説明

インダゾール−3−カルボン酸及びN−(S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−1H−インダゾール−3−カルボキサミド塩酸塩の調製方法

本発明は、N−(S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−1H−インダゾール−3−カルボキサミドHCl塩(13)のような、ニコチン性α−7受容体のアゴニスト又は部分アゴニストの製造のための主要な出発物質である、インダゾール−3−カルボン酸(2)を調製するための新規な方法を提供する。ニコチン性α−7受容体のアゴニスト及び部分アゴニストは、欠損又は機能不全のニコチン性アセチルコリン受容体に関連する病状、特に脳の病状の処置、例えば、アルツハイマー病及び統合失調症、並びに他の精神障害及び神経障害の処置において有用である。本方法は、スケールアップしたレベルでインダゾール−3−カルボン酸を調製するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ニコチン性α−7受容体のアゴニスト又は部分アゴニストである、N−(S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−1H−インダゾール−3−カルボキサミドHCl塩(13)のような医薬品の製造のための主要な出発物質である、インダゾール−3−カルボン酸(2)を調製するための新規な方法を提供する。これらの活性は、欠損又は機能不全のニコチン性アセチルコリン受容体に関連する病状、特に脳の病状の処置、例えば、アルツハイマー病及び統合失調症、並びに他の精神障害及び神経障害の処置におけるその使用のために研究されている。本方法は、化合物(2)のスケールアップな調製に有用である。
【0002】
発明の背景
下記:
【化1】


で示されるN−(S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−1H−インダゾール−3−カルボキサミドHCl塩(16)のような二環インダゾールアミドは、アルツハイマー病及び統合失調症の処置のために有用である。
【0003】
二環インダゾールアミドは、WO 2004/029050、WO 2005/063767、WO 2005/092890、WO 2005/111038、WO 2006/001894、WO 2006/069097、及びWO 2007/038367に記載されている。これらの化合物は、ニコチン性α−7受容体の部分アゴニストである。この受容体に作用する化合物は、アルツハイマー病及び統合失調症、並びに他の精神障害及び神経障害の処置において有益であることもできる。
【0004】
インダゾール−3−カルボン酸(2)は、ニコチン性α−7受容体の部分アゴニストである、化合物(16)の製造のための主要な出発物質である。今日まで、化合物(2)を安全にかつ経済的に調製するためのスケールアップな反応は、成功していない。
【0005】
インダゾール−3−カルボン酸(2)の調製ためには、2種類の主な方法がある。一つの方法を、下記スキーム1に示す。
【化2】

【0006】
イサチン(1)をNaOH水溶液で加水分解する。次に中間体をジアゾニウム塩に変換し、続いて還元によりアリールヒドラジンを生成する。酸性条件下、アリールヒドラジンの環化により、インダゾール酸を得る(J. Am. Chem. Soc., 1952, 74, 2009; Faming Zhuanli Shenqing Gongkai Shuomingshu (2003),11 pp. CODEN: CNXXEV CN 1451660 A 20031029 CAN 142:430447 AN 2005:203871 CAPLUS; Guangzhou Huagong (2000), 28(4), 108, 98. CODEN: GUHUEZ ISSN:1001-9677. CAN 135:19588 AN 2001:109038 CAPLUS)。低い総収率(25〜43%)及びジアゾニウム塩中間体の爆発性に付随する安全性リスクのせいで、この方法はスケールアップには不適である。
【0007】
第2の方法を、下記スキーム2に示す(J. Heterocyclic Chem., 1989, 26, 531; Faming Zhuanli Shenqing Gongkai Shuomingshu (2008), 35pp. CODEN: CNXXEV CN 101239950 A 20080813 CAN 149:332325 AN 2008:997937 CAPLUS; Yaoxue Jinzhan (2006), 30(5), 235-237. CODEN: YJAIBE ISSN:1001-5094. CAN 146:316842 AN 2006:770369 CAPLUS; Faming Zhuanli Shenqing Gongkai Shuomingshu (2005), 7 pp. CODEN: CNXXEV CN 1594297 A 20050316 CAN 144:192261 AN 2006:135971 CAPLUS)。
【化3】

【0008】
工程1において、化合物(3)と化合物(4)を反応させて、化合物(5)を生成する。工程2において、化合物(5)を濃硫酸で処理して、化合物(6)を得る。反応混合物を水で希釈し、加熱還流して、化合物(2)を得る。この方法は、3つの化学変換を伴う3つの単離を含み、そしてスケールアップでのその使用に影響する幾つかの本質的な欠点を有する。これらの欠点には、工程1における小容量及び工程2における溶媒としての95%硫酸の使用が挙げられる。別の欠点は、収率損失を回避するために、工程1において抱水クロラール(3)の水溶液を酸性反応混合物に100℃で迅速に添加する必要性、続く混合物の10分間での周囲温度への急速冷却の必要性であり、ラージスケールでの達成に困難な操作である。
【0009】
したがって、スケールアップレベルで、化合物(2)を調製するための新規で効果的な方法が望まれる。
【0010】
発明の概要
スキーム3で図示するように、本発明は、下記式:
【化4】


を有する化合物(2)の調製方法であって、
(a) フェニルヒドラジンをベンズアルデヒドと反応させて、下記:
【化5】


で示されるベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン(9)を得る工程;
(b) 工程(a)からのベンズアルデヒドフェニルヒドラゾンを塩化オキサリルと混合して、下記:
【化6】


で示される中間体(10)を得る工程;
(c) 工程(b)からの中間体(10)を塩化アルミニウムと混合して、下記:
【化7】


で示される中間体(11)を得る工程;そして
(d) 工程(c)からの中間体(11)を酸性水溶液と混合して、化合物(2)を得る工程を含む、方法を提供する。
【0011】
本発明は、(16)の遊離塩基形態である、下記式:
【化8】


を有する化合物(15)の調製方法であって、スキーム4に示すように、
(a) 下記:
【化9】


で示される化合物(2)と化合物(12)とを、非求核塩基及び不活性有機溶媒の存在下、混合して、下記:
【化10】


で示される中間体(13)を得る工程;そして
(b) 下記:
【化11】


で示される化合物(14)を工程(a)の中間体(13)に加えて、化合物(15)を得る工程を含む、方法を更に提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】インダゾール−3−カルボン酸の形態Aは、図1に示す、2θ(2シータ)でのCuKα線で得た下記のX線回析ピーク=10.3、11.1、13.3、14.5、16.8、20.0、22.0、23.6、25.7、及び29.2(±0.2°)より選択される少なくとも3つのピークにより特徴付けすることができる。
【図2】インダゾール−3−カルボン酸の形態Aは、図2に示すように、分解の前にTGA曲線において有意な重量損失が観察されないので、無溶媒の形態である。
【図3】インダゾール−3−カルボン酸の形態Bは、無溶媒、結晶形態である。形態Bは、図3に示す、2θ(2シータ)でのCuKα線で得た下記のX線回析ピーク=5.3、9.2、14.1、16.0、18.5、19.3、21.4、23.3、24.6、及び26.6(±0.2°)より選択される少なくとも3つのピークにより特徴付けすることができる。
【図4】インダゾール−3−カルボン酸の形態Bは、図4に示すように、分解の前にTGA曲線において有意な重量損失が観察されないので、無溶媒の形態である。
【0013】
発明の詳細な説明
本明細書で使用されるとき、下記の用語は、以下に示す意味を有する。
【0014】
用語「不活性有機溶媒」は、化学的に反応を妨げない有機溶媒を指す。不活性有機溶媒の非限定的実例には、ジクロロメタン、クロロホルム、ジメチルホルムアミド(DMF)などが挙げられる。
【0015】
用語「非求核塩基」は、非常に強い塩基であるが、しかし弱い求核剤である、有機塩基を指す。非求核塩基の非限定的実例には、トリエチルアミン(TEA)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、1,8−ジアザビシロウンデカ−7−エン(DBU)などが挙げられる。
【0016】
用語「酸性水溶液」は、溶媒が水でありかつpHレベルが7.0未満である溶液を指す。単語「水性」は、水に溶解していることを意味する。酸は、水に溶解している場合、純粋な水(すなわちpH7.0未満)中よりも大きな水素イオン活性を溶液に与える、任意の化合物である。酸性水溶液の一般的な例には、水中の、酢酸、塩酸(HCl)、硫酸、それらの混合物などが挙げられる。
【0017】
用語「遊離塩基形態」は、その塩の形態と対照的に、純粋な塩基形態(一般的にアミンの)を指す。アミンは、アルカロイドであることができ、そして遊離塩基形態は、一般的に、化合物の非プロトン化アミン形態を記述するために使用される。多くの遊離塩基形態は、それらの純粋な形態では不安定であり、そして多くの場合、塩として保存される。塩は、通常、より大きな水溶性を呈する。一般的な対イオンには、クロリド、ブロミド、アセタート及びオキサラートが挙げられる。
【0018】
上記のように、本発明は、下記式:
【化12】


を有する化合物(2)の調製方法であって、
(a) フェニルヒドラジンをベンズアルデヒドと反応させて、下記:
【化13】


で示されるベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン(9)を得る工程;
(b) 工程(a)からのベンズアルデヒドフェニルヒドラゾンを塩化オキサリルと混合して、下記:
【化14】


で示される中間体(10)を得る工程;
(c) 工程(b)からの中間体(10)を塩化アルミニウムと混合して、下記:
【化15】


で示される中間体(11)を得る工程;そして
(d) 工程(c)からの中間体(11)を酸性水溶液と混合して、化合物(2)を得る工程を含む、方法を提供する。
【0019】
化合物(2)を調製するための本発明の方法を、下記スキーム3に示す。
【化16】

【0020】
本発明は、安全でかつ容易にスケーラブルな、ジアゾニウムを含まない経路を介し、主要中間体である、インダゾール−3−カルボン酸(2)を調製するための新規な方法を提供する。新規な方法は、市販のフェニルヒドラジン(7)及びベンズアルデヒド(8)から出発して、3工程で酸(2)を得る。フェニルヒドラジン(7)とベンズアルデヒド(8)との反応により、ベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン(9)を得る。化合物(9)と塩化オキサリルとの反応により、中間体(10)を得、次にこれをフリーデル・クラフツ(Friedal-Crafts)反応中、AlClで処理して、ベンジリデンアミノイサチン(11)を与える。(11)の加水分解及び環転位により、所望の酸(2)を生成する。
【0021】
好ましくは、工程1は、水性媒体、又は水とアルコール(例えば、MeOH、EtOH、及び2−プロパノール)との混合溶媒中で実施し、そして約20〜30℃で、好ましくは、25〜30℃で、例えば、約1時間かけて実施する。好ましくは、工程2は、不活性有機溶媒中で実施し、より好ましくは、有機溶媒はジクロロメタンであり、工程2は、約40℃で、例えば、約2時間かけて実施する。好ましくは、工程3は、不活性有機溶媒中で実施し、より好ましくは、有機溶媒はジクロロメタンであり、そして例えば、加熱還流する。好ましくは、工程4における酸性水溶液は、酢酸と塩酸との水性混合物であり、そして酸性水溶液は、約90±5℃で、例えば、約1時間かけて混合する。
【0022】
中間体(11)は、抽出物のワークアップにより、ジクロロメタン溶液として単離することができる。工程3の反応が完了したとき、水を加えることにより反応混合物をクエンチする。(11)のジクロロメタン溶液を、層の分離により得る。次に(11)のこの溶液を、工程4(実施例2、A)で使用する。代替方法において、(11)は、沈殿により、湿潤ケーク固体として単離することができる。この場合、水を加えることにより、工程3の反応をクエンチする。次に、有機溶媒を混合物から蒸留により除去する。中間体(11)は、水性混合物から沈殿し、濾過により単離する。次に固体湿潤ケーク(11)を、工程4(実施例2、B)で使用する。
【0023】
インダゾール−3−カルボン酸(2)は、少なくとも2つの異なる結晶形態(形態A及び形態B)中に存在する。結晶形態を、XRPD及びTGAを使用して同定する。「XRPD」は、本明細書において、粉末X線回折(X-Ray Powder Diffraction)の頭字語として使用される。X線回折パターンを、CuKα線、回転試料台、及びVantec位置高感度検出器を備えたBruker D8 Advance 粉末X線回折計を用いて周囲条件で記録した。2°〜36° 2θ、ステップサイズ0.007°、及びステップ時間0.35秒で試料をスキャンした。
【0024】
「TGA」は、本明細書において、熱重量分析(Thermo Gravimetric Analysis)の頭字語として用いられる。TGA曲線は、TA Instruments 製のTGA Q5000で測定した。システム適合性試験及び較正を、内部標準操作手順に従って実施した。稼働中を通して窒素パージを維持しながら、加熱速度は、10℃/分であった。
【0025】
インダゾール−3−カルボン酸は、調製方法に依存して、異なる多形として単離することができる。インダゾール−3−カルボン酸の形態Aは、DMF/水、DMF/酸性水、又は酢酸から単離することができる。インダゾール−3−カルボン酸の形態Bは、ジクロロメタン、t−ブチルメチルエーテル(MTBE)、又は酢酸エチルなどから単離することができる。インダゾール−3−カルボン酸の形態Aは、還流しているMeOH中のインダゾール−3−カルボン酸の形態Bを4時間懸濁することによって得ることができる。インダゾール−3−カルボン酸の形態Aは、溶媒を含まない、結晶形態である。
【0026】
上記のように、本発明は、下記:
【化17】


で示される化合物(15)の調製方法であって、
(a)下記:
【化18】


で示される化合物(2)と化合物(12)とを、非求核塩基及び不活性有機溶媒の存在下、混合して、下記:
【化19】


で示される中間体(13)を得る工程;そして
(b)下記:
【化20】


で示される化合物(14)を工程(a)の中間体(13)に加えて、化合物(15)を得る工程を含む、方法を更に提供する。
【0027】
本発明は、上に定義のとおりの化合物(15)の調製方法を更に提供し、ここで、化合物(2)は、上に定義のとおりの方法により調製する。加えて、本発明は、化合物(15)を塩酸塩に変換して、下記:
【化21】


で示される化合物(16)を得る、上に定義のとおりの方法を提供する。
【0028】
インダゾール−3−カルボン酸(2)からN−(S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−1H−インダゾール−3−カルボキサミド(15)を調製するための本発明の方法を、下記スキーム4に示す。
【化22】

【0029】
工程1の非求核塩基は、好ましくは、ジイソプロピルエチルアミンである。工程1の不活性有機溶媒は、好ましくは、ジメチルホルムアミドである。工程2において、中間体(13)への化合物(14)の添加の後、反応混合物を好ましくは、室温で、例えば、一晩又は10〜12時間それぞれ撹拌し、次に45℃で10時間加熱する。工程2で生成した化合物(15)を、好ましくは、不活性有機溶媒を除去することにより単離する。かなりの低コスト及び容易な取り扱いが、この方法の利点である。
【0030】
本発明の化合物は、以下に記載する実施例に従って調製することができる。実施例は、本発明の化合物及び組成物の調製を実証する目的で提示するものであるが、これらを制限するものではない。
【0031】
実施例
実施例1
ベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン(9)の調製(工程1)
A. 反応溶媒として純粋な水を使用する
機械式撹拌機、熱電対、窒素入口、及び添加漏斗を備えた、5L容量の半ジャケット付き4−口丸底フラスコに、フェニルヒドラジン322g(2.98mol)及び水3.3Lを入れた。撹拌を開始した。バッチ温度を25〜30℃に保持しながら、混合物に、ベンズアルデヒド301g(2.84mol)を約1時間でゆっくりと入れた。添加の後、混合物を25〜30℃で少なくとも2時間撹拌し、次に20℃に冷却した。固体を濾過し、イソプロピルアルコール(IPA)444gで洗浄した。湿潤ケークを、真空下、70℃で一晩乾燥させて、ベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン(9)540.4g(97%)を得た。
【0032】
B. 水/2−プロパノールの混合溶媒を反応溶媒として使用する
機械式撹拌機、熱電対、窒素入口、及び添加漏斗を備えた、3L容量の半ジャケット付き4−口丸底フラスコに、フェニルヒドラジン200g(1.85)、水2.0L、及び2−プロパノール0.6Lを入れた。撹拌を開始した。バッチ温度を25〜30℃に保持しながら、混合物にベンズアルデヒド188g(1.77mol)を約1時間でゆっくりと入れた。添加の後、混合物を25〜30℃で少なくとも2時間撹拌し、次に20℃に冷却した。固体を濾過し、水/2−プロパノール(3:1、v/v)の2×250mLで洗浄した。湿潤ケークを真空下、90℃で20時間乾燥させて、ベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン(9)335g(96.4%)を得た。
【0033】
実施例2
(9)からインダゾール−3−カルボン酸(2)の調製(工程2〜4)
A. 中間体(11)の非単離
機械式撹拌機、熱電対、窒素入口、及び添加漏斗を備えた、3L容量の半ジャケット付き4−口丸底フラスコに、塩化オキサリル35.6g(280mmol)及びジクロロメタン200mLを入れた。溶液を約40℃に加熱し、ジクロロメタン800mL中のベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン(9)50g(255mmol)の溶液をゆっくりと加えた。添加の後、混合物を約40℃で少なくとも2時間撹拌して、中間体の溶液(I)を生成した。
【0034】
機械式撹拌機、熱電対、窒素入口、及び添加漏斗を備えた、3L容量の半ジャケット付き4−口丸底の第2フラスコに、塩化アルミニウム81.4g(612mmol)及びジクロロメタン200mLを入れた。撹拌を開始し、バッチ温度を30℃未満に保持しながら、第1フラスコ中の中間体の溶液(I)をゆっくりと加えた。添加の後、混合物を少なくとも2時間還流した。混合物を約0℃に冷却し、バッチ温度を10℃未満に保持しながら、水500mLをゆっくりと加えた。添加の後、混合物を約0.5時間撹拌した。層分離のために撹拌を停止した。底の有機層が分離した。バッチに、ジクロロメタン100mLを加えた。混合物を約0.5時間撹拌した。層分離のために撹拌を停止した。底の有機層が分離した。合わせた有機溶液を、10%HCl 400mLで、続いてブライン400mLで洗浄した。有機溶液を濃縮乾固して、中間体(11)60.1g(95%)を得た。
【0035】
機械式撹拌機、熱電対、及び窒素入口を備えた、500mL容量の半ジャケット付き4−口丸底のフラスコに、中間体(11)28.7g(115mmol)、酢酸215mL、水43mL及び31%HCl 28.7gを入れた。混合物を90±5℃で1時間撹拌し、次に濃縮乾固した。フラスコに、酢酸300mLを加えた。混合物を115℃で約0.5時間撹拌し、撹拌下で周囲温度に冷却し、少なくとも1時間熟成させた。固体を濾過し、湿潤ケークを酢酸50mLで洗浄し、真空下、65℃で一晩乾燥させて、(2)13.2g(収率71%)を、形態AとBとの混合物として得た。
【0036】
B. 湿潤ケークとして(11)の単離を伴う
機械式撹拌機、熱電対、窒素入口、及び添加漏斗を備えた、3L容量の半ジャケット付き4−口丸底フラスコに、塩化オキサリル71.2g(560mmol)及びジクロロメタン400mLを加えた。溶液を約40℃に加熱し、ジクロロメタン1600mL中のベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン(9)100g(509mmol)の溶液を約2時間でゆっくりと加えた。添加の後、混合物を約40℃で少なくとも1時間撹拌し、反応を完了させた。大気圧蒸留を開始して、液体約500mLを除去し、次にバッチを20℃に冷却して、中間体の溶液(I)を得た。
【0037】
機械式撹拌機、熱電対、窒素入口、及び添加漏斗を備えた、3L容量の半ジャケット付き4−口の第2フラスコに、塩化アルミニウム162g(1220mmol)及びジクロロメタン300mLを入れた。撹拌を開始し、バッチ温度を30℃未満に保持しながら、第1フラスコ中の中間体の溶液(I)をゆっくりと加えた。添加の後、混合物を少なくとも2時間還流した。大気圧蒸留を開始して、ジクロロメタン約1000mLを除去した。次に、混合物を約0℃に冷却し、バッチ温度を20℃未満に保持しながら、1000mLをゆっくりと加えた。添加の後、混合物を約0.5時間撹拌し、ジクロロメタンの残りを加熱蒸発させた。バッチに、水400mLを加え、混合物をその温度で約0.5時間撹拌した。得られたスラリーを約20℃に冷却し、少なくとも1時間熟成させた。固体を濾過し、300mLで洗浄して、粗湿潤ケーク(9)を得た。
【0038】
機械式撹拌機、熱電対、及び窒素入口を備えた、3L容量の半ジャケット付き4−口丸底のフラスコに、湿潤ケーク(9)を入れ、続いて酢酸900mL、及び31%HCl溶液132gを添加した。混合物を撹拌し、90±5℃で1時間加熱し、次に最小撹拌容量まで濃縮した。フラスコに、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)150mLを加えた。留出物の総量約1040mLを回収するまで、蒸留を続けた。次に混合物を約40℃に冷却し、ジクロロメタン1000mLをゆっくりと加えた。添加の後、混合物を少なくとも約1時間還流し、15℃に冷却し、少なくとも1時間熟成させた。固体を濾過し、湿潤ケークをジクロロメタン300mLで洗浄し、真空下、90℃で一晩乾燥させて、インダゾール−3−カルボン酸(2)63g(収率76%)を純粋な形態Bとして得た。
【0039】
実施例3
形態Aへの形態Bの変換
機械式撹拌機、熱電対、及び冷却器を備えた、1L容量の半ジャケット付き4−口丸底のフラスコに、インダゾール−3−カルボン酸(形態B)100g(0.62mol)及びN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)200mLを入れた。撹拌を開始し、混合物を約80℃に加熱した。混合物を0.5時間撹拌して、清澄な溶液となった。この溶液に、5%塩酸600mLを2時間でゆっくりと加えた。水の添加の間に沈殿が生成した。添加の後、混合物をその温度で0.5時間撹拌し、およそ2時間で約10℃に冷却した。混合物を少なくとも1時間熟成させた。固体を濾過し、200mLで洗浄し、真空下、90℃で15時間乾燥させて、インダゾール−3−カルボン酸(形態A)95.1g(95.1%)を得た。
【0040】
実施例4
N−(S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル−1H−インダゾール−3−カルボキサミド(15)の調製
ジメチルホルムアミド(DMF)23L中のインダゾール−3−カルボン酸(2)2.5kg及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン13.4Lの混合物に、O−ベンゾトリゾール−N,N,N’,N’−テトラメチル−ウロニウム−ヘキサフルオロ−リン酸(HBTU)5.84kgを加えた。得られた混合物を室温で2時間撹拌して、中間体(13)を得た。次に、(S)−3−アミノキヌクリジン二塩酸塩(14)2.56kgを中間体(13)に加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次に45℃で10時間加熱した。次に混合物を濃縮して大部分のDMFを除去した。残留物にジクロロメタン80Lを加えた。混合物を3時間撹拌した。固体を濾過し、ジクロロメタン20Lで洗浄し、真空下で乾燥させて、化合物(15)3.07kgを得た。
【0041】
本発明のいくつかの実施態様を説明したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、基本的な構成を変更して、本発明を利用する他の実施態様を提供することができることは明らかである。全てのこのような修飾及び変更は、例として提示された特定の実施態様ではなく、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲内に含まれるものであることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記:
【化23】


で示される化合物(2)の調製方法であって、
(a) フェニルヒドラジンをベンズアルデヒドと反応させて、下記:
【化24】


で示されるベンズアルデヒドフェニルヒドラゾン(9)を得る工程;
(b) 工程(a)からのベンズアルデヒドフェニルヒドラゾンを塩化オキサリルと混合して、下記:
【化25】


で示される中間体(10)を得る工程;
(c) 工程(b)からの中間体(10)を塩化アルミニウムと混合して、下記:
【化26】


で示される中間体(11)を得る工程;そして
(d) 工程(c)からの中間体(11)を酸性水溶液と混合して、化合物(2)を得る工程を含む、方法。
【請求項2】
工程(a)を水性媒体中で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
工程(a)を約25〜30℃で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項4】
工程(b)を不活性有機溶媒中で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
有機溶媒がジクロロメタンである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
工程(b)を約40℃で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
工程(c)を不活性有機溶媒中で実施する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
有機溶媒がジクロロメタンである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
工程(c)における混合の後、混合物を加熱還流する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
工程(d)の酸性水溶液が、酢酸と塩酸との水性混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
工程(d)の酸性水溶液を、約90±5℃で混合する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
下記:
【化27】


で示される化合物(15)の調製方法であって、
(a) 下記:
【化28】


で示される化合物(2)と化合物(12)とを、非求核塩基及び不活性有機溶媒の存在下、混合して、下記:
【化29】


で示される中間体(13)を得る工程;そして
(b) 下記:
【化30】


で示される化合物(14)を工程(a)の中間体(13)に加えて、化合物(15)を得る工程を含む、方法。
【請求項13】
工程(a)の非求核塩基がジイソプロピルエチルアミンである、請求項12記載の方法。
【請求項14】
工程(a)の不活性有機溶媒がジメチルホルムアミドである、請求項12記載の方法。
【請求項15】
工程(b)の化合物(15)を、不活性有機溶媒を除去することにより単離する、請求項12記載の方法。
【請求項16】
化合物(2)を請求項1〜11のいずれか一項記載の方法により調製する、請求項12〜14のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
化合物(15)を塩酸塩に変換して、下記:
【化31】


で示される化合物(16)を得る、請求項12〜15のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
本明細書に先に定義の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−517235(P2013−517235A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548391(P2012−548391)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050140
【国際公開番号】WO2011/086031
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】