存在は、デバイス、つまり、半導体層のアクティブ領域での光トラッピング又は光取り出しには望ましいが、その存在は、基板と封入体が互いに接合する領域、及び電気コンタクトトラックが半導体層上に堆積される領域では極めて望ましくない。これらの領域におけるラッカーの存在は、ラッカーを通じて水又は空気の剥離又は進入を引き起こし、腐食を引き起こし、デバイス(OLED又はPVデバイス)の通常動作を阻害する。最悪の場合には、これは、デバイスの寿命をかなり減少させる。
【0004】
現在、ラッカー層を堆積するための種々の方法がある。現在の方法では、ラッカー層は、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、エレクトロフォーミング、又は化学気相堆積によって半導体層又は基板の全面上に堆積される。その後、ラッカー材料は、エッチング又はスクライビングによって電気コンタクト及び封入コンタクト用の領域から取り除かれる。
【0005】
しかしながら、これらの方法は、全面上にラッカー塗布し、その後、非アクティブ領域から除去することを可能にする。従って、大量のラッカー材料が無駄になる。また、望まない領域からラッカー層を除去する際に、ラッカー層の下の半導体又は基板層が影響を受ける場合がある。例えば、ラッカー層をスクライビングする間に基板がスクライビングされる場合がある。
【0006】
さらに、スクライビングされたラッカー層のいくつかの粒子が、スクライビングの間に、半導体層又は基板に堆積される場合がある。さらに、このような方法は、非平面複雑形状には適切でない場合がある。上記議論に照らすと、ラッカーの堆積方法に対する要求がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、半導体デバイスにおける光管理(例えば、OPVにおける光トラッピング及びOLEDにおける光取り出し)を容易にするために、局所化されたテクスチャーを提供する方法を提供する。OLEDでは、本発明による方法は、インクジェット印刷を用いることによってOLEDの透明基板のアクティブ領域上にラッカー材料を堆積し、その後に紫外エンボス加工、ホットエンボス加工、エッチング、スタンピング又はスクライビングによってラッカー領域上にテクスチャーをインプリントすることを含む。本発明の一実施形態では、テクスチャーは、ラッカー領域の制御された硬化によってラッカー領域に、内在的に(inherently)形成され、それによって独立したインプリントステップが不要になる。
【0008】
いくつかの実施形態では、半導体デバイスを製造する方法が提供される。この方法は、1又は複数の所定のアクティブ領域及び1又は複数の非アクティブ領域を有する透明基板を提供することを含む。その後、この方法は、1又は複数の所定のアクティブ領域上にラッカーの液滴を噴霧することを含み、これによって、非アクティブ領域には、前記ラッカーが存在しない。液滴は、1又は複数の所定のアクティブ領域上に対応する1又は複数のラッカー層領域を形成し、これによって、1又は複数のラッカー層領域は、所定の厚さを有し、機能的テクスチャーの形成を可能にする。その後、この方法は、光トラッピング及び/又は光取り出しを可能にする機能的テクスチャーを形成するために所定の厚さの1又は複数のラッカー層領域にテクスチャーを形成することを含む。第一電気コンタクトは、ラッカー層領域上に堆積可能である。その後、この方法は、1又は複数の半導体層を堆積することを含む。次に、第二電気コンタクトは、1又は複数の半導体層上に堆積可能である。その後、1又は複数の非アクティブ領域の一部で透明基板に接合されるカバー基板が提供され、カバー基板と透明基板の間に、1又は複数のラッカー層領域及び1又は複数の半導体層を封入する。
【0009】
いくつかの実施形態では、テクスチャー形成は、1又は複数のラッカー層領域を硬化させ、固有の(native)機能的テクスチャーを生じさせることを含む。
【0010】
いくつかの他の実施形態では、テクスチャー形成は、紫外エンボス加工、ホットエンボス加工、エッチング、スタンピング又はスクライビング、及びその後に続く硬化によって1又は複数のラッカー層領域上に機能的テクスチャーをインプリントすることを含む。
【0011】
いくつかの実施形態ではラッカーの材料は、粘度5N/m2〜100N/m2の間、及び好ましくは10N/m2〜20N/m2の間を有し、液滴状でラッカーの噴霧を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
新規であると信じられている本発明の特徴は、添付の請求の範囲で詳細に言及している。本発明は、添付図面と共に次の説明を参照して最もよく理解することができる。これらの図面及び関連する説明は、本発明のいくつかの実施形態を例示するために提供され、本発明の範囲を限定しない。
【0013】
【図1a−b】図1a及び1bは、本発明を実施するための環境を提供する例示的OLED及び例示的OPVにおける層のスタックを例示する。
【0014】
【図2】図2は、本発明のいくつかの実施形態に従ってアクティブ及び非アクティブ領域を有する例示的基板の上面図を示す。
【0015】
【図3】図3は、本発明のいくつかの実施形態に従ってカバー基板無しの例示的OLEDの上面図を示す。
【0016】
【図4】図4は、本発明のいくつかの実施形態に従ってテクスチャー付きラッカー層を有する例示的基板の上面図を示す。
【0017】
【図5】図5は、本発明のいくつかの実施形態に従って例示的OLEDの展開図を示す。
【0018】
【図6】図6は、本発明のいくつかの実施形態に従って基板上にラッカーの液滴を噴霧するプロセスの例示的実施を例示する。
【0019】
【図7】図7は、本発明のいくつかの実施形態に従ってラッカー層に形成される例示的固有テクスチャーを示す。
【0020】
【図8a−c】図8a、8b及び8cは、本発明が除去したい例示的欠陥を示す。
【0021】
【図9】図9は、本発明のいくつかの実施形態に従ってOLEDを製造する例示的方法を説明するフローチャートである。
【0022】
【図10】図10は、本発明のいくつかの実施形態に従って例示的テクスチャー形成プロセスを説明するフローチャートである。
【0023】
【図11】図11は、本発明のいくつかの実施形態に従ってOLEDを製造する例示的方法を説明するフローチャートである。
【0024】
【図12】図12は、本発明のいくつかの実施形態に従って1又は複数の所定のアクティブ領域用のポケットを有する例示的透明基板を例示する。
【0025】
【図13】図13は、1又は複数の所定のアクティブ領域用のポケット無しの透明基板が使用された場合の平坦化層の使用を例示する。
【0026】
【図14】図14は、1又は複数の所定のアクティブ領域用のポケットを有する透明基板が使用された場合の平坦化層の使用を例示する。
【0027】
当業者は、図中の要素は、簡潔さ及び明確さのための例示であり、寸法は必ずしも正確ではないことを理解するであろう。例えば、図中の要素のいくつかの寸法は、本発明の理解を向上させるために、他の要素に比べて誇張している。
【0028】
明細書中には説明があって図面には記載していない構造がある場合、そのような構造が明細書から省略されていると解釈すべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を詳細に説明する前に、本発明が半導体デバイスを製造する方法に関連した方法ステップ及び装置コンポーネントの組み合わせを利用することに注目すべきである。従って、装置コンポーネント及び方法ステップは、図面中では従来の記号を用いて表され、本発明の理解に関連がある部分のみを詳細に表している。これは、当業者にとって明らかな内容を詳細に記載しすぎて本発明の開示をぼやかすことが無いようにするためである。
【0030】
明細書は、本発明の新規であると思われる特徴を規定する請求の範囲で締めくくっているが、本発明は、次の説明と、符号を付した図面からより良く理解されるであろう。
【0031】
本発明の詳細な実施形態をここに開示しているが、開示された実施形態は、本発明の単なる例示であり、本発明は、種々の形態で実施可能であることを理解すべきである。従って、ここで開示される具体的な構造及び機能の詳細は、権利範囲を限定するものと解釈すべきではなく、請求の範囲の基礎となり、かつ本発明を種々の形態で実施する際に当業者に与える教示の代表的な基礎であるとして解釈すべきである。さらに、ここで示される用語とフレーズは、限定的に解釈すべきではなく、本発明の理解可能な説明を提供するためものであると解釈すべきである。
【0032】
本明細書では、「一つ」は、1又は複数を意味している。「他の」は、「少なくとも第2の」を意味しており、「含む」及び/又は「有する」は、他の要素の追加を許容するオープンな用語である。「連結」又は「作動的に連結」は、結合されていることを意味するが、直接である必要はなく、機械的である必要もない。
【0033】
ここで図面を参照すると、図1aに例示的OLED100aにおける層のスタックが示される。OLED100aは、外部光取り出し層102、透明基板104、内部光取り出し層106、第一電気コンタクト108、1又は複数の有機層110及び112、第二電気コンタクト114及びカバー基板116を含むように示され、カバー基板と透明基板104の間に内部光取り出し層106、第一電極108、1又は複数の半導体層110及び112及び第二電極114を封じ込める。OLED100aの各層は、外部光取り出し層102及び内部光取り出し層106を除いて、コーティング等の方法で隣接した層に形成され、本発明が実施される。
【0034】
OLED100aのいくつかの実例は、有機発光ダイオード(OLED)、白色有機発光ダイオード(W-OLED)、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)、単純マトリクス有機発光ダイオード(PMOLED)、フレキシブル有機発光ダイオード(FOLED)、スタックされた有機発光ダイオード(SOLED)、タンデム有機発光ダイオード、透明有機発光ダイオード(TOLED)、上部発光有機発光ダイオード、下部発光有機発光ダイオード、蛍光ドープされた有機発光ダイオード(F-OLED)及び燐光有機発光ダイオード(PHOLED)を含むがこれに限定されない。
【0035】
透明基板104は、OLED100aへ強度を提供し、使用時にOLED100aの発光面としても役立つ。透明基板104の例は、ガラス、フレキシブルガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及び他の透明又は半透明材料を含むがこれに限定されない。
【0036】
第一電気コンタクト108及び第二電気コンタクト114は、1又は複数の半導体層110及び112を横切って電圧を印加するために使用される。第一電気コンタクト108及び第二電気コンタクト114は、例えば、透明導電酸化物(TCO)(例:インジウムスズ酸化物(ITO))又は電荷キャリアを注入するのに適切な仕事関数を有する他の金属(例:カルシウム、アルミニウム、金、又は銀)で実施可能である。
【0037】
1又は複数の半導体層110及び112は、有機エレクトロルミネセンス材料(例:発光ポリマー、蒸着した低分子材料、発光デンドリマ又は分子状にドープされたポリマー)で実施可能である。
【0038】
高屈折率材料から、より低屈折率材料又は媒体を有する界面への入射光は、θc=sin-1(n2/n1)によって定義される臨界角θcより大きい全ての入射角について全反射(TIR)となる(n1及びn2は、それぞれ、高屈折率材料及び低屈折率材料の屈折率である)。同じ理由により、半導体層110又は112によって放射された光は、透明基板104との界面に到達すると、相当な量の光が反射されて半導体層110及び112に戻される。
【0039】
半導体層110又は112によって放射された光の伝播方向を透明基板104との界面で変えることができるテクスチャーを有する内部光取り出し層106の存在は、OLED100a内への光の反射(又はTIR)を減少させるのを助ける。内部光取り出し層106上のテクスチャーは、放射された光の伝播方向を回折によって変化させることを容易にするために光の波長のオーダーでの寸法を有する形状を含んでもよい。内部光取り出し層106上のテクスチャーは、放射された光の伝播方向を屈折によって変化させることを容易にするために光の波長より大きい寸法を有する形状を含んでもよい。従って、テクスチャーを有する内部光取り出し層106の存在は、TIRを除去又は減少させ、OLEDの効率をさらに増大させる。同様に、外部光取り出し層102は、透明基板104と周囲媒体の間の界面でのTIRを減少又は除去する。
【0040】
ここで、図1bを参照すると、例示的OPV100bでの層のスタックが示される。OPV100bは、透明基板118、光トラッピング層120、第一電気コンタクト122、1又は複数の半導体層124及び126、第二電気コンタクト128及びカバー基板130を含む。
【0041】
OPV100bでは、半導体層124及び126に当たる光は、半導体層124及び126を通じて電気の生成を可能にする。この電気は、第一及び第二電気コンタクト122及び128によって外部回路へ取り出される。OPV100bでは、光トラッピング層120は、OPV100bへ送られた光の光路を増大させるために提供される。
【0042】
説明の目的で、OLED及び光取り出しを参照して本発明の種々の実施形態を説明してきたが、本発明は、OPVにおいて、光管理目的(例:光トラッピング)で実施可能であることは当業者に容易に理解されるであろう。
【0043】
図2は、いくつかの本発明の実施形態に従ってアクティブ及び非アクティブ領域を有する例示的透明基板200の上面図を示す。当業者は、透明基板200は、図2に示す全ての又は一部のコンポーネント又は領域を含んでもよいことを理解するであろう。透明基板200は、図示せず且つ本発明の種々の実施形態に関係がないコンポーネント又は領域を含んでもよい。
【0044】
この説明の目的のために、例示的透明基板200は、以下、透明基板200と称し、1又は複数の所定のアクティブ領域202及び1又は複数の非アクティブ領域204を含むように示す。
【0045】
1又は複数の所定のアクティブ領域202は、半導体デバイスのアクティブ層、つまり、OLED又はOPVの半導体層が堆積される透明基板200のこれらの領域を含む。この説明の目的のために、(図4、5及び6を用いて説明するように)1又は複数のラッカー層領域が形成される1又は複数の所定のアクティブ領域202が、半導体デバイスのアクティブ層が堆積される透明基板200のこれらの領域であると示しているが、1又は複数の所定のアクティブ領域202は、半導体デバイスのアクティブ層が堆積される透明基板200のこれらの領域よりも小さくても大きくてもよい。例えば、1又は複数の所定のアクティブ領域202は、半導体デバイスのアクティブ層が堆積される透明基板200のこれらの領域より大きくなるようにして、光放出効果が最適になるようにしてもよい。
【0046】
透明基板200の残りの領域、つまり、1又は複数の所定のアクティブ領域202以外の領域は、実質的に、1又は複数の非アクティブ領域204を形成する。透明基板200に使用される材料の例は、ガラス、フレキシブルガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及び他の透明又は半透明材料を含むがこれに限定されない。
【0047】
図3は、本発明のいくつかの実施形態に従ってカバー基板無しの例示的OLED300の上面図を示す。当業者は、例示的OLED300が図3に示す全ての又は一部のコンポーネント又は領域を含んでもよいことを理解するであろう。例示的OLED300は、図示せず且つ本発明の種々の実施形態に関係がないコンポーネント又は領域を含んでもよい。
【0048】
例示的OLED300は、以下OLED300と称し、透明基板200を基板として使用する。例示的OLED300は、上面図で単一の層としてのみ視認可能であるアクティブ層302すなわち1又は複数の半導体層302のスタックを含むように示され、第一電気コンタクト306b、306c及び306dと第二電気コンタクト306a、306e及び306fの間に挟まれる。OLED300は、1又は複数の半導体層302がない、透明基板200の一部304も示す。1又は複数の半導体層302を封入するカバー基板は、一部304で透明基板200へ接合可能である。さらに、第一電気コンタクト306b、306c及び306dを堆積する前に透明基板200上に堆積されるテクスチャー付きラッカー層は、図3では視認可能ではない。本発明による、テクスチャー付きラッカー層の堆積の例示的プロセスは、次の図、特に、図4、6、7、9及び10を用いて説明される。
【0049】
電圧が第一電気コンタクト306b、306c及び306dと第二電気コンタクト306a、306e及び306fの間を横切って印加されると、1又は複数の半導体材料302は、エレクトロルミネセンス特性によって発光する。この1又は複数の半導体層302によって放射された光は、透明基板200を通じて取り出し可能である。
【0050】
本発明を説明するために、OLED300は、OLEDの種々のタイプ及びバージョンで入手可能なコンポーネントの数より少ないか又はより多くてもよいコンポーネントを含むように示しているが、本発明によるOLED300は、何れのタイプのOLEDであってもよく、例えば、白色有機発光ダイオード(W-OLED)、アクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)、単純マトリクス有機発光ダイオード(PMOLED)、フレキシブル有機発光ダイオード(FOLED)、スタックされた有機発光ダイオード(SOLED)、タンデム有機発光ダイオード、透明有機発光ダイオード(TOLED)、上部発光有機発光ダイオード、下部発光有機発光ダイオード、蛍光ドープされた有機発光ダイオード(F-OLED)及び燐光有機発光ダイオード(PHOLED)であってもよいがこれに限定されないことは当業者にとって明らかであろう。
【0051】
図4は、本発明のいくつかの実施形態に従って機能的テクスチャーを有する1又は複数のラッカー層402(以下、テクスチャー付きラッカー層402と称する)の領域を有する例示的基板200の上面図を示す。本発明によれば、テクスチャー付きラッカー層402は、透明基板200の1又は複数のアクティブ領域202上に堆積されるように示される。テクスチャー付きラッカー層402の機能的テクスチャーは、テクスチャー付きラッカー層402を含むOLED(例:OLED300)において光取り出しを容易にするために提供される。機能的テクスチャーは、テクスチャー付きラッカー層402の形成を容易にする凹部及び/又は凸部を作成する。いくつかの実施形態では、凸部及び/又は凹部の高さ及び/又は深さは、それぞれ200〜800ナノメートルの間の範囲であってもよい。機能的テクスチャーの形成を可能にするために、テクスチャー付きラッカー層402の厚さは、所定の厚さに保たれる。一実施形態では、所定の厚さは、2〜8ミクロンの間の範囲である。この説明の目的のために、テクスチャー付きラッカー層402上の機能的テクスチャーは、形状404の連続繰り返しパターンで示されているが、光取り出しを容易にする他の何れの機能的テクスチャーでも本発明の範囲から逸脱することなく使用可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0052】
図5は、本発明のいくつかの実施形態に従って例示的OLED300の展開図を示す。例示的OLED300は、透明基板200、テクスチャー付きラッカー層402、第一電気コンタクト、1又は複数の半導体層302、第二電気コンタクト及びカバー基板506を含むように示される。さらに、1又は複数の半導体層302は、第一半導体層502及び第二半導体層504を含む。
【0053】
当業者は、例示的OLED300が図5に示す全ての又は一部のコンポーネント又は領域を含んでもよいことを理解するであろう。例示的OLED300は、図示せず且つ本発明の種々の実施形態に関係がないコンポーネント又は領域を含んでもよい。例えば、本発明の範囲から逸脱することなく、OLED300は、異なる色で発光する追加の半導体層を含んでもよい。別の例では、OLED300は、OLEDの機能的改良のための追加の層(例:ホール輸送層及び電子輸送層)を含んでもよい。
【0054】
一実施形態では、第一半導体層502は、これによって、第一電気コンタクト306b、306c及び306d、つまり、アノードからの正孔の輸送を容易にすることができるように導電タイプ半導体層である。第一半導体層502に使用される材料の例は、ポリアニリンを含むがこれに限定されない。第一半導体層502は、種々の方法(例:ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、エレクトロフォーミング、及びエバポレーション)を用いることによって堆積可能である。
【0055】
一実施形態では、第二半導体層504は、これによって、第二電気コンタクト306a、306e及び306f、つまり、カソードからの電子の輸送を容易にすることができるように放出タイプ半導体層である。第二半導体層に使用される材料の例は、ポリフルオレンを含むがこれに限定されない。第二半導体層504は、種々の方法(例:ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、エレクトロフォーミング、及びエバポレーション)を用いることによって堆積可能である。
【0056】
カバー基板は、透明基板との間に、1又は複数のラッカー層領域402、すなわちテクスチャー付きラッカー層402、第一電気コンタクト306b、306c及び306d、第一半導体層502、第二半導体層504、及び第二電気コンタクト306a、306e及び306fを封じ込める。
【0057】
図6は、本発明のいくつかの実施形態に従ってラッカーの液滴を透明基板上に噴霧するプロセスを実施するために使用される例示的デバイス600を例示する。例示的デバイス600の実例は、インクジェット印刷機であり、従って、例示的デバイス600は、以下、インクジェット印刷機600と称する。
【0058】
当業者は、インクジェット印刷機600が図6に示す全ての又は一部のコンポーネント又は領域を含んでもよいことを理解するであろう。インクジェット印刷機600は、図示せず且つ本発明の種々の実施形態に関係がないコンポーネント又は領域を含んでもよい。
【0059】
インクジェット印刷機600は、透明基板200上への液滴の噴霧を容易にするように、透明基板200が配置されるプラットフォーム602を含むように示される。さらに、インクジェット印刷機600は、1又は複数のノズル606を有するプリントヘッド604を含むように示される。プリントヘッド604及びプラットフォーム602は、互いに垂直方向612及び614に相対モーションを有することができる。プリントヘッド604及びプラットフォーム602のモーションとノズル606のトリガーは、同期可能であり、これによって、ラッカーの液滴608が1又は複数の所定のアクティブ領域202にのみ噴霧され、1又は複数の非アクティブ領域204にラッカー液滴がない状態にする。
【0060】
1又は複数の所定のアクティブ領域202上へのラッカーの液滴608の噴霧は、1又は複数のラッカー層領域402を1又は複数の所定のアクティブ領域202上に形成する。
【0061】
この説明の目的のために、1又は複数のラッカー層領域402が形成される1又は複数の所定のアクティブ領域202が、半導体デバイスのアクティブ層が堆積される透明基板200のこれらの領域であるように示されるが、1又は複数の所定のアクティブ領域202が半導体デバイスのアクティブ層が堆積される透明基板200のこれらの領域より小さくても大きくてもよいことは、当業者にとって明らかであろう。例えば、1又は複数の所定のアクティブ領域202は、最適な光取り出し効果を有するように半導体デバイスのアクティブ層が堆積される透明基板200のこれらの領域より大型にすることができる。
【0062】
ラッカーがインクとして使用され、透明基板200上に噴霧されることを可能にするために、ラッカーの材料は、この材料の粘度が5N/m2〜100N/m2の間になるように選択される。好ましくは、ラッカーの材料は、この材料の粘度が10N/m2〜20N/m2の間になるように選択される。ラッカーの材料のいくつかの例は、加熱及び/又は溶融によって粘度が上記範囲になるように、プラスチック、光硬化樹脂ラッカー、アクリレート、及びシリカ又はシリカ-チタニアベースのゾルゲル材料を含んでもよいがこれに限定されない。
【0063】
さらに、機能的テクスチャーは、OLED(例:OLED300)において光取り出しを容易にするために1又は複数のラッカー層領域402上に設ける必要がある。これを可能にするために、1又は複数のラッカー層領域402の厚さは、所定の厚さに保たれる。一実施形態では、所定の厚さは、2〜8ミクロンの間の範囲である。必要な厚さが、透明基板200上に噴霧する必要があるラッカーの量を決定し、これが、噴霧される液滴608のサイズ及び数を決定する。インクジェット印刷機600によって液滴608のサイズ及び数を制御することによって、1又は複数のラッカー領域の厚さが制御可能である。
【0064】
図7は、本発明のいくつかの実施形態に従って1又は複数のラッカー層領域402に形成される例示的固有(言い換えると、内在、インヒーレント、inherent)テクスチャーを示す。固有テクスチャーは、所定の条件下で熱、光又は紫外光を用いることによって1又は複数のラッカー層領域402に形成される。このような固有テクスチャーの形成は、熱、光又は紫外光のような条件に対する1又は複数のラッカー層領域402に使用される材料の特徴的反応である。熱、光及び紫外光のような条件のパラメーターを制御することによって、テクスチャーは、制御可能である。
熱、光及び紫外光のような条件に対応する所定のパラメーターの最適なセットは、OLED(例:OLED300)において光取り出しを容易にすることができる所望の固有テクスチャーを得るように定義可能である。いくつかの実施形態では、1又は複数のラッカー層領域402に必要な応力を生じさせ、所望の固有テクスチャーの形成を可能にするために、1又は複数のラッカー層領域402上に追加の層(図示せず)を堆積する必要があってもよい。例えば、スパッタされた金属、インジウム酸化スズ(ITO)、無機材料などの厚さ5ナノメートルを有する薄い追加の層は、応力を誘起し且つ固有テクスチャーの形成を可能にするために1又は複数のラッカー層領域402上に堆積してもよい。
【0065】
図8a、8b及び8cは、本発明が除去したい例示的欠陥を示す。図示の例示的欠陥は、OLEDの1又は複数の非アクティブ領域の一部でのラッカーの存在によって生じる、図8aは、ラッカーとのコンタクトによるOLEDの電気コンタクトの剥離を例示する。図8cは、透明基板及びカバー基板のコンタクトの一部でのラッカーの存在によるOLEDの封入の剥離を例示する。同様に、図8bでの暗いスポット802は、1又は複数の半導体層が水分によって汚染され、それによって発光不能であるOLEDでの領域を示す。
【0066】
図9は、本発明の実施形態に従ってOLED(例:OLED300)を製造する例示的方法900を説明するフローチャートである。方法900を説明するために、図1、2、3、4、5、6、7及び8を参照する。但し、方法900は、他の適切な環境でも実施可能であることは理解されるであろう。さらに、本発明は、方法900にリストされる工程の順序に限定されない。さらに、本発明によれば、方法900が方法900の効果をさらに高めるが方法900に本質的でない1又は複数の追加のステップを含んでもよいことは当業者に明らかであろう。
【0067】
方法900は、ステップ902で開始される。ステップ904では、1又は複数の所定のアクティブ領域及び1又は複数の非アクティブ領域を有する透明基板が提供される。透明基板に使用される材料の例は、ガラス、フレキシブルガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及び他の透明又は半透明材料を含むがこれに限定されない。
【0068】
この説明の目的のために、透明基板200は、図2を用いて詳細に説明される。透明基板200は、1又は複数の所定のアクティブ領域202及び1又は複数の非アクティブ領域204を有する。1又は複数の所定のアクティブ領域202は、エレクトロルミネセンス能力を有する1又は複数の半導体層(例:1又は複数の半導体層502及び504)が堆積される領域である。従って、1又は複数の所定の領域202は、1又は複数の半導体層502及び504によって放射された光を受け取る領域であり、従って、1又は複数の所定の領域202は、光取り出し機能を必要とする。
【0069】
1又は複数の非アクティブ領域204は、実質的に、1又は複数の所定の領域202以外の透明基板200の残りの領域を含む。
【0070】
その後、ステップ906では、1又は複数の非アクティブ領域にラッカーが存在しないように、ラッカーの液滴が基板の1又は複数の所定のアクティブ領域上に噴霧される。液滴は、1又は複数の所定のアクティブ領域上に、対応する1又は複数のラッカー層領域を形成する。
【0071】
図6を参照すると、ラッカーの液滴は、インクジェット印刷機600を用いることによって透明基板200の1又は複数の所定のアクティブ領域202上に堆積されるように示される。インクジェット印刷機600は、図6を用いてすでに詳細に説明した。
【0072】
プリントヘッド604及びプラットフォーム602のモーション及びノズル606のトリガーは、同期可能であり、これによって、ラッカーの液滴608が1又は複数の所定のアクティブ領域202にのみ噴霧され、1又は複数の非アクティブ領域204にラッカー液滴がない状態になる。
【0073】
1又は複数の所定のアクティブ領域202上へのラッカーの液滴608の噴霧は、1又は複数の所定のアクティブ領域202上に1又は複数のラッカー層領域402を形成する。
【0074】
ラッカーがインクとして使用され、透明基板400上に噴霧されることを可能にするために、ラッカーの材料は、この材料の粘度が5N/m2〜100N/m2の間になるように選択される。好ましくは、ラッカーの材料は、この材料の粘度が10N/m2〜20N/m2の間になるように選択される。ラッカーの材料のいくつかの例は、加熱及び/又は溶融によって粘度が上記範囲になるように、プラスチック、光硬化樹脂ラッカー、アクリレート、及びシリカ又はシリカ-チタニアベースのゾルゲル材料を含んでもよいがこれに限定されない。
【0075】
さらに、機能的テクスチャーは、OLED(例:OLED300)において光取り出しを容易にするために1又は複数のラッカー層領域402上に設ける必要がある。これを可能にするために、1又は複数のラッカー層領域402の厚さは、所定の厚さに保たれる。一実施形態では、所定の厚さは、2〜8ミクロンの間の範囲である。必要な厚さは、透明基板200上に噴霧する必要があるラッカーの量を決定し、これが噴霧される液滴608のサイズ及び数を決定する。インクジェット印刷機600によって液滴608のサイズ及び数を制御することによって、1又は複数のラッカー領域の厚さが制御可能である。
【0076】
その後、ステップ908では、1又は複数のラッカー層領域にテクスチャーが形成される。例えば、1又は複数のラッカー層領域402にテクスチャーが形成される。テクスチャー形成は、1又は複数の半導体層によって放射された光の伝播方向を変えることによってOLED300において光取り出しを可能にし、1又は複数の半導体層へ戻る光の全反射(TIR)を除去又は減少させる。テクスチャー形成後、1又は複数のラッカー層領域は、光の伝播の方向を変化させ、TIRを減少させるのを助けるために1又は複数のタイプの形状を含む。例えば、光の波長のオーダーでの寸法を有する形状は、放射された光の伝播方向を回折によって変化させることを容易にする。同様に、光の波長より大きい寸法を有する形状は、放射された光の伝播方向を屈折によって変化させることを容易にする。
【0077】
この説明の目的のために、1又は複数のラッカー層領域の堆積及びテクスチャー形成は、OLEDにおける内部光取り出しの目的について説明している。しかしながら、本発明は、OLEDにおける外部光取り出し、OPVにおける光トラッピング及び他の類似の用途にも実施可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0078】
一実施形態では、テクスチャー形成ステップ908は、固有の機能的テクスチャーが1又は複数のラッカー層領域402に形成されるように、所定条件下で熱、光又は紫外光を用いて1又は複数のラッカー層領域402を硬化することを含む。固有の機能的テクスチャーの非限定的な例は、図7に提供される。
【0079】
別の実施形態では、テクスチャー形成ステップ908は、図10のフローチャートによって例示されるように多段階プロセスである。ステップ1002で、テクスチャー形成ステップ908が始まる。ステップ1004で、機能的テクスチャーが紫外エンボス加工、ホットエンボス加工、エッチング、スタンピング又はスクライビングによって1又は複数のラッカー層領域上にインプリントされる。その後、ステップ1006で、1又は複数のラッカー層領域が硬化される。テクスチャー形成ステップ908は、その後、ステップ1008で終える。
【0080】
その後、方法900のステップ910で、1又は複数の半導体層は、1又は複数のラッカー層領域上に堆積される。図5を参照すると、1又は複数の半導体層502及び504は、1又は複数のラッカー層領域402上に堆積される。1又は複数の半導体層502及び504は、種々の方法(例:ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、エレクトロフォーミング、及びエバポレーション)を用いることによって堆積可能である。1又は複数の半導体層502及び504を堆積するために使用される材料のいくつかの例は、発光ポリマー、蒸着した低分子材料、発光デンドリマ又は分子状にドープされたポリマーを含むがこれに限定されない。
【0081】
いくつかの実施形態では、巨視的に平坦な面が1又は複数の半導体層502及び504を堆積するために必要である。例えば、コンタクトマスクを用いることによって1又は複数の半導体層502及び504を所定の部分から取り除く必要がある用途では、1又は複数の半導体層502及び504の下の表面の凹凸によってコンタクトマスクの配置に不備が生じる場合がある。しかしながら、半導体層502及び504の下の1又は複数のラッカー層領域402上の機能的テクスチャーの存在は、このような用途での平坦な表面の提供を阻害する場合がある。従って、このような実施形態では、透明基板は、1又は複数の所定のアクティブ領域に対応するポケット又はスロットを有するものが選択される。このような透明基板1200の例は、図12に例示される。透明基板1200は、1又は複数の非アクティブ領域204及び1又は複数の所定のアクティブ領域に対応するポケット1202を含むように示される。
【0082】
1又は複数の半導体層502及び504の堆積のために巨視的に平坦な表面を提供する別の実施形態では、1又は複数の半導体層502及び504の屈折率と同等の屈折率を有する材料の平坦化層を堆積することによって1又は複数のラッカー層領域を平坦化する。平坦化層の屈折率が1又は複数の半導体層502及び504の屈折率と同等であるので、平坦化層と1又は複数の半導体層502及び504の界面でのTIRが全くないか、非常に少ない。この実施形態を例示するために、図13は、1又は複数のラッカー層領域402の後に堆積された例示的平坦化層1302を示す。同様に、図14は、ポケット1202を有する透明基板1200が使用された場合の、1又は複数のラッカー層領域402の後に堆積された例示的平坦化層1302を示す。
【0083】
好ましい実施形態では、平坦化層1302は、図6を用いて説明されるものに類似したインクジェット印刷プロセスを用いて堆積される。
【0084】
さらに、1又は複数の半導体層502及び504を堆積する前に、第一電気コンタクト306b、306c及び306dが1又は複数のラッカー層領域402上に堆積されることは当業者に明らかであろう。同様に、第二電気コンタクト306a、306e及び306fは、1又は複数の半導体層502及び504を堆積した後に、堆積される。第一電気コンタクト306b、306c及び306dと第二電気コンタクト306a、306e及び306fの間に電圧が印加されると、1又は複数の半導体材料502及び504は、エレクトロルミネセンス特性によって発光する。
1又は複数の半導体層902及び904によって放射されたこの光は、透明基板200を通じて得ることができる。1又は複数のラッカー層領域402は、機能的テクスチャー(これは、1又は複数のラッカー層領域402上での光の入射角が臨界角未満である領域を増大させる傾向にある。)によって、放射された光が半導体層へ戻る反射を防ぐ。これを可能にするために、機能的テクスチャーは、光の伝播方向を変化させる形状を含む。従って、OLED300の効率が増大する。このような光取り出しを可能にし且つ効率を増大させる例示的機能的テクスチャーが図4に例示される。例示的機能的テクスチャーは、頂上404の二次元マトリクスを含むように示されるが、他の機能的テクスチャーでも本発明の範囲から逸脱することなく使用可能であることは当業者にとって明らかであろう。
【0085】
この説明の目的のために、機能的テクスチャーは、OLEDにおける内部光取り出しの目的で1又は複数のラッカー層領域上にインプリントされるように示される。しかしながら、機能的テクスチャーが、外部光取り出し用に透明基板の外面上に堆積される1又は複数のラッカー層領域に類似した層上にインプリント可能であることは当業者にとって明らかであろう。同様に、当業者は、機能的テクスチャーは、OPVにおける光トラッピング層上にもインプリント可能であることも理解するであろう。
【0086】
その後、方法900のステップ912では、カバー基板が1又は複数の半導体層上に提供され、カバー基板が1又は複数の非アクティブ領域の一部で前記透明基板に接合され、カバー基板と透明基板の間に1又は複数のラッカー層領域及び1又は複数の半導体層を封じ込める。
【0087】
図5を参照すると、カバー基板506は、1又は複数のラッカー層領域402、第一電気コンタクト306b、306c及び306d、1又は複数の半導体層502及び504、及び第二電気コンタクト306a、306e及び306fが透明基板200とカバー基板506の間にあるように提供されるように示される。カバー基板無しのOLEDの上面図を示す図3を参照すると、透明基板200(図2を参照)の1又は複数の非アクティブ領域204の一部304が示される。カバー基板506は、一部304上で透明基板200に接合し、それによって1又は複数のラッカー層領域402、第一電気コンタクト306b、306c及び306d、1又は複数の半導体層502及び504、及び第二電気コンタクト306a、306e及び306fを封入する。
【0088】
図6を用いて説明したように、ラッカーの液滴608は、透明基板400の1又は複数の所定のアクティブ領域402上においてのみ噴霧し、1又は複数の非アクティブ領域404は、ラッカー液滴608がない状態にした。従って、一部304ではカバー基板506と透明基板200の間にラッカー層がない。
【0089】
カバー基板と透明基板の間のラッカー材料の存在は、非効率的な封入技術につながり、いくらかの水分がOLED300に入り、内部の層(つまり、1又は複数のラッカー層領域402、第一電気コンタクト306b、306c及び306d、1又は複数の半導体層502及び504、及び第二電気コンタクト306a、306e及び306f)を汚染する。例えば、図8cは、透明基板及びカバー基板のコンタクトの一部でのラッカーの存在による封入の剥離を例示する。同様に、図8bでの暗いスポット802は、1又は複数の半導体層が水分によって汚染されて発光不能となった、OLEDの領域を示す。
【0090】
また、ラッカー材料は、OLEDを製造するプロセスの間、流体を生成する傾向にあり、電気コンタクトを腐食させる傾向がある。これは、OLEDによる不適切な又は予測できない発光及び/又は電気消費の増大につながる。
【0091】
従って、本発明によれば、一部304においてラッカー材料の存在を除去することは、前記段落で強調された1又は複数の欠陥の排除を容易にする。
【0092】
ここで、図11を参照すると、OLED(例:OLED300)を製造する例示的方法1100が提供される。方法1100を説明するために、図2、3、4、5、6、8、9及び10を参照する。但し、方法1100が他の適切な環境で実施可能であることは理解されるであろう。さらに、本発明は、方法1100にリストされる工程の順序に限定されない。さらに、方法1100が本発明によれば方法1100の効果をさらに高めるが方法1100に本質的でない1又は複数の追加のステップを含んでもよいことは当業者に明らかであろう。
【0093】
ステップ1102で方法が開始される。ステップ1104で、1又は複数の所定のアクティブ領域及び1又は複数の非アクティブ領域を有する透明基板が提供される。例えば、1又は複数の所定のアクティブ領域202及び1又は複数の非アクティブ領域204を有する透明基板200が提供される。透明基板に使用される材料の例は、ガラス、フレキシブルガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及び他の透明又は半透明材料を含むがこれに限定されない。
【0094】
その後、ステップ1106で、1又は複数のラッカー層領域402がインクジェット印刷(図6を参照)を用いることによって1又は複数の所定のアクティブ領域204上に堆積される。インクジェット印刷では、ラッカー層領域402の材料は、インクとして使用され、その液滴608が1又は複数の所定のアクティブ領域202上に噴霧される。インクとしての使用を可能にするために、インクジェット印刷プロセスでは、ラッカー材料は、この材料の粘度が5N/m2〜100N/m2の間になるように選択される。好ましくは、ラッカーの材料は、この材料の粘度が10N/m2〜20N/m2の間になるように選択される。ラッカーの材料のいくつかの例は、加熱及び/又は溶融によって粘度が上記範囲になるように、プラスチック、光硬化樹脂ラッカー、アクリレート、及びシリカ又はシリカ-チタニアベースのゾルゲル材料を含んでもよいがこれに限定されない。
【0095】
その後、ステップ1108では、機能的テクスチャーが1又は複数のラッカー層領域402上に提供される。図7及び9を用いて説明したように、一実施形態では、1又は複数のラッカー層領域402を硬化することによって固有テクスチャーとして機能的テクスチャーが提供される。別の実施形態では、テクスチャーは、紫外エンボス加工、ホットエンボス加工、エッチング、スタンピング又はスクライビングと、その後に続く硬化によってインプリントされる。機能的テクスチャーは、OLED300において光取り出しを可能にする。
【0096】
その後、ステップ1110では、第一電気コンタクト306b、306c及び306dは、1又は複数のラッカー層領域上に堆積される。第一電気コンタクト306b、306c及び306d用の材料は、何れの透明導電材料であってもよく、例えば、インジウム酸化スズ(ITO)又は酸化亜鉛のような透明導電酸化物(TCO)である。第一電気コンタクト306b、306c及び306dは、種々の方法(例:ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、エレクトロフォーミング、及びエバポレーション)を用いることによって堆積可能である。
【0097】
一実施形態では、第一電気コンタクト306b、306c及び306dは、アノードとして働く。
【0098】
その後、ステップ1112では、第一半導体層502が堆積される。一実施形態では、第一半導体層502は、導電タイプ半導体層であり、これによって第一電気コンタクト306b、306c及び306d、つまり、アノードからの正孔の輸送を容易にすることができる。第一半導体層502に使用される材料の例は、ポリアニリンを含むがこれに限定されない。第一半導体層502は、種々の方法(例:ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、エレクトロフォーミング、及びエバポレーション)を用いることによって堆積可能である。
【0099】
その後、ステップ1114では、第二半導体層504が堆積される。一実施形態では、第二半導体層504は、放出タイプ半導体層であり、これによって、第二電気コンタクト306a、306e及び306f、つまり、カソードからの電子の輸送を容易にすることができる。第二半導体層に使用される材料の例は、ポリフルオレンを含むがこれに限定されない。第二半導体層504は、種々の方法(例:ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、エレクトロフォーミング、及びエバポレーション)を用いることによって堆積可能である。
【0100】
その後、ステップ1116では、第二電気コンタクト306a、306e及び306fが第二半導体層504上に堆積される。第二電気コンタクト306a、306e及び306f用の材料は、何れの導電材料であってもよく、例えば、インジウム酸化スズ(ITO)、酸化亜鉛のような透明導電酸化物(TCO)、又は電荷キャリアを注入するのに適切な仕事関数を有する金属(例:カルシウム、アルミニウム、金、又は銀)である。第二電気コンタクト306a、306e及び306fは、種々の方法(例:ディップコーティング、スピンコーティング、ドクターブレード、スプレーコーティング、スクリーン印刷、スパッタリング、ガラスマスタリング、フォトレジストマスタリング、エレクトロフォーミング、及びエバポレーション)を用いることによって堆積可能である。
【0101】
一実施形態では、第二電気コンタクト306a、306e及び306fは、カソードとして働く。
【0102】
例示的実施形態では、ホール移動層(図示せず)も、第一半導体層502を堆積する前に第一電気コンタクト306b、306c及び306d上に堆積してもよい。ホール移動層は、第一電気コンタクト306b、306c及び306dから第一半導体層302への正孔の流れを高め、それによって、OLED300の効率を増大させることができる。
【0103】
同様に、さらに別の例示的実施形態では、電子移動層(図示せず)も、半導体層504上に堆積してもよい。電子移動層は、第二電気コンタクト306a、306e及び306fから第二半導体層504への電子の流れを高め、それによってOLED300の効率を増大させることができる。
【0104】
その後、ステップ1118では、カバー基板506が第二電気コンタクト306a、306e及び306f上に提供され、これによって、カバー基板506が1又は複数の非アクティブ領域204の一部304で透明基板200に接合し、カバー基板と透明基板の間に、1又は複数のラッカー層領域402、第一電気コンタクト306b、306c及び306d、第一半導体層502、第二半導体層504、及び第二電気コンタクト306a、306e及び306fを封じ込める。
【0105】
その後、ステップ1120でこの方法を終了する。
【0106】
上述の種々の実施形態は、いくつかの利点を有する半導体デバイスを製造する方法及びラッカー層を製造する方法を提供する。いくつかの利点の一つは、ラッカー層での材料の使用量が少なくなることである。なぜなら、ラッカーが透明基板全体ではなく、アクティブ領域上においてのみ堆積されるからである。他の利点は、透明基板及びカバー基板が互いに接合する非アクティブ領域の一部にラッカーがなく、封入の剥離が防がれることである。これは、さらに水分又は湿気の半導体デバイス内への侵入を減少又は除去させ、それによって半導体デバイスの汚染を防ぐ。
【0107】
また、電気コンタクトに接触しているラッカー材料は、電気コンタクトを腐食させる傾向がある。従って、本発明の他の利点は、電気コンタクトの腐食を防ぐことである。
【0108】
好ましい実施形態に基づいて本発明の開示を行ってきたが、種々の修正及び改良は、当業者に明らかになるであろう。従って、本発明の精神及び範囲は、前記例によって制限されず、法律によって許容される最も広い意味で理解される。
【0109】
本明細書中で参照した全ての文献は、ここに参照取り込みされる。
【図1a】

【図1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを製造する方法であって、前記方法は、以下の工程を備える、方法。
(1)1又は複数の所定のアクティブ領域及び1又は複数の非アクティブ領域を有する透明基板を提供する。
(2)前記非アクティブ領域にラッカーが存在しないように前記1又は複数の所定のアクティブ領域上にラッカーの液滴を噴霧し、前記液滴は、前記1又は複数の所定のアクティブ領域上に1又は複数のラッカー層領域を形成し、前記1又は複数のラッカー層領域は、前記1又は複数のラッカー層領域に機能的テクスチャーを形成することを可能にするように所定の厚さを有する。
(3)機能的テクスチャーを形成するように前記所定の厚さの前記1又は複数のラッカー層領域にテクスチャー形成を行い、前記機能的テクスチャーは、光トラッピング及び光取り出しの一つを可能にする。
(4)前記1又は複数のラッカー層領域上に1又は複数の半導体層を堆積する。
(5)前記1又は複数の半導体層上にカバー基板を提供し、前記カバー基板は、前記1又は複数の非アクティブ領域の一部で前記透明基板に接合され、前記カバー基板と前記透明基板の間に前記1又は複数のラッカー層領域及び前記1又は複数の半導体層を封入する。
【請求項2】
前記透明基板の前記1又は複数の非アクティブ領域上に1又は複数の電気コンタクトを堆積することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記テクスチャー形成は、前記1又は複数のラッカー層領域に固有の機能的テクスチャーを生じさせるように前記1又は複数のラッカー層領域を硬化することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記テクスチャー形成は、
紫外エンボス加工、ホットエンボス加工、エッチング、スタンピング及びスクライビングの少なくとも1つによって前記1又は複数のラッカー層領域上に前記機能的テクスチャーをインプリントし、
前記1又は複数のラッカー層領域を硬化することを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ラッカーの材料の粘度は、前記機能的テクスチャーの形成を可能にするように5N/m2〜100N/m2の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ラッカーの材料の粘度は、液滴状でラッカーの噴霧を可能にするように10N/m2〜20N/m2の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記機能的テクスチャーは、前記半導体デバイスにおいて内部光取り出し及び外部光取り出し少なくとも1つを可能にする、請求項1に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−146661(P2012−146661A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−2708(P2012−2708)
【出願日】平成24年1月11日(2012.1.11)
【出願人】(508064610)モーザー ベイアー インディア リミテッド (13)
【Fターム(参考)】