説明

インクジェット記録装置

【課題】気流の乱れの発生を抑制し、吐出した主滴、小液滴およびサテライトの着弾位置が記録領域の全ての部分で所望の位置に着弾し、記録画像の記録品位低下を抑制することができるインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】回復装置10にプラテン7上を通過中の記録媒体13と略同じ高さ位置にシャッタ9を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドがインクを吐出しながら往復移動することで記録を行うインクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータで作製された画像や、デジタルカメラ等の撮像装置で撮像された画像の出力装置として、記録ヘッドが往復移動しながらインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置が広く用いられている。このインクジェット記録装置は、小型かつ安価な構成で銀塩写真に匹敵する高品位な画像の形成することができる。またインクジェット記録装置は、現在では銀塩写真と同様に、記録媒体の端部に余白を設けずに記録媒体の全面に記録を行う、いわゆる縁無し記録も可能であり、写真専用のコンパクト型インクジェット記録装置も実現されている。
【0003】
インクジェット記録装置では、記録の際に吐出されるインク滴は、記録媒体に着弾する主滴と、その主滴を形成する過程で主滴から分離した小さなインク滴である、いわゆるサテライトとに分けられる。このサテライトを形成する小さなインク滴は、主滴と一体となって同時に吐出されたものであり、その主滴とインク吐出口のメニスカスとの間の張力によって、主滴の後側に尾の部分が生じ、その尾の部分が表面張力で球形状になろうとして分離したものである。
【0004】
また特許文献1には、プラテンのいずれか一端または両端に、記録ヘッドのインク吐出口から記録に寄与しないインクを吐出する予備吐出を受けるための受け口を設け、予備吐出以外の時はその受け口を閉鎖可能なシャッタに関する技術が記載されている。このようにシャッタを設けることで、インクを吐出する際に発生したサテライト等が記録ヘッドの吐出口面に付着して吐出性能を低下させることを防止している。
【0005】
【特許文献1】特開平11―342636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
記録を行う際に記録ヘッドが往復移動すると、その移動に伴って移動方向に気圧差が生じ、記録ヘッドと記録媒体との間に、気圧差による気流が発生する。
【0007】
図1は、記録ヘッドがホームポジションHP側にある時の気流の流れがわかるように示したインクジェット記録装置の一部の模式的断面図である。記録ヘッドを搭載したキャリッジ3が矢印F方向に走査するとき、ホームポジションHP側に予備吐出受け口等の大きな凹凸があると、その凹凸によって気流の流れが乱れる。図1の場合は、特にポイントAにおいて段差の低くなった方へ引き込まれる気流が発生する。
【0008】
吐出するインク液滴が大きければ、気流の影響をそれほど受けずに記録媒体13に着弾する。しかし、近年の記録の高画質に伴うインクの小液滴化により、小インク滴、特にはその小インク滴から発生するサテライトが気流の影響を受け、記録媒体13の縁部分でサテライトの着弾乱れが起こってしまい、画像に弊害が出るという問題が生じている。
【0009】
図2は、主滴とサテライトが記録媒体13に着弾した様子を、図1のポイントA付近でのものと、その他の位置(ポイントA以外の位置で、例えば記録媒体13の中心付近)でのものとで比較した模式図である。ここで主滴の直径は35μm、サテライトの直径は25μmとする。その他の位置では、往方向記録では主滴DとサテライトD’の中心間距離が30μm、復方向記録では主滴DとサテライトD’の距離が32μmとなり、どちらも主滴とサテライトとが重なることがない。しかし、ポイントAでは、主滴DAとサテライトDA’の中心間距離は18μm、主滴DAとサテライトDA’は25μmであり、図からもわかるように主滴とサテライトとが重なっている。このように、段差による気流の影響で、ポイントAの位置とその他の位置とでは、サテライトと主滴との位置関係が異なる。
【0010】
一般的に、往方向と復方向の双方向記録を行う場合、記録ヘッドの往方向走査と復方向走査との同色インクの着弾位置ずれを補正するために、レジストレーション(以下、レジともいう)の調整が必要である。サテライトを含めてレジを合わせる時は、主滴とサテライトとの中心間距離の中点をレジの重心と定義して、往方向記録と復方向記録の重心同士を合わせる。このようにすることで、往方向記録の主滴に復方向記録のサテライトが、往方向記録のサテライトに復方向記録の主滴が、乗る配置となるようにレジの調整を行うことができる。
【0011】
その他の位置に吐出されたインク滴では、往方向記録、復方向記録共にサテライトが主滴と分離しているので、レジの重心は互いに主滴とサテライトの中心間距離の中点とすればよい。ポイントAでは往方向記録のドットでは、サテライトが主滴に重なっていて見えないため、レジの重心は主滴の中心とする。また復方向記録では、主滴とサテライトとの中心間の中点をレジの重心とする。
【0012】
このように、段差による気流の影響で、ポイントAの位置とその他の位置とでサテライトと主滴との位置関係が異なることから、往方向と復方向とでレジの重心が異なる。レジをその他の位置に合わせて調整するとポイントAでレジが合わなくなり、逆にポイントAに合わせてレジ調整を行うと、その他の位置でレジが合わなくなる。これによって、ポイントAとその他の位置とでレジに差が生じて、これが画像品質の低下を引き起こす。
【0013】
図1では、インクジェット記録装置のホームポジションHPを模式的に表わしているが、実際のホームポジションHPには、インクの吐出状態を適正に保つために、キャップ、予備吐出受け口、ワイパなどのメンテナンス手段が走査領域内に備えてある。そして、これらによる凹凸によって気流が乱れ、この気流の乱れが小液滴に大きな影響を与える。
【0014】
特許文献1の技術も記録時に発生する気流の乱れについては考慮されていない構成であるため、気流の乱れが発生して小液滴に影響を与える可能性がある。
【0015】
よって本発明は、気流の乱れの発生を抑制し、吐出した主滴、小液滴およびサテライトの着弾位置が記録領域の全ての部分で所望の位置に着弾し、記録画像の記録品位低下を抑制することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
そのため本発明にインクジェット記録装置は、インクを吐出する吐出口を備えた記録ヘッドを往復移動させて、記録媒体に記録を行う記録部と、前記記録ヘッドの移動範囲において前記吐出口と対向する搬送面を通して、前記記録媒体を搬送する搬送部と、を備えたインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドの移動範囲において前記吐出口と対向し、かつ前記搬送面と隣接する位置に、前記記録ヘッドの吐出状態を良好に維持するための回復部を備え、前記回復部の上部に前記搬送面との間の段差を小さくする部材を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、記録ヘッドの移動範囲において吐出口と対向し、かつ搬送面と隣接する位置に、記録ヘッドの吐出状態を良好に維持するための回復部を備え、回復部の上部に搬送面との間の段差を小さくする部材を備える。こうすることで、気流の乱れの発生を抑制し、吐出した主滴、小液滴およびサテライトの着弾位置が記録領域の全ての部分で所望の位置に着弾し、記録画像の記録品位低下を抑制することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
【0019】
(本体構成)
図4は、本発明のインクジェット記録装置(以下、単に記録装置ともいう)の構成を示す斜視図であり、図5は図4の記録装置を正面から見た模式的断面図である。
【0020】
本発明の記録装置1は、キャリッジ駆動用の駆動モータ2と、記録ヘッド4を搭載し、ガイドシャフト5に沿って左右方向に往復移動するキャリッジ3とを備えた記録部と、駆動モータ2によりキャリッジ3を往復移動する移動部6とを備えている。また、記録装置1は、予備吐出で吐出されたインクを受ける予備吐出受け8が形成されたプラテン7と、記録ヘッド4の吐出回復処理を行うクリーニング装置のような回復装置10と、回復装置10を開閉するためのシャッタ9とを有している。さらに本発明の記録装置1は、移動部6と他の作動機構等とがキャリッジ駆動用の駆動モータ2を利用して駆動されるように好適に構成されている。
【0021】
このような記録装置1において記録媒体13は、給紙機構11によってプラテン7上に送り込まれて、プラテン7上で記録ヘッド4によって記録媒体13の上に所定の記録が行われる。キャリッジ3に装着される記録ヘッド4は、インクを収納するインクタンク12と別体または一体化されたものであり、記録ヘッド4が搭載されるキャリッジ3に着脱自在に保持されている。
【0022】
キャリッジ3は、キャリッジ駆動用の駆動モータ2の駆動力を伝達する移動部6であるタイミングベルト14の一部に連結されており、ガイドシャフト5に沿って左右の走査方向に摺動自在に設けられている。そしてキャリッジ3は、キャリッジ駆動用の駆動モータ2の駆動力によって矢印Bの主走査方向に往復移動されると同時に、記録ヘッド4に記録信号が与えられてインクが吐出される。搬送部によってプラテン7上に搬送された記録媒体13には、このような動作によって良好な記録を行うことが可能な構成となっている。
【0023】
記録ヘッド4を搭載するキャリッジ3が往復運動する走査範囲の中で、プラテン7上を通過中の記録媒体13より外の位置は、平面構成となっており、その面の高さはプラテン7上を通過中の記録媒体13の被記録面と略同じ高さとなっている。この構成は予備吐出位置も同様であり、そこには記録媒体13の被記録面と略同じ高さに予備吐出受け8が設けられている。予備吐出受け8は、インクの予備吐出受け口として後述の廃インク吸収体21と同じような部材、もしくは多孔質体でありかつ剛性を有するような部材で構成されているのがよい。
【0024】
また、プラテン7の下方には、ウレタンやポリウレタン、不織布、或いは他の適宜なインク吸収性の材料から成る廃インク吸収体21が設けられている。従って、予備吐出位置において、記録ヘッド4のインク吐出口面15より予備吐出受け8内に予備吐出されたインクはプラテン7の下に設置された廃インク吸収体21によって好適に吸収され、回収または再利用されるようになっている。
【0025】
記録装置1は、記録ヘッド4のための適宜な回復装置10が、記録ヘッド4を搭載するキャリッジ3の記録動作における往復運動の走査範囲内の端部に設けられている。この回復装置10は、記録ヘッド4のインク吐出口面15をキャッピングするキャップ部材16と、ゴムのような弾性部材から成るワイパ部材17とを有している。
【0026】
(制御構成)
図6は、本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。CPU600は、メインバスライン605を介して、後述する各部の制御およびデータ処理を実行する。すなわち、CPU600は、ROM601に格納されるプログラムに従い、ヘッド駆動制御、キャリッジ駆動制御およびデータ処理を以下に説明する各部を介して制御する。RAM602はこのCPU600によるデータ処理等のワークエリアとして用いられ、また、これらメモリにはその他にハードディスク等がある。
【0027】
画像入力部603はホスト装置(不図示)とのインターフェースを有し、ホスト装置から入力した画像を一時的に保持する。画像信号処理部604は、色変換、二値化等の外、データ処理を実行する。操作部606はキー等を備え、これによりオペレータによる制御入力等を可能にする。回復系制御回路607ではRAM602に格納される回復処理プログラムに従って予備吐出等の回復動作を制御し、回復系モータ608は、記録ヘッド4とこれに対向離間するクリーニングブレード609やキャップ610、吸引ポンプ611を駆動する。
【0028】
ヘッド駆動制御回路615は、記録ヘッド4のインク吐出用電気熱変換体の駆動を制御し、通常、予備吐出や記録のためのインク吐出を記録ヘッド4に行わせる。さらに、キャリッジ駆動制御回路616および紙送り制御回路617も同様に、プログラムに従い、それぞれ、キャリッジの移動および紙送りを制御する。
【0029】
また、記録ヘッド4のインク吐出用の電気熱変換体が設けられている基板には、保温ヒータが設けられており、記録ヘッド内のインク温度を所望設定温度に加熱調整することができる。またサーミスタ612は、同様に上記基板に設けられているもので、実質的な記録ヘッド内部のインク温度を測定するためのものである。サーミスタ612も同様に基板にではなく外部に設けられていても良く記録ヘッドの周囲近傍にあってもよい。
【0030】
(特徴的構成)
図7は、本発明のインクジェット記録装置1を側面から見たときの回復装置10の断面図である。本実施形態の記録装置1は、プラテン7上を通過中の記録媒体13と略同じ高さ位置にシャッタ9を備えている。シャッタ9は、記録中に記録ヘッドの吐出口を備えた面と対向する、記録媒体搬送領域以外の領域に設けられた回復装置10を覆うように設けられ、ワイパ部材17と一体になっており、リードスクリュ18に連結されている。記録動作中は、リードスクリュ18が回復系モータ(不図示)によって回転されることで、ワイパ部材17が迫り出して、回復装置10が閉じられた状態となり、プラテン7上を通過中の記録媒体13と略同じ高さの平面になるよう維持される。記録ヘッド4のクリーニングを行うときは、シャッタ9が開けられて、上記第2の実施形態と同様の吐出回復処理が行われた後、再び閉じられる。また、記録終了時等には、シャッタ9が開けられて、記録ヘッド4のインク吐出口面15をキャップ部材16がキャッピングして記録ヘッド4の回復保護を図ることができる。
【0031】
シャッタ9を設けた事で、記録ヘッド4のインク吐出口面15と対向する部分の段差が無くなり、平坦化されたことで気流の乱れが少なくなり、小液滴やサテライトに与える影響を抑制することができた。
【0032】
図3は、シャッタ9を設けた記録装置で記録を行った場合の主滴とサテライトが着弾した様子を示した図である。シャッタを設ける前より中心間距離が長くなっていることがわかる。よって、ポイントAとその他の部分とでレジが大きく異なることが無く、記録結果に及ぼす影響が少なくなった。
【0033】
なお、シャッタ9上に予備吐出も可能で、予備吐出受け8と同様に予備吐出されたインクを適宜プラテン7の下に設置された廃インク吸収体21に送り、回収または再利用されるようになっている。そのためシャッタ9はインクの予備吐出受け口として廃インク吸収体21と同じような部材、もしくは多孔質体でありかつ剛性を有するような部材で構成されているのがよい。またシャッタ9は予備吐出される位置のみが上記部材で構成されてもよい。
【0034】
このように、回復装置10にプラテン7上を通過中の記録媒体13と略同じ高さ位置にシャッタ9を設けることで、記録中にキャリッジ3が往復移動することによって発生する気流の乱れを少なくして、小液滴の着弾位置に気流が与える影響を抑制することができた。
【0035】
その結果、吐出した主滴とサテライトの着弾位置が記録領域の全ての部分で所望の位置に着弾し、記録画像の記録品位低下を抑制することができた。
【0036】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本体構成や制御構成等の基本的な部分は第1の実施形態と同様であるため説明を省略し、特徴的構成のみ説明する。
【0037】
図8は、本実施形態の記録装置を正面から見た模式的な断面図である。本実施形態では記録装置は、第1の実施形態のシャッタ9のような部材は備えていない。代わりに上下動するキャップ部材16が平坦部を形成して第1の実施形態のシャッタ9と同様の働きをする。以下にその説明を行う。
【0038】
キャップ部材16は、記録動作中の気流の乱れを防ぐために記録媒体13と略同じ高さまで昇降し、プラテン7上を通過中の記録媒体13と略同じ平坦部が形成されるように維持される。記録ヘッド4のクリーニングを行うときは、ワイパ部材17により記録ヘッド4のインク吐出口面15を払拭してクリーニングした後に、キャップ部材16によって記録ヘッド4のインク吐出口面15をキャッピングする。そして、回復装置10内に設けられた適宜な吸収手段によって残留インクを吸収するか、或いは記録ヘッド4のインク供給経路に設けられた適宜な加圧手段によってインクの圧送等を行って、インクをインク吐出口から強制的に排出させて吐出回復処理が行われる。また、記録終了時等に、記録ヘッド4のインク吐出口面15をキャッピングして、長期間の不使用状態によってインクが乾燥して、吐出口近傍で凝固するのを防ぐこともできる。
【0039】
このように、キャップ部材16を通過中の記録媒体13と略同じ高さ位置で保持して、平坦面を形成することで、記録中にキャリッジ3が往復移動することによって発生する気流の乱れを少なくして、小液滴の着弾位置に気流が与える影響を抑制することができた。
【0040】
その結果、吐出した主滴とサテライトの着弾位置が記録領域の全ての部分で所望の位置に着弾し、記録画像の記録品位低下を抑制することができた。
【0041】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。なお、本体構成や制御構成等の基本的な部分は第1および第2の実施形態と同様であるため説明を省略し特徴的構成のみ説明する。
【0042】
図9は、本実施形態の記録装置を正面から見た模式的な断面図である。本実施形態では記録中に記録ヘッドの吐出口を備えた面と対向する、記録媒体搬送領域以外の領域を平坦化するために、予備吐出受け8を用いている。以下にその構成について説明する。
【0043】
記録中に記録ヘッドの吐出口を備えた面と対向する、記録媒体搬送領域以外の領域では、吐出口の吐出状態を良好に維持するために、記録に寄与しない吐出である予備吐出が行われる。そのため、プラテン7の両脇の予備吐出が行われる位置には、吐出されたインクを吸収可能な予備吐出受け8が設けられている。この予備吐出受け8は、記録中の記録媒体の記録面と実質的に略同じ高さとなっており、記録中に記録ヘッドの吐出口を備えた面と対向する、記録媒体搬送領域以外の領域に平坦面を形成している。
【0044】
また、プラテン7の下方には、ウレタンやポリウレタン、不織布、或いは他の適宜なインク吸収性の材料から成る廃インク吸収体21が設けられている。従って、予備吐出位置において、記録ヘッド4のインク吐出口より予備吐出受け8に吐出されたインクは、伝達部22を経由してプラテン7の下に設置された廃インク吸収体21によって好適に吸収され、回収または再利用されるようになっている。
【0045】
このように、予備吐出受け8によって記録中に記録ヘッドの吐出口を備えた面と対向する、記録媒体搬送領域以外の領域に平坦面を形成する。これによって、記録中にキャリッジ3が往復移動することによって発生する気流の乱れを少なくして、小液滴の着弾位置に気流が与える影響を抑制することができた。
【0046】
その結果、吐出した主滴とサテライトの着弾位置が記録領域の全ての部分で所望の位置に着弾し、記録画像の記録品位低下を抑制することができた。
【0047】
(他の実施形態)
記録中に記録ヘッドの吐出口を備えた面と対向する、記録媒体搬送領域以外の領域は、ほぼ平面であることが望ましく、かつその平面が、記録媒体13と実質的に平行であればよい。
【0048】
また、回復装置10がプラテン7に組み込まれていても良い。その場合、キャップ部材16は上昇させる必要はなく、記録媒体13がシャッタ9の役割を果たすため、記録動作中における走査方向領域内を略平坦面にすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】記録ヘッドがホームポジションHP側にある時の気流の流れがわかるように示した模式的断面図である。
【図2】主滴とサテライトが記録媒体に着弾した様子を、模式に表わした図である。
【図3】シャッタを設けた記録装置で記録を行った場合の主滴とサテライトが着弾した様子を示した図である。
【図4】本発明のインクジェット記録装置の構成を示す斜視図である。
【図5】図4の記録装置を正面から見た模式的断面図である。
【図6】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図7】本発明のインクジェット記録装置を側面から見たときの回復装置の断面図である。
【図8】第2実施形態の記録装置を正面から見た模式的な断面図である。
【図9】第3の実施形態の記録装置を正面から見た模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0050】
3 キャリッジ
4 記録ヘッド
5 ガイドシャフト
7 プラテン
8 予備吐出受け
9 シャッタ
10 回復装置
13 記録媒体
14 タイミングベルト
16 キャップ部材
17 ワイパ部材
21 廃インク吸収体
600 CPU
601 ROM
602 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する吐出口を備えた記録ヘッドを往復移動させて、記録媒体に記録を行う記録部と、前記記録ヘッドの移動範囲において前記吐出口と対向する搬送面を通して、前記記録媒体を搬送する搬送部と、を備えたインクジェット記録装置において、
前記記録ヘッドの移動範囲において前記吐出口と対向し、かつ前記搬送面と隣接する位置に、前記記録ヘッドの吐出状態を良好に維持するための回復部を備え、
前記回復部の上部に前記搬送面との間の段差を小さくする部材を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記部材は、前記回復部を覆うシャッタであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記部材は、前記回復部に備えられた、前記記録ヘッドに対して吸引を行うキャップ部材であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記部材は、前記回復部に備えられた、前記記録ヘッドの吐出状態を良好に保つために行われる予備吐出で吐出されたインクを吸収可能な予備吐出受けであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記シャッタは、前記回復部を覆っているときには、前記記録ヘッドの吐出状態を良好に保つために行われる予備吐出で吐出された、記録に寄与しないインクを受けることが可能に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記部材は、記録中の前記記録媒体の記録面と平行な面を備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記キャップ部材は、上下動が可能であり、上部へ移動した際に前記記録媒体の搬送領域と前記回復部とからなる段差を小さくすることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記予備吐出受けに吐出されたインクは伝達部を経由して、前記記録媒体を搬送する搬送部の下に設けられた廃インク吸収体に吸収されることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−45773(P2009−45773A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211906(P2007−211906)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】