説明

インクジェット方式画像形成方法及びインクジェット方式画像形成装置

【課題】連続画像形成中にはクリーニング動作が実行されないインクジェット方式画像形成方法を提供する。
【解決手段】設定暴露時間Taは、ラベルプリンタ10が設置された周辺の温度と湿度に応じて変更される。所要時間がTp3の連続記録動作が終了した後、続いて、一回の連続記録動作(所要時間Tp4)を実行する。この実行中にも暴露時間は累積されて、所要時間がTp4の連続記録動作中に、記録ヘッド暴露累積時間は設定暴露時間Taに一致する。この一致したタイミングTがクリーニングタイミングとなり、原則としては、予備吐が実行されることとなる。しかし、記録ヘッド暴露累積時間が設定暴露時間Taに一致したタイミングTでは予備吐を実行せずに、所要時間Tp4の連続記録動作が開始される前に予備吐を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクの吐出を阻害するものを記録ヘッドから除去するクリーニング動作を予め設定したクリーニングタイミングで実行しながら記録媒体に画像を形成するインクジェット方式画像形成方法及びインクジェット方式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録紙などの記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置が広く使用されている。このインクジェット方式画像形成装置は、インクを吐出するノズルやインク吐出口(ノズルの出口)が複数形成された記録ヘッド(印字ヘッド)を備えており、複数のインク吐出口は記録ヘッドのほぼ平らなインク吐出口形成面(フェイス面)に形成されている。記録ヘッドには、キャリッジと共に主走査方向に移動しながらインクを吐出するタイプと、固定されて停止した状態でインクを吐出するタイプ(ラインヘッドタイプ)とがある。
【0003】
上記した画像形成装置では、画像形成中(記録中)や待機中(非記録中)に、記録ヘッドのノズルやインク吐出口の周りに増粘したインクやゴミなど(インクの吐出を阻害するもの)が溜まって、インク吐出不良や記録の乱れといった不具合が発生することがある。このような不具合を解決する技術として、記録ヘッド内部を加圧してノズルから増粘インクや泡、ゴミなどを押し出す加圧回復、弾性体からなるクリーニングブレード(クリーニング部材)でフェイス面を払拭するワイプ、などのクリーニング技術が知られている。また、画像形成のためではなく増粘インクやごみを除去するために記録ヘッドからインクを空吐出(予備吐)する技術も知られている。
【0004】
上記したクリーニング動作や空吐出の際には、画像形成(記録動作)を一時的に中断せざるを得ない。この中断にかかる時間の影響を抑えるために非記録中にクリーニング動作を実行してクリーニング動作による画像形成時間の遅延を抑える技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、ホストコンピュータからの指示に基づいて定期的にクリーニング動作を実行することにより、クリーニング動作に起因する画像形成の中断時間を低減させる技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0005】
しかし、上記のような従来の技術では、以下のような問題がある。
【0006】
印刷ボリューム(連続して画像を形成する連続画像形成の画像量)が大きい場合、画像形成の前にクリーニング動作を実行しても、画像形成中にも再びクリーニング動作を実行することがある。このような場合では、上記の従来の技術では、画像形成の中断時間を低減させることはできない。即ち、画像形成中にクリーニング動作が実行されることとなる。クリーニング動作が実行されるタイミング(クリーニングタイミング)は、記録ヘッドから吐出されるインクの合計量や記録ヘッドの記録状態の経過時間などに基づく条件で予め設定されていることが多い。このため、その条件が成立した時点で画像形成装置が自動的にクリーニング動作を実行し、ユーザの意図しないタイミングで記録動作の中断およびクリーニング動作が実行されてしまう。
【0007】
ところで、帯状の台紙の長手方向に仮着された複数枚のラベルに次々に連続して記録を行う(連続して画像を形成する)インクジェット方式画像形成装置(一般には、ラベルプリンタと呼ばれる)が知られている。このラベルプリンタでは、外部機器と同期してラベルに画像を形成したり、画像形成終了後の後工程でラベルの貼り付け作業を行ったりする使用方法もある。このため、上記したようなユーザの意図しないタイミングで画像形成が中断されたときは、外部機器との同期がとれなくなったり、後工程の作業が煩雑になるなどの問題がある。
【0008】
また、ラベルプリンタには、一括で記録を行う(複数枚のラベルに連続して画像を形成する)単位をユーザが予め指示する機能を備えているタイプのものがある(例えば、特許文献3参照。)。このようなタイプのラベルプリンタは、複数枚のラベルに同一内容の記録をする場合には有効である。しかし、ラベルによって記録内容が変わる場合は、上記のようにユーザの意図しないタイミングでクリーニング動作が実行されたとき、ユーザの意図しないタイミングで記録動作が中断されてクリーニング動作が実行されることとなるので、外部機器との同期がとれなくなったり、後工程の作業が煩雑になったりするなどの問題がある。
【0009】
また、上記したラインヘッドタイプの記録ヘッドを記録媒体の搬送方向に複数本並べて配置したインクジェット方式画像形成装置では、搬送方向最上流の記録ヘッドから搬送方向最下流の記録ヘッドまでの距離が長くなる。このため、例えば、搬送方向最上流の記録ヘッドの下方に位置する記録媒体と、搬送方向最下流の記録ヘッドの下方に位置する記録媒体とが異なる記録媒体(先行する記録媒体と後行する記録媒体)であることがある。クリーニング動作のために画像形成を中断させる場合は、画像形成途中の記録媒体(先行する記録媒体)については画像形成を終了させて排紙し、後行の記録媒体をクリーニング動作の妨げにならない搬送方向下流側の位置に移動させておき、その後にクリーニング動作を実行する。従って、クリーニング終了後に画像形成を再開する場合には、画像形成の終了していない(画像形成中の)記録媒体(後行の記録媒体)を画像形成可能な位置に移動させる。このため、後行の記録媒体を搬送方向とは逆の方向に搬送する処理(バックフィード)が必要となり、生産性のさらなる低下や外部機器との同期、後工程の処理の煩雑さに関して大きな問題となる。
【特許文献1】特開2005−349841号公報
【特許文献2】特開2004−358791号公報
【特許文献3】特開昭62−182029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑み、連続画像形成中にはクリーニング動作が実行されないインクジェット方式画像形成方法及びインクジェット方式画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明インクジェット方式画像形成方法は、インクの吐出を阻害するものを記録ヘッドから除去するクリーニング動作を予め設定したクリーニングタイミングで実行しながら、記録媒体に画像を形成するインクジェット方式画像形成方法において、
(1)連続して画像を形成する連続画像形成中に前記クリーニングタイミングが到来するときは、前記クリーニング動作を前記連続画像形成中には実行せずに、前記連続画像形成の開始前又は終了後に実行することを特徴とするものである。
【0012】
ここで、
(2)前記クリーニングタイミングは、前回のクリーニング動作終了後から今回の連続画像形成終了までの間に記録ヘッドからインクが吐出される回数を予測して累計した吐出ドットカウント累計数に基づいて設定されているものであってもよい。
【0013】
さらに、
(3)前記クリーニングタイミングは、前回のクリーニング動作終了後から今回の連続画像形成終了までの間に記録ヘッドのインク吐出面が空気中に暴露されている時間を予測して累積した記録ヘッド暴露累積時間に基づいて設定されているものであってもよい。
【0014】
さらにまた、
(4)前記記録ヘッド暴露累積時間は、該記録ヘッドの周辺温度とその周辺湿度に基づいて設定されるものであってもよい。
【0015】
さらにまた、
(5)前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定し、到来すると判定したときは、前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニング動作を今回の連続画像形成に先立って実行し、到来しないと判定したときは、この判定に続いて、前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定し、到来すると判定したときは、前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニング動作を今回の連続画像形成に先立って実行してもよい。
【0016】
さらにまた、
(6)前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来すると判定したときであっても、前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に再び到来すると判定したときは、画像形成をしなくてもよい。
【0017】
さらにまた、
(7)前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来すると判定したときであっても、前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に再び到来すると判定したときは、画像形成をしなくてもよい。
【0018】
さらにまた、
(8)前記吐出ドットカウント累計数に基づくクリーニング動作は、前記記録ヘッド暴露累積時間に基づくクリーニング動作よりも強い回復力をもった動作であってもよい。
【0019】
さらにまた、
(9)前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定するに際しては、今回の連続画像形成に関するデータに基づいて、今回の連続画像形成中に記録ヘッドからインクが吐出される回数を予測してもよい。
【0020】
さらにまた、
(10)前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定するに際しては、今回の連続画像形成に関するデータに基づいて、今回の連続画像形成中に記録ヘッドのインク吐出面が空気に暴露されている時間を予測してもよい。
【0021】
また、上記目的を達成するための本発明インクジェット方式画像形成装置は、インクの吐出を阻害するものを記録ヘッドからクリーニング部材で除去するクリーニング動作を予め設定したクリーニングタイミングで実行しながら、記録媒体に画像を形成するインクジェット方式画像形成装置において、
(11) 前記クリーニングタイミングを記憶しておくクリーニングタイミング記憶手段と、
(12)前記クリーニングタイミングが到来したときは、前記クリーニング部材にクリーニング動作を指示するクリーニング動作指示手段と、
(13)前回のクリーニング動作終了後から今回の連続画像形成終了までの間に記録ヘッドからインクが吐出される回数を予測して累計した吐出ドットカウント累計数を記憶しておく吐出ドットカウント累計数記憶手段と、
(14)今回の連続画像形成に関するデータに基づいて、前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定するドットカウントクリーニング判定手段と、
(15)前記ドットカウントクリーニング判定手段によって、今回の連続画像形成中に前記クリーニングタイミングが到来すると判定されたときは、前記クリーニング動作を今回の連続画像形成中には実行せずに、今回の連続画像形成の開始前又は終了後に実行するように前記クリーニング動作指示手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0022】
ここで、
(16)前回のクリーニング動作終了後から今回の連続画像形成終了までの間に記録ヘッドのインク吐出面が空気中に暴露されている時間を予測して累積した記録ヘッド暴露累積時間を記憶しておく記録ヘッド暴露累積時間記憶手段と、
(17)今回の連続画像形成に関するデータに基づいて、前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定する暴露時間クリーニング判定手段と、
(18)前記ドットカウントクリーニング判定手段又は前記暴露時間クリーニング判定手段によって、今回の連続画像形成中に前記クリーニングタイミングが到来すると判定されたときは、前記クリーニング動作を今回の連続画像形成中には実行せずに、今回の連続画像形成の開始前又は終了後に実行するように前記クリーニング動作指示手段を制御する制御手段とを備えてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、連続画像形成中(連続画像形成の途中)ではクリーニング動作が実行されずに、連続画像形成の開始前又は終了後に実行されるので連続画像形成が中断されない。このため、生産性の低下(印刷効率の低下)や外部機器との同期や後工程の処理の煩雑さを回避できる。また、連続画像形成の開始前にクリーニング動作を実行したときは、画質の低下も防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は、帯状の台紙の長手方向に仮着された複数枚のラベルに次々に連続して画像を形成するラベルプリンタに実現された。
【実施例1】
【0025】
図1と図2を参照して、本発明の一例であるラベルプリンタの概略構造を説明する。
【0026】
図1は、本発明の一例であるラベルプリンタにホストコンピュータが接続されたシステム構成を示す説明図である。図2は、図1のラベルプリンタの概略構成を模式的に示す正面図である。
【0027】
ラベルプリンタ10と、情報処理装置としてのホストコンピュータ(ホスト装置)12は、ケーブル14によって接続されている。ホストコンピュータ12は、画像データ、用紙サイズ情報、及び連続記録枚数情報(連続して次々に画像を形成するラベルの枚数を担持した情報)などを制御コマンドとしてケーブル14を経由させてラベルプリンタ10に出力する。また、ホストコンピュータ12は、ラベルプリンタ10のステータス情報(エラー情報など各種の情報)を制御コマンドとして受信することにより、ラベルプリンタ10のステータスを使用者に通知する。
【0028】
ラベルプリンタ10は、帯状の台紙の長手方向に複数枚のラベルが仮着された連続ラベル紙(記録媒体の一例である)20の複数枚のラベルに連続して次々に画像を形成できる。何枚のラベルに連続して次々に画像を形成するかは、ユーザが適宜に設定できる。連続ラベル紙20はロールユニット22に装着されている。連続ラベル紙20は、搬送モータ32や搬送ベルト34を備えた搬送部に供給されて矢印A方向に搬送される。
【0029】
ラベルプリンタ10には、ブラック(K)インク吐出用の記録ヘッド40K、シアン(C)インク吐出用の記録ヘッド40C、マゼンタ(M)インク吐出用の記録ヘッド40M、イエロー(Y)インクと吐出用の記録ヘッド40Yが配置されている。これらの記録ヘッド40K、40C、40M、40Yはフルラインタイプのインクジェット記録ヘッドであり、連続ラベル紙20上に仮着されたラベル片の幅に相当する長さのノズル列を有する。これら4本の記録ヘッド40K、40C、40M、40Yから、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを吐出することによって、フルカラーの画像を各ラベルに形成できる。ラベルプリンタ10は、ホストコンピュータ12から指示された連続記録枚数分の記録を行い停止する。
【0030】
各記録ヘッド40K、40C、40M、40Yから吐出されるインクは、各色ごとに対応するインクカートリッジ42K、42C、42M、42Yからポンプ(図示せず)によって供給される。
【0031】
ロールユニット22は、連続ラベル紙20が装着されるロール駆動軸24、連続ラベル紙20の弛みによって位置が変化するロールセンサレバー26、およびロール駆動軸24を駆動する給紙モータ79(図3参照)などを備えている。ロールセンサレバー26の位置に応じて給紙モータ79(図3参照)を駆動および停止制御することによって連続ラベル紙20が安定的に給紙される。
【0032】
ラベルプリンタ10には、各記録ヘッド40K、40C、40M、40Yのフェイス面44K、44C、44M、44Yから増粘インクやごみを除去して清掃するクリーニングユニット50が備えられている。クリーニングユニット50は、各フェイス面44K、44C、44M、44Yに付着している増粘インクやごみを拭き取るワイプブレードや、各記録ヘッド40K、40C、40M、40Yから空吐出を行った際のインクを受ける桶などから構成されている。各記録ヘッド40K、40C、40M、40Yに対応するように4つのクリーニングユニット50K、50C、50M、50Yが配置されており、更に2つのクリーニングユニットが予備のために配置されている。これらのクリーニングユニット50K、50C、50M、50Y等は、クリーニングユニット制御モータ74(図3参照)によって位置制御されて記録ヘッドのクリーニングやキャッピングが行われる。
【0033】
図3を参照して、ラベルプリンタ10の電気的な系統を説明する。
【0034】
図3は、図2のラベルプリンタの電気的な系統を示すブロック図である。
【0035】
ホストコンピュータ12では、記録用の画像データ等を、制御コマンドとしてラベルプリンタ10に転送して、記録処理の開始を指示する。また、ホストコンピュータ12では、ラベルプリンタ10によって記録するラベル片の枚数、連続ラベル紙20の種類やサイズ等を指示するための用紙設定コマンド、記録速度コマンドおよび、連続記録枚数情報コマンドをラベルプリンタ10に送信することができる。
【0036】
ラベルプリンタ10は、通信ドライバ62によって通信を制御することにより、ホストコンピュータ12からのコマンド(データコマンド、用紙設定コマンドなど)を受信する。ラベルプリンタ10では、受信した画像データが各色成分のイメージデータとしてRAM46K,46C,46M,46Yのそれぞれにビットマップ展開して描画される。RAM46K,46C,46M,46Yには、それぞれブラック(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)のインクに対応する色成分のイメージデータがビットマップ展開される。また、ラベル片の枚数、サイズ、及び記録枚数などの用紙設定コマンドは、RAM64Rに格納される。データコマンドと用紙設定コマンドなどがRAM46K,46C,46M,46Yのそれぞれに展開されてから、各記録ヘッド40K、40C、40M、40Yがヘッド機構制御モータ66によって記録位置へ移動される。
【0037】
複数枚のラベルに画像を形成する際には、連続ラベル紙20の搬送に同期して、メインコントローラ68がRAM46K〜46Yそれぞれから対応する色の画像データを順次に読み出す。それらの画像データは、ヘッド駆動回路70を経由して、対応する色のインクを吐出する記録ヘッド40K〜40Yに出力される。記録ヘッド40K〜40Yそれぞれは、入力された画像データに基づいて対応する色のインクを吐出して、ラベルに多色のカラー画像を形成する。なお、上記のメインコントローラ68は、本発明にいうクリーニング動作指示手段、ドットカウントクリーニング判定手段、暴露時間クリーニング判定手段、及び制御手段を兼ねている。
【0038】
複数の画像データに基づく画像形成(記録)が終了したときや所定時間が経過したときは、このタイミング(時刻)が不揮発性RAM72に記憶される。各記録ヘッド40K〜40Yそれぞれからインク(インク滴)が吐出された回数(ドットカウント累計)は、各記録ヘッド40K〜40Yごとに累計してRAM64Rに記憶される。この場合、RAM64Rには、前回のクリーニング動作終了後から今回の連続画像形成終了までの間に各記録ヘッド40K〜40Yからインクが吐出される回数を予測して累計した吐出ドットカウント累計数が記憶される。従って、RAM64Rは、本発明にいう吐出ドットカウント累計数記憶手段の一例である。なお、記憶された吐出ドットカウント累計数は、クリーニング動作が実行されたときにクリアされてゼロになり、クリーニング動作後から再びカウントされ始める。
【0039】
また、RAM64Rには、各記録ヘッド40K〜40Yがキャップされていない位置(各記録ヘッド40K〜40Yのフェイス面が空気中に暴露されている位置)にいる時間の累積時間も記憶される。この場合、RAM64Rには、前回のクリーニング動作終了後から今回の連続画像形成終了までの間に記録ヘッドのインク吐出面が空気中に暴露されている時間を予測して累積した記録ヘッド暴露累積時間が記憶される。従って、RAM64Rは、本発明にいう記録ヘッド暴露累積時間記憶手段の機能も有する。なお、記憶された記録ヘッド暴露累積時間は、クリーニング動作が実行されたときにクリアされてゼロになり、クリーニング動作後から再びカウントされ始める。
【0040】
クリーニング動作を実行する際には、クリーニングユニット制御モータ74によってクリーニングユニット50(図2参照)を移動させてフェイス面を清掃する。また、クリーニング動作として空吐出を実行する場合も、空吐出されたインクを受ける位置にクリーニングユニット制御モータ74によってクリーニングユニット50が移動させられる。また、記録ヘッド40K〜40Yの周辺温度及び周辺湿度を測定する温度センサ及び湿度センサ(いずれも図示せず)からの測定値や、各機構部の位置検出センサなどからの検出データは、IOポート76を経由してメインコントローラ68に入力される。これらの各制御は、ROM78に記憶されている制御プログラムをメインコントローラ68が実行することにより行われる。なお、ROM78は、本発明にいうクリーニングタイミング記憶手段の一例であり、後述する図7に示す暴露時間テーブルが記憶されている。
【0041】
図4を参照して、連続ラベル紙20について説明する。
【0042】
図4は、連続ラベル紙の一部を示す平面図である。
【0043】
連続ラベル紙20は長尺のものであり、中空部を有する円柱状の巻芯にロール状に巻かれた形態となっている。連続ラベル紙20の台紙20aには、表面に記録が可能であるラベル片20bが等間隔で仮着されている。ラベルプリンタ10により、フォームデータに対してページ毎に可変可能なフィールドデータを重ね合わせることより、ラベル紙20毎に異なる画像を高速に記録することが可能である。本例では、フォームデータが枠線20cであり、フィールドデータが文字列20dやバーコード20eである。
【0044】
図5、図6、及び図7を参照して、記録ヘッド40K〜40Yからのインクの吐出を阻害するものを各記録ヘッド40K〜40Yから除去するクリーニング動作を実行する予め設定されたクリーニングタイミングと、このクリーニングタイミングの変更について説明する。
【0045】
図5は、ラベルプリンタ10が使用される環境に基づいて設定されるクリーニングタイミングの一例を示す説明図である。図6は、記録ヘッド40K〜40Yからインク滴が吐出された回数(吐出ドットカウント)基づいて設定されるクリーニングタイミングの一例を示す説明図である。図7は、温度と湿度によって変更される設定時間を示す説明図である。
【0046】
上記のラベルプリンタ10では、クリーニング動作が原則として実行される条件として2つの条件が設定されている。2つの条件によって実行されるクリーニング動作の内容(種類)は相違する。
【0047】
第1の条件(第1条件)は、記録ヘッドのフェイス面がキャッピングされていない状態(フェイス面が空気中に暴露されている状態)の累積時間(記録ヘッド暴露累積時間)が予め設定された時間(設定暴露時間Ta)になる条件である。記録ヘッド暴露累積時間が設定暴露時間になったときは原則としてクリーニング動作が実行されるが、後述するように実行されないこともある。この場合のクリーニング動作は予備吐が行われるが、これを便宜的にクリーニングAとする。予備吐を行うことにより、設定暴露時間の間一度も吐出されないノズルがあった場合でも、そのノズルのフェイス面近くにあり水分が大気中に蒸発して粘度が上がったインクを吐出し、吐出の不具合を防止することができる。
【0048】
第2の条件(第2条件)は、記録ヘッドからインク滴が吐出された回数(吐出ドットカウント累計数)が予め設定されたドット数(設定ドット数)になる条件である。吐出ドットカウント累計数が設定ドット数になったときは原則としてクリーニング動作が実行されるが、後述するように実行されないこともある。この場合のクリーニング動作は、加圧回復を行ってからクリーニングブレードでフェイス面を払拭するワイプを行い、さらに予備吐するもので、これを便宜的にクリーニングBとする。クリーニングBは、クリーニング動作としては前記クリーニングAより強力なもので、加圧して増粘インクやゴミを押し出し、それをふき取り、さらに予備吐を行うことで、強い回復力を発揮する。
【0049】
先ず、図5と図7を参照して、クリーニングAのタイミングについて説明する。
【0050】
設定暴露時間Taは、図7に示すように、ラベルプリンタ10が設置された(記録ヘッドの)周辺の温度と湿度に応じて変更される。例えば、温度が5℃以下で湿度が75%を超えるときは設定暴露時間Taは100秒となり、温度が25℃を超えて湿度が25%以下のときは設定暴露時間Taは80秒となる。記録ヘッド暴露累積時間が設定暴露時間Taになったときはクリーニングタイミングとなって原則としてクリーニングAが実行される。図7に示すテーブルはROM78に記憶されている。温度と湿度は上述した温度センサ及び湿度センサ(いずれも図示せず)で測定されて、IOポート76を経由してメインコントローラ68に入力される。メインコントローラ68では、ROM78からこのテーブルを読み出して設定暴露時間Taを選択する。
【0051】
ラベルプリンタ10では、ホストコンピュータ12(図3参照)から指定された連続記録枚数ずつ記録動作を行う。ここでいう連続記録枚数とは、ラベルに連続して画像を形成する(連続画像形成する)際のラベルの枚数をいう。図5に表すTp1、Tp2、Tp3、Tp4はそれぞれ、一回の連続画像形成(連続記録動作)にかかった時間を表す。ラベルに画像形成中には記録ヘッド40K〜40Yが記録位置にあるので、記録ヘッド40K〜40Yが大気中に暴露している時間の累積(記録ヘッド暴露累積時間)は、クリーニングA(前回)を実行してから、一回の連続記録動作が終了するごとに時間Tpずつ加算されることとなる。連続記録動作中にもその進行に応じて暴露時間は累積される。即ち、クリーニングA(前回)の後に一回の連続記録動作(所要時間はTp1)が終了したときは、記録ヘッド暴露累積時間はTp1となる。その後、続いて、一回の連続記録動作(所要時間はTp2)が終了したときは、記録ヘッド暴露累積時間はTp1+Tp2となる。その後、続いて、一回の連続記録動作(所要時間はTp3)が終了したときは、記録ヘッド暴露累積時間はTp1+Tp2+Tp3となる。
【0052】
所要時間がTp3の連続記録動作が終了した後、続いて、一回の連続記録動作(所要時間はTp4)を実行する。この実行中にも暴露時間は累積されて、所要時間がTp4の連続記録動作中に、記録ヘッド暴露累積時間は設定暴露時間Taに一致する。この一致したタイミングTがクリーニングタイミングとなり、原則としては、クリーニングAが実行されることとなる。しかし、所要時間がTp4の連続記録動作中にクリーニングAを実行した場合は記録動作が中断されるので、本実施例では、記録ヘッド暴露累積時間が設定暴露時間Taに一致したタイミングTではクリーニングAを実行せずに、所要時間Tp4の連続記録動作が開始される前(又は、終了後)にクリーニングAを実行する。この結果、ホストコンピュータ12が指示した連続記録中には、クリーニング動作の実行や記録動作の中断・バックフィードが行われることが防止される。
【0053】
上記した第2の条件(第2条件)について説明する。
【0054】
第2の条件は、上述したように、記録ヘッドからインク滴が吐出された回数(吐出ドットカウント累計数)が予め設定されたドット数(設定ドット数)になる条件である。この条件を満たしたときは原則としてクリーニングBが実行されるが、後述するように実行されないこともある。
【0055】
設定ドット数は、各記録ヘッド40K〜40Yの特性に応じて数値Nbが予め設定されている。ラベルプリンタ10では、ホストコンピュータ12(図3参照)から指定された連続記録枚数ずつ記録動作を行う。
図6に表すNpは、一回の連続画像形成(連続記録動作)においていずれか一つの記録ヘッドからインク滴が吐出された累計数(合計回数)を表す。クリーニングB(前回)を実行してから、一回の連続記録動作が終了するごとに吐出ドットカウントはNp1、Np2……と加算されることとなる。連続記録動作中にもその進行に応じて吐出ドットカウントは累計される。即ち、クリーニングB(前回)の後に一回の連続記録動作(合計の吐出ドットカウントはNp1)が終了したときは、吐出ドットカウント累計数はNp1となる。その後、続いて、一回の連続記録動作(合計の吐出ドットカウントはNp2)が終了したときは、吐出ドットカウント累計数はNp1+Np2となる。その後、続いて、一回の連続記録動作(合計の吐出ドットカウントはNp3)が終了したときは、吐出ドットカウント累計数はNp1+Np2+Np3となる。
【0056】
合計の吐出ドットカウントがNp3の連続記録動作が終了した後、続いて、一回の連続記録動作(合計の吐出ドットカウントはNp4)を実行する。この実行中にも吐出ドットカウントは累計されて、合計吐出ドットカウントがNp4の連続記録動作中に、吐出ドットカウント累計数は設定ドット数Nbに一致する。この一致したタイミングTがクリーニングタイミングとなり、原則としては、クリーニングBが実行されることとなる。しかし、合計吐出ドットカウントがNp4の連続記録動作中にクリーニングBを実行した場合は記録動作が中断されるので、本実施例では、吐出ドットカウント累計数が設定ドット数Nbに一致したタイミングTではクリーニングBを実行せずに、合計吐出ドットカウントがNp4の連続記録動作が開始される前(又は、終了後)にクリーニングBを実行する。この結果、ホストコンピュータ12が指示した連続記録中には、クリーニング動作の実行や記録動作の中断・バックフィードが行われることが防止される。
【0057】
吐出ドットカウントは記録データに依存するので、受信済みの記録データに基づいて指定記録枚数分の吐出ドットカウントを予測する。具体的には指定連続記録枚数が10枚であり、受信済みのデータが3枚分であって残り7枚のデータは記録動作中に受信を行うような場合、受信済みの3枚のデータより10枚分のデータを予測する。例えば3枚分のデータの累計が3000ドットであるとしたときは、10枚分のデータは10000ドットと予測する。記録データにより吐出ドットカウントが大きく変わるようであれば、予測ドット数に係数をかけることとなる。この予測は、メインコントローラ68で行われ、予測結果はRAM64Rに記憶される。
【0058】
上述したように、連続して画像を形成する連続画像形成中にクリーニングタイミングが到来するときは、クリーニング動作を連続画像形成中には実行せずに、連続画像形成の開始前(又は終了後)に実行する。これにより連続画像形成が中断されないので、生産性の低下(印刷効率の低下)や外部機器との同期や後工程の処理の煩雑さを回避できる。また、連続画像形成の開始前にクリーニング動作を実行したときは、画質の低下も防止できる。
【0059】
図8を参照して、本発明のインクジェット方式画像形成方法の一例を説明する。
【0060】
図8は、本発明のインクジェット方式画像形成方法の一例を示すフロー図である。
【0061】
このフローは、ホストコンピュータ12(図3参照)からラベルプリンタ10(図3参照)に今回の連続画像形成を開始する開始信号が送信されてきたときに起動する。ホストコンピュータ12から記録データ、用紙サイズ、記録速度、指定連続記録枚数などのコマンドデータが送信されて、ラベルプリンタ10で受信される(S801)。この受信された記録データに基づいてメインコントローラ68(図3参照)では、今回の連続画像形成において画像形成するラベルの枚数分(指定連続記録枚数分)の画像形成(記録)を行った後における吐出ドットカウントの合計が予測される(予測処理が実行される)(S802)。即ち、今回の連続画像形成において例えば記録ヘッド40Kから吐出されるインク滴の合計回数がメインコントローラ68によって予測される。また、ラベルプリンタ10は、次ページ以降の記録データ受信を引き続き継続して受信する。
【0062】
S802において予測された吐出ドットカウント(予測吐出ドットカウント)は、今回の連続画像形成が開始される前に累計されてRAM64Rに記憶されているドットカウント累計に加算されて、この加算値が、RAM64Rに新たにドットカウント累計として記憶される。続いて、この新たなドットカウント累計と、設定ドット数Nb(上記のクリーニングBを原則として実行するために予め設定したドット数)とをメインコントローラ68(図3参照)において比較する(S803)。メインコントローラ68(図3参照)においてドットカウント累計が設定ドット数Nbよりも大きい(Yes)と判定されたときはS804に進む。S804では、メインコントローラ68(図3参照)で上記の予測吐出ドットカウント(今回の連続画像形成だけにおけるインク滴の吐出回数)を設定ドット数Nbとを比較する。上記の予測吐出ドットカウントが設定ドット数Nbよりも小さいと判定されたときは、今回の連続画像形成の開始前にクリーニングユニット制御モータ74(図3参照)等を駆動させてクリーニングBを実行する(S805)。このクリーニングBによって記録ヘッドからはインクが正常に吐出されることとなる。また、上記の予測吐出ドットカウントは設定ドット数Nbよりも小さいので、今回の連続画像形成の途中でクリーニングBが実行されることはない。S805でクリーニングBが実行されたので、S805に続いて、RAM64Rに記憶されているドットカウント累計(クリーニングB用のカウンタ)及び後述のヘッド暴露累積時間(クリーニングA用のカウンタ)をクリアしてゼロにし(S806)、今回の連続画像形成動作(記録動作)を開始する(S813)。なお、クリーニングA用のカウンタもクリアする理由は、クリーニングAよりもクリーニングBがより強力なクリーニングであって記録ヘッドのインク吐出状態はいっそう正常になるからである。
【0063】
S804において、メインコントローラ68(図3参照)で上記の予測吐出ドットカウントが設定ドット数Nbよりも大きいと判定されたときは、今回の連続画像形成の開始前にクリーニングBを実行しても、今回の連続画像形成中に再びクリーニングタイミングが到来し、連続画像形成が中断されることとなる。そこで、S804において上記の予測吐出ドットカウントが設定ドット数Nbよりも大きいとき(Yesのとき)は、ラベルプリンタ10にエラー表示をし(S814)、ホストコンピュータ12より連続記録枚数の再指定を待ち(S815)、再度指定された枚数を元にS802の吐出ドットカウントの予測処理に戻りその後の処理を行う。
【0064】
S803においてドットカウント累計が設定ドット数Nbよりも小さいと判定されたとき(Noのとき)は、クリーニングAの条件確認処理(S807)に移行する。S807では、ラベルプリンタ10近傍の温度と湿度を検出して、この検出値に基づいてメインコントローラ68(図3参照)では、図7の暴露時間テーブルからクリーニングAの条件である時間Ta(ROM78に記憶されている)を取得する(S807)。続いて、今回の連続画像形成におけるラベル枚数(指定記録枚数)と、今回の連続画像形成の速度(指定記録速度)とに基づいて、メインコントローラ68(図3参照)で今回の連続画像形成終了後の記録ヘッド暴露時間を予測する(S808)。
【0065】
S808において予測された記録ヘッド暴露時間(予測記録ヘッド暴露時間)は、今回の連続画像形成が開始される前に累計されてRAM64Rに記憶されているヘッド暴露累積時間に加算されて、この加算値が、RAM64Rに新たにヘッド暴露累積時間として記憶される。続いて、この新たなヘッド暴露累積時間と、設定暴露時間Ta(上記のクリーニングAを原則として実行するために予め設定した暴露時間)とをメインコントローラ68(図3参照)において比較する(S809)。
【0066】
S809において、メインコントローラ68(図3参照)で新たなヘッド暴露累積時間が設定暴露時間Taよりも大きい(Yes)と判定されたときはS810に進む。S810では、メインコントローラ68(図3参照)において上記の予測記録ヘッド暴露時間(今回の連続画像形成だけにおける記録ヘッド暴露時間)を設定暴露時間Taとを比較する。メインコントローラ68(図3参照)において上記の予測記録ヘッド暴露時間が設定暴露時間Taよりも小さいと判定されたときは、今回の連続画像形成の開始前にクリーニングAを実行する(S811)。このクリーニングAにより記録ヘッドからはインクが正常に吐出されることとなる。また、上記の予測記録ヘッド暴露時間は設定暴露時間Taよりも小さいので、今回の連続画像形成の途中でクリーニングAが実行されることはない。S811でクリーニングAが実行されたので、S811に続いて、RAM64Rに記憶されているヘッド暴露累積時間(クリーニングA用のカウンタ)をクリアしてゼロにし(S812)、今回の連続画像形成動作(記録動作)を開始する(S813)。
【0067】
S810において、メインコントローラ68(図3参照)で上記の予測記録ヘッド暴露時間が設定暴露時間Taよりも大きいと判定されたときは、今回の連続画像形成の開始前にクリーニングAを実行しても、今回の連続画像形成中に再びクリーニングタイミングが到来し、連続画像形成が中断されることとなる。そこで、S810において上記の予測記録ヘッド暴露時間が設定暴露時間Taよりも大きい(Yes)と判定されたときは、ラベルプリンタ10にエラー表示をし(S814)、ホストコンピュータ12より連続記録枚数の再指定を待ち(S815)、再度指定された枚数を元にS802に戻り吐出ドットカウントの予測処理を行う。
【0068】
上記の実施例では、ホストコンピュータ12とラベルプリンタ10が接続された形態であったが、その他にラベル貼り付け機などの外部機器とラベルプリンタ10が接続された形態であってもよい。その場合、外部機器とのI/Fとして例えばRS−232Cなどの通信により、連続記録枚数の指定が行われる形態が考えられる。また、その他の形態としてホストコンピュータ12から指定される記録動作の単位が枚数ではなく、距離または時間であってもよい。また、本発明は、複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インタフェイス機器、プリンタなど)から構成されるシステムに適用してもよく、また1つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。さらに、上述した実施例の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体をシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成できることは言うまでもない。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピ(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0069】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現する場合も本発明に含まれることは言うまでもない。
【0070】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一例であるラベルプリンタにホストコンピュータが接続されたシステム構成を示す説明図である。
【図2】図1のラベルプリンタの概略構成を模式的に示す正面図である。
【図3】図2のラベルプリンタの電気的な系統を示すブロック図である。
【図4】連続ラベル紙の一部を示す平面図である。
【図5】ラベルプリンタ10が使用される環境に基づいて設定されるクリーニングタイミングの一例を示す説明図である。
【図6】記録ヘッド40K〜40Yからインク滴が吐出された回数(吐出ドットカウント)基づいて設定されるクリーニングタイミングの一例を示す説明図である。
【図7】温度と湿度によって変更される設定時間を示す説明図である。
【図8】本発明のインクジェット方式画像形成方法の一例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0072】
10 ラベルプリンタ
40K、40C、40M、40Y 記録ヘッド
64R RAM
68 メインコントローラ
78 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクの吐出を阻害するものを記録ヘッドから除去するクリーニング動作を予め設定したクリーニングタイミングで実行しながら、記録媒体に画像を形成するインクジェット方式画像形成方法において、
連続して画像を形成する連続画像形成中に前記クリーニングタイミングが到来するときは、前記クリーニング動作を前記連続画像形成中には実行せずに、前記連続画像形成の開始前又は終了後に実行することを特徴とするインクジェット方式画像形成方法。
【請求項2】
前記クリーニングタイミングは、前回のクリーニング動作終了後から今回の連続画像形成終了までの間に記録ヘッドからインクが吐出される回数を予測して累計した吐出ドットカウント累計数に基づいて設定されているものであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット方式画像形成方法。
【請求項3】
前記クリーニングタイミングは、前回のクリーニング動作終了後から今回の連続画像形成終了までの間に記録ヘッドのインク吐出面が空気中に暴露されている時間を予測して累積した記録ヘッド暴露累積時間に基づいて設定されているものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット方式画像形成方法。
【請求項4】
前記記録ヘッド暴露累積時間は、該記録ヘッドの周辺温度とその周辺湿度に基づいて設定されるものであることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット方式画像形成方法。
【請求項5】
前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定し、到来すると判定したときは、前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニング動作を今回の連続画像形成に先立って実行し、到来しないと判定したときは、この判定に続いて、前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定し、到来すると判定したときは、前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニング動作を今回の連続画像形成に先立って実行することを特徴とする請求項2、3、又は4に記載のインクジェット方式画像形成方法。
【請求項6】
前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来すると判定したときであっても、前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に再び到来すると判定したときは、画像形成をしないことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット方式画像形成方法。
【請求項7】
前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来すると判定したときであっても、前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に再び到来すると判定したときは、画像形成をしないことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット方式画像形成方法。
【請求項8】
前記吐出ドットカウント累計数に基づくクリーニング動作は、前記記録ヘッド暴露累積時間に基づくクリーニング動作よりも強い回復力をもった動作であることを特徴とする請求項5、6、又は7に記載のインクジェット方式画像形成方法。
【請求項9】
前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定するに際しては、今回の連続画像形成に関するデータに基づいて、今回の連続画像形成中に記録ヘッドからインクが吐出される回数を予測することを特徴とする請求項5から8までのうちのいずれか一項に記載のインクジェット方式画像形成方法。
【請求項10】
前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定するに際しては、今回の連続画像形成に関するデータに基づいて、今回の連続画像形成中に記録ヘッドのインク吐出面が空気に暴露されている時間を予測することを特徴とする請求項5から9までのうちのいずれか一項に記載のインクジェット方式画像形成方法。
【請求項11】
インクの吐出を阻害するものを記録ヘッドからクリーニング部材で除去するクリーニング動作を予め設定したクリーニングタイミングで実行しながら、記録媒体に画像を形成するインクジェット方式画像形成装置において、
前記クリーニングタイミングを記憶しておくクリーニングタイミング記憶手段と、
前記クリーニングタイミングが到来したときは、前記クリーニング部材にクリーニング動作を指示するクリーニング動作指示手段と、
前回のクリーニング動作終了後から今回の連続画像形成終了までの間に記録ヘッドからインクが吐出される回数を予測して累計した吐出ドットカウント累計数を記憶しておく吐出ドットカウント累計数記憶手段と、
今回の連続画像形成に関するデータに基づいて、前記吐出ドットカウント累計数に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定するドットカウントクリーニング判定手段と、
前記ドットカウントクリーニング判定手段によって、今回の連続画像形成中に前記クリーニングタイミングが到来すると判定されたときは、前記クリーニング動作を今回の連続画像形成中には実行せずに、今回の連続画像形成の開始前又は終了後に実行するように前記クリーニング動作指示手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするインクジェット方式画像形成装置。
【請求項12】
前回のクリーニング動作終了後から今回の連続画像形成終了までの間に記録ヘッドのインク吐出面が空気中に暴露されている時間を予測して累積した記録ヘッド暴露累積時間を記憶しておく記録ヘッド暴露累積時間記憶手段と、
今回の連続画像形成に関するデータに基づいて、前記記録ヘッド暴露累積時間に基づく前記クリーニングタイミングが今回の連続画像形成中に到来するか否かを判定する暴露時間クリーニング判定手段と、
前記ドットカウントクリーニング判定手段又は前記暴露時間クリーニング判定手段によって、今回の連続画像形成中に前記クリーニングタイミングが到来すると判定されたときは、前記クリーニング動作を今回の連続画像形成中には実行せずに、今回の連続画像形成の開始前又は終了後に実行するように前記クリーニング動作指示手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項11に記載のインクジェット方式画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−213298(P2008−213298A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53857(P2007−53857)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】