説明

インクジェット記録装置およびその回復動作制御方法

【課題】 複雑な機構や制御を必要とせず、インク消費量の増大を招くことのない安価な構成で、確実に記録ヘッドの性能を維持できるようにする。
【解決手段】 記録ヘッドと対向する位置に設けられたインク受け部に記録手段H1001からインクを吐出させる吐出制御手段を有する。記録手段H1001は、前記走査方向に沿って順次配設された第1のインク吐出部1311と、第2のインク吐出部1307〜1310を有し、第1のインク吐出部1311は、第1のインク吐出部1307〜1310から吐出されるインクの溶解性よりも低いインク溶解性を有するインクを吐出し、第1のインク吐出部1311から吐出されるインクと、第2の吐出部1307〜1310から吐出されるインクとを吐出インク受け部M5011内の略同一位置に着弾させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体の搬送方向と交差する方向に記録ヘッドを走査させて記録動作を行うシリアル走査型インクジェット記録装置に関し、特に記録ヘッドの吐出性能を適正な状態に維持するために、記録ヘッドと対向可能な位置に設けたインク受け部にインクを吐出させて性能回復動作を行うようにしたインクジェット記録装置およびその回復動作制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、入力画像データに応じてインクジェット記録ヘッド(以下、単に記録ヘッドと称す)からインクなどの液体を記録媒体に吐出することによって画像を出力する装置であるため、記録ヘッドにおいてインクの吐出状態を適正に保つためのメンテナンス技術が非常に重要な要素となっている。ここで記録ヘッドのメンテナンス(以下、性能回復動作ともいう)を必要とする主な理由を簡単に説明する。
(a)入力画像データの記録を行っているときに、記録ヘッドに配列される複数のノズルのうち、インクを吐出していないノズルにおいてはインクが蒸発し、ノズル内のインクの粘度が増加して、通常のインク吐出エネルギーでは安定してインクの吐出が行えなくなり、吐出不良を生じることがある。
(b)記録を行っているときに、ノズルから吐出されるインク滴には、記録媒体に着弾する主インク滴以外に、細かなインク滴(これをミストともいう)が発生することがあり、この細かなインク滴が記録ヘッドのインク吐出口周りに付着することで、吐出されるインク滴の直進性が妨げられることがある。
(c)記録ヘッド内のインク溜の部分に気泡が存在すると、吐出口やインクジェット記録ヘッドを構成する材質の内部を通り抜けてきたガスが前記気泡に取り込まれ、気泡が成長したり、印字時の昇温により気泡が膨張したりすることがある。この場合、インクタンクからのインク供給が膨張した気泡によって阻害され、結果として印字不良を引き起こすことがある。
【0003】
このような上述の(a)〜(c)の問題を解決するためのメンテナンス技術としては、従来、以下のようなものが知られている。
(a)インク吐出が行われない時間や環境などに応じて、記録媒体に画像を形成する時のインク吐出動作とは別に所定量のインク吐出動作を行い、ノズル内で粘度が増加したインクを排出する(以下、この動作を予備吐出と称す)。この予備吐出については、記録開始に先立って実行する動作もあれば、記録動作中に記録ヘッドを予備吐出受け部材へスキャンして、スキャン中に予備吐出を行う動作もある。
(b)吐出口からインク滴が吐出された吐出回数をカウントし、カウント数が所定値を超えた場合にはゴムブレードなどでインクジェット記録ヘッドの吐出口が形成されている面(以下、吐出口形成面と称す)を掃いて、付着したインクを除去する(以下、この動作をワイピングと称す)。
(c)ポンプを用いてノズルの吐出口よりインクを吸い出して、ノズル内のインクを排出する回復動作を行う(以下、この動作を吸引回復という)。
【0004】
さらに、インクジェット記録ヘッドとインクタンクとが分離可能で、インクタンクが交換可能なインクジェット記録装置においては、インクタンク交換後にも吸引回復を行っている。
【0005】
このうち予備吐出、特に記録動作中の予備吐出(記録ヘッドをスキャンしながら予備吐出を行うため、以下、この動作を流し予備吐出、あるいはスキャン中予備吐出と称す)では、インクジェット記録ヘッドの吐出口形成面の乾燥を防ぐと共に、ノズル内に空気圧を加える加圧回復動作または前述の吸引回復動作を行うときに、吐出口形成面を密封するために設けられたキャップの中にインクを吐出したり、あるいは記録ヘッドの走査経路と対向する位置に設けられた予備吐出受け部にインクを吐出したりすることが行われている。
【0006】
ここで、前記キャップ内に予備吐出を行う場合には、記録ヘッドの吐出口と対向する位置でキャップが吐出面から適当な距離だけ離間する構成や、予備吐出されてキャップ内に溜まったインクを記録動作の途中で排出可能な構成をとる必要があり、さらに、予備吐出時のインクの飛散などによるキャップ廻りの汚れ等が発生することもある。このような不都合を考慮すると、一定スペースの開口部を設けただけのインク受け部に吐出する方が、キャップ内に予備吐出を行う場合に比べて機構が簡略化されることから有利であるといえる。
【0007】
前述のキャップ内ではなく、予備吐出されたインクを受けるインク受け部を予備吐出に用いる場合、その受け部の反対側(奥側)に廃インク吸収部などを設けて、インク受け部に溜まった吐出インクを保持するように構成することが一般に行われている。インク受け部に吐出されたインクを廃インク吸収部で導く流路はインクの重力による自然落下を妨げないような形状に形成されている。
【0008】
ところが、小型化傾向にある近年のプリンタにあっては、インク受け部を設置するためのスペースに制限が加わる場合がある。すなわち、キャリッジが走査を行う経路の範囲内には、紙送り機構、記録ヘッドクリーニング機構等が配置されるため、これらの機構と、インク受け部との干渉を避ける上で、インク受け部の形状、およびインク受け部から廃インク吸収部までインクを導く流路の設計が困難になるという問題がある。例えば、インク受け部の形状が一部分峡搾したような形状に形成せざるを得ないなど、理想的な設計ができないことがある。
【0009】
このため、染料自身の溶解性が従来のインクに比べて低いインクを使用したインクジェット記録装置では、その溶解性の低いインクがインク受け部や流路に堆積し、その堆積物が流路を塞いでしまい、堆積物が溢れたり、記録ヘッドの吐出口形成面と接触するなどの不具合を引き起こすという問題が生じている。
【0010】
このような不具合を解決する手段を有するものとして、特許文献1には、付着した堆積物を掻き落とす機構を設けることが開示されている。
【0011】
また、特許文献2には、記録ヘッドの回復動作としての吐出動作とは別に、堆積物を落とすための吐出動作をインク受け部に対して行うようにしたものが開示されている。
【0012】
【特許文献1】特開平7−323574号公報
【特許文献2】特開平9−30004号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に開示されている技術においては、記録装置の横幅が増え、構成部品も増えて機構や制御が複雑となり、小型化や低価格化の妨げになるという問題がある。
【0014】
また、特許文献2に開示されている技術においては、記録ヘッドの回復動作を行うための予備吐出とは別に、堆積物を落とすためのインク吐出が行われるため、インク消費量が増大し、ランニングコストが増大するという問題がある。
【0015】
本発明は、上記従来技術の課題に着目してなされたものであり、複雑な機構や制御を必要とせず、インク消費量の増大を招くことのない安価な構成で、確実に記録ヘッドの性能維持を可能とするインクジェット記録装置、およびその回復動作制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本願発明は以下の構成を有するものとなっている。
すなわち、本発明の第1の形態は、インクを吐出する記録手段を記録媒体の搬送方向と交差する方向へと走査させつつ前記記録手段から記録媒体へとインクを吐出させると共に、前記記録媒体の移動範囲外であって前記記録ヘッドと対向する位置に設けられたインク受け部に前記記録手段からインクを吐出させる吐出制御手段を有するインクジェット記録装置において、前記記録手段は、前記走査方向に沿って順次配設された第1、第2のインク吐出部を有し、前記第1のインク吐出部は、前記第1のインク吐出部から吐出されるインクの溶解性よりも低いインク溶解性を有するインクを吐出し、前記吐出制御手段は、前記第1のインク吐出部から吐出されるインクと、前記第2の吐出部から吐出されるインクとを、前記吐出インク受け部内の略同一位置に着弾させることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第2の形態は、インクを吐出する記録手段を記録媒体の搬送方向と交差する方向へと走査させつつ前記記録手段から記録媒体へとインクを吐出させると共に、前記記録媒体の移動範囲外であって前記記録ヘッドと対向する位置に設けられたインク受け部に前記記録手段からインクを吐出させて記録手段の性能回復動作を行うインクジェット記録装置の回復動作制御方法であって、前記記録手段は、前記走査方向に沿って順次配設された第1、第2のインク吐出部を有し、前記第1のインク吐出部は、前記第1のインク吐出部から吐出されるインクの溶解性よりも低いインク溶解性を有するインクを吐出するよう構成され、前記第1のインク吐出部から吐出されるインクと、前記第2の吐出部から吐出されるインクとを、前記吐出インク受け部内の略同一位置に着弾させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、記録ヘッドの回復動作時に、前記溶解性が低いインクとその他のインクとをインク受け部の中の略同一の位置に着弾させるという単純な制御を行うことによって堆積物がインク受け部などに堆積するのを低減することができる。このため、従来のように、堆積物を掻き落とす機構を設ける必要もなく、装置を安価に構成することができると共に、インクが記録動作と回復動作という必要不可欠な動作以外の目的で吐出されることがないためインク消費量が増大することもなく、ランニングコストの増大を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本実施形態で適用するインクジェット記録装置を、その外装部を取り外して内部機構を露出させた状態で示す斜視図である。本実施形態における記録装置本体は、給紙部、用紙搬送部、排紙部、キャリッジ部、クリーニング部および外装部などを有している。以下、各部の構成、作用を順次説明する。
【0020】
クリーニング部
クリーニング部は、記録ヘッド(後述)のクリーニングを行う部分であり、ポンプM5000、記録ヘッドの乾燥を抑えるためのキャップM5010を含む吸引回復部、および記録ヘッドの吐出面をクリーニングするためのブレードM5020を含む払拭部、およびこれらを駆動する駆動力を発生させるクリーニングモータE0003などを主に備える構成となっている。
【0021】
クリーニングモータE0003には、ワンウェイクラッチ(不図示)が設けられており、一方向への回転でポンプM5000が作動し、他方向への回転でキャップM5010の昇降、すなわち記録ヘッドの吐出面を開閉する動作と、ブレードM5020の移動、すなわち記録ヘッドの吐出面を払拭する動作とを連続的に行うことが可能となっている。
【0022】
クリーニングモータE0003によって作動するポンプM5000は、ポンプコロがキャップM5010に接続されたインク排出用チューブをしごくことによってキャップM5010内に負圧を発生させるように構成された、いわゆるチューブポンプの形態を有する。そして、キャップM5010を記録ヘッドの吐出口形成面に密着させた状態でポンプM5000を作動させると、記録ヘッドからはインク吐出口を介してインクおよびこれに混入する気泡等が吸引され、これによって記録ヘッドに対する吸引回復が行われる。
【0023】
キャップM5010の内側部分には、吸引後に記録ヘッドの吐出口形成面に残るインクを低減させるために吸収体が設けられている。また、記録ヘッドからのインクの吸引後、キャップM5010内でのインクの固着およびその後の弊害が起こらないようにするため、キャップM5010内の残留インクを吸引、除去する。これは、キャップM5010を開けた状態、すなわちキャップM5010を大気開放した状態で、ポンプM5000を駆動することによって行う。なお、キャップM5010内から吸引されたインクは廃インクとなり、装置底部または背面部など適宜の部位に設けた廃インク吸収部(不図示)に吸収され、保持される。
【0024】
また、前述の吸引回復動作後、キャップM5010が下降して、記録ヘッドの吐出面から離脱すると、これによって開放された吐出面直下の空間を利用して、ブレードM5020がキャリッジM4000の走査方向に垂直に移動し、記録ヘッドの吐出面を払拭する。ブレードM5020は、記録ヘッドH1001のノズル近傍をクリーニングするものと、吐出面全体をクリーニングするものとが設けられている。そして、キャリッジM4000が、ブレードの配置されている側の最奥部へと移動した際には、ブレードクリーナーM5060に当接し、これによってブレードM5020自身へ付着したインクなども除去することができる構成になっている。
【0025】
記録ヘッドの走査経路と対向する位置には、記録媒体への記録動作が行われる記録領域が設けられ、この記録領域には記録媒体を支持するプラテンM3040が設けられている。また、このプラテンM3040の一側端部、すなわち記録媒体の通過領域より外れた位置には、予備吐出されたインクを受けるインク受け部M5011が設けられている。このインク受け部には、予備吐出によって吐出されたインクを受ける吸収体が収容され、その下方には廃インク吸収部(不図示)が設けられている。インク受け部M5011に対応する位置には開口が設けられており、インク受け部M5011の吸収体に吸収された予備吐出によるインクは、下方の廃インク吸収部上に流下して吸収される。
【0026】
その他の機構
給紙部は圧板M2010上に積載された記録媒体を1枚ずつ分離してプラテンM3040側へと送給する機構を有する。用紙搬送部は、送給された記録媒体を記録ヘッドによる記録領域に向けて挟持搬送する搬送ローラM3060とこれに対向して設けられたピンチローラM3070とからなるローラ対、搬送ローラM3060の駆動源となる搬送モータE0002などを有する。排紙部は、記録媒体を記録領域から排出させるための排紙ローラM3110およびこれと協働する複数の拍車ローラ等を有する。
【0027】
キャリッジ部は、記録ヘッドを取り付けるためのキャリッジM4000を有しており、キャリッジM4000は、ガイドシャフトM4020およびガイドレールM1011によって支持され、ガイドシャフトM4020は、記録媒体の搬送方向(Y方向)に対して直角方向にキャリッジM4000を往復走査させるように案内支持している。キャリッジM4000は、シャーシM1010に取り付けられたキャリッジモータE0001によりタイミングベルトM4041を介して駆動される。
【0028】
上記構成において記録媒体に画像を形成する場合、その画像の行方向への記録位置は、搬送ローラM3060およびピンチローラM3070からなるローラ対が、記録媒体を搬送することによって位置決めする。また、画像の列方向への位置に対しては、キャリッジモータE0001によりキャリッジM4000を上記搬送方向と垂直な方向に移動させて、記録ヘッドを目的の画像形成位置に配置させる。位置決めされた記録ヘッドは、電気制御基板E0014からの信号に従って、記録媒体に対しインクを吐出する。記録ヘッドについての詳細な構成は後述するが、本実施形態の記録装置においては、記録ヘッドにより記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に移動する主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体が行方向に搬送される副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体上に画像を形成していくようになっている。
【0029】
記録ヘッド
次に、図2に基づき本実施形態で適用するヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。本実施形態におけるヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクタンクH1900を搭載する手段、およびインクタンクH1900から記録ヘッドにインクを供給するための手段を有しており、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。図2は、ヘッドカートリッジH1000に対し、インクタンクH1900を装着する様子を示している。
【0030】
本実施形態の記録装置は、8色のインクによって画像を形成するものとなっており、そのため各々独立した構成の8色分のインクタンクH1900が用意されている。これらインクタンクは、ヘッドカートリッジH1000に対してそれぞれ着脱自在となっている。なお、インクタンクH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000が搭載された状態で行えるようになっている。
【0031】
図3は、ヘッドカートリッジH1000の分解斜視図である。図において、ヘッドカートリッジH1000は、第1の記録素子基板H1100および第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、第2のプレートH1400、電気配線基板H1300、タンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800などから構成されている。
【0032】
第1の記録素子基板H1100および第2の記録素子基板H1101はSi基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子(ノズル)がフォトリソグラフィ技術により形成されている。各記録素子に電力を供給するAl等の電気配線は、成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のインク流路もまた、フォトリソグラフィ技術により形成されている。さらに、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。
【0033】
それぞれ異なるインク色に対応する記録素子の列(以下ノズル列ともいう)は、記録媒体の搬送方向に1200dpi(dot/inch;参考値)の間隔で並ぶ768個のノズルによって構成され、それぞれ約2ピコリットルのインク滴を吐出させる。各ノズル吐出口における開口面積は、およそ100平方μmに設定されている。また、第1の記録素子基板H1100および第2の記録素子基板H1101は第1のプレートH1200に接着固定されており、ここには、第1の記録素子基板H1100および第2の記録素子基板H1101にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。
【0034】
さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されており、この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と第1の記録素子基板H1100および第2の記録素子基板H1101とが電気的に接続されるように、電気配線基板H1300を保持している。
【0035】
この電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100および第2の記録素子基板H1101に形成されている各ノズルからインクを吐出するための電気信号を印加するものであり、第1の記録素子基板H1100および第2の記録素子基板H1101に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し記録装置本体からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有している。外部信号入力端子H1301は、タンクホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
【0036】
一方、インクタンクH1900を保持するタンクホルダーH1500には、流路形成部材H1600が例えば超音波溶着により固定され、インクタンクH1900から第1のプレートH1200に通じるインク流路H1501を形成している。インクタンクH1900と係合するインク流路H1501のインクタンク側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクタンクH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
【0037】
さらに、前述のようにタンクホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700及びシールゴムH1800から構成されるタンクホルダー部と、第1の記録素子基板H1100および第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される記録ヘッド部H1001とを、接着等で結合することにより、ヘッドカートリッジH1000が構成されている。
【0038】
図4は本発明の第1の実施例における記録ヘッドのノズル群の配列構成を示す。ここで、1302は第1の記録素子基板H1101に対応し、高速フルカラー記録を可能とする第1の記録ヘッド部、1303は第2の記録素子基板H1100に対応し、高画質記録を可能とする第2の記録ヘッド部である。
【0039】
高速フルカラー記録を特徴付ける記録ヘッド部1302は、フルカラーを減法混色で再現するための3原色の色材であるイエローインク、マゼンタインクおよびシアンインクをそれぞれ吐出する吐出部(第2の吐出部)1304、1305および1306を有している。それぞれの吐出部は、記録ヘッドH1001の走査方向(X方向)と異なる方向(例えば略垂直に交わる記録媒体の搬送方向(Y方向))に配列され、かつ一色のインクにつきノズル列を2列有している。また、これら2列のノズル列間では、ノズルは1/2ピッチだけ搬送方向にずらして配置される。なお、図において吐出部1304の左側に示されている2つの吐出部(各2列)は、本実施形態では非使用の吐出部となっている。
【0040】
一方、高画質記録を可能とする記録ヘッド部1303は、出力画像の階調性を高めるためのライトシアンインク(淡シアンインクともいう)およびライトマゼンタインク(淡マゼンタインクともいう)をそれぞれ吐出する吐出部1307および1309と、出力画像のコントラストを高めるためのブラックインクを吐出する吐出部1308とが設けられている。さらに、本実施形態においては、シアン、マゼンタおよびイエローの色材の3原色だけでは再現できない色域を再現可能とするために、2種類の特色インク(特殊インク1、特殊インク2)を吐出する吐出部1310および吐出部1311(第1の吐出部)も設けてある。なお、記録ヘッド部1303においても、各色インク用の吐出部1307〜1311のそれぞれについても、記録ヘッド部1302と同様、2列のノズル列で構成されている。
【0041】
インクジェット記録装置の制御系の構成
次に本実施形態における制御系について説明する。
図5は、本発明の実施形態における制御系の全体構成を概略的に説明するためのブロック図である。
【0042】
本実施形態で適用する記録装置では、主にキャリッジ基板(CRPCB)E0013、メインPCB(Printed Circuit Board)E0014、電源ユニットE0015、フロントパネルE0106等によって構成されている。
ここで、電源ユニットE0015は、メインPCB E0014と接続され、各種駆動電源を供給するものとなっている。
【0043】
キャリッジ基板E0013は、キャリッジM4000に搭載されたプリント基板ユニットであり、ヘッドコネクタ E0101を通じて記録ヘッドH1001との信号の授受を行うインターフェイスとして機能する。また、キャリッジM4000の移動に伴ってエンコーダセンサE0004から出力されるパルス信号に基づいて、エンコーダスケールE0005とエンコーダセンサE0004との位置関係の変化を検出し、さらにその出力信号をフレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメインPCB E0014へと出力する。キャリッジ基板E0013には、周囲温度温度を検出するためのサーミスタなどの温度センサや所要の光学センサが設けられている。これらのセンサ(OnCR)E0102により得られる情報は、記録ヘッドカートリッジH1000に設けた温度センサ(不図示)からのヘッド温度情報と共に、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)E0012を通じてメインPCB E0014へと出力される。
【0044】
メインPCB E0014は、本実施形態におけるインクジェット記録装置の各部の駆動制御を司るプリント基板ユニットであり、その基板上には、図9について説明する吸引回復動作制御を含め、各種制御を行う制御手段としてのCPUおよびそのCPUが実行するプログラムを格納したROMなどを有する。また、メインPCB E0014は、紙端検出センサ(PEセンサ)E0007、Automatic Sheet Feeder(ASF)センサE0009、カバーセンサE0022およびホストインタフェース(ホストI/F)E0017を有している。また、キャリッジM4000を主走査させるための駆動源となるキャリッジモータE0001、記録媒体を搬送するための駆動源となるLFモータE0002、記録ヘッドH1001の回復動作の駆動源となるモータE0003、記録媒体の給紙動作の駆動源となるASFモータE0105など各種モータと接続されて各機能の駆動を制御している。さらに、インクエンプティセンサ、メディア(紙)判別センサ、キャリッジ位置(高さ)センサ、LFエンコーダセンサ、PGセンサのような各種オプションユニットの装着や動作状態を示す様々なセンサ信号E0104を受信するとともに、各種オプションユニットの駆動制御を行うために、オプション制御信号E0108を出力する。また、メインPCB E0014は、CRFFC E0012、電源ユニットE0015およびフロントパネルE0106とそれぞれ接続し、パネル信号E0107によって情報のやり取りを行うための、インターフェイスを有している。
フロントパネルE0106は、ユーザ操作の利便性のために、記録装置本体の正面に設けたユニットであり、リジュームキーE0019、LED E0020、電源キーE0018、さらにデジタルカメラ等の周辺デバイスとの接続に用いるデバイスI/F E0100を有している。
【0045】
インク受け部に対する予備吐出動作シーケンス
図6(a)ないし(e)はインク受け部M5011上における予備吐出動作シーケンスを模式的に示したものである。同図では、記録ヘッドH1001による吐出状態を示すため、記録ヘッドH1001は側面図とし、記録インク受け部M5011は記録ヘッドから吐出されたインクが着弾した状態を示すため、平面図としている。
【0046】
記録ヘッドH1001の吐出部1311(図4参照)に対応する特色インク2は他の7色に比べて溶解性が低い色材を含むインクであり、非常に堆積し易い性質があるものとする。
ここで、キャリッジM4000がインク受け部M5011方向(X1方向)に走査し、記録ヘッドH1001の記録ヘッド部1303がインク受け部M5011上に達したとき、まず吐出部1311から特色インク2がインク受け部M5011上に予備吐出される(図5(a)参照)。
【0047】
次に、キャリッジM4000と共に記録ヘッドH1001がさらにX1方向へと移動すると、吐出部1310からインク受け部M5011上に予備吐出が行われる。この予備吐出は、先にインク受け部5011上に着弾した特色インク2と同じ位置にインクが着弾するようなタイミングで行われる(図5(b)参照)。
【0048】
この後、キャリッジM4000はさらにX1方向へ移動し吐出部1309から吐出されるライトマゼンタインクが前記2つのインクと同じ位置に着弾するようなタイミングで、吐出部1309からインク受け部5011上に予備吐出が行われる(図5(c)参照)。
【0049】
以下、キャリッジM4000の移動に伴って、吐出部1308からブラックインクが(図5(d)参照)、その次に吐出部1307からライトシアンインクが、それぞれ直前に予備吐出されたインクと同じ位置に着弾するタイミングで予備吐出される(図5(e)参照)。
【0050】
以上の予備吐出動作により、インク受け部M5011上には、記録ヘッド部1303に供給されている5色のインクが順次重なるように予備吐出され、特色インク2は他の4色のインクと混合されることとなる。これにより、特色インク2が溶解しにくい色材を含むものであったとしても、その色材は、溶解し易い他の4色のインクとの混合によってそれらのインクと共にインク受け部M5011の吸収体に吸収された後、廃インク吸収部上にスムーズに流下して吸収される。従って、インク受け部M5011上に特色インク2が堆積することはなくなり、インク受け部M5011およびインク受け部M5011から廃インク吸収部に至る流路などに対するメンテナンス作業は大幅に軽減される。
【0051】
また、記録ヘッド部1302のイエローインク、マゼンタインク、シアンインクもインク受け部M5011上に予備吐出される。この場合、これら3色のインクも他の5色と同一の位置に着弾させるようにすることも可能である。しかし、前述のように、特色インク2は他の4色のインクを重ねて吐出させることで十分にインク受け部M5011から除去することが可能であり、しかも記録装置としてのスループットの低下を避けるためには、キャリッジの移動量を可能な限り抑える必要があるため、前記3色のインクについては、記録ヘッドを移動させずに予備吐出させるようになっている。すなわち、3色のインクを他の4色と同様に重ねて着弾させるためには、記録ヘッド部1302を一旦、記録領域から離間させる方向(X1方向)へと移動させる必要があり、これによってキャリッジの移動量が増しスループットに影響が出るため、キャリッジの移動量を抑えるべく、必要最小源のインクのみを予備吐出で重ねるようにしている。
【0052】
なお、記録ヘッドからのインクの吐出タイミングは、キャリッジM4000の位置を表すエンコーダセンサE0004からの出力に基づき、メインPCB E0014に設けられているCPUが記録ヘッドの駆動回路を介して制御する。すなわち、CPUは、予め溶解性の低いインクの吐出部およびこれに重ねて吐出させる溶解性の高いインクの吐出部が、インク受け部の所定の位置に達したか否かを、エンコーダセンサE0004からの信号によって表されるキャリッジの位置に基づき判断し、インク受け部の所定の位置に各吐出部が到達した時点で予備吐出を実行させる。これにより、上記のように複数の吐出部から吐出されるインクをインク受け部の同一位置に重ねて吐出させることができる。
【0053】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
図7はこの第2の実施形態に用いられるインクジェットヘッドカートリッジH200の分解斜視図、図8は本発明の第2の実施例における記録ヘッドのノズル群の配列構成を示す図である。
【0054】
図8において、2302は染料インク用の記録ヘッド部(第2の記録ヘッド部)であり、2303は顔料インク用の記録ヘッド部(第1の記録ヘッド部)である。このうち、染料インク記録ヘッド部2302は図7に示す第1の記録素子基板H2101に対応し、顔料インク用記録ヘッド部2303は第2の記録素子基板H2100に対応している。
【0055】
また、染料用記録ヘッド部2302は、フルカラーを減法混色で再現するための3原色の色材のうちの染料イエローインクを吐出する吐出部2306、染料マゼンタインクを吐出する吐出部2305および2308、染料シアンインクを吐出する吐出部2304および2309、出力画像のコントラストを高めるための染料ブラックインクを吐出する吐出部2307を有している。また、染料マゼンタと染料シアンの吐出部ついては、図7に示す流路形成部材H2600によって流路が2つに枝分かれをしているため、吐出部がそれぞれ2つ存在する。なお、前記吐出部2310がこの第2の実施形態における第1の吐出部を、前記吐出部2307〜2009が第2の吐出部をそれぞれ構成している。
【0056】
また、図8に示すように、前記各吐出部は、記録ヘッドH2001の走査方向(X方向)と異なる方向(例えば、走査方向と略垂直に交わる記録媒体の搬送方向(Y方向))に沿って配列され、かつ一色のインクにつきノズル列を2列有している。また、これら2列のノズル列間では、ノズルは1/2ピッチだけ搬送方向にずらして配置される。
【0057】
一方、記録ヘッド部2303は、顔料ブラックインクを吐出する吐出部2310(第1の吐出部)が設けられている。なお、記録ヘッド部2303においても、記録ヘッド部2302と同様、2列のノズル列で構成されている。この吐出部2310から吐出される顔料インクは染料インクに比べて非常に堆積しやすい性質がある。
【0058】
上記のように構成されたインクジェット記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置において、その予備吐出動作は以下のようなシーケンスで行われる。
【0059】
すなわち、キャリッジM4000がインク受け部M5011方向(X1方向)に走査し、記録ヘッドH1001の記録ヘッド部1303がインク受け部M5011上に達したとき、まず吐出部2310から顔料ブラックインクがインク受け部M5011上に予備吐される。
【0060】
次に、キャリッジM4000と共に記録ヘッドH1001がさらにX1方向へと移動すると、吐出部2309からインク受け部M5011上に予備吐出が行われる。この予備吐出は、先にインク受け部5011上に着弾した顔料ブラックインクと同じ位置に染料インクが着弾するようなタイミングで行われる。
【0061】
この後、キャリッジM4000はさらにX1方向へと移動し、吐出部2308から吐出される染料インクが前記2つのインクと同じ位置に着弾するようなタイミングで予備吐出が行われる。
【0062】
以下、キャリッジM4000の移動に伴って、吐出部2307から染料ブラックインクが、その次に吐出部2306から染料イエローインクが、さらに吐出部2305から染料マゼンタインクが、最後に吐出部2304から染料シアンインクが、直前に予備吐出されたインクと同じ着弾位置になるタイミングでインク受け部M5011上に予備吐出される。
【0063】
このようにして、インク受け部M5011上に記録ヘッド部2302および2303から5色のインクが重なるように予備吐出されたことで、顔料ブラックインクは他の4色の染料インクと混合し、染料インクと共にスムーズにインク受け部M5011の吸収体に吸収され、廃インク吸収部上に流下して吸収される。このため、本実施形態においても、溶解し難い顔料ブラックインクがインク受け部M5011に堆積することはなくなり、インク受け部M5011およびインク受け部5011から廃インク吸収部に至る流路などに対するメンテナンス作業は大幅に軽減される。また、図中の吐出部2304および2305においては、顔料ブラックインクと同一位置にインクを予備吐出せず、スループットの低下を防止し得るようになっている。
【0064】
(その他)
なお、上記各実施形態におけるインクセットは、インク受け部内で異なる色調のインク同士が接触・混合するものであるので、そのときに反応を起こさないもの、すなわち少なくともブラック、ライトシアン、ライトマゼンタ、特殊インク1および特殊インク2のインクセットと、染料イエロー、染料マゼンタ、染料シアン、染料ブラックおよび顔料ブラックのインクセットのそれぞれについて、反応を起こさないもの、特に固体化を起こさないものとするのが望ましい。
【0065】
しかし異なる種類のインクが接触・混合してもインク受け部におけるインク吸収性能やメンテナンス性などに何ら悪影響が生じないのであれば、染料系のインクであっても顔料系のインクであっても適用可能であり、また用いる色調についても、特に限定されるものではない。また、組み合わせによって上記のような悪影響を及ぼす反応を生じる複数種類のインクが用いられる場合には、溶解性の低いインクに対して接触・混合による反応が生じないものを選択し、それらのインクをインク受け部の同一箇所に吐出させるようにすることも可能である。
【0066】
また、吐出部の種類(色調)や数、重ねる色数、重ねる順番についても、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、装置の小型化ないし低廉化なども勘案して、適宜設変更可能である。
例えば、上記第1の実施形態では、記録のスループットを向上させるため、第1の記録ヘッド部1302内に、第1の吐出部1311と第2の吐出部1307〜1310とを設けた場合を例に採り説明したが、記録のスループットを問題にしない場合には、第1の記録ヘッド部1302に第1の吐出部(例えば吐出部1304ないし1306の少なくとも一つ)を設け、第2の記録ヘッド部1303に第2の吐出部(例えば、吐出部1307ないし1311の少なくとも一つ)を設けるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1の実施形態で適用するインクジェット記録装置の内部機構を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に適用するヘッドカートリッジにインクタンクを装着する状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の第一実施形態で適用したヘッドカートリッジの分解斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施例における記録ヘッドのノズル群の配列構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における制御系の全体構成を概略的に説明するためのブロック図である。
【図6】インク受け部M5011上における予備吐出動作シーケンスを模式的に示す図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に用いられるインクジェットヘッドカートリッジの分解斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施例における記録ヘッドのノズル群の配列構成を示す図である。
【符号の説明】
【0068】
M3040 プラテン
M5011 インク受け部
E0001 キャリッジモータ
E0005 エンコーダスケール
E0014 メインPCB基板
H1000 8色用ヘッドカートリッジ
H1001 記録ヘッド
H1100 第1の記録素子板
H1101 第2の記録素子板
H1500 タンクホルダー
H1900 インクタンク
1302 記録ヘッド部
1303 記録ヘッド部
1304〜1311 吐出部
H2000 5色用ヘッドカートリッジ
H2001 記録ヘッド
H2100 第1の記録素子板
H2101 第2の記録素子板
H2500 タンクホルダー
H2900 インクタンク
2302 染料インク記録用の記録ヘッド部
2303 顔料インク記録用の記録ヘッド部
2304〜2310 吐出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する記録手段を記録媒体の搬送方向と交差する方向へと走査させつつ前記記録手段から記録媒体へとインクを吐出させると共に、前記記録媒体の移動範囲外であって前記記録ヘッドと対向する位置に設けられたインク受け部に前記記録手段からインクを吐出させる吐出制御手段を有するインクジェット記録装置において、
前記記録手段は、前記走査方向に沿って順次配設された第1、第2のインク吐出部を有し、前記第1のインク吐出部は、前記第1のインク吐出部から吐出されるインクの溶解性よりも低いインク溶解性を有するインクを吐出し、
前記吐出制御手段は、前記第1のインク吐出部から吐出されるインクと、前記第2の吐出部から吐出されるインクとを、前記吐出インク受け部内の略同一位置に着弾させることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記吐出制御手段は、前記記録手段の第1のインク吐出部と、第2のインク吐出部とが、それぞれインク受け部材の一定の位置で吐出動作を行うよう前記各インク吐出部の吐出タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録手段は、少なくとも一つのインク吐出部を有する記録ヘッド部を前記走査方向に複数配置してなり、前記複数の記録ヘッドに含まれる複数の吐出部には、前記少なくとも一つの第1の吐出部と少なくとも一つの第2の吐出部とが含まれることを特徴とする請求頂1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記記録手段は、第1の記録ヘッド部と、第2の記録ヘッド部とを前記走査方向に沿って複数配置してなり、前記第1の記録ヘッド部には、互いに異なる種類のインクを吐出する複数の第2の吐出部を設け、第2の記録ヘッド部には、前記少なくとも一つの第1の吐出部を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記吐出制御手段は、複数の第1のインク吐出部から吐出される複数種のインクと、単一の第2の吐出部から吐出されるインクとを、前記吐出インク受け部内の略同一位置に着弾させることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記インク受け部は、記録ヘッドから吐出されたインクを吸収するインク吸収体と、そのインク吸収体の下方に連通する廃インク吸収部とを有し、前記インク吸収体にて吸収されたインクを前記廃インク吸収部に吸収・保持させることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記吐出制御手段は、第1のインク吐出部から吐出されるインクを、前記第2のインク吐出部から吐出されるインクよりも先にインク吸収体に着弾させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記第1のインク吐出部から吐出されるインクは、顔料を色材とするインクであり、前記第2のインク吐出部から吐出されるインクは、染料を色材とするインクであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
インクを吐出する記録手段を記録媒体の搬送方向と交差する方向へと走査させつつ前記記録手段から記録媒体へとインクを吐出させると共に、前記記録媒体の移動範囲外であって前記記録ヘッドと対向する位置に設けられたインク受け部に前記記録手段からインクを吐出させて記録手段の性能回復動作を行うインクジェット記録装置の回復動作制御方法であって、
前記記録手段は、前記走査方向に沿って順次配設された第1、第2のインク吐出部を有し、前記第1のインク吐出部は、前記第1のインク吐出部から吐出されるインクの溶解性よりも低いインク溶解性を有するインクを吐出するよう構成され、
前記第1のインク吐出部から吐出されるインクと、前記第2の吐出部から吐出されるインクとを、前記吐出インク受け部内の略同一位置に着弾させることを特徴とするインクジェット記録装置の回復動作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−44146(P2006−44146A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−231028(P2004−231028)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】