説明

インクジェット記録装置

【課題】 小型化を可能にしたインクジェット記録装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明に係るインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するインクジェット記録ヘッド33と、インクジェット記録ヘッド33に接続されたインク供給ラインに設けられ、インク滴の非吐出時にインクジェット記録ヘッド33にヘッド背圧を発生させる差圧弁74と、を備えている。これにより、インク供給ラインに接続されたインクタンク等のインク貯留手段の配置位置の自由度が格段に広がる。従って、小型化を可能にしたインクジェット記録装置を実現させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録ヘッドからインク滴を吐出して記録媒体へ記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録ヘッドから記録媒体へ向けてインク滴を吐出させて記録するインクジェット記録装置が多用されている。このようなインクジェット記録装置にはインク貯留手段が設けられ、インク貯留手段からインクジェット記録ヘッドへインクを供給し、インクジェット記録ヘッドのノズル面からインク滴を吐出している(例えば特許文献1、2参照)。
【0003】
ところで、従来、インクジェット記録装置では、ヘッド背圧を発生させるために、インク貯留手段をインクジェット記録ヘッドのノズル面よりも下方に配置していた。このため、インク貯留手段の配置位置、すなわちインクタンク、リザーバタンク、サブタンク等の配置位置の自由度が制限され、装置小型化の妨げになっているという問題があった。また、インクレベルを調整して背圧を許容範囲内にする必要があるため、インク貯留手段で収容可能なインク容量に制限があり、このことも装置の小型化の妨げになっていた。
【0004】
例えば、図18に示すように、特許文献1に開示されたインクジェット記録装置212では、第1バッファタンク214及び第2バッファタンク215のインクレベルRを、インクジェット記録ヘッド212の吐出口218よりも下方位置にする必要があった。また、第1バッファタンク214及び第2バッファタンク215のインクレベルRと、インクジェット記録ヘッド212の吐出口218との高さ差hを背圧としており、このhを許容範囲内に維持する必要があった。そして、これらの制約がインクジェット記録装置212の小型化を妨げていた。
【特許文献1】特開平11−105303号公報
【特許文献2】特開平10−138515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、小型化を可能にしたインクジェット記録装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、インク滴を吐出するインクジェット記録ヘッドと、前記インクジェット記録ヘッドに接続されたインク供給ラインに設けられ、前記インクジェット記録ヘッドにヘッド背圧を発生させる背圧発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
このような構成により、インク供給ラインに接続されたインクタンク等のインク貯留手段の配置位置の自由度が格段に広がる。従って、小型化を可能にしたインクジェット記録装置を実現させることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、前記背圧発生手段が、差圧弁と、前記差圧弁の上流側に設けられたインク加圧手段とを含むことを特徴とする。
【0009】
差圧弁とインク加圧手段とによってインクジェット記録ヘッドのインク背圧を制御することが可能となるため、インク貯留手段の配置位置や容量に自由度は更に増し、装置の小型化が容易となる。
【0010】
差圧弁は一定の差圧で弁の開閉が行われる小型で簡素な構造であり、ヘッド上側に配置可能である。従って、装置構成を更に簡素にすることができると共に、装置サイズを更に小さくすることができる。
【0011】
また、差圧弁は逆止弁としての働きもする。従って、記録媒体として記録用紙を用いた際、ジャム等が生じてヘッド位置が変化しても、インクジェット記録ヘッドの吐出口(ノズルなど)から気泡を引き込むことがない。また、振動等によりインクレベルがリザーバタンク内で変動しても、ノズルからインクの染み出しや気泡の引き込みが生じることがない。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記加圧手段は、大気連通口を有するリザーバタンクであって、前記リザーバタンクは前記インクジェット記録ヘッドより上方位置に設けられていることを特徴とする。
【0013】
これにより、リザーバタンクと差圧弁との間のインクの重量を利用してインクが加圧され、差圧弁を動作させてインクジェット記録ヘッドの背圧を制御することができる。
【0014】
更に、リザーバタンクをインクジェット記録ヘッドの上方に配置する簡易な構造であるので、装置の小型化に特に適している。
【0015】
差圧弁としては、請求項4に記載のダイヤフラム弁や、請求項5に記載のフロート弁、等を挙げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上記構成としたので、小型化を可能にしたインクジェット記録装置を実現させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、実施形態を挙げ、本発明の実施の形態について説明する。なお、第2実施形態以下では、既に説明した構成要素と同様のものには同じ符号を付してその説明を省略する。
【0018】
[第1実施形態]
まず、第1実施形態について説明する。
【0019】
(全体構成)
図1には、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置12が示されている。インクジェット記録装置12の筐体14内の下部には給紙トレイ16が備えられており、給紙トレイ16内に積層された用紙Pをピックアップロール18で1枚ずつ取り出すことができる。取り出された用紙Pは、所定の搬送経路22を構成する複数の搬送ローラ対20で搬送される。以下、単に「搬送方向」というときは、記録媒体である用紙Pの搬送方向をいう。
【0020】
給紙トレイ16の上方には、駆動ロール24及び従動ロール26に張架された無端状の搬送ベルト28が配置されている。搬送ベルト28の上方には記録ヘッドアレイ30が配置されており、搬送ベルト28の平坦部分28Fに対向している。この対向した領域が、記録ヘッドアレイ30からインク滴が吐出される吐出領域SEとなっている。搬送経路22を搬送された用紙Pは、搬送ベルト28で保持されてこの吐出領域SEに至り、記録ヘッドアレイ30に対向した状態で、記録ヘッドアレイ30から画像情報に応じたインク滴が付着される。
【0021】
そして、用紙Pを搬送ベルト28で保持した状態で周回させることで、吐出領域SE内に複数回通過させて、いわゆるマルチパスによる画像記録を行うことができる。したがって、搬送ベルト28の表面が、本発明における用紙Pの周回経路となっている。
【0022】
なお、搬送ベルト28は、一例として、半導電性ポリイミド材(表面抵抗値1010〜1013Ω/□、体積抵抗値109〜1012Ω・cm)を、厚さ75μm、幅380mm、周長1000mmに成形したものを使用できる。また、駆動ロール24及び従動ロール26としては、一例として、φ50mmのSUSロールを使用できる。
【0023】
また、搬送ベルト28を設けずに、例えば円筒状あるいは円柱状に形成された搬送ローラの外周に、記録媒体(用紙P)を吸着保持して回転させる構成にしてもよい。ただし、本実施形態のように搬送ベルト28を使用すると平坦部分28Fが構成されるので、この平坦部分28Fに対応させて記録ヘッドアレイ30を配置でき、好ましい。
【0024】
記録ヘッドアレイ30は、本実施形態では、有効な記録領域が用紙Pの幅(搬送方向と直交する方向の長さ)以上とされた長尺状とされ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、サイアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つのインクジェット記録ヘッドユニット32(以下、単にヘッドユニット32という)が搬送方向に沿って配置されており、フルカラーの画像を記録可能になっている。なお、それぞれのヘッドユニット32においてインク滴を吐出する方法は特に限定されず、いわゆるサーマル方式や圧電方式等、公知のものを適用できる。
【0025】
各ヘッドユニット32を構成するインクジェット記録ヘッド33は、ヘッドコントローラ60によって制御されるようになっている。ヘッドコントローラ60は、たとえば、画像情報に応じてインク滴の吐出タイミングや使用するインク吐出口(ノズル)を決め、駆動信号をインクジェット記録ヘッド33に送る。
【0026】
また、記録ヘッドアレイ30は、搬送方向と直交する方向に不動とされていてもよいが、必要に応じて移動するように構成しておくと、マルチパスによる画像記録で、より解像度の高い画像を記録したり、インクジェット記録ヘッド33の不具合を記録結果に反映させないようにしたりできる。
【0027】
ヘッドユニット32の上方位置には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、サイアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応したリザーバタンク64が配置されている。
【0028】
記録ヘッドアレイ30の近傍(本実施形態では搬送方向の両側)には、それぞれのヘッドユニット32に対応した4つのメンテナンスユニット34が配置されている。ヘッドユニット32に対してメンテナンスを行う場合には、図2に示すように、記録ヘッドアレイ30が上方へ移動し、搬送ベルト28との間に構成された間隙にメンテナンスユニット34が移動して入り込む。そして、吐出面であるノズル面33N(図3、図6参照)に対向した状態で、所定のメンテナンス動作(バキューム、ダミージェット、ワイピング、キャッピング等)を行う。
【0029】
なお、本実施形態では、4つのメンテナンスユニット34を2つずつの2組に分割し、記録ヘッドアレイ30、画像記録時には記録ヘッドアレイ30の搬送方向上流側及び搬送方向下流側にそれぞれ配置されるようにしている。
【0030】
図3にも詳細に示すように、記録ヘッドアレイ30の搬送方向上流側には、電源38が接続された帯電ロール36が配置されている。帯電ロール36は、従動ロール26との間で搬送ベルト28及び用紙Pを挟みつつ従動し、用紙Pを搬送ベルト28に押圧する押圧位置と、搬送ベルト28から離間した離間位置との間を移動可能とされている。押圧位置では、接地された従動ロール26との間に所定の電位差が生じるため、用紙Pに電荷を与えて搬送ベルト28に静電吸着させることができる。
【0031】
帯電ロール36としては、例えば、シリコーンゴムの表面に導電性カーボンを被覆し、体積抵抗値106〜107Ω・cm程度に調整したφ14mmのロールを使用することができる。
【0032】
また、電源38としては、図3では直流電源を挙げているが、用紙Pを所定電位に帯電させることが可能であれば、交流電源でもよい。
【0033】
なお、帯電ロール36よりもさらに搬送方向上流側には、図示しないレジロールが設けられており、用紙Pが搬送ベルト28と帯電ロール36との間に至る前に位置合わせされる。
【0034】
記録ヘッドアレイ30の搬送方向下流側には、剥離プレート40(図1、2参照)が配置されており、用紙Pを搬送ベルト28から剥離することができる。剥離プレート40としては、たとえば、厚さ0.5mm、幅330mm、長さ100mmのアルミプレートを使用することができる。
【0035】
剥離された用紙Pは、剥離プレート40の搬送方向下流側で排出経路44を構成する複数の回動可能な排出ローラ対42で搬送され、筐体14の上部に設けられた排紙トレイ46に排出される。
【0036】
剥離プレート40の下方には、駆動ロール24との間で搬送ベルト28を挟持可能はクリーニングロール48が配置されており、搬送ベルト28の表面をクリーニングするようになっている。
【0037】
給紙トレイ16と搬送ベルト28の間には、反転手段として、複数の反転用ローラ対50で構成された反転経路52が設けられており、片面に画像記録された用紙Pを反転させて搬送ベルト28に保持させることで、用紙Pの両面への画像記録を容易に行えるようになっている。
【0038】
搬送ベルト28と排紙トレイ46の間には、4色の各インクをそれぞれ貯留するインクタンク54が設けられている。インクタンク54のインクは、インク供給ライン62(図5参照)によって、各ヘッドユニット32に供給される。インクとしては、水性インク、油性インク、溶剤系インク等、公知の各種インクを使用できる。
【0039】
図4に示すように、インクジェット記録装置12の全体は、コントローラ56によって制御され、用紙Pの取出しから画像記録、排出、さらにはメンテナンスを含む動作が制御されるようになっている。また、記録画像に関する各種のデータ等は、画像コントローラ58からコントローラ56に送られる。たとえば、後述するように、第1帯電モードや第2帯電モードでの印加電圧等は、記録画像のデータなどに応じて、コントローラ56で制御される。また、インクジェット記録ヘッド33はヘッドコントローラ60によって制御されており、コントローラ56からヘッドコントローラ60へ信号が送信されるようになっている。なお、コントローラ56、ヘッドコントローラ60及び帯電ロール36は、電源38から電力供給を受けるようになっている。
【0040】
このような全体構成とされた本実施形態のインクジェット記録装置12では、上記したように、給紙トレイ16から取り出された用紙Pが搬送され、搬送ベルト28に至る。そして、帯電ロール36によって搬送ベルト28に押し付けられると共に、帯電ロール36からの印加電圧によって搬送ベルト28に吸着(密着)して保持される。この状態で、搬送ベルトの循環によって用紙Pが吐出領域SEを通過しつつ、記録ヘッドアレイ30からインク滴が吐出されて、用紙P上に画像が記録される。1パスのみで画像記録する場合には、剥離プレート40で用紙Pで搬送ベルト28から剥離し、排出ローラ対42で搬送して排紙トレイ46に排出する。これに対し、マルチパスで画像記録を行う場合には、必要な回数に達するまで用紙Pを周回させて吐出領域SEを通過させた後、剥離プレート40で用紙Pで搬送ベルト28から剥離し、排出ローラ対42で搬送して排紙トレイ46に排出する。
【0041】
(インク流動ライン)
インクジェット記録装置12には、図5に示すように、インクタンク54からヘッドユニット32へインクを供給するためのインク供給ライン62が各色毎に設けられている。
【0042】
以下、インク供給ライン62でインクタンク54からヘッドユニット32へインクを供給することを一色(例えばイエロー)について説明する。他の色については同様の構成であるので、その説明を省略する。
【0043】
インク供給ライン62には、インクタンク54とリザーバタンク64との間にフィルタ66が設けられている。
【0044】
インクジェット記録装置12には、このフィルタ66のインク流れ上流側に設けられ、インク供給ライン62へのインク送出し力を与える第1ポンプ(リザーバタンク充填用ポンプ)68と、第1ポンプ68を駆動させる第1モータ70と、を備えている。第1モータ70はコントローラ56によって制御されている。
【0045】
また、リザーバタンク64内のインク量をモニタするために、リザーバタンク64内の低位置L、高位置Hでのインクの有無を検出するセンサ72が設けられている。センサ72で計測したデータはコントローラ56へ送信される。
【0046】
リザーバタンク64には大気開放弁が設けられており、リザーバタンク64内の液面は大気圧となっている。
【0047】
ヘッドユニット32は、1つの差圧弁74と、差圧弁74の下側に設けられた1つのサブタンク76と、サブタンク76の下側に設けられた複数のインクジェット記録ヘッド33(図6、図7も参照)と、で構成され、差圧弁74がサブタンク76を介してインクジェット記録ヘッド33にヘッド背圧を発生させるようになっている。また、リザーバタンク64から流出したインクが差圧弁74を経由してインクジェット記録ヘッド33にまで到達できるように、リザーバタンク64と差圧弁74とが配管接続され、差圧弁74とサブタンク76とが配管接続され、サブタンク76とインクジェット記録ヘッド33とが配管接続されている。
【0048】
図6、7に示すように、インクジェット記録ヘッド33の下面側は吐出面となっており、1024個のノズル78が配列されている。
【0049】
差圧弁74としては特に限定しない。例えば、図8に示すように、差圧弁74としてダイヤフラム弁73を設け、一定以上の差圧が生じるとゴム板80への押圧力によりスプリング82が縮んで弁が開となるようにしてもよい。また、図9に示すように、差圧弁74としてフロート弁75を設け、一定以上の差圧が生じると円錐状のゴム部材84への押圧力によりスプリング86が縮んで弁が開となるようにしてもよい。
【0050】
メンテナンスユニット64は、図5に示すように、インクジェット記録装置12の回復動作時、ノズル面33Nからのインクを受けるキャップ88と、キャップ88で受けたインクを排出する排液ライン92とを備えている。排液ライン92のインク流れ下流端にはバルブ94を介して廃インクタンク96が設けられている。また、インクジェット記録装置12は、キャップ88から排液ライン92へのインク送出し力(インク吸出し力)を与える第2ポンプ(インクジェット記録ヘッド33の回復動作用ポンプ)98と、第2ポンプ98を駆動させる第2モータ100と、を備えている。第2モータ100は、第1モータ70と同様、コントローラ56によって制御されている。
【0051】
図10に、ヘッド内圧力と経過時間との関係の一例を示す。図10で縦軸に示したヘッド内圧力は、大気圧に対する相対圧力である。本実施形態では、高印字密度で印字する場合には、差圧弁74の開閉の時間間隔t1が短く、低印字密度で印字する場合には、差圧弁74の開閉の時間間隔t2が長い。
【0052】
以上説明したように、本実施形態では、インク滴の非吐出時には、差圧弁74によってインクジェット記録ヘッド33にヘッド背圧を発生させることができる。従って、インク供給ライン62に接続されたインクタンク54を装置内のどこに配置してもこのヘッド背圧を発生させることができる。これにより、構成部材の配置位置の自由度が格段に広がるので、小型化されたインクジェット記録装置12を実現させることができる。更に、リザーバタンクの容量と位置に自由度が増し、装置の小型化を行い易い。
【0053】
また、リザーバタンク64のインクの重量を利用してインクジェット記録ヘッド33のインク背圧を制御することができ、効率良く制御することができる。
【0054】
また、ヘッドユニット32には、各インクジェット記録ヘッド33毎に、各ノズルに共通の1つのサブタンク76を設けているので、各インクジェット記録ヘッド33で吐出圧力を均一にすることができる。
【0055】
また、差圧弁74は小型で簡素な構造であり、インクジェット記録ヘッド33の上側に配置できる。このことも、インクジェット記録装置12の装置サイズの小型化に有利である。
【0056】
また、差圧弁74は逆止弁としての働きもする。従って、ジャム等が生じてヘッド位置が変化しても、インクジェット記録ヘッド33のノズル78から気泡を引き込むことがない。また、振動等によりインクレベルがリザーバタンク64内で変動しても、ノズル78からインクの染み出しや気泡の引き込みが生じることがない。
【0057】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。図11、図12に示すように、本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、サイアン(C)、及びブラック(K)の4色それぞれに対応した4つのヘッドユニット112が設けられており、このヘッドユニット112の構成が第1実施形態とは異なる。
【0058】
ヘッドユニット112は、1つのサブタンク116と、サブタンク116の下側に設けられた複数の差圧弁114と、各差圧弁114の下側にそれぞれ設けられた複数のインクジェット記録ヘッド33と、で構成され、差圧弁114がインクジェット記録ヘッド33にヘッド背圧を発生させるようになっている。また、リザーバタンク64から流出したインクが差圧弁114を経由してインクジェット記録ヘッド33にまで到達できるように、リザーバタンク64とサブタンク116とが配管接続され、サブタンク116と差圧弁114とが配管接続され、差圧弁114とインクジェット記録ヘッド33とが配管接続されている。
【0059】
本実施形態により、各インクジェット記録ヘッド33毎にヘッド背圧をコントロールすることができる。また、各インクジェット記録ヘッド33毎に差圧弁114を逆止弁として作用させることができる。
【0060】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。図13に示すように、本実施形態では、第2実施形態に比べ、各差圧弁114毎にサブタンク126を設けている。隣り合うサブタンク126同士は配管接続されており、各サブタンク126の圧力は基本的に均一になっている。
【0061】
本実施形態により、第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0062】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。図14に示すように、本実施形態では、第1実施形態に比べ、リザーバタンク64とインクジェット記録ヘッド33との間に差圧弁74を設けており、この差圧弁74の高さ位置はインクジェット記録ヘッド33よりも低い。また、リザーバタンク64は大気連通口118を有しており、リザーバタンク64内のインク液面は大気圧に開放されている。
【0063】
これにより、リザーバタンク64と差圧弁74との間のインクの重量を利用してインクが加圧され、差圧弁74を動作させてインクジェット記録ヘッド33の背圧を制御することができる。
【0064】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。図15に示すように、本実施形態では、第1実施形態に比べ、リザーバタンク64及びセンサ72を設けずに、第1ポンプ68でインクを直接に加圧してインクジェット記録ヘッド33に供給している。
【0065】
これにより、リザーバタンクやセンサを設ける必要がなく、装置の更なる小型化、簡素化を実現できる。
【0066】
なお、図16に示すように、差圧弁74をフィルタ66のすぐ上流側に設けてもよいし、図17に示すように、差圧弁74の高さ位置がインクジェット記録ヘッド33よりも低くてもよい。
【0067】
以上、実施形態を挙げて本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施形態は一例であり、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】第1実施形態のインクジェット記録装置の構成を画像記録状態で示す正面断面図である。
【図2】第1実施形態のインクジェット記録装置の構成をメンテナンス状態で示す正面断面図である。
【図3】第1実施形態のインクジェット記録装置の搬送ベルト及びその近傍の構成を示す概念図である。
【図4】第1実施形態のインクジェット記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態のインクジェット記録装置のインク流動ラインを示す模式図である。
【図6】図6(A)及び(B)は、それぞれ、第1実施形態でインクジェット記録ヘッドの構成を示す側面図及び背面図である。
【図7】第1実施形態でインクジェット記録ヘッドを示す側面図である。
【図8】図8(A)及び(B)は、それぞれ、第1実施形態でダイヤフラム弁が閉の状態、及び、開の状態を示す側面断面図である。
【図9】図9(A)及び(B)は、それぞれ、第1実施形態でフロート弁が閉の状態、及び、開の状態を示す側面断面図である。
【図10】第1実施形態で、ヘッド内圧力と経過時間との関係を示すグラフ図である。
【図11】第1実施形態のインクジェット記録装置のインク流動ラインを示す模式図である。
【図12】図12(A)及び(B)は、それぞれ、第2実施形態でインクジェット記録ヘッドの構成を示す側面図及び背面図である。
【図13】図13(A)及び(B)は、それぞれ、第3実施形態でインクジェット記録ヘッドの構成を示す側面図及び背面図である。
【図14】第4実施形態のインクジェット記録装置のインク流動ラインを示す模式図である。
【図15】第5実施形態のインクジェット記録装置のインク流動ラインを示す模式図である。
【図16】第5実施形態の変形例のインクジェット記録装置のインク流動ラインを示す模式図である。
【図17】第5実施形態の変形例のインクジェット記録装置のインク流動ラインを示す模式図である。
【図18】従来のインクジェット記録装置の構成部品の配置位置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0069】
12 インクジェット記録装置
33 インクジェット記録ヘッド
33N ノズル面(吐出面)
62 インク供給ライン
64 リザーバタンク
73 ダイヤフラム弁
74 差圧弁
75 フロート弁
114 差圧弁
118 大気連通口
212 インクジェット記録装置
218 吐出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク滴を吐出するインクジェット記録ヘッドと、
前記インクジェット記録ヘッドに接続されたインク供給ラインに設けられ、前記インクジェット記録ヘッドにヘッド背圧を発生させる背圧発生手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記背圧発生手段は、差圧弁と、前記差圧弁の上流側に設けられたインク加圧手段とを含むことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記加圧手段は、大気連通口を有するリザーバタンクであって、
前記リザーバタンクは前記インクジェット記録ヘッドより上方位置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記差圧弁としてダイヤフラム弁を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記差圧弁としてフロート弁を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−88403(P2006−88403A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274161(P2004−274161)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】