説明

インクジェット画像形成装置、インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用のインクカートリッジ及び、画像形成装置用のインクカートリッジ

【課題】 インクタンクと印刷ヘッドとの間のバブルを除去してインクを円滑に供給することのできるインクジェット画像形成装置、インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用のインクカートリッジ及び、画像形成装置用のインクカートリッジを提供する。
【解決手段】 画像形成装置1の本体フレーム10に着脱可能に設けられるインクカートリッジ20に配設される少なくとも一つのポンプ23と、少なくとも一つのポンプを動作させる少なくとも一つのポンプ動作部30と、第1の方向に回転すると少なくとも一つのポンプ動作部を駆動させ、第2の方向に回転すると画像形成装置の他の構成要素を駆動させる駆動モータ51と、駆動モータを制御する制御部60と、を含んで構成し、ポンプ23が動作されるとインクカートリッジ20に作用してインクカートリッジ内のインクが循環するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット画像形成装置、インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用のインクカートリッジ、及び、画像形成装置用のインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、インクジェットプリンタのようなインクジェット画像形成装置は、印刷用のインクを微小な液滴に作って、例えば用紙や織物などのような印刷媒体上の所望する位置に吐出することにより、かかる印刷媒体に所定の画像を印刷する装置である。
【0003】
従来の技術によるインクジェット画像形成装置は、印刷媒体の搬送方向に対して垂直な方向、すなわち印刷媒体の幅方向、に直線往復移動をし、かかる印刷媒体上に所定の画像を印刷するインクカートリッジを備える。一般に、インクカートリッジは、印刷媒体の幅方向に往復運動をする。ここで、本明細書中においては、印刷媒体の「幅方向」といった場合、印刷媒体の横の長さまたは縦の長さとは何らの関連も有さないものとし、印刷媒体が搬送される方向に対して垂直な方向を意味するものとする。例えば、印刷媒体が、搬送方向の長さが搬送方向に対して垂直な方向の長さよりも短い場合であっても、印刷媒体の幅方向は印刷媒体の搬送方向に対して垂直な方向となる。また、インクカートリッジの「幅方向」といった場合にも、印刷媒体が搬送される方向に対して垂直な方向を意味するものとする。
【0004】
ここで、上記のようなインクカートリッジを往復移動させて画像を印刷する従来の技術によるインクジェット画像形成装置は、印刷速度が遅いという短所がある。
【0005】
このような短所を克服するために、最近では、印刷媒体の全幅方向に渡って配列された複数の印刷ヘッドを有するインクカートリッジが開発されている。すなわち、複数の印刷ヘッドがインクカートリッジの幅方向の全区間に渡って配置されることにより、インクカートリッジを往復移動させることなく、早い速度で所定の画像を印刷することができるインクジェット画像形成装置が開発されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
【0006】
このような、往復移動することなく画像を印刷することができるインクカートリッジは、印刷用のインクを保存する複数のインクタンクと、印刷媒体の幅方向の幅に対応されるように配列された複数の印刷ヘッドと、上記複数のインクタンクから上記複数の印刷ヘッドへインクを供給するためのインクチャネル部(インクチャネルユニット)とを備える。
【0007】
複数のインクタンクは、インクカートリッジのフレームに分離可能に装着され、色々な色相のインク、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(B)インクが、それぞれのインクタンクに保存されている。
【0008】
インクチャネル部は複数のインクタンクと連結され、インクタンクから流入されるインクをインクの色相別に複数の印刷ヘッドのそれぞれに供給する役割を果たす。
【0009】
インクチャネル部の前面、すなわち印刷媒体と対向する面には、複数の印刷ヘッドが所定のパターンに配列されて取り付けられる。また、複数の印刷ヘッドのそれぞれには、インクを吐出するための複数のノズルが形成されており、上記インクチャネル部から供給されたインクが上記ノズルを介して印刷媒体上に吐出されることにより印刷媒体上に画像が印刷される。
【0010】
【特許文献1】特開平17−335266号公報
【特許文献2】特開平15−154686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、このようなインクジェット画像形成装置は、電源が印加されてから、インクタンクのインクが印刷ヘッドまで供給されて印刷準備が完了するまでに、長い時間を要するという問題があった。
【0012】
また、インクタンクを入れ替えたり、インクカートリッジをインクジェット画像形成装置の本体から外して再び装着した場合に、インク循環システムにバブルが発生して、印刷ヘッドまでインクの供給が順調に行なわれないという問題もあった。すなわち、インクタンクやインクカートリッジの着脱の際に、インクタンクからインクチャネル部を経て印刷ヘッドまでインクが搬送されるインク循環システムに、外部の空気が侵入してバブルが発生し、インクの供給が順調に行なわれないという問題があった。更に、印刷中においても、印刷ヘッドから発生する熱によってインクにバブルが発生して、印刷ヘッドまでインクが円滑に供給されないといった問題も発生していた。このように、印刷ヘッドへのインクの供給が円滑に行なわれなくなると、印刷される画像の品質が低下するといった問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、インクタンクと印刷ヘッドとの間に発生するバブルを除去することができ、インクを円滑に供給することのできるインクジェット画像形成装置、インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用のインクカートリッジ及び、画像形成装置用のインクカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、画像形成装置の本体フレームに着脱可能に設けられるインクカートリッジに配設される少なくとも一つのポンプと、上記少なくとも一つのポンプを動作させる少なくとも一つのポンプ動作部(ポンプ動作ユニット)と、第1の方向に回転すると上記少なくとも一つのポンプ動作部を駆動させ、第2の方向に回転すると上記画像形成装置の他の構成要素を駆動させる駆動モータと、上記駆動モータを制御する制御部と、を含むことを特徴とするインクジェット画像形成装置が提供される。
【0015】
このような本発明にかかるインクジェット画像形成装置によれば、上記駆動モータを第1の方向に回転させると、上記ポンプ動作部が上記インクカートリッジに設けられた上記ポンプを動作させて、上記ポンプの動作を上記インクカートリッジに作用させることができる。これにより、例えば、上記インクカートリッジ内のインクを循環させることができ、インクの循環によりインクの中の泡(バブル)を除去することができる。一方、上記駆動モータを第2の方向に回転させると、上記画像形成装置の他の構成要素を駆動させることができる。従って、上記ポンプを動作させるために別途の駆動モータを設けるのではなく、上記画像形成装置の他の構成要素を駆動させる既存の駆動モータを利用して、かかる駆動モータの回転方向を変えることにより、上記ポンプ動作部と上記画像形成装置の他の構成要素を同一の駆動モータで駆動させることができる。
【0016】
このとき、上記駆動モータは、ノズル異常補完用モータ(デッドノズル補償用モータ)、ピックアップモータ、搬送モータ(フィードモータ)または、排紙モータのうちのいずれか一つであることができる。ここで、ノズル異常補完用モータは、ノズルに異常がある場合にも正常な印刷結果を得られるように印刷を行う異常ノズル補完部のノズル異常補完ローラを動作させるモータであることができる。また、ピックアップモータは、ピックアップローラを回転させることができ、搬送モータは、搬送ローラを回転させることができ、排紙モータは、排紙ローラを回転させることができる。
【0017】
上記少なくとも一つのポンプ動作部は、上記インクカートリッジに回動可能に設けられてその上端が上記少なくとも一つのポンプの動作ロッドに連結されたポンピングレバーと、上記ポンピングレバーの下端の近傍に設けられて上記ポンピングレバーの下端に接触すると上記動作ロッドが移動されるように形成されたポンピングカムと、上記駆動モータから動力を受けて上記ポンピングカムを回転させる駆動部(駆動ユニット)と、を含むことができる。すなわち、上記駆動モータを回転させると、上記ポンピングカムが上記ポンピングレバーの下端に接触して、上記ポンピングレバーの上端に連結された上記ポンプの動作ロッドを移動させることができる。
【0018】
このとき、上記制御部は、上記画像形成装置に電源が印加されたとき、上記インクカートリッジが上記本体フレームから分離されてから再び装着されたとき、または、上記インクカートリッジのインクタンクが入れ替えられたときに、上記駆動モータを第1の方向に回転させるように制御を行うのがよい。または、上記制御部は、印刷中にインクの総吐出量が基準値よりも大きくなると、上記駆動モータを第1の方向に回転させるように制御を行うのがよい。
【0019】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、画像形成装置の本体フレームに着脱可能に設けられるインクカートリッジに配設される複数のポンプと、上記複数のポンプを動作させるポンプ動作部(ポンプ動作ユニット)と、第1の方向に回転すると上記ポンプ動作部を駆動させ、第2の方向に回転するとノズル異常補完ローラ(補償ローラ)を駆動させるノズル異常補完用モータ(デッドノズル補償用モータ)と、上記ノズル異常補完用モータを制御する制御部と、を含むことを特徴とするインクジェット画像形成装置が提供される。
【0020】
このような本発明にかかるインクジェット画像形成装置によれば、上記ノズル異常補完用モータを第1の方向に回転させると、上記ポンプ動作部が上記インクカートリッジに設けられた上記ポンプを動作させて、上記ポンプの動作を上記インクカートリッジに作用させることができる。これにより、例えば、上記インクカートリッジ内のインクを循環させることができ、インクの循環によりインクの中の泡(バブル)を除去することができる。一方、上記ノズル異常補完用モータを第2の方向に回転させると、上記画像形成装置のノズル異常補完ローラを駆動させることができる。従って、上記ポンプを動作させるために別途の駆動モータを設けるのではなく、上記ノズル異常補完ローラを駆動させる既存の上記ノズル異常補完用モータを利用して、かかるノズル異常補完用モータの回転方向を変えることにより、上記ポンプ動作部と上記ノズル異常補完ローラを同一の駆動モータで駆動させることができる。ここで、ノズル異常補完用モータは、ノズルに異常がある場合にも正常な印刷結果を得られるように印刷を行う異常ノズル補完部のノズル異常補完ローラを動作させるモータであることができる。
【0021】
このとき、上記複数のポンプは、二つを一対にして上記インクカートリッジに配設されるのがよい。
【0022】
また、上記複数のポンプは、上記インクカートリッジに二対が設けられて上記インクカートリッジの両端に一対ずつ配設され、上記ポンプ動作部は、上記インクカートリッジに回動可能に設けられてその上端が上記一つの対をなす二つのポンプの動作ロッドを押すことができるように形成された第1ポンピングレバー、及び、上記インクカートリッジに回動可能に設けられてその上端が上記別の一つの対をなす二つのポンプの動作ロッドを押すことができるように形成された第2ポンピングレバーと、上記第1ポンピングレバーの下端の近傍に設けられて、上記第1ポンピングレバーの下端に接触すると上記第1ポンピングレバーが上記一つの対をなす二つのポンプの動作ロッドを加圧するように形成された第1ポンピングカム、及び、上記第2ポンピングレバーの下端の近傍に設けられて、上記第2ポンピングレバーの下端に接触すると上記第2ポンピングレバーが上記別の一つの対をなす二つのポンプの動作ロッドを加圧するように形成された第2ポンピングカムと、上記ノズル異常補完用モータから動力を受けて、上記第1ポンピングカム及び上記第2ポンピングカムを回転させる駆動部(駆動ユニット)と、を含むように構成されるのがよい。すなわち、上記ノズル異常補完用モータを回転させると、上記第1ポンピングカム及び上記第2ポンピングカムが、上記第1ポンピングレバー及び上記第2ポンピングレバーの下端にそれぞれ接触して、上記第1ポンピングレバー及び上記第2ポンピングレバーの上端に連結された上記ポンプの動作ロッドをそれぞれ移動させることができる
【0023】
このとき、上記駆動部は、上記本体フレームに回転自在に設けられるカム軸と、上記カム軸の一端に設けられて上記ノズル異常補完用モータから動力を受けるポンプギヤと、を含んで構成されることができる。
【0024】
このとき、上記制御部は、上記画像形成装置に電源が印加されたとき、上記インクカートリッジが上記本体フレームから分離されてから再び装着されたとき、または、上記インクカートリッジのインクタンクが入れ替えられたときに、上記ノズル異常補完用モータを第1の方向に回転させるように制御を行うのがよい。または、上記制御部は、印刷中にインクの総吐出量が基準値よりも大きくなると、上記ノズル異常補完用モータを第1の方向に回転させるように制御を行うのがよい。
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、本体フレームと、上記本体フレームに着脱可能に設けられて、少なくとも一つのインクタンクと、印刷媒体が搬送される方向に対して垂直な方向に配列されて設けられて上記印刷媒体にインクを噴射する複数の印刷ヘッドと、上記少なくとも一つのインクタンクとそれぞれ連通する少なくとも一つのポンプとを含むインクカートリッジと、上記本体フレームに固定され、上記少なくとも一つのポンプと連結されて上記少なくとも一つのポンプを動作させる回転軸を備えたモータと、を含むことを特徴とするインクジェットプリンタが提供される。
【0026】
このような本発明にかかるインクジェットプリンタによれば、上記モータが回転されることにより、上記ポンプが動作されて、上記ポンプの動作が上記ポンプと連通するインクタンクやインクを噴出する印刷ヘッドなどのインクが流動する経路に作用する。これにより、例えば、上記インクカートリッジ内のインクを循環させることができ、インクの循環によりインクの中の泡(バブル)を除去することができる。
【0027】
このとき、上記モータは、上記ポンプが動作されない間は、上記インクジェットプリンタの他の構成要素を駆動させることができるように構成されるのがよい。これにより、上記ポンプを動作させるために別途の駆動モータを設けるのではなく、上記画像形成装置の他の構成要素を駆動させる既存のモータを利用して、例えばかかるモータの回転方向を変えるなどの方法により、上記ポンプ動作部と上記画像形成装置の他の構成要素を同一のモータで駆動させることができる。
【0028】
ここで、上記インクジェットプリンタは、上記モータに連結されて設けられて、上記モータの回転軸が第1の方向に回転するときにのみ動力を伝達して、上記少なくとも一つのポンプを動作させるクラッチをさらに含むように構成されるのがよい。
【0029】
また、上記インクジェットプリンタは、上記インクジェットプリンタの電源がオンになった後、初期化過程の一部として上記少なくとも一つのポンプを動作させる制御部をさらに含むように構成されるのがよい。あるいは、上記インクジェットプリンタは、上記インクカートリッジが上記本体フレームに装着されると、上記少なくとも一つのポンプを動作させる制御部をさらに含むように構成されることもできる。
【0030】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、カートリッジフレームと、上記カートリッジフレームに設けられた少なくとも一つのインクタンクと、上記カートリッジフレームに設けられて、上記少なくとも一つのインクタンクとそれぞれ連通し、それぞれに動作ロッドを備え、上記動作ロッドが押圧されることにより作動する少なくとも一つのポンプと、上記カートリッジフレームに回動可能に設けられ、上記カートリッジフレームの外部から力を受けると、対応する上記少なくとも一つの動作ロッドを押圧する(動作ロッドに力を加える)少なくとも一つのポンピングレバーと、上記カートリッジフレームに、印刷媒体が搬送される方向に対して垂直な方向に配列されて設けられて、上記印刷媒体にインクを噴射する複数の印刷ヘッドと、を含むことを特徴とするインクジェットプリンタ用のインクカートリッジが提供される。このとき、上記ポンピングレバーは上記カートリッジフレームに回動可能にヒンジ結合されることができる。
【0031】
このような本発明にかかるインクジェットプリンタ用のインクカートリッジによれば、上記ポンピングレバーが外部からの力を受けると、上記ポンプが動作されて、上記ポンプの動作が上記ポンプと連通するインクタンクやインクを噴出する印刷ヘッドなどのインクが流動する経路に作用する。これにより、例えば、上記インクカートリッジ内のインクを循環させることができ、インクの循環によりインクの中の泡(バブル)を除去することができる。
【0032】
このとき、上記少なくとも一つのポンピングレバーは、上記カートリッジフレームの内部に設けられ、上記少なくとも一つのポンピングレバーとそれぞれ対応するように上記カートリッジフレームに設けられた少なくとも一つの孔を介して上記カートリッジフレームの外部に延長されて、上記カートリッジフレームの外側から力を受けるように形成された下端を含むように構成されることができる。このように構成されることにより、上記ポンプを駆動させるために上記インクカートリッジにモータなどを設ける必要がなく、例えば上記カートリッジフレームの孔から外部に突出される上記ポンピングレバーの下端に、上記インクカートリッジが装着されるインクジェットプリンタの部材が作用するように構成すればよい。
【0033】
このとき、上記インクジェットプリンタ用のインクカートリッジは、上記少なくとも一つのインクタンクと上記印刷ヘッドとの間を連通するチャネルを形成するインクチャネル部(インクチャネルユニット)を更に含み、上記少なくとも一つのポンプが動作すると、インクが上記インクチャネル部内で循環してバブルを除去するように構成されることができる。
【0034】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、カートリッジフレームと、上記カートリッジフレームに設けられ、インクを供給する少なくとも一つのインクタンクと、上記カートリッジフレームに、印刷媒体が搬送される方向に対して垂直な方向に配列されて設けられ、供給された上記インクを上記印刷媒体に噴射する複数の印刷ヘッドと、上記カートリッジフレームに、上記インクタンク、及び、上記複数の印刷ヘッドのうち対応する少なくとも一つの印刷ヘッドと連通して、インクが流動できるように設けられる少なくとも一つのポンプと、を含むことを特徴とする画像形成装置用のインクカートリッジが提供される。
【0035】
このような本発明にかかるインクジェットプリンタ用のインクカートリッジによれば、上記ポンプが動作されると、上記ポンプの動作が上記ポンプと連通するインクタンクやインクを噴出する印刷ヘッドなどのインクが流動する経路に作用する。これにより、例えば、上記インクカートリッジ内のインクを循環させることができ、インクの循環によりインクの中の泡(バブル)を除去することができる。
【発明の効果】
【0036】
以上説明したように本発明によれば、インクタンクと印刷ヘッドとの間でインクを循環させることができるポンプを備えたことにより、インクタンクと印刷ヘッドとの間に発生するバブルを除去することができ、インクを円滑に、かつ安定して印刷ヘッドへ供給することができるインクジェット画像形成装置、インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用のインクカートリッジ及び、画像形成装置用のインクカートリッジを提供できるものである。
【0037】
また、本発明によれば、上記インクを循環させるポンプを駆動する駆動部(駆動ユニット)は、インクカートリッジではなく本体フレームに設けられるようにしたことにより、インクカートリッジの製造コストを削減することができるインクジェット画像形成装置、インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用のインクカートリッジ及び、画像形成装置用のインクカートリッジを提供できるものである。
【0038】
また、本発明によれば、上記インクを循環させるポンプを動作させるモータとして、別途の専用モータを新たに設けることはせず、たとえばノズル異常補完用モータなどのような他の用途として使用されるモータの駆動力を利用するようにしたため、装置の構造を単純化し、かつ製造コストを削減することができるインクジェット画像形成装置、インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用のインクカートリッジ及び、画像形成装置用のインクカートリッジを提供できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0040】
図1は、本発明の実施の形態にかかるインクジェット画像形成装置を示す斜視図であり、本体フレームにポンプが設けられた状態が示されている。但し、図1においては、ポンプとポンプ動作部(ポンプ動作ユニット)についての説明をより明確に行うために、従来の技術によるインクジェット画像形成装置が一般的に備える、例えば印刷媒体ピックアップ部(印刷媒体ピックアップユニット)、印刷媒体搬送部(印刷媒体搬送ユニット)、印刷媒体排出部(印刷媒体排出ユニット)、ケースなどを図示していない。また、インクカートリッジは、ポンプを除いてその輪郭のみを点線で示した。図2は、本発明の実施の形態にかかるインクジェット画像形成装置に用いられるポンプ及びポンプ動作部を示す斜視図である。また、図3は、本発明の実施の形態にかかるインクジェット画像形成装置に用いられるインクカートリッジの一例を示す斜視図である。そして、図4は、図3のインクカートリッジの底面を示す斜視図である。
【0041】
図1及び図3に示されたように、本発明の実施の形態にかかるインクジェット画像形成装置1は、本体フレーム10、インクカートリッジ20、ポンプ動作部(ポンプ動作ユニット)30、ノズル異常補完部(デッドノズル補償ユニット)50、及び制御部60を含む。
【0042】
本体フレーム10は、インクカートリッジ20と、印刷媒体を一枚ずつピックアップする印刷媒体ピックアップ部(印刷媒体ピックアップユニット)(図示せず)と、ピックアップされた印刷媒体をインクカートリッジ20の下に移動させる印刷媒体搬送部(印刷媒体搬送ユニット)(図示せず)とを備え、これらを支持する。かかる印刷媒体ピックアップ部及び印刷媒体搬送部を備えた本体フレーム10には、印刷媒体ピックアップ部のピックアップローラ(図示せず)を駆動するピックアップモータ(図示せず)と、印刷媒体搬送部の搬送ローラ(フィードローラ)(図示せず)を駆動する搬送モータ(フィードモータ)(図示せず)が配設される。また、本体フレーム10は、インクカートリッジ20によって印刷が完了された印刷媒体をインクジェット画像形成装置1の外部へ排出する印刷媒体排出部(印刷媒体排出ユニット)(図示せず)を更に備え、これを支持する。かかる印刷媒体排出部を備えた本体フレーム10には、印刷媒体排出部の排紙ローラ(図示せず)を駆動する排紙モータ(図示せず)が配設される。
【0043】
また、別の実施の形態として、一つのモータと動力伝達部(動力伝達ユニット)を用いてピックアップローラ、搬送ローラ及び排紙ローラの全てを駆動することができるように構成されたインクジェット画像形成装置1の場合には、本体フレーム10にメインモータ(図示せず)と動力伝達部(図示せず)が配設される。
【0044】
インクカートリッジ20は、本体フレーム10の上側に設けられ、印刷媒体搬送部によって搬送される印刷媒体に、インクを噴射して所定の画像を形成する。図3及び図4に示されたように、本発明の実施の形態にかかるインクカートリッジ20は、複数のインクタンク21、複数のポンプ23、インクチャネル部(インクチャネルユニット)25、複数の印刷ヘッド27、及びカートリッジフレーム29を含む。
【0045】
複数のインクタンク21は、その内部に印刷用のインクが保存され、カートリッジフレーム29に分離可能(着脱可能)に装着される。本発明の実施の形態にかかるインクカートリッジ20は、カラー画像を形成するための4色相のインク、すなわち、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(B)のインクをそれぞれ保存している4つのインクタンク21を含む。
【0046】
複数のポンプ23は、それぞれインクタンク21のインクをインクチャネル部25に供給し、インクチャネル部25のインクがインクタンク21に戻されるようにすることにより、インクを循環させることができる。ポンプ23は、一つのインクタンク21に対して一つのポンプ23が設けられる。従って、本発明の実施の形態の場合、4つのインクタンク21に対応して4つのポンプ23が設けられる。
【0047】
ここで、インクは、ポンプ23の働きによって、インクチャネル部25と、対応するインクタンク21との間で循環する。以下では、このようなインクが循環する仕組みをインク循環システムと言うこととする。従って、インクチャネル部25とインクタンク21との間のインクの循環は、インク循環システムを形成する。また、印刷ヘッド27は、インクチャネル部25と連通しているため、インクチャネル部25のインクは重力によって印刷ヘッド27へ供給される。従って、インクチャネル部25のインクが循環されると、インクチャネル部25と印刷ヘッド27との間ではインクが間接的に循環される。従って、インクチャネル部25と印刷ヘッド27との間のインクの間接循環も、インク循環システムの一部を形成する。
【0048】
上記のように、ポンプ23によりインクを循環させると、インク循環システムにおいて発生するバブル、すなわちインクチャネル部25とインクタンク21と印刷ヘッド27との間を循環するインクに発生するバブルを除去することができる。
【0049】
4つのポンプ23は、二つを一対にして4つのインクタンク21の両側に、すなわちインクカートリッジ20の両端に設けられることができる。ここで、図2では、対をなすポンプ23が共通のハウジングに収容されているが、ポンプ23は共通のハウジングに収容されなくてもよく、それぞれのポンプ23が別々のハウジングに収容されることもできる。この場合、上記別々のハウジングは並んで配置されるのがよい。ここで、ポンプ23を、二つを一対にしてインクカートリッジ20の両端に一対ずつ配置したのは、インクが4色相の場合、2色相の供給が可能なポンプはその製造が容易であり、また、同一のポンプを両端で使用することによっても製造が容易となるからである。このとき、4つのポンプ23は、インクカートリッジ20のいずれかの端部に全てのポンプ、すなわち4つのポンプが位置するように配置されてもよい。
【0050】
一つのポンプ23には、動作ロッド23aが突出されるように設けられ、かかる動作ロッド23aには復帰部材26(図5参照)が設けられる。復帰部材26は、動作ロッド23aが常に突出された状態を維持するように、動作ロッド23aを弾性保持する。従って、動作ロッド23aに圧力が加えられると、動作ロッド23aはポンプ23の内側に移動する。そして、動作ロッド23aへの圧力が除去されると、復帰部材26によって、動作ロッド23aがポンプ23の外側に移動して突出された状態に復帰する。ここで、図5に示された復帰部材26はバネとして示されているが、復帰部材26は、動作ロッド23aの突出された状態が維持されるように動作ロッド23aを弾性保持するバネ以外の部材からなることもできる。
【0051】
ここで、ポンプ23は、それぞれ、インクチューブ24を介してインクチャネル部25及びインクタンク21と連結されている。すなわち、インクチューブ24は、各インクタンク21と各ポンプ23との間のインクの流動経路、及び、各ポンプ23とインクチャネル部25との間のインクの流動経路となる。
【0052】
インクチャネル部(インクチャネルユニット)25は、複数のインクタンク21からポンプ23を介して供給されるインクを印刷ヘッド27に供給する。従って、インクが循環するインク循環システムは、インクタンク21と、インクチャネル部25と、ポンプ23と、インクチューブ24とにより形成されることができる。
【0053】
複数の印刷ヘッド27は、インクカートリッジ20のカートリッジフレーム29の下面に、インクカートリッジ20の下側を通過する印刷媒体の幅に対応する幅で設けられる。すなわち、複数の印刷ヘッド27は、インクジェット画像形成装置1により印刷が可能な印刷媒体の最大幅に対応する幅で設けられるのがよい。複数の印刷ヘッド27は、カートリッジフレーム29に形成された孔を介して外部に露出され、印刷媒体が搬送される方向に対して垂直な方向に配列されて設けられ、印刷媒体にインクを噴射することができる。また、それぞれの印刷ヘッド27には、インクチャネル部25から供給されたインクを微小液滴に噴射する複数のノズル28が形成されている。従って、インクカートリッジ20が往復運動をせず、一気に印刷媒体の全幅に対してインクを噴射して画像を形成することができる。
【0054】
カートリッジフレーム29は、上述した4つのインクタンク21と、4つのポンプ23と、インクチャネル部25とを支持する。また、カートリッジフレーム29は、本体フレーム10に対して着脱可能(着脱自在)に構成される。従って、インクカートリッジ20は、本体フレーム10に対して分離可能である。カートリッジフレーム29の下面には、第1ポンピングレバー41及び第2ポンピングレバー42のそれぞれの下端41b、42bが通過できる二つのレバーホール29aが形成される。
【0055】
次に、ポンプ動作部(ポンプ動作ユニット)30の構成及び動作について、図5及び図6を参照しながら詳細に説明する。図5は、図2のポンプ動作部によってポンプが動作する前の状態を示す側面図である。図6は、図2のポンプ動作部によってポンプが動作する状態を示す側面図である。
【0056】
ポンプ動作部(ポンプ動作ユニット)30は、複数のポンプ23を動作させ、各色相のインクがインクタンク21とインクチャネル部25との間を循環するようにする。このようなポンプ動作部30は、インクカートリッジ20の一端に設けられる第1ポンピングレバー41及び第1ポンピングカム31と、インクカートリッジ20の他端に設けられる第2ポンピングレバー42及び第2ポンピングカム32と、駆動部(駆動ユニット)34とを含む。
【0057】
第1ポンピングレバー41は、インクカートリッジ20のカートリッジフレーム29に、ヒンジ孔41cを中心に回動可能(回動自在)に配設される。第1ポンピングレバー41の上端41aは、ポンプ23の動作ロッド23aを動作させる。また、第1ポンピングレバー41の下端41bは、第1ポンピングカム31と接触できるように形成される。第1ポンピングレバー41には、その中央部付近にヒンジ孔41cが形成される。従って、第1ポンピングレバー41は、ヒンジ孔41cと、インクカートリッジ20のカートリッジフレーム29のレバーホール29a付近に設けられるヒンジ軸(図示せず)とによって、カートリッジフレーム29に対して所定の角度で回転することができる。このように、第1ポンピングレバー41は、ヒンジによりインクカートリッジ20のカートリッジフレーム29に回動可能に設けられることができる。
【0058】
従って、インクカートリッジ20を本体フレーム10から分離すると、第1ポンピングレバー41もインクカートリッジ20と一体となって本体フレーム10から分離される。図4は、分離されたインクカートリッジ20の下面であって、第1ポンピングレバー41の下端41bと、第2ポンピングレバー42の下端42bがレバーホール29aから突出された状態を示す。かかるレバーホール29aから突出された下端41bと下端42bには、第1ポンピングカム31及び第2ポンピングカム32がそれぞれ作用することができる。
【0059】
第1ポンピングレバー41の上端41aは、ポンプ23の動作ロッド23aを動作させるように連結される。本発明の実施の形態にかかるインクカートリッジ20の場合には、第1ポンピングレバー41の上端41aが、対をなす二つのポンプ23の動作ロッド23aを一気に押すことができるように、連結部材45が設けられる。連結部材45は、二つのポンプ23の動作ロッド23aを貫通する軸状に形成される。そして、第1ポンピングレバー41の上端41aが連結部材45を押すと、二つの動作ロッド23aが同時にポンプ23の内側に移動してポンプ23が動作するようになる。図2に示された第1ポンピングレバー41は一例に過ぎず、ポンピングレバー41がポンピングカム31の回転によってポンプ23の動作ロッド23aを加圧できる構成であれば、第1ポンピングレバー41の形状はいずれの形状であっても構わない。ここで、連結部材45は、本発明の実施の形態では隣接して配置される二つのポンプ23を連結するが、三つ以上のポンプが隣接して配置される場合には、上記三つ以上のポンプを連結してこれら三つ以上のポンプが同時に加圧されるように構成されることもできる。
【0060】
第1ポンピングカム31は、第1ポンピングレバー41の下端41bを一定の周期で押圧することができる。そして、第1ポンピングレバー41は、上記第1ポンピングカム31により下端41bが押圧されると、上端41aが動作ロッド23aを押すように形成される。第1ポンピングカム31は、駆動部34を介して駆動モータ51から動力を受けて回転することができる。このとき、第1ポンピングカム31のカム曲線は、第1ポンピングカム31が1回転する間に、ポンピングレバー41の下端41bと滑らかに接触して第1ポンピングレバー41の下端41bを最大に押してから滑らかに分離されるように形成される。また、第1ポンピングカム31の加圧部31aは、第1ポンピングカム31が1回転する間に第1ポンピングレバー41と接触する部分である。従って、第1ポンピングカム31が1回転する間に、加圧部31aが第1ポンピングレバー41と接触して、第1ポンピングレバー41の上端41aが動作ロッド23aを1回加圧するようになる。より詳細には、第1ポンピングカム31の加圧部31aの高点31bが第1ポンピングレバー41の下端41bに接触すると、第1ポンピングレバー41の上端41aが動作ロッド23aを最大に加圧した状態になる。また、第1ポンピングカム31の加圧部31aの低点31cが第1ポンピングレバー41の下端41bと向かい合うと、第1ポンピングレバー41の上端41aが動作ロッド23aを加圧していない状態になる。このとき、ポンプ23のポンピング圧は、ポンプ23の中に設けられたバネなどの復帰部材26により調節することができる。
【0061】
第2ポンピングレバー42及び第2ポンピングカム32は、上述した第1ポンピングレバー41及び第1ポンピングカム31と、その構成及び動作は同様であるので、繰り返しの説明は省略する。
【0062】
駆動部(駆動ユニット)34は、本体フレーム10に回転自在に設けられるカム軸35と、カム軸35の一端に設けられて駆動モータ51から動力を受けるポンプギヤ37とを含む。カム軸35には、第1ポンピングレバー41及び第2ポンピングレバー42と対応する位置に、第1ポンピングカム31及び第2ポンピングカム32が設けられる。ポンプギヤ37とカム軸35との間には、一方向クラッチ(one−way clutch)38が設けられる。一方向クラッチ38は、ポンプギヤ37が一方向に回転するとポンプギヤ37の動力がカム軸35に伝達されるようにし、ポンプギヤ37が反対方向に回転するとポンプギヤ37の動力がカム軸35に伝達されないようにする。従って、駆動モータ51の回転軸が第1の方向に回転するとカム軸35がポンプギヤ37と一体で回転し、駆動モータ51の回転軸が第2の方向に回転するとポンプギヤ37が回転してもカム軸35は回転しない。
【0063】
駆動モータ51は、カム軸35を回転させて第1ポンピングカム31及び第2ポンピングカム32を回転させるためのモータである。ここで、例えば、カム軸35を回転させるために、カム軸35のみを回転させる専用モータを使用することもできる。この場合は、一方向クラッチを使用しなくても良い。しかし、駆動モータ51としては、インクジェット画像形成装置1が印刷媒体に画像を形成するために使用する他の構成要素を駆動するためのモータを使用するのがよい。すなわち、駆動モータ51には、カム軸35の他にも、インクジェット画像形成装置1の別の構成要素を回転させることのできる、兼用モータを使用するのがよい。たとえば、ピックアップローラ、搬送ローラ(フィードローラ)、排紙ローラを別途のモータで回転させる場合には、ピックアップローラを回転させるピックアップモータ、搬送ローラを回転させる搬送モータ、排紙ローラを回転させる排紙モーターのうちのいずれか一つを駆動モータ51として使用することができる。もし、ピックアップローラ、搬送ローラ及び、排紙ローラを一つのメインモータで動作させるインクジェット画像形成装置の場合には、上記メインモータを駆動モータ51として使用することができる。
【0064】
本発明の実施の形態にかかるインクジェット画像形成装置1の場合には、駆動モータ51として、ノズル異常補完部(デッドノズル補償ユニット)50のノズル異常補完用モータ(デッドノズル補償用モータ)51を使用した。ノズル異常補完部(デッドノズル補償ユニット)50とは、印刷媒体の幅方向全体に渡って配列された複数の印刷ヘッド27を備え、早い速度で画像の印刷が可能なカートリッジを有するインクジェット画像形成装置1において、複数の印刷ヘッド27を構成する複数のノズル28のうちの一部のノズル28が詰まった場合でも、正常的な印刷物が得られるように印刷媒体を予め定められたパターンで動作させる装置のことを言う。すなわち、ノズル異常補完部50は、目詰まりなどにより正常にインク液滴が吐出されないノズル異常があっても、ノズルの異常を補完して所定の印刷結果が得られるように、印刷媒体を予め定められたパターンで動作させることができる。
【0065】
図1に示すように、ノズル異常補完部(デッドノズル補償ユニット)50は、ノズル異常補完用モータ(デッドノズル補償用モータ)51、ポンプギヤ37、第1アイドルギヤ52、スイングギヤ組立体53、第2アイドルギヤ57、補完ギヤ(補償ギヤ)58、及びノズル異常補完ローラ(補償ローラ)59を含む。
【0066】
ポンプギヤ37はカム軸35に設けられ、ポンプギヤ37とカム軸35との間には一方向クラッチ38が設けられる。従って、駆動モータ51の回転軸が第1の方向に回転すると、カム軸35がポンプギヤ37と一体で回転し、駆動モータ51の回転軸が第2の方向に回転すると、ポンプギヤ37が回転してもカム軸35は回転しない。本発明の実施の形態の場合には、ポンプギヤ37が反時計方向に回転するとポンプギヤ37とカム軸35が一体で回転し、ポンプギヤ37が時計方向に回転するとカム軸35は回転しない。ポンプギヤ37は2段に形成されるのがよい。具体的には、下段のポンプギヤ37aは駆動モータであるノズル異常補完用モータ51のピニオンと噛み合い、上段のポンプギヤ37bは第1アイドルギヤ52と噛み合うように構成されるのがよい。
【0067】
第1アイドルギヤ52は、ポンプギヤ37とスイングギヤ組立体53との間に介在され、ポンプギヤ37と噛み合うように設けられる。スイングギヤ組立体53は、第1アイドルギヤ52と噛み合う媒介ギヤ54と、媒介ギヤ54と噛み合うスイングギヤ56と、スイングギヤ56と媒介ギヤ54を連結するスイングアーム55とを含む。従って、スイングギヤ56は、媒介ギヤ54の回転方向に応じて、媒介ギヤ54に沿って左側または右側にその位置が移動する。
【0068】
第2アイドルギヤ57はスイングギヤ56と噛み合い、媒介ギヤ54とは噛み合わないように設けられる。第2アイドルギヤ57は、スイングギヤ56が媒介ギヤ54の回転によってその位置が媒介ギヤ54に沿って一方向に移動されたときに、スイングギヤ56と噛み合うことができる。図1に示された本発明の実施の形態では、スイングギヤ56が媒介ギヤ54に沿って右側に移動されたときに、スイングギヤ56と第2アイドルギヤ57とが噛み合って、第2アイドルギヤ57が回転される。
【0069】
補完ギヤ58は、ノズル異常補完ローラ59と同軸上に設けられ、第2アイドルギヤ57と噛み合うように設けられる。従って、第2アイドルギヤ57が回転すると、補完ギヤ58が回転してノズル異常補完ローラ59が回転するようになる。ノズル異常補完ローラ59が回転すると、印刷媒体が移動されてノズルの異常を補完するように印刷を行うことができる。
【0070】
制御部60は、連結されたホストコンピューター(図示せず)から印刷命令を受信すると、上述した構成要素を制御して印刷を行なう。制御部60は、メモリ(図示せず)を含み、かかるメモリには、制御部60が駆動モータ51を動作させてポンプ23を動作させる条件が保存される。駆動モータ51の動作条件は、例えばプログラムやルックアップテーブルなどのような、多様な形態に保存されることができる。
【0071】
例えば、本発明の実施の形態においては、制御部60のメモリには以下の3つの条件が保存されており、これら3つの条件のいずれかが満たされた場合に、ポンプ23が動作される。
【0072】
第1の条件は、インクジェット画像形成装置1の電源がオンにされた場合に、ポンプ23を動作させる条件である。この場合、ポンプ23を動作させることにより、インクタンク21のインクがインクチャネル部25へ供給される。したがって、この場合、インクジェット画像形成装置1の電源がオンにされた後に、初期化過程の一部としてポンプ23を動作させることができる。
【0073】
第2の条件は、インクタンク21が入れ替えられたり、インクカートリッジ20が本体のフレーム10から分離されてから改めて装着された場合に、ポンプ23を動作させる条件である。この場合、外部の空気が引き込まれることによりインク循環システム内に発生し得るバブルを、ポンプ23を動作させることにより除去することができる。
【0074】
第3の条件は、印刷中に所定の時間間隔で印刷を中断させてポンプ23を動作させる条件である。この場合、インクの吐出を行うことにより印刷ヘッド27の温度が上昇してインク中に発生したバブルを、ポンプ23を動作させることにより除去することができる。このとき、印刷中にポンプ23を動作させる条件は、印刷を開始した後の、吐出されたインクの総吐出量と印刷された印刷媒体の総枚数により決めることができる。このように、インク循環システム内のバブルを除去すると、インクチャネル部25にインクが安定的に供給されるので、印刷品質を向上させることができる。
【0075】
上記のような制御部60のほかの構成及び動作については、一般の従来技術による制御部とほぼ同様であるので、詳細説明は省略する。
【0076】
以下、図1〜図6に基づいて、本発明の実施の形態にかかるインクジェット画像形成装置1の動作及び作用について詳細に説明する。本発明の実施の形態にかかるインクジェット画像形成装置1は、ノズル異常補完用モータ51を第1の方向に回転させるとポンプ23が動作してインクの循環が行われ、ノズル異常補完用モータ51を第2の方向に回転させるとノズル異常補完部50が動作して異常ノズルによる画質の劣化が補完されるように動作する。
【0077】
インクジェット画像形成装置1の電源がオンにされると、制御部60は、ノズル異常補完用モータ51の回転軸を第1の方向に回転させてポンプギヤ37を回転させる。ここで、本発明の実施の形態においては、ノズル異常補完用モータ51の回転軸が第1の方向に回転されると、ポンプギヤ37は反時計方向に回転する。また、ポンプギヤ37はカム軸35と一方向クラッチ38により連結されているが、ポンプギヤ37が反時計方向に回転するときにカム軸35がポンプギヤ37と一体となって回転し、ポンプギヤ37が時計方向に回転するときはポンプギヤ37の回転力はカム軸35には伝達されない。
【0078】
ポンプギヤ37が反時計方向に回転すると、一方向クラッチ38によってポンプギヤ37とカム軸35が一体となって回転する。カム軸35が反時計方向に回転すると、カム軸35に設けられた第1ポンピングカム31が、図5の矢印Aに示されたように、反時計方向に回転する。すると、第1ポンピングカム31の加圧部31aが第1ポンピングレバー41の下端41bと接触し、第1ポンピングレバー41の下端41bを次第に左側に押すようになる。そして、図6に示されたように、第1ポンピングレバー41の下端41bが左側に押されると、第1ポンピングレバー41の上端41aは、図6の矢印Cに示されたように右側に移動する。すると、第1ポンピングレバー41の上端41aと連結された連結部材45によって、ポンプ23の動作ロッド23aが復帰部材26を圧縮しながらポンプ23の内側に押されるようになる。ここで、第1ポンピングカム31の高点31bが第1ポンピングレバー41の下端41bと接触するとき、第1ポンピングレバー41の下端41bは最大に左側に押され、第1ポンピングレバー41の上端41aは動作ロッド23aを最大に加圧した状態となる。
【0079】
そして、カム軸35が引き続き図5の矢印A方向に回転し続けると、第1ポンピングカム31の高点31bが第1ポンピングレバー41との接触から外れる。すると、復帰部材26の弾性力によって、動作ロッド23aが矢印Cとは反対の方向に押され、第1ポンピングレバー41の上端41aも矢印Cとは反対の方向に押される。第1ポンピングレバー41の上端41aが矢印Cとは反対の方向に押されると、第1ポンピングレバー41の下端41bは、図6の矢印Bとは反対の方向、すなわち右側に移動(反時計回りに回動)する。そして、第1ポンピングカム31の低点31cが第1ポンピングレバー41の下端41b側に向くまで第1ポンピングカム31が回転すると、第1ポンピングカム31は第1ポンピングレバー41の下端41bから離れた状態になる。このとき、動作ロッド23aは、復帰部材26によって元の位置に復帰された状態になる。
【0080】
上記のように、カム軸35が反時計回りに1回転することにより、連結部材45により連結された二つのポンプ23の各動作ロッド23aは、ポンプ23の外側に位置する基本位置から、同時にポンプ23の内側に押されて、その後再び基本位置に復帰する。このように、第1ポンピングレバー41と第1ポンピングカム31とによって、インクカートリッジ20の一端に設けられた二つのポンプ23を同時に動作させることができる。
【0081】
ここで、第2ポンピングレバー42と第2ポンピングカム32も、第1ポンピングレバー41と第1ポンピングカム31と同様に、インクカートリッジ20の他端に設けられた二つのポンプ23を同時に動作させることができる。このとき、第2ポンピングレバー42と第2ポンピングカム32がポンプ23を動作させる過程は、上述した第1ポンピングレバー41と第1ポンピングカム31の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。このように、カム軸35が反時計回りに1回転することにより、4つの動作ロッド23aを加圧して、4つのポンプ23を同時に動作させることができる。
【0082】
次いで、カム軸35が図5の矢印A方向に回転し続けると、上述した過程により、第1ポンピングカム31及び第2ポンピングカム32と、第1ポンピングレバー41及び第2ポンピングレバー42が、4つの動作ロッド23aを加圧して4つのポンプ23が動作するようにする。制御部60は、予め定められた回転数や時間の間、カム軸35を回転させた後、ノズル異常補完用モータ51を停止させる。
【0083】
一方、上記のようにポンプギヤ37が反時計方向に回転して複数のポンプ23を動作させるとき、ポンプギヤ37と噛み合っている第1アイドルギヤ52及び、第1アイドルギヤ52と噛み合っている媒介ギヤ54も、ポンプギヤ37と共に回転する。このとき、ポンプギヤ37が反時計方向に回転するため、第1アイドルギヤ52は時計方向に回転し、媒介ギヤ54は反時計方向に回転する。媒介ギヤ54が反時計方向に回転すると、スイングアーム55も反時計方向に回転する。したがって、スイングギヤ56も反時計方向に移動して、第2アイドルギヤ57と分離され、第2アイドルギヤ57には動力が伝達されない。このように、第2アイドルギヤ57に動力が伝達されないと、補完ギヤ58にも動力が伝達されないため、ノズル異常補完部50は動作されない。
【0084】
制御部60は、印刷命令を受信すると、印刷媒体ピックアップ部(印刷媒体ピックアップユニト)及び印刷媒体搬送部(印刷媒体搬送ユニット)を制御して、印刷媒体をインクカートリッジ20の下側(印刷ヘッド27と対向する位置)に位置させる。その後、制御部60は、インクカートリッジ20の印刷ヘッド27を制御してインクを噴射して、印刷データに対応する所定の画像を上記印刷媒体に形成する。
【0085】
このとき、制御部60は、印刷ヘッド27の異常ノズル(デッドノズル)によって画像の品質が劣化することを防止するために、ノズル異常補完部50を動作させる。すなわち、制御部60は、ノズル異常補完用モータ51の回転軸を第2の方向に回転させる。ここで、本発明の実施の形態においては、ノズル異常補完用モータ51の回転軸が第2の方向に回転されると、ポンプギヤ37は時計方向に回転する。
【0086】
ポンプギヤ37が時計方向に回転すると、ポンプギヤ37と噛み合っている第1アイドルギヤ52、第1アイドルギヤ52と噛み合っている媒介ギヤ54も、ポンプギヤ37と共に回転する。このとき、ポンプギヤ37が時計方向に回転するため、第1アイドルギヤ52は反時計方向に回転し、媒介ギヤ54は時計方向に回転する。媒介ギヤ54が時計方向に回転すると、スイングアーム55も時計方向に回転する。したがって、スイングギヤ56も時計方向に移動して、第2アイドルギヤ57と噛み合った状態を維持する。したがって、ポンプギヤ37の回転力がスイングギヤ56を介して第2アイドルギヤ57と補完ギヤ58に伝達される。
【0087】
上記のように、ノズル異常補完用モータ51の駆動力が補完ギヤ58に伝達されれば、制御部60は、ノズル異常補完用モータ51を制御することにより、補完ギヤ58を定められたパターンで動作させることができる。したがって、制御部60は、ノズル異常補完ローラ59により印刷媒体を移動させて、印刷ヘッド27の異常ノズル(デッドノズル)を補償することができる。すなわち、ノズルの異常により正常な印刷が行われない箇所について、正常な印刷結果が得られるように、印刷媒体を移動させて異常ノズルによる印刷の不具合を補完しながら印刷を行うことができる。制御部60がノズル異常補完部50を制御して印刷を行なう方法などについては、本発明の要旨ではないので詳細な説明は省略する。
【0088】
一方、ポンプギヤ37とカム軸35は一方向クラッチ38により連結されているが、ポンプギヤ37の回転方向が時計方向の場合には、ポンプギヤ37の回転はカム軸35には伝達されない。したがって、制御部60がノズル異常補完用モータ51を制御して異常ノズルによる印刷の不具合を補完しながら印刷を行っている間は、カム軸35には動力は伝達されず、ポンプ23は動作しない。
【0089】
制御部60は、印刷を継続しながら、メモリに保存されたポンプ動作条件が発生しないかを判断する。ポンプ動作条件になると、制御部60は印刷を中止し、ノズル異常補完用モータ51の回転軸を第1方向に回転させる。すると、第1ポンピングレバー41及び第2ポンピングレバー42と、第1ポンピングカム31及び第2ポンピングカム32とによって、インクカートリッジ20の4つのポンプ23が動作してインクを循環させる。すると、インク循環システムに発生したバブルが除去される。このとき、ノズル異常補完用モータ51が第1ポンピングレバー41及び第2ポンピングレバー42と、第1ポンピングカム31及び第2ポンピングカム32を動作させる方法は、上述と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0090】
また、印刷中に複数のインクタンク21のうち少なくとも一つを入れ替えた場合でも、制御部60は上述したように、ノズル異常補完用モータ51を第1の方向に回転させて4つのポンプ23を動作させる。すると、インク循環システムのインクが循環してバブルが除去される。
【0091】
上記の実施の形態においては、4つのインクを使用してカラー画像を印刷することができる印刷画像形成装置1について説明したが、本発明は一つのインクのみを使用して単色画像を印刷するインクジェット画像形成装置にも適用することができる。この場合、一つのポンプのみが使用されるため、ポンピングレバー及びポンピングカムもそれぞれ一つのみが必要であるということ以外は、上述したインクジェット画像形成装置と構成及び動作は同様である。
【0092】
また、本発明は、例えば6色または8色などの、6色以上を用いてカラー印刷を行なうインクジェット画像形成装置にも適用することができる。この場合には、使用する色相に対応してインクカートリッジには6つ以上のインクタンクが設けられ、ポンプもインクタンクの個数に対応して6つ以上が設けられる。そして、ポンピングレバーとポンピングカムは、6つ以上のポンプを動作させることができるように、ポンプの対の個数に対応してその個数が増加すること以外は上述したインクジェット画像形成装置と同様である。
【0093】
すなわち、一組のポンピングレバー及びポンピングカムによってポンピングされるポンプの数は、一つであってもよいし、本発明の実施の形態のように二つであることもできるし、あるいは、三つ以上であることもできる。そして、一組のポンピングレバー及びポンピングカムによってポンピングされるポンプの数が複数である場合、これら複数のポンプは連結部材により互いに連結され、ポンピングレバーが上記連結部材を加圧することによって、上記複数のポンプを同時にポンピングすることができる。ここで、上記連結部材によって連結されるポンプの数が多いと、連結部材の長さは長くなる。このように連結部材の長さが長くなってポンピングレバーの加圧力のバランスが取れない場合は、ポンピングレバーの構成を、カムと接触する部分では1箇所で接触するようにして、連結部材と接触する部分では2箇所で接触するようにすることもできる。
【0094】
例えば、インクが6色相の場合、六つのポンプは、三つを一組として、インクカートリッジの両端に一組ずつが位置するように配置されることができる。このとき、3色相のインクを供給する一組のポンプは、本発明の実施の形態の2色相のインクを供給する一対のポンプと同様に、同一形状のポンプを複数(三つ)備え、上記複数のポンプは連結部材によって連結される。そして、一組のポンプ、すなわち三つのポンプに対して一つのポンピングカム及び一つのポンピングレバーが設けられ、上記一つのポンピングレバーが連結部材を押圧することにより、上記一組のポンプに含まれる複数(三つ)のポンプが同時にポンピングされる。また、インクが6色相の場合、六つのポンプは、全てがインクカートリッジのいずれかの端部に位置するように配置されることもできる。
【0095】
そして、例えば、インクが7色相の場合には、インクカートリッジの一方の端部に四つのポンプを、他方の端部に三つのポンプを配置することができる。あるいは、インクが7色相の場合、インクカートリッジのいずれかの端部に七つのポンプを連続して全て配置することもできる。
【0096】
また、本発明の実施の形態では、インクカートリッジ20のポンプ23を動作させる駆動モータとして、ノズル異常補完用モータ51を使用した場合について説明したが、搬送モータ(フィードモータ)、ピックアップモータ、排紙モータなどもインクカートリッジ20のポンプ23を作動させる駆動モータとして使用可能であることは言うまでもない。
【0097】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、インクジェット画像形成装置、インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタ用のインクカートリッジ、及び、画像形成装置用のインクカートリッジに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態にかかるインクジェット画像形成装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかるインクジェット画像形成装置に用いられるポンプとポンプ動作部を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかるインクジェット画像形成装置に用いられるインクカートリッジの一例を示す斜視図である。
【図4】図3のインクカートリッジの底面斜視図である。
【図5】図2のポンプ動作部によってポンプが動作する前の状態を示す側面図である。
【図6】図2のポンプ動作部によってポンプが動作する状態を示す側面図である。
【符号の説明】
【0100】
1 インクジェット画像形成装置
10 本体フレーム
20 インクカートリッジ
21 インクタンク
23 ポンプ
23a 動作ロッド
24 インクチューブ
25 インクチャネル部(インクチャネルユニット)
26 復帰部材
27 印刷ヘッド
28 ノズル
29 カートリッジフレーム
29a レバーホール
30 ポンプ動作部(ポンプ動作ユニット)
31 第1ポンピングカム
32 第2ポンピングカム
31a 加圧部
31b 高点
31c 低点
34 駆動部(駆動ユニット)
35 カム軸
37 ポンプギヤ
37a 下段のポンプギヤ
37b 上段のポンプギヤ
38 一方向クラッチ
41 第1ポンピングレバー
42 第2ポンピングレバー
41a、42a 上端
41b、42b 下端
41c ヒンジ孔
45 連結部材
50 異常ノズル補完部(デッドノズル補償部)
51 駆動モータ(ノズル異常補完用モータ)
52 第1アイドルギヤ
53 スイングギヤ組立体
54 媒介ギヤ
55 スイングアーム
56 スイングギヤ
57 第2アイドルギヤ
58 補完ギヤ(補償ギヤ)
59 ノズル異常補完ローラ(補償ローラ)
60 制御部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の本体フレームに着脱可能に設けられるインクカートリッジに配設される少なくとも一つのポンプと、
前記少なくとも一つのポンプを動作させる少なくとも一つのポンプ動作部と、
第1の方向に回転すると前記少なくとも一つのポンプ動作部を駆動させ、第2の方向に回転すると前記画像形成装置の他の構成要素を駆動させる駆動モータと、
前記駆動モータを制御する制御部と、
を含むことを特徴とするインクジェット画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動モータは、ノズル異常補完用モータ、ピックアップモータ、搬送モータまたは、排紙モータのうちのいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つのポンプ動作部は、
前記インクカートリッジに回動可能に設けられて、その上端が前記少なくとも一つのポンプの動作ロッドに連結されたポンピングレバーと、
前記ポンピングレバーの下端の近傍に設けられて、前記ポンピングレバーの下端に接触すると前記動作ロッドが移動されるように形成されたポンピングカムと、
前記駆動モータから動力を受けて前記ポンピングカムを回転させる駆動部と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像形成装置に電源が印加されたとき、前記インクカートリッジが前記本体フレームから分離されてから再び装着されたとき、または、前記インクカートリッジのインクタンクが入れ替えられたときに、前記駆動モータを第1の方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、印刷中にインクの総吐出量が基準値よりも大きくなると、前記駆動モータを第1の方向に回転させることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置の本体フレームに着脱可能に設けられるインクカートリッジに配設される複数のポンプと、
前記複数のポンプを動作させるポンプ動作部と、
第1の方向に回転すると前記ポンプ動作部を駆動させ、第2の方向に回転するとノズル異常補完ローラを駆動させるノズル異常補完用モータと、
前記ノズル異常補完用モータを制御する制御部と、
を含むことを特徴とするインクジェット画像形成装置。
【請求項7】
前記複数のポンプは、二つを一対にして前記インクカートリッジに配設されることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項8】
前記複数のポンプは、
前記インクカートリッジに二対が設けられて、前記インクカートリッジの両端に一対ずつ配設され、
前記ポンプ動作部は、
前記インクカートリッジに回動可能に設けられて、その上端が前記一つの対をなす二つのポンプの動作ロッドを押すことができるように形成された第1ポンピングレバー、及び、前記インクカートリッジに回動可能に設けられて、その上端が前記別の一つの対をなす二つのポンプの動作ロッドを押すことができるように形成された第2ポンピングレバーと、
前記第1ポンピングレバーの下端の近傍に設けられて、前記第1ポンピングレバーの下端に接触すると、前記第1ポンピングレバーが前記一つの対をなす二つのポンプの動作ロッドを加圧するように形成された第1ポンピングカム、及び、前記第2ポンピングレバーの下端の近傍に設けられて、前記第2ポンピングレバーの下端に接触すると、前記第2ポンピングレバーが前記別の一つの対をなす二つのポンプの動作ロッドを加圧するように形成された第2ポンピングカムと、
前記ノズル異常補完用モータから動力を受けて、前記第1ポンピングカム及び前記第2ポンピングカムを回転させる駆動部と、
を含むことを特徴とする請求項7に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項9】
前記駆動部は、
前記本体フレームに回転自在に設けられるカム軸と、
前記カム軸の一端に設けられて、前記ノズル異常補完用モータから動力を受けるポンプギヤと、
を含むことを特徴とする請求項8に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記画像形成装置に電源が印加されたとき、前記インクカートリッジが前記本体フレームから分離されてから再び装着されたとき、または、前記インクカートリッジのインクタンクが入れ替えられたときに、前記ノズル異常補完用モータを第1の方向に回転させることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項11】
前記制御部は、印刷中にインクの総吐出量が基準値よりも大きくなると、前記ノズル異常補完用モータを第1の方向に回転させることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット画像形成装置。
【請求項12】
本体フレームと、
前記本体フレームに着脱可能に設けられて、少なくとも一つのインクタンクと、印刷媒体が搬送される方向に対して垂直な方向に配列されて設けられて前記印刷媒体にインクを噴射する複数の印刷ヘッドと、前記少なくとも一つのインクタンクとそれぞれ連通する少なくとも一つのポンプとを含むインクカートリッジと、
前記本体フレームに固定され、前記少なくとも一つのポンプと連結されて前記少なくとも一つのポンプを動作させる回転軸を備えたモータと、
を含むことを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項13】
前記モータは、前記ポンプが動作されない間は、前記インクジェットプリンタの他の構成要素を駆動させることを特徴とする請求項12に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項14】
前記モータに連結されて設けられて、前記モータの回転軸が第1の方向に回転するときにのみ動力を伝達して、前記少なくとも一つのポンプを動作させるクラッチをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項15】
前記インクジェットプリンタの電源がオンになった後、初期化過程の一部として前記少なくとも一つのポンプを動作させる制御部をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項16】
前記インクカートリッジが前記本体フレームに装着されると、前記少なくとも一つのポンプを動作させる制御部をさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項17】
カートリッジフレームと、
前記カートリッジフレームに設けられた少なくとも一つのインクタンクと、
前記カートリッジフレームに設けられて、前記少なくとも一つのインクタンクとそれぞれ連通し、それぞれに動作ロッドを備え、上記動作ロッドが押圧されることにより作動する少なくとも一つのポンプと、
前記カートリッジフレームに回動可能に設けられて、前記カートリッジフレームの外部から力を受けると、対応する前記少なくとも一つの動作ロッドを押圧する力を加える少なくとも一つのポンピングレバーと、
前記カートリッジフレームに、印刷媒体が搬送される方向に対して垂直な方向に配列されて設けられて、前記印刷媒体にインクを噴射する複数の印刷ヘッドと、
を含むことを特徴とするインクジェットプリンタ用のインクカートリッジ。
【請求項18】
前記少なくとも一つのポンピングレバーは、
前記カートリッジフレームの内部に設けられ、
前記少なくとも一つのポンピングレバーとそれぞれ対応するように前記カートリッジフレームに設けられた少なくとも一つの孔を介して前記カートリッジフレームの外部に延長されて、前記カートリッジフレームの外側から力を受けるように形成された下端を含むことを特徴とする請求項17に記載のインクジェットプリンタ用のインクカートリッジ。
【請求項19】
前記少なくとも一つのインクタンクと前記印刷ヘッドとの間を連通するチャネルを形成するインクチャネル部を更に含み、
前記少なくとも一つのポンプが動作すると、インクが前記インクチャネル部内で循環してバブルを除去することを特徴とする請求項17に記載のインクジェットプリンタ用のインクカートリッジ。
【請求項20】
カートリッジフレームと、
前記カートリッジフレームに設けられ、インクを供給する少なくとも一つのインクタンクと、
前記カートリッジフレームに、印刷媒体が搬送される方向に対して垂直な方向に配列されて設けられ、供給された前記インクを前記印刷媒体に噴射する複数の印刷ヘッドと、
前記カートリッジフレームに、前記インクタンク、及び、前記複数の印刷ヘッドのうち対応する少なくとも一つの印刷ヘッドと連通して、インクが流動できるように設けられる少なくとも一つのポンプと、
を含むことを特徴とする画像形成装置用のインクカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−168635(P2008−168635A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6110(P2008−6110)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】