説明

インナードラム露光装置

【課題】 FMスクリーンを用い安定して中間調を表現可能に記録できるインナードラム露光装置を提供する。
【解決手段】 光源30から出射された直線偏光の光ビームLを、光路中に配置された1/4波長板32で、円偏光に変換する。円偏光に変換された光ビームLを、一軸性結晶の光学素子26を透過する際に常光線と異常光線とに等強度で副走査方向に分離してから、走査手段16の反射鏡面18Aで反射して、記録媒体14上の集光点に副走査方向に対して略矩形状の分布となり、かつエッジ部が急峻となったビームスポットに集光して露光処理を行う。これにより記録媒体14の発色閾値の変動や光ビームLの強度変動等の影響を受けることなく、副走査方向に対する画像むらが好適に抑制され、FMスクリーンを用い安定して中間調の表現を記録できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザビームの走査光学系により円筒ドラム内面に配置した感光面を走査して露光処理するインナードラム露光装置(内面走査型光ビーム走査露光装置)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、円筒ドラムの内周面上に配置した記録媒体の感光面にレーザ等の光ビームを導いて走査露光処理を行うインナードラム露光装置(内面走査型光ビーム走査露光装置)が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。なお、画像が露光記録された記録媒体は、必要に応じて自動現像機にかけられて、記録媒体上に形成された潜像が顕像に変換される。
【0003】
このようなインナードラム露光装置では、記録媒体に露光処理して中間調を表現する場合に、AMスクリーン(網点画像により濃淡画像を形成する手法)を利用して網形状(いわゆる極小の市松模様状)で中間調を表現するのが普通である。すなわち、AMスクリーンでは、最小単位の網点画像が、一例として14(水平方向ドット数)×14(垂直方向ドット数)の合計196ドット等、比較的多数のドットで構成されており、この網点画像を2次元平面状に並べて記録することにより濃淡画像を記録するようにしている。ただ、このAMスクリーンを利用して中間調を表現する場合には、モアレ縞を生じたり、またトーンジャンプが発生することがある。
【0004】
また、網点画像により濃淡画像を形成する手法として、FMスクリーン(FM Screen)と呼ばれる手法がある。このFMスクリーンは、規則性を持たない不定形ドットの集合密度によって記録画像の濃淡を表現するものであり、例えば、2×2の合計4ドット等、比較的少数のドットで構成された画像を2次元平面状に分散させて階調表現を行う。このFMスクリーンでは、原理的にモアレ縞の発生等を抑制することができるという利点がある。
【0005】
そこで、インナードラム露光装置では、FMスクリーンを使って、小さな網形状で中間調を形成することが望まれている。
【0006】
しかし、通常のインナードラム露光装置では、単一横モードのレーザ光源から出射した光を被走査面上に結像して画像を形成するよう構成されているため、ビームスポットの形状はガウス分布をしている。このようなガウス分布したビームスポットで露光して画素を記録する場合には、走査線間が空かないようにビームスポットの半値幅と画素サイズとを略同じサイズか、それ以上のサイズになるように設計する。このため、エッジ部がなだらかなビームスポットにより露光してFMスクリーンを記録したときの画像は、光パワー変動や刷り枚数といった記録条件や、自動現像機の現像の度合いといった現像条件等によって記録画素の周長が少しでも変わると網点画像の割合(網点面積率特性)が急激に変わり易いから濃度変動を起こし易いため、従来のインナードラム露光装置でFMスクリーンを利用することが困難であるという問題がある。
【特許文献1】特開平10−133132号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、FMスクリーンを用い安定して中間調を表現可能に記録できるインナードラム露光装置を新たに提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載のインナードラム露光装置は、支持体に形成した円弧状の内周面に保持された記録媒体に対し、画像情報に応じて変調された光ビームを、走査手段の回転駆動される反射鏡面で偏向し走査することによって画像を記録するインナードラム露光装置において、光ビームを出射する光源と、光源と走査手段との間の光路中に配置され、光源から出射された直線偏光の光ビームを円偏光に変換する1/4波長板と、1/4波長板と反射鏡面との間に配置されると共に反射鏡面に光ビームが入出射する面と結晶光軸とが略平行になるように配設され、光ビームを常光線と異常光線とに等光量で平行に分割され2つのビームスポットが一部重なるように隣接して副走査方向に並ぶビームスポット形状を形成するため、反射鏡面と一体的に回動するよう装着された一軸性結晶の光学素子と、を有することを特徴とする。
【0009】
上述のように構成することにより、このインナードラム露光装置では、光源から出射した略直線偏光である光ビームが光路上に配置された1/4波長板32を通過する際に円偏光に変換される。この円偏光に変換された光ビームは、一軸性結晶の光学素子を透過する際に常光線と異常光線とにビーム分割される。このビーム分割された常光線と異常光線とは、その強度が同じで、例えば副走査方向にビーム分割される。この等強度で副走査方向にビーム分割された常光線および異常光線は、反射鏡面で反射されて、記録媒体上の集光点に例えば副走査方向に対して略矩形状の分布となり、かつエッジ部が急峻となったビームスポットに集光される。そして、このインナードラム露光装置では、ビーム分割されて略矩形状の分布となると共に、エッジ部が急峻となったビームスポットが、例えば、ビームスポット形状が副走査方向に細長くなる状態(すなわち、ビームスポットの略矩形状となった分布の長手方向が副走査方向(主走査方向に直交する方向)に沿う状態)を常に維持して露光処理を行う。よって、記録媒体上におけるビームスポットの強度分布は、副走査方向に略矩形状となり、集光点の両側部のエッジがシャープとなるため、記録媒体の発色閾値の変動やレーザビームの強度変動等の影響を受けることが殆どなく、副走査方向に対する画像むらが好適に抑制される。よって、FMスクリーンを記録したときの画像が、光パワー変動や刷り枚数といった記録条件や、自動現像機の現像の度合いといった現像条件等によって記録画素の周長が少しも変動しないようにして網点画像の割合(網点面積率特性)が急激に変ることを防止し濃度変動を起こし難くして、FMスクリーンを用い安定して中間調を表現するよう記録できる。
【0010】
本発明の請求項2に記載のインナードラム露光装置は、円弧状の内周面に保持された記録媒体に対し、画像情報に応じて変調された光ビームを、走査手段の回転駆動される反射鏡面で偏向し走査することによって画像を記録するインナードラム露光装置において、走査手段の反射鏡面にランダム偏光した光ビームを入射させるためのランダム偏光手段と、
反射鏡面にランダム偏光した光ビームが入出射する面と結晶光軸と法線とを含む平面とが同一面になるように配設され、光ビームを常光線と異常光線とに等光量でビーム分割し互いに平行シフトさせて2つのビームスポットが一部重なるように隣接して副走査方向に並ぶビームスポット形状を形成するため、反射鏡面と一体的に回動するよう装着された一軸性結晶の光学素子と、を有することを特徴とする。
【0011】
上述のように構成することにより、このインナードラム露光装置では、ランダム偏光手段によってランダム偏光された光ビームが、一軸性結晶の光学素子を透過する際に常光線と異常光線とにビーム分割される。このビーム分割された常光線と異常光線とは、その強度が同じで、例えば副走査方向にビーム分割される。この等強度で副走査方向にビーム分割された常光線および異常光線は、反射鏡面で反射されて、記録媒体上の集光点に例えば副走査方向に対して細長く延びた略矩形状の分布となり、かつエッジ部が急峻となったビームスポットに集光される。そして、このインナードラム露光装置では、ビーム分割されて略矩形状の分布となると共に、エッジ部が急峻となったビームスポットが、例えば、ビームスポット形状が副走査方向に細長くなる状態(すなわち、ビームスポットの略矩形状となった分布の長手方向が副走査方向(主走査方向に直交する方向)に沿う状態)を常に維持して露光処理を行うので、記録媒体上におけるビームスポットの強度分布が副走査方向に略矩形状となり、集光点の両側部のエッジがシャープとなるため、記録媒体の発色閾値の変動やレーザビームの強度変動等の影響を受けることが殆どなく、副走査方向に対する画像むらが好適に抑制される。よって、FMスクリーンを記録したときの画像が、光パワー変動や刷り枚数といった記録条件や、自動現像機の現像の度合いといった現像条件等によって記録画素の周長が少しも変動しないようにして網点画像の割合(網点面積率特性)が急激に変ることを防止し濃度変動を起こし難くして、FMスクリーンを用い安定して中間調を表現するよう記録できる。
【0012】
本発明の請求項3に記載のインナードラム露光装置は、支持体に形成された円弧状の内周面に記録媒体を保持し、画像情報に応じて変調された複数本の光ビームを偏向して、円弧状に保持された記録媒体上を走査することによって画像を記録するインナードラム露光装置において、複数本の光ビームを出射する光ビーム出力手段と、支持体の円弧状内周面の中心軸を回転軸とする反射鏡面を有し、複数本の光ビームを回転する反射鏡面により反射することで、記録媒体上を走査する走査手段と、光ビームを走査手段の回転軸に直交する面内で相対的に2次元的に偏向させ、記録媒体上で主走査方向および副走査方向の変位を生じさせる光偏向手段と、光偏向手段による記録媒体上での光ビームの変位位置を、反射鏡面の回転に同期させて制御する制御手段と、光ビーム出力手段と走査手段との間の光路中に配置され、光ビーム出力手段から出射された複数本の直線偏光の光ビームをそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板と、1/4波長板と反射鏡面との間に配置される共に反射鏡面に光ビームが入出射する面と結晶光軸と法線とを含む平面とが同一面になるように配設され、複数本の光ビームの各々を常光線と異常光線とに等光量でビーム分割し2つのビームスポットが一部重なるように隣接して副走査方向に並ぶビームスポット形状が形成されるようにするため、反射鏡面と一体的に回動するよう装着された一軸性結晶の光学素子と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上述のように構成することにより、制御手段が光偏向手段による記録媒体上での光ビームの変位位置を反射鏡面の回転に同期させて制御するので、光ビーム出力手段から出射された複数本の光ビームは、その所要の光ビームが光偏向手段によって記録媒体上を主走査方向および副走査方向の変位を生じるように走査手段の回転軸に直交する面内で相対的に2次元的に偏向して走査する。この時、光ビーム出力手段から出射された略直線偏光である複数本の光ビームは、光偏向手段に至る光路上に配置された1/4波長板を通過する際に円偏光に変換される。この円偏光に変換された複数本の光ビームは、一軸性結晶の光学素子を透過する際にそれぞれ常光線と異常光線とにビーム分割される。このビーム分割された常光線と異常光線とは、その強度が同じで、例えば副走査方向にビーム分割される。この等強度で副走査方向にビーム分割されたそれぞれの常光線および異常光線は、各々反射鏡面で反射されて、記録媒体上の各集光点に例えば副走査方向に対して略矩形状の分布となり、かつエッジ部が急峻となったビームスポットに集光される。そして、このインナードラム露光装置では、ビーム分割されて略矩形状の分布となると共に、エッジ部が急峻となった複数のビームスポットそれぞれが、例えば、ビームスポット形状が副走査方向に細長くなる状態(すなわち、ビームスポットの略矩形状となった分布の長手方向が副走査方向(主走査方向に直交する方向)に沿う状態)を常に維持して露光処理を行うので、記録媒体上における各ビームスポットの強度分布が副走査方向に略矩形状となり、集光点の両側部のエッジがシャープとなるため、記録媒体の発色閾値の変動やレーザビームの強度変動等の影響を受けることが殆どなく、副走査方向に対する画像むらが好適に抑制される。よって、FMスクリーンを記録したときの画像が、光パワー変動や刷り枚数といった記録条件や、自動現像機の現像の度合いといった現像条件等によって記録画素の周長が少しも変動しないようにして網点画像の割合(網点面積率特性)が急激に変ることを防止し濃度変動を起こし難くして、FMスクリーンを用い安定して中間調を表現するよう記録できる。
【0014】
また、光ビーム出力手段から出射された複数本の光ビームにより同時に画像を記録することにより、高精度な画像を高速に記録することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、インナードラム露光装置により、FMスクリーンを利用して安定して中間調の表現を記録できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のインナードラム露光装置に係わる第1実施の形態について図1乃至図5により説明する。本第1実施の形態に係わるインナードラム露光装置は、FMスクリーンを用い安定して中間調を記録可能に構成する。このインナードラム露光装置では、光パワー変動や刷り枚数といった記録条件や、自動現像機の現像の度合いといった現像条件等によって記録画素の周長が少しでも変わると網点画像の割合(網点面積率特性)が急激に変わり易いため濃度変動を起こし易くなることを低減するために、記録スポットの副走査方向の形状を矩形化し、かつ主走査方向のスポット径を記録画素よりも小さくする手段を講じる。
【0017】
図1の概略構成図に示すように、インナードラム露光装置10は、円弧内周面形状(円筒内周面の一部を構成する形状)の支持体12を母体として構成されており、この支持体12の内周面に沿って記録媒体14(フォトポリマー版若しくは通常のPS版又は銀塩タイプの感光材料等)を支持するようになっている。
【0018】
なお、このインナードラム露光装置10では、図示しない記録媒体14の供給排出装置によって、未記録の記録媒体14を供給し支持体12の内周面に確実に密着させて沿わせた状態に係着してから露光処理を行い、また露光処理済みの記録媒体14を支持体12から外部へ排出する操作を行う。
【0019】
このインナードラム露光装置10には、支持体12の円弧中心位置に、走査手段としてのスピナーミラー装置16を配設する。このスピナーミラー装置16は、円柱状の回転軸18を、その中心軸を回転軸(支持体12の円弧中心軸と一致する)として駆動源であるモータ20によって回動可能に構成する。このスピナーミラー装置16の回転軸18の先端部には、回転軸に対して45度の角度をなす反射鏡面18Aを形成する。
【0020】
この走査手段としてのスピナーミラー装置16は、図示しない副走査移動手段によって、支持体12の円弧中心軸の軸線方向(図1に向かって左右方向となる矢印C方向)に等速度で移動走査される。このスピナーミラー装置16は、スピナードライバ22によって、そのモータ20の回転制御がされ、図示しない副走査移動手段により副走査方向に移動制御される。
【0021】
また、このインナードラム露光装置10は、ビーム分割を行って支持体12の内周面上に配置した記録媒体14の記録面上を主走査するよう構成する。
【0022】
このため、スピナーミラー装置16側には、回転軸18に対して一体に回動するよう固着したホルダ24によって、一軸性結晶の光学素子26を配設する。なお、このホルダ24は、例えば円筒形に形成し、反射鏡面18Aで反射された光ビームを記録媒体14側へ通過させるための透穴24A(図2に図示)を穿設して形成する。
【0023】
この一軸性結晶の光学素子26は、光源側の集光レンズ28と、スピナーミラー装置16の反射鏡面18Aとの間の光路中に配置し、支持手段によって反射鏡面18Aと一体的に回動するよう装着して構成しても良い。なお、このインナードラム露光装置10は、一軸性結晶の光学素子26として、例えばビームディスプレイングプリズムで平行分割させるものを用いて種々に構成しても良い。
【0024】
この一軸性結晶の光学素子26は、図2に示すように、例えばビームディスプレイングプリズムの結晶光軸が入射面の法線に対して45度傾いたものを使用する。
【0025】
この一軸性結晶の光学素子26に円偏光した光ビーム(図示しないランダム偏光手段によって、画像信号に基づいて変調されているランダム偏光した光ビームでも良い)を入射させると、図3に示すように、光ビームは常光線Poと異常光線Peとに等光量でビーム分割する。この場合、常光線Poと異常光線Peは、互いに平行シフトする。例えば、この一軸性結晶の光学素子26によって、光波長405nmで、シフト量(分割幅)を5.5μmにする場合には、一軸性結晶の光学素子26の材料として水晶を利用し、その厚みを約0.904mmにすればよい。なお、この一軸性結晶の光学素子26の材料として利用する水晶は、材料的に安定で低コストであり、円の直径が30mmの大きさにも対応できるという利点を持つ。
【0026】
このように光ビームを常光線Poと異常光線Peとに等光量でビーム分割し、互いに平行シフト(角度分割させる方式でも良い)させて2つ重ね合わせたビームスポット形状を形成する場合(ビーム分割してビームスポットを形成する場合)には、例えば図4に示すように、半値幅5μmのガウスビームを5.5μmシフトした二つ重ね合わせた状態(ビーム分割した状態)となり、副走査方向に対してより矩形形状に近い状態となると共に、主走査方向に対してもシャープな状態となる(ビームスポットのエッジ部が急峻な状態となる)。
【0027】
これは、従来のガウス分布したビームスポット形状である半値幅8.8μm(1/e2幅15μm)にした場合を示す図5の比較例と比較すると、従来のガウス分布したビームスポット形状が横断面円形で副走査方向に延びることは無く、しかもビームスポット形状がなだらかに末広がりとなるため主走査方向に対しても緩やかな状態(ビームスポットのエッジ部が緩やかな状態)となることから、効果の相違が明白である。
【0028】
図3に示すように、このインナードラム露光装置10では、スピナーミラー装置16の反射鏡面18Aに光ビームが入出射する面と、一軸性結晶の光学素子26における結晶光軸と法線とを含む平面とが同一面になるように、一軸性結晶の光学素子26を配置することにより、副走査方向に2つのビームスポットが重ね合わされる状態(2つのビームスポットが一部重なるように隣接して副走査方向に並ぶ状態)となるように構成する。
【0029】
図1に示すように、このインナードラム露光装置10は、ビーム分割を行って記録媒体14の記録面上を主走査するため、スピナーミラー装置16側に光ビームあるいはランダム偏光した光ビームを投射する光源側の光学系を設ける。
【0030】
この光源側の光学系は、略直線偏光からなるレーザビームLを出力する半導体レーザ光源(LD)30と、この半導体レーザ光源30から出射されたレーザビームLを記録媒体14の露光面上に集光する集光光学系とを備える。この半導体レーザ光源30には、中心光強度が高く、中心から離れるに従って光強度が徐々に低くなる強度分布からなる単一横モード半導体レーザを用いることができる。
【0031】
この光源側の光学系は、半導体レーザ光源30側より、1/4波長板32、反射鏡34、反射鏡36、集光レンズ28を順に配列して構成する。
【0032】
この1/4波長板32は、半導体レーザ光源30から出射された直線偏光からなるレーザビームLが1/4波長板32を透過することによって円偏光に変換される。そして、この円偏光に変換されたレーザビームLは、集光レンズ28で集光された後、一軸性結晶の光学素子26を透過することによって、円偏光したレーザビームLが等光量でビーム分割し互いに平行シフトして副走査方向に2つのビームスポットを重ね合わせることができる状態となって、この等光量でビーム分割し互いに平行シフトした方向がスピナーミラー装置16の反射鏡面18Aにおける所定の入反射面に平行となる方向に入射し、反射鏡面18Aで反射し支持体12の内周面に置かれた記録媒体14上の集光点に副走査方向に対して略矩形状の分布となって集光して照射され、露光処理が行われる。
【0033】
なお、この光源側の光学系では、半導体レーザ光源30が、円偏光あるいはランダム偏光しているレーザビームLを出射する場合には、1/4波長板32を使用しない光源側の光学系に構成する。
【0034】
図1に示すように、インナードラム露光装置10では、スピナーミラー装置16と半導体レーザ光源30とを、中央制御装置40で制御しながら記録媒体14に画像を記録する作業を行う。このインナードラム露光装置10では、図示しない入力装置から露光すべき画像情報を入力し露光処理開始の指令を中央制御装置40に送信すると、中央制御装置40は、露光すべき画像情報に基づいて画像信号を発生し、この画像信号をレーザドライバ42へ送信する。すると、レーザドライバ42は、半導体レーザ光源30を駆動制御して画像信号に基づいて変調されたレーザビームLを出射し、光源側の光学系によってスピナーミラー装置16側へ照射する。
【0035】
また、これと同時に、中央制御装置40は、モータ20を回転制御して反射鏡面18Aを回転し、光源側の光学系から反射鏡面18Aに入射したレーザビームLを反射して記録媒体14に対して主走査方向への走査露光を行うと共に、スピナードライバ22へ制御信号を送信する。この制御信号を受信したスピナードライバ22は、図示しない副走査移動手段を制御し、スピナーミラー装置16を支持体12の円弧中心軸の軸線方向(図1に向かって左右方向となる矢印C方向)に等速度で移動走査する。これにより、スピナーミラー装置16で主走査方向への走査露光を行いながら、スピナーミラー装置16を副走査方向へ移動することによって、記録媒体14の記録面全面に対して2次元の画像を記録する処理を行う。
【0036】
次に、本第1実施の形態に係わるインナードラム露光装置の作用及び動作について説明する。
【0037】
このインナードラム露光装置10では、中央制御装置40及びレーザドライバ42により制御された半導体レーザ光源30より画像情報に応じて変調され出力されたレーザビームLが1/4波長板32に入射する。1/4波長板32に入射した略直線偏光であるレーザビームLは、円偏光に変換されて、反射鏡34と反射鏡36とに反射され集光レンズ28で集光されて一軸性結晶の光学素子26へ入射される。円偏光であるレーザビームLは、一軸性結晶の光学素子26を透過する際に常光線Poと異常光線Peとにビーム分割される。なお、異常光線Peの屈折角度は、一軸性結晶の光学素子26の光軸方向に対する厚みや材質によって任意に調整することができる。さらに、一軸性結晶の光学素子26は、副走査方向にビーム分割された常光線Poおよび異常光線Peの強度を同じに設定する。
【0038】
一軸性結晶の光学素子26によって副走査方向にビーム分割され、強度の調整された常光線Poおよび異常光線Peは、反射鏡面18Aで反射されて、記録媒体14上の集光点に副走査方向に対して略矩形状の分布となって集光される。すなわち、このインナードラム露光装置10では、ビーム分割されて略矩形状の分布となると共に、エッジ部が急峻となったビームスポットが、副走査方向に細長くなる状態(すなわち、ビームスポットの略矩形状となった分布の長手方向が副走査方向(主走査方向に直交する方向)に沿う状態)を常に維持して露光処理を行うので、FMスクリーンを記録したときの画像が、光パワー変動や刷り枚数といった記録条件や、自動現像機の現像の度合いといった現像条件等によって記録画素の周長が少しも変動しないようにして網点画像の割合(網点面積率特性)が急激に変ることを防止し濃度変動を起こし難くして、FMスクリーンを用い安定して中間調を表現するよう記録できる。
【0039】
次に、本発明のインナードラム露光装置に係わる第2実施の形態について、図6乃至図9を参照して説明する。まず、本発明の第2実施の形態に係わる原理を、図7A〜図7C及び図8A、図8Bにより説明する。
【0040】
走査手段としてのスピナーミラー装置16の反射鏡面18Aが図7Aの向き(反射鏡面18Aの短軸がY軸と一致)にある場合、Z軸に沿って反射鏡面18Aの中心に入射するレーザビームL0をスピナーミラー装置16に対して入射方向をX軸方向に−θXだけ偏位させると、反射されたレーザビームL0は、X軸に直交する所定の面内において、Z方向に+Δzだけ変位する。また、図7Bに示すように、レーザビームL0をスピナーミラー装置16に対してY軸方向に+θYだけ偏位させると、反射されたレーザビームL0は、X軸に直交する所定の面内において、Y方向に+Δyだけ変位する。従って、図7Cに示すように、レーザビームL0をX、Y軸方向にθXYだけ偏位させることにより、反射されたレーザビームL0を記録媒体14上で相対的に2次元的に変位させることができる。なお、2本のレーザビームを、各々の方向へ各々の距離づつ偏位させることにより、反射されたレーザビームが記録媒体上で相対的に2次元的に変位するように構成しても良い。
【0041】
ここで、レーザビーム#1をX軸のマイナス方向およびY軸のプラス方向に所定量偏位させることにより、反射されたレーザビーム#1、#2を図8Aに示すX−Z平面上でZ軸方向に沿う配列に修正することができる。同様に、スピナーミラー装置16の反射鏡面18Aが図8Bの向きにある場合において、レーザビーム#1をX軸のプラス方向およびY軸のプラス方向に所定量偏位させることにより、反射されたレーザビーム#1、#2を図8Bに示すX−Z平面上の配列に修正することができる。
【0042】
このように、反射鏡面18Aに対するレーザビーム#1の入射方向を2次元的に調整することにより、記録シートS上における各レーザビーム#1、#2のスポットを常時Z軸方向に配列することができる。従って、図9に示すように、この各レーザビーム#1、#2によって記録媒体14上に記録される走査線を、全走査域にわたって平行な直線として形成することができるとともに、その走査線長を同一とすることができる。
【0043】
ここで、図10Aに示すように、スピナーミラー装置16の反射鏡面18Aに入射するレーザビーム#1、#2のスポットを、記録媒体14と共役となる面S′上に射影した場合、このスピナーミラー装置16の回転に伴う共役となる面S′上におけるレーザビーム#1の軌跡は、図10Bに示すように、スピナーミラー装置16の角速度をωとし、レーザビーム#1と、レーザビーム#2との走査面上での分割幅(レーザビーム#1による走査面上でのビームスポットの位置と、レーザビーム#2による走査面上でのビームスポットの位置との間の距離)をW(図9に図示)とすると、
【0044】
【数1】

【0045】
で表される円となる。従って、この式に従ってレーザビーム#1を偏向して光走査器2に導くようにすることで、図9に示すように、走査面上で分割幅Wの一定間隔離れた複数の走査線を形成することができる。
【0046】
次に、本発明の第2実施の形態に係わるインナードラム露光装置の構成について図6により説明する。本第2実施の形態に係わるインナードラム露光装置では、第1、第2の2つの半導体レーザ光源30A、30B(光ビーム出力手段)を用いるものである。すなわち第1、第2の半導体レーザ光源30A、30Bは、それぞれ直線偏光の光ビーム(レーザビーム)La、Lbを射出するから、これら両光ビームLa、Lbをそれぞれコリメーティングレンズ(コリメーターレンズ)44、46でそれぞれ平行ビームとする。
【0047】
この第1半導体レーザ光源30Aから出射された第1のレーザビームLaは、偏光ビームスプリッタ48に導かれて第2のレーザビームLbと合波される。この合波した光ビームLa、Lbは、前述した図1に示す第1実施の形態のインナードラム露光装置と同様に、光源側の光学系を構成する1/4波長板32、反射鏡34、反射鏡36、集光レンズ28によって、一軸性結晶の光学素子26を具備する走査光学系のスピナーミラー装置16に導かれる。なお、このように2つの半導体レーザ光源30A、30Bを光源とする場合には、光ビーム出力手段として、第1半導体レーザ光源30A用のレーザドライバ42Aと第2半導体レーザ光源30B用のレーザドライバ42Bとを別途用意し、中央制御装置40で別途生成した各画像信号をそれぞれのレーザドライバ42A、42Bへ送信する。すると、各レーザドライバ42A、42Bは、第1半導体レーザ光源30Aと第2半導体レーザ光源30Bとをそれぞれ駆動制御して各対応する画像信号に基づいて変調されたレーザビームLa、Lbを出射し、光源側の光学系によってスピナーミラー装置16側へ照射する。
【0048】
また、第2半導体レーザ光源30B用の光源側の光学系では、第2半導体レーザ光源30Bから出射されコリメーティングレンズ46で平行ビームとされた第2のレーザビームLbは、スピナーミラー装置16のX軸方向に偏向する光偏向手段である音響光学素子52Xと、第2のレーザビームLbをY軸方向に偏向する光偏向手段である音響光学素子52Yとを通過してから、偏光ビームスプリッタ48に導かれて第1のレーザビームLaと合波される。この合波した各々の光ビームLa、Lbは、右円偏光、左円偏光に変換されて、前述したように光源側の光学系によってスピナーミラー装置16側へ照射される。
【0049】
これら光偏向手段である音響光学素子52Xと音響光学素子52Yとは、それぞれ図11に示す回路で制御される。この制御手段としての回路は、スピナーミラー装置16に設けられた図示しないエンコーダからの信号に基づき制御クロック信号を生成する制御回路54と、この制御クロック信号に従って余弦波電圧信号(X=−a・cos ωt)を生成する余弦波信号生成回路56aと、この制御クロック信号に従って正弦波電圧信号(Y=−a・sin ωt)を生成する正弦波信号生成回路56bと、この余弦波電圧信号から周波数変調信号を生成する電圧制御発振器58aと、この正弦波電圧信号から周波数変調信号を生成する電圧制御発振器58bと、この電圧制御発振器58aからの周波数変調信号を増幅して音響光学素子52Xに供給する増幅器60aと、正弦波信号から周波数変調信号を生成する電圧制御発振器58bからの周波数変調信号を増幅して音響光学素子52Yに供給する増幅器60bとを備える。
【0050】
次に、上述のように構成された本第2実施の形態に係るインナードラム露光装置に係わる作用及び動作について説明する。
【0051】
第2半導体レーザ光源30B(光ビーム出力手段)から出射されコリメーティングレンズ46で平行ビームとされた第2のレーザビームLbは、光偏向手段である音響光学素子52XによってX軸方向に偏向された後、光偏向手段である音響光学素子52YによってY軸方向に偏向される(図8A、図8B参照)。さらに第2のレーザビームLbは、偏光ビームスプリッタ48に導かれて第1のレーザビームLaと合波される。さらに、第2のレーザビームLbは、光源側の光学系によってスピナーミラー装置16に導入される。
【0052】
スピナーミラー装置16は、Z軸を中心として回転する反射鏡面18Aにより第2のレーザビームLb(#1)を反射偏向し、記録媒体14に導く。
【0053】
一方、第1半導体レーザ光源30Aから出射された第1のレーザビームLa(#2)は、スピナーミラー装置16の回転軸に沿って導入され、反射鏡面18Aにより反射偏向されて記録媒体14に導かれる。
【0054】
次に、第2半導体レーザ光源30Bから出射された第2のレーザビームLb(#1)の制御について、図11に基づき詳細に説明する。
【0055】
まず、スピナーミラー装置16に設けられた図示しないエンコーダからの位置信号に基づき、制御手段としての制御回路54は、制御クロック信号を余弦波信号生成回路56aに供給する。余弦波信号生成回路56aから出力された余弦波電圧信号(X=−a・cos ωt)は、電圧制御発振器58aによって周波数変調信号に変換された後、増幅器60aを介して音響光学素子52Xに供給される。この場合、音響光学素子52Xは、この余弦波電圧信号に基づいて第2のレーザビームLb(#1)を図8A、図8Bに示すX軸方向に偏向する。
【0056】
また、制御手段としての制御回路54は、制御クロック信号を正弦波信号生成回路56bに供給する。正弦波信号生成回路56bから出力された正弦波電圧信号(Y=−a・sin ωt)は、電圧制御発振器58bによって周波数変調信号に変換された後、増幅器60bを介して音響光学素子52Yに供給される。この場合、音響光学素子52Yは、この正弦波電圧信号に基づいて音響光学素子52XによってX軸方向に変調された第2のレーザビームLb(#1)を正弦波電圧信号に基づいて図8A、図8Bに示すY軸方向に偏向する。
【0057】
この結果、スピナーミラー装置16の反射鏡面18Aに導かれた第2のレーザビームLb(#1)は、スピナーミラー装置16の回転動作に同期して、図10A、図10Bに示すように、スピナーミラー装置16の回転軸18に直交する面S′上で略円軌跡を描くことになる。
【0058】
また、第1半導体レーザ光源30Aから出射された第1のレーザビームLa(#2)は、回転軸18に直交する面S′上での位置を移動することなく記録媒体14上に導かれる。
【0059】
そして、記録媒体14には、図9に示すように、間隔が一定に制御された第1のレーザビームLa(#2)と、第2のレーザビームLb(#1)とが導かれ、画像の記録が行われる。この場合、これらの間隔は、増幅器60a、増幅器60bで設定される増幅率によって容易に調整することができる。
【0060】
すなわち、記録媒体14上には、図9に示すように、一定の間隔、一定の長さからなる平行な2本の走査線が形成される。 これと共に2本の走査線は、それぞれ前述した第1実施の形態と同様に1/4波長板32と一軸性結晶の光学素子26との作用により副走査方向にビームスポットを等光量で略当分配し、ずらして重ね合わせることにより略矩形状のビームスポットをつくるビーム分割がなされ2本の走査線の各ビームスポットが略矩形状の分布となると共にエッジ部が急峻となって、それぞれビームスポット形状が副走査方向に細長くなる状態(すなわち、ビームスポットの略矩形状となった分布の長手方向が副走査方向(主走査方向に直交する方向)に沿う状態)を常に維持する。
【0061】
この第2実施の形態に係わるインナードラム露光装置では、上述のようにそれぞれビーム分割された2本の走査線により露光処理を行うので、FMスクリーンを記録したときの画像が、光パワー変動や刷り枚数といった記録条件や、自動現像機の現像の度合いといった現像条件等によって記録画素の周長が少しも変動しないようにして網点画像の割合(網点面積率特性)が急激に変ることを防止し濃度変動を起こし難くして、FMスクリーンを用い安定して中間調を表現するよう迅速に記録できる。さらに本第2実施の形態では、光ビームの本数を増加し走査手段の回転数を低く設定し、走査による記録精度の信頼性を向上させることもできる。
【0062】
また、上述した本第2実施の形態では、光偏向手段である音響光学素子52Xと音響光学素子52Yを別体に構成しているが、これらを一体に構成し、1つの音響光学素子によりX軸、Y軸方向に対する偏向を実現するように光偏向手段を構成することも可能である。また、音響光学素子を用いる代わりに、電気光学素子を用いてもよい。また、半導体レーザ光源を3個以上設け、これら複数のレーザビームを利用して画像を記録することもできる。さらに、半導体レーザ光源から出射されたレーザビームをビームスプリッタで所要複数にビーム分割されたレーザビームを利用して画像を記録することもできる。
【0063】
なお、本第2実施の形態における以上説明した以外の構成、作用、及び効果は前述した第1実施の形態と同様であるので、同一の構成要素に同一の参照符号を付すこととして、その説明を省略する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の第1実施の形態に係わるインナードラム露光装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の第1実施の形態に係わるインナードラム露光装置におけるスピナーミラー装置の要部を取り出して示す概略構成図である。
【図3】本発明の第1実施の形態に係わるインナードラム露光装置に用いる一軸性結晶の光学素子の作用を示す説明図である。
【図4】本発明の第1実施の形態に係わるインナードラム露光装置でビーム分割されたビームスポットの光量分布を示す説明図である。
【図5】本発明の第1実施の形態に係わるインナードラム露光装置でビーム分割されたビームスポットの光量分布と比較するために、従来一般に用いられるガウス分布したビームスポット形状の光量分布を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施の形態に係わるインナードラム露光装置を示す概略構成図である。
【図7】図7A、図7B、図7Cは、本発明の第2実施の形態に係わる原理説明図である。
【図8】図8A、図8Bは、本発明の第2実施の形態に係わる原理説明図である。
【図9】本発明の第2実施の形態に係わる記録媒体上の走査線を示す説明図である。
【図10】図10A、図10Bは、本発明の第2実施の形態に係わる記録媒体と共役な面上における光ビームの軌跡を示す説明図である。
【図11】本発明の第2実施の形態に係わるインナードラム露光装置で用いられる音響光学素子の駆動用の回路構成図である。
【符号の説明】
【0065】
10 インナードラム露光装置
12 支持体
14 記録媒体
16 スピナーミラー装置
18 回転軸
18A 反射鏡面
24 ホルダ
24A 透穴
26 一軸性結晶の光学素子
30 半導体レーザ光源
30A 半導体レーザ光源
30B 半導体レーザ光源
32 1/4波長板
48 偏光ビームスプリッタ
52X 音響光学素子
52Y 音響光学素子
54 制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体に形成した円弧状の内周面に保持された記録媒体に対し、画像情報に応じて変調された光ビームを、走査手段の回転駆動される反射鏡面で偏向し走査することによって画像を記録するインナードラム露光装置において、
前記光ビームを出射する光源と、
前記光源と前記走査手段との間の光路中に配置され、前記光源から出射された直線偏光の光ビームを円偏光に変換する1/4波長板と、
前記1/4波長板と前記反射鏡面との間に配置されると共に前記反射鏡面に光ビームが入出射する面と結晶光軸とが略平行になるように配設され、光ビームを常光線と異常光線とに等光量で平行に分割され2つのビームスポットが一部重なるように隣接して副走査方向に並ぶビームスポット形状を形成するため、前記反射鏡面と一体的に回動するよう装着された一軸性結晶の光学素子と、
を有することを特徴とするインナードラム露光装置。
【請求項2】
円弧状の内周面に保持された記録媒体に対し、画像情報に応じて変調された光ビームを、走査手段の回転駆動される反射鏡面で偏向し走査することによって画像を記録するインナードラム露光装置において、
前記走査手段の前記反射鏡面にランダム偏光した光ビームを入射させるためのランダム偏光手段と、
前記反射鏡面にランダム偏光した光ビームが入出射する面と結晶光軸と法線とを含む平面とが同一面になるように配設され、光ビームを常光線と異常光線とに等光量で分割し互いに平行シフトさせて2つのビームスポットが一部重なるように隣接して副走査方向に並ぶビームスポット形状を形成するため、前記反射鏡面と一体的に回動するよう装着された一軸性結晶の光学素子と、
を有することを特徴とするインナードラム露光装置。
【請求項3】
支持体に形成された円弧状の内周面に記録媒体を保持し、画像情報に応じて変調された複数本の光ビームを偏向して、円弧状に保持された記録媒体上を走査することによって画像を記録するインナードラム露光装置において、
前記複数本の光ビームを出射する光ビーム出力手段と、
前記支持体の円弧状内周面の中心軸を回転軸とする反射鏡面を有し、前記複数本の光ビームを回転する前記反射鏡面により反射することで、前記記録媒体上を走査する走査手段と、
前記光ビームを前記走査手段の前記回転軸に直交する面内で相対的に2次元的に偏向させ、前記記録媒体上で主走査方向および副走査方向の変位を生じさせる光偏向手段と、
前記光偏向手段による前記記録媒体上での前記光ビームの変位位置を、前記反射鏡面の回転に同期させて制御する制御手段と、
前記光ビーム出力手段と前記走査手段との間の光路中に配置され、前記光ビーム出力手段から出射された複数本の直線偏光の光ビームをそれぞれ円偏光に変換する1/4波長板と、
前記1/4波長板と前記反射鏡面との間に配置される共に前記反射鏡面に光ビームが入出射する面と結晶光軸と法線とを含む平面とが同一面になるように配設され、複数本の光ビームの各々を常光線と異常光線とに等光量で分割し2つのビームスポットが一部重なるように隣接して副走査方向に並ぶビームスポット形状が形成されるようにするため、前記反射鏡面と一体的に回動するよう装着された一軸性結晶の光学素子と、
を備えることを特徴とするインナードラム露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−11151(P2006−11151A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189832(P2004−189832)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】