説明

インストルメントパネルのグローブボックス構造

【課題】ボックス本体の下端部がヒンジで支持されて上下方向に回動することによりインストルメントパネルの開口部を開閉するグローブボックス構造において、グローブボックスの自重及び該グローブボックスに収容された物品の重量による荷重によってヒンジが変形するのを防止する。
【解決手段】グローブボックス3に、当該グローブボックス3を閉じた状態において、インストルメントパネル1の開口部Aの下縁部133に対し上側から当接する当接支持部333cを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のインストルメントパネルのグローブボックス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のインストルメントパネルの助手席側に設けられ、例えば小物類を収容するためのグローブボックスが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、上方に開放する収容部を有するボックス本体を備え、インストルメントパネルの開口部の下方位置に対してボックス本体の下端部がヒンジを介して回動可能に連結され、その回動に伴って開口部を開閉可能なグローブボックスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−262334号公報(第4頁、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献1に開示されたグローブボックスの開閉構造では、グローブボックスの自重及び該グローブボックスに収容された物品の重量による荷重がヒンジに集中する。加えて、グローブボックスのヒンジは、一般に、軽量で安価なポリプロピレン等の合成樹脂製であるため、熱の影響等で変形し易くなっている。そのため、上記荷重によりヒンジが変形する場合がある。ヒンジの変形が起きると、グローブボックスが所定の閉じ位置からずれることになり、その結果、インストルメントパネルとグローブボックスとの間の隙間が大きくなって見栄えが悪くなる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ボックス本体の下端部がヒンジで支持されて上下方向に回動することによりインストルメントパネルの開口部を開閉するグローブボックス構造において、グローブボックスの自重及び該グローブボックスに収容された物品の重量による荷重によってヒンジが変形するのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、グローブボックスを閉状態でインストルメントパネルの開口部の下縁部で支持するようにした。
【0008】
具体的に、第1の発明では、上方に開放する収容部を有するボックス本体を備え、インストルメントパネルの開口部よりも下方位置に対して上記ボックス本体の下端部がヒンジにより所定の軸周りに回動可能に連結されると共に、その回動に伴って上記開口部を開閉するグローブボックス構造を対象とし、上記ボックス本体には、グローブボックスを閉じた状態において、上記インストルメントパネルの開口部の下縁部に対し上側から当接する当接支持部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において、上記グローブボックスを閉じた状態において、上記当接支持部と上記インストルメントパネルの開口部の下縁部とが上記軸に沿って線接触するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によると、グローブボックスを閉じた状態において、当接支持部がインストルメントパネルの開口部の下縁部に対し上側から当接しているから、グローブボックスの自重及び該グローブボックスに収容された物品の重量による荷重がヒンジとインストルメントパネルとに分散される。これにより、ヒンジにかかる荷重が軽減されて、ヒンジの変形を防止することができる。
【0011】
第2の発明によると、グローブボックスの開閉動作中の当接支持部とインストルメントパネルとの摺動抵抗を極めて少なくすることができ、グローブボックスを支障なく開閉することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る助手席側のインストルメントパネルの概略正面図である。
【図2】グローブボックスを取り外したインストルメントパネルの図1相当図である。
【図3】グローブボックスの斜視図である。
【図4】図1のIV-IV線における断面図である。
【図5】図1のV-V線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係る左ハンドル車の助手席側のインストルメントパネル1の概略正面図である。このインストルメントパネル1は、アッパーパネル11と、該アッパーパネル11の下方に配置されたロアーパネル13とを備えた樹脂成形品である。
【0015】
アッパーパネル11の下側には、加飾パネル15が設けられている。
【0016】
ロアーパネル13には、図2に示すように、略矩形状の開口部Aが形成されている。この開口部Aがインストルメントパネルの開口部を構成する。そうして、ロアーパネル13には、例えば小物類を収容するためのグローブボックス3が開口部Aを開閉可能に取り付けられている。
【0017】
ロアーパネル13における開口部Aの下側は、車体前後方向に波打った形状となっており(図4参照)、後述するグローブボックス3側からの荷重に耐え得る剛性を有する。
【0018】
ロアーパネル13における開口部Aの下側の車幅方向(図2の左右方向)の両側には、グローブボックス3の後述するヒンジ軸受け333bに嵌合するヒンジ軸131が一体形成されている。
【0019】
グローブボックス3は、インストルメントパネル1と同様、樹脂成形品である。そして、グローブボックス3は、図1,3〜5に示すように、ロアーパネル13の開口部Aを閉鎖可能な蓋部31と、該蓋部31の車体前側(裏面、図4,5の左側)に接合されたボックス本体33とを備えている。尚、図3には、図1のIV-IV線及びV-V線に対応する箇所にIV-IV線及びV-V線を付している。
【0020】
蓋部31の車体前側(裏面)における車幅方向の両端部には、グローブボックス3を閉じたときの衝撃を吸収するクッションゴム311が設けられている。
【0021】
蓋部31の車体前側における車幅方向中央部には、グローブボックス3を閉じた状態にロックするロック装置5を収容するロック装置収納部35が設けられている。
【0022】
ロック装置5は、グローブボックス3をロックするための留め具51と、グローブボックス3のロックを解除するためのロック解除ノブ53とを有する。
【0023】
留め具51は、インストメントパネル1の車体前方に位置するインパネフレーム7に取り付けられたストライカ71と係合して、グローブボックス3を閉じた状態に保持する機能を有する。
【0024】
ロック解除ノブ53は、車体後方への引張り操作により、上記留め具51とストライカ71との係合を解除する機能を有する。
【0025】
ボックス本体33は、車幅方向に対向する側壁331と、両側壁331の車体前側の端部同士を連結する前壁333とを有する。そして、これら両側壁331及び前壁333と蓋部31とにより、上方に開放する収容部Bが形成されている。
【0026】
両側壁331の車体前側の上端部には、車幅方向外方に突出するストッパ331aが同軸上に設けられている。両ストッパ331aは、ボックス本体33の両側壁331と対向するロアーパネル13の対向壁に形成された図示省略の開度調整手段と係合して、グローブボックス3の開度を規制する機能を有する。開度調整手段としては、公知の種々の手段を採用することができるが、例えば、ロアーパネル13の対向壁に湾曲溝を形成すると共に該湾曲溝に両ストッパ331aを嵌合させる手段がある。この手段によれば、グローブボックス3を開けると、両ストッパ331aが湾曲溝内を移動する。そうして、両ストッパ331aが湾曲溝の一方端に当接してグローブボックス3の開度が規制される。このときのグローブボックス3の位置が全開位置(図5の2点鎖線の位置)となる。
【0027】
前壁333の車幅方向両端側の下部には、そこから車体前方に延出する延出部333aが一体形成されている。
【0028】
各延出部333aの下端部には、車幅方向視で下方に開放する略C字状のヒンジ軸受け333bが形成されていて、該ヒンジ軸受け333bにヒンジ軸131が嵌合している。このヒンジ軸受け333bとヒンジ軸131とがヒンジ9を構成する。こうして、グローブボックス3は、インストルメントパネル1の開口部Aよりも下方位置に対してボックス本体33の下端部がヒンジ9により車幅方向に延びる軸X周りに回動可能に連結されていて、その回動に伴って開口部Aを開閉することができるようになっている。
【0029】
各延出部333aの上端部及び前壁333の車幅方向中央部における下部には、車幅方向視で略直角三角形状の当接支持部333cが形成されていて、これら当接支持部333cは、グローブボックス3を閉じた状態において、上記直角三角形状の底辺が略水平となった状態でロアーパネル13の開口部Aの下縁部133に対し上側から当接するようになっている。そうして、この当接状態において、当接支持部333cとロアーパネル13の開口部Aの下縁部133とは軸Xに沿って線接触するようになっている(図4及び5参照)。
【0030】
本グローブボックス構造は、以上のように構成されており、次に本グローブボックス構造の作用効果について説明する。
【0031】
本グローブボックス構造によれば、グローブボックス3を閉じた状態において、当接支持部333cがロアーパネル13の開口部Aの下縁部133に対し上側から当接するから、グローブボックス3の自重及び該グローブボックス3に収容された物品の重量による荷重(グローブボックス3側からの荷重)がヒンジ9及びインストルメントパネル1に分散される。これにより、ヒンジ9にかかる荷重を軽減することができるから、ヒンジ9が変形するのを防止できる。
【0032】
また、グローブボックス3を閉じたときに、当接支持部333cとロアーパネル13の開口部Aの下縁部133とが軸Xに沿った線接触した状態でグローブボックス3がインストルメントパネル1に支持されるように構成したから、グローブボックス3の開閉動作中の当接支持部333cとロアーパネル13との摺動抵抗を極めて小さくすることができ、グローブボックス3を支障なく開閉することができる。
【0033】
尚、当接支持部333cの形状、数、及び配置は、前記に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0034】
また、ヒンジ9は、インストルメントパネル1にヒンジ軸受けを、グローブボックス3にヒンジ軸をそれぞれ設けた構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、グローブボックスとインストルメントパネルとを連結するヒンジの変形を防止することができ、その結果、インストルメントパネルとグローブボックスとの間の隙間を一定に保持することができる点で有用である。
【符号の説明】
【0036】
1 インストルメントパネル
11 アッパーパネル
13 ロアーパネル
133 下縁部
3 グローブボックス
33 ボックス本体
333c 当接支持部
9 ヒンジ
A 開口部
B 収容部
X 軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開放する収容部(B)を有するボックス本体(33)を備え、
インストルメントパネル(1)の開口部(A)よりも下方位置に対して上記ボックス本体(33)の下端部がヒンジ(9)により所定の軸(X)周りに回動可能に連結されると共に、その回動に伴って上記開口部(A)を開閉するグローブボックス構造であって、
上記ボックス本体(33)には、グローブボックス(3)を閉じた状態において、上記インストルメントパネル(1)の開口部(A)の下縁部(133)に対し上側から当接する当接支持部(333c)が設けられていることを特徴とするインストルメントパネルのグローブボックス構造。
【請求項2】
請求項1に記載のインストルメントパネルのグローブボックス構造において、
上記グローブボックス(3)を閉じた状態において、上記当接支持部(333c)と上記インストルメントパネル(1)の開口部(A)の下縁部(133)とが上記軸(X)に沿って線接触するように構成されていることを特徴とするインストルメントパネルのグローブボックス構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−210846(P2012−210846A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76640(P2011−76640)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(390026538)ダイキョーニシカワ株式会社 (492)
【Fターム(参考)】