説明

インターフェース

内部装置(10)と外部装置(23)の間で通信するためのインターフェース(20)は、双方向データ転送用バスの2つのバスライン(CANH,CANL)と、少なくとも第1の制御ライン(SYNC_IN)とを含み、これらのラインを利用して、前記外部装置(23)から前記内部装置(10)に制御信号を送信することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部装置と外部装置の間で通信するためのインターフェースに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、米国特許第7,430,068号から知られるようなレーザスキャナを利用して、レーザスキャナの周囲環境を光学的に走査して測定することができる。レーザスキャナは、例えば、閉鎖空間を測定するために、固定ベースを用いて構成することも、または、例えばトンネルを測定するために、台車に搭載することもできる。後者の場合、台車は、トンネルを通って移動するため、螺旋状の走査が行われる。レーザスキャナのデータは、評価中に、台車の直線移動についてのデータと組み合わされ、この直線移動は、例えば、内部装置として機能するレーザスキャナにとっては外部装置である装置によって検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7,193,690号明細書
【特許文献1】米国特許第7,430,068号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、導入部で言及したタイプのインターフェースを改善するという目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明に従って、請求項1の特徴を含むインターフェースを利用して達成される。従属請求項は、有利な構成に関するものである。
【0006】
本発明に係るインターフェースは、制御信号を利用して、外部装置のデータに内部装置のデータを同期させることを可能にする。高速の制御信号を利用するためだけでなく、より多くの情報と共に前記制御信号を提供するために、制御信号には識別シーケンスが割り当てられ、この識別シーケンスは、バスを介して送信されて、制御信号を特定のイベントに割り当てる。ここで、前記識別シーケンスは、前記制御信号と同時に送信されて保存されるのか、または制御信号に対して時間的にオフセットされた方式、すなわち、先行モードまたは後続(時間的に遅延される)モードで送信されて保存されるのかどうかは、重要ではない。また、バス上で渡された識別シーケンスを利用して、動作モードを予め定義することもできる。制御信号同士の衝突を避けるため、内部装置と外部装置の間には、各方向にそれぞれ一つの個別制御ラインが設けられると好ましい。ただし、バスは、双方向に利用することができる。バスとして、CANバスは、インターフェースに2つのみ(ちょうど2つ)のバスラインしか必要としないという利点を有する。ただし、より多くのバスラインを備えることが適する場合は、他のバスシステム(USBなど)も利用可能である。インターフェース内の電源およびアースは、専用の電源を持たない、より小さい外部装置を接続できるようにする。
【0007】
内部装置は、携帯型三次元測定器、特に、周囲環境を光学的に走査して測定できるレーザスキャナであってよい。
【0008】
外部装置は、内部装置のデータと適宜同期するように意図されるデータを供給する任意の装置であってよい。内部装置がレーザスキャナである場合、外部装置は、補足データ、例えば、非光学データや、レーザスキャナの移動に関するデータを提供する。
【0009】
レーザスキャナが台車に搭載される場合、外部装置は、その台車の移動(線形移動)を検出することができる。台車は、開放空間において、または閉鎖空間内、例えば、長いホールやトンネル内で移動することができる。開放空間の場合、外部装置はGPS受信機であってよい。台車は、レール上、または道路上で移動できる。適用領域は、道路地図の作製やトンネルの実地検査である。したがって、検査列車は、多数のトンネルが存在する、鉄道線路の山岳区域を移動することができ、検査列車は、この山岳区域を、例えば、自動走行して、落石についてレールを検査すると共に、亀裂についてトンネルを検査する。
【0010】
下記において、図面に記載した例示的実施例に基づいて、本発明を更に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】インターフェースの基本的な図である。
【図2】台車に搭載されて、本発明に係るインターフェースを備えるレーザスキャナを示す模式図である。
【図3】第1制御ラインにおける制御信号の時間シーケンス、およびCANバスにおける前記制御信号の識別シーケンスを示す図である。
【図4】第2制御ラインにおける制御信号の時間シーケンス、およびCANバスにおける前記制御信号の識別シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
レーザスキャナ10は、当該レーザスキャナ10の周囲環境を光学的に走査して測定する装置として設けられる。レーザスキャナ10は、測定ヘッド12およびベース14を有する。測定ヘッド12は、垂直軸を中心に回転できるユニットとして、ベース14に取り付けられる。測定ヘッド12は、水平軸を中心に回転できるミラー16を有し、前記ミラー16を利用して、周囲環境にレーザビームが放出され、反射信号が受け取られる。測定ヘッド12の更なる詳細は、例えば、米国特許第7,193,690号および米国特許第7,430,068号に記載されており、これらの米国特許は、その各開示内容を本願明細書の一部として援用する。ベース14は、レーザスキャナ10の定常規準系を規定する。インターフェース20は、レーザスキャナ10、好ましくはベース14に設けられ、前記インターフェース20は、例えば、ベース14と構造的に一体化することができる。
【0013】
インターフェース20は、内部装置としてのレーザスキャナ10が、外部装置23と通信するための機能を担う。ハードウェアに加え、通信プロトコルもインターフェース20に割り当てられる。例示的実施形態において、インターフェース20は、6つのターミナル、すなわち、CANバスの(ちょうど)2つのバスラインCANH(高速)およびCANL(低速)、第1制御ラインSYNC_IN、第2制御ラインSYNC_OUT、電源ラインVCC、ならびにアースGNDを有する。CANバスは、自動車部門で知られており、この部門に対応した仕様が定められている。2つのバスラインCANHおよびCANLは、データ転送で双方向に使用される。転送速度を上げるために、差分データ転送が利用される。
【0014】
2つの制御ラインSYNC_INおよびSYNC_OUTは、データ転送で単方向に使用される。第1制御ラインSYNC_INにおいて、レーザスキャナ10は、外部装置から制御信号(SYNC)を受け取ることができる。第2制御ラインSYNC_OUTにおいて、レーザスキャナ10は、外部装置に制御信号(SYNC)を出力する。外部装置は、専用の電源装置を備えていない場合、電源ラインVCC(5V、最大500mA)に接続することができる。アースGNDは、電源供給のためだけでなく、CANバスおよびスクリーニング処理にも利用することができる。好ましくは、レーザスキャナ10のインターフェース20は、ケーブル25のプラグを挿入できるソケットとして具現される。そして、ケーブル25は、その他方端において、外部装置23の対応するインターフェース20に挿入される。
【0015】
一例の動作モードによれば、外部装置23は、特定の時点で、レーザスキャナ10のインターフェース20の第1制御ラインSYNC_INに制御信号を渡す。レーザスキャナ10は、受け取った制御信号をリアルタイムで自身のデータストリームに渡し、これにより、制御信号は前記データストリームと共に保存される。制御信号の後には、制御信号に割り当てられた識別シーケンス(または識別シーケンスによる宣言)が続くが、この識別シーケンスは、外部装置が、CANバスCANH,CANLを介して、前記制御信号とほぼ同時に(ただし、適切な場合は時間遅延された方式で)出力したものである。識別シーケンスは、制御信号がどのイベントを表しているのかに関する情報を含む。このイベントは、測定値、例えば、距離、角度、もしくは濃度値、または外部装置23の状態メッセージの送信処理であってよい。これについての制限はない。レーザスキャナ10は、同様に、適切な場合は時間遅延方式で受け取った識別シーケンスを、自身のデータストリーム内に、適切な場合は時間遅延方式で渡し、これにより、識別シーケンスが前記データストリームと共に保存される。この後、データの評価中に、前記識別シーケンスを利用して、制御信号を識別し、測定ヘッド12から受け取ったデータに前記制御信号を同期させることができる。
【0016】
これに応じて、レーザスキャナ10は、レーザスキャナ10のインターフェース20の第2制御ラインSYNC_OUTに対して、特定の時点で、例えば、ミラー16が測定ヘッド12に向けてレーザビームを照射した場合、または測定ヘッド12が他の特定の状態に到達した場合に、制御信号を渡すことができる。外部装置23は、この制御信号を、ケーブル25を介して受け取る。制御信号の後には、レーザスキャナ10が、適切な場合は時間遅延方式で、CANバスCANH,CANLを介して出力した識別シーケンスが再び続く。この識別シーケンスも、制御信号がどのイベントを表しているのかに関する情報を含むため、外部装置23は、制御信号を識別することができ、その制御信号を利用して、自身のデータを同期させることができる。
【0017】
制御信号の後に識別シーケンスが続く説明した動作モードは、測定結果が、ほぼ即時に転送されるように意図される場合に特に有利である。また、制御信号に割り当てられる識別シーケンスが、前記制御信号よりも時間的に先行して前記制御信号を宣言する動作モードも利用できる。この動作モードは、制御信号が、アクションの開始、例えば、データ記録の開始に使用されるように意図される場合に特に有利である。動作モード(ひいては、制御信号と識別シーケンスの時間的割り当て)は、それ自体を識別シーケンスによって定義する、すなわち、レーザスキャナ10と外部装置23(一般にはバス加入機器)の間で協議することができる。協議動作モードは、一連のイベントについて予め定義することも、または、識別シーケンスが、(先行する、または後続の)制御信号についての説明を含んでもよい。
【0018】
例示的実施形態において、ベース14は台車27に搭載され、外部装置23は、例えば、車輪位置の検出を利用して、台車27の経路検出を行う機能を担う。台車27およびその上に搭載されたレーザスキャナ10のこの構成は、トンネルの実地検査や道路地図の作製に利用される。測定ヘッド12の回転移動および台車27の直線移動により、螺旋状走査が行われる。インターフェース20を利用して、外部装置23のデータ、すなわち台車27の経路検出と、レーザスキャナ10のデータとを同期させることができ、適切な場合はこれらを校正することもできる。
【0019】
ただし、外部装置23は、レーザスキャナ10のデータと適宜同期されることを目的とするデータを提供する各種の他の装置であってもよい。
【符号の説明】
【0020】
10 レーザスキャナ、12 測定ヘッド、14 バス、16 ミラー、20 インターフェース、23 外部装置、25 ケーブル、27 台車、CANH 高速CANバスライン、CANL 低速CANバスライン、SYNC_IN 第1制御ライン、SYNC_OUT 第2制御ライン、VCC 電源、GND アース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部装置(10)と外部装置(23)の間で通信するためのインターフェース(20)であって、双方向データ転送用バスの2つのバスライン(CANH,CANL)と、少なくとも第1の制御ライン(SYNC_IN)とを特徴とし、これらのラインを利用して、前記外部装置(23)から前記内部装置(10)に制御信号を送信することができる、インターフェース(20)。
【請求項2】
前記バスライン(CANH,CANL)は、CANバスに属している、請求項1に記載のインターフェース。
【請求項3】
第2の制御ライン(SYNC_OUT)が設けられ、前記第2の制御ラインを利用して、前記内部装置(10)から前記外部装置(23)に制御信号を送信することができる、先行する請求項のいずれかに記載のインターフェース。
【請求項4】
配設された前記制御ライン(SYNC_IN,SYNC_OUT)は、単方向送信用として機能する、先行する請求項のいずれかに記載のインターフェース。
【請求項5】
前記内部装置(10)は、前記第1の制御ライン(SYNC_IN)を利用して送信された前記制御信号を、自身のデータストリーム内に取得して、前記データストリームと共に保存する、先行する請求項のいずれかに記載のインターフェース。
【請求項6】
配設された制御ライン(SYNC_IN,SYNC_OUT)の一方の上の制御信号には、前記2つのバスライン(CANH,CANL)上の識別シーケンスが割り当てられ、前記識別シーケンスは、前記制御信号がどのイベントを表しているのかについての情報を含む、先行する請求項のいずれかに記載のインターフェース。
【請求項7】
前記識別シーケンスは、前記制御信号に対して時間的にオフセットされる、請求項6に記載のインターフェース。
【請求項8】
前記内部装置(10)は、自身のデータストリーム内に、前記バスライン(CANH,CANL)を用いて送信された前記識別シーケンスを取得して、前記データストリームと共に保存する、請求項6または7に記載のインターフェース。
【請求項9】
制御信号と識別シーケンスの間の時間的割り当てを定義する動作モードは、バスライン(CANH,CANL)を用いて送信される、先行する請求項のいずれかに記載のインターフェース。
【請求項10】
電源ライン(VCC)が設けられる、先行する請求項のいずれかに記載のインターフェース。
【請求項11】
アース(GND)が設けられる、先行する請求項のいずれかに記載のインターフェース。
【請求項12】
前記内部装置として、携帯型三次元測定器、特に、レーザスキャナ(10)が配設され、前記インターフェース(20)は、前記内部装置(10)に対応付けられる、先行する請求項のいずれかに記載のインターフェース。
【請求項13】
前記インターフェース(20)が通信する対象である前記外部装置(23)は、前記内部装置(10)として設けられる前記携帯型三次元測定器が取り付けられる台車(27)に対応付けられる、請求項12に記載のインターフェース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−517640(P2012−517640A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549440(P2011−549440)
【出願日】平成21年12月19日(2009.12.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/009174
【国際公開番号】WO2010/091710
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(598064510)ファロ テクノロジーズ インコーポレーテッド (60)
【Fターム(参考)】