説明

インタリーブされたバックアップを提供するための方法及びシステム

【課題】複数の1次データソースから2次データソースへのデータ転送をインタリーブしてバックアップするより良い方法を提供する。
【解決手段】複数の1次データソースからのデータ転送を2次データソースにおいてインタリーブする際に、転送されるデータは使用ビットのみであり、各1次データソースのデータ量を基にして比例的にインタリーブを行い、バックアップ時間の短縮や効率的なデータ転送を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のディスクからのデータをバックアップする方法及びシステムに関連し、特に、バックアップ中にディスクからのデータをインタリーブし、それによって復元のみならずバックアップを行う時間を短縮することに関する。
【背景技術】
【0002】
1若しくは数個のコンピュータディスクからのデータのバックアップは、ユーザの不注意による削除/上書きまたはディスクハードウェアの故障から回復するために通常行われる。ユーザの不注意でデータを削除/上書きしてしまった場合、破壊されたデータに対応するデータのみがバックアップから元のディスクにコピーされる。ディスクハードウェア故障の場合、ユーザは直近のバックアップから元のディスクへ全てのファイルを復元することができる。
【0003】
大部分のコンピュータシステムでは、バックアップ装置はテープドライブであり、記憶1バイト当たりのコストを比較的安く抑えて大量のデータを収容できる。しかしながら、テープドライブは基本的に順次アクセス媒体であるので、テープドライブはディスクドライブと比較してランダムアクセスまたは逆方向/正方向の調整にかなり長い時間を要する。よって、テープドライブを用いる最も効率的な方法は、データを「ストリーム(stream)」すること、即ちバックアップまたは復元が完了するまでテープドライブが停止する必要がないように保証することである。
【0004】
通常、従来のバックアップ方法は、ファイル単位のバックアップ(file-by-file backup)またはイメージバックアップであった。ファイル単位のバックアップでは、バックアッププログラムが一度に1つのファイルをディスクからテープへコピーする。具体的には、プログラムは、各ファイルに対する全てのデータを、ディスク上の実際の位置とは無関係に、テープに記憶される単一の順次ブロックに配置する。よって、ファイル単位のバックアップは、インクリメンタルバックアップ(最後のバックアップがテープに書かれてから変化したファイルのみ)を提供し得るが、フルバックアップには非常に時間が掛かる。
【0005】
イメージバックアップでは、データイメージが順次ディスクから読み出されてテープに書き込まれる。このようにして、ディスクドライブがテープドライブより著しく高速であるような先行技術システムでは、イメージバックアップはテープドライブストリーミングを維持することができる。しかしながら、現行技術ではテープドライブ速度が著しく向上した。実際に、最先端のシステムでは、テープドライブ速度は実にディスクドライブ速度に等しいかそれより速い。このようなシステムでは、テープドライブはストリーミングができず、それ故にバックアップ及び復元の性能を共に低下させ始める。
【0006】
従って、テープドライブ速度分野での技術の向上を活用し得るバックアップ及び復元操作が必要になってくる。
【発明の開示】
【発明の効果】
【0007】
本発明に基づき、複数の1次データソースからのデータは、バックアップ操作中に2次データソースにおいてインタリーブ及び収集される。データのインタリーブは、複数の1次データソースによって行われる読み出し/書き込み操作のオーバーラップを可能にし、それによって復元のみならずバックアップの性能を最適化する。典型的な1次データソースは、ディスクドライブまたはディスクアレイを含み得る。典型的な2次データソースは、テープドライブを含み得る。
【0008】
本発明では、大部分のディスクドライブが実質的に同一の量の使用ビット(used bit)を有する場合には、データ転送が実質的に等しいという利点が認められる。具体的には、実質的に等しいデータ転送は、バックアップ及び復元のいずれを行う間にも多重タスクを可能にし、それによってこれらの操作の性能を向上させる。例えば、複数のディスクドライブからのデータがテープドライブに同時に転送されれば、バックアップ性能が最適化され得る。同様に、テープドライブからのデータが複数のディスクドライブに同時に転送されれば、復元性能が最適化され得る。一実施例においてこの最適化を提供するために、バックアップ転送中に各ディスクドライブからの解析されるデータブロックの最大サイズを決定する。ディスクドライブの1若しくは数個のデータブロックからの使用ビットは、そのディスクドライブのための収集された使用ビットの量が、その時点以前に任意のディスクドライブから収集された使用データビットの最大量に等しいかそれより大きくなるまで、読み出されてテープドライブに書き込まれる。ディスクドライブは、ラウンドロビンシーケンスで読み出すことができる。1つのディスクドライブからの全ての使用ビットがテープドライブに書き込まれたら、そのディスクドライブはシーケンスから削除される。残りのディスクドライブは、変更されたシーケンスでアクセスされる。このデータインタリーブは、全てのディスクドライブからの全ての使用ビットがテープドライブに書き込まれるまで続けられる。
【0009】
復元操作中に、インタリーブされたデータがテープドライブから読み出されて複数のディスクドライブに書き込まれる。一実施例では、インタリーブされたデータにはデータの元のコンフィギュレーションに関する情報が含まれるので、各ディスクドライブのための元のデータ(即ち使用及び未使用ビットの両方)の再構築が可能になる。
【0010】
別の実施例では、バックアップ転送中に各ディスクドライブから読み出されるビットのセット数が決定される。このようなビットには、使用ビットのみを含めてもよいし、使用及び未使用ビットの両方を含めてもよい。ディスクドライブは通常ラウンドロビンシーケンスで読み出される。1つのディスクドライブからの全てのビットがテープドライブに書き込まれたら、そのディスクドライブはシーケンスから削除される。残りのディスクドライブは、変更されたシーケンスでアクセスされる。このデータインタリーブは、全てのディスクドライブからの全てのビットがテープドライブに書き込まれるまで続けられる。
【0011】
本発明はまた、多重ディスクドライブが有する量が他のディスクドライブの使用ビットの量に実質的に満たないようであれば、パーセント帯域幅に基づくデータ転送の利点も認められる。この実施例では、各ディスクドライブに関連するパーセント帯域幅(percentage bandwidth)は、各ディスクドライブからの使用ビットの量を全てのディスクドライブからの使用ビットの全数で除することによって得られる。転送中に各ディスクドライブから読み出されてテープドライブに書き込まれる使用ビットの量は、パーセント帯域幅に基づく。ディスクドライブは、ラウンドロビンシーケンスで読み出すことができる。1つのディスクドライブからの全ての使用ビットがテープドライブに書き込まれたら、そのディスクドライブはシーケンスから削除される。残りのディスクドライブは、変更されたシーケンスでアクセスされる。このデータインタリーブは、全てのディスクドライブからの全ての使用ビットがテープドライブに書き込まれるまで続けられる。この重み付けされたインタリーブの実施例では、各ディスクドライブは、全使用ビットに正比例して転送に関与する。このように、比較的大量の情報を有するディスクドライブはより多くのデータ帯域幅を与えられるので、フルスピードで実行される機会をより多く与えられる。従って、この実施例は、比較的大量の情報を有するディスクドライブの性能を向上させることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に、本発明に基づく簡略化したバックアップ/復元コンフィギュレーション100を示す。コンフィギュレーション100では、バックアップ中に、複数のディスクドライブ101A、101B、及び101Cが、データをテープドライブ102へ供給する。本発明に基づき、各ディスクドライブ101はそのデータをテープドライブ102へラウンドロビンシーケンスで供給する。具体的には、各転送103中に、ディスクドライブ101Aはその第1バックアップデータを供給し、ディスクドライブ101Bはその第2バックアップデータを供給し、ディスクドライブ101Cはその第3バックアップデータを供給する。ここでは3つのディスクドライブ101しか示されていないが、本発明の他の実施例は任意の数のディスクドライブを含み得ることに留意されたい。
【0013】
バックアップ操作において、転送103の数は、転送されるデータの量及び各ディスクドライブ101に保存されるデータの総量に依存する。例えば、一実施例では、各転送は、各ディスクドライブ101からの最大48メガバイトのデータを含み得る。具体的には、第1転送103A中に、本発明は、ディスクドライブ101A、101B、及び101Cからの第1の48メガバイトのデータを順次解析する。この一連のデータ解析はまた、第2転送103B及び第3転送103Cでも同様に用いられる。
【0014】
当業者にとって公知事項であるが、ディスクドライブ内のデータのブロックは、使用ビットも未使用ビットも含み得る。本発明の一実施例に基づき、転送103A中には、使用ビットだけが実際にテープドライブ102にコピーされる。この実施例では、本発明はこれら使用ビットの位置に関する情報を収集し、続く回復操作(後述)のためにその情報を使用ビットと共にテープドライブ102に保存することができる。従って、バックアップまたは復元中には使用ビットしかコピーされないので、本発明のこの実施例は、従来のイメージベースのバックアップシステムより著しく高速にすることができる。
【0015】
図2Aは、本発明の一実施例に基づきデータをバックアップする方法200を示すフローチャートである。フローチャート中に説明される過程を明らかにするために、3つのデータブロックに対する使用ビットの量を表1に例示する。
【0016】
【表1】

【0017】
ステップ201では、各ディスクドライブからの使用ビットの量を決定する。表1の例では、ディスクドライブ101Aは全部で27メガバイトの使用ビットを有し、ディスクドライブ101Bは全部で75メガバイトの使用ビットを有し、ディスクドライブ101Cは全部で90メガバイトの使用ビットを有する。この情報は、ステップ202で各ディスクドライブからの解析されるデータブロックの最大サイズを決定する際に用いることができる。
【0018】
具体的には、本発明の1つの利点は、多重ディスクドライブが読み出し/書き込み操作を同時に行うことができ、それによってバックアップ及び復元操作中の貴重なシステム時間が節約されることである。明らかに、最大データブロックサイズが最大ディスクドライブの使用ビットに等しいかそれより大きければ、複数のディスクドライブに対して1つの従来型バックアップシーケンスしか実行されないことになる。このようにして、本発明の一実施例に基づけば、最大データブロックサイズは、複数のディスクドライブに関連する使用ビット以下である。通常の実施例では、ファイルシステムが、ディスクドライブ上のデータの割当てをどのように追跡するかに基づいてデータブロックサイズを決定することに留意されたい。ファイルシステムはまた、ステップ203(下記参照)の一部として各データブロックの使用ビットが識別されることに留意されたい。説明の便宜上、最大データブロックサイズを48メガバイトと仮定する。
【0019】
ステップ203のための表1の情報を用いて、データの第1転送では、本発明は、ディスクドライブ101Aから2メガバイト、ディスクドライブ101Bから10メガバイト、ディスクドライブ101Cから20メガバイトの使用ビットを順次読み出し、これらの使用ビットをテープドライブに書き込む。このデータの第1転送は、結果的に、テープドライブに書き込まれる使用ビットの全数より少なくしていることに留意されたい。更に、データの第1転送では、ディスクドライブ101Aに比べてディスクドライブ101B、101Cから書き込まれるデータがかなり多い。
【0020】
本発明は、大部分のディスクドライブが実質的に同一の量の使用ビットを有する場合には、データ転送が実質的に等しいという利点が認められる。具体的には、実質的に等しいデータ転送は、バックアップ及び復元のいずれを行う間にも多重タスクを可能にし、それによってこれらの操作の性能を向上させる。例えば、複数のディスクドライブからのデータがテープドライブに同時に転送されれば、バックアップ性能が最適化され得る。同様に、テープドライブからのデータが複数のディスクドライブに同時に転送されれば、復元性能が最適化され得る。
【0021】
簡略化された読み出し/書き込み操作(バックアップまたは復元操作中に転送のために行われる)には、セットアップステップ、初期化ステップ、及び読み出し/書き込みステップが含まれることに留意されたい。セットアップステップでは、データを転送または受信するためにディスクドライブが準備される。初期化ステップでは、各ディスクドライブに関連する使用ビット及び各ディスクドライブ上におけるこれら使用ビットの位置が識別される。読み出し/書き込みステップでは、データがテープドライブ(バックアップ操作中)またはディスクドライブ(復元操作中)にコピーされる。このように、読み出し/書き込み操作を「同時に」行うとは、1つのディスクドライブによって行われる任意のステップが、少なくとも1つの他のディスクドライブによって行われる或るステップと重複することを指す。本発明によって提供されるようなバックアップ中の概ね等しいデータ転送を得ようとする試みによって、同時読み出し及び/または書き込みが生じる可能性が高まり、それによって全システム性能が最適化される。
【0022】
従って、この実施例において、本発明は、各転送中にディスクドライブの1若しくは数個のデータブロックの使用ビットを読み出してこれらのビットをテープドライブに書き込むことによって、等しくない(unequal)データ転送を補正する。例えば、データの第2転送中には、ディスクドライブ101Aからの使用ビットの量が、ディスクドライブ101C(即ちその時点で最も収集された使用ビットを有するディスクドライブ)の収集された使用ビットに少なくとも等しい量まで読み出される。しかし、表1に示したように、ディスクドライブ101Aは48メガバイトの第2データブロックに10メガバイトの使用ビットしか有していない。従って、ディスクドライブ101Aの第3データブロックの使用ビットが解析される。第3データブロックでは、ディスクドライブ101Aは追加の15メガバイトの使用ビットを有する。
【0023】
一実施例では、ブロックの全ての使用ビットが1回の転送で書き込まれる。従って、第2転送中に、ディスクドライブ101A(第2、第3データブロックの両方)から25メガバイトがテープドライブに書き込まれる。この時点で、ディスクドライブ101Aは、どのディスクドライブよりも多い収集したビット(27メガバイト)を有する。従って、ディスクドライブ101Bは、現時点で10メガバイトの使用ビットしかないが、少なくともディスクドライブ101Aのために収集された使用ビットの量を最適に供給することになる。第2データブロックでは、ディスクドライブ101Bは20メガバイトの使用ビットを有し、これは、第1転送(30メガバイト)で収集された10メガバイトに結合されると、ディスクドライブ101Aの全ての収集されたビットより大きくなる。従って、20メガバイトの使用ビットは、第2転送中にディスクドライブ101Bから読み出されてテープドライブに書き込まれる。
【0024】
この時点で、ディスクドライブ101Cが有する収集されたビット(20メガバイト)は、ディスクドライブ101B(30メガバイト)より少ない。しかしながら、その第2データブロックにおいて、ディスクドライブ101Cは、40メガバイトの使用ビットを有し、これは、第1転送(60メガバイト)で20メガバイトの収集されたビットに結合されると、ディスクドライブ101Bの収集されたビットより大きくなる。従って、この40メガバイトの使用ビットは、第2転送中にディスクドライブ101Cから読み出されてテープドライブに書き込まれる。
【0025】
第3転送中には、全ての使用データビットがディスクドライブ101Aから収集されているので、本発明は、残りのディスクドライブ(即ち本実施例ではディスクドライブ101B及び101C)からのデータのインタリーブを続行する。従って、ディスクドライブ101Bから45メガバイトが読み出されてテープドライブに書き込まれ、ディスクドライブ101Cから30メガバイトが読み出されてテープドライブに書き込まれる。ここで全てのディスクドライブからの全ての使用ビットがテープドライブに書き込まれたので、バックアップ操作はステップ204で終了する。
【0026】
図2Bは、本発明に基づく復元方法210を示すフローチャートである。ステップ211では、転送ブロックのデータの位置が読み出される。これらの位置は、特定のディスクドライブにどれくらいのデータがコピーされるかを指定するものであることに留意されたい。他の実施例では、これらの位置は、そのディスクドライブからのデータの元のコンフィギュレーションを含む(即ち使用及び未使用ビットの両方を含む)。ステップ212では、転送ブロックに関連するデータが、指定されたディスクドライブに書き込まれる。ステップ213で全てのデータが復元されなければ、ステップ211で次の転送ブロックが解析される。一方、ステップ213で全てのデータが復元されれば、復元操作はステップ214で終了する。
【0027】
図3を参照すると、本発明を実現し得るコンピュータシステム300は、バックアップコマンド/ユーティリティ302を実行可能なソフトウェアプラットフォームを有するオペレーティングシステム301を含んでいる。具体的には、ディスクドライブ101A−101C及びテープ102に関与するバックアップまたは復元操作中にオペレーティングシステム301に導くため、ユーザは、1組のオペレーティングシステムコマンドを提供するか或いは本発明の譲受人から所有権を主張できるバックアップユーティリティのライセンスを受けることができる(その機能性は本明細書中に記載されている)。バックアップコマンド/ユーティリティ302は、特定のオペレーティングシステムのトップに書き込まれなければならないことに留意されたい。オペレーティングシステムの例として、限定するものではないが、DOS、OS/2、ウィンドウズ(登録商標)NT(Windows NT)、及びUnix(登録商標)(Linuxを含む)がある。一実施例では、本発明に基づくシステムは、各々がインテル(登録商標)マイクロプロセッサを有し、Unix OSを実行するような複数のパーソナルコンピュータを含み得る。このシステムは、局所的に接続されたテープドライブで構成することができ、500ギガバイトまでのディスク記憶装置を含み得る。
【0028】
上述したように、本発明の一実施例は、転送中に、1若しくは数個のデータブロックの全ての使用ビットを読み出してこれらのビットをテープドライブに書き込む。図4に示す本発明の別の実施例は、各転送において所定数の使用ビットが読み出し/書き込みされる。例えば方法400のステップ401では、システムは、各ディスクドライブからの使用ビットの量を決定する。方法300(図3)においてそうするように、各ディスクドライブにおける使用ビットの量を知ることによって、転送中に各ディスクドライブから書き込まれる使用ビットの数の決定(於ステップ402)が容易になる。一実施例では、各転送のための使用ビットは、ディスクドライブ上のデータの割当てをどのように追跡するかに基づきファイルシステムによって決定し得る。
【0029】
説明の便宜上、ディスクドライブ101A−101Cが各々、27メガバイト、75メガバイト、90メガバイトの使用ビットを有すると仮定する。この実施例では、ステップ403で、10メガバイトの使用ビットブロックが各ディスクドライブから読み出され、インタリーブされた方法でテープドライブに書き込まれる。この実施例では、データの全ての使用ビットがテープドライブに書き込まれるまでに9つの転送が起こり得る(ステップ404)。第3転送ディスクドライブ101Aは、7メガバイトの使用ビットしか書き込み得ないことに留意されたい。同様にして、8番目の転送中にディスクドライブ101Bは5メガバイトの使用ビットしか書き込み得ない。
【0030】
重要なことであるが、本発明は、テープドライブ技術の近年の進歩に鑑みて著しい時間の節約をもたらす。従来から、ディスクドライブ転送レートはテープドライブ転送レートより高速であった。実際には、同世代のテープドライブの転送レートの10倍にもなるようなディスクドライブ転送レートもあった。しかしながら、最新の技術では、テープドライブ転送レートはディスクドライブ転送レートを超過する。従って、テープドライブにおいて多重ディスクドライブからのデータをインタリーブすることによって、本発明は読み出し/書き込み操作を同時に行うことを可能にする。この多重タスキングは、バックアップ及び復元時間の劇的な短縮のみならずテープドライブストリーミングを確実にする。
【0031】
本発明の別の実施例に基づき、バックアップ及び復元中に、各ディスクドライブからの使用データの量は、各ディスクドライブに与えられたデータ帯域幅を決定する。この実施例は、多重ディスクドライブが他のディスクドライブと比べて著しく少ない使用データを有する場合に特に有益である。この実施例では、ディスクドライブから転送されるデータ量を等しくする試みに代えて、各ディスクドライブから転送される使用データの量は、そのディスクドライブに保存された使用データの全量に基づく。具体的には、比較的大量の使用データを有するディスクドライブは、バックアップ中にも復元中にも、比較的少量の使用データを有するディスクドライブより大きなデータ帯域幅を与えられる。このようにして、本発明は、比較的大量の使用データを有するディスクドライブのための最も効率的なデータ転送を保証する。
【0032】
図5を参照すると、この重み付けされた方法500は、各ディスクドライブからの使用データの量を決定することによって、ステップ501から開始する。ステップ501はまた、各転送に対する使用データの量を決定する過程を含む。各転送に対する使用データの量は、図4に関連して上述したファイルシステムによって決定される。ステップ502では、各ディスクドライブからの使用データの量を全てのディスクドライブからの使用データの全数で除することによって、各ディスクドライブに関連するデータ帯域幅のパーセンテージが得られる。ステップ503では、使用ビットがそのデータ帯域幅に基づき各ディスクドライブから転送される。例えば、各データ転送の量を10メガバイトの使用ビットと設定すると仮定する。更に、ディスクドライブ101A−101C(図1)は各々、ディスクドライブ101Aが15メガバイト、ディスクドライブ101Bが20メガバイト、ディスクドライブ101Cが80メガバイトの使用ビットを有すると仮定する。よって、使用ビットの全量は115メガバイトである。ステップ502に基づき、ディスクドライブ101Aは13%データ帯域幅(15/115)、ディスクドライブ101Bは17%データ帯域幅(20/115)、ディスクドライブ101Cは70%データ帯域幅(80/115)を有するはずである。従って、ステップ503では、データ転送に与えられた10メガバイトのうち、ディスクドライブ101Aは1.3メガバイト、ディスクドライブ101Bは1.7メガバイト、ディスクドライブ101Cは7メガバイト寄与することになる。この重み付けされたインタリーブは、ステップ504に示されるように、データの全ての使用ビットがテープドライブに書き込まれるまで続けられる。
【0033】
以上のことからわかるように、重み付けされたインタリーブの実施例では、各ディスクドライブは、その使用ビットに正比例して転送に関与する。このように、比較的大量の情報を有するディスクドライブはより多くのデータ帯域幅を与えられ、それ故にフルスピードで実行される機会をより多く与えられる。従って、この実施例は比較的大量の情報を有するディスクドライブの性能を向上させることが可能である。
【0034】
実施例とは関係なく、ディスクドライブまたはテープドライブのいずれかから来るデータのレートの変化に起因するストリーミングの潜在的損失を低減させるために、本発明にはメモリバッファが含まれ得ることに留意されたい。本発明の一実施例では、バックアップ操作中に1〜8メガバイトのメモリバッファを提供することが可能であり、他方では、復元操作中に128〜200メガバイトのメモリバッファを提供することが可能である。別の実施例では、バックアップ及び復元操作のためのメモリバッファは、可用メモリ及び同時出入力ポート数に動力学的に基づき割り当てられる。
【0035】
インタリーブされたバックアップを提供するためのシステム及び方法について種々の実施例を挙げて説明してきたが、当業者であれば理解されるように、これらの実施例を変更することも可能である。例えば、本発明は、複数のディスクアレイにも等しく適用可能である。よって、本発明の範囲は、特許請求の範囲にしか限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に基づく簡略化したバックアップ/復元コンフィギュレーションを示す図である。
【図2A】本発明のバックアップ方法を示すフローチャートである。
【図2B】本発明の復元方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明を実現し得る簡略化したコンピュータシステムを示す図である。
【図4】本発明の別のバックアップ方法を示すフローチャートである。
【図5】本発明の更に別のバックアップ方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータシステムにおいて複数の1次データソースから2次データソースへデータをバックアップするための方法であって、
前記複数の1次データソースからのデータを前記2次データソースにおいてインタリーブする過程を含み、
該インタリーブする過程が、転送中に各1次データソースのためのパーセント帯域幅を決定する過程を更に含み、前記パーセント帯域幅が、或る1次データソースからのデータの全量を全ての1次データソースからのデータの全量で除したものとして定義されることを特徴とする方法。
【請求項2】
各1次データソースから前記2次データソースへ、その1次データソースの前記パーセント帯域幅に基づき、使用ビットのみを転送する過程を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
コンピュータシステムにおいて複数の1次データソースから2次データソースへデータをバックアップするための方法であって、
前記複数の1次データソースからのデータを前記2次データソースにおいてインタリーブする過程を含み、各1次データソースが、その全データに正比例して関与することを特徴とする方法。
【請求項4】
前記データが、使用ビットのみを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
コンピュータシステムにおいてテープドライブから複数のディスクドライブへデータを復元するための方法であって、
インタリーブされたデータを前記テープドライブから読み出す過程と、
前記インタリーブされたデータを前記複数のディスクドライブに同時に書き込む過程とを含み、
前記インタリーブされたデータが、
前記コンピュータシステムにおいて任意のディスクドライブからそれ以前に収集されたデータの最大量に少なくとも等しいような、ディスクドライブのための収集されたビットの量か、或いは、
或るディスクドライブからのデータの全量を全てのディスクドライブからのデータの全量で除したものとして定義される、転送中の各ディスクドライブのためのパーセント帯域幅か
のいずれか一方に基づいて編成されることを特徴とする方法。
【請求項6】
前記インタリーブされたデータが、前記複数のディスクドライブからの使用ビットのみを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
或る1次データソースからの第1ビットと、少なくとも1つの他の1次データソースからの第2ビットとを含むバックアップファイルであって、
前記第1及び第2使用ビットが、
任意の1次データソースからそれ以前に収集されたデータの最大量に少なくとも等しいような、1次データソースのための収集されたビットの量か、
その1次データソースからのデータの全量を全ての1次データソースからのデータの全量で除したものとして定義される、転送中の各1次データソースのためのパーセント帯域幅か
のいずれか一方に基づいて前記バックアップファイルにおいてインタリーブされることを特徴とするバックアップファイル。
【請求項8】
コンピュータにおけるバックアップシステムであって、該システムが、
複数の1次データソースと、
2次データソースと、
更に、
任意の1次データソースからそれ以前に収集されたデータの最大量に少なくとも等しいような、1次データソースのための収集されたビットの量か、
その1次データソースからのデータの全量を全ての1次データソースからのデータの全量で除したものとして定義される、転送中の各1次データソースのためのパーセント帯域幅か
のいずれか一方に基づき前記1次データソースの前記データを前記2次データソースにおいてインタリーブする手段とを含むことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−4788(P2007−4788A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−163980(P2006−163980)
【出願日】平成18年6月13日(2006.6.13)
【分割の表示】特願2002−538271(P2002−538271)の分割
【原出願日】平成13年10月25日(2001.10.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
2.WINDOWS
【出願人】(502159217)ミラポイント インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】