説明

インクジェット式記録装置

【課題】インクジェット式記録装置において、画質の低下を抑制しつつ、インクヘッドの小型化を図る。
【解決手段】インクヘッド40は、少なくとも主走査方向Yと直交する方向である副走査方向Xに並んだ複数のノズル44を有し、プロセスカラーのうちのいずれか一色のインクを各ノズル44から吐出する複数のプロセスカラー用ノズル列と、少なくとも副走査方向Xに並んだ複数のノズル44を有し、プロセスカラーのうちのいずれか一色の淡色であるライトカラーを各ノズル44から吐出するライトカラー用ノズル列とを備えている。複数のプロセスカラー用ノズル列の副走査方向Xに関するノズルピッチPは互いに等しい。ライトカラー用ノズル列の副走査方向Xに関するノズルピッチLは、プロセスカラー用ノズル列のノズルピッチPよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類のインクを吐出するインクヘッドを備えたインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、この種のインクジェット式記録装置は、インクを吐出する複数のプリントヘッドを備えたインクヘッドを有している。インクヘッドは所定の方向(以下、この方向を主走査方向という)に移動し、記録用紙等の記録媒体は、主走査方向と直交する副走査方向に搬送される。インクヘッドは、主走査方向に移動しながら記録媒体に向かってインクを吐出し、これらインクによって記録媒体に印刷が行われる。
【0003】
ところで、近年、高画質化の要請が非常に強くなっている。このような要請に応える手段として、例えばインクの種類を増やしたり、プリントヘッドに設けられるノズルの数を増加させる(すなわち、ノズルを高密度化させる)ことが行われている。しかし、インクの種類を増やすためにはプリントヘッドの個数を増加させなければならず、インクヘッドが大型化してしまうという難点がある。ノズルの高密度化には、製造コストの高騰という課題がある。
【0004】
インクヘッドの小型化を図るためになされた発明としては、例えば特許文献1に示すようなものが存在する。この従来のものは、所謂プロセスカラーと称されるイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のうち、画質への影響が比較的小さいと考えられるイエロのプリントヘッドについて、ノズルピッチを粗くしたものである(特許文献1の図7参照)。これによれば、ノズルピッチを粗くした分、イエロのノズル列を半減させることができるので、インクヘッドの小型化を図ることができる。
【0005】
また、この特許文献1には、シアン及びマゼンタについて、プロセスカラーと所謂ライトカラーとを併用することも開示されている。すなわち、特許文献1には、ブラック(K)、シアン(C)、ライトシアン(LC)、マゼンタ(M)、ライトマゼンタ(LM)、及びイエロ(Y)の6種類のインクを用いるインクヘッドが開示されている(特許文献1の図8参照)。このインクヘッドでは、ブラックのノズルピッチは、他の色のノズルピッチよりも小さくなっている。なお、シアン及びマゼンタについて、プロセスカラーのノズルピッチとライトカラーのノズルピッチとは同じである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−141714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の技術では、インクヘッドの小型化を図る手段として、プロセスカラーの一つ(具体的にはイエロ)について、ノズルピッチを粗くするという手段を採用している。ところが、プロセスカラーは、印刷物の画像形成にとって必須となる重要な色である。そのため、上記従来の技術は、印刷物の高画質を維持するという観点からは必ずしも好ましいものではなく、ある程度の画質の低下が否めなかった。すなわち、この従来の技術は、インクヘッドの小型化を図るために、その代償として求められる画質の低下が大きかった。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、印刷物の画質の低下を抑制しつつ、インクヘッドの小型化を図る点にある。また、本発明の他の目的は、従来のインクヘッドの大きさを維持しつつ、より高画質の印刷物を得られるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るインクジェット式記録装置は、記録媒体に対して主走査方向に相対移動するインクヘッドを備えたインクジェット式記録装置であって、前記インクヘッドは、少なくとも前記主走査方向と直交する方向である副走査方向に並んだ複数のノズルを有し、プロセスカラーのうちのいずれか一色のインクを前記各ノズルから吐出する複数のプロセスカラー用ノズル列と、少なくとも前記副走査方向に並んだ複数のノズルを有し、前記プロセスカラーのうちのいずれか一色の淡色であるライトカラーを前記各ノズルから吐出するライトカラー用ノズル列とを備え、前記複数のプロセスカラー用ノズル列の前記副走査方向に関するノズルピッチは、互いに等しく、前記ライトカラー用ノズル列の前記副走査方向に関するノズルピッチは、前記プロセスカラー用ノズル列の前記ノズルピッチよりも大きくしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、印刷物の画質の低下を抑制しつつ、インクヘッドの小型化を図ることができる。また、従来のインクヘッドの大きさを維持しつつ、より高画質の印刷物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタの一部を示す正面図である。
【図2】インク供給経路の一実施形態を示す模式図である。
【図3】第1実施形態に係るインクヘッドを示す裏面図である。
【図4】インクヘッドの動作を制御する制御系の一実施形態を示すブロック図である。
【図5】第2実施形態に係るインクジェットプリンタの一部を示す正面図である。
【図6】第2実施形態に係るインクヘッドを示す裏面図である。
【図7】第3実施形態に係るインクヘッドを示す裏面図である。
【図8】第4実施形態に係るインクヘッドを示す裏面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態を図面に従って説明する。ここでは、インクジェット式記録装置の一例として、記録媒体である記録用紙に印刷を行うインクジェットプリンタ1について説明する。
【0013】
なお、本発明における「記録媒体」には、普通紙等の紙類からなる記録媒体は勿論のこと、PVC及びポリエステル等の樹脂材料、アルミニウムや鉄等の金属、木材、その他各種の材料からなる記録媒体が幅広く含まれるものとする。また、本発明における「インクジェット式」とは、インクジェット技術による印刷方式を意味する。更に、「インクジェット式」には、公知の各種手法が含まれ、例えば二値偏向方式或いは連続偏向方式等の各種の連続方式や、サーマル方式或いは圧電素子方式等の各種のオンデマンド方式が含まれる。
【0014】
<第1実施形態>
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、装置本体2と、装置本体2に固定されたガイドレール3とを備えている。装置本体2には、記録用紙Pを支持するプラテン4が設けられている。ガイドレール3は左右方向に延びている。以下、ガイドレール3の長手方向を主走査方向Yと称することとする。
【0015】
ガイドレール3には、キャリッジ5が係合している。図示は省略するが、ガイドレール3の右端側及び左端側にはローラが設けられている。これらローラには、無端状のベルト6が巻き架けられている。キャリッジ5は、ベルト6に固定されている。ベルト6が走行すると、キャリッジ5は主走査方向Yに移動する。即ち、キャリッジ5は、ガイドレール3に沿って主走査方向Yに移動可能である。なお、記録用紙Pは、主走査方向Yと直交する方向である副走査方向に搬送される。
【0016】
装置本体2には、6個のメインタンク30、31が着脱可能(言い換えると、交換可能)に取付けられている。即ち、メインタンク30、31は、所謂インクカートリッジによって構成されている。メインタンク30には、プロセスカラーであるシアン、マゼンタ、イエロ、ブラックのインクがそれぞれ貯留され、メインタンク31には、ライトカラーであるライトシアン、ライトマゼンタのインクがそれぞれ貯留されている。装置本体2は、インクジェットプリンタ1の各部の動作を制御する制御装置7を備えている。
【0017】
キャリッジ5には、インクヘッド40が設けられている。本実施形態では、インクヘッド40は合計5つのプリントヘッド41,42を備えている。詳しくは、本実施形態に係るインクヘッド40は、第1〜第4のプリントヘッド41と、第5のプリントヘッド42とを備えている。なお、第1〜第5のプリントヘッド41,42の構成は同じである。
【0018】
図2に示すように、第1〜第4のプリントヘッド41の内部には、隔壁47によって2つのインク室41a,41bが区画されている。インク室41a,41bは、それぞれインク供給路50cを介してダンパ52に接続されている。ダンパ52は所定量のインクを貯留可能な容器であり、例えば可撓性を有する素材により形成されている。ダンパ52は、インクチューブ50bに接続されている。メインタンク30にはインクチューブ50aが接続されており、インクチューブ50aは三方継手51を介して2本のインクチューブ50bに接続されている。同様に、第5のプリントヘッド42の内部には、隔壁47によって2つのインク室42a,42bが区画されている。インク室42a,42bは、それぞれインク供給路53bを介してダンパ52に接続されている。各メインタンク31は、インクチューブ53aを介してダンパ52に接続されている。このように、第1〜第4のプリントヘッド41に対しては、単一のメインタンク30からインクが供給される。第5のプリントヘッド42に対しては、複数のメインタンク31からインクが供給される。インクチューブ50a,53aは、図1に示すように、可撓性を備えたケーブルベア54内に収容されている。
【0019】
なお、本実施形態では、メインタンク30から延びるインクチューブ50aは三方継手51を介して2本のインクチューブ50bに分岐しているが、メインタンク30に2本のインクチューブ50aを接続し、それぞれのインクチューブ50aを分岐させることなくダンパ52に接続することも可能である。また、メインタンク30を2つのタンクに分離し、各タンクにインクチューブ50aを接続するようにしてもよい。
【0020】
本実施形態では、第1〜第4のプリントヘッド41にはプロセスカラーのインクが供給され、第5のプリントヘッド42にはライトカラーのインクが供給される。第1〜第4のプリントヘッド41には、例えば図3に示すように、正面左側からシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)のインクが各々供給される。第5のプリントヘッド42のインク室42a、42bには、ライトシアン(LC)、ライトマゼンタ(LM)のインクがそれぞれ供給される。なお、各プリントヘッド41、42の配置順は上記のものに限定されず、適宜変更が可能である。各プリントヘッド41、42の副走査方向Xの長さは、約1インチに設定されている。但し、その具体的な長さはこれに限られるものではなく、例えば2インチ等としても構わない。
【0021】
各プリントヘッド41、42の下面には、各インクを吐出する複数のノズル44が設けられている。インク室41a,41b,42a,42bの下方に位置するノズル44は、それぞれインク室41a,41b,42a,42bに連通している。具体的には、プロセスカラーであるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)用のノズル列(以下、プロセスカラー用ノズル列という)は、それぞれ、主走査方向Yに所定間隔を有して配される2列のノズル列からなっている。各ノズル列のノズル44は、副走査方向Xに沿って所定のノズルピッチ(=2P)で並んでいる。更に、隣合うノズル列は、一方のノズル列のノズル44が他方のノズル列のノズル44に対し、副走査方向Xに半ピッチ(=P)ずつずれるように配置されている。このように、プロセスカラー用ノズル列のノズル44は、所謂千鳥状に配置されている。このような千鳥状配置により、プロセスカラー用ノズル列の副走査方向に関するノズルピッチPは、各ノズル列のノズルピッチの半分となっており、ノズルの高密度化が図られている。
【0022】
なお、本明細書において、「プロセスカラー用ノズル列の副走査方向に関するノズルピッチ」とは、プロセスカラー用ノズル列が複数のノズル列(本実施形態では2列のノズル列)で構成されている場合には、各ノズル列のノズルピッチを意味するのではなく、それらすべてのノズル列を含めた副走査方向に関するノズルピッチを意味するものとする。後述する「ライトカラー用ノズル列の副走査方向に関するノズルピッチ」についても同様である。
【0023】
ライトシアン(LC)及びライトマゼンタ(LM)の各ノズル列(以下、ライトカラー用ノズル列という)は、副走査方向Xに延びる1列のノズル列で構成されている。両ライトカラー用ノズル列は、一方のライトカラー用ノズル列のノズル44が他方のライトカラー用ノズル列のノズル44に対して、副走査方向Xに半ピッチずつずれるように配置されている。ライトカラー用ノズル列の副走査方向に関するノズルピッチLは、プロセスカラー用ノズル列のノズルピッチPの2倍である。なお、各ノズル列に含まれるノズル数は180個である。これにより、プロセスカラーの印刷解像度は360dpiであり、ライトカラーの印刷解像度は180dpiとなっている。但し、プロセスカラー及びライトカラーの印刷解像度は、特に限定されず、任意に変更が可能である。なお、図2では各プリントヘッド41、42の中間部分のノズル44を省略し、点線により現わしている。
【0024】
このように、本実施形態では、4色のプロセスカラーについては全て、ライトカラーに比べて、ノズルピッチが細かくなっている。逆に言うと、2色のライトカラーについては全て、プロセスカラーに比べて、ノズルピッチが粗くなっている。ライトカラーはプロセスカラーに比べてインク使用量が少なく、ライトカラーのインク使用量は、実際にはプロセスカラーのインク使用量の50%程度以下である。従って、ライトカラー用ノズル列のノズルピッチLをプロセスカラー用ノズル列のノズルピッチPよりも大きく設定しても、印刷物の画質低下を最小限に抑制することができる。
【0025】
本実施形態では、第1〜第4のプリントヘッド41は、それぞれ1種類のプロセスカラーインクを吐出する。一方、第5のプリントヘッド42は、2種類のライトカラーインクを吐出する。従来の6色用のインクヘッドは、計6個のプリントヘッドで構成されていた。これに対し本実施形態によれば、インクヘッド40は、第1〜第4のプリントヘッド41と、第5のプリントヘッド42との計5個のプリントヘッドで構成されている。このため、本実施形態によれば、従来よりもプリントヘッドの個数を1つ削減することができる。その結果、インクヘッド40を従来よりも小型化することができる。
【0026】
本実施形態ではプリントヘッド41、42には、図3に示すように、各ノズル44に対応して設けられる駆動部として、ピエゾ素子48が設けられている。ピエゾ素子48には制御装置7が接続されている。制御装置7は、インクジェットプリンタ1の外部から印刷データを受け取り、所定のノズル44から所定のタイミングでインクを吐出させるように、所定のピエゾ素子48に所定のタイミングで電圧を印加する。ピエゾ素子48は電圧を受けると変形する。この変形動作により、プリントヘッド41、42内のインクが所望のタイミングでノズル44から吐出される。吐出されたインクはインク滴となって、記録用紙P上に着滴し、記録用紙P上に画像等を形成する。なお、駆動部の種類は何ら限定されず、ピエゾ素子48でなくてもよい。
【0027】
制御装置7が備える制御プログラムは、2列構成からなるプロセスカラー用ノズル列のピエゾ素子48に、2列分の信号を供給するように構成されている。また、1列構成からなるライトカラー用ノズル列のピエゾ素子48についても、2列分の信号を供給するように構成されている。従って、従来の6色用のインクヘッドについて使用されている2列用の制御プログラムを、そのまま流用することができる。このため、新たに制御プログラムを作成する必要がなくなり、作成費用の軽減を図ることができる。また、印刷速度を低下させることなく、一連の印刷作業を効率良く行うことができる。但し、制御プログラムは、これに限られるものではない。1列構成用の制御プログラムを作成し、その制御プログラムに従って印刷を実行することも勿論可能である。
【0028】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、ライトカラーインクとして、ライトシアンとライトマゼンタとの2色のインクを用いていた。しかし、更なる高画質化が望まれるような場合には、インクヘッド40を次のように構成することも可能である。本実施形態に係るインクジェットプリンタ1は、インクヘッド40を従来と同等の大きさに保ちつつ、高画質化したものである。
【0029】
図5及び図6に示すように、本実施形態のインクヘッド40は、前記第5のプリントヘッド42と同様の構成からなる第6のプリントヘッド45を更に備えている。第6のプリントヘッド45のインク室45a、45bには、装置本体2に追加して設けられたメインタンク31から、ライトイエロ(LY)とライトブラック(LK)のインクがそれぞれ供給される。即ち、本実施形態では、新たにライトカラーが2色追加され、合計4色のプロセスカラーインクと共に、合計4色のライトカラーインクが用いられる。
【0030】
本実施形態によれば、第6のプリントヘッド45を追加した分だけ、第1実施形態に比べてインクヘッド40の大きさは増大することになる。しかし、プリントヘッドの個数は6個に過ぎず、その大きさは従来の所謂6色用のインクヘッドと同等である。一方、新たなライトカラーの追加により、従来よりも優れた画質を得ることができる。したがって、本実施形態によれば、従来のインクヘッドの大きさを維持しつつ、印刷物の高画質化を達成することが可能となる。
【0031】
<第3実施形態>
前述したように、前記第1実施形態によれば、第1〜第5のプリントヘッド41,42のみで従来と同等の画質を得ることができる。従来と同様に合計6個のプリントヘッドを用いる場合、第6のプリントヘッドから、従来用いられていなかったインクを吐出することが可能となる。第2実施形態は、第6のプリントヘッド45から、他のライトカラーインクを吐出するようにしたものであった。しかし、第6のプリントヘッド45から吐出するインクの種類は、ライトカラーに限られる訳ではない。
【0032】
第3実施形態は、第6のプリントヘッド45から所謂スポットカラーのインクを吐出するようにしたものである。詳しくは図7に示すように、第3実施形態では、第6のプリントヘッド45に白色インク(W)が供給される。なお、スポットカラーとして、白色に代えて、例えば金、銀、蛍光色等のインクを用いることも可能である。これによると、プロセスカラーだけではうまく表現できない色、例えば蛍光色等を用いた印刷を行うことが可能になる。また、第6のプリントヘッド45から、赤等の単色で用いられるインクを吐出するようにしてもよい。通常、赤色はマゼンタとイエロとを混合して生成されるが、混色の赤は単色の赤よりも鮮やかさに欠ける。そこで、単色の赤色インクを別途用いることにより、更なる画質の向上を図ることができる。同様に、他の単色インクを用いることも可能である。さらにまた、第6のプリントヘッド45から、透明インクを吐出するようにしてもよい。
【0033】
<第4実施形態>
上記第2実施形態においては、第5及び第6のプリントヘッド42、45から、ライトカラーのみを吐出していた。しかし、第5または第6のプリントヘッド42,45から、プロセスカラーとライトカラーとの両方を吐出させることも可能である。本実施形態では、図8に示すように、第5のプリントヘッド42のインク室42a、42bに、それぞれシアンインク、ライトシアンインクを供給する。また、第6のプリントヘッド45のインク室45a、45bに、それぞれマゼンタインク、ライトマゼンタインクを供給する。
【0034】
本実施形態によれば、プロセスカラーであるシアンとマゼンタに関して、吐出可能なインク量が増量される。そのため、より鮮やかな印刷物を得ることが可能になる。その結果、印刷物の画質向上を図ることができる。なお、前記第5及び第6のプリントヘッド42、45に、その他のプロセスカラー及びそのライトカラーのインクを供給するようにしてもよい。
【0035】
<その他の実施形態>
なお、インクジェットプリンタ1で用いられるライトカラーは、プロセスカラーのうちのいずれか1色の淡色であればよく、上記各実施形態のように必ずしも2色以上が用いられる必要はない。1色のライトカラーのみを用いる場合は、例えばプリントヘッド42のインク室42a、42bのいずれか一方を使用すればよい。
【0036】
記実施形態では、各プリントヘッド41,42,45のノズル列は2列であった。しかし、各プリントヘッド41,42,45のノズル列は3列以上であってもよい。プリントヘッド41,42,45のノズル列は必ずしも同一でなくてもよい。プリントヘッド41,42,45のうちの少なくとも一つは、他のプリントヘッドに比べてノズル列の列数が多くてもよく、少なくてもよい。
【0037】
上記実施形態では、インクヘッド40は、互いに分離可能な複数のプリントヘッドが組み合わせられることによって構成されていた。しかし、インクヘッド40は、単一のプリントヘッドから構成されていてもよい。言い換えると、上記実施形態において、複数のプリントヘッドが互いに分離不能なように一体的に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 インクジェット式記録装置(インクジェットプリンタ)
7 制御装置
40 インクヘッド
41、42、45 プリントヘッド
44 ノズル
48 駆動部(ピエゾ素子)
P 記録媒体(記録用紙)
X 副走査方向
Y 主走査方向
プロセスカラー用ノズル列のノズルピッチ
ライトカラー用ノズル列のノズルピッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して主走査方向に相対移動するインクヘッドを備えたインクジェット式記録装置であって、前記インクヘッドは、
少なくとも前記主走査方向と直交する方向である副走査方向に並んだ複数のノズルを有し、プロセスカラーのうちのいずれか一色のインクを前記各ノズルから吐出する複数のプロセスカラー用ノズル列と、
少なくとも前記副走査方向に並んだ複数のノズルを有し、前記プロセスカラーのうちのいずれか一色の淡色であるライトカラーを前記各ノズルから吐出するライトカラー用ノズル列と、を備え、
前記複数のプロセスカラー用ノズル列の前記副走査方向に関するノズルピッチは、互いに等しく、
前記ライトカラー用ノズル列の前記副走査方向に関するノズルピッチは、前記プロセスカラー用ノズル列の前記ノズルピッチよりも大きい、インクジェット式記録装置。
【請求項2】
前記プロセスカラー用ノズル列の各々は、前記副走査方向に所定のノズルピッチで並ぶ複数のノズルからなるノズル列を、各ノズル列のノズルが他のノズル列のノズルに対して前記副走査方向にずれた位置に配置されるように、前記主走査方向に2列備え、
前記ライトカラー用ノズル列は、前記副走査方向に前記ノズルピッチで並ぶ複数のノズルからなるノズル列を1列備えている、請求項1に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項3】
前記インクヘッドは、前記副走査方向に所定のノズルピッチで並ぶ複数のノズルからなるノズル列を、各ノズル列のノズルが他のノズル列のノズルに対して前記副走査方向にずれた位置に配置されるように前記主走査方向に2列備えた複数のプリントヘッドを備え、
前記プロセスカラー用ノズル列の各々は、前記プリントヘッドの前記2列のノズル列によって構成され、
前記ライトカラー用ノズル列は、前記プリントヘッドの前記2列のノズル列のうちの1列のノズル列によって構成されている、請求項1又は2に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項4】
前記プロセスカラーは、イエロ、マゼンタ、シアン、及びブラックであり、
前記ライトカラーは、ライトシアン及びライトマゼンタである、請求項1〜3のいずれか一つに記載のインクジェット式記録装置。
【請求項5】
前記インクヘッドは、前記主走査方向に並ぶ第1〜第5のプリントヘッドを備え、
前記プロセスカラーは、イエロ、マゼンタ、シアン、及びブラックであり、
前記イエロ用、マゼンタ用、シアン用、及びブラック用のノズル列は、それぞれ前記第1〜第4のプリントヘッドの前記2列のノズル列によって構成され、
前記ライトカラーは、ライトシアン及びライトマゼンタであり、
前記ライトシアン用のノズル列及び前記ライトマゼンタ用のノズル列のいずれか一方は、前記第5のプリントヘッドの前記2列のノズル列のうちの1列のノズル列によって構成され、他方は、前記第5のプリントヘッドの前記2列のノズル列のうちの他の1列のノズル列によって構成されている、請求項3に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項6】
前記インクヘッドは、前記主走査方向に並ぶ第1〜第6のプリントヘッドを備え、
前記プロセスカラーは、イエロ、マゼンタ、シアン、及びブラックであり、
前記イエロ用、マゼンタ用、シアン用、及びブラック用のノズル列は、それぞれ前記第1〜第4のプリントヘッドの前記2列のノズル列によって構成され、
前記ライトカラーは、ライトイエロ、ライトマゼンタ、ライトシアン、及びライトブラックであり、
前記ライトイエロ用のノズル列、ライトマゼンタ用のノズル列、ライトシアン用のノズル列、及びライトブラック用のノズル列は、前記第5又は第6のプリントヘッドの前記2列のノズル列のうちの1列のノズル列によって構成されている、請求項3に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項7】
前記インクヘッドは、前記主走査方向に並ぶ第1〜第6のプリントヘッドを備え、
前記プロセスカラーは、イエロ、マゼンタ、シアン、及びブラックであり、
前記イエロ用、マゼンタ用、シアン用、及びブラック用のノズル列は、それぞれ前記第1〜第4のプリントヘッドの前記2列のノズル列によって構成され、
前記ライトカラーは、ライトシアン及びライトマゼンタであり、
前記ライトシアン用のノズル列及び前記ライトマゼンタ用のノズル列のいずれか一方は、前記第5のプリントヘッドの前記2列のノズル列のうちの1列のノズル列によって構成され、他方は、前記第5のプリントヘッドの前記2列のノズル列のうちの他の1列のノズル列によって構成され、
前記第6のプリントヘッドは、イエロ、マゼンタ、シアン、ブラック、ライトシアン、及びライトマゼンタ以外の色のインクを吐出する、請求項3に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項8】
前記ライトカラー用ノズル列を有するプリントヘッドは、前記2列のノズル列のうちの他の1列のノズルから、前記プロセスカラーのいずれか一色のインクを吐出する、請求項3に記載のインクジェット式記録装置。
【請求項9】
前記ノズルに対応して設けられ、それぞれ前記ノズル内のインクに吐出のための駆動力を与える複数の駆動部と、前記各駆動部に駆動用の信号を供給する制御装置とを備え、
前記制御装置は、2列のノズル列によって構成される前記プロセスカラー用ノズル列の駆動部に、2列分の信号を供給するとともに、1列のノズル列によって構成される前記ライトカラー用ノズル列の駆動部に、2列分の信号を供給する、請求項2に記載のインクジェット式記録装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−5656(P2011−5656A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148531(P2009−148531)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ケーブルベア
【出願人】(000116057)ローランドディー.ジー.株式会社 (163)
【Fターム(参考)】