説明

インストーラ作成方法、インストーラ作成プログラム、インストーラ作成装置およびインストーラシステム

【課題】 画像形成装置のアプリケーションプログラムおよびインストーラをユーザ側が作成できるようにし、セキュリティの確保も容易にする。
【解決手段】 アプリケーション作成部19はアプリケーションプログラムを作成する。送受信部13はアプリケーションプログラムをネットワーク17を介してベンダーBに送信し、画像形成装置Cでの実行を許可するインストール用オフィシャルコードを要求し、ベンダーB側からのオフィシャルコードを受信する。インストーラ作成部23は、受信したオフィシャルコードにアプリケーションプログラムを関連付けてアプリケーションプログラムのインストーラを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインストーラ作成方法、インストーラ作成プログラム、インストーラ作成装置およびインストーラシステムに係り、複写機、プリンタ、ファクシミリ機、これらの機能を有する複合機(MFP:Multi Function Peripheral)等の画像形成装置におけるインストーラ作成方法、インストーラ作成プログラム、インストーラ作成装置およびインストーラシステムの改良に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置は、複数の給紙段から用紙を選択して搬送する一方、原稿から読み取った画像データに基づき感光体ドラムの表面に潜像を形成し、トナーカセットから供給したトナーによってその潜像にトナー像を形成し、その感光体ドラムからその搬送用紙にトナー像を転写させ、そのトナー像を定着部にて用紙に定着させて排紙する構成が良く知られており、アプリケーションプログラムをインストールすることによって種々の機能を達成可能になっている。
【0003】
しかも、画像形成装置は、ユーザ側の希望や開発時に予期しない事象に対応するため、製造メーカ側が当初提供したアプリケーションプログラムを拡張又は変更可能になるよう、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムのインターフェースとなるAPI(application programming interface)を備えている。
【0004】
これに加えて、画像形成装置において、アプリケーションプログラムのインストール、アップグレードおよびアンインストールを行うことで、ユーザがアプリケーションプログラムを拡張又は変更してカスタマイズし易いよう、製造メーカ側がそのアプリケーションプログラムを開発するための作成ツール(SDK:software development kit)を提供するようになってきている。
【0005】
ところが、これによって悪意を持った開発者が、画像形成装置の情報、例えば印刷課金情報、パスワード管理情報、メールアドレス情報等を破壊、漏洩するアプリケーションプログラムを作成し易くなり、これを画像形成装置にインストールすることで、画像形成装置のセキュリティを低下させる懸念がある。
【0006】
このような事態を防ぐため、アプリケーションプログラムをインストールするインストールプログラム(いわゆるインストーラ)を作成できるのは製造メーカだけに限定し、製造メーカの作成した特定インストーラによってのみアプリケーションプログラムを画像形成装置にインストール可能にする工夫がある。
【0007】
他方、製造メーカ以外にもインストーラ作成を可能にするものの、作成されたインストーラを製造メーカで検査を受け、製造メーカからライセンスコードの発行を受け、画像形成装置にインストールする際に、そのライセンスコードを入力させて対応する工夫もある。
【0008】
そして、画像形成装置のセキュリティを低下させないような特許文献を挙げるとすれば、例えば特開2006−344146号公報(特許文献1)のようなアプリケーション開発用プログラムがある。
【0009】
この特許文献1は、画像処理装置に実行させるためのアプリケーションプログラムを作成するためにコンピュータにより実行されるアプリケーション開発用プログラムであって、その画像処理装置に予め準備されている複数のコマンドごとに許可レベルを対応付けたコマンドレベルリストを含み、使用可能な許可レベルが予め与えられたレベルキーを取得するステップと、コマンドの入力を受付けるステップと、入力されたコマンドに対応付けられた許可レベルを前記コマンドレベルリストから取得するステップと、取得された許可レベルとレベルキーとから入力されたコマンドが有効か否かを判定するステップとをコンピュータに実行させるものであり、不正なアプリケーションプログラムの作成を防止したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2006−344146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述したように、製造メーカだけが特定インストーラを作成する仕組みでは、インストーラ入手まで長い期間が必要であるうえ、作業が煩雑になる難点がある。
【0012】
また、作成されたインストーラを製造メーカで検査を受けてライセンスコードを取得し、このライセンスコードを画像形成装置に入力させる対応でも、対応に期間が必要であるうえ作業が煩雑になる難点があるし、作成元においてインストーラのデバッグが容易にできず、作成の遅延につながる。
【0013】
他方、上述した特許文献1では、複数のコマンド毎に許可レベルを対応付けて不正アプリケーションプログラムの作成を防止するものであり、不正アプリケーションプログラムのインストール自体を防ぐものではなく、根本的な対策になり難い。
【0014】
本発明はそのような課題を解決するためになされたもので、ユーザが自由にアプリケーション作成可能であるうえ、不正アプリケーションプログラムに係るインストーラが作成され難く、セキュリティを確保し易いインストーラ作成方法、インストーラ作成プログラム、インストーラ作成装置およびインストーラシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのような課題を解決するために本発明の請求項1に係るインストーラ作成方法は、画像形成装置で実行させるためのアプリケーションプログラムを所定のインストーラ作成プログラムを用いて作成するアプリケーション作成工程と、そのアプリケーションプログラムをベンダーに送付し、その画像形成装置での実行を許可するインストール用オフィシャルコードを要求するオフィシャルコード要求工程と、そのオフィシャルコード要求を受けてアプリケーションプログラムに基づきオフィシャルコードを作成してインストーラ作成プログラム側へ交付するオフィシャルコード作成交付工程と、そのインストーラ作成プログラムを用い、そのアプリケーションプログラムにオフィシャルコードに関連付けてアプリケーションプログラムのインストーラを作成するインストーラ作成工程と、を具備している。
【0016】
本発明の請求項2に係るインストーラ作成方法は、上記アプリケーション作成工程がそのインストーラ作成プログラムを動作限定した仮インストーラとして作成し、上記インストーラ作成工程がその動作限定を外したインストーラを作成する構成である。
【0017】
本発明の請求項3に係るインストーラ作成方法は、上記アプリケーション作成工程が、動作機能および又は動作期間の限定されたその仮インストーラを作成する構成である。
【0018】
本発明の請求項4に係るインストーラ作成方法は、上記オフィシャルコード作成交付工程が、そのアプリケーションプログラムのバイナリ値に基づきそのオフィシャルコードを作成する構成である。
【0019】
本発明の請求項5に係るインストーラ作成方法は、上記オフィシャルコード要求工程におけるインストール用オフィシャルコードの要求、および上記オフィシャルコード作成交付工程におけるオフィシャルコードの交付を、ネットワークを介してする構成である。
【0020】
本発明の請求項6に係るインストーラ作成方法は、上記インストーラ作成工程が、そのアプリケーションプログラムにオフィシャルコードを関連付けるとき、そのオフィシャルコードが当該アプリケーションプログラムに基づくものか否かチェックプログラムを用いてチェックする構成である。
【0021】
本発明の請求項7に係るインストーラ作成プログラムは、画像形成装置で実行させるためのアプリケーションプログラムのインストーラを作成するコンピュータに対し、そのアプリケーションプログラムを作成するアプリケーション作成処理と、そのアプリケーションプログラムをネットワークを介してベンダーに送付し、その画像形成装置での実行を許可するインストール用オフィシャルコードを要求するオフィシャルコード要求処理と、そのオフィシャルコード要求を受けてアプリケーションプログラムに基づき作成されたオフィシャルコードをネットワークを介して取得するオフィシャルコード取得処理と、そのアプリケーションプログラムにオフィシャルコードを関連付けてアプリケーションプログラムのインストーラを作成するインストーラ作成処理と、を実行させるものである。
【0022】
本発明の請求項8に係るインストーラ作成プログラムは、上記アプリケーション作成処理がそのインストーラ作成プログラムを動作限定した仮インストーラとして作成し、上記インストーラ作成処理がその動作限定を外したそのインストーラを作成する構成である。
【0023】
本発明の請求項9に係るインストーラ作成プログラムは、上記アプリケーション作成処理が動作機能および又は動作期間の限定されたその仮インストーラを作成する構成である。
【0024】
本発明の請求項10に係るインストーラ作成プログラムは、上記オフィシャルコード作成取得処理が、そのアプリケーションプログラムのバイナリ値に基づきそのオフィシャルコードを取得する構成である。
【0025】
本発明の請求項11に係るインストーラ作成プログラムは、上記インストーラ作成処理が、そのアプリケーションプログラムにオフィシャルコードを関連付けるとき、そのオフィシャルコードが当該アプリケーションプログラムに基づくものか否かチェックする構成である。
【0026】
本発明の請求項12に係るインストーラ作成装置は、所定のインストーラ作成プログラムを記憶する記憶部と、画像形成装置で実行させるためのアプリケーションプログラムのインストーラを、そのインストーラ作成プログラムを用い外部からの指示入力に従って作成するアプリケーション作成部と、そのアプリケーションプログラムをネットワークを介してベンダーに送信し、その画像形成装置での実行を許可するインストール用オフィシャルコードを要求するとともに、当該インストール用オフィシャルコード要求を受けてアプリケーションプログラムに基づき作成されたオフィシャルコードをネットワークを介して受信する送受信部と、そのインストーラ作成プログラムを用い、受信したオフィシャルコードにアプリケーションプログラムを関連付けてアプリケーションプログラムのインストーラを作成するインストーラ作成部と、を具備している。
【0027】
本発明の請求項13に係るインストーラ作成装置は、上記アプリケーション作成部がそのインストーラ作成プログラムを動作限定した仮インストーラとして作成し、上記インストーラ作成部がその動作限定を外した前記インストーラを作成する構成である。
【0028】
本発明の請求項14に係るインストーラ作成装置は、上記アプリケーション作成部が動作機能および又は動作期間の限定された仮インストーラを作成する構成である。
【0029】
本発明の請求項15に係るインストーラ作成装置は、上記オフィシャルコード送受信部が、アプリケーションプログラムのバイナリ値に基づくそのオフィシャルコードを取得する構成である。
【0030】
本発明の請求項16に係るインストーラ作成装置は、上記インストーラ作成部が、そのアプリケーションプログラムにオフィシャルコードを関連付けるとき、そのオフィシャルコードが当該アプリケーションプログラムに基づくものか否かチェックプログラムを用いてチェックする構成である。
【0031】
本発明の請求項17に係るインストーラシステムは、それら請求項12〜15いずれか1記載のインストーラ作成装置と、このインストーラ作成装置とネットワークを介して接続され、画像データに基づき用紙に画像形成する画像形成部およびオフィシャルコードの実行許可判別部を有する画像形成装置とを具備し、上記画像形成装置が、そのインストーラ作成装置から前記ネットワークを介して入力されたインストーラに対し、その画像形成装置にて実行許可されるものと判別したとき、そのインストーラをインストールする構成である。
【発明の効果】
【0032】
このような本発明の請求項1、7に係るインストーラ作成方法およびインストーラ作成プログラムでは、画像形成装置で実行させるためのアプリケーションプログラムを作成し、そのアプリケーションプログラムをベンダーに送付して画像形成装置での実行を許可するインストール用オフィシャルコードを要求し、そのオフィシャルコード要求に基づき作成されたオフィシャルコードの取得を受け、そのアプリケーションプログラムにオフィシャルコードを関連付けてアプリケーションプログラムのインストーラを作成するから、ユーザが自由にアプリケーションを作成可能であるうえ、不正アプリケーションプログラムに係るインストーラが作成され難く、セキュリティを確保し易い。
【0033】
本発明の請求項2、8に係るインストーラ作成方法およびインストーラ作成プログラムでは、アプリケーションプログラムを動作限定した仮インストーラとして作成し、動作限定を外したインストーラを作成するから、セキュリティを確保した状態で、仮インストーラによって画像形成装置において試験的に動作を実行可能である。
【0034】
本発明の請求項3、9に係るインストーラ作成方法およびインストーラ作成プログラムでは、動作機能および又は動作期間の限定されたその仮インストーラを作成するから、画像形成装置において試験的に動作を実行する際、セキュリティの確実な確保が可能で、インストーラの本インストール後の動作確保も可能である。
【0035】
本発明の請求項4、10に係るインストーラ作成方法およびインストーラ作成プログラムでは、そのアプリケーションプログラムのバイナリ値に基づきそのオフィシャルコードを作成するから、高精度かつ高速でオフィシャルコードの取得が可能である。
【0036】
本発明の請求項5に係るインストーラ作成方法では、上記インストール用オフィシャルコードの要求および交付がネットワークを介してなされるから、オフィシャルコードの要求および交付が高速化されるし、操作性が向上する。
【0037】
本発明の請求項6、11に係るインストーラ作成方法およびインストーラ作成プログラムは、そのアプリケーションプログラムにオフィシャルコードを関連付けるとき、そのオフィシャルコードが当該アプリケーションプログラムに基づくものか否かチェックするから、それらアプリケーションプログラム又はオフィシャルコードが複数あっても関連付の誤りを防ぐことが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るインストーラ作成方法を搭載したインストーラ作成装置を含むインストーラシステムを示す概略ブロック図である。
【図2】本発明に係るインストーラ作成装置で用いるインストーラ作成プログラムを説明する図である。
【図3】本発明に係るインストーラ作成装置の動作をインストーラ作成方法とともに説明するフローチャートである。
【図4】本発明に係る画像形成装置を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、本発明に係るインストーラ作成方法およびインストーラ作成プログラムはインストーラ作成装置およびインストーラシステムを説明する過程で説明する。
【0040】
図1は本発明に係るインストーラ作成装置の実施の一形態をインストーラシステムとともに示す概略ブロック図である。
【0041】
図1において、インストーラ作成装置Aは、CPU(central processing unit)1を中心にしてROM(read only memory)3、RAM(random access memory)5、記憶部7、入力操作部9、表示部11、送受信部13を有し、例えば情報処理装置(コンピュータ)である。情報処理装置としてはこれ以外にも種々の構成を有するが、本発明の要部ではないので説明および図示を省略する。
【0042】
CPU1は、ROM3、RAM5、記憶部7、入力操作部9、表示部11および送受信部13その他を制御するものであるが、詳細は後述する。
【0043】
ROM3はCPU1の例えば起動動作プログラムを格納したメモリであり、RAM5はCPU1の動作に伴うプログラムを移してこの実行用および作業用に用いるメモリであり、記憶部7はインストーラ作成装置Aの動作プログラム、インストーラ作成プログラムを格納した例えばハードディスクである。
【0044】
インストーラ作成プログラム15は、アプリケーションプログラムを開発するための作成ツール(SDK)であり、例えば図2に示すように、ユーザ用のアプリケーションプログラム作成するプログラム本体およびプログラム部品(含む画像部品)であるユーザカスタマイズ部(ユーザプログラム)15a、アプリケーションプログラムを作成するためのユーティリティプログラムを提供するSKD提供部15bと、作成したアプリケーションプログラムからインストーラを作成するインストーラ作成ツール15cを有し、本発明のインストーラ作成プログラムを構成している。
【0045】
なお、実質的には、ユーザカスタマイズ部(ユーザプログラム)15aおよびSKD提供部15bがアプリケーションプログラム作成ツールとして機能する。
【0046】
SKD提供部15bは、ユーザカスタマイズ部15aで作成するアプリケーションプログラムについて外部との間で送受信制御する通信制御プログラムやAPI等を格納したライブラリ群15b1、作成したアプリケーションプログラムをコンパイルするコンパイラ15b2、作成したアプリケーションプログラムをデバッグするデバッガ15b3、作成したアプリケーションプログラムをシミュレートするシミュレータ15b4を有している。
【0047】
インストーラ作成ツール15cは、後述するオフィシャルコードを取り込んでこれを該当するアプリケーションプログラムに関連付けるオフィシャルコード入力部15c1と、入力するオフィシャルコードをアプリケーションプログラムに関連付けるとき、そのオフィシャルコードが当該アプリケーションプログラムに基づくものか同一性を否かチェックするチェックプログラムで動作するオフィシャルコードチェック部15c2を有している。
【0048】
オフィシャルコードチェック部15c2は、例えば、アプリケーションプログラムから公知の手法によってハッシュ値を作成し、これと後述するようにオフィシャルコードに添付されたハッシュ値とを比較して一致、不一致を検出し、一致していたとき、当該アプリケーションプログラムに対応したオフィシャルコードである、すなわち同一のアプリケーションプログラムに対応したオフィシャルコードであるとチェック判別する機能を有している。
【0049】
なお、インストーラ作成プログラム15は、図示はしないが、ICカード、フレキシブルディスク、光ディスク(MO)、DVD(Digital Versatile Disc)等のように情報を固定的に担持する記憶媒体に記憶されて供給される。
【0050】
図1の入力操作部9は、例えばキーボードやマウスであり、CPU1の制御の下、種々の操作の入力を受け付けるとともに、アプリケーションプログラムおよび又はオフィシャルコードが各々複数ある場合、外部から対応付け指示するものでもある。
【0051】
表示部11は、インストーラ作成装置Aの動作状態を表示するディスプレイであり、CPU1によって表示制御される。
【0052】
送受信部13は、所定のプロトコルに従い、公知のネットワーク17を介して後述するベンダー(製造メーカ又は販売店等の供給元)Bおよび画像形成装置Cとの間で情報を送受信する送受信機能を有する送受信インターフェースである。
【0053】
CPU1は、ROM3、RAM5および記憶部7を動作させ、上述したプログラムによってアプリケーション作成部19、デバッグ部21、インストーラ作成部23としての機能を有するとともに、送受信部13を制御する機能を有している。
【0054】
アプリケーション作成部19は、入力操作部9からの指示入力に従って、画像形成装置PCで実行されるアプリケーションプログラムを、上述したインストーラ作成プログラム15のユーザカスタマイズ部15aおよびSKD提供部15bを用いて作成する機能を有している。
【0055】
アプリケーション作成部19は、動作限定した仮インストーラ、例えば後述する印刷動作機能のみ動作可能であるとか、動作期間が14日に限定された仮インストーラを作成する機能を有している。
【0056】
デバッグ部21は、SKD提供部15bのデバッガ15b3を用い、作成されたアプリケーションプログラムのデバッグを行う機能を有している。
【0057】
インストーラ作成部23は、インストーラ作成ツール15cのオフィシャルコード入力部15c1およびオフィシャルコードチェック部15c2を用い、後述するように、入力したオフィシャルコードについてこれが同一アプリケーションプログラムに基づくものか否か同一性をチェックするとともに、アプリケーションプログラム(仮インストーラ)に対してオフィシャルコードを関連付けるとともに、上述した動作限定を外したインストーラ(本インストーラ)を作成する機能を有している。
【0058】
オフィシャルコードチェック部15c2は、アプリケーションプログラムから自身が作成したハッシュ値とオフィシャルコードに添付されたハッシュ値とを比較して一致していたとき、当該アプリケーションプログラムに対応したオフィシャルコードであるとチェックする。
【0059】
上述した送受信部13は、アプリケーションプログラムをネットワーク15を介してベンダーBに送信し、画像形成装置Cでの実行を許可するインストール用オフィシャルコードを要求するとともに、アプリケーションプログラムに基づき作成されたオフィシャルコードをネットワーク15を介して受信する機能を有している。
【0060】
ベンダーBは、情報処理装置(サーバ)において、ネットワーク15を介して接続されたインストーラ作成装置Aからインストール用オフィシャルコードの要求を受けたとき、アプリケーションプログラムをチェックし、その実行を許可可能であると判別したとき、アプリケーションプログラムのバイナリ値に基づきオフィシャルコードを作成し、インストール用オフィシャルコードの要求側にネットワーク15を介して交付する機能を有している。
【0061】
オフィシャルコードは、アプリケーションプログラムのバイナリ値から公知のアルゴリズムによって当該アプリケーションプログラムを特定する情報として自動的に作成されるもので、アプリケーションプログラムが異なれば、異なるコードとなる。
【0062】
情報処理装置(サーバ)Bは、オフィシャルコードを作成するとき、上述したオフィシャルコードチェック部15c2の手法と同じ手法により、当該アプリケーションプログラムからハッシュ値を作成し、これをオフィシャルコードに添付して交付(出力)する機能を有している。
【0063】
次に、本発明のインストーラ作成装置Aの動作を図3を参照して簡単に説明する。
【0064】
入力操作部9からの指示入力に従い、情報処理装置(ユーザ)側Aで、アプリケーション作成部19が、ユーザプログラム15aを用いて、画像形成装置Cで実行されるアプリケーションプログラムの仮インストーラを作成し(アプリケーション作成工程、アプリケーション作成処理)、作成されたアプリケーションプログラムをデバッグ部21にてデバッグを行う(デバッグ工程、デバッグ処理)。
【0065】
デバッグされたアプリケーションプログラムを、送受信部13からネットワーク17を介してベンダーBに送信し、画像形成装置PCでの実行を許可するインストール用オフィシャルコードを要求する(オフィシャルコード要求工程、オフィシャルコード要求処理)。
【0066】
アプリケーションプログラムに基づき作成されたオフィシャルコードがネットワーク17を介して送受信部13で取得されると(オフィシャルコード作成交付工程、オフィシャルコード作成交付処理)、インストーラ作成部23は、インストーラ作成ツール15cを用い、受信したオフィシャルコードをアプリケーションプログラムに関連付けるとともにこれを含めたアプリケーションプログラムのインストーラを作成する(インストーラ作成工程、インストーラ作成処理)。
【0067】
インストーラを作成するとき、インストーラ作成部23は、そのオフィシャルコードが当該アプリケーションプログラムに基づくものか否かチェックプログラムを用いてチェックし、同一であるとき、インストーラを作成する(インストーラ作成工程、インストーラ作成処理)。
【0068】
これらの主要な工程が本発明のインストーラ作成方法およびインストーラ作成プログラム15を構成する。
【0069】
そして、本発明のインストーラ作成装置は、所定のインストーラ作成プログラム15を記憶する記憶部7と、画像形成装置Cで実行させるためのアプリケーションプログラムのインストーラを、そのインストーラ作成プログラムを用い外部からの指示入力に従って作成するアプリケーション作成部19と、そのアプリケーションプログラムをネットワーク17を介してベンダーBに送信し、その画像形成装置Cでの実行を許可するインストール用オフィシャルコードを要求するとともに、当該インストール用オフィシャルコード要求を受けてアプリケーションプログラムに基づき作成されたオフィシャルコードをネットワークを介して受信する送受信部13と、そのインストーラ作成ツールを用い、受信したオフィシャルコードにアプリケーションプログラムを関連付けてアプリケーションプログラムのインストーラを作成するインストーラ作成部23と、を具備している。
【0070】
しかも、アプリケーション作成部19は、アプリケーションプログラムの動作機能および又は動作期間の限定された仮インストーラとして作成し、インストーラ作成部23は動作限定を外したインストーラを作成するよう構成されている。
【0071】
そのため、ユーザ側において、アプリケーションプログラムおよびインストーラの作成が可能であり、操作性が向上する。
【0072】
しかも、オフィシャルコードがアプリケーションプログラムに紐付けられており、アプリケーションプログラムが変更されると当該オフィシャルコードを使用できなくなり、オフィシャルコードの使い回しが困難で、セキュリティを確保し易い。
【0073】
また、セキュリティを確保した状態で、仮インストーラによって画像形成装置Cにおいて試験的に動作を実行可能であるし、画像形成装置Cにおいて試験的に動作を実行する際、セキュリティを確実な確保が可能で、インストーラの本インストール後の動作の確保も可能である。
【0074】
もっとも、本発明において、仮インストーラの機能限定は、アプリケーションプログラムの動作機能および動作期間に限定されず、種々の限定要素が考えられる。
【0075】
さらに、オフィシャルコードは、アプリケーションプログラムのバイナリ値に基づくものを取得するから、アプリケーションプログラム毎にこれを特定するものが高精度、高速で得られ、インストーラ作成部23の処理能力を低下させ難い。
【0076】
さらにまた、そのアプリケーションプログラムにオフィシャルコードを関連付けるとき、そのオフィシャルコードが当該アプリケーションプログラムに基づくものか否かチェックするから、それらアプリケーションプログラム又はオフィシャルコードが複数あっても関連付の誤りを防ぐことが容易である。
【0077】
また、上述したネットワーク17としては、Web(World Wide Web)システムのワークフローその他、種々のもので実施可能である。
【0078】
本発明のインストーラ作成方法およびインストーラ作成プログラムにおいても、上述した効果と同様の効果が得られる。
【0079】
次に、本発明に係る画像形成装置Cを図4を参照して説明する。
【0080】
図4において、画像形成装置Cは、主制御部25を中心にして画像読取部27、記憶部29、操作パネル部31、印刷部33および通信部35を有し、例えば複合機を構成している。画像形成装置Cとしてはこれ以外にも種々の構成を有するが、本発明の要部ではないので説明および図示を省略する。
【0081】
主制御部25は、画像読取部27、記憶部29、操作パネル部31、印刷部33および通信部35その他を制御するものである。
【0082】
画像読取部27は、画像形成装置Cにおいて、主制御部25の制御の下、例えば印刷された原稿から画像を光学的に読み込み、フィルタ処理等をして電子的画像データを生成する公知のスキャナー等であり、生成した画像データが原稿の頁毎に記憶部29に順次記憶されるようになっている。
【0083】
記憶部29は、画像読取部27からの画像データ、主制御部25の動作プログラム等を格納する読み書き可能な例えばハードディスク(HDD)である。
【0084】
操作パネル部31は、画像形成装置Cの動作状態を表示する表示部として機能するとともに、印刷する用紙である用紙の選択、印刷の実行又は中止、印刷部数等の指示入力部としての機能を有しており、主制御部25によって制御される。
【0085】
印刷部33は、図示はしないが、主制御部25の制御の下、用紙のセットされる複数の給紙段と、給紙段から1次給紙された用紙を2次給紙するとともに、2次給紙された用紙に対し、画像データに基づき形成したトナー像を転写する画像形成部と、トナー像の転写された用紙を加熱定着する定着部その他を有して形成されている。
【0086】
通信部35は、主制御部25の制御の下、上述した画像データの受信機能に加えて、インストーラ作成装置Aからインストーラを入力して主制御部25に出力する機能を有している。
【0087】
主制御部25は、CPU、このCPUの起動プログラムを格納した作業用メモリ部、入出力インターフェース(いずれも図示せず。)を有し、上述した画像読取部27、記憶部29、操作パネル部31、印刷部33および通信部35その他を制御するとともに以下の判別機能を有している。
【0088】
すなわち、主制御部25は、通信部35を介してインストーラ作成装置Aから入力されたインストーラに対し、予め設定された判定基準に従ってオフィシャルコードが当該画像形成装置Cにて実行許可されるか否か判別する判別部37としての機能を有している。
【0089】
判別部37が実行許可されるオフィシャルコードであると判別したとき、主制御部25は、インストール実行環境を整え、そのインストーラ(アプリケーションプログラム)を記憶部29に格納し、開発時のアプリケーションプログラムを拡張又は変更制御する機能を有し、以降、拡張又は変更されたアプリケーションプログラムによる動作を確保する機能を有している。
【0090】
ところで、本発明のインストーラシステムは、上述したように、インストーラ作成装置Aと、インストーラ作成装置Aにネットワーク17を介して接続され、画像データに基づき用紙に画像形成する画像形成部(印刷部)33およびオフィシャルコードの実行許可を判別する判別部37を有する画像形成装置Cとを具備しており、その画像形成装置Cは、インストーラ作成装置Aからネットワーク17を介して入力されたインストーラに対し、オフィシャルコードが当該画像形成装置Cにて実行許可されると判別したとき、そのインストーラをインストールする構成を有している。
【0091】
そのため、上述したインストーラ作成装置Aの効果に加えて、インストーラ作成装置Aから画像形成装置Cに対して、セキュリティを確保した状態で、インストーラをオンラインでインストール可能となって操作性が向上する。
【0092】
なお、本発明においては、図3の破線で示すように、インストーラ作成装置Aで作成したアプリケーションプログラムを画像形成装置Cに送信し、画像形成装置Cにてデバッグ処理させ、デバッグ処理結果を受けてインストーラ作成装置Aからオフィシャルコード要求を出す構成も可能であり、これに合わせて画像形成装置Cを形成すれば良い。
【符号の説明】
【0093】
1 CPU
3 ROM
5 RAM
7 記憶部
9 入力操作部
11 表示部
13 送受信部
15 インストーラ作成プログラム
15a ユーザカスタマイズ部
15b SKD提供部
15c インストーラ作成ツール(作成ツール:SDK)
15b1 ライブラリ群
15b2 コンパイラ
15b3 デバッガ
15b4 シミュレータ
15c1 オフィシャルコード入力部
15c2 オフィシャルコードチェック部
17 ネットワーク
19 アプリケーション作成部
21 デバッグ部
23 インストーラ作成部
25 主制御部
27 画像読取部
29 記憶部
31 操作パネル部
33 印刷部
35 通信部
37 判別部
A インストーラ作成装置(情報処理装置、コンピュータ)
B ベンダー(情報処理装置(サーバ)
C 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置で実行させるためのアプリケーションプログラムを所定のインストーラ作成プログラムを用いて作成するアプリケーション作成工程と、
前記アプリケーションプログラムをベンダーに送付し、前記画像形成装置での実行を許可するインストール用オフィシャルコードを要求するオフィシャルコード要求工程と、
前記オフィシャルコード要求を受けて前記アプリケーションプログラムに基づき前記オフィシャルコードを作成して前記インストーラ作成プログラム側へ交付するオフィシャルコード作成交付工程と、
前記インストーラ作成プログラムを用い、前記アプリケーションプログラムに前記オフィシャルコードを関連付けて前記アプリケーションプログラムのインストーラを作成するインストーラ作成工程と、
を具備することを特徴とするインストーラ作成方法。
【請求項2】
前記アプリケーション作成工程は前記インストーラ作成プログラムを動作限定した仮インストーラとして作成し、インストーラ作成工程は前記動作限定を外した前記インストーラを作成する請求項1記載のインストーラ作成方法。
【請求項3】
前記アプリケーション作成工程は動作機能および又は動作期間の限定された前記仮インストーラを作成する請求項2記載のインストーラ作成方法。
【請求項4】
前記オフィシャルコード作成交付工程は、前記アプリケーションプログラムのバイナリ値に基づき前記オフィシャルコードを作成する請求項1〜3いずれか1記載のインストーラ作成方法。
【請求項5】
前記オフィシャルコード要求工程における前記インストール用オフィシャルコードの要求、および前記オフィシャルコード作成交付工程における前記オフィシャルコードの交付は、ネットワークを介して要求および交付する請求項1〜4いずれか1記載のインストーラ作成方法。
【請求項6】
前記インストーラ作成工程は、前記アプリケーションプログラムに前記オフィシャルコードを関連付けるとき、前記オフィシャルコードが当該アプリケーションプログラムに基づくものか否かチェックプログラムを用いてチェックする請求項1〜4いずれか1記載のインストーラ作成方法。
【請求項7】
画像形成装置で実行させるためのアプリケーションプログラムのインストーラを作成するコンピュータに対し、
前記アプリケーションプログラムを作成するアプリケーション作成処理と、
前記アプリケーションプログラムをネットワークを介してベンダーに送付し、前記画像形成装置での実行を許可するインストール用オフィシャルコードを要求するオフィシャルコード要求処理と、
前記オフィシャルコード要求を受けて前記アプリケーションプログラムに基づき作成された前記オフィシャルコードを前記ネットワークを介して取得するオフィシャルコード取得処理と、
前記アプリケーションプログラムに前記オフィシャルコードを関連付けて前記アプリケーションプログラムのインストーラを作成するインストーラ作成処理と、
を実行させることを特徴とするインストーラ作成プログラム。
【請求項8】
前記アプリケーション作成処理は前記インストーラ作成プログラムを動作限定した仮インストーラとして作成し、インストーラ作成処理は前記動作限定を外した前記インストーラを作成する請求項7記載のインストーラ作成プログラム。
【請求項9】
前記アプリケーション作成処理は動作機能および又は動作期間の限定された前記仮インストーラを作成する請求項8記載のインストーラ作成プログラム。
【請求項10】
前記オフィシャルコード作成取得処理は、前記アプリケーションプログラムのバイナリ値に基づき前記オフィシャルコードを取得する請求項7〜9いずれか1記載のインストーラ作成プログラム。
【請求項11】
前記インストーラ作成処理は、前記アプリケーションプログラムに前記オフィシャルコードを関連付けるとき、前記オフィシャルコードが当該アプリケーションプログラムに基づくものか否かチェックする請求項7〜10いずれか1記載のインストーラ作成プログラム。
【請求項12】
所定のインストーラ作成プログラムを記憶する記憶部と、
画像形成装置で実行させるためのアプリケーションプログラムのインストーラを、前記インストーラ作成プログラムを用い外部からの指示入力に従って作成するアプリケーション作成部と、
前記アプリケーションプログラムをネットワークを介してベンダーに送信し、前記画像形成装置での実行を許可するインストール用オフィシャルコードを要求するとともに、当該インストール用オフィシャルコード要求を受けて前記アプリケーションプログラムに基づき作成された前記オフィシャルコードを前記ネットワークを介して受信する送受信部と、
前記インストーラ作成プログラムを用い、受信した前記オフィシャルコードに前記アプリケーションプログラムを関連付けて前記アプリケーションプログラムのインストーラを作成するインストーラ作成部と、
を具備してなることを特徴とするインストーラ作成装置。
【請求項13】
前記アプリケーション作成部は前記インストーラ作成プログラムを動作限定した仮インストーラとして作成し、インストーラ作成部は前記動作限定を外した前記インストーラを作成する請求項12記載のインストーラ作成装置。
【請求項14】
前記アプリケーション作成部は動作機能および又は動作期間の限定された前記仮インストーラを作成する請求項13記載のインストーラ作成装置。
【請求項15】
前記オフィシャルコード送受信部は、前記アプリケーションプログラムのバイナリ値に基づく前記オフィシャルコードを取得する請求項12〜14いずれか1記載のインストーラ作成装置。
【請求項16】
前記インストーラ作成部は、前記アプリケーションプログラムに前記オフィシャルコードを関連付けるとき、前記オフィシャルコードが当該アプリケーションプログラムに基づくものか否かチェックプログラムを用いてチェックする請求項12〜15いずれか1記載のインストーラ作成装置。
【請求項17】
請求項12〜15いずれか1記載のインストーラ作成装置と、
このインストーラ作成装置にネットワークを介して接続され、画像データに基づき用紙に画像形成する画像形成部および前記オフィシャルコードの実行許可判別部を有する画像形成装置と、
を具備し、
前記画像形成装置は、前記インストーラ作成装置から前記ネットワークを介して入力された前記インストーラに対し、当該画像形成装置にて実行許可されるものと判別したとき、前記インストーラをインストールすることを特徴とするインストーラシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−96050(P2011−96050A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250179(P2009−250179)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】