説明

インクジェット記録装置

【課題】円筒状の支持部材の外周面上に記録媒体を支持して画像記録を行う場合でも記録媒体の剥離を生じた際の記録ヘッドの損傷等を防止することのできるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】外周面上に記録媒体3を支持して一定の周速度で回転可能な円筒状の支持部材4と、支持部材4の外周面上に記録媒体3を吸着保持する吸引装置9と、記録媒体3にインクを吐出して記録を行う記録ヘッド18と、支持部材4上に支持された記録媒体3の少なくとも一部が支持部材4から剥離したことを検出する検出機構22と、検出機構22が記録媒体3の剥離を検出すると直ちに支持部材4の回転を停止させるとともに、記録媒体3を支持部材4の外周面上に保持するように吸引装置9を制御する制御部30を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に係り、特に、円筒状の支持部材の外周面上に記録媒体を支持しながら画像記録を行うインクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、少量多品種の需要に対して臨機応変に対応できる記録装置として、従来よりインクジェット方式の記録装置(以下「インクジェット記録装置」と称する。)が知られている。インクジェット記録装置は、記録ヘッドの記録媒体に対向する面に設けられたノズルからインクを吐出して記録媒体上に着弾、定着させることにより記録媒体に画像を記録するものであり、従来のグラビア印刷方式やフレキソ印刷方式による画像記録手段と異なって製版工程を必要としないため少量の需要にも簡易かつ迅速に対応することができるという特徴を有している。また、騒音が少なく多色のインクを用いることによってカラーでの画像記録も容易に行うことができるという長所がある。
【0003】
さらに近年は、ドラム型の支持部材に記録媒体を支持して、支持部材を回転させながら記録を行うドラム式のインクジェット記録装置が知られている。このようなドラム式のインクジェット記録装置は、平板状の支持部材に記録媒体を支持して記録媒体を順次搬送しながら記録を行う従来の記録装置と比較して記録の高速化を図ることが可能である。
【0004】
しかし、ドラム式のインクジェット記録装置の場合、記録の途中で記録媒体が支持部材上から浮き上がったり一部剥がれる等の剥離を生じた際、そのまま記録動作を続けると記録媒体が記録ヘッドと支持部材との間に詰まり、ジャムを生じるおそれがある。
【0005】
記録ヘッドと支持部材の外周面との間には微小な間隙しかないため、ジャムを生じると記録媒体を取り除く等の処理作業が困難である。そこで、ジャムを生じた後の処理作業やメンテナンスを行うために記録装置の印字部(記録部)を収容する筐体のカバーを開閉可能とし、カバーが開放されたことが検出手段によって検出されると、印字部が印字位置から退避位置に移動して位置決めされるインクジェット記録装置が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。また、記録媒体の異常走行を検出する異常走行検出機構を備え、異常走行が検出された場合には記録ヘッド(記録部)を記録媒体に対して退避するようにしたインクジェット記録装置も提案されている(例えば、特許文献3参照)。このように記録部を退避させることにより、記録部と記録媒体との間に十分な間隙を確保することができ、ジャムを生じた後の処理作業やメンテナンスを容易に行うことができる。
【特許文献1】特開平10−235967号公報
【特許文献2】特開平10−235976号公報
【特許文献3】特開2005−313519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ドラム式のインクジェット記録装置の場合には、記録媒体を保持した支持部材が回転しているため、単にジャムが生じてから記録部を退避させたのでは、ジャムを生じている記録媒体と記録部との間で摩擦を生じることを防止できず、記録ヘッドのノズル面を傷つけるおそれがある。
【0007】
また、ジャムが発生すると装置の電源を遮断することが一般的である。このため、特に、吸引装置等の吸着機構によって記録媒体を支持部材上に吸着保持する構成のドラム式インクジェット記録装置においては、ジャムの発生時に吸着機構も停止して記録媒体が支持部材から剥がれ落ちてしまう事態が生じていた。記録媒体が支持部材から剥がれ落ちると、記録ヘッドのノズル面と接触してノズル面を傷つけたり、インクが記録媒体に付着する等によりジャム後の処理作業に手間がかかる等の問題が生じる。
また、記録ヘッドのノズル面にはインクが付着し難いように撥水処理等を施してあることが多い。ジャム等により記録媒体がノズル面に接触すると、この撥水処理が剥がれてノズル面にインクが付着し易くなり、インクの吐出性を悪化させ、記録画像の画質の低下を招くおそれがあるとの問題がある。
【0008】
そこで、本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、円筒状の支持部材の外周面上に記録媒体を支持して画像記録を行う場合でも記録媒体の剥離を生じた際の記録ヘッドの損傷等を防止することのできるインクジェット記録装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載のインクジェット記録装置は、外周面上に記録媒体を支持して一定の周速度で回転可能な円筒状の支持部材と、
前記支持部材の外周面上に記録媒体を吸着保持する吸着機構と、
記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記支持部材上に支持された記録媒体の少なくとも一部が前記支持部材から剥離したことを検出する検出機構と、
前記検出機構が記録媒体の剥離を検出すると直ちに前記支持部材の回転を停止させるとともに、記録媒体を前記支持部材の外周面上に保持するように前記吸着機構を制御する制御部を備えたことを特徴としている。
【0010】
このような構成を有する請求項1に記載の発明においては、一定の周速度で回転可能な円筒状の支持部材の外周面上に吸着機構によって記録媒体を吸着保持し、記録ヘッドからインクを吐出して記録を行うようになっており、検出機構が記録媒体の少なくとも一部が支持部材から剥離していることを検出すると、制御部が直ちに支持部材の回転を停止させるとともに、記録媒体を支持部材の外周面上に保持するように吸着機構を制御するようになっている。
【0011】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェット記録装置において、前記支持部材は中空であり、前記支持部材の周面には外面から内面に貫通する複数の吸引孔が穿設され、
前記吸着機構は、前記支持部材の内部から前記吸引孔を通じて記録媒体を吸引することにより前記支持部材の外周面上に記録媒体を保持する吸引装置であることを特徴としている。
【0012】
したがって、請求項2に記載の発明では、吸着機構としての吸引装置が、中空の支持部材の周面に穿設された複数の吸引孔を通じて記録媒体を吸引することにより支持部材の外周面上に記録媒体を保持するようになっている。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、記録を行う記録位置と支持部材から離間する退避位置との間を移動可能であり、
前記制御部は、記録媒体の剥離検出後、前記記録ヘッドが前記退避位置まで退避した後に記録媒体を吸着保持する吸着力を減少させ、又は停止させるように前記吸着機構を制御することを特徴としている。
【0014】
したがって、請求項3に記載の発明では、記録媒体の剥離が検出されると、記録ヘッドが退避位置に移動するようになっており、制御部は記録ヘッドが退避位置まで退避した後に記録媒体を吸着保持する吸着機構の吸着力を減少させ、又は停止させるようになっている。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、前記制御部は、記録媒体の剥離検出後、記録媒体を吸着保持する吸着力を増加させるように前記吸着機構を制御することを特徴としている。
【0016】
このような構成を有する請求項4に記載の発明においては、記録媒体の剥離が検出されると、制御部は、記録媒体を吸着保持する吸着機構の吸着力を増加させるようになっている。
【0017】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、前記検出機構は、前記支持部材の回転方向における最上流に位置する前記記録ヘッドよりも、記録媒体の剥離検出後、前記支持部材の回転が停止するまでに必要な制動距離以上上流側に配置されていることを特徴としている。
【0018】
したがって、請求項5に記載の発明では、支持部材の回転方向における最上流に位置する記録ヘッドよりも、記録媒体の剥離検出後、支持部材の回転が停止するまでに必要な制動距離以上上流側において、検出機構により記録媒体の浮きや剥離等が検出されるようになっている。
【0019】
さらに、請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、前記インクは、活性エネルギー線の照射により硬化するものであり、
記録媒体に着弾した前記インクに活性エネルギー線を照射する照射装置を備えたことを特徴としている。
【0020】
このように、請求項6に記載の発明によれば、照射装置から活性エネルギー線を照射してインクを硬化させるようになっている。
【0021】
さらに、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のインクジェット記録装置において、前記制御部は、記録媒体の剥離検出後、直ちに前記照射装置を消灯することを特徴としている。
【0022】
したがって、請求項7に記載の発明によれば、記録媒体の剥離が検出されると、制御部が直ちに照射装置を消灯するようになっている。
【0023】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載のインクジェット記録装置において、前記インクは、紫外線を照射することによって硬化する紫外線硬化型インクであり、前記照射装置から照射される活性エネルギー線のうち少なくとも一部は紫外線であることを特徴としている。
【0024】
このように、請求項8に記載の発明によれば、照射装置から紫外線を照射してインクを硬化させるようになっている。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載された発明によれば、記録媒体の剥離を検出すると、直ちに支持部材の回転を停止させるとともに、吸着機構により支持部材の外周面上に記録媒体を保持した状態を保つため、記録媒体がそれ以上剥離して記録ヘッドと接触しノズル面を損傷したり、ノズル面に施された撥水処理が剥がれたり、記録媒体にインクが付着したりするのを防止することができることができるという効果を奏する。
【0026】
請求項2に記載された発明によれば、吸着機構として吸引孔を通じて記録媒体を吸引する吸引装置を設けた場合でも、記録媒体の剥離が検出された際、記録媒体を支持部材の外周面上に保持した状態を保つため、記録媒体がそれ以上剥離して記録ヘッドと接触し、ノズル面を損傷したり、ノズル面に施された撥水処理が剥がれたり、記録媒体にインクが付着したりするのを防止することができるという効果を奏する。
【0027】
請求項3に記載された発明によれば、記録媒体の剥離が検出されると、記録ヘッドが退避位置に移動するので、記録ヘッドと支持部材との間隙を十分に確保して、剥離を生じている記録媒体を保持し直したり、取り除いたりする等の処理作業を容易に行うことができる。また、記録ヘッドが退避位置まで退避してから吸着機構の吸着力を減少させ、又は停止させるので、記録ヘッドが退避するまでに記録媒体がそれ以上剥離してジャムを生じることを防止することができるという効果を奏する。
【0028】
請求項4に記載された発明によれば、記録媒体の一部が剥離すると吸着機構の吸着力を増加させるので、記録媒体がそれ以上剥離してジャムを生じることを防止することができるという効果を奏する。
【0029】
請求項5に記載された発明によれば、検出機構が支持部材の回転方向における最上流に位置する記録ヘッドよりも、記録媒体の剥離検出後、支持部材の回転が停止するまでに必要な制動距離以上上流側に設けられているので、記録媒体の剥離箇所が記録ヘッドに到達する前に支持部材の回転を停止させることができる。これにより、記録媒体が支持部材と記録ヘッド等との間に詰まってジャムを生じ記録ヘッドのノズル面を傷つけたり、摩擦により撥水処理が剥がれたりすることを防止して記録ヘッドを保護することができる。また、インクが記録媒体に付着することを防止して剥離を生じている記録媒体を保持し直したり、取り除いたりする等の処理作業を容易にすることができるという効果を奏する。
【0030】
請求項6に記載された発明によれば、インクに対して活性エネルギー線を照射することによってインクを硬化させるので、樹脂フィルム等のインク吸収性の乏しい記録媒体に対しても画像を形成することが可能である。そして、このようなインクを用いる場合でも、ジャムを生じた際に記録ヘッドのノズル面を損傷したり、インクが記録媒体に付着したりすることを防止することができるという効果を奏する。
【0031】
請求項7に記載された発明によれば、記録媒体の剥離が検出されると直ちに照射装置が消灯するので、剥離した記録媒体が照射装置の熱によって発火する危険を防止することができるという効果を奏する。
【0032】
請求項8に記載された発明によれば、インクに対して紫外線を照射することによってインクを硬化させるので、樹脂フィルム等のインク吸収性の乏しい記録媒体に対しても画像を形成することが可能である。そして、このようなインクを用いる場合でも、ジャムを生じた際に記録ヘッドのノズル面を損傷したり、インクが記録媒体に付着したりすることを防止することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、図1から図5を参照しつつ、本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態について説明する。
【0034】
インクジェット記録装置1には、画像記録を行うための各部材を固定する装置架台2が設けられている。装置架台2には、外周面上に記録媒体3を支持するほぼ円筒形状のドラム型の支持部材4が設けられている。支持部材4は、支持部材4の中心軸とほぼ同心となるように設けられた回転軸5を備えており、回転軸5は装置架台2に立設された支持体6によって軸支されている。支持部材4は、回転機構7(図5参照)により回転軸5が回転することによって支持部材4の周方向である所定の回転方向Xに一定速度で回転可能となっている。
【0035】
図2に示すように、支持部材4は中空となっており、支持部材4の周面には外面から内面に貫通する複数の吸引孔8が穿設されている。吸引孔8は、例えば径が1.5mm程度の孔であり、記録媒体3を支持する領域全体に設けられる。なお、吸引孔8の形状、大きさ、配置等は、ここに例示したものに限定されない。支持部材4の内部には、吸引孔8を通じて記録媒体3を吸引することにより支持部材4の外周面上に記録媒体3を保持する吸着機構としての吸引装置9(図5参照)が設けられている。
【0036】
なお、支持部材4に保持される記録媒体3としては、普通紙、再生紙、光沢紙等の各種紙、各種布地、各種不織布、樹脂、金属、ガラス等の種々の材質からなる記録媒体3が適用可能であるが、ドラム型の支持部材4に巻回できない硬質なものや厚みのあるものは適さない。また、記録媒体3の形態としては、カットシート状のものや図示しない給紙機構から給紙されるロール紙等、支持部材4の外周面上に保持可能な各種形態のものが適用可能である。
【0037】
また、装置架台2の上には、支持部材4の回転軸5とほぼ平行するように支持部材4の軸方向に延在する2本のガイドレール10がほぼ平行して設けられている。ガイドレール10にはキャリッジ13を支持するキャリッジ支持体14が支持されており、キャリッジ支持体14は、例えばリニアモータ等で構成されるキャリッジ移動機構15(図5参照)によりガイドレール10に沿って往復移動可能となっている。なお、キャリッジ支持体14を支持するガイドレール10は2本に限定されない。更に複数のガイドレール10を設けてキャリッジ支持体14を支持するようにしてもよいし、1本のガイドレール10でキャリッジ支持体14を支持する構成としてもよい。
【0038】
キャリッジ支持体14のキャリッジ13を支持する面にはガイドレール10と直交する方向に延在する図示しないガイド部材が設けられている。キャリッジ13は、モータ等によって構成されるキャリッジ退避機構16(図5参照)により、このガイド部材に沿って記録を行う際の記録位置(図1参照)と支持部材4から離間する退避位置(図3参照)との間で移動可能に構成されている。なお、キャリッジ13が退避位置に退避する構成はここに例示したものに限定されない。例えば、キャリッジ13がアーム等によって支持され、このアーム等を動作させることによりキャリッジ13が記録位置と退避位置との間を移動可能な構成としてもよい。
また、キャリッジ支持体14の支持部材4側の端部には、キャリッジ13を前記記録位置に位置決めするための位置決め部材17が設けられている。
【0039】
キャリッジ支持体14に支持されたキャリッジ13には、本実施形態におけるインクジェット記録装置1で使用される各色(例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)。)に対応した記録ヘッド18が互いに長手方向に沿って平行となるように配設されている。記録ヘッド18の一面はインクを吐出するノズル(図示せず)が複数設けられたノズル面(図示せず)となっている。記録ヘッド18は、ノズル面が支持部材4上の記録媒体3に対向するように配置されており、記録ヘッド18から吐出されたインクが、支持部材4上の記録媒体3の所定位置に着弾するように位置調整がなされている。なお、記録ヘッド18の数や配置はここに例示したものに限定されず、他の配置パターンで、より複数の記録ヘッド18を備える構成としてもよい。
【0040】
なお、インクジェット記録装置1で使用されるインクは例示したものに限定されず、例えば、ライトイエロー(LY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)等の色インクや透明インク、白インク等を使用することもできる。この場合には、各色に対応した記録ヘッド18がキャリッジ13に搭載される。
【0041】
また、支持部材4の外周面と対向する位置であって、キャリッジ13に対して回転方向Xの下流側には、支持部材4の軸方向に延在する図示しないガイドレールが設けられている。このガイドレールには、記録媒体3の上に吐出され着弾したインクを硬化定着させる活性エネルギー線として紫外線を照射する照射装置である紫外線照射装置19が支持されており、照射装置移動機構20(図5参照)によりガイドレールに沿って往復移動可能となっている。
【0042】
紫外線照射装置19は、紫外線を照射する紫外線光源21を有している。この紫外線光源21としては、例えば高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、半導体レーザー、冷陰極管、エキシマーランプ、又はLED(Light Emitting Diode)等を適用することが可能であるが、紫外線光源21はここに例示したものに限定されない。
【0043】
さらに、支持部材4の外周面と対向する位置であって、キャリッジ13に対して回転方向Xの上流側には、記録媒体3の少なくとも一部が前記支持部材4から剥離し、浮きや剥がれを生じていることを検出する検出機構22が設けられている。検出機構22の設けられる位置は、支持部材4の回転方向Xにおける最上流に位置する記録ヘッド18よりも、記録媒体の剥離を検出してから支持部材4の回転が停止するまでに必要な制動距離以上上流側である。
【0044】
後述するように、本実施形態において記録媒体3の剥離が検出されると、支持部材4の回転は停止される。すなわち、支持部材4を回転させる回転機構7は、例えば電磁ブレーキ付きのACサーボモータ等(図示せず)で構成されるが、一般的に電磁ブレーキは10msec程度の応答性でモータを停止させることができる。図4は、モータが停止するまでの時間が10msecとした場合における、電磁ブレーキが作動してからモータが停止するまでに支持部材4が回転する距離(以下「制動距離」と称する。)及び電磁ブレーキが作動してからモータが停止するまでに支持部材4が回転する角度(以下「停止角度A」と称する(図1参照)。)と支持部材4の回転数との関係を示したものである。図4に示すように、例えば支持部材4の回転数が60rpmである場合には、制動距離は9.4mmであり、停止角度Aは3.6°であるのに対して、支持部材4の回転数が1000rpmである場合には、制動距離は157.1mmであり、停止角度Aは60°である。
【0045】
記録速度の高速化を図るためには支持部材4の回転数を多くする必要があるが、このように支持部材4の回転数が多くなるほど制動距離が長くなり、停止角度Aも大きくなる。このため、検出機構22によって記録媒体3の剥離が検出された場合に、当該剥離部分が記録ヘッド18に到達する前に支持部材4の回転を停止させてジャムの発生を未然に防ぐためには、支持部材4の回転数が多くなるにしたがってその分検出機構22を記録ヘッド18から離れた位置に配置することが必要となる。他方で、検出機構22が記録ヘッド18から離れ過ぎると、一旦検出機構22によって記録媒体3の剥離の有無を検出しても、記録媒体3が記録ヘッド18に対向する位置まで移動する間に新たに剥離が生じる可能性が大きくなり、剥離の有無を適切に把握することが困難となる。そこで、制動距離、停止角度Aを十分に確保しながら記録媒体3の剥離の有無を適切に把握するためには、支持部材4の回転方向Xにおける最上流に位置する記録ヘッドからの角度が90°以内である位置に検出機構22を配置することが好ましい。
【0046】
検知機構22は、例えば可視光線や赤外線等の光を照射する発光部と当該光を検出する受光部(いずれも図示せず)とから構成される非接触型の光学式センサである。発光部から照射された光を受光部が受光することにより記録媒体3までの距離を測り、これにより記録媒体3が適切に支持部材4の外周面上に支持されているか、浮きや剥がれ等の剥離を生じているかを検出することができるようになっている。なお、剥離が生じているか否かを記録媒体3の全面にわたって適切に検出するためには、検出機構22は記録媒体3の幅方向に複数設けられていることが好ましい。
【0047】
なお、検出機構22は記録媒体3に剥離が生じているか否かを検出可能なものであればよく、その構成、配置はここに例示したものに限定されない。例えば検出機構22として記録媒体3の表面に極近い位置に接触センサを設けて、記録媒体3に浮きや剥がれ等の剥離が生じるとセンサが記録媒体3と接触することにより剥離を検出するようにしてもよい。また、検出機構22として支持部材4の幅方向に向かい合うように発光部と受光部とを設けてもよい。この場合、発光部から支持部材4の周面に沿うように光を照射し、記録媒体3に浮きや剥がれ等の剥離が生じると、発光部から照射された光が記録媒体の浮かび上がった部分により遮断されて、受光部による光の検出が途切れることにより記録媒体3の剥離が検出される。
【0048】
ここで本実施形態に用いられるインクについて説明する。
本実施形態に用いられるインクは、活性エネルギー線としての紫外線が照射されることにより硬化する性質を具備する紫外線硬化型インクであり、主成分として、少なくとも重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)と、光開始剤と、色材とを含むものである。上記光硬化型インクは、重合性化合物としてラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、この両系のインクが本実施形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能である。また、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施形態に用いられるインクとして適用してもよい。しかしながら、酸素による重合反応の阻害作用が少ない又は無いカチオン重合系インクの方が機能性、汎用性に優れるため、特に、カチオン重合系インクを用いることが好ましい。カチオン重合系インクは、少なくともオキセタン化合物,エポキシ化合物,ビニルエーテル化合物等のカチオン重合性化合物と、光カチオン開始剤と、色材とを含む混合物である。
【0049】
次に、図5を参照しつつ、本実施形態におけるインクジェット記録装置1の制御構成について説明する。
【0050】
インクジェット記録装置1には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、各種の制御プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)、画像データ等を一時記憶するRAM(Random Access Memory)(いずれも図示せず)等を備えて構成される制御部30が設けられている。制御部30は、ROMに記録された制御プログラムをRAMの作業領域に展開してCPUにより実行するようになっている。
【0051】
また、インクジェット記録装置1は、記録媒体3の種類や画像記録条件等を入力する入力部31を有しており、入力部31から入力された情報は、制御部30に送られるようになっている。入力部31は、例えばキーボードや操作パネルであり、ユーザは入力部31を操作することにより画像記録に用いる記録媒体3や所望の画像記録速度、解像度等の各種画像記録条件を選択、設定することができるようになっている。
【0052】
また、制御部30は、吸引装置9を動作させて、図示しない搬送機構によって支持部材4まで搬送された記録媒体3を支持部材4の外周面上に保持させるようになっている。
【0053】
さらに、制御部30は、回転機構7を制御して支持部材4を回転させ記録媒体3を一定の速度で回転方向Xに搬送させるとともに、キャリッジ移動機構15を制御してキャリッジ13を回転方向Xと直交する方向に走査させるようになっている。
【0054】
さらに、制御部30には、図示しない外部装置から記録画像に関する画像データが送られるようになっており、制御部30は、送られてきた画像データ及び入力部31から入力された情報等に基づいて、キャリッジ13が一方の方向(移動の往路方向)に移動している間、記録ヘッド18を動作させる。これにより、各記録ヘッド18から適切な吐出量のインクが吐出され、記録媒体3上に所定の画像が記録されるようになっている。
【0055】
また、制御部30は、照射装置移動機構20を制御して紫外線照射装置19をキャリッジ13の移動に追従するように移動させるとともに、紫外線照射装置19を動作させて記録媒体3上に吐出されたインクに対して紫外線を照射させるようになっている。
【0056】
また、制御部30には記録媒体3に剥離が生じているか否かの検出結果が検出機構22から送られるようになっており、制御部30はこの検出結果に応じて各部を制御する。
【0057】
すなわち、制御部30は検出機構22から記録媒体3の少なくとも一部に浮きや剥がれ等の剥離が生じている旨の検出結果が送られると、記録媒体3を支持部材4上に保持した状態を保ち剥離がそれ以上進まないように吸引装置9の吸引力を強くするように制御を行う。また、直ちに紫外線照射装置19の紫外線光源21を消灯させるとともに、回転機構7を制御して電磁ブレーキを動作させ、支持部材4の回転駆動を停止させる。また、キャリッジ退避機構16を制御してキャリッジ13を記録位置から所定の退避位置まで移動させる。さらに、キャリッジ13が退避位置まで移動すると、制御部30は吸引装置9を制御して吸引力を減少又は停止させるようになっている。
【0058】
次に、本実施形態における作用について説明する。
【0059】
図示しない外部装置から入力された画像データがインクジェット記録装置1に送られると、送られた画像データは制御部30のRAM等に記憶される。そして、ユーザにより入力部31から画像記録を開始する信号が入力されると、制御部30は、記録媒体3を支持部材4まで搬送させて吸引装置9により支持部材4の外周面上に保持する。そして、制御部30が回転機構7を制御することにより支持部材4が一定の周速度で回転し記録媒体3が順次回転方向Xの上流側から下流側に搬送される。また、制御部30がキャリッジ移動機構15を制御することによりキャリッジ13を記録媒体3の上を回転方向Xと直交する方向に走査させるとともに、制御部30は各記録ヘッド18を制御することにより、キャリッジ13が移動方向の往路方向に移動する間、所定量のインクを所定の画素に吐出させる。
【0060】
また制御部30は、キャリッジ13の動きに対応して紫外線照射装置19を移動させ、記録媒体3上に吐出されたインクに紫外線照射装置19から紫外線を照射させる。これによりインクが硬化定着し、記録媒体3上に画像が記録される。画像記録が完了すると、記録媒体3は吸引装置9による吸引保持が解除されて支持部材4の外周面上から離間し図示しない排出トレイ等に排出される。
【0061】
支持部材4上に支持された記録媒体3の状態は、随時検出機構22によって検出されている。検出機構22が記録媒体3の少なくとも一部に浮きや剥がれ等の剥離が生じていることを検出すると、制御部30は剥離がそれ以上進まないように吸引装置9の吸引力を強くする。また、制御部30は直ちに紫外線照射装置19の紫外線光源21を消灯させるとともに、回転機構7を制御して電磁ブレーキを動作させ、支持部材4の回転駆動を停止させる。また、キャリッジ退避機構16が動作することによりキャリッジ13が記録位置から所定の退避位置まで移動する。さらに、キャリッジ13が退避位置まで移動すると、制御部30は吸引装置9を制御して吸引力を減少又は停止させて記録媒体3の吸引保持を解除し、ユーザが記録媒体3を保持し直したり、取り除いたりする処理作業を行うことのできる状態とする。
【0062】
記録媒体3の剥離状態が解消され、再度記録に適した状態が回復すると、制御部30がキャリッジ退避機構16を動作させることによりキャリッジ13が記録位置まで移動し、キャリッジ13の支持部材4側の端部が位置決め部材17に突き当たることによって位置決めされる。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、記録媒体3の剥離が検出されると、記録ヘッド18を搭載したキャリッジ13が退避位置に移動するので、記録ヘッド18と支持部材4との間隙を十分に確保して、剥離を生じている記録媒体3を保持し直したり、取り除いたりする等の処理作業を容易に行うことができる。また、記録媒体3の剥離を検出すると、直ちに支持部材4の回転を停止させるとともに、吸引装置9により支持部材4の外周面上に記録媒体3を保持した状態を保ち、記録ヘッド18を搭載したキャリッジ13が退避位置まで退避してから吸引装置9の吸引力を減少させ、又は停止させる。このため、記録ヘッド18が退避するまでに記録媒体3がそれ以上剥離してジャムを生じることを防ぎ、記録ヘッド18と接触しノズル面を損傷したり、ノズル面に施された撥水処理が剥がれたり、記録媒3にインクが付着したりするのを防止することができることができる。
【0064】
また、本実施形態におけるインクジェット記録装置1は、記録媒体3の一部が剥離すると吸引装置9の吸引力を増加させるので、記録媒体3がそれ以上剥離してジャムを生じることを防止することができる。
【0065】
また、検出機構22が支持部材4の回転方向Xにおける最上流に位置する記録ヘッド18よりも、記録媒体3の剥離を検出してから支持部材4の回転が停止するまでに必要な制動距離以上上流側に設けられているので、記録媒体3の剥離箇所が記録ヘッド18に到達する前に支持部材4の回転を停止させることができる。これにより、記録媒体3が支持部材4と記録ヘッド18等との間に詰まってジャムを生じ記録ヘッド18のノズル面を傷つけたり、摩擦により撥水処理が剥がれたりすることを防止して記録ヘッド18を保護することができる。また、インクが記録媒体3に付着することを防止して剥離を生じている記録媒体3を保持し直したり、取り除く等の処理作業を容易にすることができる。
【0066】
また、記録媒体3の剥離が検出されると直ちに紫外線照射装置19の紫外線光源21を消灯するので、剥離した記録媒体3が紫外線照射装置19の熱によって発火する危険を防止することができる。
【0067】
なお、本実施形態においては、吸着機構として吸引装置9を設ける構成としたが、吸着機構は、支持部材4の外周面上に記録媒体3を吸着保持し得るものであればよく、実施形態において例示した構成に限定されない。例えば支持部材4に電圧を印加することにより支持部材4の外周面に静電気を発生させて記録媒体3を外周面上に静電吸着させる構成のものを適用してもよい。
【0068】
また、本実施形態においては、支持部材4の周面に複数の吸引孔8を設けて、この吸引孔8から記録媒体3を吸引することにより記録媒体3を支持部材4上に保持するにしたが、図6(a)に示すように、吸引孔8と吸引孔8とを結ぶように溝25を設けてもよい。このように吸引孔8と吸引孔8との間に溝25を設けることにより、吸引面積を大きくすることができ、吸引装置9の吸引力を大きくしなくてもより強力に吸引を行うことができる。この場合には、溝25を設けない場合と比較して吸引孔8の数を少なくしても大きな吸引力を確保することが可能となる。なお、溝25の形状等は図示例に限定されない。
【0069】
また、吸引孔8の形状、大きさ、配置等は本実施形態において例示したものに限定されない。支持部材4上に保持された記録媒体3は、ほとんどの場合端部から剥離する。このため、例えば図6(b)に示すように、画像記録に使用される記録媒体3の大きさに合わせて、記録媒体3の端部にあたる部分により多くの吸引孔8を設けるようにしてもよい。また、記録媒体3の端部にあたる部分に設けられる吸引孔の径を他の部分の吸引孔よりも大きくすることにより、記録媒体3の端部にあたる部分の吸引力を大きくするようにしてもよい。さらに、この場合、記録媒体3の端部にあたる部分に設けられる吸引孔、又は全ての吸引孔について、各吸引孔の間に図6(a)に示したような溝を設けて吸引面積を大きくし、吸引力をより大きくするように構成してもよい。
【0070】
また、本実施形態においては、記録媒体3の剥離を検出した後に吸引装置9の吸引力を大きくすることにより記録媒体3を支持部材4上に保持するように構成したが、記録媒体3の剥離を検出してもそのままの吸引力を維持するようにしてもよい。また、剥離を検出すると直ちに吸引装置9を停止させるようにしてもよい。吸引装置9は停止指示を受けた後もしばらくの間ファンが回転し吸引圧が発生している。このため、このように記録媒体3の剥離検出後に直ちに吸引装置9を停止させるように構成してもしばらくの間は記録媒体3を支持部材4上に保持することが可能であり、記録媒体3と記録ヘッド18のノズル面との接触を防止することができる。
【0071】
また、本実施形態においてインクジェット記録装置1は、キャリッジ13に搭載された記録ヘッド18を支持部材4の軸方向に往復移動させるとともに、記録媒体3を回転方向Xに搬送させながら、各記録ヘッド18からインクを吐出させて、画像を形成するシリアルプリント方式のインクジェット記録装置1としたが、記録媒体3の全幅にわたって配置された記録ヘッドからインクを吐出させるとともに、記録媒体3を搬送させながら、画像を形成するラインプリント方式のインクジェット記録装置としてもよい。この場合には、例えば、各色のインクに対応した記録ヘッドを支持板上に固定してユニット化し、記録媒体の剥離が検出されたときにはユニットごと記録ヘッドを所定の退避位置まで移動させるように構成する。なお、この場合、紫外線照射装置19は、記録ヘッドと同様に記録媒体3の全幅にわたって配置されるように設けてもよいし、シリアルプリント方式の場合と同様に記録媒体3の幅方向に移動可能に構成し、記録媒体3の幅方向に往復移動しながら紫外線を照射するようにしてもよい。
【0072】
また、本実施形態においては、キャリッジ13を一方向(支持部材の軸方向の往路方向)に移動させるときのみに記録ヘッド18からインクを吐出させる構成としたが、往路方向、復路方向のいずれに走査する際にもインクを吐出させ記録を行う構成としてもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、検出機構22が記録媒体3の少なくとも一部に浮きや剥がれ等の剥離が生じていることを検出すると、直ちに紫外線照射装置19の紫外線光源21を消灯させるようにしたが、記録媒体3に対する熱の影響がなくなる程度に光量を抑えることができればよく、必ずしも紫外線照射装置19の紫外線光源21を全て消灯させなくてもよい。例えば、光量を半分に抑えるように制御したり、紫外線光源21が複数の光源から構成されているときは、そのうちの一部を間引いて点灯させる等により全体としての光量を記録媒体3に対する熱の影響がなくなる程度に抑えるようにしてもよい。
【0074】
また、本実施形態においては、活性エネルギー線として紫外線を照射することにより硬化するインクを用いて画像記録を行うものとしたが、インクは必ずしもこれには限定されず、例えば、電子線、X線、可視光線、赤外線等の電磁波といった紫外線以外の光を照射することにより硬化するインクであってもよい。この場合、インクには、紫外線以外の光で重合して硬化する重合性化合物と、紫外線以外の光で重合性化合物同士の重合反応を開始させる光開始剤とが適用される。また、紫外線以外の活性エネルギー線で硬化する活性エネルギー線硬化型のインクを用いる場合は、紫外線照射装置に代えて、その活性エネルギー線を照射する照射装置を適用する。さらに、活性エネルギー線を照射することなく硬化するインクを用いてもよく、この場合には、照射装置を設ける必要がない。
【0075】
また、本発明によるインクジェット記録装置1で使用する記録ヘッド18は、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、例えば、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(登録商標)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)等のうち、いずれの吐出方式を用いても構わない。
【0076】
その他、本発明が上記実施の形態に限らず適宜変更可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の一実施形態の要部構成を示した側面図である。
【図2】図1に示したインクジェット記録装置に適用される支持部材を示した斜視図である。
【図3】図1に示したインクジェット記録装置においてキャリッジが退避位置に移動した状態を示した側面図である。
【図4】支持部材の回転数と制動距離及び停止角度の関係を示した表である。
【図5】本実施の形態に係るインクジェット記録装置の制御構成の概略を示した要部ブロック図である。
【図6】図6(a)及び図6(b)は、図2に示した支持部材の変形例を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
1 インクジェット記録装置
3 記録媒体
4 支持部材
7 回転機構
9 吸引装置
13 キャリッジ
14 キャリッジ支持体
15 キャリッジ移動機構
16 キャリッジ退避機構
17 位置決め部材
18 記録ヘッド
19 紫外線照射装置
22 検出機構
30 制御部
A 停止角度
X 回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面上に記録媒体を支持して一定の周速度で回転可能な円筒状の支持部材と、
前記支持部材の外周面上に記録媒体を吸着保持する吸着機構と、
記録媒体にインクを吐出して記録を行う記録ヘッドと、
前記支持部材上に支持された記録媒体の少なくとも一部が前記支持部材から剥離したことを検出する検出機構と、
前記検出機構が記録媒体の剥離を検出すると直ちに前記支持部材の回転を停止させるとともに、記録媒体を前記支持部材の外周面上に保持するように前記吸着機構を制御する制御部を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記支持部材は中空であり、前記支持部材の周面には外面から内面に貫通する複数の吸引孔が穿設され、
前記吸着機構は、前記支持部材の内部から前記吸引孔を通じて記録媒体を吸引することにより前記支持部材の外周面上に記録媒体を保持する吸引装置であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記記録ヘッドは、記録を行う記録位置と支持部材から離間する退避位置との間を移動可能であり、
前記制御部は、記録媒体の剥離検出後、前記記録ヘッドが前記退避位置まで退避した後に記録媒体を吸着保持する吸着力を減少させ、又は停止させるように前記吸着機構を制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、記録媒体の剥離検出後、記録媒体を吸着保持する吸着力を増加させるように前記吸着機構を制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記検出機構は、前記支持部材の回転方向における最上流に位置する前記記録ヘッドよりも、記録媒体の剥離検出後、前記支持部材の回転が停止するまでに必要な制動距離以上上流側に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記インクは、活性エネルギー線の照射により硬化するものであり、
記録媒体に着弾した前記インクに活性エネルギー線を照射する照射装置を備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、記録媒体の剥離検出後、直ちに前記照射装置を消灯することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記インクは、紫外線を照射することによって硬化する紫外線硬化型インクであり、前記照射装置から照射される活性エネルギー線のうち少なくとも一部は紫外線であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−185922(P2007−185922A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−7753(P2006−7753)
【出願日】平成18年1月16日(2006.1.16)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】