説明

インク再循環を備え曲線状の受像面に位置合わせしたインクジェット・イジェクタ・アレイ

【課題】受像部材の曲率に一致する様に多数のプリントヘッドを配置し、混色することなく除去インクを効率よく回収する。
【解決手段】プリントヘッドアセンブリ200は、対応するインク容器を有する複数のインクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dを含む。各インクジェットアレイは、開口層208に接合された複数のインクジェットスタック層204から形成されており、インクジェットアレイは、曲線状の受像面の周囲に所定の配置で位置している。インクジェットスタック層および開口層を介して形成されている溝320A〜320Dは、各インクジェット・イジェクタ・アレイからの除去インクが混ざることを防ぎながら対応する容器に入ることを可能にする位置を占有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にインクジェット印刷システムに関し、より詳細にはそのようなシステムで使用されるプリントヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
固体インクジェット印刷システムが公知である。これらの印刷システムは、インクローダ、溶融装置、少なくとも1つのプリントヘッド、媒体搬送経路、回転受像部材、離型剤塗布システム、転写ローラおよび媒体容器を含む。スティック、ペレット、トローチなどの様々な形態の固体インクが、1つまたは複数の供給チャネルに挿入され、各供給チャネルは溶融装置で終端する。溶融装置は、固体インクを、固体インクが溶融し液体インクになる相変化温度に加熱する。液体インクはプリントヘッドに供給される。プリントヘッドコントローラは、画像データに対応する発射信号を生成してプリントヘッドを操作し、それによって、溶融インクを回転受像部材によって支持された液体層上に排出して受像部材上にインク画像を形成する。システム内の媒体サプライから媒体が取り出され、媒体搬送経路に沿って転写ローラと回転受像部材との間に選択的に形成されたニップに搬送される。媒体の到着は、ニップでの受像部材上のインク画像の到着と同期する。ニップでの圧力は、受像部材から媒体にインク画像を移動し固定することを促進する。媒体は、次いで、画像を支える媒体が集められることが可能な媒体容器に媒体搬送経路に沿って続く。
【0003】
プリントヘッドは、操作中に何度も受像部材に向けられる滴としてインクを排出する代わりに、インクジェットイジェクタを介してインクを除去するために加圧されることがある。再循環のために除去インクを捕捉することは有利である。しかし、曲線状の受像部材を有する画像装置は、除去インクを再捕捉するプリントヘッドアセンブリに課題が生じる。多色画像装置は、例えば、再使用のためのインクの色の完全性を維持するために、インクの各色を別々に集め、再循環させる。プリントヘッド間にインク再捕捉構造を挿入すると、プロセス方向にプリントヘッドの長さが増大し、従って、プリントヘッドの互いからの間隔が増大する可能性がある。プリントヘッドが配置される範囲がプロセス方向に長くなるほど、プリントヘッドが受像部材の曲率に一致するようにプリントヘッドを適応させることは、ますます困難になる。したがって、受像部材の曲率に対する多数のプリントヘッドの配置および除去インクの効率的な回収は、インクジェットプリンタにおける重要な態様である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
少なくとも1つの実施形態では、改良された印刷装置が、曲線状の受像部材の周囲のプリントヘッドの配置を可能にする。印刷装置は、インクジェットイジェクタの第1のアレイを有する第1の複数のインクジェットスタック層と、インクジェットイジェクタの第2のアレイを有する第2の複数のインクジェットスタック層と、互いに所定の距離だけ離れた開口の第1のアレイおよび開口の第2のアレイを有する開口層であり、開口層は、第1の複数のインクジェットスタック層に接合されてインクジェットイジェクタの第1のアレイが開口の第1のアレイを介してインクを排出することを可能にし、第2の複数のインクジェットスタック層に接合されてインクジェットイジェクタの第2のアレイが開口の第2のアレイを介してインクを排出することを可能にするとともに、インクジェットイジェクタの第1のアレイおよびインクジェットイジェクタの第2のアレイが曲面の周囲に所定の配置で位置することを可能とする開口層と、を含む。
【0005】
他の実施形態では、改良された印刷装置は、回転受像部材の周囲に多数のインクジェット・イジェクタ・アレイの位置合わせを促進する。印刷装置は、インクジェットイジェクタの第1のアレイおよびインクジェットイジェクタの第2のアレイを有する複数のインクジェットスタック層と、互いに所定の距離だけ離れた開口の第1のアレイおよび開口の第2のアレイを有する開口層であり、開口層は、第1の複数のインクジェットスタック層に接合されてインクジェットイジェクタの第1のアレイが開口の第1のアレイを介してインクを排出することを可能にし、第2の複数のインクジェットスタック層に接合されてインクジェットイジェクタの第2のアレイが開口の第2のアレイを介してインクを排出することを可能にするとともに、インクジェットイジェクタの第1のアレイおよびインクジェットイジェクタの第2のアレイが曲面の周囲に所定の配置で位置することを可能とする開口層と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】曲線状の受像部材と位置合わせした連結式プリントヘッドアセンブリを含む相変化インクプリンタの概略図である。
【図2】連結式プリントヘッドアセンブリの断面図である。
【図3】図2の連結式プリントヘッドアセンブリの正面図である。
【図4】除去インクを受けるための溝の正面図である。
【図5A】2つのインクジェット・イジェクタ・アレイ間に位置する結合部の部分分解図である。
【図5B】開口層に接合された図5Aのインクジェット・イジェクタ・アレイの図である。
【図6】インクジェットイジェクタスタック層に形成された結合部の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
システムおよび方法のための詳細のみならず、本明細書に開示されたシステムおよび方法のための環境の概略的な理解のために図面が参照される。図面では、同じ参照番号が、同じ要素を指定するために初めから終わりまで使用される。本明細書で使用するように、用語「プリンタ」は、受像部材上にマーキング剤を排出し、相変化、水性、溶剤型またはUV硬化性インク等を使用するように構成された直接および間接インクジェットプリンタのみならず、写真複写機、ファクシミリ装置、多機能装置を含むように構成された任意の装置を称する。本明細書で使用するように、「除去インク」は、故意または偶然にかかわらず、受像部材に付着しない、インクジェットイジェクタからインクの任意の吐出を称する。除去インクは、除去の間にイジェクタから放出されたインクを称する。本明細書で使用するように、用語「結合部」は、曲がる、屈曲する、変形するまたは回転して、2つのセグメントが結合部の周囲に互いに対して移動することを可能にするように構成された平面アセンブリの2つのセグメント間に形成された任意の特徴を称する。複数の層を有する平面アセンブリ間に形成された結合部は、また、複数の層のうちのいくつかのセグメントが、セグメントが結合部の周囲を移動する場合に互いから離れることを可能にする。本明細書で使用するように、用語「連結式」は、1つまたは複数の結合部に沿って互いに対して曲がっている平面アセンブリの2つ以上のセグメントから形成された形状を称する。本明細書で使用するように、用語「プロセス」方向は、画像ドラムや印刷媒体などの受像部材の移動方向を称し、用語「クロスプロセス」方向は、受像部材の表面に沿ったプロセス方向に垂直な方向である。
【0008】
図1は、連結式プリントヘッドアセンブリ200を含むプリンタ10の実施形態を表す。説明するように、プリンタ10は、以下に説明するように、その操作サブシステムおよびコンポーネントのすべてが直接または間接的に取り付けられたフレーム11を含む。相変化インクプリンタ10は画像部材12を含み、画像部材12は、画像ドラムの形態で示されるが、支持されたエンドレスベルトの形態に同様にすることができる。画像ドラム12は受像面14を有し、受像面14は、方向16に移動可能であり、受像面14上に相変化インク画像が形成される。方向17に回転可能な転写ローラ19が、ドラム12の表面14に対してロードされて、転写ニップ18を形成し、ニップ18内で、表面14上に形成されたインク画像が、加熱された媒体シート49上に転写される。媒体シート49は、ニップを介して移動する前に加熱されてもよい。
【0009】
相変化インクプリンタ10は、また、固体形態で1つの色相変化インクの少なくとも1つの源22を有する相変化インク吐出サブシステム20を含む。相変化インクプリンタ10は、多色プリンタであるので、インク吐出システム20は、相変化インクの4つの異なる色CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)を表す4つの源22、24、26、28を含む。相変化インク吐出システムは、また、相変化インクの固体形態を液体形態に溶融または相変化するための溶融装置(図示せず)を含む。相変化インク吐出システムは、連結式プリントヘッドアセンブリ200を含むプリントヘッドシステム30に液体インクを供給するのに適切である。アセンブリ200に類似するプリントヘッドアセンブリは、少なくとも2つのインク容器、インクマニホールド、およびインクジェット・イジェクタ・アレイを含む。
【0010】
図2は、4つのインク容器216A〜216D、インクマニホールド220A〜220Dおよびインクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dをそれぞれ有するプリントヘッドアセンブリ200のより詳細な図を表す。図1および図2を参照して、各インクマニホールド220A〜220Dは、インク源22、24、26および28のうちの1つから溶融インクを受け、プリントヘッドアレイ212A〜212Dのうちの1つのみに溶融インクをそれぞれ供給する。図1を単純化するために、インク源からマニホールド220A〜220Dの流体接続は示されていない。各インク容器216A〜216Dは、それぞれ、インクジェットイジェクタ212A〜212Dの対応するアレイの下に位置して、除去操作の間にインクジェット・イジェクタ・アレイのうちの1つの面を伝って流れるインクを受ける。各インク容器216A〜216Dは、各容器の真上のインクジェットイジェクタ212A〜212Dの対応するアレイから単色インクを捕捉する。より詳細に以下に説明するように、各インクジェット・イジェクタ・アレイの最も近くに溝が位置して、イジェクタアレイ面を伝って流れるインクが、容器に入ることを可能にする。連結式プリントヘッドアセンブリ200は、各インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dが、受像ドラム12の曲面14から実質的に一定の距離を有することを可能にする。したがって、プリントヘッドアセンブリ200におけるインクジェットイジェクタの各アレイは、画像ドラム12の中心から延在する半径に沿って位置合わせされている。プリントヘッドアセンブリ200は、受像ドラム12の中心に対して方向を合わせられて、重力によって、各インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dから流れる除去インクがインク容器216A〜216Dのうちの対応するインク容器に促されることが可能となる。
【0011】
さらに示すように、相変化インクプリンタ10は、基板供給/ハンドリングシステム40を含む。基板供給/ハンドリングシステム40は、例えば、シートまたは基板供給源42、44、48を含んでいてもよく、その供給源48は、例えば、受像基板をカット紙49の形態で格納し供給するための高容量紙供給または給送装置である。基板供給/ハンドリングシステム40は、また、基板ヒータまたプレヒータアセンブリ52を有する基板ハンドリング/処理システム50を含む。示されるような相変化インクプリンタ10は、また、原稿載置トレイ72、原稿シート供給/検索装置74、および原稿露光/走査システム76を有する原稿給送装置70を含んでいてもよい。
【0012】
図1の実施例では、プリンタ10の様々なサブシステム、コンポーネントおよび機能の操作および制御が、コントローラまたは電子サブシステム(ESS)80を用いて行われる。ESSまたはコントローラ80は、電子記憶装置84を備えた中央処理装置(CPU)82、およびディスプレイまたはユーザインターフェース(UI)86を有する内蔵型専用ミニコンピュータであってもよい。さらに、CPU82は、走査システム76、またはオンライン、またはワークステーション接続90などの画像入力源と連結式プリントヘッドアセンブリ200との間の画像データの流れを読み、捕捉し、準備し、管理する。図1に示すように、ESSまたはコントローラ80は、以下に説明する連結式プリントヘッドアセンブリ200の操作を含めて、他の印刷サブシステムおよび機能のすべてを操作し、制御するためのメインマルチタスクプロセッサである。別のプリンタの実施形態は、1つまたは複数のプリントヘッドアセンブリを含めて、様々な印刷サブシステムを操作するように構成された1つまたは複数の電子制御装置を含んでいてもよい。
【0013】
操作中、生成される画像用の画像データは、走査システム76、または処理および連結式プリントヘッドアセンブリ200への出力のためのオンラインまたはワークステーション接続90を介してコントローラ80に送られる。さらに、コントローラ80は、例えば、ユーザインターフェース86を介してオペレータの入力から、関連するサブシステムおよびコンポーネント制御を決定および/または受け入れ、従ってそのような制御を実行する。その結果、適切な色固体形態の相変化インクが溶解され、プリントヘッドアセンブリ200に送られる。コントローラは、プリントヘッドを操作して、受像面14上の離型剤の層上にインクを排出して、画像データに対応するインク画像を形成する。受像基板は、源42、44、48のうちのいずれか1つによって供給され、表面14上に形成されたインク画像と時間が決められたレジストレーションでの受像部材14と転写ローラ19との間に形成されたニップに基板システム50によって導かれる。インク画像および媒体がニップを通って移動するので、インク画像は表面14から移動され、転写ニップ18内の画像基板にしっかりと結合される。
【0014】
図2および図3は、プリンタ10などの画像装置での使用に適切な連結式プリントヘッドアセンブリ200を表す。図2は、連結式プリントヘッドアセンブリ200の断面図を示す。連結式プリントヘッドアセンブリ200は、複数のインクジェットスタック層204、開口層208、インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212D、容器216A〜216D、インクマニホールド220A〜220D、およびフレキシブル回路228を含む。図3は、プリントヘッドアセンブリ200の正面図を示し、さらに溝320A〜320Dを示す。図2および図3の実施形態では、インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dは、クロスプロセス方向に幅を有し、矢印304および308によって示され、実質的に受像部材の十分な幅であるが、別の実施形態は、変化する幅または複数の一定間隔で配置された溝を備えたインクジェット・イジェクタ・アレイを有していてもよい。各インクマニホールド220A〜220Dは、図1で見られるインク源22〜28などの複数のインク源のうちの1つから受けた溶融インクの供給を保持する。各インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dは、それぞれ、インクマニホールド220A〜22Dのうちの1つから溶融インクを受けるように構成された複数のインクジェットイジェクタを含む。プリントヘッドアセンブリ200の実例の実施形態では、インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dは、それぞれ、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックを有するインクを排出するように構成されているが、別の実施形態は、異なる色のインク、より多いまたはより少ない色のインクを使用し、プリントヘッドアセンブリ200で見られるものと異なった順にインクの色を配置してもよい。
【0015】
複数のインクジェットスタック層204は、限定されないが、トランスデューサ、ダイヤフラム、様々な流動性キャビティおよびルートを含む金属層、シリコンおよびポリマー層が挙げられる様々な材料から形成された層を含む。インクジェットイジェクタ212A〜212Dの各アレイは、複数のインクジェットスタック層204から形成された複数のインクジェットイジェクタを含む。これらのイジェクタは、図3に示すように、各インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dの面にわたって所定のパターンで典型的に配置されている。様々なタイプのインクジェットイジェクタが、インクジェット・イジェクタ・アレイで使用されてもよく、インクジェットスタック層204に形成された、圧電または音響イジェクタ、サーマルイジェクタ、静電イジェクタ等を含んでいてもよい。開口層208は、各インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212D用のインクジェットイジェクタに対応する複数の開口ノズルアレイを含む。ノズルは、インクジェットイジェクタが受像面に向けてインク滴を排出することを可能とする。フレキシブル回路228は、インクジェットイジェクタおよびコントローラ(図示せず)に動作可能なように接続された複数の導線を含む。コントローラは、画像操作中に電気発射信号を生成し、1つまたは複数のインクジェットイジェクタは、インクジェットイジェクタを始動する発射信号に応じて受像面に向けてインク滴を排出する。
【0016】
インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dの少なくとも1つは、除去操作中に加圧されて、除去インクが、開口層208の面を伝って流れるように、インクジェットイジェクタを介して、およびノズルからインクを促す。溝320A〜320Dは、インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dの最も近くに位置して、各インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dからの除去インクが、容器216A〜216Dのうちの1つにそれぞれ入ることを可能にする。溝320A〜320Dは、すべてのインクジェットスタック層204および開口層208を介して形成されている。溝320A〜320Dは、除去操作の間に異なる色を有するインクが混ざることを防ぎながら、除去インクが、対応する容器216A〜216Dに入ることを可能にする位置を占有する。図4は、インクジェットアレイ412から除去インクを受けるように構成された単一溝420を表す。溝420の勾配付き壁424は、インクジェット・イジェクタ・アレイ412の幅に沿って延在する。この例において、勾配付き壁424の形状は、イジェクタアレイ412の表面に対して90°未満の角度を形成して、溝420を介して除去インクの流れを促進する。勾配付き壁424を生成するために使用されることができる様々な方法としては、進歩的切断および形成型を介して勾配付き形状を形成することや、開口層208の一部を溝420に折り曲げることが挙げられる。溝のための別の構成は、イジェクタアレイ412の表面に垂直な壁または曲線状の形状を有する壁を有する溝を含んでいてもよい。溝を形成する別の方法としては、インクジェットスタックの各層に溝をそれぞれ形成することや、インクジェットスタック層がともに接合された後に溝を切断することが挙げられる。
【0017】
除去インクは、インクジェットアレイ212A〜212Dを伝って流れるので、重力、および除去インクと開口層208との間の表面張力は、対応する溝320A〜320Dを介して除去インクを促す。いくつかの実施形態では、負圧源が、溝320A〜320Dを介して負圧を付与して、除去操作の間に容器216A〜216Dにインクを引き込んでもよい。各容器216A〜216Dは、さらに、それぞれの容器に集められたインクと同じ色を有するインクの供給を保持するインク源またはインクマニホールドと流動的に連通している。各容器216A〜216D内のインクは、画像操作で使用されるインク源またはマニホールドに再循環されてもよい。再循環プロセスは、除去インク中に存在する可能性がある気泡および汚染物質を取り除くことが可能である。
【0018】
複数のインクジェットスタック層204の形成に使用される材料は、硬くて脆いいくつかの層を含んでいてもよく、一方、開口層208は、金属やポリマーなどの可撓性材料の1つまたは複数の層から形成されていてもよい。インクジェットスタック層204は、結合部224A〜224Cなどの結合部を含み、結合部は、イジェクタアレイ212A〜212D間に形成されている。これらの結合部224A〜224Cは、製造工程の間に、クロスプロセス方向に複数のインクジェットスタック層204の各層にわたって形成される。これらの結合部は、破壊または屈曲することなく、インクジェットスタック層204の形成およびインクジェットスタック層204の開口層208への結合を可能にするのに十分に強い破壊強度を有するように構成されている。結合プロセスが完了した後、各結合部224A〜224Cは、結合部が分離する開口層208に適用される屈曲力に応じて十分に曲がり、プリントヘッドアセンブリ200の連結形状が形成されることを可能にする。しかし、開口層208は、開口層が影響を受けないで連結形状に従って曲がるような結合部によって形成されない。図3に見られるように、イジェクタアレイ212A〜212Dは、複数のインクジェットスタック層204および開口層208上に互いに所定の距離に位置する。脆弱な結合部224A〜224Cは、各結合部と周囲のインクジェット・イジェクタ・アレイとの間の十分なスペースで、複数のインクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dにおいて隣接したインクジェット・イジェクタ・アレイ間に位置して、インクジェット・イジェクタ・アレイ212A〜212Dを破損することなく各結合部の屈曲または破壊を可能にする。
【0019】
イジェクタアレイ212A〜212Dのインクジェットイジェクタは、インクジェットスタック層204の形成の間に、各イジェクタアレイにおける対応するインクジェットイジェクタが、画像操作中に受像部材上のクロスプロセス方向に互いに近接して着弾するインク滴を排出するように、クロスプロセス方向に互いに位置合わせされている。適切なクロスプロセス配置は、CMYKインクなどの色の選択された数のインク滴のレジストレーションが、インク滴の組み合わせから形成された様々な色を備えた画像を生成することが可能である。結合部224A〜224Cが屈曲してプリントヘッドアセンブリ200におけるクロスプロセス配置を可能にした後、開口層208は、イジェクタアレイ212A〜212Dのインクジェットイジェクタのクロスプロセス配置を維持する。したがって、開口層の完全性およびインクジェットスタック層の受像面の曲率に対して曲がる能力は、受像部材と開口層との間に一貫したギャップ距離を生成するように、受像部材の周囲のプリントヘッドアセンブリの位置合わせ後に、異なるインクジェット・イジェクタ・アレイによって生成されたインク滴のレジストレーションを保存する。
【0020】
図5Aは、インクジェットスタック層502A〜502Cおよび開口層520を含むプリントヘッドアセンブリ500の部分分解図を示す。インクジェットスタック層502A〜502Cはともに接合されて、プリントヘッドアレイ524および528を形成する。アレイ524および528は、結合部504によって分離されている。図5Bは、開口プレート520がインクジェットスタック層502A〜502Cに接合されたプリントヘッドアセンブリ500を示す。インクジェットスタック層502A〜502Cは、開口層520を除いて例示的インクジェットスタックを形成する。層502A〜502Cは、インクジェット・イジェクタ・アレイ524および528を形成するトランスデューサ、ダイヤフラム、流動性キャビティおよびルートなどの様々な特徴を含む。図5Aに示された3つの層は、多数の層を有するインクジェットスタックの単に実例でとなり、様々なインクジェットスタックの実施形態は、異なる数の層を有していてもよい。図5では、開口プレート520が示されており、開口プレート520は、インクジェットスタック層502Aに接合されて、ノズル536などの開口層520において開口ノズルと位置合わせされた出口532などのインクジェットイジェクタが、イジェクタアレイ524および528からインク滴を排出または除去することが可能である。インクジェット・イジェクタ・アレイ524および528は、異なる色を有するインクを受け、排出してもよい。除去インクを受けるための溝などの様々な他の特徴も、インクジェットスタック層502A〜502Cおよび開口層520を介して形成されてもよい。これらの特徴は、図5Aおよび図5Bで図面を単純化するために省略されている。
【0021】
結合部504が示されており、結合部504は、インクジェット・イジェクタ・アレイ524、528間に位置するインクジェットイジェクタスタック層502A〜502Cを介して形成されている。結合部504は、インクジェット・イジェクタ・アレイ524および528から結合部504を分離する十分な距離で位置して、インクジェットスタック層502A〜502Cがインクジェット・イジェクタ・アレイ524および528を破損することなく、結合部504の周囲で屈曲することが可能である。結合部504は、本明細書で、インクジェットアレイ528を含む各層502A〜502Cの部分とインクジェットアレイ524を含む部分との間を延在する結合歯508として見られる複数の特徴を含む。結合歯508間に形成されたギャップ512などのギャップは、結合部504に沿って、各インクジェットスタック層502A〜502Cの引張強度を低減する。結合歯508は、プリントヘッドアレイ528を含むインクジェットスタック層502A〜502Cのセクションから形成された底辺およびプリントヘッドアレイ524を含むインクジェットスタック層502A〜502Cに接触する頂点を備えた三角形を有する。結合の特徴の別の形態は、結合部の一方または両側から延在する変形可能または脆弱なタブまたは壁の任意の数または形状を含んでいてもよい。
【0022】
結合歯508の選択された構成は、インクジェットスタック層502A〜502Cを形成し開口層520に接合しながら、影響を受けないために十分な強度を備えた結合部504をもたらす。結合部504の強度も、開口層520に適用された屈曲力に応じて曲がるまたは破壊することを可能にし、したがって、インクジェットイジェクタ524および528が結合部504の周囲を移動することを可能にするのに十分強い。開口層520は、結合部および結合部504で見られる結合歯を欠く。開口層520は、屈曲し、影響を受けないように構成されて、連結式プリントヘッドアセンブリを形成し、インクジェットスタック層502A〜502Cは、開口層520に接合されたままである。開口層520は、開口層520が屈曲後に影響を受けないことを可能にしながら、結合部504に沿った曲げを促進する特徴を任意に含んでいてもよい。
【0023】
図5Bに示すように、インクジェット・イジェクタ・アレイ524は、方向544に開口層520に適用された屈曲力に応じて方向544Aに移動し、インクジェット・イジェクタ・アレイ528は、結合部504の周囲の方向544Bに移動する。いくつかの実施形態では、結合部504の結合歯508は破壊してインクジェット・イジェクタ・アレイ524および528を分離してもよく、一方、他の実施形態では、結合歯は影響を受けず、屈曲力に応じて曲がる。開口層520は、方向544Aおよび544Bに屈曲し、インクジェットスタック層502A〜502Cは、開口層520に接合されたままであり、連結式プリントヘッドアセンブリを形成する。開口層520に適用された屈曲度が選択されて、図1に示すような曲線状の受像面の周囲に所定の配置でインクジェット・イジェクタ・アレイが位置することを可能とする連結式プリントヘッドアセンブリを形成する。結合部504は、インクジェット・イジェクタ・アレイ524および528への破損を回避するための屈曲の間に、インクジェット・イジェクタ・アレイ524および528にセットされる機械的応力を低減する。連結式プリントヘッドアセンブリを形成する前後に、インクマニホールド、インク容器および電気回路を含む追加のプリントヘッドコンポーネントは、インクジェットスタック層502A〜502Cおよび開口層520に取り付けられてもよい。
【0024】
別の結合部の実施形態は、影響を受けない間に、屈曲力に応じて曲がるように構成されている。図6は、結合部604および結合部604を延在する複数の変形可能な対称脚608を備えて示された例示的なインクジェットスタック層602を表す。図6の実施形態では、対称脚608は、屈曲力に応じて破壊することなく、曲がり、変形する。対称脚608は、インクジェットスタック層602が連結位置に屈曲される場合に影響を受けないようにすることができる。1つまたは複数のインクジェットスタック層が変形可能な結合部を有するインクジェットスタックの実施形態では、インクジェットスタック層のうちのいくつかは、他のインクジェットスタック層またはプリントヘッドコンポーネントを接合する前に、連結形状に屈曲されてもよい。例えば、インクジェットスタック層が変形可能な結合部を含む実施形態では、インクジェットスタックは、連結式インクジェットスタックに開口層を接合する前に連結形状に屈曲されてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置であって、
インクジェットイジェクタの第1のアレイおよびインクジェットイジェクタの第2のアレイを有する複数のインクジェットスタック層と、
互いに所定の距離だけ離れた開口の第1のアレイおよび開口の第2のアレイを有する開口層であり、前記開口層は、前記第1の複数のインクジェットスタック層に接合されてインクジェットイジェクタの前記第1のアレイが開口の前記第1のアレイを介してインクを排出することを可能にし、前記第2の複数のインクジェットスタック層に接合されてインクジェットイジェクタの前記第2のアレイが開口の前記第2のアレイを介してインクを排出することを可能にするとともに、インクジェットイジェクタの前記第1のアレイおよびインクジェットイジェクタの前記第2のアレイが曲面の周囲に所定の配置で位置することを可能とする開口層と、
を含む、印刷装置。
【請求項2】
インクジェットイジェクタの前記第1のアレイとインクジェットイジェクタの前記第2のアレイとの間に形成された結合部であり、前記結合部は、開口層が固定されてインクジェットイジェクタの前記第1のアレイおよびインクジェットイジェクタの前記第2のアレイが曲面の周囲に所定の配置で位置することを可能とすることに応じて、インクジェットイジェクタの前記第1のアレイがインクジェットイジェクタの前記第2のアレイに対して移動することを可能とする結合部をさらに含む、請求項1の印刷装置。
【請求項3】
前記結合部は、前記複数のインクジェットスタック層における各インクジェットスタック層の複数の結合歯をさらに含み、各インクジェットスタック層の前記複数の結合歯は、インクジェットイジェクタの前記第1のアレイとインクジェットイジェクタの前記第2のアレイとの間の領域に形成されている、請求項2の印刷装置。
【請求項4】
前記結合歯は三角形である、請求項3の印刷装置。
【請求項5】
前記結合部は、前記第1の複数のインクジェットスタック層の各インクジェットスタック層と、前記第2の複数のインクジェットスタック層の各インクジェットスタック層との間の複数の脚をさらに含み、前記複数の脚の各脚は、前記開口層が屈曲されることに応じて変形するように構成されている、請求項2の印刷装置。
【請求項6】
開口の前記第1のアレイと開口の前記第2のアレイとの間の前記開口層に形成された第1の溝をさらに含み、前記第1の溝は、開口の第1のアレイから除去されたインクが開口層を介して流出することが可能である、請求項2の印刷装置。
【請求項7】
前記開口層に形成された第2の溝をさらに含み、前記第2の溝は、開口の前記第2のアレイから除去されたインクが前記開口層を介して流出することを可能にするように位置する、請求項6の印刷装置。
【請求項8】
インクジェットスタックイジェクタの前記第1のアレイと、インクジェットスタックイジェクタの前記第2のアレイとの前記所定の配置は、インクジェットスタックイジェクタの前記第1のアレイおよびインクジェットスタックイジェクタの前記第2のアレイが画像ドラムの中心からの半径で位置合わせ可能である、請求項1の印刷装置。
【請求項9】
前記複数のインクジェットスタック層は、前記開口層の前記第1の溝と流動的に連通して、前記開口層の前記第1の溝に入るインクを受ける容器をさらに含む、請求項7の印刷装置。
【請求項10】
前記複数のインクジェットスタック層は、前記開口層の前記第2の溝と流動的に連通して前記、開口層の前記第2の溝に入るインクを受ける他の容器をさらに含む、請求項9の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−106498(P2012−106498A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242825(P2011−242825)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】