説明

インクジェット記録装置

【課題】 インクジェットプリンタのクリーニング・吸引回復におけるインクの吸引量を適正に管理する。
【解決手段】 既存のセンサを用いて吸引期間中の廃インクの流出パターンを測定できるような配管配置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に画像を形成するインクジェット記録装置の回復制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
正確な印字を維持する為には、正常なインク吐出状況を維持しなくては成らない。この為にインクジェットプリンタではクリーニング・吸引回復を行って、正常なインク吐出状態を維持してきた。
【0003】
ところが、吸引回復動作には大量のインクを必要とし、その量はプリンタが排出する全廃インク量中で占める割合も大きい。よって、できるだけ少量のインクで吸引回復動作を行うために、吸引するインク量を精度良く管理したい。しかしながら、被吸引量の正確な測定は吸引による気泡の混入のため難しかった。
【0004】
このような課題に対し、ポンプ制御だけでは正確な流量が確保できない為、加圧供給とした上で、供給インクの流量測定を行い適切な流量を維持する技術がある。(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2000-326523号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
文献1による技術は、吸引中のインク供給系での流量を正確に計測し、その計測結果に基づいて吸引量の調整を行う事で、ポンプ機能の劣化を想定して初めから余分に吸引する事を回避する提案であった。しかしながら、インク供給箇所が複数ある場合には、それぞれに流量計測手段が必要となり、昨今のインク色数が増加傾向にあるインクジェットプリンタにおいてはコストアップを招き好ましくない。
【0006】
よって、供給側ではなくインク吸引側における吸引量の正確な管理が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインクジェット記録装置は、上記課題を解決するため、
センサを備えたキャリッジユニットと、前記センサの検知範囲内に配置された廃インク排出経路とを備え、前記センサの廃インク検知状況に応じてポンプをONOFFする回復ユニットを備えることを特徴としている。さらに、前記センサ検知範囲内に配置された廃インク排出経路はキャッピング位置よりも低い位置に配置され、前記廃インク排出経路は少なくともセンサ検知範囲では外部から内部のインクが見える部材で構成され、吸引動作中に検知動作を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、廃インクの流れそのものを直接センサで見るため、必要最低限の吸引動作を行なうことができる。従来のように、吸引状況に拘わらず所定の吸引を確保するため多めに吸引していた場合に比べ、廃インクを低減してムダを減らす事が可能である。
【0009】
さらに、検知や調整パターン読取用の既存のセンサを用い、吸引期間中のインクの流出パターンを測定できる様に廃インクチューブを配置することで、測定に関するコストアップが抑えられる。
【0010】
また、吸引行為毎に「期待される泡混じりの流出パターン」と比較する事で、適正な吸引行為の完了を検知してムダな吸引に依る廃インクを低減し、流出パターンの異常によって機構的な異常事態を正しく判定して適正な処置に繋げる事が可能になる。
【0011】
数ページ毎に行われるヘッド内の気泡を抜くための回復動作に関しては、記録ヘッドからのインク流出を検知して所定量のインク吸引を確実とする。また、記録ヘッドやインクの交換時に行われるインク充填に於いては、インク供給弁に連動した流出パターンを検出する事で、キャップ汚れに依る外乱を排除した充填検知が可能である。
【0012】
また、インクの流出パターンに基づいた検知のため、チューブ読取部が多少汚れても廃インクの流出状態を検知可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の実施の形態を示す装置の構成図である。また、図2は内部ブロック図である。
【0015】
図1において、2はマルチセンサであり、LEDとフォトダイオードにより構成される反射タイプのセンサである。マルチセンサ2は、通常印字時には、用紙幅検知及び用紙先端検知の役目を担うと共に、通常印字前に行う印字調整時には、印字された調整用パターンの読み取りを行う。3は記録ヘッドであり記録紙への印字を行う。1はマルチセンサ2及び記録ヘッド3が実装されたキャリッジユニットである。
【0016】
11はキャリッジユニット搬送装置であり、キャリッジユニット1を主走査方向に搬送する。キャリッジユニット搬送装置11には、キャリッジユニット1を動かすためのローラ、ギア、モータ、レール、ベルトなど搬送に必要な部品一式が含まれるものとする。
【0017】
12は記録紙である。13はプラテンであり、その上を記録紙12が搬送され記録ヘッド3による印字が行なわれる。15は記録紙搬送装置であり、記録紙12を副走査方向へ搬送するためのローラ、ギア、モータ、ベルトなど必要な部品一式が含まれるものとする。
【0018】
17は回復ユニットであり、記録ヘッド3の表面を拭くワイピング機構(不図示)や記録ヘッド3の表面を密閉するキャップ機構、記録ヘッド3のノズルからインクを吸引するためのポンプ機構を有する。以下に各機構のための構成を記載する。
【0019】
5はキャップである。4は吸収体であり、キャップ5内に配置される。10は昇降装置であり、9は回復モータである。回復モータ9は昇降装置10と接続され、キャップ5を上下移動させてキャッピング動作を行なう。また、6は廃インクチューブであり、キャップ5と接続されている。7はポンプ機構であり、廃インクチューブ6の一部に配置され、同じく回復モータ9によって吸引動作が行われる。この吸引動作によってキャップ5内に残ったインクと記録ヘッド3内のインクを吸引する。回復モータ9は正転逆転によって、それぞれキャッピング動作と吸引動作を行なう。8は廃インクタンクであり、吸引された廃インクは廃インクチューブ6を通って廃インクタンク8に溜められる。
【0020】
14はチューブ読取部であり、マルチセンサ2の検出範囲に配置されている。また、上下方向については、記録ヘッド3を塞ぐ位置までキャップ5を上昇させた位置において、チューブ読取部14の方がキャップ5の上面よりも下方に位置するよう配置されている。
【0021】
16はインク供給ユニットであり、インクタンクユニット(不図示)と記録ヘッド3をインクチューブ(不図示)等で接続し、インクを供給する。インクチューブの途中に弁機構(不図示)があり、記録ヘッド3の交換や、インクタンクの交換時等に弁を閉じることでインクチューブや記録ヘッド3からのインク漏れを防止している。尚、この弁機構を動かす駆動源としてモータ(不図示)と弁の開閉状態を検知するための位置センサであるフォトインタラプタ(不図示)を使用している。
【0022】
次に、図2を用いてプリンタ内部の構成を詳細に説明する。
【0023】
図2において、27は、印字する画像データやコマンド等を供給するパソコン(PC)であり、26は、パソコンからの画像データやコマンド、パラメータ、画像処理LUT(ルックアップテーブル)等の受信を行い、受け取った画像データをコマンドやパラメータ、画像処理LUTに応じて印字するインクジェットプリンタである。
【0024】
パソコン27は、一般的なものであり、キーボードやディスプレイを有し、ユーザーとのインターフェースをアプリケーションソフトやプリンタドライバ(インクジェットプリンタ26のため)や専用プリンタ制御ソフト(RIP等)で実現している。
【0025】
20はプリンタの全体を制御するための制御ユニットである。1は、キャリッジユニットであり、11はキャリッジユニット搬送装置である。15は記録紙搬送装置15、16はインク供給ユニット、3は記録ヘッドである。17は回復ユニットであり、記録ヘッド3の表面のクリーニングやインク吸引、インク滴吐出等を行なうことで記録ヘッド3を良好な状態に回復させる。18は記録ヘッド3の電源や制御ユニット20の電源や各ユニットの電源を供給する電源ユニットである。19はキースイッチ(不図示)やLCD(不図示)を有する操作パネル部である。
【0026】
キャリッジユニット1は、記録ヘッド3を取り外しできる機構を有し、電気的な接点や、インクを供給するチューブ等のジョイント部、記録ヘッド3を支持固定する部材、キャリッジユニット搬送装置11との接続部を有する。(不図示)また、キャリッジユニット1はキャリッジユニット搬送装置11のレール(不図示)等で支持される。さらに、キャリッジユニット1にはエンコーダセンサ(不図示)が搭載される。キャリッジユニット搬送装置11にはエンコーダ用のリニアスケール(不図示)が主走査方向に張られ、キャリッジユニット1に搭載された記録ヘッド3の位置を検出し、移動速度も制御できる。
【0027】
記録紙搬送装置15も、紙等の記録媒体を副走査方向へ移動させるために、搬送ローラをモータ(不図示)とロータリーエンコーダ(不図示)で回転制御することで行なう。
【0028】
電源ユニット18は、ACスイッチ(不図示)や操作パネル部19上のソフトスイッチ(不図示)等でオンオフされる。制御ユニット20には、ロジック電源として電圧3.3Vや5Vの電源が供給され、各ユニットのアクチュエータ(モータ等)に対しては電圧24Vの電源が制御ユニット内のI/O制御部&ドライバ部22経由で供給される。記録ヘッド3へのヘッド電源は、制御ユニット内のヘッド電源制御部(不図示)を介して設定された電圧値で供給される。
【0029】
制御ユニット20内の機能ブロックを以下に説明する。
【0030】
21は記録ヘッド3の駆動データや駆動パルスや駆動電圧等を制御するヘッド駆動部である。また、22はインクジェットプリンタ26の内部ユニットのセンサやアクチュエータ(回復モータ9を含むモータ等)とのインターフェースや駆動を行なうI/O制御部&ドライバ部である。また、23は全体の動作を管理するシーケンス制御部、24は、画像データから印字データへの変換処理を行なう画像処理部である。さらに、25は印字データをインクジェットプリンタ26の動作に合わせてタイミング調整するタイミング制御部である。
【0031】
制御ユニット20は、ここでは物理的には電気基板であり、特にシーケンス制御部23にはマイクロプロセッサ等のCPU(不図示)、CPUの制御用プログラムや各種データを記憶しているROM(不図示)が含まれる。さらに、CPUのワークエリアとして使用され各種データを記憶するRAM(不図示)、ホストコンピュータ1とのインターフェースを制御するI/F部(付図)等で構成される。また、制御ユニットは画像処理部24やタイミング制御部25、ヘッド駆動部21、ASIC(不図示)とメモリ(不図示)で主に構成され、I/O制御部&ドライバ部22は汎用LSIやトランジスタ等の電気回路で構成される。
【0032】
ヘッド制御部21は、タイミング制御部25からの印字データを記録ヘッド3への駆動するデータ形式に合わせた信号を生成し、シーケンス制御部23の制御により駆動信号を生成し、これら信号を記録ヘッド3へ送付する。記録ヘッド3は、ヘッド制御部21からの信号によって駆動され、インクを吐出することで画像を形成する。
【0033】
I/O制御部&ドライバ部22は、シーケンス制御部23によってタイミング制御された信号で駆動され、接続されている各ユニットを駆動制御する。
【0034】
続いて、記録ヘッド3の回復動作について詳しく説明する。
【0035】
ここで述べるヘッド回復動作とは、通常の印字と印字の間に定期的に実施され、その目的は、記録ヘッド3のノズルの乾燥によるインク固着、記録ヘッド3のフェイス面に付着したインクあるいは紙粉の除去である。具体的にはノズル面をクリーニングするワイプ動作、インク吐出を行なうフラッシング動作、吸引動作などから成る。
【0036】
初めに、キャリッジユニット1を、キャリッジユニット搬送装置11を用いてキャッピング位置まで移動させる。キャッピング位置は、キャリッジユニットの移動の基準となる初期位置に合わせて設計されている。前記初期位置は、キャリッジユニット1を移動させることで、初期位置検出センサ(不図示)などによって検知されるものとする。実際にはワイプ動作やフラッシング動作が実施されるが、ここでは本発明の説明には直接関与しないので省略する。
【0037】
次に、回復モータ9を正転させて昇降機構10を駆動し、ヘッド3と吸収体4を密着させて「キャップ閉」状態とする。続いて、回復モータ9を逆転させることによってポンプ機構7を駆動させ、記録ヘッド3のノズル及び吸収体4に残ったインクを吸引する。
【0038】
ここで、回復動作は、吸収体4内には廃インクが残らないように、「キャップ開」状態での吸引動作を行なってから終了することを前提として以下の説明を続ける。
【0039】
上記前提条件においては、吸引開始後は、吸収体4とチューブ読取部14の間のU字部に残った廃インク、そして吸収体4内の空気が順に吸い出され、それに続いて記録ヘッド3内のインクが吸い出される。
【0040】
一方で、吸引動作の開始と同時に、マルチセンサ2はチューブ読取部14表面の読み取りを開始する。記録ヘッド3と吸収体4が正常に密着できている場合には、初めに廃インクチューブ6のU字部に残っていた廃インクを検知する。その後、吸収体4に残っていた空気の層による非検知時間があり、それに続いて記録ヘッド3から新たに吸い出した廃インクを検知する。このときは廃インクのみを連続的に検知する。このように廃インクのみが連続して通過する状態を状態Aとする。(図4右図参照)状態Aの継続時間t1を計測し、t1が一定時間th1以上となったら、回復モータ9の駆動を停止する。なお、th1は、状態Aを確実に検知し、かつ必要以上に廃インクを吸い出さない適当な値を予め調べた上で設定されるものとする。
【0041】
次に、回復モータ9を正転させてキャップ機構10を駆動し、「キャップ開」状態とする。その後、再び回復モータ9を逆転してポンプ機構7を駆動し吸引動作を開始する。この場合は、吸収体4から空気とキャップ5内に残った廃インクをいっしょに吸い出される。よって、気泡と廃インクがランダムにチューブ読取部14を通過する。このような気泡と廃インクの混在状態を状態Bとする。(図4左図参照)シーケンス制御部23において、マルチセンサ2の出力信号を解析し、状態Bにあるかどうかを判断する。これは例えば単位時間辺りの信号変化回数をカウントすればよい。状態Bの継続時間t2を測定し、t2が所定時間th2以上となったら回復モータ9を停止して回復動作を終了する。このように制御されたときのマルチセンサ2の信号出力を図3に示す。
【0042】
しかしながら、期間Aにおいて、記録ヘッド3と吸収体4の密着度が悪い場合には、所定時間T経過しても状態Aには検知されない。この場合は、キャッピング機構もしくはキャリッジユニット1とインク供給ユニット16の間のインク流路に問題がある可能性がある。よって、エラー状態を操作パネル部19に表示してプリンタの動作を停止する。
【0043】
なお、所定時間Tは、キャップ5からチューブ読取部14までの廃インクチューブの長さと回復モータ9の回転数で決定される時間であり、実動作のばらつきを含めて予め決定されるものとする。
【実施例2】
【0044】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す装置の構成図である。図1と共通の構成要素についてはその説明を省略する。
【0045】
図5において、31はインクタンクユニットであり、32はインク供給弁、33はインクチューブである。インクチューブ33はインクタンクユニット31と記録ヘッド3を接続してインクを供給し、インクチューブ33の途中にインク供給弁32が配置されている。記録ヘッド3の交換や、インクタンクの交換時等にインク供給弁32を閉じることでインクチューブ33や記録ヘッド3からのインク漏れを防止している。尚、このインク供給弁32を動かす駆動源としてモータ(不図示)を、また、弁の開閉状態を検知するための位置センサとしてフォトインタラプタ(不図示)を使用している。
【0046】
図5を用いて、装置の初期設置時に実施するインク充填シーケンスについて説明する。
【0047】
装置を開梱した後の初期設置時において、電源を最初にオンすると、初期設置シーケンスが始まる。初期設置シーケンスでは、主に記録ヘッド3の装着、インクの充填、印字調整を行なう。
【0048】
記録ヘッド3を装着した後で、インクタンクをインクタンクユニット31に装着すると、キャリッジユニット1を初期位置まで移動し、インク充填シーケンスを開始する。
【0049】
まず、インク供給弁32を閉じた状態で、回復モータ9でキャップ機構10を駆動し、「キャップ閉」状態とした上で吸引動作を行なう。吸引圧確保のため、一定時間吸引動作を継続した後、インク供給弁32を開けてから回復モータ9の動作を停止して一定時間待つ。この動作を2回繰り返す。
【0050】
インク充填シーケンスの開始と同時に、マルチセンサ2によるチューブ読取部14の読取を開始する。上記2回目の吸引動作においてインク供給弁32を開けた時点から、マルチセンサ2が廃インクを連続的に検知するまでに要する時間をt3として以下の説明を続ける。
【0051】
t3が所定時間th3よりも短い場合には、「キャップ開」状態で短時間吸引動作を行なった後で再び「キャップ閉」状態としてインク充填シーケンスを終了する。ここでの「キャップ開」状態での吸引動作は吸収体4内のインクを排除するためである。このように終了したインク充填シーケンスでのマルチセンサ2の出力は図6のようになる。
【0052】
一方、t3が所定時間th3よりも長い場合にはインク供給系あるいはキャッピング機構に問題がある可能性が高いので、吸引動作を停止した上で、操作パネル部19にエラーを表示して装置の動作を停止する。
【0053】
ここで、本実施例ではインクを充填するためにインク供給弁32を閉じた状態で吸引動作を開始し、インク供給弁32を開ける動作を2度繰り返した。これは、記録ヘッド3の内部に負圧を発生させることで、インク供給弁32を開けたときの記録ヘッド3へのインクの移動を確実にするためである。また、ヘッドインクタンクユニット30から記録ヘッド3までにインクを充填するために十分な吸引回数が2回となるように1回の吸引時間が設定されているものとした。実際には、装置内におけるインクチューブの長さに応じて最適な吸引時間と吸引回数が設定される。また、時間th3は、インク吸引弁32を閉じた状態での吸引時間などに応じて予め設定できる値である。
【実施例3】
【0054】
図7は、本発明の第3の実施形態を示す装置の構成図である。図1と共通の構成要素についてはその説明を省略する。
【0055】
図7において、34は、記録ヘッドAであり、35は、記録ヘッドBである。2つの記録ヘッドはキャリッジユニット1に2つの記録ヘッドが実装されている。例えば、記録ヘッドA34にはシアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、黒(K)の4色が供給され、記録ヘッドB35にはRGBなどの原色系インクが供給されており、2つの記録ヘッドを使用して印字が行なわれる。
【0056】
また、28はキャリッジユニット1が、記録ヘッドA34をキャップする位置にあるときにマルチセンサ2のチューブ読取部Aである。また、29はキャリッジユニット1が、記録ヘッドB35をキャップする位置にあるときにマルチセンサ2の検知範囲に位置するチューブ読取部Bである。
【0057】
ここでは、印字と印字の間に実施する回復動作について説明する。
【0058】
まず初めに、記録ヘッドA34をキャップする位置にキャリッジユニット1を移動させる。この位置はキャリッジユニット1の初期位置と同じものとする。続いて、回復モータ9と昇降機構10を用いて「キャップ閉」状態とし、吸引動作を開始する。また、同時にマルチセンサ2でのチューブ読取部Aの読み取りを開始する。以降の動作は実施例1と同じなので詳細は省略する。つまり、廃インクが連続的にチューブ読取部Aを通過する状態Aを検知するまでに一定時間異常経過するようであれば異常と判断し、装置の動作を停止する。また、「キャップ開」状態で気泡と廃インクが交互にチューブ読取部Aを通過する状態Bを検知した場合は、その継続時間を測定し、それがth2以上となったら回復モータ9を停止して回復動作を終了する。
【0059】
記録ヘッドA34の回復動作が終ると、回復モータ9と昇降機構10を用いてキャップ5を下降させ、キャリッジユニット1を、記録ヘッドB35のキャッピング位置まで移動する。記録ヘッドA34と記録ヘッドB35は、キャリッジユニット1内の決められた位置に配置されるので、記録ヘッドB35のキャッピング位置はキャリッジエンコーダ(図省略)のパルス数として設定可能である。
続いて、回復モータ9と昇降機構10を用いて「キャップ閉」状態とし、吸引動作を開始する。同時にマルチセンサ2でのチューブ読取部Bの読み取りを開始する。以降の動作は上述した記録ヘッドAの場合と同じなので省略する。
【0060】
すなわち、複数の記録ヘッドを用いたプリンタにおいて、1つのキャップ機構しかない場合でも、廃インクチューブの配置を工夫することによって配管長による判定時間の調整をすれば、既存センサでの検出が同様に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施例に係る装置全体のブロック図である。
【図2】本発明の実施例に係るプリンタ内部のブロック図である。
【図3】第1の実施例における回復シーケンス時のポンプ動作とマルチセンサでチューブ読取部を読み取ったの出力信号の例である。
【図4】第1の実施例における「キャップ開」状態と「キャップ閉」状態での廃インクチューブを廃インクが流れる様子を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施例に係る装置全体のブロック図である。
【図6】第2の実施例における初期充填シーケンス時のポンプ動作とマルチセンサでチューブ読取部を読み取ったの出力信号の例である。
【図7】本発明の第3の実施例に係る装置全体のブロック図である。
【符号の説明】
【0062】
1 キャリッジユニット
2 マルチセンサ
3 記録ヘッド
4 吸収体
5 キャップ
6 廃インクチューブ
7 ポンプ機構
8 廃インクタンク
9 回復モータ
10 昇降機構
11 キャリッジユニット搬送装置
12 記録紙
13 プラテン
14 チューブ読取部
15 記録紙搬送装置
16 インク供給ユニット
21 ヘッド制御部
22 I/O制御部&ドライバ部
23 シーケンス制御部
24 画像処理部
25 タイミング制御部
28 チューブ読取部A
29 チューブ読取部B
31 インクタンクユニット
32 インク供給弁
33 インクチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサを備えたキャリッジユニットと、前記センサの検知範囲内に配置された廃インク排出経路とを備え、前記センサの廃インク検知状況に応じてポンプをONOFFする回復ユニットを備え、前記センサ検知範囲内に配置された廃インク排出経路は記録ヘッドのキャッピング位置よりも低い位置に配置されると共に、前記廃インク排出経路は少なくともセンサ検知範囲では外部から内部のインクが見える部材で構成され、吸引動作中に検知動作を行なうことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記センサは、印字調整パターンを読み取るためのセンサであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
吸引動作中に検知される前記センサの検知パターンに応じて、回復ユニットの吸引動作制御を変更することを特徴とする請求項1、又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記回復ユニットによって記録ヘッドを回復動作するキャリッジユニットの位置が複数あることを特徴とし、それらの位置全てにおいて、前記センサの検知範囲内に廃インク排出経路が構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−110905(P2010−110905A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282994(P2008−282994)
【出願日】平成20年11月4日(2008.11.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】