説明

インクジェット記録方法

【課題】インク吸収性に劣るコート紙やアート紙等の記録媒体に印字しても、耐擦過性、耐水性、更には画像折り割れに優れた画像、印刷物を得ることができるインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも色剤と、水と、水素結合に基づく溶解度パラメータ(δh)が5.0以上、10.0未満で水への溶解性が10g/100ml(20℃)以上の有機溶剤と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物とを含有したインクジェット用インクを記録媒体上に吐出した後、照度10mW/cm2以上、1000mW/cm2以下の活性エネルギーを積算光量が10mJ/cm2以上、1000mJ/cm2以下となるように照射して記録することを特徴とするインクジェット記録方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線照射により架橋結合可能な高分子化合物を含有するインクジェット記録方法に関し、詳しくは非吸水性記録媒体記録に好適なインクジェット記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は比較的簡単な装置で高精細な画像記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。また、用途も多岐に亘り、それぞれの目的にあった記録媒体あるいはインクジェット用インクが使用される。特に、近年では記録速度の大幅な向上が図られ、軽印刷用途にも耐えうる性能を持つプリンタの開発も行われている。しかしながら、インクジェットプリンタにおいて、その性能を引き出すためにはインクの吸収性を付与したインクジェット専用紙が必要である。
【0003】
インクジェット用インクは、多種多様な記録媒体への定着性が良好で印刷物を擦っても汚れたりせず、また定着後の擦過性も良好なこと、記録媒体に対して色むら、色混じり、にじみのない高品位な画像が得られること、ノズルからインク液滴が安定して吐出され、目詰まりを生じないこと等の性質が必要となってくる。
【0004】
しかしながら、インクの吸収性をあまり持たない塗工紙、あるいはインク吸収性の全くないプラスチックフイルム上に記録する際には、色相の異なるインク液同士が記録媒体上で混ざり色濁りを起こす、所謂カラーブリードや、記録紙上でインク液滴がつながりに不規則な隙間、濃度ムラが発生するビーディング等の課題があった。
【0005】
上記課題に対し、紫外線を露光することにより硬化するインクジェット用インクが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法によれば、紫外線を照射してインクが硬化することにより、カラーブリードやビーディングの防止が可能となる。しかしながら、このようなインクの場合、インク自身の硬化成分により硬化させているため、画像定着に十分な量を含有するとインク中の固形分含有率が高くなり、記録媒体上のドットの盛り上がりによる画質の劣化や印刷物の擦りに対する耐性、所謂耐擦過性等の課題があった。
【0006】
一方、インク溶媒として主に水を用いた紫外線硬化型インクが提案されている(例えば、特許文献2参照)。確かに、この方法に従えばインク中の固形含有量も低いのでドットの盛り上がりによる画質の劣化は防げるが、紫外線照射後のインク液滴の硬化強度が十分ではないことにより印字物の耐擦過性、耐水性等の問題があった。
【0007】
また、記録媒体を選ばないインクとして、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物を含有したインクジェット用インクが提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、耐擦過性、耐水性、画像折り割れに対する対策は十分に検討されていない。
【特許文献1】特開平9−278866号公報
【特許文献2】特開平10−7969号公報
【特許文献3】特開2006−249216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、その目的はインク吸収性に劣るコート紙やアート紙等の記録媒体に印字しても、耐擦過性、耐水性、更には画像折り割れに優れた画像、印刷物を得ることができるインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0010】
1.少なくとも色剤と、水と、水素結合に基づく溶解度パラメータ(δh)が5.0以上、10.0未満で水への溶解性が10g/100ml(20℃)以上の有機溶剤と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物とを含有したインクジェット用インクを記録媒体上に吐出した後、照度10mW/cm2以上、1000mW/cm2以下の活性エネルギーを積算光量が10mJ/cm2以上、1000mJ/cm2以下となるように照射して記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
【0011】
2.前記有機溶剤の水素結合に基づく溶解度パラメータ(δh)が5.0以上、8.0以下であることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録方法。
【0012】
3.前記活性エネルギーの照度が10mW/cm2以上、200mW/cm2以下であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット記録方法。
【0013】
4.前記有機溶剤が2−プロパノール、ジメチルスルホキシド、2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0014】
5.前記有機溶剤が2−プロパノールまたは2−ピロリドンであることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【0015】
6.前記活性エネルギー線の照射が積算で0.5秒以上、100秒以下であることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、インク吸収性に劣るコート紙やアート紙等の記録媒体に印字しても、耐擦過性、耐水性、更には画像折り割れに優れた画像、印字物を得ることができるインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0018】
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、インクジェット用インク(単にインクともいう)を記録媒体上に吐出して記録を行うインクジェット記録方法において、該インクジェット用インクは、少なくとも色剤と、水と、水素結合に基づく溶解度パラメータ(δh)が5.0以上10.0未満で水への溶解性が10g/100ml(20℃)以上の有機溶剤と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物とを含有し、該インクジェット用インクを記録媒体上に吐出した後、照度10mW/cm2以上、1000mW/cm2以下の活性エネルギーを積算光量が10mJ/cm2以上、1000mJ/cm2以下となるように照射して記録することを特徴とする。
【0019】
本発明のインクジェット記録方法により、インク吸収性に劣るコート紙やアート紙等の記録媒体に印字する際のカラーブリードやビーディングの発生を抑制され、且つ耐擦過性、耐水性、更には画像折り割れに優れた画像、印字物が得られるインクジェット記録方法を実現できることを見出し、本発明に至った。
【0020】
以下、本発明の詳細について説明する。
【0021】
本発明のインクジェット記録方法では、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物を含有することを特徴の1つとする。
【0022】
本発明に係る親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物とは、例えば、ポリ酢酸ビニルのケン化物、ポリビニルアセタール、ポリエチレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、または前記親水性樹脂の誘導体、並びにこれらの共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の親水性樹脂に対して、側鎖に光2量化型、光分解型、光重合型、光変性型、光解重合型等の変性基を導入したものである。
【0023】
上記高分子化合物の中で、親水性主鎖における側鎖の導入に対する簡便性や取り扱いの観点から、ポリ酢酸ビニルのケン化物が好ましく、ケン化度は77%以上、99%以下であることが好ましい。また、重合度は200以上、3000以下であることが好ましく、300以上、1500以下であることがハンドリングの観点からより好ましい。
【0024】
親水性主鎖に対する側鎖の変性率は1.0モル%以上、6.0モル%以下であることが好ましく、1.0モル%以上、5.0モル%以下であることが反応性の観点からより好ましい。1.0モル%以上であると十分な架橋性が得られ、6.0モル%以下であると膜の強度に優れるので好ましい。
【0025】
光2量化型の変性基としては、ジアゾ基、シンナモイル基、スチルバゾニウム基、スチルキノリウム基等を導入したものが好ましく、例えば、特開昭60−129742号公報に記載された感光性樹脂(組成物)が挙げられる。特開昭60−129742号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中にスチルバゾニウム基を導入した下記一般式(1)で表される化合物である。
【0026】
【化1】

【0027】
式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基を表し、A-はカウンターアニオンを表す。
【0028】
特開昭56−67309号公報記載の感光性樹脂は、ポリビニルアルコール構造体中に下記一般式(2)で表される2−アジド−5−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造、または下記一般式(3)で表される4−アジド−3−ニトロフェニルカルボニルオキシエチレン構造を有する樹脂組成物である。
【0029】
【化2】

【0030】
また、下記一般式(4)で表される変性基も好ましく用いられる。
【0031】
【化3】

【0032】
式中、Rはアルキレン基または芳香族環を表す。好ましくはベンゼン環である。
【0033】
光重合型の変性基としては、例えば、特開2000−181062号、同2004−189841号の各公報に示される下記一般式(5)で表される樹脂が反応性との観点から好ましい。
【0034】
【化4】

【0035】
式中、R2はメチル基または水素原子、nは1または2を表し、Xは−(CH2m−COO−、−CH2−COO−または−O−、Yは芳香族環または単結合、mは0〜6までの整数を表す。
【0036】
また、特開2004−161942号公報に記載されている光重合型の下記一般式(6)で表される変性基を従来公知の水溶性樹脂に用いることも好ましい。
【0037】
【化5】

【0038】
式中、R3はメチル基または水素原子を表し、R4は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表す。
【0039】
本発明に係るインクにおいては光重合開始剤を添加するのも好ましい。これらの化合物は溶媒に溶解または分散した状態か、もしくは感光性樹脂に対して化学的に結合されていてもよい。
【0040】
適用される光重合開始剤について特に制限はないが、水溶性のものが混合性、反応効率の観点から好ましい。特に、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(HMPK)、チオキサントンアンモニウム塩(QTX)、ベンゾフェノンアンモニウム塩(ABQ)が水系溶媒への混合性という観点で好ましい。
【0041】
更に、樹脂との相溶性の観点から下記一般式(7)で表される4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン(n=1、HMPK)や、そのエチレンオキシド付加物(n=2〜5)がより好ましい。
【0042】
【化6】

【0043】
式中、nは1〜5の整数を表す。
【0044】
また、他にはベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類。チオキサトン、2、4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類。エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。アセトフェノン類。ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類。2,4,6−トリハロメチルトリアジン類、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体、ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等ベンゾイン類、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、ビスアシルフォスフィンオキサイド、及びこれらの混合物等が好ましく用いられ、上記は単独で使用しても混合して使用しても構わない。
【0045】
これらの光重合開始剤に加え、促進剤等を添加することもできる。これらの例として、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
【0046】
これらの光重合開始剤は親水性主鎖に対して、側鎖にグラフト化されていても好ましい。
【0047】
このような活性エネルギー線架橋型の樹脂においては、元々ある程度の重合度を持った主鎖に対して側鎖間で架橋結合を介して架橋をするため、一般的な連鎖反応を介して重合する活性エネルギー線硬化型の樹脂に対して光子1つ当たりの分子量増加効果が著しく大きい。一方、従来公知の活性エネルギー線硬化型の樹脂においては、架橋点の数は制御不可能であるため硬化後の膜の物性をコントロールすることができず、硬くて脆い膜となりやすい。本発明に用いられる樹脂においては、架橋点の数は親水性主鎖の長さと側鎖の導入量で完全に制御でき、目的に応じたインク膜の物性制御が可能である。
【0048】
更に、従来公知の活性エネルギー線硬化型インクが色剤以外のほぼ全量が硬化成分であり、そのため硬化後のドットが盛り上がり、光沢に代表される画質に劣ることに対し、本発明に用いられる樹脂においては、必要量が少量で済み、乾燥成分が多いため乾燥後の画質の向上が図られ、且つ定着性も良い。
【0049】
本発明のインクジェット記録方法においては、本発明に係る活性エネルギー線を照射することにより、架橋結合可能な高分子化合物と水素結合に基づく溶解度パラメータ(δh)が5.0以上、10.0未満で水への溶解性が10g/100ml(20℃)以上の有機溶剤を含む本発明に係るインクジェット用インクを記録媒体上に吐出した後、照度10〜1000mW/cm2の活性エネルギーを積算光量が10mJ/cm2以上、1000mJ/cm2以下となるように照射して記録することを特徴とする。
【0050】
本発明で言う活性エネルギー線とは、例えば、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、エックス線等が挙げられるが、人体への危険性や取り扱いが容易で、且つ工業的にもその利用が普及している点で紫外線が好ましい。
【0051】
紫外線の光源としては、例えば、100Pa〜1MPaの動作圧力を有する低圧、中圧、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が用いられるが、光源の波長分布という観点で高圧水銀灯、メタルハライドランプが好ましい。
【0052】
特に、照射エネルギーが10mJ/cm2以上の場合、架橋効率に優れ本発明の効果を十分に得ることができる。従って、ランプの出力としては500W〜30kW、照度としては10mW/cm2〜1000W/cm2であり、好ましくは10mW/cm2〜200W/cm2である。本発明では照射エネルギーとしては、10mJ/cm2〜1000mJ/cm2である。
【0053】
同一積算光量(mJ/cm2)を与える場合、照度に範囲があることはその光の透過率が変化することに起因する。紫外線の透過性により発生した架橋反応種の濃度分布が異なり、紫外線照度が高い場合、架橋反応種の濃度が高くなりすぎるため高分子量のポリマーが生成しづらくなり、塗膜の強度は劣る。
【0054】
また、積算の照射時間は0.5秒以上にすることで記録媒体に着弾したインク滴が隣接するインク滴と混ざり合うのを防ぐ程度まで増粘させることができ、100秒以下とすることで記録媒体に着弾したインク滴が優れた強度を持つ膜を形成する。
【0055】
本発明のインクジェット記録方法においては、インク吸収性に劣るコート紙やアート紙等の記録媒体に印字する際の耐擦過性、耐水性の観点から、水素結合に基づく溶解度パラメータ(δh)が5.0以上、10.0未満で水への溶解性が10g/100ml(20℃)以上の有機溶剤を含むことを特徴とする。
【0056】
本発明で言う水素結合に基づく溶解度パラメータ(δh)は、ハンセンの3元溶解性パラメータ成分に基づくものであり、例えば、コーティングの基礎科学(槇書店)のP.58〜64に記載されており、下記式で定義される。
【0057】
δ=(δd2+δp2+δh21/2
δは溶解性パラメータ(SP値)であり、δdは分散項に基づく溶解度パラメータであり、δpは分極項に基づく溶解度パラメータであり、δhは水素結合項に基づく溶解度パラメータである。
【0058】
本発明におけるインクジェット用インクでは、溶媒として水と有機溶剤を含んでいるが、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物は、添加する有機溶剤の種類により該高分子化合物の主鎖と側鎖の広がりが変化するため、活性エネルギー線を照射したときのインクの硬化感度も変化すると考えられる。
【0059】
水素結合項に基づく溶解度パラメータδhが5.0以上、10.0未満で、水への溶解性が10g/100ml(20℃)以上の有機溶剤は適度な水素結合性を有し、これをインク中に5%以上、該有機溶剤が水に溶解し得る量以下を添加することにより、疎水性部位と親水性部位を併せ持つ活性エネルギー線の照射により、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物の主鎖、及び側鎖がインク中で適度な広がりを持つと推測している。
【0060】
水素結合項に基づく溶解度パラメータ(δh)が5.0以上、10.0以下の有機溶剤とは、2−プロパノール(8.0)、2−ピロリドン(5.5)、ジメチルスルホキシド(5.0)、ジプロピレングリコール(9.0)、エタノール(9.5)等が挙げられる。これら有機溶剤は水への溶解性が10g/100ml(20℃)以上である。
【0061】
本発明に係るインクでは、中でも2−プロパノール、2−ピロリドンが好ましく用いられるが、他の親水性有機溶剤を併用してもよい。
【0062】
本発明に係るインクで用いる色剤としては染料を用いることが好ましく、更に水溶性染料、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、あるいは分散染料を用いることが好ましい。
【0063】
水溶性染料の具体的化合物を以下に挙げる。
【0064】
C.I.ダイレクトレッド2、26、31、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、221、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247
C.I.ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101
C.I.ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、142、144、161、163
C.I.ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291。
【0065】
C.I.ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199、C.I.アシッドレッド35、42、52、57、62、80、82、111、114、118、119、127、128、131、143、151、154、158、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397
C.I.アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126、C.I.アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227
C.I.アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、205、207、220、221、230、232、247、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326。
【0066】
C.I.アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172
C.I.リアクティブレッド3、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55
C.I.リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34
C.I.リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42
C.I.リアクティブブルー2、3、5、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38
C.I.リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34
C.I.ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46
C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48
C.I.ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71
C.I.ベーシックブラック8。
【0067】
分散染料としては、
ディスパーズイエロー3、4、42、71、79、114、180、199、227
ディスパーズオレンジ29、32、73、ディスパーズレッド11、58、73、180、184、283
ディスパーズバイオレット1、26、48、ディスパーズブルー73、102、167、184等を好ましく挙げることができる。
【0068】
また、本発明に係るインクで用いる色剤として、顔料を用いることも好ましい。
【0069】
顔料としては従来公知の有機及び無機顔料が使用でき、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料や、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリレン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサンジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロニ顔料等の多環式顔料や、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ等の染料レーキや、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等の有機顔料、カーボンブラック等の無機顔料が挙げられる。
【0070】
具体的な有機顔料を以下に例示する。
【0071】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0072】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー180等が挙げられる。
【0073】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0074】
本発明に係るインクにおける色剤含有量としては1〜20質量%が好ましく、1〜7質量%がより好ましく、1〜5質量%が特に好ましい。
【0075】
本発明に係るインクで適用する顔料は、通常、分散剤を用いて公知の分散手段により分散されるが、適用可能な分散剤としてはアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、または水溶性高分子分散剤を挙げることができる。水溶性高分子分散剤としては、下記の水溶性樹脂を用いることが吐出安定性の観点から好ましい。
【0076】
水溶性樹脂として好ましく用いられるのは、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体等のような水溶性樹脂である。
【0077】
水溶性樹脂のインク全量に対する含有量としては0.1〜10質量%が好ましく、更に好ましくは1〜5質量%である。これらの水溶性樹脂は2種以上併用することも可能である。
【0078】
顔料の分散手段としては、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー、高圧ホモジナイザー等の各種分散機を用いることができる。また、顔料分散体の粗粒分を除去する目的で遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい。
【0079】
本発明に係るインクにおいて、顔料分散体の平均粒径は500nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、100nm以下が特に好ましい。
【0080】
本発明に係るインクに好ましく使用される界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0081】
本発明に係るインクでは、上記説明した以外に必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、粘度調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができる。
【0082】
例えば、流動パラフィン、ジオクチルフタレート、トリクレジルホスフェート、シリコンオイル等の油滴微粒子、特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号の各公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号の各公報等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号の各公報等に記載されている蛍光増白剤等を挙げることができる。
【0083】
本発明のインクジェット記録方法においては、本発明に係るインクジェット用インクをインクジェットヘッド用いて、記録媒体に吐出して画像形成する。
【0084】
本発明のインクジェット記録方法で使用するインクジェットヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)等を具体的な例として挙げることができるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。また、印字方式としては、シリアルヘッド方式、ラインヘッド方式等で制限無く用いることができる。
【0085】
本発明のインクジェット記録方法で適用できる記録媒体としては、例えば、普通紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、光沢紙、インクジェット専用紙等が広く用いることができるが、その中でもインクの吸収性をあまり持たない支持体であるアート紙、コート紙、キャストコート紙、光沢紙を用いたインクジェット記録方法であることが、本発明に係るインクの持つ優れた特性を発揮させることができ好ましい。
【0086】
紙には塗工紙、非塗工紙があり、塗工紙としては、1m2当たりの塗工量が片面20g前後のアート紙、1m2当たりの塗工量が片面10g前後のコート紙、1m2当たりの塗工量が片面5g前後の軽量コート紙、微塗工紙、マット調仕上げのマットコート紙、ダル調仕上げのダルコート紙、新聞用紙等を挙げることができる。
【0087】
非塗工紙としては、化学パルプ100%使用の印刷用紙A、化学パルプ70%以上使用の印刷用紙B、化学パルプ40%以上70%未満使用の印刷用紙C、化学パルプ40%未満使用の印刷用紙D、機械パルプを含有しカレンダー処理を行ったグラビア用紙等を挙げることができる。更に詳しくは、『最新紙加工便覧』紙加工便覧編集委員会編、テックタイムス発行、『印刷工学便覧』日本印刷学会編等に詳細に記載されている。
【0088】
普通紙とは非塗工用紙、特殊印刷用紙及び情報用紙の一部に属す、80〜200μmの非コート紙が用いられる。本発明で用いられる普通紙としては、例えば、上級印刷紙、中級印刷紙、下級印刷紙、薄様印刷紙、微塗工印刷用紙、色上質紙等特殊印刷用紙、フォーム用紙、PPC用紙、その他情報用紙等があり、具体的には下記する用紙及びこれらを用いた各種の変性/加工用紙があるが、本発明は特にこれらに限定されるものではない。
【0089】
OK上質紙、OKプリンス上質紙、OKいしかり、OKエバーライト、OKサワークリーム、OKシュークリーム、OKソフトクリームバニラ、OKムーンライトクリーム、OKクリアホワイト、OKトップコート+、OKトップコートS、OKトップコートマットN、OKH、OKH−D、地図用紙、OKフォームグリーン100(以上、王子製紙製)、スーパーマットアートA、菱アート両面N、菱アート片面N、パールコートN、ニューVマット、パールソフト(以上、三菱製紙製)しらおい、リサイクル上質、オペラクリーム、オペラクリームラフ、オペラクリームSK、ホワイトランド、ピレーヌ、ハイランド、グリーンランド、アルプス、はやぶさ、ダイナピュアホワイト、ネプチューン、ジャック、ペガサス、エスプリコートC(以上、日本製紙製)、ミューマット、αマット、ハミング、L書籍、キンマリSW、キンマリV、クリームキンマリ、マリコピー、セミ上質、Sシロマリ(以上、北越製紙製)、淡クリームせんだい、雷鳥上質、雷鳥スーパーアートN、雷鳥ダルアートN、雷鳥コートN、雷鳥マットコートN、レジーナ(以上、中越パルプ工業製)、NIP・KPF、BOD用紙、ファインPPC、ファインFC、カラーインクジェット専用紙(以上、紀州製紙製)、オードリー、ユトリロプラス、ゲーテコート、カントエクセル、デカルトエクセル、ダンテエクセル、プラトンバルキークリーム、ダンテ、タイオウバル(以上、大王製紙製)、ニューブライト、汎用PPC用紙、マルチプリンタ用紙(以上、名古屋パルプ製)、ドリームコート、チェリーホワイトダル、チェリーホワイト、チェリー1スーパー、スターリンデンAW、スターエルム、スターローレル、ブルーガム、やしま1(以上、丸住製紙製)等が挙げられる。
【実施例】
【0090】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
【0091】
《高分子化合物A》
前記一般式(4)で表される化合物のRがp−フェニレン基で表される化合物(東洋合成工業製RSP、主鎖PVA重合度:1000、ケン化度:88%、変性率:1.0モル%)を用いた。
【0092】
《顔料分散液の調製》
(マゼンタ顔料分散液の調製)
以下の各添加剤を混合し、0.5mmのジルコニアビーズを体積率で50%充填したサンドグラインダーを用いて分散し、マゼンタ顔料の含有量が10%のマゼンタ顔料分散液を調製した。このマゼンタ顔料分散液に含まれるマゼンタ顔料粒子の平均粒径は83nmであった。なお、粒径測定はマルバーン社製ゼータサイザー1000HSにより行った。
【0093】
C.I.ピグメントレッド12 12部
ジョンクリル61(アクリルスチレン系樹脂分散剤、ジョンソンポリマー製) 3部
グリセリン 15部
イオン交換水 70部
実施例1
下記の方法に従い、マゼンタ顔料インク及び該インクにより形成したインクジェット画像を得た。
【0094】
高分子化合物A 3部
マゼンタ顔料分散液 20部
2−ピロリドン(水素結合に基づく溶解度パラメータδh 5.5) 30部
オルフィンe1010(日信化学製、界面活性剤) 0.1部
イオン交換水 46.9部
上記各添加剤を混合し、実施例1のインクを得た。
【0095】
ノズル口径25μm、駆動周波数12kHz、ノズル数128、ノズル密度180dpi(以下、dpiは2.54cm当たりのドット数を表す)であるピエゾ型ヘッドを備え、最大記録密度720×720dpiのオンデマンド型のインクジェットプリンタに上記調製のインクを装填し、インクを吐出して、記録媒体に着弾した後、高圧水銀灯(ウシオ電機製 SP7−250UA、出力250W)にて、波長365nmにおける照度5mW/cm2で1秒間照射した。
【0096】
更に、下記により得られたインクジェット画像の評価を行った。
【0097】
(耐擦過性の評価)
上記活性エネルギー線照射10分後に、マゼンタ細線画像を一定荷重(50g/cm2)のブラシで5回擦って、画像の残存度を目視で観察し、下記の基準に則り耐擦過性の評価を行った。
【0098】
◎:5回擦った後、画像には全く変化が認められない
○:5回擦った後、僅かに画像の変化が認められる
△:5回擦った後、一部の画像で剥離が認められるが、許容範囲である
×:5回擦った後、殆ど全ての画像が剥離してしまう。
【0099】
(耐水性の評価)
上記活性エネルギー線照射10分後に、25℃の純水に1分間浸漬させた後、取り出し、画像の定着度合の変化を目視で観察し、下記の基準に則り耐水性の評価を行った。
【0100】
◎:印字画像に全く変化は認められない
○:印字画像に僅かな変化が認められる
△:一部の印字画像で記録媒体からの欠落が認められる
×:印字した画像の全てが記録媒体から欠落している。
【0101】
(画像折り割れの評価)
上記活性エネルギー線照射し、1日放置した後、印字画像を自重で曲げた。この時、折り曲げた印字部の折り割れ故障を観察した。
【0102】
◎:折り割れ故障なし
○:若干の折り割れ故障が確認できるが、支障のない程度
△:折り割れ故障がやや目立つ
×:折り曲げた部分のインクが殆どはがれ、折り割れ故障がかなり目立つ
××:印字部のインクが十分硬化していないため評価できない。
【0103】
実施例2
上記実施例1と同様にインクを調製し、上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度5mW/cm2で40秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0104】
実施例3
上記実施例1と同様にインクを調製し、上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度5mW/cm2で400秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0105】
実施例4
上記実施例1と同様にインクを調製し、上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度20mW/cm2で0.25秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0106】
実施例5
上記実施例1と同様にインクを調製し、上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度20mW/cm2で100秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0107】
実施例6
上記実施例1と同様にインクを調製し、上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度500mW/cm2で0.01秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0108】
実施例7
上記実施例1と同様にインクを調製し、上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度500mW/cm2で4秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0109】
実施例8
上記実施例1と同様にインクを調製し、上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度500mW/cm2で0.4秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0110】
実施例9
上記実施例1と同様にインクを調製し、上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度20mW/cm2で10秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0111】
実施例10
上記実施例1と同様にインクを調製し、上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度20mW/cm2で30秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0112】
実施例11
上記実施例1と同様にインクを調製し、上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度500mW/cm2で1.2秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0113】
実施例12
実施例1のインクの調製において、2−ピロリドンに代えて、2−プロパノール(水素結合に基づく溶解度パラメータδh 8.0)を用いた以外は同様にして調製した。上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度20mW/cm2で30秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0114】
実施例13
実施例1のインクの調製において、2−ピロリドンに代えて、ジメチルスルホキシド(水素結合に基づく溶解度パラメータδh 5.0)を用いた以外は同様にして調製した。上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度20mW/cm2で30秒間照射した。
【0115】
実施例1と同様の評価を行った。
【0116】
実施例14
実施例1のインクの調製において、2−ピロリドンに代えて、ジプロピレングリコール(水素結合に基づく溶解度パラメータδh 9.0)を用いた以外は同様にして調製した。上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度20mW/cm2で30秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0117】
実施例15
上記実施例1のインクの調製において、2−ピロリドンに代えて、アセト二トリル(水素結合に基づく溶解度パラメータδh 3.0)を用いた以外は同様にして調製した。上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度20mW/cm2で30秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0118】
実施例16
上記実施例1のインクの調製において、2−ピロリドンに代えて、1.3−ブタンジオール(水素結合に基づく溶解度パラメータδh 10.5)を用いた以外は同様にして調製した。上記インクジェット画像の形成方法と同様にインクを吐出して、記録媒体に着弾した後、上記のランプにて照度20mW/cm2で30秒間照射した。実施例1と同様の評価を行った。
【0119】
実施例1〜16の評価結果を表1に示す。
【0120】
【表1】

【0121】
表1に記載の結果より明らかなように、本発明のインクジェット記録方法は、比較のインクジェット記録方法に対し、印字物の耐擦過性、耐水性、更には画像折り割れに優れていることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも色剤と、水と、水素結合に基づく溶解度パラメータ(δh)が5.0以上、10.0未満で水への溶解性が10g/100ml(20℃)以上の有機溶剤と、親水性主鎖に複数の側鎖を有し、活性エネルギー線を照射することにより、側鎖間で架橋結合可能な高分子化合物とを含有したインクジェット用インクを記録媒体上に吐出した後、照度10mW/cm2以上、1000mW/cm2以下の活性エネルギーを積算光量が10mJ/cm2以上、1000mJ/cm2以下となるように照射して記録することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項2】
前記有機溶剤の水素結合に基づく溶解度パラメータ(δh)が5.0以上、8.0以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
【請求項3】
前記活性エネルギーの照度が10mW/cm2以上、200mW/cm2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
【請求項4】
前記有機溶剤が2−プロパノール、ジメチルスルホキシド、2−ピロリドンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項5】
前記有機溶剤が2−プロパノールまたは2−ピロリドンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
【請求項6】
前記活性エネルギー線の照射が積算で0.5秒以上、100秒以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。

【公開番号】特開2008−246686(P2008−246686A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87235(P2007−87235)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】