説明

インク循環装置及びこれを含むインクジェットプリンター並びにインク循環方法

【課題】インク循環装置及びこれを含むインクジェットプリンター並びにインク循環方法に関する。
【解決手段】インク供給部と、インクジェットプリントヘッドとインク供給部とを連結するインク供給路と、インクジェットプリントヘッドから吐出されていないインクを回収するインク回収部と、インクジェットプリントヘッドとインク回収部とを連結するインク回収路と、インク回収部のインクをインク供給部へ復帰させるインク復帰路と、インクジェットプリントヘッドへのインク供給時、インク供給部の圧力をインク回収部の圧力より高くし、インク復帰路に設けられた第1のバルブを閉めインク供給路に設けられた第2のバルブ及びインク回収路に設けられた第3のバルブを開け、インク回収部からインク供給部へのインク復帰時、インク回収部の圧力をインク供給部の圧力より高くし、第1のバルブを開け第2のバルブ及び第3のバルブを閉める制御部とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク循環装置及びこれを含むインクジェットプリンター並びにインク循環方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンターは、インクジェットプリントヘッドを駆動させることによってインクジェットプリントヘッドからインクを吐出するものであって、インクジェットプリントヘッドの駆動時に発生する圧力変化及び温度変化によって、インクジェットプリントヘッド内に存在するインクに溶存しているマイクロエアが気泡として発生する。その結果、インクの不吐出及びインク吐出の偏差が発生して、インクの吐出後に基板等にむらができる問題点がある。
【0003】
したがって、インクジェットプリンターは、インクジェットプリントヘッドにインクを供給する供給経路内に空気詰まりが発生する箇所を除くように構成されるか、当該供給経路内に脱気装置を設けて脱気されたインクをインクジェットプリントヘッドに供給するように構成される。
【0004】
脱気装置を設けたインクジェットプリンターでは、例えば、上記供給経路となる配管に、脱気モジュールの入口と出口とが直列に接続される。さらに、脱気モジュール内を真空に維持するために、脱気モジュールに真空ポンプが接続される。これにより、インク中に溶解されている気体を除去したインク、即ち、脱気インクが製造され、当該脱気インクが上記供給経路を介してインクジェットプリントヘッドに供給される。これによって、インクジェットヘッドの駆動で発生する気泡の低減及び初期状態時に配管内に残留する気体がインクに溶解されるにつれて発生するインクの不吐出を制御することができる。
【0005】
しかしながら、このような脱気インクを製作して供給する場合、脱気インクが空気に接触されると、インクに空気が溶解されて、すぐに空気が飽和された状態に戻されるという問題点がある。
【0006】
したがって、供給経路内に空気を残留させることなく、インクの脱気度を維持したまま、インクジェットプリントヘッドに高脱気度のインクを供給することが求められている。
【0007】
なお、近年、インクジェットプリンターは、産業用に広く用いられており、例えば、フレキシブルプリント回路基板(FPCB)上に金、銀などの金属を溶かして製造したインクを噴射して回路パターンを直接形成させたり、産業グラフィックや液晶ディスプレイ(LCD)及び有機発光ダイオード(OLED)の製造並びに太陽電池などに用いられている。
【0008】
この際、インク成分に金、銀等の金属のような固体微粒子を分散させているため、インクを循環させないと、固体成分が沈降することから、結局吐出不良を起こすことになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであって、インクジェットプリントヘッドに十分に脱気されたインクを供給し、インク内の固体成分が沈降することを防止できるインク循環装置及びこれを含むインクジェットプリンター並びにインク循環方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るインク循環装置は、インクジェットプリントヘッドにインクを供給するインク供給部と、上記インクジェットプリントヘッドと上記インク供給部とを連結するインク供給路と、上記インクジェットプリントヘッドから吐出されていないインクを回収するインク回収部と、上記インクジェットプリントヘッドと上記インク回収部とを連結するインク回収路と、上記インク回収部のインクを上記インク供給部へ復帰させるインク復帰路と、上記インクジェットプリントヘッドへのインク供給時、上記インク供給部の圧力を上記インク回収部の圧力より高くし、上記インク復帰路に設けられた第1のバルブを閉め上記インク供給路に設けられた第2のバルブ及び上記インク回収路に設けられた第3のバルブを開け、上記インク回収部から上記インク供給部へのインク復帰時、上記インク回収部の圧力を上記インク供給部の圧力より高くし、上記第1のバルブを開け上記第2のバルブ及び上記第3のバルブを閉める制御部とを含むことができる。
【0011】
また、本発明の一実施形態に係るインク循環装置において、上記制御部は、上記インク供給時、上記インク回収部の圧力を負圧状態にし、上記インク復帰時、上記インク供給部の圧力を負圧状態にすることができる。
【0012】
また、本発明の一実施形態に係るインク循環装置において、上記制御部は、上記インク供給時、上記インク供給部の高さを上記インク回収部の高さより高くし、上記インク復帰時、上記インク回収部の高さを上記インク供給部の高さより高くすることができる。
【0013】
また、本発明の一実施形態に係るインク循環装置は、上記インク供給路の上記インクジェットプリントヘッド側に、上記インクジェットプリントヘッドのノズルの直径より小さい隙間が形成されたフィルター部をさらに含むことができる。
【0014】
また、本発明の一実施形態に係るインク循環装置において、上記インク供給部は、インク内に気体が除去されたインクが充填されたインクパックを含むことができる。
【0015】
また、本発明の一実施形態に係るインク循環装置において、上記インク供給部、上記インク回収部、上記インク供給路、上記インク回収路及び上記インク復帰路は、空気が遮断されるように、多層構造に形成されることができる。
【0016】
また、本発明の一実施形態に係るインク循環装置において、上記インク供給部は、インクの沈降を防止するように、上記インク供給部を振動させる振動手段を含むことができる。
【0017】
また、本発明の一実施形態に係るインク循環装置において、上記インク供給部及び上記インク回収部は、インク重量を測定するロードセルを含み、上記制御部は、インクの供給及び復帰を上記ロードセルによって測定される上記インク供給部及び上記インク回収部のインク重量で決めることができる。
【0018】
この際、上記制御部は、上記ロードセルによって測定される上記インク供給部及び上記インク回収部のインク重量が、予め設定された重量以下の場合、インク充填を警報することができる。
【0019】
本発明の他の側面において、本発明に係るインクジェットプリンターは、上記インク循環装置と、当該インク循環装置からインクを供給されてインクを吐出するインクジェットプリントヘッドと、当該インクジェットプリントヘッドと上記インク供給路及び上記インク回収路との間でインクを貯蔵するサブタンクとを含むことができる。
【0020】
この際、上記制御部は、上記インク供給時、上記インクジェットプリントヘッド内の気体を除去するように、上記サブタンクを負圧状態にすることができる。
【0021】
本発明のさらに他の側面において、本発明に係るインク循環方法は、インク供給部の圧力がインク回収部の圧力より高くなると、インク復帰路の第1のバルブを閉めインク供給路の第2のバルブを開けて当該インク供給路を介してインクジェットプリントヘッドにインクを供給する段階と、上記インクジェットプリントヘッドでプリンティングが完了すると、インク回収路の第3のバルブを開けて上記インクジェットプリントヘッドから吐出されていないインクを上記インク回収路を介して上記インク回収部へ回収する段階と、上記インク回収部の圧力が上記インク供給部の圧力より高くなると、上記インク供給路の上記第2のバルブ及び上記インク回収路の上記第3のバルブを閉め上記インク復帰路の上記第1のバルブを開けて上記インク復帰路を介して上記インク回収部のインクを上記インク供給部へ復帰させる段階とを含むことができる。
【0022】
また、本発明に係るインク循環方法において、上記インク供給部及び上記インク回収部の圧力の調節は、当該インク供給部及び当該インク回収部のいずれか一つを負圧状態にしてなされることができる。
【0023】
また、本発明に係るインク循環方法において、上記インク供給部及び上記インク回収部の圧力の調節は、当該インク供給部及び当該インク回収部の高さを調節してなされることができる。
【0024】
また、本発明に係るインク循環方法において、上記インク供給部及び上記インク回収部のインク重量が、予め設定された重量以下の場合、インク充填を警報する段階をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るインク循環装置及びこれを含むインクジェットプリンター並びにインク循環方法によると、インクジェットプリントヘッドに十分に脱気されたインクを供給し、インク内の固体成分が沈降することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るインク循環装置を概略的に示す図面である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るインク循環装置において、インク供給経路及びインク回収経路を示す図面である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るインク循環装置において、インク復帰経路を示す図面である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るインク循環装置を概略的に示す図面である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るインク循環装置において、インク供給経路及びインク回収経路を示す図面である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るインク循環装置において、インク復帰経路を示す図面である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係るインク循環装置を概略的に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の具体的な実施形態を詳述する。但し、本発明の思想は、提示される実施形態に制限されることなく、本発明の思想を理解する当業者は、同一思想の範囲内で他の構成要素の追加、変更、削除などを通じて、退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施形態を容易に提案することができるが、これもまた本願発明の思想の範囲内に含まれると言えるはずである。
【0028】
なお、各実施形態の図面に示される同一思想の範囲内の機能が同一な構成要素は、同一な参照符号を付して説明する。
【0029】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るインク循環装置を概略的に示し、図2は、本発明の第1の実施形態に係るインク循環装置においてインク供給経路を示し、図3は、本発明の第1の実施形態に係るインク循環装置においてインク復帰経路を示す図面である。
【0030】
図1から図3を参照すると、本発明の第1の実施形態に係るインク循環装置100は、インク供給部110と、インク回収部120と、制御部とを含むことができる。
【0031】
インク供給部110は、インク供給路に沿ってインクジェットプリントヘッド130にインクを供給するものであって、十分に脱気されたインクが充填されているインク供給パック112と、当該インク供給パック112のインクを振動させる振動手段114と、当該インク供給パック112のインク重量を測定する第1のロードセル116とを含むことができる。
【0032】
上記インク供給パック112は、空気が遮断されるように多層構造に形成されることができる。
【0033】
上記振動手段114は、インク内の金、銀等の金属のような固体成分が沈降しないように上記インク供給パック112に振動を加えるものであって、圧電体又は超音波素子を用いることができる。
【0034】
上記第1のロードセル116は、上記インク供給パック112内のインク重量を測定する装置であって、本実施形態ではロードセルを例に挙げて説明しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、通常インクの重量を測定できる装置であれば用いることができることは言うまでもない。
【0035】
インク供給部110は、インク供給パック112内のインクを一定温度に維持するために、ヒーター(図示せず)を備えることができる。
【0036】
インク回収部120は、インクジェットプリントヘッド130から吐出されていないインクを回収するものであって、回収されるインクが満たされるインク回収パック122と、当該インク回収パック122のインク重量を測定する第2のロードセル126とを含むことができる。
【0037】
上記インク回収パック122は、空気が遮断されるように、多層構造に形成されることができる。
【0038】
上記第2のロードセル126は、上記インク回収パック122内のインク重量を測定する装置であって、本実施形態ではロードセルを例に挙げて説明しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、通常インクの重量を測定できる装置であれば用いることができることは言うまでもない。
【0039】
インクジェットプリントヘッド130は、内部にインク流路が形成されており、アクチュエーター(図示せず)の駆動によってインク流路内の圧力又は体積の変化を介してノズルへインクを吐出する装置であって、具体的な構成は一般的なインクジェットプリントヘッドと実質的に同一であるため、詳しい説明は省略することにする。
【0040】
インク供給部110から供給されるインクがサブタンク134を介してインクジェットプリントヘッド130に供給され、インクジェットプリントヘッド130でプリンティングが行われ、プリンティングが完了すると、インクジェットプリントヘッド130から吐出されていないインクがサブタンク134を介してインク回収部120へ移送される。
【0041】
上記インクジェットプリントヘッド130は、サブタンク134のインク供給路側に、インクジェットプリントヘッド130の内部へ異物が入ってノズルが詰まることを防止するように、フィルター部136を含むことができる。当該フィルター部136は、インクジェットプリントヘッド130のノズル(図示せず)の直径より小さい隙間が形成されたメッシュ(mesh)状であっても良い。
【0042】
さらに、上記インクジェットプリントヘッド130は、温度センサー132を備えることで、インクジェットプリントヘッド130を介して吐出されるインクの温度を制御することができる。
【0043】
インク供給部110、インク回収部120及びインクジェットプリントヘッド130は、配管によって連結されており、当該配管にバルブを設けて当該バルブを開閉することによって、インク供給路、インク回収路及びインク復帰路を形成する。
【0044】
上記配管は、インク供給路を形成する第1の配管150及び第2の配管152と、インク回収路を形成する第4の配管154及び第5の配管156と、インク復帰路の一部を形成する第3の配管153とを含むことができる。これらの配管は、空気が遮断されるように、多層構造に形成されることができる。
【0045】
また、上記バルブは、第1の配管150から分岐される第1の分岐点151と第5の配管156から分岐される第2の分岐点155との間に設けられる第1のバルブ142と、第2の配管152内に設けられる第2のバルブ144と、第4の配管154内に設けられる第3のバルブ146とを含むことができる。
【0046】
制御部は、インク供給部110及びインク回収部120の圧力を調節してインク供給、インク回収及びインク復帰がなされるようにし、インクジェットプリントヘッド130のサブタンク134内の圧力を調節してインクジェットプリントヘッド130内部の気体を除去するようにする圧力制御部を含むことができる。
【0047】
具体的には、上記圧力制御部は、インク供給部110の圧力P1を調節する第1の圧力調節部118と、インク回収部120の圧力P2を調節する第2の圧力調節部128と、インクジェットプリントヘッド130の圧力を調節する第3の圧力調節部138とを含むことができる。
【0048】
第1から第3の圧力調節部118、128、138は、インク吐出の微細な特性によって、インク供給部110、インク回収部120及びインクジェットプリントヘッド130内の圧力を減圧、特に大気圧以下の圧力である負圧状態にする装置であることが好ましい。
【0049】
本実施形態において、インク循環装置100は、インク供給部110とインク回収部120との圧力の差によってインクを循環させるものであって、制御部は、インク供給部110の圧力をインク回収部120の圧力より高く(P1>P2)してインクジェットプリントヘッド130にインクを供給し、インク回収部120の圧力をインク供給部110の圧力より高く(P1<P2)してインク回収部120からインク供給部110へインクを復帰させることができる。
【0050】
制御部は、バルブ制御部(図示せず)を含むことができ、当該バルブ制御部は、インクジェットプリントヘッド130へのインク供給時、第3の配管153に設けられた第1のバルブ142を閉め第2の配管152に設けられた第2のバルブ144及び第4の配管154に設けられた第3のバルブ146を開け、インク回収部120からインク供給部110へのインク復帰時、第2の配管152に設けられた第2のバルブ144及び第4の配管154に設けられた第3のバルブ146を閉め第3の配管153に設けられた第1のバルブ142を開けることができる。
【0051】
具体的には、第2の圧力調節部128がインク回収部120の圧力を負圧状態にすると、インク供給部110の圧力がインク回収部120の圧力より高くなり(P1>P2)、この際、バルブ制御部が第1のバルブ142を閉め第2のバルブ144及び第3のバルブ146を開けることで、インク供給部110からインクジェットプリントヘッド130へインク供給路を介してインクが供給され、インクジェットプリントヘッド130から吐出されていないインクがインク回収路を介してインク回収部120へ回収されることができる。
【0052】
インク復帰時には、第1の圧力調節部118がインク供給部110の圧力を負圧状態にすると、インク回収部120の圧力がインク供給部110の圧力より高くなり(P1<P2)、この際、バルブ制御部が第1のバルブ142を開け第2のバルブ144及び第3のバルブ146を閉めることで、インク回収部120からインク供給部110へインク復帰路を介してインクが復帰されることができる。
【0053】
制御部は、インク供給及びインク復帰をインク供給部110及びインク回収部120のインク重量によって決めることができる。具体的には、インク供給部110の第1のロードセル116によって測定されるインク重量(W)と、インク回収部120の第2のロードセル126によって測定されるインク重量(W)との和(W)が予め設定されたインクの流動範囲内であり且つWが供給最低重量以上であれば、インク供給及びインク回収が行われ、Wが上記インク流動範囲内であり且つWが供給最低重量以下であれば、インク回収部120からインク供給部110へのインク復帰が行われる。
【0054】
第3の圧力調節部138は、インクジェットプリントヘッド130をプリンティングする間にサブタンク134の圧力を負圧状態にすることによって、インクジェットプリントヘッド130内の気体を除去することができる。
【0055】
制御部は、温度制御部を含むことができ、当該温度制御部は、インクジェットプリントヘッド130の温度センサー132で測定された温度が、予め設定された温度以下の場合、インク供給部110のヒーター(図示せず)を作動させることで、インク供給部110から供給されるインクの温度を上昇させることができる。
【0056】
さらに、制御部は、第1及び第2のロードセル116、126によって測定されるインク供給部110及び上記インク回収部210のインク重量が、予め設定された重量以下の場合、インク充填を警報するアラーム部(図示せず)を含むことができる。即ち、当該アラーム部は、インク供給部110の第1のロードセル116によって測定されるインク重量(W)とインク回収部120の第2のロードセル126によって測定されるインク重量(W)とが、予め設定された最低重量以下であれば、インクの供給、回収、復帰等のインクの移送を終了し、インク充填を警報する。
【0057】
以下、図2及び図3を参照して、インク循環方法を詳述する。
【0058】
インク供給のために、第2の圧力調節部128がインク回収部120の圧力を負圧状態にすると、インク供給部110の圧力がインク回収部120の圧力より高くなり(P1>P2)、この際、バルブ制御部が第1のバルブ142を閉め第2のバルブ144及び第3のバルブ146を開けると、インクがインク供給パック112からインク供給経路(A1→A2)である第1の配管150及び第2の配管152を介してインクジェットプリントヘッド130のサブタンク134に供給される。
【0059】
インクジェットプリントヘッド130から吐出されていないインクは、サブタンク134に貯蔵され、当該インクは、インク回収経路(A3→A4)である第4の配管154及び第5の配管156を介してインク回収部120のインク回収パック122に流入される。
【0060】
インク供給パック112のインクがインクジェットプリントヘッド130を経てインク回収パック122に流入されるにつれて、インク供給部110の圧力が低くなり、インク回収部120の圧力が高くなる。
【0061】
インク供給パック112へインクが殆ど移送されると、制御部はインク復帰モードに転換され、第1の圧力調節部118がインク供給部110を負圧状態にすると、インク回収部120の圧力がインク供給部110の圧力より高くなり(P1<P2)、この際、バルブ制御部が第1のバルブ142を開け第2のバルブ144及び第3のバルブ146を閉めることで、インク回収パック122内のインクがインク復帰経路(B1→B2→B3→B4)である第5の配管156、第3の配管153及び第1の配管150を介してインク供給部110のインク供給パック112内へ移動される。
【0062】
一方、第1及び第2のロードセル116、126によって測定されるインク供給部110及び上記インク回収部210のインク重量が、予め設定された重量以下の場合、制御部はインクの移送を終了し、アラーム部がインク充填を警報することができる。即ち、インク供給部110の第1のロードセル116によって測定されるインク重量(W)と、インク回収部120の第2のロードセル126によって測定されるインク重量(W)とが、予め設定された最低重量以下であれば、制御部はインクの供給、回収、復帰等のインクの移送を終了し、アラーム部がインク充填を警報する。
【0063】
図4は、本発明の第2の実施形態に係るインク循環装置を概略的に示し、図5は、本発明の第2の実施形態に係るインク循環装置においてインク供給経路及びインク回収経路を示し、図6は、本発明の第2の実施形態に係るインク循環装置においてインク復帰経路を示す図面である。
【0064】
図4から図6に示される本発明の第2の実施形態に係るインク循環装置は、インク供給部及びインク回収部の圧力の制御をインク供給部とインク回収部との高さの差によって行うものであって、その他の構成は、図1から図3に示される本発明の第1の実施形態に係るインク循環装置と同一であるため、これらの構成に対する詳細な説明は省略し、以下では相違点を中心に説明することとする。
【0065】
図4から図6を参照すると、本実施形態に係るインク循環装置200は、インク供給部210と、インク回収部220と、制御部とを含むことができる。
【0066】
インク供給部210は、インク供給路に沿ってインクジェットプリントヘッド230にインクを供給するものであって、十分に脱気されたインクが充填されているインク供給パック212と、当該インク供給パック212のインクを振動させる振動手段214と、当該インク供給パック212のインク重量を測定する第1のロードセル216とを含むことができる。
【0067】
インク回収部220は、インクジェットプリントヘッド230から吐出されていないインクを回収するものであって、回収されるインクが満たされるインク回収パック222と、当該インク回収パック222のインク重量を測定する第2のロードセル226とを含むことができる。
【0068】
制御部は、インク供給部210及びインク回収部220の圧力を調節してインク供給、インク回収及びインク復帰がなされるようにする圧力制御部260と、インクジェットプリントヘッド230のサブタンク232内の圧力を調節してインクジェットプリントヘッド130内部の気体を除去するようにする脱気モジュール238とを含むことができる。
【0069】
上記圧力制御部260は、インク供給時及びインク復帰時、インク供給部210及びインク回収部220の高さを調節することで、インク供給部210とインク回収部220との間に圧力の差を発生させることができる。即ち、インク供給時には、インク供給部210の高さをインク回収部220の高さより高くし、インク復帰時には、インク回収部220の高さをインク供給部210の高さより高くすることができる。
【0070】
このために、圧力制御部260は、インク供給部210及びインク回収部220を上昇及び下降させる手段を含むことができる。
【0071】
このように、本実施形態は、圧力制御部260がインク供給部210及びインク回収部220の高さを調節してインク供給部210とインク回収部220との間の圧力を調節するということから、本発明の第1の実施形態とは異なり、これにより第1の実施形態においてインク供給部及びインク回収部の圧力を負圧状態にする第1及び第2の圧力調節部は別に必要としない。
【0072】
上記圧力制御部260は、インク供給及びインク復帰を、第1の実施形態のように、インク供給部210及びインク回収部220のインク重量によって決めることができる。
【0073】
以下、図5及び図6を参照して、本実施形態に係るインク循環方法を詳述する。
【0074】
インク供給のために、圧力制御部260がインク供給部210を上昇させインク回収部220を下降させると、インク供給部210の圧力がインク回収部220の圧力より高くなり(P1>P2)、この際、バルブ制御部が第1のバルブ242を閉め第2のバルブ244及び第3のバルブ246を開けると、インクがインク供給パック212からインク供給経路(C1→C2→C3)である第1の配管250及び第2の配管252を介してインクジェットプリントヘッド230のサブタンク232に供給される。
【0075】
インクジェットプリントヘッド230から吐出されていないインクは、サブタンク232に貯蔵され、当該インクは、インク回収経路(C4→C5→C6)である第4の配管254及び第5の配管256を介してインク回収部220のインク回収パック222に流入される。
【0076】
インク供給パック212へインクが殆ど移送されると、制御部はインク復帰モードに転換され、圧力制御部260がインク供給部210を下降させインク回収部220を上昇させると、インク回収部220の圧力がインク供給部210の圧力より高くなり(P1<P2)、この際、バルブ制御部が第1のバルブ242を開け第2のバルブ244及び第3のバルブ246を閉めることで、インク回収パック222内のインクがインク復帰経路(D1→D2→D3→D4→D5→D6)である第5の配管256、第3の配管253及び第1の配管250を介してインク供給部210のインク供給パック212内へ移動される。
【0077】
図7は、本発明の第3の実施形態に係るインク循環装置を概略的に示す図面である。
【0078】
図7に示される本発明の第3の実施形態に係るインク循環装置は、インク供給部とインク回収部との間に、多数のインクジェットプリントヘッドが設けられているものであって、その他の構成は、図1から図3に示される本発明の第1の実施形態に係るインク循環装置と同一であるため、これらの構成に対する詳細な説明は省略し、以下では相違点を中心に説明することとする。
【0079】
図7を参照すると、本発明の第3の実施形態に係るインク循環装置300は、インク供給部310と、インク回収部320と、制御部とを含むことができる。
【0080】
インク供給部310は、インク供給路に沿って各インクジェットプリントヘッド330a〜330dにインクを供給するものであって、十分に脱気されたインクが充填されているインク供給パック312と、当該インク供給パック312のインクを振動させる振動手段314と、当該インク供給パック312のインク重量を測定する第1のロードセル316とを含むことができる。
【0081】
インク回収部320は、インクジェットプリントヘッド330a〜330dから吐出されていないインクを回収するものであって、回収されるインクが満たされるインク回収パック322と、当該インク回収パック322のインク重量を測定する第2のロードセル326とを含むことができる。
【0082】
本実施形態において、インクジェットプリントヘッド330a〜330dは、4個で構成されており、第1から第4のインクジェットプリントヘッド330a〜330dから構成されることができる。第1から第4のそれぞれのインクジェットプリントヘッド330a〜330dは、内部にインク流路が形成されており、四色相のインクが吐出されることができる。例えば、第1のインクジェットプリントヘッド330aは黒色インク、第2のインクジェットプリントヘッド330bはシアン(cyan)インク、第3のインクジェットプリントヘッド330cはマゼンタ(magenta)インク、第4のインクジェットプリントヘッド330dは黄色インクを吐出することができる。
【0083】
この際、インク供給部310及びインク回収部320は、各色相に対応するインクパックを含むことができる。
【0084】
本実施形態では、インクジェットプリントヘッドが4個で構成されているものを図示して説明しているが、本発明は、これに限定されるものではなく、吐出される色相の組み合わせに応じて多数のインクジェットプリントヘッドを備えることができる。
【0085】
上記第1から第4のインクジェットプリントヘッド330a〜330dは、それぞれの配管を介してインク供給部310及びインク回収部320に連結されており、各配管にはインク流路を開閉するバルブが設けられている。
【0086】
制御部は、インク供給部310及びインク回収部320の圧力を調節してインク供給、インク回収及びインク復帰がなされるようにし、インクジェットプリントヘッド330a〜330dのサブタンク334内の圧力を調節してインクジェットプリントヘッド330a〜330d内部の気体を除去するようにする圧力制御部を含むことができる。
【0087】
具体的には、上記圧力制御部は、インク供給部310の圧力P1を調節する第1の圧力調節部318と、インク回収部320の圧力P2を調節する第2の圧力調節部328と、インクジェットプリントヘッド330a〜330dの圧力を調節する第3の圧力調節部とを含むことができる。
【0088】
一方、本発明の第2の実施形態のように、圧力制御をインク供給部及びインク回収部の高さを調節して行う場合には、上記第1及び第2の圧力調節部318、328は別に必要としない。
【0089】
第3の圧力調節部は、第1から第4のインクジェットプリントヘッド330a〜330dのサブタンク内の圧力を調節してインクジェットプリントヘッド内部の気体を除去するようにするものであって、第1のインクジェットプリントヘッド330aのサブタンクに連結された第1の脱気モジュール338aと、第2のインクジェットプリントヘッド330bのサブタンクに連結された第2の脱気モジュール338bと、第3のインクジェットプリントヘッド330cのサブタンクに連結された第3の脱気モジュール338cと、第4のインクジェットプリントヘッド330dのサブタンクに連結された第4の脱気モジュール338dとを含むことができる。
【0090】
本実施形態において、インク循環装置300によるインク循環経路を詳述すると、次の通りである。
【0091】
インク供給時、制御部は、インク供給部310の圧力をインク回収部320の圧力より高く(P1>P2)し、第3の配管353に設けられた第1のバルブ342を閉め第2の配管の分岐ライン352a〜352dに設けられた第2のバルブ344a〜344d及び第4の配管の分岐ライン354a〜354dに設けられた第3のバルブ346a〜346dを開けることで、第1の配管350、第2の配管352及び第2の配管の分岐ライン352a〜352dを介して第1から第4のインクジェットプリントヘッド330a〜330dにインクを供給する。
【0092】
第1から第4のインクジェットプリントヘッド330a〜330dによって吐出されていないインクは、第4の配管の分岐ライン354a〜354d、第4の配管354及び第5の配管356を介してインク回収部320へ回収される。
【0093】
インク復帰時、制御部は、インク回収部320の圧力をインク供給部310の圧力より高く(P1<P2)し、第3の配管353に設けられた第1のバルブ342を開け第2の配管の分岐ライン352a〜352dに設けられた第2のバルブ344a〜344d及び第4の配管の分岐ライン354a〜354dに設けられた第3のバルブ346a〜346dを閉めることで、第5の配管356、第3の配管353及び第1の配管350を介してインク回収部320からインク供給部310へインクを復帰させることができる。
【0094】
以上、本発明の好ましい実施形態を詳述したが、これらは例示的なものに過ぎず、当該分野における通常の知識を有する者であれば、これらから各種の変更及び均等な他の実施形態を想到し得るということは明らかである。したがって、本発明の技術的保護の範囲は、添付された特許請求の範囲によって決められるべきである。
【符号の説明】
【0095】
100 インク循環装置
110 インク供給部
112 インク供給パック
116 第1のロードセル
120 インク回収部
122 インク回収パック
126 第2のロードセル
130 インクジェットプリントヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容し、インクジェットプリントヘッドにインクを供給するインク供給部と、
前記インクジェットプリントヘッドと前記インク供給部とを連結するインク供給路と、
前記インクジェットプリントヘッドから吐出されていないインクを回収して収容するインク回収部と、
前記インクジェットプリントヘッドと前記インク回収部とを連結するインク回収路と、
前記インク回収部のインクを前記インク供給部へ復帰させるインク復帰路と、
前記インクジェットプリントヘッドへのインク供給時、前記インク供給部の内部の圧力を前記インク回収部の内部の圧力より高くし、前記インク復帰路に設けられた第1のバルブを閉め前記インク供給路に設けられた第2のバルブ及び前記インク回収路に設けられた第3のバルブを開け、前記インク回収部から前記インク供給部へのインク復帰時、前記インク回収部の内部の圧力を前記インク供給部の内部の圧力より高くし、前記第1のバルブを開け前記第2のバルブ及び前記第3のバルブを閉める制御部と
を含む、インク循環装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記インク供給時、前記インク回収部の圧力を負圧状態にし、前記インク復帰時、前記インク供給部の圧力を負圧状態にする、請求項1に記載のインク循環装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記インク供給時、前記インク供給部の高さを前記インク回収部の高さより高くし、前記インク復帰時、前記インク回収部の高さを前記インク供給部の高さより高くする、請求項1に記載のインク循環装置。
【請求項4】
前記インク供給路の前記インクジェットプリントヘッド側に、当該インクジェットプリントヘッドのノズルの直径より小さい隙間が形成されたフィルター部をさらに含む、請求項1から3の何れか1項に記載のインク循環装置。
【請求項5】
前記インク供給部は、脱気されたインクが充填されたインクパックを含む、請求項1から4の何れか1項に記載のインク循環装置。
【請求項6】
前記インク供給部、前記インク回収部、前記インク供給路、前記インク回収路及び前記インク復帰路は、空気が遮断されるように、多層構造に形成される、請求項1から5の何れか1項に記載のインク循環装置。
【請求項7】
前記インク供給部は、インクの沈降を防止するように、当該インク供給部を振動させる振動手段を含む、請求項1から6の何れか1項に記載のインク循環装置。
【請求項8】
前記インク供給部及び前記インク回収部は、インク重量を測定するロードセルを含み、
前記制御部は、インク供給及びインク復帰を、前記ロードセルによって測定される前記インク供給部及び前記インク回収部のインク重量によって決める、請求項1から7の何れか1項に記載のインク循環装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記ロードセルによって測定される前記インク供給部及び前記インク回収部のインク重量が、予め設定された重量以下の場合、インク充填を警報する、請求項8に記載のインク循環装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のインク循環装置と、
当該インク循環装置からインクを供給されてインクを吐出するインクジェットプリントヘッドと、
当該インクジェットプリントヘッドと前記インク供給路及び前記インク回収路との間でインクを貯蔵するサブタンクと、
を含む、インクジェットプリンター。
【請求項11】
前記制御部は、前記インク供給時、前記インクジェットプリントヘッド内の気体を除去するように、前記サブタンクを負圧状態にする、請求項10に記載のインクジェットプリンター。
【請求項12】
インクを収容し、インクジェットプリントヘッドにインクを供給するインク供給部の内部の圧力が前記インクジェットプリントヘッドから吐出されていないインクを回収して収容するインク回収部の内部の圧力より高くなると、前記インク回収部のインクを前記インク供給部へ復帰させるインク復帰路の第1のバルブを閉め前記インクジェットプリントヘッドと前記インク供給部とを連結するインク供給路の第2のバルブを開けて、当該インク供給路を介して前記インクジェットプリントヘッドにインクを供給する段階と、
前記インクジェットプリントヘッドでプリンティングが完了すると、前記インクジェットプリントヘッドと前記インク回収部とを連結するインク回収路の第3のバルブを開けて、前記インクジェットプリントヘッドから吐出されていないインクを前記インク回収路を介して前記インク回収部へ回収する段階と、
前記インク回収部の内部の圧力が前記インク供給部の内部の圧力より高くなると、前記インク供給路の前記第2のバルブ及び前記インク回収路の前記第3のバルブを閉め前記インク復帰路の前記第1のバルブを開けて、当該インク復帰路を介して前記インク回収部のインクを前記インク供給部へ復帰させる段階と
を含む、インク循環方法。
【請求項13】
前記インク供給部及び前記インク回収部の圧力調節は、当該インク供給部及び当該インク回収部のいずれか一つを負圧状態にしてなされる、請求項12に記載のインク循環方法。
【請求項14】
前記インク供給部及び前記インク回収部の圧力調節は、当該インク供給部及び当該インク回収部の高さを調節してなされる、請求項12に記載のインク循環方法。
【請求項15】
前記インク供給部及び前記インク回収部のインク重量が、予め設定された重量以下の場合、インク充填を警報する段階をさらに含む、請求項12から14の何れか1項に記載のインク循環方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−86544(P2012−86544A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1252(P2011−1252)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】