説明

インクジェット記録装置及びその制御方法

【課題】低コスト且つ簡便で、信頼性の高いインクの増粘検査方法を実現する。
【解決手段】プリントヘッド416からインクを吐出してプリント動作を実行するインクジェット記録装置は、プリントヘッド416にインクを供給するインク供給装置600と、プリントヘッド内のインクの圧力を調整する圧力調整ポンプ605と、プリントヘッド内のインクの温度を調整するヒータと、プリントヘッドからインクを排出する回復動作を実行するヘッド回復手段と、回復動作後、インクの圧力を変化させて所定のパターンをプリントするテストプリント動作を実行し、テストプリントにより得られるインク情報に基づいてプリント動作を変更するCPUと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用インクの増粘対策に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット記録装置では、インクの蒸発等による粘性変化(増粘)に対して電気伝導度や圧力等のハード面の検査が行われている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平7-178924号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の検査方法はコストや装置サイズの増大等を伴うものであり、低コスト且つ簡便で、信頼性の高いインクの増粘検査方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題に鑑み、本発明は、記録ヘッドからインクを吐出してプリント動作を実行するインクジェット記録装置であって、前記記録ヘッドにインクを供給するインク供給手段と、前記記録ヘッド内のインクの圧力を調整する圧力調整手段と、前記記録ヘッド内のインクの温度を調整する温度調整手段と、前記記録ヘッドからインクを排出する回復動作を実行するヘッド回復手段と、前記回復動作後、前記インクの圧力を変化させて所定のパターンをプリントするテストプリント動作を実行し、前記テストプリントにより得られるインク情報に基づいて前記プリント動作を変更する制御手段と、を有する。
【0005】
本発明は、記録ヘッドにインクを供給するインク供給手段と、前記記録ヘッド内のインクの圧力を調整する圧力調整手段と、前記記録ヘッド内のインクの温度を調整する温度調整手段と、前記記録ヘッドからインクを排出する回復動作を実行するヘッド回復手段と、を有し、前記記録ヘッドからインクを吐出してプリント動作を実行するインクジェット記録装置の制御方法であって、前記回復動作後、前記インクの圧力を変化させて所定のパターンをプリントするテストプリント動作を実行し、前記テストプリントにより得られるインク情報に基づいて前記プリント動作を変更する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、新たな構成を追加しなくとも、低コスト且つ簡便で、信頼性の高いインクの増粘検査を実行し、検査結果に応じたプリント動作に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0008】
以下の実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において本発明が適用される装置の構成や各種条件によって適宜修正又は変更されるべきものであり、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0009】
また、本発明は、後述するテストプリントモードを実現するソフトウェアのプログラムを記憶媒体に記憶させ、記憶媒体からプログラムコードを読み出して当該システムを構成する装置が実行することによっても、達成されることは言うまでもない。すなわち、本発明は、後述する搬送異常検出フローを、コンピュータに実行させるためのプログラムや、当該プログラムを格納する記録媒体等としても適用可能である。
【0010】
[機械的構成]
図1は、本発明に係る実施形態のインクジェット記録装置の機械的構成を示す側面透視図である。
【0011】
図1に示すように、インクジェット記録装置500は、例えばロール状に巻かれ、複数のラベルが仮付けされたラベル用紙501が装置本体内に供給され、搬送モータ413で駆動する搬送ベルト502によって一定速度で搬送される。
【0012】
ラベル用紙501の各ラベル先端部が先端検知センサ414で検知され、検知位置を基準として各ラベルを複数のプリントヘッド416K〜416Yの下部を通過させることでプリントが行われる。
【0013】
プリントは、例えば、ブラックのプリントヘッド416K、シアンのプリントヘッド416C、マジェンタのプリントヘッド416M、イエローのプリントヘッド416Yを用いて、計4色のインクでカラー印刷を行う。
【0014】
各色のプリントヘッド416K〜416Yは、例えば、使用されるラベル用紙501の最大幅相当のプリント幅を有するラインヘッドである。
【0015】
インクジェット記録装置500の下部には各色のプリントヘッド416K〜416Yに対応したインクカートリッジ504K〜504Y及びサブタンク503K〜503Y等が搭載されている。
【0016】
各プリントヘッド416K〜416Yの下部には各々のプリントヘッドに対応してキャッピング機構506K〜506Yが設けられている。
【0017】
図1では6個のキャッピング機構が示されているが、例えば淡シアン、淡マジェンタ、或いは特別な色のインクを追加することもあるので、そのときの予備として設けられている。
【0018】
インクカートリッジ504K〜504Y、サブタンク503K〜503Y、プリントヘッド416K〜416Y、及びキャッピング機構506K〜506Yの間は、後述するように、各インク毎に独立したインクチューブで接続されている。
【0019】
図2は、本実施形態のインクジェット記録装置500の電気的構成を示すブロック図である。
【0020】
図2に示すように、ホストコンピュータ400から送信されたプリントデータはインクジェット記録装置500のインターフェイスコントローラ402で受信される。
【0021】
また、記録媒体、例えばラベルの枚数、種類やサイズ等を指示するコマンドもインターフェイスコントローラ402で受信される。
【0022】
CPU(中央演算処理装置)401は、インターフェイスコントローラ402で受信したコマンドの解析、プリントデータの受信、プリント動作、記録媒体のハンドリング等、装置全体の制御を司る演算処理装置である。
【0023】
CPU401は、受信したコマンドを解析後、プリントデータの各色成分のイメージデータをイメージメモリ404にビットマップ展開して描画する。
【0024】
プリント前の動作処理として、CPU401は入出力ポート(I/O)408、モータ駆動部410を介してキャッピングモータ(不図示)、及びヘッドモータ(不図示)を相互に駆動、プリントヘッド416K〜416Yをキャッピング位置(待機位置)からプリント位置へ移動させる(不図示)。
【0025】
また、プリントヘッド416K〜416Yの移動と略同時に記録媒体であるラベル用紙を給紙するための給紙モータ(不図示)及び搬送モータ413を駆動しラベル用紙を連続的に搬送する。
【0026】
一定速度で搬送されるラベル用紙のプリントタイミングを決定するために先端検知(TOF)センサ414でラベル先端部を検出する。
【0027】
搬送モータ413によるラベル用紙搬送に同期して、CPU401はイメージメモリ404から対応する色のイメージデータを順次読み出し、プリントヘッド制御回路409を介して対応するプリントヘッド416K〜416Yに転送しカラー印刷を行う。
【0028】
CPU401はプログラムROM403に格納されたシーケンス変更処理等のプログラムを実行する。このプログラムは、例えば、後述する図7のフローチャートに示す手順に対応するプログラムである。
【0029】
また、粘性検査のテストプリントパターン(図8及び図9)もプログラムROM403から展開される。また、作業用のメモリとしてワークRAM405を使用する。
【0030】
EEPROM406は、例えば前回の回復動作を実行した時刻の記憶、複数のプリントヘッド相互の幅及び搬送方向のプリント位置を微調整(レジストレーション)するための補正値等、装置固有のパラメータを記憶するための書き換え可能な不揮発性メモリである。
【0031】
また、CPU401は、プリントヘッド416K〜416Yへのインク供給時やプリントヘッド416K〜416Yからインクを排出する回復動作時には、加圧ポンプモータ411、サブポンプモータ412を入出力回路(I/O)408及びモータ駆動部410を介して制御する。
【0032】
続いて図3を参照して、インクジェット記録装置500に組み込まれたインク供給装置600について説明する。
【0033】
図3は、インクジェット記録装置500に組み込まれたインク供給装置600を示す模式図である。
【0034】
図3において、インク供給装置600は、各色毎のプリントヘッド416に設けられ、各プリントヘッド416に対するインクの供給やプリントヘッドの回復を行う。
【0035】
インク供給装置600は、記録装置本体に着脱自在なインクカートリッジ504と、このインクカートリッジ504とプリントヘッド416K〜416Yとをつなぐインク供給路604の途中に配置されたサブタンク503とを備え、サブタンク503の下部にプリントヘッド416が配置されている。
【0036】
サブタンク503とプリントヘッド416は、フィルタ610を介して2つのインク流路608,614で接続されて(つながれて)いる。
【0037】
サブタンク503は記録装置本体のフレ−ムに固定されており、インク流路608,614の一部はフレキシブルチューブ製である。これによりプリントヘッド416は移動自在である。
【0038】
インク流路614には、プリントヘッド416をクリーニングするためのクリーニングポンプ615、所定のタイミングでインク流路614を開閉する待機バルブ616が取り付けられている。
【0039】
一方、インク流路608には、所定のタイミングでインク流路608を開閉する加圧バルブ609が取り付けられている。
【0040】
インク流路608のうち加圧バルブ609と圧力調整ポンプ605との間には、インク流路608内のインク圧力を検出する圧力検出センサ607が取り付けられている。
【0041】
サブタンク503の内部には、プリントヘッド416の多数のノズル618に適正な圧力を付与するための圧力調整ポンプ605が配置されている。
【0042】
この圧力調整ポンプ605はサブタンク503の底面のやや上方に位置しており、この底面から所定距離だけ離間している。
【0043】
圧力調整ポンプ605は、サブタンク503に貯留されているインクに浸かった状態である。サブタンク503の上方には、圧力調整ポンプ605を駆動させる駆動ユニット602が配置されており、駆動ユニット602はCPU401(図2参照)によって制御される。
【0044】
また、サブタンク503の上壁には、サブタンク503の内部圧力を大気圧にするための大気開放バルブ601が固定されている。
【0045】
この大気開放バルブ601を開放することにより、サブタンク503の内部圧力は大気圧に等しくなる。
【0046】
また、サブタンク503には、このサブタンク503に貯留されているインク(貯蔵インク)の液面レベルを検知する周知の液面検知センサ417が取り付けられている。
【0047】
液面検知センサ417によりサブタンク503内のインク液面が一定レベル以下になったとことが検知されると、供給ポンプ603が稼動を開始してインクカートリッジ504からインクが吸引されてサブタンク503に供給される。
【0048】
一方、液面検知センサ417により、サブタンク503内のインク液面が予め決められた上限レベルになったことが検出されたときは、供給ポンプ603が停止してインクの供給は停止される。
【0049】
また、プリントヘッド416とインクカートリッジ504とは、リサイクルポンプ611とリサイクルフィルタ612を介してつながれており、クリーニング時にプリントヘッド416のフェイス619から強制排出されたインクをキャップ617でトラップし、インクカートリッジ504に戻すリサイクル方式が採用される。
【0050】
インクカートリッジ504には、このインクカートリッジ504内のインクの有無を検出する検出センサ(不図示)が取り付けられている。
【0051】
また、記録装置本体にインクカートリッジ504を装着するときに接続されるエアー流路には、インクカートリッジ504の内部圧力を大気圧にするための大気開放バルブ606が取り付けられている。
【0052】
次に、図4乃至図6を参照して、圧力調整ポンプ605によってプリントヘッド416内の圧力を調整する方法について説明する。
【0053】
図4はサブタンクとプリントヘッドを詳細に示す拡大図、図5は圧力調整ポンプの羽根を示す上面図、図6は図5に示す羽根の回転数とプリントヘッド内のインクに作用する圧力との関係を示す図である。
【0054】
上記加圧バルブ609、待機バルブ616、大気開放バルブ601は、図4に示すように、ソレノイドのプランジャー702に一体化されたバルブシ−ト703によってインク流路608の遮断を行う電磁バルブが採用されるが、本発明はこれらに限定されるものではなく他の方式のものを採用しても良い。
【0055】
もし負圧制御する手段を持たないとすると、ノズル(吐出口)付近には図に示す水頭差h分の正圧が加わることになるので、メニスカスが形成されないばかりでなく、インクのボタ落ちの懸念さえ生じる。
【0056】
プリント時にはプリントヘッド416に適正な負圧を付与する(プリントヘッド416のインク吐出口=ノズルの出口においてインクのメニスカスが形成されるような圧力をインクに与える)必要がある。
【0057】
この場合、加圧バルブ609、大気開放バルブ601は開放状態にあり、待機バルブ616は密閉状態にある。
【0058】
この状態で圧力調整ポンプ605を駆動することにより、図5の矢印A方向に圧力調整ポンプ605の羽根801が回転し、この羽根801の中心Cから羽面802に沿ってインクは遠心力を受ける。
【0059】
つまり、圧力調整ポンプ605の回転軸中心部(中心Cの周辺部)は相対的に負圧となるので、サブタンク503の吸引口701からインク流路608を介してプリントヘッド416に負圧を付与することができる。
【0060】
吸引口701はサブタンク503の底壁に形成されており、圧力調整ポンプ605は吸引口701から所定距離離間した上方に配置されている。
【0061】
なお、羽根801の回転数は、CPU401(図2参照)に制御されている。
【0062】
上記のように、圧力調整ポンプ605を駆動させて羽根801を矢印A方向に回転させるときに発生する遠心力によって、この圧力調整ポンプ605がプリントヘッド416内のインクを、インク流路608と吸引口701とを経由してサブタンク503内に吸い込もうとする(実際に吸い込まれることはほとんどない)結果、プリントヘッド416内のインクに負圧(インク吐出口の外側周辺の大気圧よりも低い圧力)が与えられてインク吐出口においてインクのメニスカスが形成されることとなる。
【0063】
なお、羽根801が矢印Aとは反対方向に回転するように圧力調整ポンプ605を駆動させた場合は、サブタンク503内のインクが吸引口701から押し出されるように作用するので、プリントヘッド416内のインクに正圧(インク吐出口の外側周辺の大気圧よりも高い圧力)が付与される。この結果、インク吐出口からインクが排出される。
【0064】
圧力調整ポンプ605の羽根801が図5の矢印A方向に回転するときの回転数に応じて、図6に示すように、圧力調整ポンプ605で発生される負圧の大きさが変動する。
【0065】
羽根801が矢印A方向に速く回転するほど(単位時間当たりの回転数が多いほど)大きな負圧が発生するので、プリントヘッド416内のインクは強い力でサブタンク503内に吸い上げられることになり、プリントヘッド416内(ノズル618内)のインクに作用する負圧が大きくなる。
【0066】
反対に、羽根801が矢印C方向に遅く回転するほど(単位時間当たりの回転数が少ないほど)小さな負圧しか発生しないので、プリントヘッド416内のインクは弱い力でサブタンク503内に吸い上げられようとすることとなり、プリントヘッド416内のインクに作用する負圧が小さくなる。
【0067】
すなわち、プリントヘッド416に付与する負圧の大きさは圧力調整ポンプ605の回転数に応じて制御できるので、圧力調整ポンプ605を駆動させることにより、インク流路608を開放したままの状態でプリントヘッド416内の圧力が調整されることとなる。
【0068】
ところで、圧力調整ポンプ605としては、一般的にタ−ボ形と分類されるポンプを使用することが望ましい。
【0069】
タ−ボ形ポンプとしては、本例で採用した遠心ポンプ形式や斜流形式、軸流形式などが挙げられる。
【0070】
これらはインク流路(液流路)を遮断する(閉じる)ことなく圧力を発生できるので、差圧に応じてインクがポンプを移動できる。
【0071】
例えば、プリントヘッド416からインクを吐出するとプリントヘッド416内でインクが減少するので、プリントヘッド416から圧力調整ポンプ(遠心ポンプ)605までの間が減圧される。
【0072】
この場合、サブタンク503内のインクがインク流路608を経由してプリントヘッド416に供給される。これに対して、圧力調整ポンプ605として、所謂容積式に分類されるピストンポンプ等を用いた場合は、インクを圧送するためにインク流路608を遮断する必要があるので、インクがピストンポンプを介して自由に移動できないばかりか、プリントヘッド416のノズル618のインク吐出口から外気を容易に吸引してしまう。
【0073】
プリントヘッド416には、インクを吐出する多数のノズル618が並んで形成されている。
【0074】
多数のノズル618は、インクが貯留された共通液室620につながっている(連通している)。
【0075】
この共通液室620はサブタンク503(図4参照)につながっており、サブタンク503から共通液室620にインクが供給される。
【0076】
従って、圧力調整ポンプ605の回転数を変更することにより、プリントヘッド416に付与する負圧の大きさ、即ち、ノズル618内のインクに作用する負圧の大きさを変更できる。
【0077】
次に、図7を参照して、テストプリントモードについて説明する。
【0078】
図7において、ユーザー或は装置のタイマーによってテストプリントモードが開始されると、ヘッド回復動作(S300)と同時にヘッド流路内のインクを所定の温度に保持する(S301)。
【0079】
その後テストプリント(S302)を行い、ユーザー或は画像読取装置によってテストプリント情報を取得する(S303)。
【0080】
ここでテストパターンが完全にプリントできたか判別(S304)し、完全である場合(図8)はテストプリントモードを終了する。ここで、インクが増粘している場合には負圧に耐えられなくなって不吐出が発生する。
【0081】
テストパターンが完全にプリントされず不吐出がある場合(図9)、テストプリントから取得した情報を用いて装置本体の増粘限界を超えている、つまり規定負圧(例えば、40mmaq)までプリントできたか判定する(S305)。プリントできない場合はその色のインク置換(S308)を行い、S300に戻る。
【0082】
テストパターンが完全にプリントされず不吐出がある場合(S304でNO)で、規定負圧までプリントができた場合(S305でYES)は、テストプリントから取得した各色のインク粘性等の情報をユーザー或は画像読取装置から入力(S306)し、プログラムROM403に格納された情報と照合してプリントシーケンスや回復シーケンスの変更(S307)を行う。
【0083】
プリントシーケンスの変更は、例えばインク吐出量の変更(インク吐出量を一定に保持するため)等であり、回復シーケンスの変更は、例えばインクの循環時間の変更等であり、具体的にはインクの粘性情報等に基づいてポンプの回転数や稼動時間、プリントヘッドのヒータ電力(ヒータ駆動パルス幅)を変更する。
【0084】
規定負圧(例えば、60mmaq)までしか正常にプリントできない場合、例えばインク循環時間、ポンプの稼働時間、ヒータ電力を2倍、ポンプの回転数を1/2倍とする。
【0085】
図8は正常時のテストパターン例、図9は増粘時のテストパターン例を示している。
【0086】
図8において、100はテストプリント出力紙、水頭圧を示す目盛例101、102Y〜102Kは各色のテストプリントパターンを示している。図9は、200は増粘によりインク不吐出がある場合のプリントパターン例を示している。
【0087】
次に、図7のS308におけるインク置換について説明する。
【0088】
図3において、サブタンク503から廃インクタンク505につながる流路内の弁621を開き、サブタンク503と廃インクタンク505の水頭圧により廃インクタンク505にインクが排出される。次に、インクカートリッジ504を交換し、供給ポンプ603によりインクカートリッジ504内のインクをサブタンク503に供給して、サブタンク503内のインク置換が実行される。
【0089】
その他、図示しないワイパブレードによるプリントヘッドのフェイス619のワイピング動作やサブタンク503とプリントヘッド416間のインク循環等種々の回復動作があるが詳細は省略する。
【0090】
また、本実施形態は特に蒸発が多いと思われるインクリサイクル方式の装置を挙げて説明したが、ノンリサイクル方式の装置でも適用可能である。
【0091】
[効果の説明]
上記プリントシーケンスの変更はプリントヘッド416の流路内のインク温度を調節することによりインクの粘度変化に対応した安定した吐出ができる。
【0092】
上記プリントシーケンスの変更はプリントヘッド416の吐出エネルギーを調節することによりインクの粘度変化に対応した安定した吐出ができる。
【0093】
上記プリントシーケンスの変更はプリントヘッド416の吐出の間隔(時間)を調節することによりインクの粘度変化に対応した安定した吐出ができる。
【0094】
上記回復シーケンスの変更はプリントヘッド416の流路内を循環するインクの量を調節することによりインクの粘度変化に対応した安定した回復、プリントができる。
【0095】
上記回復シーケンスの変更はプリントヘッド416の流路内をインクが循環する時間を調節することによりインクの粘度変化に対応した安定した回復、プリントができる。
【0096】
上記回復シーケンスの変更はプリントヘッド416の流路内をインクが循環する時の流路内圧を調節することによりインクの粘度変化に対応した安定した回復、プリントができる。
【0097】
上述した制御は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用してもよい。
【0098】
また、上述したインク吐出方法は、その機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、達成されることは言うまでもない。
【0099】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が上記機能を実現することとなる。
【0100】
このプログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0101】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上記実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づきコンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0102】
更に、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上記実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明に係る実施形態のインクジェット記録装置の機械的構成を示す側面透視図である。
【図2】本実施形態のインクジェット記録装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】インクジェット記録装置に組み込まれたインク供給装置を示す模式図である。
【図4】サブタンクとプリントヘッドを詳細に示す拡大図である。
【図5】圧力調整ポンプの羽根を示す上面図である。
【図6】図5に示す羽根の回転数とプリントヘッド内のインクに作用する圧力との関係を示す図である。
【図7】テストプリントモードの動作を示すフローチャートである。
【図8】正常時のテストパターン例を示す図である。
【図9】増粘時のテストパターン例を示す図である。
【符号の説明】
【0104】
400 ホストコンピュータ
401 CPU(中央演算処理装置)
402 インターフェイスコントローラ
403 プログラムROM
404 イメージメモリ
405 ワークRAM
406 EEPROM
407 A/Dコンバータ
408 I/O
409 プリントヘッド制御回路
410 モータ駆動部
411 加圧ポンプ/モータ
412 サブポンプ/モータ
413 搬送モータ
414 ラベル先端検知センサ
415 操作パネル
416 プリントヘッド
417 インク検知センサ
500 記録装置
501 ラベル用紙
502 搬送ベルト
503 サブタンク
504 インクカートリッジ
505 インク置換用廃インクタンク
506 キャッピング機構
600 インク供給装置
601 大気開放バルブ
602 駆動ユニット
603 供給ポンプ
604 インク供給路
605 圧力調整ポンプ
606 大気開放バルブ
607 圧力センサ
608 インク流路
609 加圧バルブ
610 フィルタ
611 リサイクルポンプ
612 リサイクルフィルタ
614 インク流路
615 クリーニングポンプ
616 待機バルブ
617 キャップ
618 ノズル
619 フェイス
620 共通液室
621 廃インクタンク弁
701 吸引口
702 プランジャー
703 バルブシート
801 羽根
802 羽面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録ヘッドからインクを吐出してプリント動作を実行するインクジェット記録装置であって、
前記記録ヘッドにインクを供給するインク供給手段と、
前記記録ヘッド内のインクの圧力を調整する圧力調整手段と、
前記記録ヘッド内のインクの温度を調整する温度調整手段と、
前記記録ヘッドからインクを排出する回復動作を実行するヘッド回復手段と、
前記回復動作後、前記インクの圧力を変化させて所定のパターンをプリントするテストプリント動作を実行し、前記テストプリントにより得られるインク情報に基づいて前記プリント動作を変更する制御手段と、を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記テストプリント動作は、前記温度調整手段により前記インクの温度を一定にして実行されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記テストプリントの結果、プリントエラーが発生した圧力が所定圧力未満の場合、前記インク供給手段により前記記録ヘッド内のインクを置換するインク置換動作を実行することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記インク情報は、前記記録ヘッド内のインクの圧力と粘性情報を含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記インクは、少なくともイエロー、マジェンタ、シアン、ブラックの各色を含み、
前記テストプリントは、各色のインク毎に実行することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記インク情報を入力する手段と、
前記テストプリントのパターンからインク情報を読み取る手段と、
前記インク情報を表示する手段と、を更に備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記記録ヘッドから排出したインクを前記インク供給手段に戻す手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
記録ヘッドにインクを供給するインク供給手段と、
前記記録ヘッド内のインクの圧力を調整する圧力調整手段と、
前記記録ヘッド内のインクの温度を調整する温度調整手段と、
前記記録ヘッドからインクを排出する回復動作を実行するヘッド回復手段と、を有し、前記記録ヘッドからインクを吐出してプリント動作を実行するインクジェット記録装置の制御方法であって、
前記回復動作後、前記インクの圧力を変化させて所定のパターンをプリントするテストプリント動作を実行し、前記テストプリントにより得られるインク情報に基づいて前記プリント動作を変更することを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−100480(P2008−100480A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−286849(P2006−286849)
【出願日】平成18年10月20日(2006.10.20)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】