説明

インターロイキン−10抗体

【課題】自己免疫疾患について、ヒトIL−10を認識し、かつ、その活性を調節するヒト化モノクローナル抗体を提供する。
【解決手段】本明細書中に提供される方法および組成物は、概してIL−10特異的抗体およびその使用に関する。より具体的には、IL−10の生物学的活性の調節における(特に自己免疫疾患および病原体媒介性の免疫病理における)ヒト化IL−10特異的抗体の組成物およびそのような抗体の使用方法。本発明は、特に自己免疫疾患について、ヒトIL−10を認識し、かつその活性を調節するヒト化モノクローナル抗体を提供する。このヒト化抗体は、現行の処置に付随する毒性および非特異性を伴わない、代替の治療の選択を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年11月10日に出願された米国仮特許出願公開第60/518,999号の利益を主張し、その全体は本明細書中で参考として援用される。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、概して、インターロイキン−10(IL−10)特異的抗体およびその使用に関する。具体的には、本発明は、特に自己免疫疾患において、ヒトIL−10を認識し、かつその活性を調節する、ヒト化抗体に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
当初は、サイトカイン合成阻害因子またはCSIFとして公知であった、インターロイキン−10(IL−10)は、造血細胞(特に免疫細胞)の強力な免疫調節因子である。活性化されたTh2細胞、B細胞、ケラチノサイト、単球およびマクロファージのような細胞は、IL−10を産生する。例えば、非特許文献1を参照のこと。IL−10は、多くの細胞(T細胞、単球およびマクロファージが挙げられる)の活性化およびエフェクター機能を阻害する。特に、IL−10は、Th1細胞、ナチュラルキラー細胞、単球、およびマクロファージのような細胞によるサイトカインの合成(例えば、IL−1、IFN−γ、およびTNFの合成)を阻害する。例えば、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6、非特許文献7を参照のこと。
【0004】
多様な病原体、特に細胞内病原体は、IL−10産生を誘発し、免疫応答による病原体の効果的な除去を遅らせるか、または完全に停止させる。非特許文献1。例えば、HIV、らい、または結核に罹患した患者由来の血液性リンパ球において、病原体で抗原投与した場合に、末梢血液性リンパ球は、代表的に、インビトロでアネルギー性、または非反応性である。しかしながら、これらにおけるIL−10による中和は、能動的なエフェクター応答(すなわちTh1の反応性)がこれらの細胞内に存在することを証明した。したがって、病原体の感染力のある状態を促進するように、その病原体により、IL−10が効果的に奪い取られることが考えられる。
【0005】
IL−10はまた、インビボにおける自己免疫と関連がある。自己免疫は、正常組織を標的とする自己抗体、自己反応性のT細胞、またはそれらの組み合わせの発達の結果として生じる。自己免疫疾患の一例は、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身の結合組織が炎症を起こす、慢性のリューマチ性疾患である。外部の侵入物であるかのように正常体組織を攻撃する自己抗体は、特徴的な炎症をもたらす。正確な原因は充分に理解されていないが、それには遺伝的要素および環境的要素の両方があると、研究者は考えている。具体的には、B細胞の機能亢進および多様な自己抗体の存在が、SLEを特徴づける。代表的には、SLEに罹患した患者において、二本鎖DNAに反応性のIgG自己抗体(IgG抗dsDNA abs)が亢進される。60%と70%との間のSLE患者が、IgG抗dsDNA absを産生し、このうちの一部は腎毒性である。SLEは、男性よりも女性で十倍広まっており、顔面発疹から障害性かつ潜在的に生命に関わる臓器不全に及ぶ症状を伴う。いかなる年齢においても発病し得るが、若年成人において、最も頻発する。
【0006】
多くの研究が、SLEに関連する病理学の点において、IL−10の役割を支持する。例えば、代表的に、適切な刺激無しに、IL−10は、細胞により産生されないが、SLE患者由来のB細胞およびマクロファージのどちらも、インビトロにおいて高レベルのIL−10を自発的に産生する。非特許文献8。数件の研究において、研究者は、IL−10の血清レベルと疾患活動性との間の相関を証明した。さらに、インビボおよびインビトロのどちらの研究も、IL−10の遮断が、SLEの臨床的な発現を緩和し得ることを証明した。例えば、非特許文献9を参照のこと。
【0007】
現在まで、SLEの発現の1つであるループス腎炎は、例えば、コルチコステロイドおよびシクロホスファミドのような免疫抑制剤治療の使用によって、処置されていた。効果的であるが、これらの治療は、非特異的であり、長期の治療を妨げる相当な毒性が存在する。したがって、特異的中和抗体は、残りの免疫応答ネットワークを無傷にしたまま、IL−10の抑制効果の除去を可能にする、IL−10の効果的な拮抗物質となり得る。
【0008】
インビボでの治療剤としての抗体の使用における最も顕著な制限は、抗体の免疫抗原性である。ほとんどのモノクローナル抗体がげっ歯類由来だが、ヒトにおける繰り返しの使用は、治療抗体に対する免疫応答の発生をもたらす。そのような免疫応答は、治療効力の損失を最小に、かつ潜在の致死的なアナフィラキシー応答を最大にする結果となる。げっ歯類抗体の免疫抗原性を低減するための初期の取り組みは、マウス可変領域をヒト定常領域に融合させた、キメラ抗体の生成に関与した。非特許文献10。しかしながら、ヒト可変領域およびマウス定常領域の混成物を注射されたマウスは、ヒト可変領域に対する強い抗−抗体応答を発現させ、このことは、このようなキメラ抗体におけるげっ歯類の全Fv領域の保有が依然として、患者における望ましくない免疫抗原性を生じ得ることを示唆する。
【0009】
可変ドメインの相補性決定領域(CDR)ループは抗体分子の結合部位を含むと、一般的に考えられている。それゆえ、げっ歯類の配列をさらに最小限にするべく、げっ歯類のCDRループをヒトフレームワークに移植すること(すなわち、ヒト化)が試みられた。非特許文献11、非特許文献12。しかしながら、CDRループの交換は、まだ、一様に、元の抗体と同様な結合特性を有する抗体を生じるとは限らない。ヒト化抗体でのフレームワーク残基(FR、CDRループの支持に関与する残基)における変更もまた、抗原への結合親和性の保持が必要とされる。非特許文献13。多くのヒト化抗体構成物において、CDR移植の使用およびフレームワーク残基の保存の使用が報告されたが、特定の配列が、所望の結合特性、および時には、所望の生物学的特性を有する抗体に帰着するかどうかを予測することは困難である。例えば、非特許文献14、非特許文献15、および非特許文献16を参照のこと。さらに、大抵の先行する研究が、異なるヒト配列を動物の軽鎖可変配列および重鎖可変配列のために使用し、このような研究における予測された性質を疑わしいものにした。公知の抗体の配列が使用されたか、または、より代表的には、公知のX線構造を有する抗体(抗体NEWおよび抗体KOL)の配列が使用された。例えば、非特許文献11、非特許文献12、および非特許文献15を参照のこと。ほんのわずかのヒト化構成物について、正確な配列情報が報告された。
【0010】
本発明は、特に、自己免疫疾患について、ヒトIL−10を認識し、かつ、その活性を調節するヒト化モノクローナル抗体を提供する。このヒト化抗体は、現行の処置に付随する毒性および非特異性を伴わない、代替の治療の選択を提供するはずである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Moore等,Annu.Rev.Immunol.、1993、11:p.165
【非特許文献2】Fiorentino等,J.Exp.Med.、1989、170:p.2081−2095
【非特許文献3】Fiorentino等,J.Immunol.、1991、146:p.3444
【非特許文献4】Hsu等,Int.Immunol.、1992、4:p.563
【非特許文献5】D’Andrea等,J.Exp.Med.、1993、178:p.1041
【非特許文献6】de Waal Malefyt等,J.Exp.Med.、1991、174:p.915
【非特許文献7】Fiorentino等,J.Immunol.、1991、147:p.3815
【非特許文献8】Llorente等,Arthritis Rheum.、1997、40:p.249−60
【非特許文献9】Gonzalez−Amaro等,J.Autoimmunity、1998、11:p.395−402
【非特許文献10】Liu等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1987、84:p.3439
【非特許文献11】Jones等,Nature、1986、321:p.522
【非特許文献12】Verhoeyen等,Science、1988、239:p.1534
【非特許文献13】Kabat等,J.Immunol.、1991、147:p.1709
【非特許文献14】Queen等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1989、86:p.10029
【非特許文献15】Gorman等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1991、88:p.4181
【非特許文献16】Hodgson,Bio/Technology、1991、9:p.421
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の要旨)
IL−10に結合するヒト化組換え抗体分子またはその結合断片が、本明細書で提供され、この抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域またはその結合断片であって、この領域または結合断片は、CDR1には配列番号1、CDR2には配列番号2、およびCDR3には配列番号3からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチド;ならびに、フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全て、ヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域、を含む、抗体軽鎖可変領域またはその結合断片;ならびに、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域またはその結合断片であって、この領域または結合断片は、CDR1には配列番号6、CDR2には配列番号7、およびCDR3には配列番号8からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチド;ならびに、フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全て、ヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域、を含む、抗体重鎖可変領域またはその結合断片、を含む。抗体の軽鎖またはその結合断片が、配列番号4の可変領域を有するポリペプチドを含む抗体もまた、本明細書で提供される。特定の一実施形態において、この抗体軽鎖またはその結合断片は、配列番号5の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む。特定の一実施形態において、この抗体重鎖またはその結合断片は、配列番号9の可変領域を有するポリペプチドを含む。別の特定の実施形態において、この抗体重鎖またはその結合断片は、配列番号10の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む。
【0013】
IL−10に結合するキメラ組換え抗体分子またはその結合断片が、本明細書でさらに提供され、この抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域またはその結合断片であって、この領域または結合断片は、CDR1には配列番号1、CDR2には配列番号2、およびCDR3には配列番号3からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、抗体軽鎖可変領域またはその結合断片;ならびに、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域またはその結合断片であって、この領域または結合断片は、CDR1には配列番号6、CDR2には配列番号7、およびCDR3には配列番号8からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、抗体重鎖可変領域またはその結合断片、を含む。
【0014】
IL−10に結合するヒト化組換え抗体分子またはその結合断片もまた、本明細書で提供され、この抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖またはその結合断片であって、この鎖またはその結合断片は、CDR1には配列番号11、CDR2には配列番号12、およびCDR3には配列番号13からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチド;ならびに、フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全て、ヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域、を含む、抗体軽鎖またはその結合断片;ならびに、少なくとも1つの抗体重鎖またはその結合断片であって、この鎖またはその結合断片は、CDR1には配列番号15、CDR2には配列番号16、およびCDR3には配列番号17からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチド;ならびに、フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全て、ヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域、を含む、抗体重鎖またはその結合断片を含む。特定の一実施形態において、この抗体軽鎖またはその結合断片は、配列番号14の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む。さらに別の特定の実施形態において、この抗体重鎖またはその結合断片は、配列番号18の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む。
【0015】
IL−10に結合するキメラ組換え抗体分子またはその結合断片が、本明細書で、さらに提供され、この抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖またはその結合断片であって、この鎖またはその結合断片は、CDR1には配列番号11、CDR2には配列番号12、およびCDR3には配列番号13からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、抗体軽鎖またはその結合断片;ならびに、少なくとも1つの抗体重鎖またはその結合断片であって、この鎖またはその結合断片は、CDR1には配列番号15、CDR2には配列番号16、およびCDR3には配列番号17からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、抗体重鎖またはその結合断片、を含む。
【0016】
1つの実施形態において、上記抗体は、さらに重鎖定常領域を含み、この重鎖定常領域はγ1、γ2、γ3、もしくはγ4ヒト重鎖定常領域、または、この領域の改変体を含む。1つの実施形態において、上記抗体は、さらに軽鎖定常領域を含み、この軽鎖定常領域は、λまたはκヒト軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態において、これらの抗体の結合断片は、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)、およびダイアボディ(diabody)からなる群から選択される抗体断片である。
【0017】
ヒト被験体において免疫応答を抑制する方法が、本明細書でさらに提供され、この方法は、IL−10の生物学的活性を遮断するのに有効な量のIL−10に特異的な抗体またはその結合断片を、免疫応答の抑制を必要とする被験体に投与する工程、を包含し、この抗体は、本明細書中で開示される抗体である。この方法により抑制される免疫応答は、体液性応答または細胞性応答である。1つの実施形態において、この方法により処置される被験体は、全身性エリテマトーデスに罹患している。別の実施形態において、被験体は免疫性血小板減少性紫斑病(ITC)に罹患している。さらに別の実施形態において、被験体はループス腎炎に罹患している。さらなる実施形態において、被験体はHIVに罹患している。別の実施形態において、被験体はC型肝炎に罹患している。特定の一実施形態において、ヒト被験体における免疫応答を抑制する方法は、免疫応答の抑制を必要とする被験体に以下の(1)および(2)を投与する工程を包含する:(1)IL−10の生物学的活性を遮断するのに有効な量の、IL−10に特異的な抗体またはその結合断片(この抗体は、本明細書中で開示される抗体である)、および(2)免疫抑制剤。
【0018】
組成物が、本明細書で提供され、この組成物は、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と組み合わせて、抗体またはその結合断片(この抗体は、上記に開示される抗体のうちの1つである)を含む。
【0019】
上に開示された抗体のポリペプチドをコードする単離された核酸が、本明細書でさらに提供される。発現ベクターもまた、本明細書で提供され、この発現ベクターは、このベクターを用いてトランスフェクトされた宿主細胞により認識される制御配列に、作動可能に連結された、単離された核酸配列を含む。宿主細胞が、本明細書で提供され、この宿主細胞は、単離された核酸配列を含むベクターを含む。ポリペプチドを生成する方法が、本明細書でさらに提供され、この方法は、このベクターを含む宿主細胞を、この核酸配列が発現される条件下で培養し、それによってこのポリペプチドを生成する工程、および、この宿主細胞から、このポリペプチドを回収する工程を包含する。
【0020】
IL−10に特異的な抗体をコードする単離された核酸配列が、本明細書で提供され、この核酸配列は、配列番号19の核酸配列を有する軽鎖、および配列番号20の核酸配列を有する重鎖、を含む。さらなる実施形態において、この軽鎖はAmerican Type Culture Collection(ATCC)受託番号PTA−5923であり、この重鎖はATCC受託番号PTA−5922である。
【0021】
IL−10に特異的な抗体をコードする単離された核酸配列が、本明細書で提供され、この核酸配列は、配列番号21の核酸配列を有する軽鎖、および配列番号22の核酸配列を有する重鎖、を含む。さらなる実施形態において、この軽鎖はATCC受託番号PTA−5927であり、この重鎖はATCC受託番号PTA−5926である。
【0022】
上記核酸配列によってコードされる抗体の結合断片をコードする、単離された核酸配列が、本明細書でさらに提供される。1つの実施形態において、この結合断片は、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、およびF(ab’)からなる群から選択される抗体断片である。
【0023】
ヒト化抗体について、受容体生殖細胞系配列を同定するための方法が、本明細書で提供され、この方法は、a)所望の生物学的活性を有する非ヒト抗体を同定する工程;b)非ヒト抗体のVドメインおよびVドメインのアミノ酸配列を決定する工程;ならびにc)非ヒト抗体の配列を、ヒト生殖細胞系配列の群と比較する工程であって、この比較は、以下の下位工程:1)非ヒトVドメイン配列およびVドメイン配列の配列に残基番号を割り当てる工程、2)この配列中のCDR領域およびFR領域を線引きする工程、3)非ヒトおよびヒト生殖細胞系の配列が一致する、それぞれの残基位置での、所定のスコア数を割り当てる工程、および4)それぞれのヒト生殖細胞系配列について総スコアを生成するために、全残基スコアを総計する工程を包含する、工程;ならびにd)全残基スコアが最も高いヒト生殖細胞系配列を、受容体生殖細胞系配列と同定する工程を包含する。1つの実施形態において、この方法は、5)下位工程(4)の後に全残基スコアが一致する生殖細胞系配列に対し、非ヒトおよびヒト生殖細胞系の配列が一致し、下位工程(3)でスコア付けされなかった、それぞれの残基位置について、スコア数「1」を割り当てる工程;6)それぞれのヒト生殖細胞系配列について総スコアを生成するために、全残基スコアを総計する工程を、さらに包含する。特定の実施形態において、非ヒト抗体は、IL−10に特異的であり、かつIL−10の生物学的活性を阻害する。特定の実施形態において、スコア数が、V領域およびV領域について、それぞれ表2および表3のように残基に割り当てられる。
【0024】
上記方法により生成される抗体が、本明細書でさらに提供される。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
IL−10に結合するヒト化組換え抗体分子、または該抗体の結合断片であって、該抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域またはその結合断片と、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域またはその結合断片とを含み、
該抗体軽鎖可変領域または結合断片は、ポリペプチドおよびフレームワーク領域を含み、該ポリペプチドは、CDR1には配列番号1、CDR2には配列番号2、およびCDR3には配列番号3からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有し;該フレームワーク領域のアミノ酸配列は、全てもしくは実質的に全て、ヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であり;
該抗体重鎖可変領域または結合断片は、ポリペプチドおよびフレームワーク領域を含み、該ポリペプチドは、CDR1には配列番号6、CDR2には配列番号7、およびCDR3には配列番号8からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有し;該フレームワーク領域のアミノ酸配列は、全てもしくは実質的に全て、ヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列である、抗体。
(項目2)
項目1に記載の抗体であって、さらに重鎖定常領域を含み、該重鎖定常領域がγ1、γ2、γ3、もしくはγ4ヒト重鎖定常領域、または該領域の改変体を含む、抗体。
(項目3)
項目1に記載の抗体であって、さらに軽鎖定常領域を含み、該軽鎖定常領域がλまたはκヒト軽鎖定常領域を含む、抗体。
(項目4)
項目1に記載の抗体であって、上記結合断片が、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)、およびダイアボディからなる群から選択される抗体断片である、抗体。
(項目5)
項目1に記載の抗体であって、上記抗体軽鎖またはその結合断片が、配列番号4の可変領域を有するポリペプチドを含む、抗体。
(項目6)
項目1に記載の抗体であって、上記抗体軽鎖またはその結合断片が、配列番号5の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む、抗体。
(項目7)
項目1に記載の抗体であって、上記抗体重鎖またはその結合断片が、配列番号9の可変領域を有するポリペプチドを含む、抗体。
(項目8)
項目1に記載の抗体であって、上記抗体重鎖またはその結合断片が、配列番号10の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む、抗体。
(項目9)
IL−10に結合する組換えキメラ抗体分子、または該抗体の結合断片であって、該抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域またはその結合断片と、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域またはその結合断片とを含み、
該抗体軽鎖可変領域または結合断片は、CDR1には配列番号1、CDR2には配列番号2、およびCDR3には配列番号3からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含み;
該抗体重鎖可変領域または結合断片は、CDR1には配列番号6、CDR2には配列番号7、およびCDR3には配列番号8からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、抗体。
(項目10)
IL−10に結合する組換えヒト化抗体分子、または該抗体の結合断片であって、該抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖またはその結合断片と、少なくとも1つの抗体重鎖またはその結合断片とを含み、
該抗体軽鎖またはその結合断片は、ポリペプチドおよびフレームワーク領域を含み、該ポリペプチドは、CDR1には配列番号11、CDR2には配列番号12、およびCDR3には配列番号13からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有し;該フレームワーク領域のアミノ酸配列は、全てもしくは実質的に全て、ヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であり;
該抗体重鎖またはその結合断片は、ポリペプチドおよびフレームワーク領域を含み、該ポリペプチドは、CDR1には配列番号15、CDR2には配列番号16、およびCDR3には配列番号17からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有し、該フレームワーク領域のアミノ酸配列は、全てもしくは実質的に全て、ヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列である、抗体。
(項目11)
項目10に記載の抗体であって、さらに重鎖定常領域を含み、該重鎖定常領域がγ1、γ2、γ3、もしくはγ4ヒト重鎖定常領域、または該領域の改変体を含む、抗体。
(項目12)
項目10に記載の抗体であって、さらに軽鎖定常領域を含み、該軽鎖定常領域がλまたはκヒト軽鎖定常領域を含む、抗体。
(項目13)
項目10に記載の抗体であって、上記結合断片が、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)、およびダイアボディからなる群から選択される抗体断片である、抗体。
(項目14)
項目10に記載の抗体であって、上記抗体軽鎖またはその結合断片が、配列番号14の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む、抗体。
(項目15)
項目10に記載の抗体であって、上記抗体重鎖またはその結合断片が、配列番号18の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む、抗体。
(項目16)
IL−10に結合する組換えキメラ抗体分子、または該抗体の結合断片であって、該抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖またはその結合断片と、少なくとも1つの抗体重鎖またはその結合断片とを含み、
該抗体軽鎖またはその結合断片は、CDR1には配列番号11、CDR2には配列番号12、およびCDR3には配列番号13のアミノ酸配列のうち、少なくとも1つを有するポリペプチドを含み;
該抗体重鎖またはその結合断片は、CDR1には配列番号15、CDR2には配列番号16、およびCDR3には配列番号17のアミノ酸配列のうち、少なくとも1つを有するポリペプチドを含む、抗体。
(項目17)
ヒト被験体において免疫応答を抑制する方法であって、該方法は、IL−10の生物学的活性を遮断するのに有効な量でIL−10に特異的な抗体または該抗体の結合断片を、免疫応答の抑制を必要とする被験体に投与する工程を包含し、ここで該抗体は、項目1または項目9に記載の抗体である、方法。
(項目18)
項目17に記載の方法であって、上記免疫応答は体液性応答である、方法。
(項目19)
項目17に記載の方法であって、上記被験体は、全身性エリテマトーデスに罹患している、方法。
(項目20)
項目17に記載の方法であって、上記被験体は、免疫性血小板減少性紫斑病(ITC)に罹患している、方法。
(項目21)
項目17に記載の方法であって、上記被験体は、ループス腎炎に罹患している、方法。
(項目22)
項目17に記載の方法であって、上記被験体は、HIVに罹患している、方法。
(項目23)
項目17に記載の方法であって、上記被験体は、C型肝炎に罹患している、方法。
(項目24)
項目17に記載の方法であって、さらに、免疫抑制剤を投与する工程を包含する、方法。
(項目25)
ヒト被験体において免疫応答を抑制する方法であって、該方法は、IL−10の生物学的活性を遮断するのに有効な量でIL−10に特異的な抗体、または該抗体の結合断片を、免疫応答の抑制を必要とする被験体に投与する工程を包含し、ここで該抗体は、項目10または項目16に記載の抗体である、方法。
(項目26)
項目25に記載の方法であって、上記免疫応答は、体液性応答である、方法。
(項目27)
項目25に記載の方法であって、上記被験体は、全身性エリテマトーデスに罹患している、方法。
(項目28)
項目25に記載の方法であって、上記被験体は、免疫性血小板減少性紫斑病(ITC)に罹患している、方法。
(項目29)
項目25に記載の方法であって、上記被験体は、ループス腎炎に罹患している、方法。
(項目30)
項目25に記載の方法であって、上記被験体は、HIVに罹患している、方法。
(項目31)
項目25に記載の方法であって、上記被験体は、C型肝炎に罹患している、方法。
(項目32)
項目25に記載の方法であって、さらに、免疫抑制剤を投与する工程を包含する、方法。
(項目33)
薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と組み合わせて、抗体または該抗体の結合断片を含む組成物であって、ここで該抗体は、項目1または項目9に記載の抗体である、組成物。
(項目34)
項目33に記載の組成物であって、さらに免疫抑制剤を含む、組成物。
(項目35)
薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と組み合わせて、抗体または該抗体の結合断片を含む組成物であって、ここで該抗体は、項目10または項目16に記載の抗体である、組成物。
(項目36)
項目35に記載の組成物であって、さらに免疫抑制剤を含む、組成物。
(項目37)
項目1または項目9に記載のポリペプチドをコードする、単離された核酸。
(項目38)
項目10または項目16に記載のポリペプチドをコードする、単離された核酸。
(項目39)
発現ベクターであって、該発現ベクターは、該ベクターを用いてトランスフェクトされた宿主細胞により認識される制御配列に作動可能に連結される、項目37に記載の核酸配列を含む、発現ベクター。
(項目40)
項目39に記載のベクターを含む宿主細胞。
(項目41)
ポリペプチドを生成する方法であって、該方法は、項目40に記載の宿主細胞を、上記核酸配列が発現される条件下で培養し、それによって該ポリペプチドを生成する工程、および、該宿主細胞から該ポリペプチドを回収する工程を包含する、方法。
(項目42)
発現ベクターであって、該発現ベクターは、該ベクターを用いてトランスフェクトされた宿主細胞により認識される制御配列に作動可能に連結される、項目38に記載の核酸配列を含む、発現ベクター。
(項目43)
項目42に記載のベクターを含む宿主細胞。
(項目44)
ポリペプチドを生成する方法であって、該方法は、項目43に記載の宿主細胞を、上記核酸配列が発現される条件下で培養し、それによって該ポリペプチドを生成する工程、および、上記宿主細胞から該ポリペプチドを回収する工程を包含する、方法。
(項目45)
IL−10に特異的な抗体をコードする単離された核酸配列であって、該核酸配列は、配列番号21の核酸配列を有する軽鎖、および配列番号22の核酸配列を有する重鎖を含む、核酸配列。
(項目46)
項目45に記載の核酸であって、上記軽鎖はAmerican Type Culture Collection(ATCC)受託番号PTA−5923であり、上記重鎖はATCC受託番号PTA−5922である、核酸。
(項目47)
IL−10に特異的な抗体をコードする単離された核酸配列であって、該核酸配列は、配列番号23の核酸配列を有する軽鎖、および配列番号24の核酸配列を有する重鎖を含む、核酸配列。
(項目48)
項目47に記載の核酸であって、上記軽鎖はATCC受託番号PTA−5927であり、および上記重鎖はATCC受託番号PTA−5926である、核酸。
(項目49)
項目45に記載の核酸配列によってコードされる抗体の結合断片をコードする、単離された核酸配列。
(項目50)
項目47に記載の核酸配列によってコードされる抗体の結合断片をコードする、単離された核酸配列。
(項目51)
項目49または項目50に記載の核酸であって、上記結合断片は、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)、およびダイアボディからなる群から選択される抗体断片である、核酸。
(項目52)
ヒト化抗体について受容体生殖細胞系配列を同定するための方法であって、該方法は、
a)所望の生物学的活性を有する非ヒト抗体を同定する工程;
b)該非ヒト抗体のVドメインおよびVドメインのアミノ酸配列を決定する工程;ならびに
c)該非ヒト抗体の配列を、ヒト生殖細胞系配列の群と比較する工程であって、該比較は、以下の下位工程:
1)該非ヒトVドメイン配列およびVドメイン配列の配列に残基番号を割り当てる工程、
2)該配列中のCDR領域およびFR領域を線引きする工程、
3)該非ヒト配列および該ヒト生殖細胞系配列が一致した、それぞれの残基位置での、所定のスコア数を割り当てる工程、および
4)それぞれのヒト生殖細胞系配列について総スコアを生成するために、該残基スコアの全てを総計する工程を包含する、工程;ならびに
d)全残基スコアが最も高い、該ヒト生殖細胞系配列を、該受容体生殖細胞系配列と同定する工程
を包含する、方法。
(項目53)
項目52に記載の方法であって、該方法はさらに、以下の下位工程:
a)上記下位工程(4)の後に全残基スコアが一致する生殖細胞系配列に対し、該非ヒト配列および該ヒト生殖細胞系配列が一致し、上記下位工程(3)でスコア付けされなかった、それぞれの残基位置について、スコア数「1」を割り当てる工程;
b)それぞれのヒト生殖細胞系配列について総スコアを生成するために、該残基スコアの全てを総計する工程、を包含する、方法。
(項目54)
項目52に記載の方法であって、上記V領域は、表2のようにスコア付けされる、方法。
(項目55)
項目52に記載の方法であって、上記V領域は、表3のようにスコア付けされる、方法。
(項目56)
項目52に記載の方法であって、上記非ヒト抗体は、IL−10に特異的であり、かつIL−10の生物学的活性を阻害する、方法。
(項目57)
項目52に記載の方法により生成される抗体。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1A】図1Aは、抗ヒトIL−10抗体である12G8の可変軽鎖に関する、潜在的な受容体生殖細胞系配列に対しての、残基番号およびスコア数の割り当てを示す。
【図1B−1】図1Bは、抗ヒトIL−10抗体である12G8の可変重鎖に関する、潜在的な受容体生殖細胞系配列に対しての、残基番号およびスコア数の割り当てを示す。
【図1B−2】図1Bは、抗ヒトIL−10抗体である12G8の可変重鎖に関する、潜在的な受容体生殖細胞系配列に対しての、残基番号およびスコア数の割り当てを示す。
【図1C】図1Cは、抗ヒトIL−10抗体である11D8の可変軽鎖に関する、潜在的な受容体生殖細胞系配列に対しての、残基番号およびスコア数の割り当てを示す。
【図1D−1】図1Dは、抗ヒトIL−10抗体である11D8の可変重鎖に関する、潜在的な受容体生殖細胞系配列に対しての、残基番号およびスコア数の割り当てを示す。
【図1D−2】図1Dは、抗ヒトIL−10抗体である11D8の可変重鎖に関する、潜在的な受容体生殖細胞系配列に対しての、残基番号およびスコア数の割り当てを示す。
【図2A】図2Aは、実施例IIIに記載されるようにi.v.投与された12G8抗体についての、濃度−時間プロフィールである。
【図2B】図2Bは、実施例IIIに記載されるようにs.c.投与された12G8についての、濃度−時間プロフィールである。
【図3A】図3Aは、ヒト化抗IL−10抗体であるSCH708980の投与が、IL−10トランスジェニックマウスにおいて、森林型熱帯リーシュマニア感染への耐性を与えることを示す。感染を、示された時間に、測径器を使って足蹠の腫脹を測定することにより、決定した。実施例VIに記載されるように、12G8抗体を投与した。
【図3B】図3Bは、ラット抗IL−10抗体である12G8の投与が、IL−10トランスジェニックマウスにおいて、森林型熱帯リーシュマニア感染への耐性を与えることを示す。感染を、示された時間に、測径器を使って足蹠の腫脹を測定することにより、決定した。実施例VIに記載されるように、12G8抗体を投与した。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(発明の詳細な説明)
開示の明瞭さのためであって、限定のためではなく、発明の詳細な説明を続く小節に分割する。
【0027】
(A.定義)
他に定義されない限り、本明細書で使用される、全ての技術用語および科学用語は、本発明が所属する技術分野における当業者により、一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書で引用される、全ての特許、出願、公開された出願および他の刊行物は、それらの全体が、参考として援用される。この節で示される定義が、本明細書中で参考として援用される、特許、出願、公開された出願および他の刊行物で示される定義に反しても、その他に一致しない場合でも、本明細書中で参考として援用される定義より、この節で示される定義が優先する。
【0028】
本明細書で使用される場合、「a」または「an」は、「少なくとも1」または「1以上」を意味する。
【0029】
本明細書で使用される用語「抗体」とは、所望の生物学的活性を示す任意の形態の抗体、またはその抗体の断片をいう。このように、これは、最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体(全長のモノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および、所望の生物学的活性を示す限りは抗体断片を含む。
【0030】
本明細書で使用される場合、用語「IL−10結合断片」または「その結合断片」は、IL−10活性を阻害する生物学的活性を、依然として実質的に保持する、抗体の断片または誘導体を包含する。それゆえ、用語「抗体断片」またはIL−10結合断片とは、全長抗体の一部(一般的には、その抗体の抗原結合領域または可変領域)をいう。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、およびFv断片;ダイアボディ;直鎖状抗体;単鎖抗体分子(例えば、sc−Fv);ならびに、抗体断片から構成された多重特異性抗体、が挙げられる。代表的に、結合断片または誘導体は、抗体のIL−10阻害活性の少なくとも50%を保持する。好ましくは、結合断片または誘導体は、抗体のIL−10阻害活性の少なくとも60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%を保持する。IL−10結合断片は、抗体の生物学的活性を実質的に改変しない、保存的なアミノ酸置換を含み得ること、もまた意図される。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「モノクローナル抗体」は、実質的に均質な抗体の集団(すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、少数しか存在し得ない起こり得る天然に存在する変異を除いて同一である)から得られた抗体をいう。モノクローナル抗体は、非常に特異的であり、単一の抗原性エピトープに指向される。対照的に、従来の(ポリクローナル)抗体の調製物は、代表的に、異なるエピトープに指向する(または特異的な)多数の抗体を含む。修飾語「モノクローナル」は、抗体の実質的に均質な集団から取得されるような抗体の特性を示し、いかなる特別な方法による抗体の産生も必要としない、と解釈される。例えば、本発明にしたがって使用されるモノクローナル抗体は、Kohler等,Nature 256:495(1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法により、作製されても、または、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照のこと)により、調製されてもよい。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson等,Nature 352:624−628(1991)およびMarks等,J.Mol.Biol.222:581−597(1991)に記載される技術を使用する、ファージ抗体ライブラリから単離され得る。
【0032】
本明細書中のモノクローナル抗体は、特に、「キメラの」抗体(イムノグロブリン)を含み、その抗体の重鎖および/または軽鎖の一部が、特定の種由来の抗体か、または特定の抗体クラスもしくは特定の抗体サブクラスに属する抗体において対応する配列と一致するか、または相同であり、一方で残りの鎖が、別の種由来の抗体か、または別の抗体クラスもしくは別の抗体サブクラスに属する抗体において対応する配列と一致するか、または相同である。また、このような抗体の断片についても、これらが所望の生物学的活性を示す限り、同様である(米国特許第4,816,567号;およびMorrison等,Proc.Natl.Acad Sci.USA 81:6851−6855(1984))。
【0033】
本明細書で使用される場合、用語「単鎖Fv」抗体、または「scFv」抗体は、単一のポリペプチド鎖中に存在する、抗体のVドメインおよびVドメインを含む抗体断片をいう。一般的に、このFvポリペプチドは、sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にする、VドメインとVドメインとの間のポリペプチドリンカーを、さらに含む。sFvの概説については、Pluckthun,THE PHARMACOLOGY OF MONOCLONAL ANTIBODIES,vol.113,RosenburgおよびMoore編 Springer−Verlag,New York,pp.269−315(1994)を参照のこと。
【0034】
本明細書で使用される場合、用語「ダイアボディ(diabody)」は、2つの抗原結合部位を持つ小型の抗体断片をいい、この断片は、同一のポリペプチド鎖(V−V)中で、軽鎖可変ドメイン(V)に結合される重鎖可変ドメイン(V)を含む。同一鎖上で2つのドメイン間を組にさせるには短すぎるリンカーを使用することにより、このドメインは、別の鎖の相補的なドメインと組になることを強いられ、2つの抗原結合部位を作る。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号;国際公開第93/11161号;およびHollinger等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)において、より十分に記載されている。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「ヒト化抗体」は、ヒトの抗体のみならず非ヒト(例えば、マウス)の抗体由来の配列を含む、抗体の形態をいう。このような抗体は、非ヒトイムノグロブリン由来の最小の配列を含む、キメラ抗体である。一般的に、ヒト化抗体は、実質的に全ての、少なくとも1つ、および、代表的には2つの可変ドメインを含み、この可変ドメインにおいて、全てまたは実質的に全ての超可変ループが、非ヒトイムノグロブリンの超可変ループと一致し、そして全てまたは実質的に全てのFR領域が、ヒトイムノグロブリン配列のFR領域である。ヒト化抗体は、また、必要に応じて、少なくともイムノグロブリン定常領域(Fc)(代表的には、ヒトイムノグロブリンのもの)の一部を含む。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「超可変領域」は、抗原結合の原因となる、抗体のアミノ酸残基をいう。超可変領域は、「相補性決定領域」もしくは「CDR」由来のアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメインにおける残基24−34(L1)、50−56(L2)および89−97(L3)ならびに重鎖可変ドメインにおける残基31−35(H1)、50−65(H2)および95−102(H3);Kabat等,Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版 Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))、および/または、「超可変ループ」由来のアミノ酸残基(すなわち、軽鎖可変ドメインにおける残基26−32(L1)、50−52(L2)および91−96(L3)ならびに重鎖可変ドメインにおける残基26−32(H1)、53−55(H2)および96−101(H3);ChothiaおよびLesk,J.Mol.Biol.196:901−917(1987))を含む。本明細書で使用される用語「フレームワーク」残基または「FR」残基は、本明細書でCDR残基と定義される超可変領域の残基以外の、これらの可変ドメインの残基をいう。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「保存的置換」は、当業者に公知であるアミノ酸の置換をいい、一般的には、得られる分子の生物学的活性を変えることなくなされ得る。当業者は、一般にポリペプチドの非主要領域における単一のアミノ酸置換は、実質的に生物学的活性を改変しないことを認識する(例えば、Watson等,Molecular Biology of the Gene,The Benjamin/Cummings Pub.Co.,p.224(第4版 1987)を参照のこと)。このような例示的な置換は、好ましくは、以下の表1に示されるものにしたがってなされる:
【0038】
【表1】

他の置換も、また許容され、経験的に決定されても公知の保存的置換と一致してもよい。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「単離された核酸分子」は、抗体の核酸についての天然の供給源において、通常は、核酸分子の不純物と混在しており、そのうちの少なくとも1つから、同定および分離された核酸分子をいう。単離された核酸分子は、天然に見出される形態、または状況でのものとは、別のものである。それゆえ、単離された核酸分子は、天然の細胞に存在するような核酸分子とは区別される。しかしながら、単離された核酸分子は、通常、抗体を発現する細胞に含まれ、例えば、天然の細胞の染色体位置とは異なる染色体位置にある、核酸分子を含む。
【0040】
「制御配列」という表現は、特定の宿主生物において、作動可能に連結されたコード配列の発現に必要なDNA配列をいう。原核生物に適する制御配列は、例えば、プロモーター、任意のオペレーター配列、およびリボソーム結合部位を含む。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが公知である。
【0041】
別の核酸配列と機能的な関係に置かれたとき、核酸が「作動可能に連結される」。例えば、シグナルペプチドまたは分泌性のリーダーのためのDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されるのであれば、そのポリペプチドのためのDNAと、作動可能に連結される;プロモーターまたはエンハンサーは、それがコード配列の転写に影響するのであれば、コード配列と、作動可能に連結される;またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置されるのであれば、コード配列と、作動可能に連結される。一般的に、「作動可能に連結される」は、結合されたDNA配列が近接しており、そして分泌性のリーダーの場合、近接し、かつ読み取り枠が合うことを意味する。しかしながら、エンハンサーは近接する必要が無い。連結は、都合のよい制限酵素認識部位における連結反応により、達成される。そのような部位が存在しない場合、従来の方法にしたがって、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたは合成オリゴヌクレオチドリンカーが使用される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養」という表現は、交換可能に使用され、全てのこのような名称は、子孫を含む。したがって、単語「形質転換体」および「形質転換された細胞」は、継代の回数に関わり無く、それ由来の初代の対象細胞および培養物を含む。故意の変異または偶然の変異に起因して、全ての子孫は、DNA内容において、正確に一致し得ないこともまた、理解される。もとの形質転換された細胞において、同一の機能および同一の生物学的活性を有する変異体の子孫が含まれる。異なった名称が意図された場合、文脈から明らかである。
【0043】
本明細書で使用される「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」は、例えば、米国特許第4,683,195号に記載されているように、微少量の核酸(RNAおよび/またはDNA)の特定の断片を増幅される手順または技術をいう。一般的に、オリゴヌクレオチドプライマーが設計され得るように、目的の領域の末端からか、または、それを越えての配列情報が、利用可能である必要がある。これらのプライマーは、増幅されるべきテンプレートの相手側の鎖と配列が、一致するか、または類似している。2つのプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅された材料の末端と一致し得る。PCRは、全ゲノムDNAから、特定のRNA配列、特定のDNA配列を増幅するため、および全細胞RNA、バクテリオファージ、またはプラスミド配列から転写されたcDNAを増幅するためなどに、使用され得る。一般的に、Mullis等,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.51:263(1987);Erlich編,PCR TECHNOLOGY(Stockton Press,N.Y.,1989)を参照のこと。本明細書で使用される場合、PCRは、核酸試験サンプルを増幅するための、核酸ポリメラーゼ反応の方法の1つの例であるがそれのみでないと考えられ、この方法は、核酸の特定の断片を増幅または生成するために、プライマーとして公知の核酸、および核酸ポリメラーゼの使用を含む。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「生殖細胞系配列」は、再配列されていないイムノグロブリンDNA配列の配列をいう。再配列されていないイムノグロブリンの、任意の適切な供給源が使用され得る。
【0045】
本明細書で使用される用語「免疫抑制剤」は、免疫応答を抑制または調節する、天然の薬剤または合成薬剤をいう。この免疫応答は、体液性応答または細胞性応答であり得る。
【0046】
(B.IL−10特異的抗体)
本明細書で開示される、組成物および方法は、特に免疫応答において、IL−10活性の調節に関連する。具体的には、本明細書における組成物および方法は、サイトカインであるIL−10に対し特異的な抗体を使用する。IL−10は、免疫応答に関与する様々な細胞型の増殖、分化、およびサイトカイン合成の調節を通して、T細胞およびB細胞の応答を調節する、強力なサイトカインである。特に、IL−10産生は、しばしば、自己免疫疾患および病原体誘発性の免疫病理に関連する。それゆえ、IL−10活性を調節および阻害する組成物、および、この組成物を用いる方法は、自己免疫疾患および関連する症状の進行および持続を改変し、病原体関連性の免疫病理を改善または軽減し得る。
【0047】
ヒト化抗体を用いてIL−10活性を標的にすることは、数個の特有な利点を提供する。第一に、抗体を用いてIL−10を標的にすることは、残りの免疫応答を無傷にしたまま、IL−10活性の特異的な抑制を可能にする。病原体誘発性の免疫病理の多くの事例において、IL−10活性の低減または除去は、さらなる病理を伴わずに、病原体を除去する所望のエフェクター免疫応答を可能にするはずである。自己免疫性の患者に対しては、IL−10活性の低減または除去は、その患者の免疫反応能を維持したまま、疾患および/またはその症状を、軽減または除去するはずである。第二に、ヒト化IL−10抗体は、免疫抗原性のげっ歯類抗体に関する制限を回避する。ヒト配列の使用は、外因的に投与された抗体の免疫抗原性を無くし、治療上の投与を可能にする。
【0048】
ヒト化抗体は、ヒト抗体のみならず非ヒト抗体由来の配列も含む。代表的には、ヒト化プロセスは、所望の生物学的活性を有する(すなわち、IL−10活性を阻害する)非ヒト抗体の生成から開始する。一旦、適切な特性を有する非ヒト抗体が同定されれば、次に、非ヒト配列およびヒト配列を使用してハイブリッド配列を作り出すために、組換え方法が使用される。
【0049】
(C.IL−10特異的抗体の生成)
モノクローナル抗体の生成のために、任意の適切な方法が使用され得る。例えば、受容者は、IL−10またはその断片を接種され得る。任意の適切な免疫処置方法が使用され得る。このような方法は、アジュバント、他の免疫刺激薬、反復した追加免疫処置、および1つ以上の免疫処置方法の使用を含み得る。
【0050】
任意の適切なIL−10供給源が、本明細書で開示された組成物および方法に関する非ヒト抗体の生成のための免疫抗原として、使用され得る。このような形態としては、当該分野において公知である組換え方法、合成方法、化学分解法、または酵素分解法によって生成された総タンパク質、ペプチド、およびエピトープが挙げられるが、これらに限定されない。IL−10は、2つの相互に貫入するポリペプチド鎖からなる、酸感受性、非共有結合性のホモ二量体である。サイトカインは、インターフェロンおよび造血性サイトカインに類似のαへリックスの束状構造を含む、十分に保存された配列を有する、160アミノ酸長である。ヒトIL−10およびマウスIL−10は、73%のアミノ酸相同性を有し、ヒトIL−10はマウス細胞およびヒト細胞において活性を有する。IL−10は、市販されているか、または周知の分子生物学的技術を使用して、作製され得る。ヒト、ブタオザル、マンガベイ、アカゲザル、ヨザル、キツネザル、マウス、ラット、モルモット、シリアンハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ等について、Genbank cDNA配列が利用可能である。組換えヒトIL−10は、N−グリコシル化されていない、17kDa〜18kDaのポリペプチドである。
【0051】
抗体を生成するために、生物学的に活性のある抗体を生成するのに十分である、任意の形態の抗原が使用され得る。したがって、誘発抗原は、単一のエピトープ、複数のエピトープ、もしくは完全なタンパク質単独であっても、当該分野において公知である1つ以上の免疫抗原性促進剤との組み合わせであってもよい。誘発抗原は、単離された全長タンパク質、細胞表面タンパク質(例えば、抗原の少なくとも一部をトランスフェクトさせた細胞を免疫する)、または可溶性タンパク質(例えば、タンパク質の細胞外ドメイン部分のみを免疫する)であり得る。抗原は、遺伝子改変された細胞において、産生され得る。抗原をコードするDNAは、ゲノムDNAまたは非ゲノムDNA(例えば、cDNA)であり得、細胞外ドメインの少なくとも一部をコードする。本明細書で使用される場合、用語「部分」は、必要に応じて、目的の抗原の免疫抗原性エピトープを構成するための、最小数のアミノ酸または核酸をいう。目的の細胞の形質転換に適した、任意の遺伝子ベクターが使用され得、それは、アデノウイルスベクター、プラスミド、および非ウイルス性ベクター(例えば、陽イオン性脂質)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
IL−10を阻害する、所望の生物学的な特性を有する抗体を誘発するために、任意の適切な方法が使用され得る。種々の哺乳類宿主(例えば、マウス、げっ歯類、霊長類、ヒト等)から、モノクローナル抗体(mAb)を調製することが望ましい。そのようなモノクローナル抗体の調製についての技術に関する説明が、例えば、Stites等(編)BASIC AND CLINICAL IMMUNOLOGY(第4版)Lange Medical Publications,Los Altos,CAおよびそこで引用される参考文献;HarlowおよびLane(1988)ANTIBODIES:A LABORATORY MANUAL CSH Press;Goding(1986)MONOCLONAL ANTIBODIES:PRINCIPLES AND PRACTICE(第2版)Academic Press,New York,NYに見出され得る。このように、モノクローナル抗体が、当該分野における通常の知識を有する研究者によく知られた様々な技術により、得られ得る。代表的に、所望の抗原で免疫された動物由来の脾臓細胞が、一般に、骨髄腫細胞との融合により、不死化される。KohlerおよびMilstein(1976)Eur.J.Immunol.6:511−519を参照のこと。不死化についての代替の方法としては、エプスタイン バーウイルス、癌遺伝子、もしくはレトロウイルスを用いる形質転換か、または当該分野において公知の他の方法が挙げられる。Doyle,等(編 1994および定期的な増補)CELL AND TISSUE CULTURE:LABORATORY PROCEDURES,John Wiley and Sons,New York,NYを参照のこと。抗原に対する所望の特異性および所望の親和性を有する抗体の産生のために、単一の不死化細胞から発生するコロニーがスクリーニングされ、そのような細胞により産生されたモノクローナル抗体の収量が、種々の技術(脊椎動物宿主の腹膜腔への注入が挙げられる)により、増大され得る。あるいは、例えば、Huse,等(1989)Science 246:1275−1281に概説された一般的プロトコールに従って、ヒトB細胞由来のDNAライブラリをスクリーニングすることにより、モノクローナル抗体またはその結合断片をコードするDNA配列を単離し得る。
【0053】
他の適切な技術が、ファージベクターまたは類似のベクターにおける、抗体ライブラリの選別に関わる。例えば、Huse等,Science 246:1275−1281(1989);およびWard等,Nature 341:544−546(1989)を参照のこと。本発明のポリペプチドおよび抗体は、改変を伴って(例えば、キメラ抗体またはヒト化抗体が挙げられる)か、または改変を伴わずに使用され得る。しばしば、ポリペプチドおよび抗体は、検出可能なシグナルを提供する物質を、共有結合かまたは非共有結合させることにより、標識される。科学文献および特許文献どちらにおいても、種々さまざまの標識および結合技術が、公知であり、広範に報告されている。適切な標識としては、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害因子、蛍光性の機能基、化学発光性の機能基、および磁性粒子等が挙げられる。このような標識の使用を教示する特許としては、米国特許第3,817,837号;同第3,850,752号;同第3,939,350号;同第3,996,345号;同第4,277,437号;同第4,275,149号;および同第4,366,241号が挙げられる。組換えイムノグロブリンもまた、生成され得る(Cabilly 米国特許第4,816,567号;およびQueen等(1989)Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 86:10029−10033を参照のこと)か、または、トランスジェニックマウスにおいて生成され得る(Mendez等(1997)Nature Genetics 15:146−156を参照のこと;Abgenixの技術およびMedarexの技術もまた参照のこと)。
【0054】
IL−10の所定の断片に対する、抗体および結合組成物は、キャリアタンパク質と共に、ポリペプチドの複合物、断片、ペプチド、またはエピトープを用いる動物の免疫処置によりもたらされ得る。モノクローナル抗体は、所望の抗体を分泌する細胞から、調製される。これらの抗体は、正常なIL−10または不完全なIL−10への結合についてスクリーニングされ得る。これらのモノクローナル抗体は通常ELISAにより測定されて、通常は少なくとも約1μMのKで、より通常には少なくとも約300nMのKで、代表的には少なくとも約30nMのKで、好ましくは少なくとも約10nMのKで、より好ましくは少なくとも約3nMのKか、またはそれより良いKで、結合する。適切な非ヒト抗体は以下のD節に記載の生物学的アッセイを使用しても、また同定され得る。
【0055】
(C.IL−10特異的抗体のヒト化)
任意の適切な非ヒト抗体が、超可変領域についての供給源として、使用され得る。非ヒト抗体の供給源としては、マウス、イヌ、ウシ、および霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。大半の部分について、ヒト化抗体は、ヒトイムノグロブリン(受容側の抗体)であり、その受容側の超可変領域の残基が、所望の特異性、親和性、および能力を有する、マウス、ラット、ウサギ、または非ヒト霊長類のような非ヒト種(供与側の抗体)由来の超可変領域の残基により置き換えられている。いくつかの事例において、ヒトイムノグロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基が、対応する非ヒト残基により置き換えられている。その上、ヒト化抗体は、受容側の抗体または供与側の抗体において見出されない残基を含み得る。これらの改変は、所望の生物学的活性についての抗体の性能を、さらに洗練するためになされる。さらなる詳細については、Jones等,Nature 321:522−525(1986);Reichmann等,Nature 332:323−329(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照のこと。
【0056】
抗体を組換え操作するための方法は、例えば、Boss等(米国特許第4,816,397号)、Cabilly等(米国特許第4,816,567号)、Law等(欧州特許出願公開第438310号)およびWinter(欧州特許出願公開第239400号)により記載された。
【0057】
ヒト化抗IL−10抗体のアミノ酸配列の改変体は、ヒト化抗IL−10抗体DNAへ適切なヌクレオチド交換を導入すること、またはペプチド合成により、調製される。このような改変体としては、例えば、ヒト化抗IL−10 F(ab)(例えば、配列番号5および10の)について示されるアミノ酸配列内の残基からの欠失、および/または、それらの残基への挿入、および/または、それらの残基の置換が挙げられる。欠失、挿入、および置換の任意の組み合わせが、最終的な構造体が所望の特性を有するという条件で、その最終的な構造体に達するためになされる。アミノ酸交換はまた、ヒト化抗IL−10抗体についての翻訳後のプロセスを変更し得る(例えば、グリコシル化部位の個数または位置を変更する)。
【0058】
変異誘発に関して好ましい位置にある、ヒト化抗IL−10抗体ポリペプチドの特定の残基または特定の領域を同定するための、有用な方法は、CunninghamおよびWells,Science 244:1081−1085(1989)により記載されるように「アラニン走査変異誘発(alanine scanning mutagenesis)」と称される。ここで、標的残基のうちの一つの残基または標的残基の一群が同定され(例えば、arg、asp、his、lys、およびgluのような荷電した残基)、それが、IL−10抗原とアミノ酸との相互作用に影響するように、中性のアミノ酸または負に荷電したアミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)により置き換えられる。次いで置換に対して機能的に感受性を示すアミノ酸残基は、置換部位に、または置換部位の代わりに、さらなる改変体または他の改変体を導入することにより、洗練される。それゆえ、アミノ酸配列のバリエーションを導入する部位が規定されていても、変異の性質それ自体は、規定される必要は無い。例えば、所定の部位における変異の性能を分析するために、アラニン走査または無作為の変異誘発が、標的コドンまたは標的領域において実施され、そして発現されるヒト化抗IL−10抗体改変体が、所望の活性について、スクリーニングされる。
【0059】
アミノ酸配列挿入としては、長さが1残基からポリペプチド(100残基以上を含む)におよぶ、アミノ末端への融合、および/またはカルボキシル末端への融合、ならびに単一のアミノ酸残基または複数のアミノ酸残基の配列内部への挿入が挙げられる。末端への挿入の例としては、N末端メチオニン残基を有するヒト化抗IL−10抗体またはエピトープタグに融合された抗体が挙げられる。ヒト化抗IL−10抗体分子についての他の挿入改変体としては、ヒト化抗IL−10抗体のN末端またはC末端への、抗体の血清半減期を伸ばす酵素またはポリペプチドの融合が挙げられる。
【0060】
別の型の改変体は、アミノ酸置換改変体である。これらの改変体は、除去されたヒト化抗IL−10抗体分子における少なくとも1つのアミノ酸残基を有し、かつ、その場所に挿入された異なる残基を有する。置換性の変異誘発について、最大の目的とする部位としては、超可変ループが挙げられるが、FRの改変もまた意図される。下記の方法における表2および表3は、改変され得る超可変領域の残基について、手引きを提供する。抗原結合に関与する、超可変領域の残基またはFR残基は、一般的に、比較的保存的な様式により、置換される。
【0061】
抗体についてのアミノ酸改変体の別の型は、抗体の元のグリコシル化パターンを改変する。改変することは、抗体内に見出される炭水化物部分の1つ以上の削除、および/または抗体内に存在しないグリコシル化部位の1つ以上の付加を指す。抗体のグリコシル化は、代表的に、N連結かまたはO連結のいずれかである。N連結は、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の連結をいう。トリペプチド配列、アスパラギン−X−セリンおよびアスパラギン−X−スレオニン(ここでXはプロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素的連結のための認識配列である。それゆえ、ポリペプチドにおける、これらのトリペプチド配列のいずれかの存在は、潜在的なグリコシル化部位を生成する。O連結グリコシル化は、糖(N−アセチルガラクトサミン、ガラクトース、またはキシロース)のうちの1つの、ヒドロキシアミノ酸(最も一般的には、セリンまたはスレオニン)への連結をいうが、5−ヒドロキシプロリンまたは5−ヒドロキシリジンもまた、使用され得る。
【0062】
抗体へのグリコシル化部位の付加は、1つ以上の上記のトリペプチド配列を含むようにアミノ酸配列を改変することにより、都合よく達成される(N連結グリコシル化部位について)。改変はまた、元の抗体の配列に対する、1つ以上のセリン残基またはスレオニン残基の付加、または置換によってもなされ得る(O連結グリコシル化部位について)。
【0063】
ヒト化IL−10特異的抗体のアミノ酸配列改変体をコードする核酸分子は、当該分野において公知の様々な方法により、調製される。これらの方法としては、天然の供給源からの単離(天然に存在するアミノ酸配列改変体の場合)、あるいはヒト化抗IL−10抗体の先に調製された改変体もしくは非改変型についての、オリゴヌクレオチド介在性(または、部位指向性)変異誘発、PCR変異誘発、およびカセット式変異誘発による調製、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
通常は、ヒト化抗IL−10抗体のアミノ酸配列改変体は、もとのヒト化抗体の重鎖または軽鎖(例えば、配列番号5および配列番号10のような)のいずれかのアミノ酸配列と、少なくとも75%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも85%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも90%のアミノ酸配列同一性、最も好ましくは少なくとも95%のアミノ酸配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。この配列に関する同一性または相同性は、本明細書では、配列を並置し、必要な場合、最大の配列同一性パーセントを達成するように、ギャップを導入し、そしていかなる保存的置換も配列同一性の部分とみなさないとした後に、候補配列における、ヒト化抗IL−10残基と一致するアミノ酸残基の割合と定義される。抗体配列へのN末端の伸長、C末端の伸長、もしくは内部の伸長、欠失、または挿入のいずれも、配列同一性または相同性に影響するとは解釈されない。
【0065】
ヒト化抗体は、任意のイムノグロブリンクラス(IgM、IgG、IgD、IgA、およびIgEが挙げられる)より選択され得る。好ましくは、抗体はIgG抗体である。任意のIgGアイソタイプ(IgG、IgG、IgG、およびIgGが挙げられる)が使用され得る。IgGアイソタイプの改変体もまた、意図される。ヒト化抗体は、1つより多いクラス、または、1つより多いアイソタイプ由来の配列を含み得る。所望の生物学的活性を生じるために必要な定常ドメイン配列の最適化は、下記の生物学的アッセイにおいて抗体をスクリーニングすることにより、容易に達成される。
【0066】
同様に、いずれのクラスの軽鎖が、本明細書における組成物および方法において、使用され得る。具体的には、κ、λ、または、その改変体が、本発明の組成物および方法において有用である。
【0067】
非ヒト抗体由来のCDR配列の、任意の適切な部分が使用され得る。CDR配列は、そのCDR配列が、使用されるヒト抗体配列および非ヒト抗体配列と異なるように、少なくとも1残基の置換、挿入、または欠失により、変異誘発され得る。このような変異は最小であることが意図される。代表的には、ヒト化抗体残基のうち少なくとも75%が、非ヒトCDR残基のヒト化抗体残基と一致し、より多くは90%、最も好ましくは95%を超えて一致する。
【0068】
ヒト抗体由来のFR配列の、任意の適切な部分が使用され得る。FR配列は、そのFR配列が、使用されるヒト抗体配列および非ヒト抗体配列と異なるように、少なくとも1残基の置換、挿入、または欠失により、変異誘発され得る。このような変異は最小であることが意図される。代表的に、ヒト化抗体残基のうち少なくとも75%が、ヒトFR残基のヒト化抗体残基と一致し、より多くは90%、最も好ましくは95%を超えて一致する。
【0069】
CDR残基およびFR残基が、Kabatによる標準配列の定義に従って、決定される。Kabat等,Sequences of Proteins of Immunological Interest,National Institutes of Health,Bethesda Md.(1987)。
【0070】
ヒト化抗体のための、受容体生殖細胞系配列を同定するための方法が、本明細書で提供され、この方法は、a)所望の生物学的活性を有する非ヒト抗体を同定する工程;b)非ヒト抗体のVドメインおよびVドメインのアミノ酸配列を決定する工程;ならびにc)非ヒト抗体の配列を、ヒト生殖細胞系配列の群と比較する工程であり、この比較は、以下の下位工程:1)上記Kabatに従って、非ヒトV配列に残基番号を割り当てる工程、2)上記Kabatに従って、この配列中のCDR領域およびFR領域を線引きする工程、3)非ヒトおよびヒト抗体生殖細胞系の配列が一致する、特定の残基位置での、所定のスコア数を割り当てる工程、および4)それぞれのヒト生殖細胞系配列について総スコアを生成するために、全残基スコアを総計する工程を包含する、工程;ならびにd)全残基スコアが最も高いヒト生殖細胞系配列を、受容体生殖細胞系配列と同定する工程を包含する。1つの実施形態において、この方法は、5)下位工程(4)の後に全残基スコアが一致する生殖細胞系配列に対し、非ヒトおよびヒト抗体生殖細胞系の配列が一致し、下位工程(3)でスコア付けされなかった、それぞれのFR残基位置について、スコア数「1」を割り当てる下位工程;6)それぞれのヒト生殖細胞系配列について総スコアを生成するために、全残基スコアを総計する下位工程を、さらに包含する。特定の実施形態において、非ヒト抗体は、IL−10に特異的であり、かつIL−10の生物学的活性を阻害する。上記方法により生成された抗体もまた、本明細書において提供される。
【0071】
1つの実施形態において、以下の方法を使用して、IL−10抗体がヒト化される。第一に、IL−10抗体の非ヒトVドメインおよびVドメインが、クローニングおよび配列決定され、アミノ酸配列が決定される。次に、非ヒトV配列が、5つのヒトV生殖細胞系アミノ酸配列の群と比較される。この5つの群は、下位群IGHV1および下位群IGHV4由来の1つの代表物、ならびに下位群IGHV3由来の3つの代表物を含む。V下位群は、M.−P.Lefranc,Exp.Clin.Immunogenetics,18:100−116(2001)に記載されている。具体的には、5つの生殖細胞系配列との比較は、Kabat番号付け方式に従った、非ヒトV配列に対する残基番号の割り当てから開始する。Kabat等,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242(第5版,1991)を参照のこと。次に、非ヒトV配列は、5つのヒト生殖細胞系配列のそれぞれと並置される。V遺伝子は、V残基1−94しか含まないので、これらの残基のみがアラインメントで検討される。次に、この配列中の相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)が線引きされる。Kabat等,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242(第5版,1991)、およびC.Chothia & A.M.Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987)に提供される定義の組み合わせに従って、CDRおよびFRが線引きされる。それゆえ、使用されるCDRの定義は、VドメインのCDR1について残基26〜35、VドメインのCDR2について残基50〜65、およびVドメインのCDR3について残基95〜102である。次の工程は、非ヒト配列およびヒト配列が一致する、同定された残基位置にスコア数を割り当てることを伴う。このスコア付けの一例が、以下の表2に示される。
【0072】
【表2−1】

【0073】
【表2−2】

*C.Chothia等,Nature 342:877−883,(1989)において、CDR立体配座に影響すると記載される。
【0074】
残基位置に、スコア数を割り当てられた後、全残基スコアが総計される。受容体生殖細胞系配列は、総スコアが最も高い配列である。2つ以上の生殖細胞系配列が同一のスコアを有する場合、次に、非ヒト配列およびヒト配列が以下の残基(1、3、5〜23、25、36、38、40〜43、46、66、68、70、72、74、75、77、79〜90、および92(最大49))と一致する、それぞれの位置の総計に、1を加算する。再び、残基スコアが総計され、総スコアの最も高い配列が、受容体生殖細胞系配列である。それでもなお、2つ以上の生殖細胞系配列が同一のスコアを有する場合、いずれかの1つが、受容体生殖細胞系配列として使用され得る。
【0075】
配列が、Vのκサブクラスのメンバーである場合、IL−10特異的抗体由来の非ヒトV配列が、4つのヒトVκ生殖細胞系アミノ酸配列の群と比較される。4つの配列は、4つの確立されたヒトV下位群(V.Barbie & M.−P.Lefranc,Exp.Clin.Immunogenetics 15:171−183(1998)およびM.−P.Lefranc,Exp.Clin.Immunogenetics 18:161−174(2001)に列挙されている)それぞれに由来する1つの代表物を含む。4つの配列はまた、Kabat等,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242,pp.103−130(第5版,1991)に列挙されている、4つの下位群に対応する。4つの生殖細胞系配列に対する、非ヒト配列の比較は、Kabat等,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242(第5版,1991)に従った、非ヒトV配列残基に対する残基番号の割り当てから開始する。次に、非ヒトV配列は、4つのヒト生殖細胞系配列のそれぞれと並置される。V遺伝子は、V残基1〜95しか含まないので、これらの残基のみがアラインメントで検討される。次に、相補性決定領域(CDR)およびフレームワーク領域(FR)が、この配列中において、線引きされる。Kabat等,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Pub.91−3242(第5版,1991)、およびC.Chothia & A.M.Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987)に提供される定義の組み合わせに従って、CDRおよびFRが線引きされる。それゆえ、使用されるCDRの定義は、VドメインのCDR1について残基24〜34、VドメインのCDR2について残基50〜56、およびVドメインのCDR3について残基89〜97である。次の工程は、非ヒト配列およびヒト配列が一致する、同定された残基位置にスコア数を割り当てることを伴う。このスコア付けの一例が、以下の表3に示される。
【0076】
【表3】

*C.Chothia等,Nature 342:877−883,(1989)において、CDR立体配座に影響すると記載される。
【0077】
残基位置に、スコア数を割り当てられた後、全残基スコアが総計される。受容体生殖細胞系配列は、最も高い総スコアを有する配列である。2つ以上の生殖細胞系配列が同一のスコアを有する場合、次に、以下の残基(1、3、5−23、35、37、39−42、57、59−61、63、65−70、72−86、および88)について、非ヒト配列およびヒト配列が一致するそれぞれの位置に対して、総計に1を加算する。再び、残基スコアが総計され、総スコアの最も高い配列が、受容体生殖細胞系配列である。それでもなお、2つ以上の生殖細胞系配列が同一のスコアを有する場合、どちらかの1つが、受容体生殖細胞系配列として、使用され得る。
【0078】
抗体の組換え生成のために、これをコードする核酸が単離され、さらなるクローニング(このDNAの増幅)ためか、または発現のために、複製可能なベクターに挿入される。モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順(例えば、抗体の重鎖および抗体の軽鎖をコードする遺伝子に、特異的に結合することが可能なオリゴヌクレオチドプローブの使用により)を使用することで、容易に、単離および配列決定される。多くのベクターが利用可能である。一般的に、ベクター構成要素としては、1つ以上の以下のもの:シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、および転写終結配列、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
1つの実施形態において、この抗体は、IL−10に結合するヒト化組換え抗体分子またはその結合断片であり、この抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域またはその結合断片および少なくとも1つの抗体重鎖可変領域またはその結合断片を含む。この抗体軽鎖可変領域またはその結合断片は、CDR1における配列番号1(KTSQNIFENLA)、CDR2における配列番号2(NASPLQA)、およびCDR3における配列番号3(HQYYSGYT)からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと;フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全てのヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域とを含む。この抗体重鎖可変領域またはその結合断片は、CDR1における配列番号6(GFTFSDYHMA)、CDR2における配列番号7(SITLDATYTYYRDSVRG)、およびCDR3における配列番号8(HRGFSVWLDY)からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと;フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全てのヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域とを含む。特定の実施形態において、この抗体軽鎖またはその結合断片は、配列番号4:
【0080】
【化1】

の可変領域を有するポリペプチドを含む。特定の一実施形態において、この抗体軽鎖またはその結合断片は、配列番号5の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む。表4を参照のこと。特定の一実施形態において、この抗体重鎖またはその結合断片は、配列番号9:
【0081】
【化2】

の可変領域を有するポリペプチドを含む。別の特定の実施形態において、この抗体重鎖またはその結合断片は、配列番号10の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む。表5を参照のこと。
【0082】
ヒト化12G8軽鎖およびヒト化12G8重鎖をコードする核酸配列を含むプラスミドが、それぞれ受託番号PTA−5923および受託番号PTA−5922として、American Type Culture Collection(ATCC)に寄託された。
【0083】
(表4 ヒト化12G8抗体の軽鎖についての全長配列)
配列番号5 ヒト化12G8抗体の全長アミノ酸配列
配列番号19 ヒト化12G8抗体の全長核酸配列
【0084】
【表4】

(表5 ヒト化12G8抗体の重鎖についての全長配列)
配列番号10 ヒト化12G8抗体の全長アミノ酸配列
配列番号20 ヒト化12G8抗体の全長核酸配列
【0085】
【表5−1】

【0086】
【表5−2】

1つの実施形態において、抗体は、IL−10に結合するヒト化組換え抗体分子またはその結合断片であり、この抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖またはその結合断片および少なくとも1つの抗体重鎖またはその結合断片を含む。この抗体軽鎖またはその結合断片は、CDR1における配列番号11(RASESVDDYGHSFMH)、CDR2における配列番号12(RASTLES)、およびCDR3における配列番号13(QQGNEDPWT)からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと;フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全てのヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域とを含む。この抗体重鎖またはその結合断片は、CDR1における配列番号15(GFSLTNYGVH)、CDR2における配列番号16(VIWSGGSTDYNAAFIS)、およびCDR3における配列番号17(NRGYDVYFDY)からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと;フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全てのヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域とを含む。特定の一実施形態において、この抗体軽鎖またはその結合断片は、配列番号14の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む。表6を参照のこと。さらに別の実施形態において、この抗体重鎖またはその結合断片は、配列番号18の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む。表7を参照のこと。
【0087】
ヒト化11D8重鎖およびヒト化11D8軽鎖を含むプラスミドが、それぞれ受託番号PTA−5926および受託番号PTA−5927として、ATCCに寄託された。
【0088】
(表6 ヒト化11D8抗体の軽鎖についての全長配列)
配列番号14 ヒト化11D8抗体の全長アミノ酸配列
配列番号21 ヒト化11D8抗体の全長ヌクレオチド配列
【0089】
【表6】

(表7 ヒト化11D8抗体の重鎖についての全長配列)
配列番号18 ヒト化11D8抗体の全長アミノ酸配列
配列番号22 ヒト化11D8抗体の全長ヌクレオチド配列
【0090】
【表7−1】

【0091】
【表7−2】

1つの実施形態において、上記の抗体は、さらに重鎖定常領域を含み、この重鎖定常領域は、γ1、γ2、γ3、もしくはγ4ヒト重鎖定常領域、またはその改変体を含む。1つの実施形態において、上記抗体は、さらに軽鎖定常領域を含み、この軽鎖定常領域は、λまたはκヒト軽鎖定常領域を含む。いくつかの実施形態において、これらの抗体の結合断片は、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)、およびダイアボディからなる群から選択される抗体断片である。
【0092】
IL−10に結合するキメラ組換え抗体分子またはその結合断片が、本明細書でさらに提供され、この抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域またはその結合断片であって、この領域またはその結合断片は、CDR1における配列番号1、CDR2における配列番号2、およびCDR3における配列番号3からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、抗体軽鎖可変領域またはその結合断片;ならびに、少なくとも1つの抗体重鎖可変領域またはその結合断片であって、この領域またはその結合断片は、CDR1における配列番号6、CDR2における配列番号7、およびCDR3における配列番号8からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、抗体重鎖可変領域またはその結合断片を含む。
【0093】
特定の実施形態において、キメラ組換え抗体分子は、配列番号23に示される軽鎖および配列番号24に示される重鎖を有する。表8を参照のこと。12G8キメラ抗体軽鎖および12G8キメラ抗体重鎖をコードする核酸が、それぞれ受託番号PTA−5925および受託番号PTA−5924として、ATCCに寄託された。
【0094】
(表8 キメラ12G8抗ヒトIL−10抗体の配列)
【0095】
【表8−1】

【0096】
【表8−2】

【0097】
【表8−3】

IL−10に結合するキメラ組換え抗体分子またはその結合断片が、本明細書でさらに提供され、この抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖またはその結合断片であって、この鎖またはその結合断片は、CDR1における配列番号11、CDR2における配列番号12、およびCDR3における配列番号13からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、抗体軽鎖またはその結合断片;ならびに、少なくとも1つの抗体重鎖またはその結合断片であって、この鎖またはその結合断片は、CDR1における配列番号15、CDR2における配列番号16、およびCDR3における配列番号17からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドを含む、抗体重鎖またはその結合断片を含む。
【0098】
上記に開示された抗体のポリペプチドをコードする単離された核酸が、本明細書で、さらに提供される。発現ベクターもまた、本明細書で提供され、この発現ベクターは、このベクターを用いてトランスフェクトされた宿主細胞により認識される制御配列に、作動可能に連結された、単離された核酸配列を含む。宿主細胞が、本明細書で提供され、この宿主細胞は、単離された核酸配列を含むベクターを含む。ポリペプチドを生成する方法が、本明細書でさらに提供され、この方法は、このベクターを含む宿主細胞を、この核酸配列が発現される条件下で培養し、それによってこのポリペプチドを生成する工程、および、この宿主細胞からこのポリペプチドを回収する工程を包含する。
【0099】
IL−10に特異的な抗体をコードする単離された核酸配列が、本明細書で提供され、この核酸配列は、配列番号19の核酸配列を有する軽鎖、および配列番号20の核酸配列を有する重鎖、を含む。表4および表5を参照のこと。
【0100】
IL−10に特異的な抗体をコードする、単離された核酸配列が、本明細書で提供され、この核酸配列は、配列番号21の核酸配列を有する軽鎖、および配列番号22の核酸配列を有する重鎖、を含む。表6および表7を参照のこと。
【0101】
上記の核酸配列にコードされた抗体の結合断片をコードする、単離された核酸配列が、本明細書でさらに提供される。1つの実施形態において、この結合断片は、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)、およびダイアボディからなる群から選択される抗体断片である。
【0102】
本明細書の方法および組成物において、二重特異性抗体もまた、有用である。本明細書で使用される場合、用語「二重特異性抗体」とは、少なくとも2つの異なる抗原性エピトープに対する結合特異性を有する抗体(代表的には、モノクローナル抗体)をいう。1つの実施形態において、このエピトープは、同一の抗原由来である。別の実施形態において、このエピトープは、2つの異なる抗原由来である。二重特異性抗体作製についての方法は、当該分野において、公知である。例えば、二重特異性抗体は、2つのイムノグロブリン重鎖/軽鎖の対の共発現を使用して、組換え生成され得る。例えば、Milstein等,Nature 305:537−39(1983)を参照のこと。あるいは、二重特異性抗体は、化学結合を使用して、調製され得る。例えば、Brennan,等,Science 229:81(1985)を参照のこと。二重特異性抗体は、二重特異性抗体断片を含む。例えば、Hollinger等,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 90:6444−48(1993)、Gruber等,J.Immunol.152:5368(1994)を参照のこと。
【0103】
(D.ヒト化抗IL−10抗体の生物学的活性)
ヒト化抗IL−10抗体として望ましいと本明細書で同定された特性を有する抗体は、阻害性のインビトロ生物学的活性、または、適切な結合親和性に関して、スクリーニングされ得る。目的の抗体(例えば、サイトカイン受容体へのサイトカインの結合を遮断する抗体)により結合される、ヒトIL−10上のエピトープへ結合する抗体についてスクリーニングするために、ANTIBODIES,A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Laboratory,Ed HarlowおよびDavid Lane(1988)において記載されるような、慣用的な交差遮断(cross−blocking)アッセイが実行され得る。あるいは、この抗体が目的のエピトープに結合するか否かを決定するために、例えば、Champe等,J.Biol.Chem.270:1388−1394(1995)において記載されるようなエピトープマッピング(mapping)が実行され得る。標準スキャッチャード(Scatchard)分析を使用して、例えば、ヒトIL−10に対する抗体親和性が決定され得る。好ましいヒト化抗体は、約1×10−7以下のK値;好ましくは、約1×10−8以下のK値;より好ましくは、約1×10−9以下のK値;および最も好ましくは、約2×10−10以下のK値で、ヒトIL−10に結合する抗体である。
【0104】
本発明の組成物および方法において有用な抗体およびその断片は、生物学的に活性な抗体および断片である。本明細書で使用される場合、用語「生物学的に活性な」は、所望の抗原性エピトープに結合することができ、かつ、直接的または間接的に生物学的効果を発揮することのできる抗体または抗体断片をいう。代表的に、これらの効果は、IL−10受容体へのIL−10の結合が失敗することに起因する。本明細書で使用される場合、用語「特異的」とは、標的抗原エピトープへの抗体の選択的な結合をいう。抗体は、所定のセットの条件下で、IL−10への結合と、無関係の抗原または抗原混合物への結合とを比較することにより、結合の特異性について試験され得る。抗体が、無関係の抗原または抗原混合物へよりも、少なくとも10倍多く、そして好ましくは50倍多くIL−10へ結合する場合、その抗体は特異的であるとみなされる。
【0105】
阻害性のIL−10特異的抗体は、任意の様式(例えば、IL−1、IFN−γ、PGE2、IL−12、TNF、CCケモカインおよびCXCケモカインの産生、ならびにMHCクラスII抗原、CD54、CD80、およびCD86の細胞表面での発現が挙げられるが、これらに限定されない)でその生物学的活性を阻害し得る。IL−10特異的抗体の生物学的活性は、任意の有用な方法により、測定され得る。例えば、米国特許第6,239,260号および米国特許第6,207,154号を参照のこと。1つの実施例において、マウス肥満細胞株(MC9/2)を使用した細胞増殖アッセイにおいて、生物学的活性が評価される。Thompson−Snipes等,J.Exp.Med.173:507−10(1991)を参照のこと。IL−10は、この細胞株の増殖を刺激する。それゆえ、阻害性抗体が、増殖を低減するその能力により、同定され得る。MC9/2細胞株の増殖についてのED50は、代表的に、0.5−1.0ng/mLである。抗体の非存在下、または、非結合性の抗体の存在下における細胞の増殖と比較して、抗体が細胞の増殖を阻害する場合、その抗体は、増殖に対して阻害性である。増殖は、任意の適切な方法を使用して、定量化され得る。代表的に、DNAへの放射性標識されたヌクレオチド(例えば、Hチミジン)の取り込みを評価することにより、増殖が決定される。別の実施形態において、ATP発光により、増殖が決定される。本発明の組成物において有用な抗体は、好ましくはIL−10の生物学的活性の80%を、より好ましくはIL−10の生物学的活性の95%を、最も好ましくはIL−10の生物学的活性の99%を阻害する。
【0106】
(E.ヒト化抗IL−10抗体の使用)
ヒト被験体における免疫応答を抑制する方法が、本明細書において提供され、この方法は、IL−10の生物学的活性を遮断するのに有効な量のIL−10に特異的な抗体またはその結合断片を、免疫応答の抑制を必要とする被験体に投与する工程を包含する。ここで、この抗体は、IL−10に結合するヒト化組換え抗体分子またはその結合断片であり、少なくとも1つの抗体軽鎖可変領域またはその結合断片および少なくとも1つの抗体重鎖可変領域またはその結合断片を含む。この抗体軽鎖可変領域またはその結合断片は、CDR1における配列番号1、CDR2における配列番号2、およびCDR3における配列番号3からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと;フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全てのヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域とを含む。この抗体重鎖可変領域またはその結合断片は、CDR1における配列番号6、CDR2における配列番号7、およびCDR3における配列番号8からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと;フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全てのヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域とを含む。
【0107】
ヒト被験体における免疫応答を抑制する方法が、本明細書で、さらに提供され、この方法は、IL−10の生物学的活性を遮断するのに有効量のIL−10に特異的な抗体またはその結合断片を、免疫応答の抑制を必要とする被験体に投与する工程を包含する。ここで、この抗体は、IL−10に結合するヒト化組換え抗体分子またはその結合断片であり、少なくとも1つの抗体軽鎖またはその結合断片および少なくとも1つの抗体重鎖またはその結合断片を含む。この抗体軽鎖またはその結合断片は、CDR1における配列番号11、CDR2における配列番号12、およびCDR3における配列番号13からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと;フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全てのヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域とを含む。この抗体重鎖またはその結合断片は、CDR1における配列番号15、CDR2における配列番号16、およびCDR3における配列番号17からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有するポリペプチドと;フレームワーク領域であって、ここでこのフレームワーク領域のアミノ酸配列が、全てもしくは実質的に全てのヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であるフレームワーク領域とを含む。
【0108】
これらの方法により抑制される免疫応答は、体液性応答または細胞性応答である。体液性応答の抑制または細胞性応答の抑制は、当該分野において周知の方法を使用して、決定され得る。例えば、高レベルの自己反応性抗体が関連する疾患(例えば、SLE)において、処置前の血清レベルと比較した、この自己反応性抗体の血清レベルにおける低下は、体液性応答の抑制の指標である。同様に、細胞性免疫応答の抑制は、周知のインビトロ分析(例えば、増殖アッセイおよび細胞傷害アッセイ、または、例えばフローサイトメトリー分析による、末梢血リンパ球の活性化の表現型についての特徴づけ)を使用して、測定され得る。CURRENT PROTOCOLS IN IMMUNOLOGY、最新版を参照のこと。1つの実施形態において、この方法により処置される被験体は、全身性エリテマトーデスに罹患している。別の実施形態において、被験体は免疫性血小板減少性紫斑病(ITC)に罹患している。さらに別の実施形態において、被験体はループス腎炎に罹患している。さらなる実施形態において、被験体はHIVに罹患している。別の実施形態において、被験体はC型肝炎に罹患している。
【0109】
組成物が、本明細書で提供され、この組成物は、薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と組み合わせた、抗体またはその結合断片(この抗体は、上記に開示された抗体のうちの1つである)を含む。
【0110】
IL−10特異的抗体による処置で利益を得るいかなる被験体も、本明細書で提供された組成物および方法を使用して処置され得る。いかなる被験体も、本明細書で提供された方法および組成物により、処置され得る。このような被験体は、自己免疫疾患もしくは自己免疫症状または病原体誘発性の免疫病理に罹患している哺乳類(好ましくは、ヒト)である。特定の一実施形態において、被験体はSLE、ループス腎炎、慢性関節リウマチ、ITC、HIVまたはC型肝炎に罹患している。開示された方法および組成物の獣医学上の使用もまた意図される。
【0111】
本明細書で使用される場合、「阻害する」または「処置する」もしくは「処置」は、自己免疫疾患または病原体誘発性の免疫病理に関連する症状の発症の延期、および/または、発症することが予想されるそのような症状の重症度の低減を含む。この用語は、現存する制御されていないか、または望まれていない自己免疫関連性の症状または病原体誘発性の免疫病理の症状を改善すること、さらなる症状を予防すること、および、そのような症状の根本的な原因を改善することまたは予防することを、さらに含む。したがって、この用語は、自己免疫もしくは病原体誘発性の免疫病理の疾患もしくは症状に罹患した脊椎動物の被験体に、または、そのような疾患もしくは症状が発症する可能性を有する脊椎動物の被験体に、有益な結果が与えられたことを示す。
【0112】
本明細書で使用される用語「治療上の有効量」または「有効量」は、IL−10特異的抗体が、単独でか、またはさらなる治療剤と組み合わせて、細胞、組織または被験体に投与された場合、自己免疫疾患または病原体誘発性の免疫病理に関連する疾患もしくは状態、あるいは疾患の進行を予防または改善するために効果的なIL−10特異的抗体の量を言及する。治療上の効果的な投与量は、症状の改善(例えば、関連する病状の処置、治癒、予防、または改善)または、そのような病状の処置、治癒、予防、もしくは改善の速度の増大をもたらすのに十分な化合物の量を、さらに言及する。活性成分の個体への単独投与が適用される場合、治療上の効果的な投与量は、その単独の成分を言及する。組み合わせが適用される場合、治療上の効果的な投与量は、連続的に組み合わせて投与されるか、または同時に組み合わせて投与されるかに関わらず、治療効果をもたらす、活性成分の組み合わせた量を言及する。
【0113】
本発明において、有用な抗体(いかなる供給源由来(例えば、限定無しに、組換え供給源由来および非組換え供給源由来が挙げられる)であろうとも)は、種々の疾患を処置もしくは改善するための投与量で、その抗体単独でかまたは抗体が適切なキャリアもしくは適切な賦形剤と混合されている薬学的組成物において、必要とする被験体に投与され得る。このような組成物はまた、タンパク質およびキャリアに加えて、希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、および当該分野において周知である他の物質を含み得る。用語「薬学的に受容可能」は、活性成分の生物学的活性についての有効性を妨害しない、非毒性物質を意味する。キャリアの特性は、投与経路に依存する。
【0114】
本発明の薬学的組成物はまた、免疫抑制剤または免疫調節剤を含み得る。任意の適切な免疫抑制剤(例えば、抗炎症剤、コルチコステロイド、シクロスポリン、タクロリムス(すなわちFK506)、シロリムス(sirolimus)、インターフェロン、可溶性サイトカイン受容体(例えば、sTNRFおよびsIL−1R)、サイトカイン活性を中和する薬剤(例えば、インフリキシマブ、エタネルセプト(etanercept))、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスパガリン(deoxyspergualin)、サリドマイド、グラチラマー(glatiramer)、アザチオプリン、レフルノマイド(leflunomide)、シクロホスファミド、およびメトトレキサート等が挙げられるが、これらに限定されない)が使用され得る。薬学的組成物はまた、光線療法および放射線のような治療様式と共に、使用され得る。
【0115】
別の実施形態において、本明細書で提供された方法のアッセイを実行するために必要な試薬を含むキットが提供される。具体的には、1つ以上の容器を含む区分キット(compartment kit)が、本明細書において提供され、ここで、第一の容器は、1つ以上のIL−10に特異的な抗体を含み、1つ以上の他の容器は、1つ以上の以下:再構成試薬、投与試薬、を含む。その容器はガラス、プラスティック、またはプラスティックもしくは紙の細片であり得る。1つの実施形態において、キットはまた、書面による取り扱い説明書を含む。
【0116】
本明細書で提供された処置の方法または使用の方法の実施において、本明細書で提供された、治療上の効果的な抗体の量が、IL−10に対する処置に適切な状態を有する哺乳動物に、投与される。抗体は、単独でか、または他の治療(例えば、他の免疫調節因子(例えば、サイトカイン)および他の免疫抑制剤等を使用する処置)と組み合わせてかのいずれかで、本明細書中の方法に従って投与され得る。1つ以上の生物学的に活性な薬剤が、共に投与される場合、本明細書で提供された抗体は、その生物学的に活性な薬剤と同時にか、または連続的にかのいずれかで、投与され得る。連続的に投与される場合、主治医は、生物学的に活性な薬剤と組み合わせて本発明のタンパク質を投与する、適切な順序を決める。
【0117】
例えば、LD50(集団の50%に致死的である投与量)およびED50(集団の50%に対し治療上有効な投与量)を測定するための、細胞培養または実験動物における標準的な薬学的手順により、単独でかまたは免疫抑制剤と組み合わせて投与される抗体組成物の毒性および治療上の有効性が定量され得る。毒性効果と治療有効性との間の投与量比が治療係数であり、治療係数はLD50とED50との間の比として表現され得る。高い治療係数を示す抗体が好ましい。これらの細胞培養アッセイおよび動物研究から取得されたデータは、ヒトでの使用のための投与量範囲の策定において、使用され得る。このような化合物の投与量は、好ましくは、毒性をわずかしか有さないか全く有さない、ED50を含む循環量の範囲内である。投与量は、採用された投与形態および使用された投与経路に依存して、この範囲内を変動し得る。
【0118】
本方法の抗体の処方および投与のための技術が、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,最新版において、見られ得る。投与形態は、特に重要ではない。適切な投与経路としては、例えば、経口投与、直腸投与、経粘膜投与、または腸管投与;非経口送達(筋内注射、皮下注射、骨髄内注射、および髄腔内注射、脳室内直接注射、静脈注射、腹腔内注射、鼻腔内注射もしくは眼内注射が挙げられる)が挙げられる。薬学的組成物中に使用される抗体の投与、または本発明の方法の実施は、種々の従来の方法(例えば、経口摂取、吸入、局所塗布、または皮膚注射、皮下注射、腹腔内注射、非経口的注射、動脈注射もしくは静脈注射が挙げられる)で、実行され得る。患者への静脈投与が好ましい。
【0119】
あるいは、多くの場合、徐放制処方または持続性処方において、例えば関節炎の関節または免疫病理により特徴づけられた病原体誘発性病変への抗体の直接注射によって、全身的な様式よりもむしろ、局所的な様式で、抗体を投与し得る。その上、例えば、組織特異的な抗体(例えば、関節炎の関節、または、免疫病理により特徴づけられた病原体誘発性の病変を標的とする)でコートされたリポソーム中の、標的化薬物送達系において、抗体を投与し得る。このリポソームは、罹患組織により、選択的に標的とされ、吸収される。
【0120】
したがって、本方法にしたがう使用のための薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に受容可能なキャリアを使用する従来の様式で処方され得、このキャリアは、活性化合物を薬学的に使用可能な調製物にするプロセスを促進する賦形剤および補助剤を含む。これらの薬学的組成物は、それ自体が公知である方法を用いて(例えば、従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、粉末化、乳化、被膜化、被包化(entrapping)、または凍結乾燥プロセスにより)、製造され得る。適切な処方は、選択された投与経路に依存する。液体の形態で投与される場合、液体キャリア(例えば、水、石油、動物由来の油または植物由来の油(例えば、ピーナッツ油、鉱油、大豆油、もしくはゴマ油が挙げられる)あるいは合成油)が追加され得る。液体の形態の薬学的組成物は、さらに、生理食塩水、ブドウ糖溶液もしくは他の糖類溶液、またはグリコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール)を含み得る。液体の形態で投与される場合、薬学的組成物は、重量約0.5重量%から約90重量%の本発明のタンパク質を含み、好ましくは約1重量%から約50重量%の本発明のタンパク質を含む。
【0121】
本明細書の方法の抗体の治療上の有効量が、静脈注射、皮膚注射または皮下注射により投与される場合、本発明のタンパク質は、発熱因子のない、非経口的に受容可能な水溶液の形態である。pH、等張性、および安定性等を当然考慮した上で、このような非経口的に受容可能なタンパク質溶液の調製は、当該分野の技術の範囲内である。静脈注射、皮膚注射または皮下注射のための好ましい薬学的組成物は、本発明のタンパク質に加えて、等張性ビヒクル(例えば、食塩注射液、リンガー液、ブドウ糖注射液、ブドウ糖および食塩注射液、乳酸化リンガー液、または当該分野において公知の他のビヒクルが挙げられる)を含むべきである。本発明の薬学的組成物はまた、安定剤、保存剤、緩衝液、抗酸化剤、または当業者に公知の他の添加剤を含み得る。注射のために、本発明の薬剤は、水溶液中に、好ましくは生理的に適合性の緩衝液(例えば、ハンクス液、リンガー液、または生理食塩緩衝液が挙げられる)中に、処方され得る。経粘膜投与のために、その処方物中に、浸透されることを阻むのに適切な浸透剤が使用される。一般的に、このような浸透剤は、当該分野において公知である。
【0122】
吸入による投与のために、本方法にしたがう使用のための抗体は、適切な噴射剤(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の適切なガスが挙げられる)を一緒に使用して、加圧された包みからなるエアロゾルスプレーの体裁の形態、または噴霧器の形態で、簡便に送達される。加圧されたエアロゾルの場合、投与量単位は、計量された量を送達するバルブを提供することにより、決定され得る。吸入器または注入器での使用のためのカプセルおよび薬包(例えば、ゼラチン)は、化合物の粉末混合物および適切な粉末の基剤(例えば、ラクトースおよびデンプン)を含んで、処方され得る。この化合物は、注射による(例えば、ボーラス注射または連続的注入による)非経口投与のために、処方され得る。注射のための処方物は、さらなる保存剤と共に単位投与形態で(例えば、アンプル、または複数投与の容器で)提示され得る。この組成物は、油性ビヒクルまたは水性ビヒクル中で、懸濁液、溶液、または乳濁液といった形態を取り得、処方用の薬剤(例えば、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散化剤)を含み得る。
【0123】
非経口投与のための薬用処方物としては、水溶性形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。加えて、活性化合物の懸濁液は、適切な油性の注射用懸濁液として調製され得る。適切な親油性溶媒または親油性ビヒクルとしては、ゴマ油もしくは合成脂肪酸のような脂肪油、エチルオレイン酸塩もしくはトリグリセリドのようなエステル、またはリポソームが挙げられる。水性の注射用懸濁液は、懸濁液の粘性を増大させる物質(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストラン)を含み得る。必要に応じて、この懸濁液は、高濃度の溶液の調製を可能にさせるために、化合物の溶解度を増大させる、適切な安定剤または適切な薬剤を含み得る。あるいは、活性成分は、使用前の適切なビヒクル(例えば、発熱因子のない滅菌水)との構築のための、粉末形態であり得る。
【0124】
本発明の薬学的組成物について開示された方法における有用な抗体の量は、処置される状態の性質および重症度、ならびに患者が経験している処置の前の性質に依存する。最終的に、主治医が本発明のタンパク質の量(このタンパク質で、個々の患者を処置する)を決定する。個々の患者の年齢、体重、および反応にしたがって、投与量が変動することが予想されるべきである。最初に、主治医は、低用量の本方法の抗体を投与し、患者の反応を観察する。その患者に対して、最適な治療上の効果が得られるまで、より高用量の本発明の抗体が投与され得、そのような時点において、投与量がさらには増加されない。本明細書における方法を実施するために使用される、種々の薬学的組成物は、体重1kgあたり約0.01μgから体重1kgあたり約100mg(好ましくは、体重1kgあたり約0.1μgから体重1kgあたり約10mg、より好ましくは体重1kgあたり約0.1μgから体重1kgあたり約1mg)の本発明の抗体を含むことが意図される。投与されるとき、本発明における使用のための治療用組成物は、もちろん、発熱因子のない生理的に受容可能な形態である。必要に応じて上記のような組成物にもまた含まれ得る、本発明の抗体以外の治療上有用な薬剤としては、代替的または追加的に、本発明の方法における組成物と共に、同時にまたは連続的に投与され得る。患者の状態を考慮して、個々の医師により、正確な処方、投与経路、および投与量が選択され得る。例えば、Fingl等,THE PHARMACOLOGICAL BASIS OF THERAPEUTICS(最新版)を参照のこと。投与量および投与間隔は、所望の治療上の効果または最小有効濃度(MEC)を維持するのに十分な活性成分の血漿レベルを提供するために、個別に調整され得る。MECは、それぞれの化合物ごとに変動するが、インビトロでのデータ(例えば、本明細書で記載されたアッセイを使用して、生物学的活性の50%−90%の阻害を達成するために必要な濃度)から推定され得る。
【0125】
本明細書で提供される抗体は、単独で投与され得るか、他の治療様式と組み合わせて投与され得る。本明細書で提供される抗体はまた、単独で投与され得るか、または、IL−10活性の阻害因子として同定された他の抗体もしくは他の免疫抑制剤と組み合わせて、投与され得る。
【0126】
自己免疫が関連するいかなる疾患も、本方法により処置され得る。好ましくは、IL−10特異的抗体による処置の標的とされる自己免疫疾患は、異常なIL−10発現レベルおよび/または適切な細胞(すなわち、Th1媒介性の)応答の欠如により、特徴づけられる。このような疾患としては、全身性エリテマトーデス(SLE)、免疫性血小板減少性紫斑病(ITC)、ループス腎炎、糖尿病、インスリン依存性糖尿病(IDDM)、慢性関節リウマチ(RA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0127】
病原体誘発性の免疫病理が関連する、いかなる疾患も、本方法により処置され得る。好ましくは、IL−10特異的抗体による処置の標的とされる病原体誘発性の免疫病理は、異常なIL−10発現レベルおよび/または適切な細胞(すなわち、Th1媒介性の)応答の欠如により、特徴づけられる。このような疾患としては、HIV、C型肝炎、内臓リーシュマニア症、マラリア、フィラリア症、らい、結核、カンジダ症、およびM.avium感染が挙げられるが、これらに限定されない。
【0128】
以下の実施例を参照して、本発明の広範な範囲が最も良く理解され、この実施例は、本発明を特定の実施形態に限定することを意図しない。
【実施例】
【0129】
(実施例I.一般的な方法)
標準的な方法の一部が、例えば、Maniatis,等(1982)MOLECULAR CLONING,A LABORATORY MANUAL,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor Press;Sambrook,等(1989)MOLECULAR CLONING:A
LABORATORY MANUAL,(第2版),vols.1−3,CSH Press,NY;Ausubel,等,BIOLOGY,Greene Publishing Associates,Brooklyn,NY;またはAusubel,等(1987および増補)CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,Greene/Wiley,New Yorkに記載または参照されている。タンパク質精製に関する方法としては、硫酸アンモニウム沈殿、カラムクロマトグラフィー、電気泳動、遠心分離、結晶化などのような方法が挙げられる。例えば、Ausubel,等(1987および定期的な増補);METH.ENZYMOL.,vol.182,におけるDeutscher(1990)「Guide to Protein Purification」および、このシリーズにおける他の巻;ならびにタンパク質精製用製品の使用に関するメーカーの文献、例えば、Pharmacia,Piscataway,N.J.,またはBio−Rad,Richmond,CAを参照のこと。組換え技術との組合せが、適切な断片(例えば、FLAG配列、または、プロテアーゼで除去可能な配列を介して融合され得る同等のもの)との融合を可能にする。例えば、Setlow(ed.)GENETIC ENGINEERING,PRINCIPLE AND METHODS 12:87−98,Plenum Press,N.Y.におけるHochuli(1990)「Purification of Recombinant Proteins with Metal Chelate Absorbent」;およびCrowe,等(1992)QIAEXPRESS:THE HIGH LEVEL EXPRESSION & PROTEIN PURIFICATION SYSTEM,Qiagen,Inc.,Chatsworth,CAを参照のこと。
【0130】
コンピュータによる配列分析を、例えば、入手可能なソフトウェアプログラム(GCG(U.Wisconsin)およびGenBank典拠のものが挙げられる)を使用して実行する。公共配列データベース(例えば、GenBankなどの由来の)もまた使用した。
【0131】
(実施例II.抗ヒトIL−10抗体のヒト化)
ラット抗ヒトIL−10抗体(12G8)のヒト化を、上記C節に記載されているように、実行した。図1は、調べられた生殖細胞系の配列と一致した残基の位置についての、残基番号の割当て、および相当するスコア数の指定を示している。12G8抗ヒトIL−10抗体の12G8軽鎖可変領域(図1A)および重鎖可変領域(図1B)、ならびに11D8抗ヒトIL−10抗体の軽鎖可変領域(図1C)および重鎖可変領域(図1D)についての予測を示している。
【0132】
(実施例III.12G8(抗ヒトIL−10抗体)の薬物動態)
目的:マウスモデル内での12G8抗体について、インビボ末端半減期および皮下の生物学的利用能に関する評価の取得。
【0133】
抗体:抗体を、10mM酢酸ナトリウム、8%ショ糖、pH5.25のビヒクル中で投与した。
【0134】
マウス:Crl:CD−1(登録商標)(ICR)BR雌マウスを、Charles River Laboratoriesより購入した。
【0135】
実験計画:マウスに対し、静脈内(i.v.尾部側方の血管中)または皮下(s.c.頚部のうなじ、肩甲骨の間、または側腹の側方)に、抗体の単回ボーラス注射を受けさせた。抗体投与量としては、マウス毎に、0.03mg/kg、0.3mg/kg、3.0mg/kg、30mg/kgであった。注射後28日まで、マウスを観察した。この期間中、マウスを計量し、血清サンプルを取得した。12G8(SCH708980)グループ(グループ1−8)についての血清サンプルを、注射後0.5時間、1時間、3時間、6時間、10時間、16時間、1日、2日、3日、5日、7日、10日、14日、21日、および28日に、タイムポイント当たり5匹のマウスを使用して、取得した。ビヒクルグループ(グループ9)では、血清サンプルを、注射前、注射後1時間、14日、または21日のみに、タイムポイント当たり5匹のマウスを使用して、取得した。血清IL−10レベルおよび血清12G8抗体レベルを、特異的ELISAを使用して、決定した。
【0136】
(薬物動態パラメータの決定)
全てのパラメータを、WinNonlin Pro v 4.0を使用して、推定または計算した。ノンコンパートメント解析(noncompartmental analyses)のために、Model 200(SC)またはModel 201(IV)を使用した。入力データは、投与量で正規化したグループの相加平均濃度−時間データであった。入力した投与量は、グループ2−4およびグループ6−8に関して名目上の投与量であった。グループ1および5についての入力した投与量は、0.014mg/kgであった。区画解析(compartment analysis)のために、Model 3(SC)またはModel 7(IV)を使用した。入力データは、投与量で正規化した個々の動物の濃度−時間データであった。個々のデータポイントについて、全てのフィッティングが均一な重み付け(wt=1)を使用した。入力した投与量は、グループ2−4およびグループ6−8に関して名目上の投与量であった。グループ1および5についての入力した投与量は、0.014mg/kgであった。適合度を、目視検査、推定パラメータ/計算パラメータについてのSEの比較、残差、およびAIC&SBC規準を使用して、評価した。投与溶液の回収についての概要を、下記の表に示す。
【0137】
(表9 体重、投与量のレベル、および投与溶液の濃度についての概要(平均値±SD))
【0138】
【表9】

下記に示す表は、i.v.注射によって12G8抗体を受容したグループについてのデータをまとめる。
【0139】
(表10 IVボーラス投与グループに関するノンコンパートメント法パラメータ)
【0140】
【表10】

(表11 IVボーラス投与グループに関するコンパートメント法パラメータ)
【0141】
【表11】

下記に示す表は、s.c.注射によって12G8抗体を受容したグループについてのデータをまとめる。
【0142】
(表12 SCボーラス投与グループに関するノンコンパートメント法パラメータ)
【0143】
【表12】

*IV AUCを過小評価したため、生物学的利用能は高くあり得る。
【0144】
(表13 SCボーラス投与グループに関するコンパートメント法パラメータ)
【0145】
【表13】

種々の投与量および経路を使用した12G8抗体についての濃度−時間プロフィールを図2に示す。
【0146】
(結論)
最低の投与量レベルのものを除き、全てのグループにおいて、投与量は、名目上のものの20%の範囲内であった。予想した濃度より低い濃度を、おそらく抗SCH708980(ヒト化12G8)抗体の存在のため、グループ7または8において注射後10日より観察した。(A)IVボーラス薬物動態。半減期、クリアランスおよび分布容量は、他のIgG1モノクローナル抗体に見られる値を代表する。分布容量は、最小血管外分布を示唆する血清容量と、おおよそ等しいか、またはそれよりわずかに大きい。末期半減期(terminal half−life)は、10日から17日の範囲であった。AUCの増加量は、ほぼ投与量に比例し、試験した投与量の範囲にわたって、線形PKであることを示唆した。(B)SCボーラス薬物動態。最大濃度は、ほぼ投与量に比例し、また、投与後1−2日までに最大濃度に達し、試験した投与量の範囲にわたって、一貫した吸収速度および範囲であることを示唆した。AUCの増加量は、ほぼ投与量に比例し、線形PKであることを示唆した。末期排出半減期は、8日から14日の範囲であり、他のIgG1モノクローナル抗体と同様であった。絶対的生物学的利用能は高かった(範囲=70−100%)が、IV AUCを過小評価したため、90%より大きい生物学的利用能は高いものであり得る。
【0147】
(実施例IV.KinExA技術を使用した、ヒト化抗ヒトIL−10抗体SCH708980(12G8)についての平衡解離定数(Kd)の測定)
KinExA3000(Sapidyne Instruments Inc.)を使用して、ヒト化抗体SCH708980についての平衡解離定数(Kd)を測定した。KinExAは、抗体、抗原、および抗体−抗原複合体の混合物内の、複合体をなさない抗体の濃度の測定に基づく、Kinetic Exclusion Assay法の原理を使用する。上記混合物を、固相に固定した抗原に極めて短時間曝すことにより、遊離抗体の濃度を測定した。実際には、フローセルにおいて捕捉された、抗原でコートされた粒子に、溶液相の抗原−抗体混合物を流すことで、これを達成した。この機器で生成されたデータを、オーダーメイドのソフトウェアを使用して、分析した。平衡定数を、以下の前提に基づく数学理論を使用して、計算した:
1.結合は、平衡に関する可逆的結合の式に従う:
on[Ab][Ag]=Koff[AbAg]
2.抗体および抗原は、1:1で結合し、全抗体は、抗原−抗体混合物+遊離抗体に等しい:
3.機器のシグナルは、遊離抗体濃度に直線的に相関する。
【0148】
使用した材料:組換えヒトIL−10に対するモノクローナルヒト化抗体SCH708980(h12G8);組換えヒトIL−10(hIL−10);組換えマウスIL−10(mIL−10),組換えイヌIL−10(cyno IL−10);PMMA粒子,98ミクロン(Sapidyne,カタログ番号440198);ニュートラアビジン(Neutravidin)(Pierce,カタログ番号31000);EZ−リンク TFP PEO−ビオチン(Pierce,カタログ番号21219);ビオチン化rhIL−10;およびCy5結合ヤギ抗HuIgG(H+L)(Jackson Immunoresearch Laboratories カタログ番号109−175−088,ロット49069)。
【0149】
メーカーのプロトコールに従って、PMMA粒子をビオチン化rhIL5でコーティングした。rhIL5のビオチン化については、メーカーの推奨(Pierce bulletin 0874)に従い、EZ−リンク TFP PEO−ビオチンを使用した。全ての実験手順を、KinExA 3000マニュアルに従って、行った。
【0150】
実験条件:全試行を二連で行った。hIL−10の試行については、以下の条件を使用した:
サンプル容量:1.5ml
サンプル流速:0.25ml/分
標識容量:0.5ml
標識流速:0.25ml/分
mAb濃度:0.1nM
最大Ag(hIL−10)濃度:4.0nM
最小Ag(hIL−10)濃度:3.91pM
抗原の2倍の段階希釈を調製し、一定の濃度の抗体と混合した。混合物を、室温(RT)で2時間インキュベートして、平衡化した。
【0151】
mIL−10の試行について、以下の条件を使用した:
サンプル容量:0.5ml
サンプル流速:0.25ml/分
標識容量:0.5ml
標識流速:0.25ml/分
mAb濃度:1nM
最大Ag(mIL−10)濃度:50nM
最小Ag(mIL−10)濃度:48.8pM
抗原の2倍の段階希釈を調製し、一定の濃度の抗体と混合した。混合物を、RTで2時間インキュベートして、平衡化した。
【0152】
cyno IL−10の試行について、以下の条件を使用した:
サンプル容量:2ml
サンプル流速:0.25ml/分
標識容量:1ml
標識流速:0.25ml/分
mAb濃度:0.1nM
最大Ag(mIL−10)濃度:5.0nM
最小Ag(mIL−10)濃度:4.88pM
抗原の2倍の段階希釈を調製し、一定の濃度の抗体と混合した。混合物を、RTで2時間インキュベートして、平衡化した。
【0153】
結果を以下の表に示す。
【0154】
(表14 KinExA技術を使用した、12G8抗体についての平衡解離定数(Kd))
【0155】
【表14−1】

【0156】
【表14−2】

(実施例V.異なる種由来の組換えIL−10への、抗hIL−10モノクローナル抗体およびhIL−10−Raを結合の測定するための競合的電気化学発光アッセイ(ECLA)の適用)
(技術の概要)
電気化学発光技術は、IGEN,Inc(Gaithersburg,MD)により開発され、本研究において使用されるMシリーズ M8/384分析器に、この技術が使われている。電気化学発光技術は、トリプロピルアミン(tripropylamine)(TPA)の存在下、電圧の印加により電気化学発光を起こす、安定性のルテニウム金属キレート(Ori−TAG)を利用する。常磁性ビーズ(直径数ミクロン)が固相として機能し、迅速なアッセイ動態を促進する。ビーズ/複合体を、フローセルを通して流し、磁力の適用により、電極にて捕捉する。電圧を印加し、その結果生じる電気化学発光を測定する。
【0157】
(使用した材料)
96ウェル ポリプロピレン プレート(Costar,カタログ番号3365,Fisher Sci.カタログ番号07200697);0.1% BSA,0.05% tween 20,PBS(pH7.5)のアッセイ緩衝液;常磁性ビーズ(Streptavidin−Dynabead,Igen,Inc.,カタログ番号110029);組換えヒトIL−10二量体(hIL−10−dimer);組換えヒトIL−10単量体(hIL−10−mono);組換えマウスIL−10(mIL−10);組換えイヌIL−10(cyno IL−10);および組換えhIL−10Ra(hIL−10Ra):FLAGタグ付タンパク質。製造メーカーのプロトコール(Ori−Tag標識:IgGチャレンジ比8:1)に従い、Ori−Tag−NHSエステル(Igen,Inc.カタログ番号110034)を使用して、Ori−Tag標識抗FLAG M2モノクローナル抗体を調製した。抗Flag M2モノクローナル抗体を、Sigma(カタログ番号F3165)より購入した。ラット抗hIgGモノクローナル抗体を使用して、Ori−Tag標識抗hIgG 1A2モノクローナル抗体を上記のように調製した。ポリクローナルヤギ抗ラットIgG(H+L)抗体(Jackson Immunoresearch Laboratories,Inc.PA,カタログ番号112−005−143)から、Ori−Tag標識抗ラットIgG抗体を上記のように調製した。メーカーの推奨(Pierce bulletin 0874)に従い、TFP−PEO−biotin(Pierce,カタログ番号21219)を使用して、ビオチン化組換えヒトIL−10(hIL−10−ビオチン)を調製した。ラット抗hIL−10 mAb 12G8(r12G8):JES3.12G8およびヒト化抗hIL−10 mAb 12G8(h12G8−1)を、本明細書に記載のように、調製した。
【0158】
(プロトコール)
第一のウェルにおいて3μg/mlで開始して、全ての標識されていないIL−10調製物(mIL−10、cyno IL−10、hIL−10 dimer、hIL−10 mono)について、96−ウェル マイクロタイタープレートで、50μlのアッセイ緩衝液における、1/3の段階希釈を作製した。全てのサンプルを二連で試行した。50μlのhIL−10−ビオチン(濃度25ng/ml)を各ウェルに加え、次にhIL−10Ra(50μl、濃度100ng/ml)または抗hIL−10mAb(50μl、濃度10ng/ml)のいずれかを添加する。50μlのOri−Tag結合体化二次抗体を、各ウェルに、500ng/mlの濃度にて加えた。hIL−10Ra、r12G8およびh12G8に対して、以下のOri−Tag結合体を使用した:抗FLAG M2−OriTag、抗ラットIgG−OriTag、および抗hIgG 1A2−OriTag。最後に、各ウェルに対し、50μlのStreptavidin−Dynabead(濃度0.1mg/ml)を加えた。室温で、1時間のインキュベーション後、プレートを、Mシリーズ M8/384分析器で処理した。標識されていないIL−10調製物によるシグナルの阻害パーセントを、コントロールのサンプルと比較して計算した。データのプロットおよびIC50の計算のために、GraphPad Prism Softwareを使用した。
【0159】
結果を下記の表に示す。
【0160】
(表15 ECLAを使用した、結合親和力の測定)
【0161】
【表15−1】

【0162】
【表15−2】

ラット12G8抗体およびヒト化12G8抗体(SCH708980)の特性決定の結果を、下記の表にまとめる。
【0163】
(表16)
【0164】
【表16】

(実施例VI.インビボにおけるヒト化抗ヒトIL−10抗体の中和効果)
SCH708980およびJES3.12G8のインビボ中和効果を、マウスにおける森林型熱帯リーシュマニアモデル内で評価した。このモデルでは、通常は寄生虫の感染に耐性であるCB6F1マウスを、MHCクラスII分子のプロモーターに制御されるヒトIL−10導入遺伝子のヘテロ接合により、感受性にした。CB6F1マウスまたはCB6F1−huIL−10Tgマウスに対し、毎週SCH708980またはJES3.12G8をs.c.注射し、それは、15×10の定常期の森林型熱帯リーシュマニア寄生虫の足蹠へのs.c.チャレンジの3日前に開始した。足蹠の腫れの毎週の測定により、疾患の進行をモニターした。図3は、SCH708980(ヒト化12G8)およびその母体となったラット12G8どちらも、IL−10の防御効果を、用量依存様式で中和したことを示す。
【0165】
当業者に明白なように、本発明についての多くの改変およびバリエーションが、発明の趣旨または範囲から逸脱することなくなされ得る。本明細書に記載されている特定の実施形態は、例示のみのために提供され、本発明は、添付の特許請求の範囲、および、そのような特許請求の範囲が権利を有する等価物の全範囲、により限定されるべきである;本発明は、例示のために本明細書中に提示された特定の実施例により、限定されるべきではない。
【0166】
上記刊行物または上記文書の引用は、これらのうちのいずれかが適切な先行技術であることの承認を意図するものではなく、これらの刊行物または文書の内容または日付についてのいかなる承認も構成しない。本明細書中で参照した米国特許および他の刊行物は、本明細書中で参考として援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IL−10に結合する組換えヒト化抗体分子、または該抗体の結合断片であって、該抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖またはその結合断片と、少なくとも1つの抗体重鎖またはその結合断片とを含み、
該抗体軽鎖またはその結合断片は、ポリペプチドおよびフレームワーク領域を含み、該ポリペプチドは、CDR1には配列番号11、CDR2には配列番号12、およびCDR3には配列番号13からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有し;該フレームワーク領域のアミノ酸配列は、全てもしくは実質的に全て、ヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列であり;
該抗体重鎖またはその結合断片は、ポリペプチドおよびフレームワーク領域を含み、該ポリペプチドは、CDR1には配列番号15、CDR2には配列番号16、およびCDR3には配列番号17からなる群から選択される、少なくとも1つのアミノ酸配列を有し、該フレームワーク領域のアミノ酸配列は、全てもしくは実質的に全て、ヒトイムノグロブリンのアミノ酸配列である、抗体。
【請求項2】
請求項に記載の抗体であって、さらに重鎖定常領域を含み、該重鎖定常領域がγ1、γ2、γ3、もしくはγ4ヒト重鎖定常領域、または該領域の改変体を含む、抗体。
【請求項3】
請求項に記載の抗体であって、さらに軽鎖定常領域を含み、該軽鎖定常領域がλまたはκヒト軽鎖定常領域を含む、抗体。
【請求項4】
請求項に記載の抗体であって、前記結合断片が、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)、およびダイアボディからなる群から選択される抗体断片である、抗体。
【請求項5】
請求項に記載の抗体であって、前記抗体軽鎖またはその結合断片が、配列番号14の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む、抗体。
【請求項6】
請求項に記載の抗体であって、前記抗体重鎖またはその結合断片が、配列番号18の可変領域および定常領域を有するポリペプチドを含む、抗体。
【請求項7】
IL−10に結合する組換えキメラ抗体分子、または該抗体の結合断片であって、該抗体または結合断片は、少なくとも1つの抗体軽鎖またはその結合断片と、少なくとも1つの抗体重鎖またはその結合断片とを含み、
該抗体軽鎖またはその結合断片は、CDR1には配列番号11、CDR2には配列番号12、およびCDR3には配列番号13のアミノ酸配列のうち、少なくとも1つを有するポリペプチドを含み;
該抗体重鎖またはその結合断片は、CDR1には配列番号15、CDR2には配列番号16、およびCDR3には配列番号17のアミノ酸配列のうち、少なくとも1つを有するポリペプチドを含む、抗体。
【請求項8】
ヒト被験体において免疫応答を抑制する方法であって、該方法は、IL−10の生物学的活性を遮断するのに有効な量でIL−10に特異的な抗体、または該抗体の結合断片を、免疫応答の抑制を必要とする被験体に投与する工程を包含し、ここで該抗体は、請求項または請求項に記載の抗体である、方法。
【請求項9】
請求項に記載の方法であって、前記免疫応答は、体液性応答である、方法。
【請求項10】
請求項に記載の方法であって、前記被験体は、全身性エリテマトーデスに罹患している、方法。
【請求項11】
請求項に記載の方法であって、前記被験体は、免疫性血小板減少性紫斑病(ITC)に罹患している、方法。
【請求項12】
請求項に記載の方法であって、前記被験体は、ループス腎炎に罹患している、方法。
【請求項13】
請求項に記載の方法であって、前記被験体は、HIVに罹患している、方法。
【請求項14】
請求項に記載の方法であって、前記被験体は、C型肝炎に罹患している、方法。
【請求項15】
請求項に記載の方法であって、さらに、免疫抑制剤を投与する工程を包含する、方法。
【請求項16】
薬学的に受容可能なキャリアまたは希釈剤と組み合わせて、抗体または該抗体の結合断片を含む組成物であって、ここで該抗体は、請求項または請求項に記載の抗体である、組成物。
【請求項17】
請求項16に記載の組成物であって、さらに免疫抑制剤を含む、組成物。
【請求項18】
請求項または請求項に記載のポリペプチドをコードする、単離された核酸。
【請求項19】
発現ベクターであって、該発現ベクターは、該ベクターを用いてトランスフェクトされた宿主細胞により認識される制御配列に作動可能に連結される、請求項8に記載の核酸配列を含む、発現ベクター。
【請求項20】
請求項19に記載のベクターを含む宿主細胞。
【請求項21】
ポリペプチドを生成する方法であって、該方法は、請求項20に記載の宿主細胞を、前記核酸配列が発現される条件下で培養し、それによって該ポリペプチドを生成する工程、および、前記宿主細胞から該ポリペプチドを回収する工程を包含する、方法。
【請求項22】
IL−10に特異的な抗体をコードする単離された核酸配列であって、該核酸配列は、配列番号21の核酸配列を有する軽鎖、および配列番号22の核酸配列を有する重鎖を含む、核酸配列。
【請求項23】
請求項22に記載の核酸であって、前記軽鎖はATCC受託番号PTA−5927であり、および前記重鎖はATCC受託番号PTA−5926である、核酸。
【請求項24】
請求項22に記載の核酸配列によってコードされる抗体の結合断片をコードする、単離された核酸配列。
【請求項25】
請求項23に記載の核酸配列によってコードされる抗体の結合断片をコードする、単離された核酸配列。
【請求項26】
請求項24または請求項25に記載の核酸であって、前記結合断片は、Fab、Fab’、Fab’−SH、Fv、scFv、F(ab’)、およびダイアボディからなる群から選択される抗体断片である、核酸。
【請求項27】
ヒト化抗体について受容体生殖細胞系配列を同定するための方法であって、該方法は、
a)所望の生物学的活性を有する非ヒト抗体を同定する工程;
b)該非ヒト抗体のVドメインおよびVドメインのアミノ酸配列を決定する工程;ならびに
c)該非ヒト抗体の配列を、ヒト生殖細胞系配列の群と比較する工程であって、該比較は、以下の下位工程:
1)該非ヒトVドメイン配列およびVドメイン配列の配列に残基番号を割り当てる工程、
2)該配列中のCDR領域およびFR領域を線引きする工程、
3)該非ヒト配列および該ヒト生殖細胞系配列が一致した、それぞれの残基位置での、所定のスコア数を割り当てる工程、および
4)それぞれのヒト生殖細胞系配列について総スコアを生成するために、該残基スコアの全てを総計する工程を包含する、工程;ならびに
d)全残基スコアが最も高い、該ヒト生殖細胞系配列を、該受容体生殖細胞系配列と同定する工程
を包含する、方法。
【請求項28】
請求項27に記載の方法であって、該方法はさらに、以下の下位工程:
a)前記下位工程(4)の後に全残基スコアが一致する生殖細胞系配列に対し、該非ヒト配列および該ヒト生殖細胞系配列が一致し、前記下位工程(3)でスコア付けされなかった、それぞれの残基位置について、スコア数「1」を割り当てる工程;
b)それぞれのヒト生殖細胞系配列について総スコアを生成するために、該残基スコアの全てを総計する工程、を包含する、方法。
【請求項29】
請求項27に記載の方法であって、前記V領域は、表2のようにスコア付けされる、方法。
【請求項30】
請求項27に記載の方法であって、前記V領域は、表3のようにスコア付けされる、方法。
【請求項31】
請求項27に記載の方法であって、前記非ヒト抗体は、IL−10に特異的であり、かつIL−10の生物学的活性を阻害する、方法。
【請求項32】
請求項27に記載の方法により生成される抗体。

【図1A】
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【図1B−1】
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【図1B−2】
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【図1C】
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【図1D−1】
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【図1D−2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2011−87590(P2011−87590A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267845(P2010−267845)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【分割の表示】特願2006−539809(P2006−539809)の分割
【原出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】