インクジェット記録装置およびインクジェット記録方法
【課題】滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物のみを特定して滑り止め剤を付着させることによりコストダウンを図ることができ、かつ手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着させることができるインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】インクジェット記録装置において、滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッドと、製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量の各情報を入力する積載情報入力手段と、前記積載情報入力手段により入力される前記各情報に基づき、滑り止め剤を付着させる前記被記録物を特定する被記録物特定手段と、前記被記録物特定手段により特定される前記被記録物に対し滑り止め剤を付着させるために前記滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成手段と、を有することを特徴とする。
【解決手段】インクジェット記録装置において、滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッドと、製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量の各情報を入力する積載情報入力手段と、前記積載情報入力手段により入力される前記各情報に基づき、滑り止め剤を付着させる前記被記録物を特定する被記録物特定手段と、前記被記録物特定手段により特定される前記被記録物に対し滑り止め剤を付着させるために前記滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に係り、特にダンボールや紙器などへ滑り止め剤を塗布するのに好適なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンボールや紙器を積載する際の荷崩れや落下防止のために、予めダンボールや紙器に滑り止め剤を付着させておくことがなされている。従来、ダンボールや紙器などへの滑り止め剤の付着としては、はけや手動式噴霧器などの手作業による塗布や、滑り止め剤をオフセット印刷やフレキソ印刷していた。
【0003】
また、特許文献1には、紙基材面に印刷層を形成し、この印刷層の上に滑り止め剤を塗布して防滑層を形成する旨が記載されている。そして、滑り止め剤の塗布方法として、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−103831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダンボールや紙器を積載する際、上層部に積まれたダンボールや紙器は荷崩れや落下しやすい。そのため、上層部に積まれる予定のダンボールや紙器に予め確実に滑り止め剤を付着させることができれば、ダンボールや紙器を積載する際において確実に荷崩れや落下を防止できる。
【0005】
そして、上層部に積まれる予定のダンボールや紙器のみを特定して予め滑り止め剤を付着させ、下層部に積まれる予定のダンボールや紙器には滑り止め剤を付着させないようにすれば、滑り止め剤の使用量を必要最低限に抑えることができ、コストダウンを図ることもできる。
【0006】
しかしながら、従来のように、はけや手動式噴霧器などの手作業により塗布したり、滑り止め剤をオフセット印刷やフレキソ印刷する方法では、滑り止め剤を付着させる必要のあるダンボールや紙器のみを特定して滑り止め剤を付着させるのは手間がかかる。
【0007】
また、ダンボールや紙器の大きさや重量、あるいはダンボールや紙器を積載する作業者の身長などの身体寸法によって、当該作業者の作業的負担が大きくなる積載高さは異なる。そのため、滑り止め剤を付着させる必要のあるダンボールや紙器を見極めるのは困難であり、これらを特定して滑り止め剤を付着させるのは、非常に手間がかかる。
【0008】
ここで、特許文献1には、滑り止め剤の塗布方法が開示されているものの、ダンボールや紙器を特定して滑り止め剤を付着させることに関する方法については開示されていない。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物のみを特定して滑り止め剤を付着させることによりコストダウンを図ることができ、かつ手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着させることができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、インクジェット記録装置において、滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッドと、製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量の各情報を入力する積載情報入力手段と、前記積載情報入力手段により入力される前記各情報に基づき、滑り止め剤を付着させる前記被記録物を特定する被記録物特定手段と、前記被記録物特定手段により特定される前記被記録物に対し滑り止め剤を付着させるために前記滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物について、被記録物特定手段により被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量に基づき滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物を特定し、滑り止め剤吐出データ生成手段により滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成するので、滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物のみに滑り止め剤を付着させることによりコストダウンを図ることができ、かつ、手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着させることができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のインクジェット記録装置において、前記被記録物特定手段は、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合には作業者の身長に係わる第1基準と前記最大積載高さを比較し、前記最大積載高さが前記第1基準よりも大きい場合には前記第1基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定し、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも小さい場合には作業者の身長に係わる第2基準と前記最大積載高さを比較し、前記最大積載高さが前記第2基準よりも大きい場合には前記第2基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定すること、を特徴とする。
【0013】
本発明によれば、被記録物特定手段により梱包後の被記録物の重量と作業者の身体に係わる基準に基づいて滑り止め剤を付着させる被記録物を特定するので、手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着することができるとともに、積載する際において確実に荷崩れや落下を防止できる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のインクジェット記録装置において、前記第1基準の高さは、前記第2基準の高さよりも小さいこと、を特徴とする。
【0015】
本発明によれば、被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合にはより低い高さに位置する段数の前記被記録物から滑り止め剤を付着させるので、積載する際において確実に荷崩れや落下を防止できる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記第1基準は腰の位置であり、前記第2基準は肩の位置であることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合には作業者の腰の高さに位置する段数の前記被記録物から滑り止め剤を付着させ、被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも小さい場合には作業者の肩の高さに位置する段数の前記被記録物から滑り止め剤を付着させるので、積載する際においてより確実に荷崩れや落下を防止できる。
【0018】
なお、第1基準は、腰の位置以外にも膝の位置、股下の位置などであってもよい。また、第2基準は、肩の位置以外にも頭の位置(身長)、目の位置などであってもよい。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記被記録物の梱包後の1個の高さに対応して前記滑り止め剤吐出ヘッドが当該高さ方向に移動することができる可動機構を有すること、を特徴とする。
【0020】
本発明によれば、梱包後の被記録物の1個の高さに対応して滑り止め剤吐出ヘッドが当該高さ方向に移動することができるので、梱包前の被記録物に限らず梱包後の被記録物に対しても滑り止め剤の付着が可能である。
【0021】
請求項6に係る発明は、インクジェット記録方法において、製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量の各情報を入力する積載情報入力工程と、前記積載情報入力工程により入力される前記各情報に基づき、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合には作業者の身長に係わる第1基準と前記最大積載高さを比較し前記最大積載高さが前記第1基準よりも大きい場合には前記第1基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定し前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも小さい場合には作業者の身長に係わる第2基準と前記最大積載高さを比較し前記最大積載高さが前記第2基準よりも大きい場合には前記第2基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定することにより滑り止め剤を付着させる前記被記録物を特定する被記録物特定工程と、前記被記録物特定工程により特定される前記被記録物に対し滑り止め剤を付着させるために、滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成工程と、前記滑り止め剤吐出データ生成工程により生成された吐出データに基づき前記滑り止め剤吐出ヘッドから滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物について、被記録物特定工程により被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量に基づき滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物を特定し、滑り止め剤吐出データ生成工程により滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成するので、滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物のみに滑り止め剤を付着させることによりコストダウンを図ることができ、かつ、手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着させることができる。
【0023】
また、被記録物特定工程により梱包後の被記録物の重量と作業者の身体に係わる基準に基づいて滑り止め剤を付着させる被記録物を特定するので、手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着することができるとともに、積載する際において確実に荷崩れや落下を防止できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物のみを特定して滑り止め剤を付着させることによりコストダウンを図ることができ、かつ手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。なお、本実施形態では被記録物としてダンボールを例に挙げたが、これに限らず厚紙やボール紙などで作られた紙器なども対象とすることができる。
【0026】
〔インクジェット記録装置の構成〕
図1は、本発明の梱包前(製箱前)のダンボール16を対象とするインクジェット記録装置10の全体構成図である。そして、図2は当該装置の外観正面図であり、図3は当該装置の外観平面図である。図1に示すように、本発明の梱包前(製箱前)のダンボール16を対象とするインクジェット装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Y、および滑り止め剤の吐出のために設けられたヘッド12Sを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Y,12Sに供給する滑り止め剤およびインクを貯蔵しておく貯蔵/装填部14と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、ダンボール16を搬送するベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24とを備えている。図2と図3に示すように、印字部12は可動機構17により保持されており可動機構17の上下方向に動作する。なお、本実施形態とは異なり、滑り止め剤の吐出のために設けられたヘッド12Sと、各インクに対応して設けられた複数のヘッド12K,12C,12M,12Yとが別々に設けられるものとしてもよい。
【0027】
このように配置されるインク用のヘッド12K,12C,12M,12Yによりカラー印刷を行ったり、印刷済みのダンボール16への追い刷りとして仕向け地向け情報や積載情報や生産者情報やロット番号やバーコードなどを印刷したりすることができる。
【0028】
図3に示すように、インク用のヘッド12K,12C,12M,12Yはフルライン型であるのに対して、滑り止め剤用ヘッド12Sは、ダンボールの表面の天面16Aおよび底面16Bに対応する位置のみに配置され、インク用のヘッド12K,12C,12M,12Yに対してダンボール16が搬送される下流側に配置されている。なお、滑り止め剤用ヘッド12Sは、インク用のヘッド12K,12C,12M,12Yに対してダンボール16が搬送される上流側に配置してもよい。
【0029】
なお、滑り止め剤としては、印刷用カラーインク滑り止め剤であるダンボール用滑り止めOPニスを使用する。滑り止め剤を塗布する部分は、ダンボール16の天面16Aと底面16Bに相当する部分である。また、ダンボール用滑り止めOPニスの粘度が高い場合には、水などで薄めて粘度を下げて使用すればよい。
【0030】
貯蔵/装填部14は、ヘッド12Sの滑り止め剤や各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介して前記の各ヘッドと連通されている。また、貯蔵/装填部14は、滑り止め剤やインクの残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0031】
ダンボール16は、ベルト搬送部22へと送られる。ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0032】
ベルト33は、ダンボール16の幅よりも広い幅寸法を有している。ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図12中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
【0033】
印字するとベルト33上にも滑り止め剤やインクが付着するおそれがあるので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
【0034】
ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前のダンボール16に加熱空気を吹き付け、ダンボール16を加熱する。印字直前にダンボール16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0035】
印字部12のインク用の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とするダンボール16の最大幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの被記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図8参照)。
【0036】
図8に示すように、ヘッド12K,12C,12M,12Y,12Sは、記録紙16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順および滑り止め剤用に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Y,12Sが記録紙16の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。そして、滑り止め剤用ヘッド12Sは、ダンボール16を組み立てた時に天面16Aおよび底面16Bとなる部分のみに配置される。
【0037】
ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。同じく、ヘッド12Sからは滑り止め剤を吐出することにより記録紙16上に滑り止め剤を塗布し得る。
【0038】
このように、ダンボール幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)についてダンボール16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、ダンボール16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0039】
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0040】
図1に示した印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置誤差などの吐出特性をチェックする手段として機能する。
【0041】
本例の印字検出部24には、受光面に複数の受光素子(光電変換素子)が2次元配列されてなるCCDエリアセンサを好適に用いることができる。エリアセンサは、少なくとも各ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)の全域を撮像できる撮像範囲を有しているものとする。1つのエリアセンサで所要の撮像範囲を実現してもよいし、複数のエリアセンサを組み合わせて(繋ぎ合わせて)所要の撮像範囲を確保してもよい。或いはまた、エリアセンサを移動機構(不図示)によって支持し、エリアセンサを移動(走査)させることによって所要の撮像範囲を撮像する構成も可能である。
【0042】
また、エリアセンサに代えてラインセンサを用いることも可能である。この場合、ラインセンサは、少なくとも各ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列(光電変換素子列)を有する構成が好ましい。各色のヘッド12K,12C,12M,12Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部24により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
【0043】
なお、梱包前(製箱前)のダンボール16であって、図3に示すダンボール16を折りたたんで繋ぎ目部分16Cで繋いだ状態のダンボール16も対象とすることができる。図4は、このようなダンボール16を対象とするときのインクジェット記録装置10’の全体構成図である。そして、図5は当該装置の外観上面図である。このとき、ダンボール16の両面に滑り止め剤塗布とインク印刷を行う際には、まず表面のみに滑り止め剤塗布とインク印刷を行い、その後ダンボール16を裏面に裏返して滑り止め剤塗布とインク印刷を行ってもよい。
【0044】
または、図4に示すように、ヘッド12に対してベルト搬送部22の反対側に、ダンボール16の裏面に塗布するためのインク用のヘッド13K,13C,13M,13Yと、滑り止め剤用ヘッド13Sを配置してもよい。ここで、ベルト搬送部22にはスリット(不図示)が設けられており、ヘッド13から吐出された滑り止め剤やインクは当該スリットを通してダンボール16に塗布されることになる。
【0045】
なお、製箱時に外側になる面に塗布された滑り止め剤は、積載による荷崩れ防止として機能し、内側になる面に塗布されたものは、内容物の滑り止め剤としての機能と効果を有する。
【0046】
また、図6は、本発明の梱包後(製箱後)のダンボール16を対象とするときのインクジェット記録装置11の全体構成図である。そして、図7は当該装置の外観正面図である。当該インクジェット装置11においては、ヘッド12に対してベルト搬送部22の反対側にダンボール16の裏面に滑り止め剤を塗布するための滑り止め剤用ヘッド13Sが配置されている。ここで、ベルト搬送部22にはスリット(不図示)が設けられており、滑り止め剤用ヘッド13Sから吐出された滑り止め剤は当該スリットを通してダンボール16に塗布されることになる。さらに、ダンボール16の側面側にダンボール16の側面にインク印刷を行うためのインク用のヘッド15(15K,15C,15M,15Y)が配置されている。なお、インク用のヘッド15は、図7に示されるダンボール16の側面側の反対側にも配置されている。その他の構成や作用は、梱包前(製箱前)のダンボール16を対象とするインクジェット記録装置10と共通する。
【0047】
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。インク用ヘッドはフルライン型であるのに対して、滑り止め剤用ヘッドはフルライン型のヘッドではなくダンボール16の天面16Aや底面16Bに相当する部分にのみヘッドを構成する点で異なる。しかし、インクや滑り止め剤を吐出するノズル単位でのヘッドの構造および作用は、ヘッド12、13、15の全てで共通している。そこで、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
【0048】
図9(a) はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図9(b) はその一部の拡大図である。また、図9(c) はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図10は1つの液滴吐出素子(1つのノズル51に対応した液滴室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図9(a) 中の10−10線に沿う断面図)である。
【0049】
ダンボール16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図9(a),(b) に示したように、液滴吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数の液滴室ユニット(液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0050】
ダンボール16の送り方向と略直交する方向にダンボール16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図9(a) の構成に代えて、図9(c) に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることでダンボール16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
【0051】
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図9(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル51への流出口が設けられ、他方に滑り止め剤やインクの流入口(供給口)54が設けられている。なお、圧力室52の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
【0052】
図10に示したように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たる液滴タンク(不図示)と連通しており、液滴タンクから供給される滑り止め剤やインクは共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
【0053】
圧力室52の一部の面(図10において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されている。個別電極57と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51から滑り止め剤やインクが吐出される。なお、アクチュエータ58には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。滑り止め剤やインク吐出後、アクチュエータ58の変位が元に戻る際に、共通流路55から供給口54を通って新しい滑り止め剤やインクが圧力室52に再充填される。
【0054】
上述した構造を有する液滴室ユニット53を図11に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
【0055】
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿って液滴室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
【0056】
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
【0057】
特に、図11に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
【0058】
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
【0059】
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、ダンボール16の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
【0060】
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
【0061】
〔制御系の説明〕
図12は、インクジェット記録装置のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、ROM75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
【0062】
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信する画像入力手段として機能するインターフェース部(画像入力部)である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0063】
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0064】
積載情報等入力部71は、作業者がダンボール16の最大積載高さaや1箱の高さbや1箱の重量c、作業者の身長Hhなどを入力する手段である。このように入力された情報から、滑り止め剤塗布段数演算部72Cにて滑り止め剤を塗布する段数を算出する。
【0065】
ここで、1箱の重量cは、梱包前(製箱前)の状態で滑り止め剤を塗布する場合には、ダンボール16の単体の重量である。また、梱包後(製箱後)の状態で滑り止め剤を塗布する場合には、ダンボール16内に内容物が存在しない場合はダンボール16の単体の重量であり、ダンボール16内に内容物が存在する場合はダンボール16の単体の重量と内容物の重量を加算した重量である。
【0066】
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74及びROM75の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
【0067】
また、システムコントローラ72は、印字検出部24から読み込んだテストパターンの読取データから着弾位置誤差、液滴量誤差、不吐出等のデータを生成する演算処理を行う着弾誤差等測定演算部72Aと、測定された着弾位置誤差、液滴量誤差、不吐出の情報から濃度補正係数を算出する濃度補正係数算出部72Bと、積載情報等入力部71にて入力された情報から滑り止め剤を塗布する段数を算出する滑り止め剤塗布段数演算部72Cとを含んで構成される。なお、着弾誤差等測定演算部72A及び濃度補正係数算出部72Bの処理機能はASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。濃度補正係数算出部72Bにおいて求められた濃度補正係数のデータは、濃度補正係数記憶部90に記憶される。
【0068】
ROM75には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(着弾位置誤差等の測定用テストパターンのデータを含む)などが格納されている。ROM75は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。また、このROM75の記憶領域を活用することで、ROM75を濃度補正係数記憶部90として兼用する構成も可能である。
【0069】
画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0070】
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従って搬送系のモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示に従って後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
【0071】
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データ(多値の入力画像のデータ) から打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理手段として機能するとともに、生成した滑り止め剤吐出データとインク吐出データをヘッドドライバ84に供給してヘッド50の吐出駆動を制御する駆動制御手段として機能する。
【0072】
すなわち、プリント制御部80は、濃度データ生成部80Aと、補正処理部80Bと、インク吐出データ生成部80Cと、駆動波形生成部80D、滑り止め剤吐出データ生成部80Eとを含んで構成される。これら各機能ブロック(80A〜E)は、ASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。
【0073】
濃度データ生成部80Aは、入力画像のデータからインク色別の初期の濃度データを生成する信号処理手段であり、濃度変換処理(UCR処理や色変換を含む)及び必要な場合には画素数変換処理を行う。
【0074】
図12の補正処理部80Bは、濃度補正係数記憶部90に格納されている濃度補正係数を用いて濃度補正の演算を行う処理手段であり、ムラ補正処理を行う。
【0075】
図12のインク吐出データ生成部80Cは、補正処理部80Bで生成された補正後の濃度データから2値(又は多値)のドットデータに変換するハーフトーニング処理手段を含む信号処理手段であり、2値(多値)化処理を行う。このインク吐出データ生成部80Cにて生成されたインク吐出データはヘッドドライバ84に与えられ、ヘッド50のインク吐出動作が制御される。
【0076】
図12の滑り止め剤吐出データ生成部80Eは、滑り止め剤塗布段数演算部72Cで算出された滑り止め剤を塗布する段数の範囲に基づいて吐出動作データを生成する手段である。この滑り止め剤吐出データ生成部80Eにて生成されたデータはヘッドドライバ84に与えられ、ヘッド50の滑り止め剤吐出動作が制御される。
【0077】
駆動波形生成部80Dは、ヘッド50の各ノズル51に対応したアクチュエータ58(図10参照)を駆動するための駆動信号波形を生成する手段であり、該駆動波形生成部80Dにて生成された信号(駆動波形)は、ヘッドドライバ84に供給される。なお、駆動信号生成部80Dから出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
【0078】
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図12において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0079】
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データが画像メモリ74に記憶される。
【0080】
インクジェット記録装置10では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ74に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80の濃度データ生成部80A、補正処理部80B、インク吐出データ生成部80Cを経てインク色ごとのドットデータに変換される。
【0081】
すなわち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。この色別ドットデータは、ヘッド50のノズルからインクを吐出するためのCMYK打滴データに変換され、印字されるインク吐出データが確定する。
【0082】
ヘッドドライバ84は、プリント制御部80から与えられるインク吐出データ及び駆動波形の信号に基づき、印字内容に応じてヘッド50の各ノズル51に対応するアクチュエータ58を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0083】
こうして、ヘッドドライバ84から出力された駆動信号がヘッド50に加えられることによって、該当するノズル51からインクが吐出される。ダンボール16の搬送速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、ダンボール16上に画像が形成される。
【0084】
上記のように、プリント制御部80における所要の信号処理を経て生成されたインク吐出データ及び駆動信号波形に基づき、ヘッドドライバ84を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0085】
印字検出部24は、図1で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、ダンボール16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部80及びシステムコントローラ72に提供する。
【0086】
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいてヘッド50に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
【0087】
〔滑り止め剤塗布の制御に関する内容〕
次に、前記の積載情報等入力部71、滑り止め剤塗布段数演算部72C、滑り止め剤吐出データ生成部80E、ヘッドドライバ84などにおけるダンボールを特定して滑り止め剤を塗布させる際の具体的な制御フローの内容について、図13を用いて説明する。なお、当該制御フローは、梱包後(製箱済み)のダンボールに限られず、梱包前のダンボールへの滑り止め剤の塗布に関しても適用されるものである。
【0088】
まず、積載情報等入力部71に、ダンボール16の積載情報として作業者の身長Hhを入力する(ステップS2)。そして、梱包後のダンボール16を積載したときの地面から頂上までの高さである最大積載高さaと、梱包後のダンボール16の1箱の高さbと、梱包後のダンボール16の1箱の重量cを入力する(ステップS4)。重量cの値は、ダンボール16内に内容物が存在する場合にはダンボール16の単体の重量とダンボール16に入れる内容物の重量の合計値であり、ダンボール16内に内容物が存在しない場合にはダンボール16の単体の重量の値である。入力は作業者が手動で行ってもよく、または、センサなどを用いて自動的に行ってもよい。なお、梱包前(シート状)のダンボール16に関しては、梱包後の積載情報を想定して入力する。
【0089】
次に、滑り止め剤塗布段数演算部72Cにおいて、入力した最大積載高さaと1箱の高さbに基づいてダンボール16の積載段数Nを算出する(ステップS6)。具体的には、N0=a/bの式より仮の積載段数N0を求める。そして、仮の積載段数N0が整数で表される場合には、そのまま積載段数N=N0とする。一方、仮の積載段数N0が整数で表すことができない場合には、小数点以下を切り捨てた値を積載段数Nとする。
【0090】
次に、ダンボール1箱の重量cが10kg以上か否かを判断する(ステップS8)。そして、ダンボール1箱の重量cが10kg未満の場合にはステップS10へ進み、ダンボール1箱の重量cが10kg以上の場合にはステップS20へ進む。なお、本実施形態では、ダンボール1箱の重量cの閾値を10kgに設定しているが、この数値に限定されるものではなく、内容物の重要性や壊れやすさなどにより数値は任意に可変できるものとする。
【0091】
ここで、まずダンボール1箱の重量cが10kg未満であってステップS10へ進んだ場合を説明する。この場合には、まず地面から作業者の肩までの高さである肩の高さHsを算出する(ステップS10)。具体的には、ステップS2で入力した作業者の身長Hhに基づき、Hs=Hh×0.7の計算式を用いて算出する。計算式における0.7の値は、平均的な人間の身長に対する肩までの高さ値として考える値であり、必ずしもこの値に限定されるものではなく、実際の作業者の体格に合わせて変更してもよい。
【0092】
次に、ステップS4にて入力したダンボール16の最大積載高さaとステップS10にて算出した肩の高さHsを比較する(ステップS12)。そして、ダンボール16の最大積載高さaが作業者の肩の高さHsよりも小さい場合には、どのダンボール16についても滑り止め剤が塗布されない(ステップS14)。一方、ダンボール16の最大積載高さaが作業者の肩の高さHsよりも大きい場合には、滑り止め剤を塗布する必要のあるダンボール16のうち最も下段に積載されるものの段数である塗布下限段数nsを算出する(ステップS16)。具体的には、ステップS10で算出した肩の高さHsと、ステップS4で入力したダンボール16の1箱の高さbに基づき、ns=Hs/bの計算式を用いて算出する。なお、積載段数Nを算出する場合と同様に、小数点以下を切り捨てた値を塗布下限段数nsとする。
【0093】
そして、滑り止め剤吐出データ生成部80Eにおいて、ステップS6で算出されたダンボール16の積載段数Nの値とステップS16で算出された塗布下限段数nsの値に基づき滑り止め剤吐出データを生成する。生成された滑り止め剤吐出データはヘッドドライバ84に与えられ、ヘッド50の滑り止め剤吐出動作が制御されることにより、ns段目からN段目のダンボール16について滑り止め剤を塗布する(ステップS18)。
【0094】
図14(a)に、N=8、ns=4の場合を示す。そこで、このN=8、ns=4を算出するにあたっての具体例を以下に示す。作業者の身長Hh=170cmとすると、肩の高さHs=170cm×0.7=119cmとなる。ダンボール16の1箱の高さb=27cmとすると、塗布下限段数ns=119/27=4.41より小数点以下を切り捨てて、塗布下限段数ns=4となる。また、ダンボール16の最大積載高さa=220cmとすると、仮の積載段数N0=220/27=8.15より小数点以下を切り捨てて、ダンボール16の積載段数N=8となる。
【0095】
以上が、ダンボール1箱の重量cが10kg未満であってステップS10へ進んだ場合についての説明である。
【0096】
一方、ステップS8において、ダンボール1箱の重量cが10kg以上であってステップS20へ進んだ場合を説明する。この場合には、まず地面から作業者の腰までの高さである腰の高さHwを算出する(ステップS20)。具体的には、ステップS2で入力した作業者の身長Hhに基づき、Hw=Hh×0.5の計算式を用いて算出する。計算式における0.5の値は、平均的な人間の身長に対する腰までの高さ値として考える値であり、必ずしもこの値に限定されるものではなく、実際の作業者の体格に合わせて変更してもよい。
【0097】
次に、ステップS4にて入力したダンボール16の最大積載高さaとステップS20にて算出した腰の高さHwを比較する(ステップS22)。そして、ダンボール16の最大積載高さaが作業者の腰の高さHwよりも小さい場合には、どのダンボール16についても滑り止め剤が塗布されない(ステップS24)。一方、ダンボール16の最大積載高さaが作業者の腰の高さHwよりも大きい場合には、滑り止め剤を塗布する必要のあるダンボール16のうち最も下段に積載されるものの段数である塗布下限段数nwを算出する(ステップS26)。具体的には、ステップS20で算出した腰の高さHwと、ステップS24で入力したダンボール16の1箱の高さbに基づき、nw=Hw/bの計算式を用いて算出する。なお、積載段数Nや塗布下限段数nsを算出する場合と同様に、小数点以下を切り捨てた値を塗布下限段数nwとする。
【0098】
そして、滑り止め剤吐出データ生成部80Eにおいて、ステップS6で算出されたダンボール16の積載段数Nの値とステップS26で算出された塗布下限段数nwの値に基づき滑り止め剤吐出データを生成する。生成された滑り止め剤吐出データはヘッドドライバ84に与えられ、ヘッド50の滑り止め剤吐出動作が制御されることにより、nw段目からN段目のダンボール16について滑り止め剤を塗布する(ステップS28)。
【0099】
図14(b)に、N=8、nw=3の場合を示す。そこで、このN=8、nw=3を算出するにあたっての具体例を以下に示す。作業者の身長Hh=170cmとすると、腰の高さHw=170cm×0.5=85cmとなる。ダンボール16の1箱の高さb=27cmとすると、塗布下限段数nw=85/27=3.15より小数点以下を切り捨てて、塗布下限段数nw=3となる。また、ダンボール16の最大積載高さa=220cmとすると、仮の積載段数N0=220/27=8.15より小数点以下を切り捨てて、ダンボール16の積載段数N=8となる。
【0100】
以上が、ダンボール1箱の重量cが10kg以上であってステップS20へ進んだ場合についての説明である。
【0101】
以上が、梱包後のダンボール16を特定して滑り止め剤を付着させる際の具体的な制御フローの内容についての説明である。
【0102】
このような制御フローのもと、図15または図16に示すようなダンボール16の天面16Aおよび底面16Bの部分に滑り止め剤を塗布する。図15は、梱包前のシート状のダンボール16にストライプ状に滑り止め剤を塗布した例を示し、図16は、梱包後のダンボール16にストライプ状に滑り止め剤を塗布した例を示す。
【0103】
なお、他の塗布の仕様として、図17に示す。図17は、薄墨インクなどの色付きインクを添加し判読可能にした滑り止め剤を使用し、滑り止め剤の塗布が必要な積載段数と最大積載段数を表示させる仕様を示す。ダンボール16の天面16Aと底面16Bに、例えば図17(a)のように表示させた場合には、図17(b)に示すように最大積載段数が8であり、5段目から8段目に滑り止め剤を塗布したダンボール16を積載することを示す。このようにすることで、作業者は滑り止め剤の塗布がなされたダンボール16を積載すべき段数の範囲を一目で把握することができるとともに、荷崩れなどを確実に防止することができる。
【0104】
また、他の塗布の仕様として、図18に示すように市松模様のように塗布してもよく、また、図19のようにダンボール16の天面16Aと底面16Bとで異なる向きにストライプ状に塗布してもよい。
【0105】
また、ステップS10で肩の高さHsを算出しているが、その他の実施形態として、頭の高さ(身長)や目の高さなどを算出し、これらを基準に滑り止め剤を塗布するダンボール16を特定してもよい。同様に、ステップS20で腰の高さHwを算出しているが、その他の実施形態として、膝の高さや股下の高さなどを算出し、これらを基準に滑り止め剤を塗布するダンボール16を特定してもよい。
【0106】
〔滑り止め剤塗布システムの全体構成〕
次に、本発明のインクジェット記録装置10を備える滑り止め剤塗布システムを説明する。図20は、梱包前のダンボールを対象とする滑り止め剤塗布システムの全体構成図である。図20に示す滑り止め剤塗布システムは、ダンボール集積装置60、ダンボール位置合わせ装置61、インクジェット記録装置10、乾燥装置62、塗布済みダンボール集積装置63を備える。
【0107】
ダンボール集積装置60は、印刷前のダンボール16を集積しておく。そして、吸引機構65によりダンボール16を順にダンボール位置合わせ装置61に供給する。なお、ダンボール16は型抜き加工前であっても型抜き加工後であってもよい。
【0108】
ダンボール位置合わせ装置61は、印刷前のダンボール16の所定の位置に印刷がなされるように、ダンボール16を所定の位置に合わせる。具体的には図20に示すように、3箇所に位置決めピン64を設け、1箇所に押し当てピン(不図示)を設けておく。
【0109】
インクジェット記録装置10は別途説明したので、ここでは説明を省略する。
【0110】
乾燥装置62では、インクジェット記録装置10で塗布された色インクや滑り止め剤を乾燥させる。
【0111】
その後、塗布済みダンボール集積装置63にてダンボール16の集積を行い、その後、抜き加工や製箱などを行う。
【0112】
また、図21に梱包後のダンボールを対象とする滑り止め剤塗布システムの全体構成図を示す。図21に示すように、梱包後のダンボール用の滑り止め剤塗布システムは、フィーダー装置66、インクジェット記録装置11、排出装置67などから構成される。フィーダー装置66は梱包された立体形状のダンボール16を搬送すると同時に、ダンボール16の所定の位置に印刷がなされるように、ダンボール16を所定の位置に合わせる。また、排出装置67は印刷が済んだダンボール16を排出させる。
【0113】
以上のように、本実施形態では、インクジェット記録装置10において、滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッド(12S,13S)と、ダンボール16の梱包後の最大積載高さaと梱包後の1個の高さbと梱包後の1個の重量cの各情報を入力する積載情報入力部71と、積載情報入力部71により入力される各情報に基づき、滑り止め剤を付着させるダンボール16を特定する滑り止め剤塗布段数演算部72Cと、滑り止め剤塗布段数演算部72Cにより特定されるダンボール16に対し滑り止め剤を付着させるために滑り止め剤吐出ヘッド(12S,13S)の吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成手段80Eと、を有することを特徴とする。
【0114】
そのため、本実施形態によれば、滑り止め剤塗布段数演算部72Cによりダンボール16の梱包後の最大積載高さaと梱包後の1個の高さbと梱包後の1個の重量cに基づき滑り止め剤を付着させる必要のあるダンボール16を特定し、滑り止め剤吐出データ生成手段80Eにより滑り止め剤吐出ヘッド(12S,13S)の吐出データを生成するので、滑り止め剤を付着させる必要のあるダンボール16のみに滑り止め剤を付着させることによりコストダウンを図ることができ、かつ、手間をかけずにダンボール16を特定して滑り止め剤を付着させることができる。
【0115】
また、本実施形態では、滑り止め剤塗布段数演算部72Cは、ダンボール16の梱包後の1箱の重量cが10kg以上の場合には作業者の腰の高さHwと最大積載高さaを比較し、最大積載高さaが作業者の腰の高さHwよりも大きい場合には作業者の腰の高さHwに位置する段数nwのダンボール16から最大積載段数Nに位置するダンボール16を特定し、ダンボール16の梱包後の1箱の重量cが10kg未満の場合には作業者の肩の高さHsと最大積載高さaを比較し、最大積載高さaが作業者の肩の高さHsよりも大きい場合には作業者の肩の高さHsに位置する段数nsのダンボール16から最大積載段数Nを特定すること、を特徴とする。
【0116】
そのため、本実施形態によれば、滑り止め剤塗布段数演算部72Cにより梱包後のダンボール16の重量と作業者の身体寸法に基づいて滑り止め剤を付着させるダンボール16を特定するので、手間をかけずにダンボール16を特定して滑り止め剤を付着させるとともに、積載する際において確実に荷崩れや落下を防止できる。
【0117】
また、本実施形態では、梱包後のダンボール16の1箱の高さbに対応してヘッド12が当該高さ方向に移動することができる可動機構17を有すること、を特徴とする。
【0118】
そのため、本実施形態によれば、ダンボール16の1箱の高さbに対応してヘッド12が当該高さ方向に移動することができるので、梱包前のダンボール16に限らず梱包後のダンボール16に対しても滑り止め剤の付着が可能である。
【0119】
以上、本発明のインクジェット記録装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】梱包前(製箱前)のダンボールを対象とするインクジェット記録装置の全体構成図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置の外観正面図である。
【図3】図1のインクジェット記録装置の外観上面図である。
【図4】梱包前(製箱前)のダンボールであって、ダンボールを折りたたんで繋ぎ目部分で繋いだ状態のダンボールを対象とするインクジェット記録装置の全体構成図である。
【図5】図4のインクジェット記録装置の外観上面図である。
【図6】梱包後(製箱後)のダンボールを対象とするインクジェット記録装置の全体構成図である。
【図7】図6のインクジェット記録装置の外観正面図である。
【図8】インクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図である。
【図9】ヘッドの構造例を示す図である。
【図10】図9(a) 中の10−10線に沿う断面図である。
【図11】図9(a) に示したヘッドのノズル配列を示す拡大図である。
【図12】インクジェット記録装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図13】ダンボールを特定して滑り止め剤を付着させる際の具体的な制御フロー図である。
【図14】滑り止め剤を塗布する例を示した図である。
【図15】梱包前のシート状のダンボールに滑り止め剤を塗布した例を示す図である。
【図16】梱包後のダンボールに滑り止め剤を塗布した例を示す図である。
【図17】他の塗布の仕様を示す図である。
【図18】他の塗布の仕様を示す図である。
【図19】他の塗布の仕様を示す図である。
【図20】梱包前のダンボールを対象とする滑り止め剤塗布システムの全体構成図である。
【図21】梱包後のダンボールを対象とする滑り止め剤塗布システムの全体構成図である。
【符号の説明】
【0121】
10…インクジェット記録装置、10…インクジェット記録装置、12…ヘッド、12K…黒(K)用ヘッド、12C…シアン(C)用ヘッド、12M…マゼンタ(M)用ヘッド、12Y…イエロー(Y)用ヘッド、12S…滑り止め剤用ヘッド、16…ダンボール、17…可動機構、50…ヘッド、60…ダンボール集積装置、61…ダンボール位置合わせ装置、62…乾燥装置、63…塗布済みダンボール集積装置、66…フィーダー装置、67…排出装置、71…積載情報等入力部、72…システムコントローラ、72C…滑り止め剤塗布段数演算部、80…プリント制御部、80E…滑り止め剤吐出データ生成部
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に係り、特にダンボールや紙器などへ滑り止め剤を塗布するのに好適なインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダンボールや紙器を積載する際の荷崩れや落下防止のために、予めダンボールや紙器に滑り止め剤を付着させておくことがなされている。従来、ダンボールや紙器などへの滑り止め剤の付着としては、はけや手動式噴霧器などの手作業による塗布や、滑り止め剤をオフセット印刷やフレキソ印刷していた。
【0003】
また、特許文献1には、紙基材面に印刷層を形成し、この印刷層の上に滑り止め剤を塗布して防滑層を形成する旨が記載されている。そして、滑り止め剤の塗布方法として、ロールコート法、グラビアコート法、フレキソ印刷法が開示されている。
【特許文献1】特開2002−103831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ダンボールや紙器を積載する際、上層部に積まれたダンボールや紙器は荷崩れや落下しやすい。そのため、上層部に積まれる予定のダンボールや紙器に予め確実に滑り止め剤を付着させることができれば、ダンボールや紙器を積載する際において確実に荷崩れや落下を防止できる。
【0005】
そして、上層部に積まれる予定のダンボールや紙器のみを特定して予め滑り止め剤を付着させ、下層部に積まれる予定のダンボールや紙器には滑り止め剤を付着させないようにすれば、滑り止め剤の使用量を必要最低限に抑えることができ、コストダウンを図ることもできる。
【0006】
しかしながら、従来のように、はけや手動式噴霧器などの手作業により塗布したり、滑り止め剤をオフセット印刷やフレキソ印刷する方法では、滑り止め剤を付着させる必要のあるダンボールや紙器のみを特定して滑り止め剤を付着させるのは手間がかかる。
【0007】
また、ダンボールや紙器の大きさや重量、あるいはダンボールや紙器を積載する作業者の身長などの身体寸法によって、当該作業者の作業的負担が大きくなる積載高さは異なる。そのため、滑り止め剤を付着させる必要のあるダンボールや紙器を見極めるのは困難であり、これらを特定して滑り止め剤を付着させるのは、非常に手間がかかる。
【0008】
ここで、特許文献1には、滑り止め剤の塗布方法が開示されているものの、ダンボールや紙器を特定して滑り止め剤を付着させることに関する方法については開示されていない。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物のみを特定して滑り止め剤を付着させることによりコストダウンを図ることができ、かつ手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着させることができるインクジェット記録装置およびインクジェット記録方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために請求項1に係る発明は、インクジェット記録装置において、滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッドと、製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量の各情報を入力する積載情報入力手段と、前記積載情報入力手段により入力される前記各情報に基づき、滑り止め剤を付着させる前記被記録物を特定する被記録物特定手段と、前記被記録物特定手段により特定される前記被記録物に対し滑り止め剤を付着させるために前記滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物について、被記録物特定手段により被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量に基づき滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物を特定し、滑り止め剤吐出データ生成手段により滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成するので、滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物のみに滑り止め剤を付着させることによりコストダウンを図ることができ、かつ、手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着させることができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のインクジェット記録装置において、前記被記録物特定手段は、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合には作業者の身長に係わる第1基準と前記最大積載高さを比較し、前記最大積載高さが前記第1基準よりも大きい場合には前記第1基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定し、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも小さい場合には作業者の身長に係わる第2基準と前記最大積載高さを比較し、前記最大積載高さが前記第2基準よりも大きい場合には前記第2基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定すること、を特徴とする。
【0013】
本発明によれば、被記録物特定手段により梱包後の被記録物の重量と作業者の身体に係わる基準に基づいて滑り止め剤を付着させる被記録物を特定するので、手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着することができるとともに、積載する際において確実に荷崩れや落下を防止できる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に記載のインクジェット記録装置において、前記第1基準の高さは、前記第2基準の高さよりも小さいこと、を特徴とする。
【0015】
本発明によれば、被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合にはより低い高さに位置する段数の前記被記録物から滑り止め剤を付着させるので、積載する際において確実に荷崩れや落下を防止できる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記第1基準は腰の位置であり、前記第2基準は肩の位置であることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合には作業者の腰の高さに位置する段数の前記被記録物から滑り止め剤を付着させ、被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも小さい場合には作業者の肩の高さに位置する段数の前記被記録物から滑り止め剤を付着させるので、積載する際においてより確実に荷崩れや落下を防止できる。
【0018】
なお、第1基準は、腰の位置以外にも膝の位置、股下の位置などであってもよい。また、第2基準は、肩の位置以外にも頭の位置(身長)、目の位置などであってもよい。
【0019】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、前記被記録物の梱包後の1個の高さに対応して前記滑り止め剤吐出ヘッドが当該高さ方向に移動することができる可動機構を有すること、を特徴とする。
【0020】
本発明によれば、梱包後の被記録物の1個の高さに対応して滑り止め剤吐出ヘッドが当該高さ方向に移動することができるので、梱包前の被記録物に限らず梱包後の被記録物に対しても滑り止め剤の付着が可能である。
【0021】
請求項6に係る発明は、インクジェット記録方法において、製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量の各情報を入力する積載情報入力工程と、前記積載情報入力工程により入力される前記各情報に基づき、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合には作業者の身長に係わる第1基準と前記最大積載高さを比較し前記最大積載高さが前記第1基準よりも大きい場合には前記第1基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定し前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも小さい場合には作業者の身長に係わる第2基準と前記最大積載高さを比較し前記最大積載高さが前記第2基準よりも大きい場合には前記第2基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定することにより滑り止め剤を付着させる前記被記録物を特定する被記録物特定工程と、前記被記録物特定工程により特定される前記被記録物に対し滑り止め剤を付着させるために、滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成工程と、前記滑り止め剤吐出データ生成工程により生成された吐出データに基づき前記滑り止め剤吐出ヘッドから滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
本発明によれば、製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物について、被記録物特定工程により被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量に基づき滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物を特定し、滑り止め剤吐出データ生成工程により滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成するので、滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物のみに滑り止め剤を付着させることによりコストダウンを図ることができ、かつ、手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着させることができる。
【0023】
また、被記録物特定工程により梱包後の被記録物の重量と作業者の身体に係わる基準に基づいて滑り止め剤を付着させる被記録物を特定するので、手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着することができるとともに、積載する際において確実に荷崩れや落下を防止できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、滑り止め剤を付着させる必要のある被記録物のみを特定して滑り止め剤を付着させることによりコストダウンを図ることができ、かつ手間をかけずに被記録物を特定して滑り止め剤を付着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。なお、本実施形態では被記録物としてダンボールを例に挙げたが、これに限らず厚紙やボール紙などで作られた紙器なども対象とすることができる。
【0026】
〔インクジェット記録装置の構成〕
図1は、本発明の梱包前(製箱前)のダンボール16を対象とするインクジェット記録装置10の全体構成図である。そして、図2は当該装置の外観正面図であり、図3は当該装置の外観平面図である。図1に示すように、本発明の梱包前(製箱前)のダンボール16を対象とするインクジェット装置10は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドという。)12K,12C,12M,12Y、および滑り止め剤の吐出のために設けられたヘッド12Sを有する印字部12と、各ヘッド12K,12C,12M,12Y,12Sに供給する滑り止め剤およびインクを貯蔵しておく貯蔵/装填部14と、前記印字部12のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、ダンボール16を搬送するベルト搬送部22と、印字部12による印字結果を読み取る印字検出部24とを備えている。図2と図3に示すように、印字部12は可動機構17により保持されており可動機構17の上下方向に動作する。なお、本実施形態とは異なり、滑り止め剤の吐出のために設けられたヘッド12Sと、各インクに対応して設けられた複数のヘッド12K,12C,12M,12Yとが別々に設けられるものとしてもよい。
【0027】
このように配置されるインク用のヘッド12K,12C,12M,12Yによりカラー印刷を行ったり、印刷済みのダンボール16への追い刷りとして仕向け地向け情報や積載情報や生産者情報やロット番号やバーコードなどを印刷したりすることができる。
【0028】
図3に示すように、インク用のヘッド12K,12C,12M,12Yはフルライン型であるのに対して、滑り止め剤用ヘッド12Sは、ダンボールの表面の天面16Aおよび底面16Bに対応する位置のみに配置され、インク用のヘッド12K,12C,12M,12Yに対してダンボール16が搬送される下流側に配置されている。なお、滑り止め剤用ヘッド12Sは、インク用のヘッド12K,12C,12M,12Yに対してダンボール16が搬送される上流側に配置してもよい。
【0029】
なお、滑り止め剤としては、印刷用カラーインク滑り止め剤であるダンボール用滑り止めOPニスを使用する。滑り止め剤を塗布する部分は、ダンボール16の天面16Aと底面16Bに相当する部分である。また、ダンボール用滑り止めOPニスの粘度が高い場合には、水などで薄めて粘度を下げて使用すればよい。
【0030】
貯蔵/装填部14は、ヘッド12Sの滑り止め剤や各ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介して前記の各ヘッドと連通されている。また、貯蔵/装填部14は、滑り止め剤やインクの残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
【0031】
ダンボール16は、ベルト搬送部22へと送られる。ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面及び印字検出部24のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
【0032】
ベルト33は、ダンボール16の幅よりも広い幅寸法を有している。ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図12中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録紙16は図1の左から右へと搬送される。
【0033】
印字するとベルト33上にも滑り止め剤やインクが付着するおそれがあるので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
【0034】
ベルト搬送部22により形成される用紙搬送路上において印字部12の上流側には、加熱ファン40が設けられている。加熱ファン40は、印字前のダンボール16に加熱空気を吹き付け、ダンボール16を加熱する。印字直前にダンボール16を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
【0035】
印字部12のインク用の各ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とするダンボール16の最大幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの被記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図8参照)。
【0036】
図8に示すように、ヘッド12K,12C,12M,12Y,12Sは、記録紙16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順および滑り止め剤用に配置され、それぞれのヘッド12K,12C,12M,12Y,12Sが記録紙16の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。そして、滑り止め剤用ヘッド12Sは、ダンボール16を組み立てた時に天面16Aおよび底面16Bとなる部分のみに配置される。
【0037】
ベルト搬送部22により記録紙16を搬送しつつ各ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録紙16上にカラー画像を形成し得る。同じく、ヘッド12Sからは滑り止め剤を吐出することにより記録紙16上に滑り止め剤を塗布し得る。
【0038】
このように、ダンボール幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド12K,12C,12M,12Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)についてダンボール16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、ダンボール16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
【0039】
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
【0040】
図1に示した印字検出部24は、印字部12の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置誤差などの吐出特性をチェックする手段として機能する。
【0041】
本例の印字検出部24には、受光面に複数の受光素子(光電変換素子)が2次元配列されてなるCCDエリアセンサを好適に用いることができる。エリアセンサは、少なくとも各ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)の全域を撮像できる撮像範囲を有しているものとする。1つのエリアセンサで所要の撮像範囲を実現してもよいし、複数のエリアセンサを組み合わせて(繋ぎ合わせて)所要の撮像範囲を確保してもよい。或いはまた、エリアセンサを移動機構(不図示)によって支持し、エリアセンサを移動(走査)させることによって所要の撮像範囲を撮像する構成も可能である。
【0042】
また、エリアセンサに代えてラインセンサを用いることも可能である。この場合、ラインセンサは、少なくとも各ヘッド12K,12C,12M,12Yによるインク吐出幅(画像記録幅)よりも幅の広い受光素子列(光電変換素子列)を有する構成が好ましい。各色のヘッド12K,12C,12M,12Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部24により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
【0043】
なお、梱包前(製箱前)のダンボール16であって、図3に示すダンボール16を折りたたんで繋ぎ目部分16Cで繋いだ状態のダンボール16も対象とすることができる。図4は、このようなダンボール16を対象とするときのインクジェット記録装置10’の全体構成図である。そして、図5は当該装置の外観上面図である。このとき、ダンボール16の両面に滑り止め剤塗布とインク印刷を行う際には、まず表面のみに滑り止め剤塗布とインク印刷を行い、その後ダンボール16を裏面に裏返して滑り止め剤塗布とインク印刷を行ってもよい。
【0044】
または、図4に示すように、ヘッド12に対してベルト搬送部22の反対側に、ダンボール16の裏面に塗布するためのインク用のヘッド13K,13C,13M,13Yと、滑り止め剤用ヘッド13Sを配置してもよい。ここで、ベルト搬送部22にはスリット(不図示)が設けられており、ヘッド13から吐出された滑り止め剤やインクは当該スリットを通してダンボール16に塗布されることになる。
【0045】
なお、製箱時に外側になる面に塗布された滑り止め剤は、積載による荷崩れ防止として機能し、内側になる面に塗布されたものは、内容物の滑り止め剤としての機能と効果を有する。
【0046】
また、図6は、本発明の梱包後(製箱後)のダンボール16を対象とするときのインクジェット記録装置11の全体構成図である。そして、図7は当該装置の外観正面図である。当該インクジェット装置11においては、ヘッド12に対してベルト搬送部22の反対側にダンボール16の裏面に滑り止め剤を塗布するための滑り止め剤用ヘッド13Sが配置されている。ここで、ベルト搬送部22にはスリット(不図示)が設けられており、滑り止め剤用ヘッド13Sから吐出された滑り止め剤は当該スリットを通してダンボール16に塗布されることになる。さらに、ダンボール16の側面側にダンボール16の側面にインク印刷を行うためのインク用のヘッド15(15K,15C,15M,15Y)が配置されている。なお、インク用のヘッド15は、図7に示されるダンボール16の側面側の反対側にも配置されている。その他の構成や作用は、梱包前(製箱前)のダンボール16を対象とするインクジェット記録装置10と共通する。
【0047】
〔ヘッドの構造〕
次に、ヘッドの構造について説明する。インク用ヘッドはフルライン型であるのに対して、滑り止め剤用ヘッドはフルライン型のヘッドではなくダンボール16の天面16Aや底面16Bに相当する部分にのみヘッドを構成する点で異なる。しかし、インクや滑り止め剤を吐出するノズル単位でのヘッドの構造および作用は、ヘッド12、13、15の全てで共通している。そこで、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示すものとする。
【0048】
図9(a) はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図9(b) はその一部の拡大図である。また、図9(c) はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図10は1つの液滴吐出素子(1つのノズル51に対応した液滴室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図9(a) 中の10−10線に沿う断面図)である。
【0049】
ダンボール16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図9(a),(b) に示したように、液滴吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数の液滴室ユニット(液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
【0050】
ダンボール16の送り方向と略直交する方向にダンボール16の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図9(a) の構成に代えて、図9(c) に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることでダンボール16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。
【0051】
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図9(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部の一方にノズル51への流出口が設けられ、他方に滑り止め剤やインクの流入口(供給口)54が設けられている。なお、圧力室52の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
【0052】
図10に示したように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たる液滴タンク(不図示)と連通しており、液滴タンクから供給される滑り止め剤やインクは共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
【0053】
圧力室52の一部の面(図10において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されている。個別電極57と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51から滑り止め剤やインクが吐出される。なお、アクチュエータ58には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。滑り止め剤やインク吐出後、アクチュエータ58の変位が元に戻る際に、共通流路55から供給口54を通って新しい滑り止め剤やインクが圧力室52に再充填される。
【0054】
上述した構造を有する液滴室ユニット53を図11に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
【0055】
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿って液滴室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり2400個(2400ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
【0056】
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
【0057】
特に、図11に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、記録紙16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録紙16の幅方向に1ラインを印字する。
【0058】
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
【0059】
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、ダンボール16の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
【0060】
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
【0061】
〔制御系の説明〕
図12は、インクジェット記録装置のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、ROM75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、ヘッドドライバ84等を備えている。
【0062】
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信する画像入力手段として機能するインターフェース部(画像入力部)である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
【0063】
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
【0064】
積載情報等入力部71は、作業者がダンボール16の最大積載高さaや1箱の高さbや1箱の重量c、作業者の身長Hhなどを入力する手段である。このように入力された情報から、滑り止め剤塗布段数演算部72Cにて滑り止め剤を塗布する段数を算出する。
【0065】
ここで、1箱の重量cは、梱包前(製箱前)の状態で滑り止め剤を塗布する場合には、ダンボール16の単体の重量である。また、梱包後(製箱後)の状態で滑り止め剤を塗布する場合には、ダンボール16内に内容物が存在しない場合はダンボール16の単体の重量であり、ダンボール16内に内容物が存在する場合はダンボール16の単体の重量と内容物の重量を加算した重量である。
【0066】
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74及びROM75の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
【0067】
また、システムコントローラ72は、印字検出部24から読み込んだテストパターンの読取データから着弾位置誤差、液滴量誤差、不吐出等のデータを生成する演算処理を行う着弾誤差等測定演算部72Aと、測定された着弾位置誤差、液滴量誤差、不吐出の情報から濃度補正係数を算出する濃度補正係数算出部72Bと、積載情報等入力部71にて入力された情報から滑り止め剤を塗布する段数を算出する滑り止め剤塗布段数演算部72Cとを含んで構成される。なお、着弾誤差等測定演算部72A及び濃度補正係数算出部72Bの処理機能はASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。濃度補正係数算出部72Bにおいて求められた濃度補正係数のデータは、濃度補正係数記憶部90に記憶される。
【0068】
ROM75には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(着弾位置誤差等の測定用テストパターンのデータを含む)などが格納されている。ROM75は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。また、このROM75の記憶領域を活用することで、ROM75を濃度補正係数記憶部90として兼用する構成も可能である。
【0069】
画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
【0070】
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従って搬送系のモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示に従って後乾燥部42等のヒータ89を駆動するドライバである。
【0071】
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データ(多値の入力画像のデータ) から打滴制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理手段として機能するとともに、生成した滑り止め剤吐出データとインク吐出データをヘッドドライバ84に供給してヘッド50の吐出駆動を制御する駆動制御手段として機能する。
【0072】
すなわち、プリント制御部80は、濃度データ生成部80Aと、補正処理部80Bと、インク吐出データ生成部80Cと、駆動波形生成部80D、滑り止め剤吐出データ生成部80Eとを含んで構成される。これら各機能ブロック(80A〜E)は、ASICやソフトウエア又は適宜の組み合わせによって実現可能である。
【0073】
濃度データ生成部80Aは、入力画像のデータからインク色別の初期の濃度データを生成する信号処理手段であり、濃度変換処理(UCR処理や色変換を含む)及び必要な場合には画素数変換処理を行う。
【0074】
図12の補正処理部80Bは、濃度補正係数記憶部90に格納されている濃度補正係数を用いて濃度補正の演算を行う処理手段であり、ムラ補正処理を行う。
【0075】
図12のインク吐出データ生成部80Cは、補正処理部80Bで生成された補正後の濃度データから2値(又は多値)のドットデータに変換するハーフトーニング処理手段を含む信号処理手段であり、2値(多値)化処理を行う。このインク吐出データ生成部80Cにて生成されたインク吐出データはヘッドドライバ84に与えられ、ヘッド50のインク吐出動作が制御される。
【0076】
図12の滑り止め剤吐出データ生成部80Eは、滑り止め剤塗布段数演算部72Cで算出された滑り止め剤を塗布する段数の範囲に基づいて吐出動作データを生成する手段である。この滑り止め剤吐出データ生成部80Eにて生成されたデータはヘッドドライバ84に与えられ、ヘッド50の滑り止め剤吐出動作が制御される。
【0077】
駆動波形生成部80Dは、ヘッド50の各ノズル51に対応したアクチュエータ58(図10参照)を駆動するための駆動信号波形を生成する手段であり、該駆動波形生成部80Dにて生成された信号(駆動波形)は、ヘッドドライバ84に供給される。なお、駆動信号生成部80Dから出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。
【0078】
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。なお、図12において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
【0079】
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの多値の画像データが画像メモリ74に記憶される。
【0080】
インクジェット記録装置10では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ74に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80の濃度データ生成部80A、補正処理部80B、インク吐出データ生成部80Cを経てインク色ごとのドットデータに変換される。
【0081】
すなわち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。この色別ドットデータは、ヘッド50のノズルからインクを吐出するためのCMYK打滴データに変換され、印字されるインク吐出データが確定する。
【0082】
ヘッドドライバ84は、プリント制御部80から与えられるインク吐出データ及び駆動波形の信号に基づき、印字内容に応じてヘッド50の各ノズル51に対応するアクチュエータ58を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ84にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
【0083】
こうして、ヘッドドライバ84から出力された駆動信号がヘッド50に加えられることによって、該当するノズル51からインクが吐出される。ダンボール16の搬送速度に同期してヘッド50からのインク吐出を制御することにより、ダンボール16上に画像が形成される。
【0084】
上記のように、プリント制御部80における所要の信号処理を経て生成されたインク吐出データ及び駆動信号波形に基づき、ヘッドドライバ84を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
【0085】
印字検出部24は、図1で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、ダンボール16に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部80及びシステムコントローラ72に提供する。
【0086】
プリント制御部80は、必要に応じて印字検出部24から得られる情報に基づいてヘッド50に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
【0087】
〔滑り止め剤塗布の制御に関する内容〕
次に、前記の積載情報等入力部71、滑り止め剤塗布段数演算部72C、滑り止め剤吐出データ生成部80E、ヘッドドライバ84などにおけるダンボールを特定して滑り止め剤を塗布させる際の具体的な制御フローの内容について、図13を用いて説明する。なお、当該制御フローは、梱包後(製箱済み)のダンボールに限られず、梱包前のダンボールへの滑り止め剤の塗布に関しても適用されるものである。
【0088】
まず、積載情報等入力部71に、ダンボール16の積載情報として作業者の身長Hhを入力する(ステップS2)。そして、梱包後のダンボール16を積載したときの地面から頂上までの高さである最大積載高さaと、梱包後のダンボール16の1箱の高さbと、梱包後のダンボール16の1箱の重量cを入力する(ステップS4)。重量cの値は、ダンボール16内に内容物が存在する場合にはダンボール16の単体の重量とダンボール16に入れる内容物の重量の合計値であり、ダンボール16内に内容物が存在しない場合にはダンボール16の単体の重量の値である。入力は作業者が手動で行ってもよく、または、センサなどを用いて自動的に行ってもよい。なお、梱包前(シート状)のダンボール16に関しては、梱包後の積載情報を想定して入力する。
【0089】
次に、滑り止め剤塗布段数演算部72Cにおいて、入力した最大積載高さaと1箱の高さbに基づいてダンボール16の積載段数Nを算出する(ステップS6)。具体的には、N0=a/bの式より仮の積載段数N0を求める。そして、仮の積載段数N0が整数で表される場合には、そのまま積載段数N=N0とする。一方、仮の積載段数N0が整数で表すことができない場合には、小数点以下を切り捨てた値を積載段数Nとする。
【0090】
次に、ダンボール1箱の重量cが10kg以上か否かを判断する(ステップS8)。そして、ダンボール1箱の重量cが10kg未満の場合にはステップS10へ進み、ダンボール1箱の重量cが10kg以上の場合にはステップS20へ進む。なお、本実施形態では、ダンボール1箱の重量cの閾値を10kgに設定しているが、この数値に限定されるものではなく、内容物の重要性や壊れやすさなどにより数値は任意に可変できるものとする。
【0091】
ここで、まずダンボール1箱の重量cが10kg未満であってステップS10へ進んだ場合を説明する。この場合には、まず地面から作業者の肩までの高さである肩の高さHsを算出する(ステップS10)。具体的には、ステップS2で入力した作業者の身長Hhに基づき、Hs=Hh×0.7の計算式を用いて算出する。計算式における0.7の値は、平均的な人間の身長に対する肩までの高さ値として考える値であり、必ずしもこの値に限定されるものではなく、実際の作業者の体格に合わせて変更してもよい。
【0092】
次に、ステップS4にて入力したダンボール16の最大積載高さaとステップS10にて算出した肩の高さHsを比較する(ステップS12)。そして、ダンボール16の最大積載高さaが作業者の肩の高さHsよりも小さい場合には、どのダンボール16についても滑り止め剤が塗布されない(ステップS14)。一方、ダンボール16の最大積載高さaが作業者の肩の高さHsよりも大きい場合には、滑り止め剤を塗布する必要のあるダンボール16のうち最も下段に積載されるものの段数である塗布下限段数nsを算出する(ステップS16)。具体的には、ステップS10で算出した肩の高さHsと、ステップS4で入力したダンボール16の1箱の高さbに基づき、ns=Hs/bの計算式を用いて算出する。なお、積載段数Nを算出する場合と同様に、小数点以下を切り捨てた値を塗布下限段数nsとする。
【0093】
そして、滑り止め剤吐出データ生成部80Eにおいて、ステップS6で算出されたダンボール16の積載段数Nの値とステップS16で算出された塗布下限段数nsの値に基づき滑り止め剤吐出データを生成する。生成された滑り止め剤吐出データはヘッドドライバ84に与えられ、ヘッド50の滑り止め剤吐出動作が制御されることにより、ns段目からN段目のダンボール16について滑り止め剤を塗布する(ステップS18)。
【0094】
図14(a)に、N=8、ns=4の場合を示す。そこで、このN=8、ns=4を算出するにあたっての具体例を以下に示す。作業者の身長Hh=170cmとすると、肩の高さHs=170cm×0.7=119cmとなる。ダンボール16の1箱の高さb=27cmとすると、塗布下限段数ns=119/27=4.41より小数点以下を切り捨てて、塗布下限段数ns=4となる。また、ダンボール16の最大積載高さa=220cmとすると、仮の積載段数N0=220/27=8.15より小数点以下を切り捨てて、ダンボール16の積載段数N=8となる。
【0095】
以上が、ダンボール1箱の重量cが10kg未満であってステップS10へ進んだ場合についての説明である。
【0096】
一方、ステップS8において、ダンボール1箱の重量cが10kg以上であってステップS20へ進んだ場合を説明する。この場合には、まず地面から作業者の腰までの高さである腰の高さHwを算出する(ステップS20)。具体的には、ステップS2で入力した作業者の身長Hhに基づき、Hw=Hh×0.5の計算式を用いて算出する。計算式における0.5の値は、平均的な人間の身長に対する腰までの高さ値として考える値であり、必ずしもこの値に限定されるものではなく、実際の作業者の体格に合わせて変更してもよい。
【0097】
次に、ステップS4にて入力したダンボール16の最大積載高さaとステップS20にて算出した腰の高さHwを比較する(ステップS22)。そして、ダンボール16の最大積載高さaが作業者の腰の高さHwよりも小さい場合には、どのダンボール16についても滑り止め剤が塗布されない(ステップS24)。一方、ダンボール16の最大積載高さaが作業者の腰の高さHwよりも大きい場合には、滑り止め剤を塗布する必要のあるダンボール16のうち最も下段に積載されるものの段数である塗布下限段数nwを算出する(ステップS26)。具体的には、ステップS20で算出した腰の高さHwと、ステップS24で入力したダンボール16の1箱の高さbに基づき、nw=Hw/bの計算式を用いて算出する。なお、積載段数Nや塗布下限段数nsを算出する場合と同様に、小数点以下を切り捨てた値を塗布下限段数nwとする。
【0098】
そして、滑り止め剤吐出データ生成部80Eにおいて、ステップS6で算出されたダンボール16の積載段数Nの値とステップS26で算出された塗布下限段数nwの値に基づき滑り止め剤吐出データを生成する。生成された滑り止め剤吐出データはヘッドドライバ84に与えられ、ヘッド50の滑り止め剤吐出動作が制御されることにより、nw段目からN段目のダンボール16について滑り止め剤を塗布する(ステップS28)。
【0099】
図14(b)に、N=8、nw=3の場合を示す。そこで、このN=8、nw=3を算出するにあたっての具体例を以下に示す。作業者の身長Hh=170cmとすると、腰の高さHw=170cm×0.5=85cmとなる。ダンボール16の1箱の高さb=27cmとすると、塗布下限段数nw=85/27=3.15より小数点以下を切り捨てて、塗布下限段数nw=3となる。また、ダンボール16の最大積載高さa=220cmとすると、仮の積載段数N0=220/27=8.15より小数点以下を切り捨てて、ダンボール16の積載段数N=8となる。
【0100】
以上が、ダンボール1箱の重量cが10kg以上であってステップS20へ進んだ場合についての説明である。
【0101】
以上が、梱包後のダンボール16を特定して滑り止め剤を付着させる際の具体的な制御フローの内容についての説明である。
【0102】
このような制御フローのもと、図15または図16に示すようなダンボール16の天面16Aおよび底面16Bの部分に滑り止め剤を塗布する。図15は、梱包前のシート状のダンボール16にストライプ状に滑り止め剤を塗布した例を示し、図16は、梱包後のダンボール16にストライプ状に滑り止め剤を塗布した例を示す。
【0103】
なお、他の塗布の仕様として、図17に示す。図17は、薄墨インクなどの色付きインクを添加し判読可能にした滑り止め剤を使用し、滑り止め剤の塗布が必要な積載段数と最大積載段数を表示させる仕様を示す。ダンボール16の天面16Aと底面16Bに、例えば図17(a)のように表示させた場合には、図17(b)に示すように最大積載段数が8であり、5段目から8段目に滑り止め剤を塗布したダンボール16を積載することを示す。このようにすることで、作業者は滑り止め剤の塗布がなされたダンボール16を積載すべき段数の範囲を一目で把握することができるとともに、荷崩れなどを確実に防止することができる。
【0104】
また、他の塗布の仕様として、図18に示すように市松模様のように塗布してもよく、また、図19のようにダンボール16の天面16Aと底面16Bとで異なる向きにストライプ状に塗布してもよい。
【0105】
また、ステップS10で肩の高さHsを算出しているが、その他の実施形態として、頭の高さ(身長)や目の高さなどを算出し、これらを基準に滑り止め剤を塗布するダンボール16を特定してもよい。同様に、ステップS20で腰の高さHwを算出しているが、その他の実施形態として、膝の高さや股下の高さなどを算出し、これらを基準に滑り止め剤を塗布するダンボール16を特定してもよい。
【0106】
〔滑り止め剤塗布システムの全体構成〕
次に、本発明のインクジェット記録装置10を備える滑り止め剤塗布システムを説明する。図20は、梱包前のダンボールを対象とする滑り止め剤塗布システムの全体構成図である。図20に示す滑り止め剤塗布システムは、ダンボール集積装置60、ダンボール位置合わせ装置61、インクジェット記録装置10、乾燥装置62、塗布済みダンボール集積装置63を備える。
【0107】
ダンボール集積装置60は、印刷前のダンボール16を集積しておく。そして、吸引機構65によりダンボール16を順にダンボール位置合わせ装置61に供給する。なお、ダンボール16は型抜き加工前であっても型抜き加工後であってもよい。
【0108】
ダンボール位置合わせ装置61は、印刷前のダンボール16の所定の位置に印刷がなされるように、ダンボール16を所定の位置に合わせる。具体的には図20に示すように、3箇所に位置決めピン64を設け、1箇所に押し当てピン(不図示)を設けておく。
【0109】
インクジェット記録装置10は別途説明したので、ここでは説明を省略する。
【0110】
乾燥装置62では、インクジェット記録装置10で塗布された色インクや滑り止め剤を乾燥させる。
【0111】
その後、塗布済みダンボール集積装置63にてダンボール16の集積を行い、その後、抜き加工や製箱などを行う。
【0112】
また、図21に梱包後のダンボールを対象とする滑り止め剤塗布システムの全体構成図を示す。図21に示すように、梱包後のダンボール用の滑り止め剤塗布システムは、フィーダー装置66、インクジェット記録装置11、排出装置67などから構成される。フィーダー装置66は梱包された立体形状のダンボール16を搬送すると同時に、ダンボール16の所定の位置に印刷がなされるように、ダンボール16を所定の位置に合わせる。また、排出装置67は印刷が済んだダンボール16を排出させる。
【0113】
以上のように、本実施形態では、インクジェット記録装置10において、滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッド(12S,13S)と、ダンボール16の梱包後の最大積載高さaと梱包後の1個の高さbと梱包後の1個の重量cの各情報を入力する積載情報入力部71と、積載情報入力部71により入力される各情報に基づき、滑り止め剤を付着させるダンボール16を特定する滑り止め剤塗布段数演算部72Cと、滑り止め剤塗布段数演算部72Cにより特定されるダンボール16に対し滑り止め剤を付着させるために滑り止め剤吐出ヘッド(12S,13S)の吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成手段80Eと、を有することを特徴とする。
【0114】
そのため、本実施形態によれば、滑り止め剤塗布段数演算部72Cによりダンボール16の梱包後の最大積載高さaと梱包後の1個の高さbと梱包後の1個の重量cに基づき滑り止め剤を付着させる必要のあるダンボール16を特定し、滑り止め剤吐出データ生成手段80Eにより滑り止め剤吐出ヘッド(12S,13S)の吐出データを生成するので、滑り止め剤を付着させる必要のあるダンボール16のみに滑り止め剤を付着させることによりコストダウンを図ることができ、かつ、手間をかけずにダンボール16を特定して滑り止め剤を付着させることができる。
【0115】
また、本実施形態では、滑り止め剤塗布段数演算部72Cは、ダンボール16の梱包後の1箱の重量cが10kg以上の場合には作業者の腰の高さHwと最大積載高さaを比較し、最大積載高さaが作業者の腰の高さHwよりも大きい場合には作業者の腰の高さHwに位置する段数nwのダンボール16から最大積載段数Nに位置するダンボール16を特定し、ダンボール16の梱包後の1箱の重量cが10kg未満の場合には作業者の肩の高さHsと最大積載高さaを比較し、最大積載高さaが作業者の肩の高さHsよりも大きい場合には作業者の肩の高さHsに位置する段数nsのダンボール16から最大積載段数Nを特定すること、を特徴とする。
【0116】
そのため、本実施形態によれば、滑り止め剤塗布段数演算部72Cにより梱包後のダンボール16の重量と作業者の身体寸法に基づいて滑り止め剤を付着させるダンボール16を特定するので、手間をかけずにダンボール16を特定して滑り止め剤を付着させるとともに、積載する際において確実に荷崩れや落下を防止できる。
【0117】
また、本実施形態では、梱包後のダンボール16の1箱の高さbに対応してヘッド12が当該高さ方向に移動することができる可動機構17を有すること、を特徴とする。
【0118】
そのため、本実施形態によれば、ダンボール16の1箱の高さbに対応してヘッド12が当該高さ方向に移動することができるので、梱包前のダンボール16に限らず梱包後のダンボール16に対しても滑り止め剤の付着が可能である。
【0119】
以上、本発明のインクジェット記録装置について詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】梱包前(製箱前)のダンボールを対象とするインクジェット記録装置の全体構成図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置の外観正面図である。
【図3】図1のインクジェット記録装置の外観上面図である。
【図4】梱包前(製箱前)のダンボールであって、ダンボールを折りたたんで繋ぎ目部分で繋いだ状態のダンボールを対象とするインクジェット記録装置の全体構成図である。
【図5】図4のインクジェット記録装置の外観上面図である。
【図6】梱包後(製箱後)のダンボールを対象とするインクジェット記録装置の全体構成図である。
【図7】図6のインクジェット記録装置の外観正面図である。
【図8】インクジェット記録装置の印字部周辺の要部平面図である。
【図9】ヘッドの構造例を示す図である。
【図10】図9(a) 中の10−10線に沿う断面図である。
【図11】図9(a) に示したヘッドのノズル配列を示す拡大図である。
【図12】インクジェット記録装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図13】ダンボールを特定して滑り止め剤を付着させる際の具体的な制御フロー図である。
【図14】滑り止め剤を塗布する例を示した図である。
【図15】梱包前のシート状のダンボールに滑り止め剤を塗布した例を示す図である。
【図16】梱包後のダンボールに滑り止め剤を塗布した例を示す図である。
【図17】他の塗布の仕様を示す図である。
【図18】他の塗布の仕様を示す図である。
【図19】他の塗布の仕様を示す図である。
【図20】梱包前のダンボールを対象とする滑り止め剤塗布システムの全体構成図である。
【図21】梱包後のダンボールを対象とする滑り止め剤塗布システムの全体構成図である。
【符号の説明】
【0121】
10…インクジェット記録装置、10…インクジェット記録装置、12…ヘッド、12K…黒(K)用ヘッド、12C…シアン(C)用ヘッド、12M…マゼンタ(M)用ヘッド、12Y…イエロー(Y)用ヘッド、12S…滑り止め剤用ヘッド、16…ダンボール、17…可動機構、50…ヘッド、60…ダンボール集積装置、61…ダンボール位置合わせ装置、62…乾燥装置、63…塗布済みダンボール集積装置、66…フィーダー装置、67…排出装置、71…積載情報等入力部、72…システムコントローラ、72C…滑り止め剤塗布段数演算部、80…プリント制御部、80E…滑り止め剤吐出データ生成部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッドと、
製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量の各情報を入力する積載情報入力手段と、
前記積載情報入力手段により入力される前記各情報に基づき、滑り止め剤を付着させる前記被記録物を特定する被記録物特定手段と、
前記被記録物特定手段により特定される前記被記録物に対し滑り止め剤を付着させるために前記滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成手段と、
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
前記被記録物特定手段は、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合には作業者の身長に係わる第1基準と前記最大積載高さを比較し、前記最大積載高さが前記第1基準よりも大きい場合には前記第1基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定し、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも小さい場合には作業者の身長に係わる第2基準と前記最大積載高さを比較し、前記最大積載高さが前記第2基準よりも大きい場合には前記第2基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定すること、
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェット記録装置において、
前記第1基準の高さは、前記第2基準の高さよりも小さいこと、
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記第1基準は腰の位置であり、前記第2基準は肩の位置であること、
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記被記録物の梱包後の1個の高さに対応して前記滑り止め剤吐出ヘッドが当該高さ方向に移動することができる可動機構を有すること、
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量の各情報を入力する積載情報入力工程と、
前記積載情報入力工程により入力される前記各情報に基づき、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合には作業者の身長に係わる第1基準と前記最大積載高さを比較し前記最大積載高さが前記第1基準よりも大きい場合には前記第1基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定し、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも小さい場合には作業者の身長に係わる第2基準と前記最大積載高さを比較し前記最大積載高さが前記第2基準よりも大きい場合には前記第2基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定することにより、滑り止め剤を付着させる前記被記録物を特定する被記録物特定工程と、
前記被記録物特定工程により特定される前記被記録物に対し滑り止め剤を付着させるために、滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成工程と、
前記滑り止め剤吐出データ生成工程により生成された吐出データに基づき前記滑り止め剤吐出ヘッドから滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出工程と、
を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【請求項1】
滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッドと、
製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量の各情報を入力する積載情報入力手段と、
前記積載情報入力手段により入力される前記各情報に基づき、滑り止め剤を付着させる前記被記録物を特定する被記録物特定手段と、
前記被記録物特定手段により特定される前記被記録物に対し滑り止め剤を付着させるために前記滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成手段と、
を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
前記被記録物特定手段は、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合には作業者の身長に係わる第1基準と前記最大積載高さを比較し、前記最大積載高さが前記第1基準よりも大きい場合には前記第1基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定し、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも小さい場合には作業者の身長に係わる第2基準と前記最大積載高さを比較し、前記最大積載高さが前記第2基準よりも大きい場合には前記第2基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定すること、
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェット記録装置において、
前記第1基準の高さは、前記第2基準の高さよりも小さいこと、
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記第1基準は腰の位置であり、前記第2基準は肩の位置であること、
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置において、
前記被記録物の梱包後の1個の高さに対応して前記滑り止め剤吐出ヘッドが当該高さ方向に移動することができる可動機構を有すること、
を特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項6】
製箱して内容物を入れて梱包可能な被記録物の梱包後の最大積載高さと梱包後の1個の高さと梱包後の1個の重量の各情報を入力する積載情報入力工程と、
前記積載情報入力工程により入力される前記各情報に基づき、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも大きい場合には作業者の身長に係わる第1基準と前記最大積載高さを比較し前記最大積載高さが前記第1基準よりも大きい場合には前記第1基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定し、前記被記録物の梱包後の1個の重量が閾値よりも小さい場合には作業者の身長に係わる第2基準と前記最大積載高さを比較し前記最大積載高さが前記第2基準よりも大きい場合には前記第2基準に位置する段数の前記被記録物から最大積載段数に位置する前記被記録物を特定することにより、滑り止め剤を付着させる前記被記録物を特定する被記録物特定工程と、
前記被記録物特定工程により特定される前記被記録物に対し滑り止め剤を付着させるために、滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出ヘッドの吐出データを生成する滑り止め剤吐出データ生成工程と、
前記滑り止め剤吐出データ生成工程により生成された吐出データに基づき前記滑り止め剤吐出ヘッドから滑り止め剤を吐出する滑り止め剤吐出工程と、
を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2007−301929(P2007−301929A)
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135100(P2006−135100)
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月15日(2006.5.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]