説明

インダクタ素子、このインダクタ素子を備えたDC(directcurrent)/DCコンバータモジュール、DC/DCコンバータモジュールの製造方法、及び電子機器

【課題】インダクタ素子表面にICチップを搭載することができることによりDC/DCコンバータモジュールを小型化・省スペース化することができるインダクタ素子、このインダクタ素子を備えたDC/DCコンバータモジュール、DC/DCコンバータモジュールの製造方法、及び電子機器を提供する。
【解決手段】インダクタ素子10が、コイル部と、このコイル部を覆う被覆部材11と、被覆部材11表面に形成された配線パターン(電極パッド12a、第1リードパッド12c1、第2リードパッド12c2、第3リードパッド12c3、第4リードパッド12c4、第5リードパッド12c5、第6リードパッド12c6、第1導出パッド12b1及び第2導出パッド12b2)とを備えており、前記配線パターンの電極パッド12aがICチップ14を搭載するための配線パターンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型電子機器等の小型電子機器に用いられるインダクタ素子、このインダクタ素子を備えたDC/DCコンバータモジュール、当該DC/DCコンバータモジュールの製造方法、及び前記インダクタ素子や前記DC/DCコンバータモジュールを備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、直流入力−直流出力変換を行うDC/DCコンバータは、半導体集積回路を搭載したデバイスだけでは動作せず、電圧波形を平滑化するためにコイルやコンデンサ等の電子部品を外付けする必要がある。従来のDC/DCコンバータでは、前記外付けの電子部品を実装するために、この外付けの電子部品を含め全ての部品を同一平面上に配置していた。
【0003】
このようなDC/DCコンバータの一例としては、後述の特許文献1である特開2007−173712号公報に開示されているDC−DCコンバータがある。
【0004】
図11は従来のDC/DCコンバータの一例を示す説明図である。
【0005】
図11に示すDC/DCコンバータでは、符号101で示す領域に配置されたプリント基板表面にインナーリード106が形成されている。さらに、プリント基板上には、インダクタ103、入力コンデンサ104、出力コンデンサ105及び半導体集積回路(IC)102が個々に実装されており、さらに、前記IC102の電極パッド(不図示)と前記インナーリード106とがワイヤ107を用いてワイヤボンディングされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−173712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、DC/DCコンバータに対する小型化・省スペース化の要望は非常に高まってきている。しかしながら、図11に示すDC/DCコンバータは、外付けの電子部品を含め全ての部品(インダクタ103、入力コンデンサ104、出力コンデンサ105及びIC102)を同一平面(プリント基板)上にそれぞれ配置して実装していたため、大きな実装面積を必要としていた。これにより、DC/DCコンバータを小型化・省スペース化することが大変困難であるといった問題があった。
【0008】
本発明はかかる問題点を解決すべく創案されたもので、DC/DCコンバータモジュールを小型化・省スペース化することができるインダクタ素子、このインダクタ素子を備えたDC/DCコンバータモジュール、DC/DCコンバータモジュールの製造方法、及び電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のインダクタ素子は、コイル部と、少なくともICチップを搭載する配線パターンとを備えてなるものである。
【0010】
これにより、インダクタ素子表面に、ICチップを、またはコンデンサ等の電子部品のうちの少なくとも一部とICチップとを搭載することができる。その結果、外付けの電子部品の数を減らすことや三次元的に部品を配置することができる。また、インダクタ素子に形成された配線パターンにICチップを直接搭載できるため、モジュールの高さを極めて低背化することができる。
【0011】
また、前記配線パターンが、メタルエッチングにより形成されたものであってもよい。このメタルエッチングを用いた場合、より安価で配線パターンを形成することができる。
【0012】
また、前記配線パターンが、レーザ加工及びめっき技術により形成されたものであってもよく、特に好ましくは、前記コイル部が絶縁性の被覆部材で覆われており、前記配線パターンが、被覆部材の配線パターン形成部位へのレーザ照射による金属の析出と、無電解めっきによる前記析出した部位へのめっきとにより形成されたものであってもよい。このように形成すると、マスクパターンを用いることなく配線パターンを形成することができる。
【0013】
また、前記インダクタ素子は絶縁性を有する材料を用いて形成された複数のシートが積層されてなり、前記複数のシートのうちの少なくとも一部のシートに、前記コイル部を構成するコイルパターンが形成されている。このようにコイルパターンでコイル部を形成することで、コイル部の巻数を容易に変更可能となる。
【0014】
また、前記複数のシートのうち、一つのシートに電極が、他の一つのシートに前記配線パターンが、前記一つのシートと前記他の一つのシートとの間に配置された中間シートに、前記電極と前記配線パターンとを電気的に接続するスルーホールが形成されたものであってもよい。このような構成とすれば、配線パターンが形成されたインダクタ素子をより低背(薄型)で製造することができる。
【0015】
本発明のDC/DCコンバータモジュールは、前述したインダクタ素子のうちのいずれか一つのインダクタ素子と、当該インダクタ素子表面に搭載されたICチップと、前記ICチップを被覆する樹脂部とからなるものである。
【0016】
これにより、ICチップをインダクタ素子表面に搭載することができる。その結果、外付けの電子部品の数を減らすことや三次元的に部品を配置することができ、DC/DCコンバータモジュールを小型化・省スペース化することができる。また、ICチップをインダクタ素子表面に直接搭載できるため、モジュールの高さを極めて低背化することができる。
【0017】
また、前記インダクタ素子表面に、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品がさらに搭載されていてもよい。これにより、外付けの電子部品数をさらに減らすことができ、実装面積を削減できる。
【0018】
また、前記インダクタ素子表面に凹部が形成されており、前記配線パターンの少なくとも一部が前記凹部に形成され、前記ICチップが前記凹部に搭載され、前記樹脂部が前記凹部に充填されているものであってもよい。このような構成とすれば、インダクタ素子の凹部にICチップを埋め込むことができ、高さを低減できる(より薄型化できる)。
【0019】
また、前記配線パターンと前記ICチップとがフリップチップにより電気的に接続されていてもよい。このような構成とすれば、高さをより低減できる(より薄型化できる)。
【0020】
また、前記凹部に形成された前記配線パターンに、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品がさらに搭載されていてもよい。このように、インダクタ素子の凹部にICチップやその他の電子部品を埋め込むことで、高さを低減することができる(より薄型化できる)。
【0021】
本発明のDC/DCコンバータモジュールは、前述したインダクタ素子のうちのいずれか一つのインダクタ素子と、ICチップを内蔵したデバイスとが貼り合わされてなるものである。
【0022】
これにより、ICチップをインダクタ素子表面に搭載することができる。その結果、外付けの電子部品の数を減らすことや三次元的に部品を配置することができ、DC/DCコンバータモジュールを小型化・省スペース化することができる。また、ICチップをインダクタ素子表面に直接搭載できるため、モジュールの高さを極めて低背化することができる。また、インダクタ素子とデバイスとを貼り合わせてDC/DCコンバータモジュールを形成しているため、小型化・省スペース化を実現したDC/DCコンバータモジュールを容易に実現することができる。
【0023】
また、前記デバイスが、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品をさらに内蔵してもよい。これにより、外付けの電子部品数をさらに減らすことができ、実装面積を削減できる。
【0024】
また、前記デバイスに貼り合わされた他のインダクタ素子をさらに備え、前記インダクタ素子と前記他のインダクタ素子との間に前記デバイスが配置されていてもよい。このような構成とすれば、実装面積を増加させることなく、高インダクタンス値及び閉磁効果を有するDC/DCコンバータモジュールを得ることができる。
【0025】
本発明のDC/DCコンバータモジュールの製造方法は、コイル部を覆う絶縁性の被覆部材表面に配線パターンを形成してインダクタ素子を得る素子形成ステップと、前記インダクタ素子に少なくともICチップを搭載する搭載ステップとを含むものである。
【0026】
これにより、ICチップをインダクタ素子表面に搭載することができる。その結果、外付けの電子部品の数を減らすことや三次元的に部品を配置することができ、DC/DCコンバータモジュールを小型化・省スペース化することができる。また、ICチップをインダクタ素子表面に直接搭載できるため、モジュールの高さを極めて低背化することができる。
【0027】
また、前記搭載ステップが、前記配線パターンに前記ICチップをダイボンドするダイボンドステップと、前記配線パターンに前記ICチップをワイヤボンドするワイヤボンドステップとからなるものであってもよい。このように形成することで、新たな技術を用いることなくICチップを搭載することができる。
【0028】
また、前記搭載ステップでは、前記インダクタ素子に、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品をさらに搭載してもよい。これにより、外付けの電子部品数をさらに減らすことができ、実装面積を削減できる。
【0029】
また、前記DC/DCコンバータモジュールに含まれるインダクタ素子が、絶縁性を有する複数のシートからなり、前記複数のシートのうちの少なくとも一部のシートに前記コイルを構成するコイルパターンが形成されており、前記素子形成ステップでは、複数のシートを積層して前記被覆部材及び前記コイルを形成するものであってもよい。このように形成することで、配線パターンが形成されたインダクタ素子をより低背(薄型)で製造することができる。
【0030】
また、前記複数のシートのうち、一つのシートに前記配線パターンが、他の一つのシートに電極が、前記一つのシートと前記他の一つのシートとの間に配置された中間シートに、前記配線パターンと前記電極とを電気的に接続するスルーホールが形成されているものであってもよい。これにより、小型・低背型(薄型)のインダクタ素子を製造することができる。
【0031】
また、前記素子形成ステップでは、前記被覆部材表面に凹部を形成した後に当該凹部に前記配線パターンの少なくとも一部を形成し、前記搭載ステップでは、前記凹部にICチップを搭載し、前記ICチップを搭載した後に前記凹部に樹脂部を充填し、前記ICチップを樹脂封止する樹脂封止ステップをさらに含むものであってもよい。このように形成することで、より小型・低背型(薄型)のインダクタ素子を製造することができる。
【0032】
また、前記搭載ステップでは、前記配線パターンにフリップチップを用いて前記ICチップを搭載してもよい。これにより、高さをより低減することができる(より薄型化できる)。
【0033】
また、前記搭載ステップでは、前記凹部に、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品をさらに搭載し、前記樹脂封止ステップでは、前記電子部品も前記樹脂部で樹脂封止してもよい。これにより、外付けの電子部品数をさらに減らすことができ、実装面積を削減できる。
【0034】
また、前記素子形成ステップでは、メタルエッチングにより前記配線パターンを形成してもよい。このように形成することで、より安価で配線パターンを形成することができる。
【0035】
また、前記素子形成ステップでは、レーザ加工及びめっき技術により前記配線パターンを形成してもよく、特に好ましくは、前記素子形成ステップで、前記被覆部材の配線パターン形成部位にレーザを照射して金属を析出し、無電解めっきにより前記析出した金属をめっきして前記配線パターンを形成する。このように形成することで、マスクパターンを用いることなく配線パターンを形成できる。
【0036】
本発明の電子機器は、前述したインダクタ素子のうちのいずれか一つのインダクタ素子を備えたものである。
【0037】
これにより、ICチップを、または電子部品とICチップとをインダクタ素子表面に直接搭載することができる。その結果、外付けの電子部品の数を減らすことや三次元的に部品を配置することができ、DC/DCコンバータモジュールを小型化・省スペース化することができるため、電子機器を小型化できる。
【0038】
本発明の電子機器は、前述したDC/DCコンバータモジュールのうちのいずれか一つのDC/DCコンバータモジュールを備えたものである。
【0039】
これにより、ICチップを、または電子部品とICチップとをインダクタ素子表面に直接搭載することができる。その結果、外付けの電子部品の数を減らすことや三次元的に部品を配置することができ、DC/DCコンバータモジュールを小型化・省スペース化することができるため、電子機器を小型化できる。
【0040】
本発明の電子機器は、前述したDC/DCコンバータモジュールの製造方法のうちのいずれか一つのDC/DCコンバータモジュールの製造方法を用いて形成されたDC/DCコンバータモジュールを備えたものである。
【0041】
これにより、ICチップを、または電子部品とICチップとをインダクタ素子表面に直接搭載することができる。その結果、外付けの電子部品の数を減らすことや三次元的に部品を配置することができ、DC/DCコンバータモジュールを小型化・省スペース化することができるため、電子機器を小型化できる。
【発明の効果】
【0042】
本発明は上記のように構成したので、インダクタ素子表面にICチップを直接搭載することができる。その結果、外付けの電子部品の数を減らすことや三次元的に部品を配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明のインダクタ素子の実施形態1を示す説明図である。
【図2】本発明のDC/DCコンバータモジュールの実施形態1を示す斜視図である。
【図3】実施形態1のインダクタ素子の他の実施例1を示す説明図である。
【図4】実施形態1のインダクタ素子の他の実施例2を示す説明図である。
【図5】図4に示すインダクタ素子を備えたDC/DCコンバータモジュールの一例を示す説明図である。
【図6】本発明のDC/DCコンバータモジュールの実施形態2を示す斜視図である。
【図7】実施形態2のDC/DCコンバータモジュールの他の実施例を示す説明図である。
【図8】本発明のDC/DCコンバータモジュールの実施形態3を示す斜視図である。
【図9】実施形態3のDC/DCコンバータモジュールの他の実施例を示す説明図である。
【図10】DC/DCコンバータモジュールの参考例を示す斜視図である。
【図11】従来のDC/DCコンバータの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明において、インダクタ素子は少なくともICチップを搭載する配線パターンを備えたものであり、DC/DCコンバータモジュールは前記インダクタ素子を備えたものであり、DC/DCコンバータモジュールの製造方法は前記DC/DCコンバータモジュールを製造する方法であり、電子機器は、前記インダクタ素子を備えたもの、前記DC/DCコンバータモジュールを備えたものまたは前記DC/DCコンバータモジュールの製造方法により製造されたDC/DCコンバータモジュールを備えたものであることを特徴とする。
【0045】
以下、本発明のインダクタ素子、このインダクタ素子を備えたDC/DCコンバータモジュール、DC/DCコンバータモジュールの製造方法、及び電子機器の実施形態について説明する。
【0046】
<実施形態1>
まず初めに、本発明のインダクタ素子の実施形態1について図面を参照しつつ説明する。
【0047】
図1は、本発明のインダクタ素子の実施形態1を示す説明図である。なお、図1(a)は斜視図であり、図1(b)は、図1(a)に示すインダクタ素子を矢印Aで示す方向(紙面奥側)から見た状態を示す側面図であり、図1(c)は、図1(a)に示すインダクタ素子を矢印Bで示す方向(紙面左側)から見た状態を示す側面図である。
【0048】
本実施形態のインダクタ素子10は、導電性のコイル部1が絶縁性の被覆部材11で覆われてなるものであり、この被覆部材11の表面には導電性の配線パターンが形成されている。
【0049】
図1に示すインダクタ素子10においては、被覆部材11が薄板形状に成型されており、被覆部材11上面に配線パターンが形成されている。具体例を示すと、配線パターンは、被覆部材11上面の中央部に形成された方形の電極パッド12aと、電極パッド12a端辺部から被覆部材11上面の紙面奥側端辺部へ向けて導出された第1リードパッド12c1と、電極パッド12a端辺部から被覆部材11上面の紙面手前側端辺部へ向けて導出された第2リードパッド12c2と、コイル部1の両端部にそれぞれ電気的に接続された第1導出パッド12b1及び第2導出パッド12b2と、電極パッド12aの周辺部から被覆部材11上面の紙面奥側端辺部へ向けてそれぞれ導出された第3リードパッド12c3及び第4リードパッド12c4と、電極パッド12aの周辺部から被覆部材11上面の紙面手前側端辺部へ向けてそれぞれ導出された第5リードパッド12c5及び第6リードパッド12c6とからなる。
【0050】
さらに、図1に示すインダクタ素子10においては、被覆部材11側面に複数の金属電極が形成されている。具体例を示すと、被覆部材11の紙面奥側面には、図1(b)に示すように、第1リードパッド12c1に接続された第1金属電極13a1と、第3リードパッド12c3に接続された第3金属電極13a3と、第4リードパッド12c4に接続された第4金属電極13a4とが形成されている。また、被覆部材11の紙面手前側面には、第2リードパッド12c2に接続された第2金属電極13a2と、第5リードパッド12c5に接続された第5金属電極13a5と、第6リードパッド12c6に接続された第6金属電極13a6とが形成されている。さらに、被覆部材11の紙面左側面には、図1に示すように、第1導出パッド12b1に接続された第7金属電極13a7が形成されており、この第7金属電極13a7は、被覆部材11の紙面奥側面及び紙面手前側面の左端部まで延長された状態となっている。被覆部材11の紙面右側面には、図1に示すように、第2導出パッド12b2に接続された第8金属電極13a8が形成されており、この第8金属電極13a8は、被覆部材11の紙面奥側面及び紙面手前側面の右端部まで延長された状態となっている。
【0051】
前記配線パターン及び金属電極は、後により詳細に説明するが、メタルエッチングにより、またはレーザ加工及びめっき技術により形成されている。
【0052】
なお、図1に示すコイル部1の形状及び巻数は一例であり、適宜変更可能である。
【0053】
また、図1に示すコイル部1と配線パターンとの接続部位の構造は一例であり、適宜変更可能である。具体例を示すと、図1では、被覆部材11の紙面左右側面に形成された第7金属電極13a7及び第8金属電極13a8にコイル部1の各端部をそれぞれ接続することにより、これら第7金属電極13a7及び第8金属電極13a8を介してコイル部1の両端部と配線パターン(第2導出パッド12b2及び第3導出パッド12b3)とを電気的に接続しているが、例えば側面に配線パターンを施してコイル部1と配線パターンとを直接接続してもよく、また、例えば被覆部材11内部にスルーホールを形成し、当該スルーホールを介してコイル部1と配線パターンとを接続してもよい。
【0054】
次いで、本発明のDC/DCコンバータモジュールの実施形態1について図面を参照しつつ説明する。
【0055】
図2は、本発明のDC/DCコンバータモジュールの実施形態1を示す斜視図である。なお、図2ではコイル部1の図示を省略している。
【0056】
本実施形態のDC/DCコンバータモジュールは、前述したインダクタ素子10と、当該インダクタ素子10表面に搭載されたICチップ14と、ICチップ14を被覆する樹脂部15とからなるものである。
【0057】
ICチップ14は、例えば、電極パッド12aにダイボンドされ、さらに、電極パッド12aの各電極(不図示)が第1導出パッド12b1、第2導出パッド12b2、第2リードパッド12c2、第3リードパッド12c3、第4リードパッド12c4、第5リードパッド12c5及び第6リードパッド12c6にワイヤ16を用いてそれぞれワイヤボンドされることにより、インダクタ素子10表面に搭載されている。
【0058】
また、第1金属電極13a1〜第8金属電極13a8は、DC/DCコンバータモジュールの外部端子として用いられる。
【0059】
次いで、本発明のDC/DCコンバータモジュールの製造方法の実施形態1について図1及び図2を参照しつつ説明する。
【0060】
まず初めに、素子形成ステップを実施して図1に示すインダクタ素子を得る。この素子形成ステップでは、例えば、コイル部1を被覆部材11で覆い、被覆部材11の表面に前記配線パターン及び電極を形成する。
【0061】
なお、前記素子形成ステップでは、例えばメタルエッチングにより配線パターン及び電極を形成してもよい。メタルエッチングを用いる場合、チップインダクタ素子(製造過程のインダクタ素子)の表面にレジストを塗布し、露光工程及びリソグラフィ工程を行うことでマスクパターンを形成した後、金属膜を成膜することにより配線パターン及び金属電極を形成する。
【0062】
また、前記素子形成ステップでは、例えばレーザ加工及びめっき技術により配線パターン及び電極を形成してもよい。レーザ加工及びめっき技術を用いる場合、例えば、被覆部材11の配線パターン形成部位へのレーザ照射による金属の析出と、無電解めっきによる前記析出した部位へのめっきとにより、前記配線パターン及び金属電極を形成することができる。
【0063】
前記配線パターン及び金属電極を、メタルエッチングにより形成した場合にはより安価で配線パターンを形成することができ、レーザ加工及びめっき技術により形成した場合には、マスクパターンを用いることなく配線パターンを形成できる。
【0064】
次いで、搭載ステップを実施して図2に示すDC/DCコンバータモジュールを得る。この搭載ステップは、例えば、前記配線パターンにICチップ14をダイボンドするダイボンドステップと、前記配線パターンにワイヤ16を用いてICチップ14をワイヤボンドするワイヤボンドステップとからなる。
【0065】
このように、ICチップ14をインダクタ素子10表面に搭載する際にダイボンド及びワイヤボンドを用いることにより、新たな技術を用いることなくICチップを搭載することができる。
【0066】
なお、ダイボンド及びワイヤボンドの代わりにフリップチップを用いてもよい。このように形成することにより、DC/DCコンバータモジュールの高さをより低減でき、DC/DCコンバータモジュールを薄型化できる。
【0067】
次いで、本発明の電子機器の実施形態1について説明する。
【0068】
本実施形態の電子機器は、前述したDC/DCコンバータモジュールを備えたものである。このDC/DCコンバータモジュールは、好ましくは前述したDC/DCコンバータモジュールの製造方法を用いて形成されている。また、前記DC/DCコンバータモジュールは、好ましくは前述したインダクタ素子を備えたものである。
【0069】
なお、電子機器の具体例としては、携帯電話やデジカメ等といった携帯機器用の電源がある。
【0070】
本実施形態によれば、ICチップをインダクタ素子表面に直接搭載することができる。その結果、外付けの電子部品の数を減らすことや三次元的に部品を配置することができ、DC/DCコンバータモジュールを小型化・省スペース化することができるため、電子機器を小型化できる。また、ICチップをインダクタ素子表面に直接搭載できるため、モジュールの高さを極めて低背化することができる。
【0071】
[インダクタ素子の他の実施例1]
本実施形態において、インダクタ素子の形態は、図1に示すインダクタ素子10に限定されるものではない。ここで、インダクタ素子の他の実施例1について図面を参照しつつ説明する。
【0072】
図3は、実施形態1のインダクタ素子の他の実施例1を示す説明図である。
【0073】
このインダクタ素子20は、絶縁性を有する材料で形成された複数のシート21a〜21cが積層されてなるものである。なお、図3では、複数のシート21a〜21cが積層されていることをより明確に示すために、各シート21a〜21cを互いに離間させた状態で図示しているが、実際は全てのシート21a〜21cが互いに密着した状態になっている。
【0074】
後に図面を参照しつつより詳細に説明するが、複数のシート21a〜21cのうちの少なくとも一部のシートには、コイル部を構成するコイルパターン25が形成されている。さらに、複数のシート21a〜21cのうち、一つのシート21cに電極が、他の一つのシート21aに前記配線パターンが、一つのシート21aと他の一つのシート21cとの間に配置された中間シート(シート21b)に、前記電極と前記配線パターンとを電気的に接続するスルーホール24が形成されている。
【0075】
図3においては、複数のシート21a〜21cのうち、紙面最上部のシート(他の一つのシート)21aの上面に配線パターンが形成されている。この配線パターンは、シート21aの中央部に形成された方形の電極パッド22aと、電極パッド22a端辺部から紙面奥方向へ導出された第1リードパッド22c1と、電極パッド22a端辺部から紙面手前方向へ導出された第2リードパッド22c2と、コイル部の両端部にそれぞれ電気的に接続される第1導出パッド22b1及び第2導出パッド22b2と、電極パッド22aの周辺部から紙面奥方向へそれぞれ導出された第3リードパッド22c3及び第4リードパッド22c4と、電極パッド22aの周辺部から紙面手前方向へそれぞれ導出された第5リードパッド22c5及び第6リードパッド22c6とからなる。
【0076】
また、図3においては、複数のシート21a〜21cのうち、紙面最下部のシート(一つのシート)21cの上面に電極として複数の金属電極23が形成されている。図3には、シート21c上面の紙面手前側に形成された3つの金属電極23と、シート21c上面の紙面右側に形成された1つの金属電極23とのみを図示した。複数の金属電極23のうち、一部の金属電極23(例えば、シート21c上面の紙面手前側及び紙面奥側に形成された金属電極)は後述のスルーホール24を介して前記配線パターンに接続されており、他の一部の金属電極23(例えば、シート21c上面の紙面右側及び紙面左側に形成された金属電極)は第1導出パッド22b1または第2導出パッド22b2に電気的に接続されている。
【0077】
なお、複数の金属電極23は、DC/DCコンバータモジュールの外部端子として用いられるため、インダクタ素子完成時にはこのインダクタ素子の側面に一端部が露出した状態となるように形成される。
【0078】
さらに、図3においては、複数のシート21a〜21cのうち、シート21aとシート21cとの間に配置された複数の中間シート(シート21b)に、コイル部の一部分を構成するコイルパターン25が形成されている。また、各コイルパターン25の一端部または両端部にはパターン接続部位25aが形成されている。このパターン接続部位25aは、スルーホールであり、複数のシート21a〜21cを積層したときに密着するシート間において各コイルパターン25を電気的に接続するものである。即ち、複数のシート21a〜21cを密着させた状態で積層することにより、全てのコイルパターン25がパターン接続部位25aを介して電気的に接続され、1つのコイル部を形成する。
【0079】
複数のシート21bには2つの接続パターン26もそれぞれ形成されている。さらに、シート21aに密着するシート21bとシート21cに密着するシート21bとにそれぞれ形成された2つの接続パターン26のうちの一方の接続パターン26には、前記コイル部の各端部がそれぞれ接続されている。
【0080】
また、シート21aと中間シート(シート21b)とにはスルーホール24が形成されている。
【0081】
このような構成により、複数のシート21a〜21cを積層することにより、シート21a上面の各配線パターンとシート21c上面の各金属電極23とがスルーホール24及び接続パターン26を介して電気的に接続される。
【0082】
このようなインダクタ素子を用いてDC/DCコンバータモジュールを製造する場合、前記素子形成ステップでは、複数のシート21a〜21cを積層して被覆部材(即ち、前記絶縁性を有する材料で形成された部位)及びコイル部を形成する。複数のシート21a〜21cを積層する際には、シートを重ね合わせて焼成することにより、各シート21a〜21cを密着させた状態で一体化させることができる。
【0083】
なお、シート21aのうち第1導出パッド22b1及び第2導出パッド22b2が形成された部位と、各中間シート(シート21b)のうち、接続パターン26が形成された部位とには、スルーホールがそれぞれ形成されている。そのため、シート21a〜21cを重ね合わせて焼成した際に、第1導出パッド22b1または第2導出パッド22b2と、接続パターン26と、前記他の一部の金属電極23(例えば、シート21c上面の紙面右側または紙面左側に形成された金属電極)とがスルーホールを介して電気的に接続される。
【0084】
このように、インダクタ素子を複数のシート21a〜21cを積層して形成した場合には、インダクタ素子の設計を容易に変更することができ、例えばコイル部の巻数を容易に変更できる。また、配線パターンと金属電極とをスルーホールを用いて電気的に接続した場合には、インダクタ素子をより低背(薄型)で製造することができる。
【0085】
[インダクタ素子の他の実施例2]
本実施形態において、インダクタ素子の形態は、図1に示すインダクタ素子及び図3に示すインダクタ素子に限定されるものではない。ここで、インダクタ素子の他の実施例2について図面を参照しつつ説明する。
【0086】
図4は、実施形態1のインダクタ素子の他の実施例2を示す説明図である。
【0087】
なお、ここでは、図1に示すインダクタ素子と同一の構成部材には同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0088】
このインダクタ素子30の被覆部材11上面には、ICチップを搭載する配線パターンのみならず、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品を搭載する配線パターンも形成されている。
【0089】
図4に示すインダクタ素子は、電子部品としてコンデンサを搭載するための配線パターンを備えている。図4に示すインダクタ素子は、図1に示すインダクタ素子と比較して、電極パッド12aの紙面右手前側隅部が切り欠いた状態となっている点と、電極パッド12aの紙面右端辺に一体化された状態で形成された電極パッド32aと、第2導出パッド12b2と第5リードパッド12c5との間を接続する電極パッド32bとをさらに備えている点とが異なっている。
【0090】
DC/DCコンバータモジュールを図4に示すインダクタ素子を用いて製造した場合、例えば図5に示すようなDC/DCコンバータモジュールを得ることができる。
【0091】
図5は、図4に示すインダクタ素子を備えたDC/DCコンバータモジュールの一例を示す説明図である。
【0092】
図5に示すDC/DCコンバータモジュールを製造する場合、前記搭載ステップでは、前記インダクタ素子30にICチップ14とコンデンサ34とを搭載する。
【0093】
このとき、例えば、ICチップ14を電極パッド12aにダイボンドすると同時に、コンデンサ34を電極パッド32aと電極パッド32bとにまたがるようにして搭載してコンデンサ34の各電極を電極パッド32a及び電極パッド32bにそれぞれ接続する。さらに、ICチップ14の各電極をワイヤ16を用いて配線パターンにワイヤボンドする。
【0094】
最後に、前記搭載ステップを実施した後、樹脂部15を形成する樹脂封止ステップを実施することにより、図5に示すDC/DCコンバータモジュールを得る。
【0095】
本実施例では、インダクタ素子30にICチップ14とコンデンサ34とを直接搭載することができる。その結果、外付けの電子部品数をさらに減らすことができ、実装面積を削減できる。
【0096】
<実施形態2>
次に、本発明のDC/DCコンバータモジュールの実施形態2について図面を参照しつつ説明する。
【0097】
図6は、本発明のDC/DCコンバータモジュールの実施形態2を示す斜視図である。
【0098】
なお、ここでは、実施形態1と同一の構成部材には同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0099】
本実施形態においては、インダクタ素子の被覆部材41表面に、コイル部(不図示)を避けて凹部41aが形成されている。さらに、前述した配線パターンの少なくとも一部が凹部41a内に形成され、ICチップ14が凹部41aに搭載され、この凹部41aに樹脂部45が充填されている。
【0100】
ICチップ14をインダクタ素子10表面に搭載する際には、前記配線パターンとICチップ14とがフリップチップにより電気的に接続されていてもよい。これにより、DC/DCコンバータモジュールの高さをより低減でき、DC/DCコンバータモジュールを薄型化できる。
【0101】
ここでは、凹部41aの底部に電極パッド12a(不図示)が形成されている。さらに、前記フリップチップを行うために、第1リードパッド12c1〜第6リードパッド12c6の各一端部が、凹部41aの内壁部を経て底部まで延長されている。但し、図6ではこの延長された部位の図示を省略している。
【0102】
なお、フリップチップの代わりに、ダイボンド及びワイヤボンドを用いてもよい。このように形成することで、新たな技術を用いることなくICチップを搭載することができる。
【0103】
次いで、本発明のDC/DCコンバータモジュールの製造方法の実施形態2について図面を参照しつつ説明する。
【0104】
本実施形態においては、前記素子形成ステップで、被覆部材41表面に凹部41aを形成した後に前記配線パターンを形成し、前記搭載ステップで、凹部41aにICチップ14を搭載する。
【0105】
なお、凹部41aを形成する際には、例えば、コイルパターン部分を避け、被覆部材41の部分を削るか、または積層コイルであれば、初めからインダクタ形成時にシートに穴を開けておく。また、凹部41aにICチップ14を搭載する際にはフリップチップを用いることがより好ましい。
【0106】
さらに、前記搭載ステップの後に樹脂封止ステップを実施して、凹部41aに樹脂部45を充填し、ICチップ14を樹脂封止することにより、図6に示すDC/DCコンバータモジュールを得る。
【0107】
次いで、本発明の電子機器の実施形態2について説明する。
【0108】
本実施形態の電子機器は、前述したDC/DCコンバータモジュールを備えたものである。このDC/DCコンバータモジュールは、好ましくは前述したDC/DCコンバータモジュールの製造方法を用いて形成されている。
【0109】
なお、電子機器の具体例としては、携帯電話やデジカメ等といった携帯機器用の電源がある。
【0110】
本実施形態によれば、ICチップをインダクタ素子表面に直接搭載することができる。その結果、外付けの電子部品の数を減らすことや三次元的に部品を配置することができ、DC/DCコンバータモジュールを小型化・省スペース化することができるため、電子機器を小型化できる。また、ICチップをインダクタ素子表面に直接搭載できるためモジュールの高さを極めて低背化することができる。
【0111】
また、実施形態1のものと比較して、インダクタ素子の凹部にICチップを埋め込むことができるため、DC/DCコンバータモジュールの高さを低減することができ、DC/DCコンバータモジュールをより薄型化できる。
【0112】
なお、図3に示すインダクタ素子において、本実施形態と同様に凹部を形成してもよい。
【0113】
[DC/DCコンバータモジュールの他の実施例]
本実施形態において、DC/DCコンバータモジュールは、図6に示すDC/DCコンバータモジュールに限定されるものではない。ここで、DC/DCコンバータモジュールの他の実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0114】
図7は、実施形態2のDC/DCコンバータモジュールの他の実施例を示す説明図である。
【0115】
なお、ここでは、図6に示すDC/DCコンバータモジュールと同一の構成部材には同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0116】
本実施例では、図示していないが、インダクタ素子の被覆部材41の凹部41a内部に、ICチップ14を搭載する配線パターンのみならず、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品を搭載する配線パターンも形成されている。なお、図7に示すDC/DCコンバータモジュールは、電子部品としてコンデンサ34を搭載している。
【0117】
図7に示すDC/DCコンバータモジュールを製造する場合、前記搭載ステップでは、前記インダクタ素子の凹部41aにICチップ14とコンデンサ34とを搭載する。
【0118】
なお、ICチップ14とコンデンサ34とを凹部41aに搭載する際には、前記配線パターンとICチップ14及びコンデンサ34とがフリップチップにより電気的に接続されていてもよい。これにより、DC/DCコンバータモジュールの高さをより低減でき、DC/DCコンバータモジュールを薄型化できる。
【0119】
また、フリップチップの代わりに、ダイボンド及びワイヤボンドを用いてもよい。このように形成することにより、新たな技術を用いることなくICチップを搭載することができる。
【0120】
さらに、前記樹脂封止ステップでは、ICチップ14とコンデンサ34とを樹脂部45で樹脂封止する。
【0121】
本実施例では、インダクタ素子の凹部41aにICチップ14とコンデンサ34とを直接搭載することができる。その結果、外付けの電子部品数をさらに減らすことができ、実装面積を削減できる。
【0122】
<実施形態3>
次に、本発明のDC/DCコンバータモジュールの実施形態3について図面を参照しつつ説明する。
【0123】
本実施形態のDC/DCコンバータモジュールは、前述した実施形態1のインダクタ素子と、前記ICチップを内蔵したデバイスまたは前記ICチップ及び電子部品を内蔵したデバイスとが貼り合わされてなるものである。
【0124】
図8は、本発明のDC/DCコンバータモジュールの実施形態3を示す斜視図である。
【0125】
なお、ここでは、実施形態1と同一の構成部材には同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0126】
図8には、図4に示すインダクタ素子30に、電子部品としてのコンデンサ34及びICチップ14を内蔵したデバイス50が貼り合わされてなるDC/DCコンバータモジュールが図示されている。但し、図8ではコイル部の図示を省略している。
【0127】
インダクタ素子30とデバイス50とを貼り合わせる際には、例えば半田またはAgペーストが用いられることによってインダクタ素子30とデバイス50との間の電気的な接続も行われる。
【0128】
また、デバイス50は、コンデンサ34及びICチップ14の各電極(不図示)に電気的に接続された複数の外部電極(第1外部電極53a1〜第8外部電極53a8)を備えている。これら、第1金属電極13a1〜第8金属電極13a8と第1外部電極53a1〜第8外部電極53a8とは半田またはAgペーストにより電気的に接続される。
【0129】
また、本実施形態の電子機器は、前述したDC/DCコンバータモジュールを備えたものである。
【0130】
なお、電子機器の具体例としては、携帯機器用電源を挙げることができ、さらに、DC/DCコンバータモジュールにサイズの大きなコイルを配することができるため、電流の大きな電子機器(例えばAV(audiovisual)機器用電源等)を挙げることができる。
【0131】
本実施形態によれば、ICチップ(またはICチップ及び電子部品)をインダクタ素子表面に直接搭載することができる。その結果、外付けの電子部品の数を減らすことや三次元的に部品を配置することができ、DC/DCコンバータモジュールを小型化・省スペース化することができるため、電子機器を小型化できる。また、ICチップをインダクタ素子表面に直接搭載できるため、モジュールの高さを極めて低背化することができる。
【0132】
さらに、本実施形態によれば、インダクタ素子とデバイスとを貼り合わせてDC/DCコンバータモジュールを形成しているため、前述した実施形態1及び実施形態2と比較して、特別な技術や工程を必要とせず、DC/DCコンバータモジュールを比較的容易に形成することができる。
【0133】
[DC/DCコンバータモジュールの他の実施例]
本実施形態において、DC/DCコンバータモジュールは、図8に示すDC/DCコンバータモジュールに限定されるものではない。ここで、DC/DCコンバータモジュールの他の実施例について図面を参照しつつ説明する。
【0134】
図9は、実施形態3のDC/DCコンバータモジュールの他の実施例を示す説明図である。
【0135】
なお、ここでは、図8に示すDC/DCコンバータモジュールと同一の構成部材には同一の符号を付して適宜説明を省略する。
【0136】
本実施例では、図8に示すDC/DCコンバータモジュールのデバイス50に他のインダクタ素子60がさらに貼り付けられたものである。即ち、インダクタ素子30と他のインダクタ素子60との間にデバイス50が配置されている。
【0137】
前記他のインダクタ素子60は、従来のインダクタ素子であり、例えば、コイル部と、このコイル部を覆う被覆部材61と、コイル部の両端部のいずれかに接続された2つの外部端子62(図9には一方の外部端子62のみを図示した。)とを備えている。
【0138】
本実施例によれば、2つのインダクタ素子を備えたDC/DCコンバータモジュールを得ることができるため、高インダクタンス値及び閉磁効果を有するDC/DCコンバータモジュールを得ることができる。なお、インダクタ素子30と他のインダクタ素子60との間にデバイス50が配置されているため、実装面積を増加させることなく、高インダクタンス値及び閉磁効果を有するDC/DCコンバータモジュールを得ることができる。
【0139】
[DC/DCコンバータモジュールの参考例]
次いで、DC/DCコンバータモジュールの参考例について図面を参照しつつ説明する。
【0140】
図10は、DC/DCコンバータモジュールの参考例を示す斜視図である。
【0141】
本参考例のDC/DCコンバータモジュールは、図9に示すDC/DCコンバータモジュールにおいて、紙面下側に配置されたインダクタ素子30を省略したものである。即ち、図10に示すDC/DCコンバータモジュールは、デバイス50とインダクタ素子60とが貼り合わされてなるものである。
【0142】
本参考例によれば、実装面積を保ったまま高さを低減できる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明のインダクタ素子、このインダクタ素子を備えたDC/DCコンバータモジュール、DC/DCコンバータモジュールの製造方法、及び電子機器は、電子機器を小型化する際に活用できる。
【符号の説明】
【0144】
1 コイル部
10,20,30 インダクタ素子
11,41,61 被覆部材
12a,22a,32a,32b 電極パッド
12b1,22b1 第1導出パッド
12b2,22b2 第2導出パッド
12c1,22c1 第1リードパッド
12c2,22c2 第2リードパッド
12c3,22c3 第3リードパッド
12c4,22c4 第4リードパッド
12c5,22c5 第5リードパッド
12c6,22c6 第6リードパッド
14 ICチップ
15,45 樹脂部
16 ワイヤ
21a,21b,21c シート
24 スルーホール
25 コイルパターン
34 コンデンサ
41a 凹部
50 デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイル部を備えたインダクタ素子において、
少なくとも半導体集積回路チップを搭載する配線パターンが形成されてなることを特徴とするインダクタ素子。
【請求項2】
請求項1記載のインダクタ素子において、
前記配線パターンがメタルエッチングにより形成されてなるインダクタ素子。
【請求項3】
請求項1記載のインダクタ素子において、
前記配線パターンがレーザ加工及びめっき技術により形成されてなるインダクタ素子。
【請求項4】
請求項3記載のインダクタ素子において、
前記コイル部が絶縁性の被覆部材で覆われており、
前記配線パターンが、被覆部材の配線パターン形成部位へのレーザ照射による金属の析出と、無電解めっきによる前記析出した部位へのめっきとにより形成されてなるインダクタ素子。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれか一つの請求項記載のインダクタ素子において、
絶縁性を有する材料を用いて形成された複数のシートが積層されてなり、
前記複数のシートのうちの少なくとも一部のシートに、前記コイル部を構成するコイルパターンが形成されているインダクタ素子。
【請求項6】
請求項5記載のインダクタ素子において、
前記複数のシートのうち、一つのシートに電極が、他の一つのシートに前記配線パターンが、前記一つのシートと前記他の一つのシートとの間に配置された中間シートに、前記電極と前記配線パターンとを電気的に接続するスルーホールが形成されているインダクタ素子。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のうちのいずれか一つの請求項記載のインダクタ素子と、当該インダクタ素子に搭載された前記半導体集積回路チップと、前記半導体集積回路チップを被覆する樹脂部とからなることを特徴とするDC/DCコンバータモジュール。
【請求項8】
請求項7記載のDC/DCコンバータモジュールにおいて、
前記インダクタ素子に、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品がさらに搭載されているDC/DCコンバータモジュール。
【請求項9】
請求項7記載のDC/DCコンバータモジュールにおいて、
前記インダクタ素子表面に凹部が形成されており、
前記配線パターンの少なくとも一部が前記凹部に形成され、
前記半導体集積回路チップが前記凹部に搭載され、
前記樹脂部が前記凹部に充填されているDC/DCコンバータモジュール。
【請求項10】
請求項9記載のDC/DCコンバータモジュールにおいて、
前記配線パターンと前記半導体集積回路チップとがフリップチップにより電気的に接続されているDC/DCコンバータモジュール。
【請求項11】
請求項9または請求項10記載のDC/DCコンバータモジュールにおいて、
前記凹部に、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品がさらに搭載されているDC/DCコンバータモジュール。
【請求項12】
請求項1〜請求項6のうちのいずれか一つの請求項記載のインダクタ素子と、前記半導体集積回路チップを内蔵したデバイスとが貼り合わされてなることを特徴とするDC/DCコンバータモジュール。
【請求項13】
請求項12記載のDC/DCコンバータモジュールにおいて、
前記デバイスは、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品をさらに内蔵するDC/DCコンバータモジュール。
【請求項14】
請求項12または請求項13記載のDC/DCコンバータモジュールにおいて、
前記デバイスに貼り合わされた他のインダクタ素子をさらに備え、
前記インダクタ素子と前記他のインダクタ素子との間に前記デバイスが配置されているDC/DCコンバータモジュール。
【請求項15】
コイル部を覆う絶縁性の被覆部材表面に配線パターンを形成してインダクタ素子を得る素子形成ステップと、
前記インダクタ素子に少なくとも半導体集積回路チップを搭載する搭載ステップとを含むDC/DCコンバータモジュールの製造方法。
【請求項16】
請求項15記載のDC/DCコンバータモジュールの製造方法において、
前記搭載ステップが、前記配線パターンに前記半導体集積回路チップをダイボンドするダイボンドステップと、前記配線パターンに前記半導体集積回路チップをワイヤボンドするワイヤボンドステップとからなるDC/DCコンバータモジュールの製造方法。
【請求項17】
請求項15または請求項16記載のDC/DCコンバータモジュールの製造方法において、
前記搭載ステップでは、前記インダクタ素子に、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品をさらに搭載するDC/DCコンバータモジュールの製造方法。
【請求項18】
請求項15〜請求項17のうちのいずれか一つの請求項記載のDC/DCコンバータモジュールの製造方法において、
前記DC/DCコンバータモジュールは複数のシートからなり、当該複数のシートのうちの少なくとも一部のシートに前記コイルを構成するコイルパターンが形成されており、
前記素子形成ステップでは、複数のシートを積層して前記被覆部材及び前記コイルを形成するDC/DCコンバータモジュールの製造方法。
【請求項19】
請求項18記載のDC/DCコンバータモジュールの製造方法において、
前記複数のシートのうち、一つのシートに前記配線パターンが、他の一つのシートに電極が、前記一つのシートと前記他の一つのシートとの間に配置された中間シートに、前記配線パターンと前記電極とを電気的に接続するスルーホールが形成されているDC/DCコンバータモジュールの製造方法。
【請求項20】
請求項15記載のDC/DCコンバータモジュールの製造方法において、
前記素子形成ステップでは、前記被覆部材表面に凹部を形成した後に当該凹部に前記配線パターンの少なくとも一部を形成し、前記搭載ステップでは、前記凹部に半導体集積回路チップを搭載し、
前記半導体集積回路チップを搭載した後に前記凹部に樹脂部を充填し、前記半導体集積回路チップを樹脂封止する樹脂封止ステップをさらに含むDC/DCコンバータモジュールの製造方法。
【請求項21】
請求項20記載のDC/DCコンバータモジュールの製造方法において、
前記搭載ステップでは、前記配線パターンにフリップチップを用いて前記半導体集積回路チップを搭載するDC/DCコンバータモジュールの製造方法。
【請求項22】
請求項20または請求項21記載のDC/DCコンバータモジュールの製造方法において、
前記搭載ステップでは、前記凹部に、コンデンサ、抵抗、ダイオード及びスイッチ素子のうちの少なくとも1つの電子部品をさらに搭載し、
前記樹脂封止ステップでは、前記電子部品も前記樹脂部で樹脂封止するDC/DCコンバータモジュールの製造方法。
【請求項23】
請求項15〜請求項17のうちのいずれか一つの請求項または請求項20〜請求項22のうちのいずれか一つの請求項記載のDC/DCコンバータモジュールの製造方法において、
前記素子形成ステップでは、メタルエッチングにより前記配線パターンを形成するDC/DCコンバータモジュールの製造方法。
【請求項24】
請求項15〜請求項17のうちのいずれか一つの請求項または請求項20〜請求項22のうちのいずれか一つの請求項記載のDC/DCコンバータモジュールの製造方法において、
前記素子形成ステップでは、レーザ加工及びめっき技術により前記配線パターンを形成するDC/DCコンバータモジュールの製造方法。
【請求項25】
請求項24記載のDC/DCコンバータモジュールの製造方法において、
前記素子形成ステップでは、前記被覆部材の配線パターン形成部位にレーザを照射して金属を析出し、無電解めっきにより前記析出した金属をめっきして前記配線パターンを形成するDC/DCコンバータモジュールの製造方法。
【請求項26】
請求項1〜請求項6のうちのいずれか一つの請求項記載のインダクタ素子を備えた電子機器。
【請求項27】
請求項7〜請求項14のうちのいずれか一つの請求項記載のDC/DCコンバータモジュールを備えた電子機器。
【請求項28】
請求項15〜請求項25のうちのいずれか一つの請求項記載のDC/DCコンバータモジュールの製造方法を用いて形成されたDC/DCコンバータモジュールを備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−287684(P2010−287684A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139536(P2009−139536)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】