説明

インパクト駆動アクチュエータ及びこれを用いたレンズ駆動装置

【課題】移動体の移動自由度が高く、安定した動作を可能とすること。
【解決手段】インパクト駆動アクチュエータは、固定部材1に設置され、第1の方向とその逆の第2の方向に微小変位を発生する変位発生手段2と、該変位発生手段の上記微小変位によって往復運動する振動部材4と、該振動部材の第1の平面上に設置された移動体3と、該移動体と上記振動部材との間の吸着力を制御する吸着力制御手段と、一端が上記固定部材に固定され、上記振動部材に沿って配置された移動体保持手段5と、を備える。上記移動体は、上記移動体保持手段と上記振動部材とに挟み込まれるように支持されることにより、上記振動部材と上記移動体保持手段のそれぞれと摩擦結合する。そして、上記吸着力制御手段により発生する吸着力により、上記移動体と上記振動部材間の摩擦力と上記移動体と上記移動体保持手段間の摩擦力とに差異が生じるように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体を駆動するインパクト駆動アクチュエータ及びこれを用いたレンズ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動軸に結合された電気機械変換素子に鋸歯状波駆動パルスを供給して駆動軸を軸方向に変位させ、この駆動軸に摩擦結合させた移動部材を軸方向に移動させるアクチュエータが知られている(以下、このようなアクチュエータをインパクト駆動アクチュエータと呼ぶ)。
【0003】
このようなインパクト駆動アクチュエータは、例えば特許文献1に開示されている。図12は、そのようなインパクト駆動アクチュエータにおける、駆動軸103と、移動体104の本体部104a及び挟み込み部材105との接触部分の構成を示す断面図である。移動体104の本体部104aに形成された切り欠き部104bに、挟み込み部材105が嵌挿される。この挟み込み部材105の上面に設けた突条が、ビス108で本体部104aに固定されている板ばね106により下方に押付けられ、挟み込み部材105は駆動軸103に適当な押付力で摩擦接触する。
【0004】
図13は、図12の構成のインパクト駆動アクチュエータを用いたレンズ駆動装置の構成を示す図である。同図において、参照番号120はレンズスタンドであり、参照番号121は台、参照番号123は柱であって、柱123は台121にビス122で固定されている。124はアーム部材で、柱123にビス125で固定されている。上記構成のインパクト駆動アクチュエータ110は、固定部材101の一端の取り付け部101aがアーム部材124に取付られ、ビス126で固定されている。インパクト駆動アクチュエータ110の移動体104の取り付け部104bの下面には、レンズLの保持枠112がビス113で取付られている。
【0005】
上記インパクト駆動アクチュエータ110の駆動は、図14(A)に示すような緩やかな立ち上がり部とこれに続く急速な立ち下がり部からなる波形の駆動パルスを圧電素子102に印加することで行われる。
【0006】
即ち、上記駆動パルスの緩やかな立ち上がり部では、圧電素子102が緩やかに厚み方向の伸び変位を生じ、駆動軸103は軸方向に図13中に矢印aで示す方向へ変位する。このため、その駆動軸103に摩擦結合している移動体104も矢印a方向へ移動するので、移動体104に取り付けられているレンズLの保持枠112を矢印a方向へ移動させることができる。
【0007】
また、上記駆動パルスの急速な立ち下がり部では、圧電素子102が急速に厚み方向の縮み変位を生じ、駆動軸103も軸方向に矢印aと反対方向へ変位する。このとき、駆動軸103に摩擦結合している移動体104は、その慣性力により駆動軸103との間の摩擦結合力に打ち勝って実質的にその位置に留まり、移動しない。なお、ここでいう実質的とは、矢印a方向と、これと反対方向の何れにおいても、移動体104と駆動軸103との間に滑りを生じつつ追動し、駆動時間の差によって全体として矢印a方向に移動するものも含むことを意味している。どのような移動形態になるかは、与えられた摩擦条件に応じて決定される。
【0008】
このように、上記波形の駆動パルスを連続して圧電素子102に印加することにより、レンズLの保持枠112を矢印aで示す方向へ連続して移動させることができる。
【0009】
逆に、レンズ保持枠112を矢印aと反対方向へ移動させるときは、図14(B)に示すような急速な立ち上がり部とこれに続く緩やかな立ち下がり部からなる波形の駆動パルスを圧電素子102に印加することで達成できる。
【特許文献1】特許第3141714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したようなインパクト型アクチュエータを使用したレンズ駆動装置では、駆動軸103のほかに案内軸(固定部材101)が設けられており、駆動軸103は被駆動部材であるレンズ保持枠112を駆動し、案内軸はレンズ保持枠112の回転を防止して光軸に沿って正確に移動させる機能を有している。
【0011】
しかしながら、図12のような構成を用いると、被駆動部材であるレンズ保持枠112は駆動軸103にのみ沿って動くだけで移動自由度が低くなる。従って、組立時に駆動軸103と案内軸との間にずれが生じたときには正確に光軸方向に移動しないおそれがある。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、移動体の移動自由度が高く、安定した動作が可能なインパクト駆動アクチュエータ及びこれを用いたレンズ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のインパクト駆動アクチュエータの一態様は、
固定部材と、
上記固定部材に設置され、第1の方向とその逆の第2の方向に微小変位を発生する変位手段と、
第1の平面を有し、上記変位手段の上記微小変位によって往復運動する振動基板と、
上記振動基板の上記第1の平面上に設置され、上記第1の平面と対向する面に第2の平面を有する移動体と、
上記移動体と上記振動基板との間の吸着力を制御する吸着力制御手段と、
一端が上記固定部材に固定され、上記振動基板に沿って配置された移動体保持手段と、
を具備し、
上記移動体は上記移動体保持手段と上記振動基板とに挟み込まれるように支持されることにより、上記移動体は上記振動基板と上記移動体保持手段のそれぞれと摩擦結合し、
上記吸着力制御手段により発生する吸着力により、上記移動体と上記振動基板間の摩擦力と上記移動体と上記移動体保持手段間の摩擦力とに差異が生じるように制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明のレンズ駆動装置の一態様は、
上記本発明のインパクト駆動アクチュエータの一態様を用い、
上記移動体は光学素子を含むことを特徴とする。
【0015】
また、本発明のレンズ駆動装置の別の態様は、
上記本発明のインパクト駆動アクチュエータの一態様を用い、
上記移動体保持手段が複数の固定レンズを備えた鏡筒を兼ねており、
上記鏡筒内を上記鏡筒の光軸方向に移動可能に配置された光学素子が、上記移動体に設置される、もしくは上記移動体に形成された連結部材により上記移動体に連結されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、移動体の移動自由度が高く、安定した動作が可能なインパクト駆動アクチュエータ及びこれを用いたレンズ駆動装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1(A)乃至(C)は、本発明の第1実施形態に係るインパクト駆動アクチュエータの構成を示す斜視図、断面図及び側面図である。
【0019】
即ち、本実施形態に係るインパクト駆動アクチュエータにおいては、例えば圧電素子で構成された変位手段である変位発生手段2の一端が固定部材1に固定されており、他端には振動基板である振動部材4が取り付けられている。駆動回路(不図示)から変位発生手段2に供給される電圧によって発生する第1の方向とその逆の第2の方向の微小変位により、振動部材4も同方向に微小変位するようになっている。振動部材4は第1の平面を有しており、その第1の平面上には、移動体3が固定部材1に対し所定の方向に移動自由に設置されている。この移動体3は、上記固定部材1に固定設置され上記振動部材4に沿って配置された移動体保持手段5と、上記固定部材1とによって、挟み込まれるように支持されている。従って、移動体3と振動部材4との間で摩擦結合するだけでなく、移動体3と移動体保持手段5との間にも摩擦係合されている。また、移動体3の上記振動部材4の上記第1の平面と対向する第2の面と、上記振動部材4の上記第1の平面とは、互いに平面同士で接触している。このため、振動部材4の振動軸と移動体3の移動方向とが一致していなくても、移動体3が停止してしまうという事態が発生せず、図2に示すような移動軌跡(移動体3は振動部材4が形成する第1の平面上を自由に移動できる)を取ることが可能になる。
【0020】
なお、上記振動部材4の上記変位発生手段2に取り付けられた側と反対側は、バネ等の付勢手段6によって、上記変位発生手段2側に押圧されている。
【0021】
図3は、図1に示した拡大1の部分の拡大図である。
この図3に示すように、上記振動部材4は、上記第1の平面を形成する基板4a上に電極(以下、第1の電極と称する)4bと絶縁体4cとを積層して成り、また、上記移動体3には、上記振動部材4との対向面に、電極(以下、第2の電極と称する)3aが形成されている。このような振動部材4に配置された第1の電極4bと、移動体3の振動部材4との対向面(第2の平面)に配置された第2の電極3aとが、絶縁体4cを介して向き合った構成によって、移動体3と振動部材4との間の吸着力を制御する吸着力制御手段7が構成されている。即ち、第1の電極4bと第2の電極3aの間に電位差を与えることによって静電気力を発生させれば、移動体3と振動部材4との摩擦力を変化させることができる。従って、移動体3と振動部材4との摩擦力と、移動体3と移動体保持手段5との摩擦力と、に差異が生じることになり、変位発生手段2に所定の波形を加えることによって移動体3が移動可能になる。また、静電気力を使用する上記構成であれば、それぞれの電極が薄く形成できるため、アクチュエータを小型化することができる。
【0022】
なお、吸着力制御手段7を静電気力で変化させているが、これに限定されるものではなく、図4に示すように、振動部材4を永久磁石で構成し、移動体3を鉄などの磁性体で構成しても良い。このような構成であれば、振動部材4あるいは移動体3に電極を持つ必要がなく、電極へ電圧を印加するための配線などが必要でなくなり、構成が簡単になる。
【0023】
また、図5に示すように、振動部材4を永久磁石で構成し、移動体3にコイル3cを使用した電磁石を構成してもいっこうに構わない。このように移動体3に電磁石を使用することで、静電気では発生させることができない大きな力を発生させることができ、より安定した駆動をさせることが可能になる。
【0024】
また、図6は、図1に示した拡大2の部分の拡大図である。
上述したように、移動体保持手段5で移動体3の移動自由度を増すように支持することは可能であるが、更に、図6に示すように、移動体3(鉛直部3b上面)と移動体保持手段5との間に弾性体であるコイルばね8を挿入することにより、移動体3を支持する力(押圧力)を管理するのが容易で、所望の押圧力を安定して移動体3に供給することが可能になり、移動体3と移動体保持手段5との摩擦力を容易に管理することができるようになる。
【0025】
なお、ここではコイルばね8を用いているが、もちろん弾性体であれば板ばねなどで構成しても構わない。
【0026】
[第2実施形態]
図7(A)乃至(C)は、本発明の第2実施形態に係るインパクト駆動アクチュエータを用いたレンズ駆動装置の構成を示す斜視図、平面図及び側面図である。本実施形態に係るレンズ駆動装置は、レンズL1,L2,L3の3つのレンズの内のレンズL2を駆動するものである。
【0027】
即ち、本実施形態におけるインパクト駆動アクチュエータの基本的な構成は前述した第1実施形態の通りである。そして、本実施形態に係るレンズ駆動装置においては、そのようなインパクト駆動アクチュエータの移動体3が、上記レンズL2を支持する支持枠を兼ねており、固定部材1に固定レンズL1が設置された前方レンズ枠1aと、固定レンズL3が設置された後方レンズ枠1bとが取り付けられている。
【0028】
本実施形態に係るレンズ駆動装置においても、上記第1実施形態と同様に、移動体3と振動部材4との間で摩擦係合され、さらに移動体3と移動体保持手段5との間でも摩擦係合されている。従って、移動体保持手段5を案内軸とすれば、移動体3と振動部材4とは面で接触しており、移動体3は振動部材4の面内で移動可能となり、案内軸に沿って移動体3を安定して精度良く駆動させることができる。
【0029】
図8及び図9は、上記第1実施形態の場合と同様に、図7に示した拡大1及び2の部分の拡大図である。このように、インパクト駆動アクチュエータをレンズ駆動装置に用いた場合も同様に、コイルばね8を移動体3と移動体保持手段5との間に挿入し、安定した押圧を与えると共に案内軸との摩擦係合による移動精度の保証を確保している。
【0030】
また、できるだけレンズ駆動機構をコンパクトにするため、吸着力制御手段7は、図8に示すように静電気力を作用させる簡単な構成にしている。勿論、上記第1実施形態で説明したように、静電気力ではなく電磁石と磁石を用いた電磁力を作用させる機構を用いてもいっこうに問題ない。
【0031】
[第3実施形態]
図10(A)乃至(C)は、本発明の第3実施形態に係るインパクト駆動アクチュエータを用いたレンズ駆動装置の構成を示す斜視図、側面から見た断面図及び移動体部分の断面(図10(B)のA−A断面)を示す図である。本実施形態に係るレンズ駆動装置も、上記第2実施形態と同様、レンズL1,L2,L3の3つのレンズの内のレンズL2を駆動するものである。
【0032】
本実施形態に係るレンズ駆動装置では、移動体3を案内する案内溝を固定部材1に設けている。即ち、固定部材1がレンズの案内軸を兼用するように構成されている。
【0033】
このように固定部材1に案内溝を設けることにより、振動部材4の変位もその案内溝に沿うため、より一層移動体の動作が安定し、動作精度が保証される。
【0034】
[第4実施形態]
図11(A)乃至(D)は、本発明の第4実施形態に係るインパクト駆動アクチュエータを用いたレンズ駆動装置の構成を示す正面図、側面から見た断面図、図11(B)のA−A断面図、及び図11(B)のB−B断面図である。本実施形態に係るレンズ駆動装置も、上記第2実施形態と同様、レンズL1,L2,L3の3つのレンズの内のレンズL2を駆動するものである。
【0035】
本実施形態に係るレンズ駆動装置の構成の特徴は、移動体保持手段5は固定レンズL1,L3を固定している鏡筒を兼ねており、鏡筒内にその光軸方向に移動自由に設置されたレンズL2を含むレンズ保持部材3dが、移動体3に形成されている連結部材3eによって所定のクリアランスをもって移動体3に連結されていることである。
【0036】
この場合も、上記第3実施形態と同様に、光軸を持つ鏡筒に移動体3が摩擦係合しており、かつ、移動体3と振動部材4は平面で摩擦係合させて移動体3の移動自由度が高くなっている。
【0037】
従って、レンズは鏡筒内の光軸に一致させるようにすれば、アクチュエータが光軸に沿って移動しなくても連結部材3eを介してレンズ保持部材3dを移動できれば、レンズを光軸と一致させて移動させることが可能である。
【0038】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0039】
(付記)
前記の具体的実施形態から、以下のような構成の発明を抽出することができる。
【0040】
(1) 固定部材と、
上記固定部材に設置され、第1の方向とその逆の第2の方向に微小変位を発生する変位手段と、
第1の平面を有し、上記変位手段の上記微小変位によって往復運動する振動基板と、
上記振動基板の上記第1の平面上に設置され、上記第1の平面と対向する面に第2の平面を有する移動体と、
上記移動体と上記振動基板との間の吸着力を制御する吸着力制御手段と、
一端が上記固定部材に固定され、上記振動基板に沿って配置された移動体保持手段と、
を具備し、
上記移動体は上記移動体保持手段と上記振動基板とに挟み込まれるように支持されることにより、上記移動体は上記振動基板と上記移動体保持手段のそれぞれと摩擦結合し、
上記吸着力制御手段により発生する吸着力により、上記移動体と上記振動基板間の摩擦力と上記移動体と上記移動体保持手段間の摩擦力とに差異が生じるように制御することを特徴とするインパクト駆動アクチュエータ。
【0041】
(対応する実施形態)
この(1)に記載のインパクト駆動アクチュエータに関する実施形態は、第1乃至第4実施形態が対応する。
【0042】
(作用効果)
この(1)に記載のインパクト駆動アクチュエータによれば、移動体を移動体保持手段と振動基板で挟んで押圧すると共に、移動体と振動基板は面内移動が可能なように移動体と振動基板は平面接触しているので、移動自由度が高くなり、安定した動作が可能になる。
【0043】
(2) 上記吸着力制御手段は、
上記振動基板の第1の平面上に形成された第1の電極と、
上記移動体の第2の平面上に形成され、上記第1の電極と絶縁層を介して対向する第2の電極と、
によって構成され、上記第1の電極と上記第2の電極との間の電位差によって静電吸着力を制御することを特徴とする(1)に記載のインパクト駆動アクチュエータ。
【0044】
(対応する実施形態)
この(2)に記載のインパクト駆動アクチュエータに関する実施形態は、第1乃至第4実施形態が対応する。
【0045】
(作用効果)
この(2)に記載のインパクト駆動アクチュエータによれば、平面接触部分を静電気力によって吸着可能にすることによって、移動体と振動基板間の摩擦力を増減させることができ、インパクト駆動が容易になる。
【0046】
(3) 上記吸着力制御手段は、
上記基板上に設置された永久磁石と、
上記移動体に上記永久磁石と対向して設置された電磁石と、
によって構成され、上記電磁石に印加する電流によって上記永久磁石と上記電磁石との間の電磁吸着力を制御することを特徴とする(1)に記載のインパクト駆動アクチュエータ。
【0047】
(対応する実施形態)
この(3)に記載のインパクト駆動アクチュエータに関する実施形態は、第1乃至第4実施形態が対応する。
【0048】
(作用効果)
この(3)に記載のインパクト駆動アクチュエータによれば、吸着力制御手段を永久磁石とコイル等を使用した電磁石とで構成することによって、より大きな摩擦力を得ることができる。
【0049】
(4) 上記吸着力制御手段は、
上記振動基板上に設置された永久磁石と、
上記移動体に上記永久磁石と対向して設置された磁性体と、
によって構成されることを特徴とする(1)に記載のインパクト駆動アクチュエータ。
【0050】
(対応する実施形態)
この(4)に記載のインパクト駆動アクチュエータに関する実施形態は、第1乃至第4実施形態が対応する。
【0051】
(作用効果)
この(4)に記載のインパクト駆動アクチュエータによれば、吸着力制御手段を磁性体と永久磁石で構成することによって、配線を必要としない簡単な構成にすることができる。
【0052】
(5) 上記移動体と上記移動体保持手段との間に弾性部材が挿入されていることを特徴とする(1)に記載のインパクト駆動アクチュエータ。
【0053】
(対応する実施形態)
この(5)に記載のインパクト駆動アクチュエータに関する実施形態は、第1乃至第4実施形態が対応する。
【0054】
(作用効果)
この(5)に記載のインパクト駆動アクチュエータによれば、移動体と移動体保持手段の間をコイルばね等の弾性体で摩擦係合することによって、安定した押圧を与えられ摩擦力を管理するのが容易になる。
【0055】
(6) 上記移動体は光学素子を含むことを特徴とする(1)に記載のインパクト駆動アクチュエータを用いたレンズ駆動装置。
【0056】
(対応する実施形態)
この(6)に記載のレンズ駆動装置に関する実施形態は、第2乃至第4実施形態が対応する。
【0057】
(作用効果)
この(6)に記載のレンズ駆動装置によれば、移動体をレンズを含むレンズ保持枠とすることにより、レンズ駆動装置を構成することができる。
【0058】
(7) 上記固定部材に固定レンズが設置されていることを特徴とする(6)に記載のレンズ駆動装置。
【0059】
(対応する実施形態)
この(7)に記載のレンズ駆動装置に関する実施形態は、第2及び第3実施形態が対応する。
【0060】
(作用効果)
この(7)に記載のレンズ駆動装置によれば、固定部材に固定レンズを設置することにより、安定した動作が可能なレンズ駆動機構を構成することができる。
【0061】
(8) 上記移動体保持手段は、上記光学素子と上記固定レンズの光軸と一致した案内を兼ねていることを特徴とする(7)に記載のレンズ駆動装置。
【0062】
(対応する実施形態)
この(8)に記載のレンズ駆動装置に関する実施形態は、第2実施形態が対応する。
【0063】
(作用効果)
この(8)に記載のレンズ駆動装置によれば、移動体保持手段がレンズの案内軸を兼用することにより、安定した駆動とレンズの移動精度を保証したレンズ駆動機構を構成することができる。
【0064】
(9) 上記固定手段が上記光学素子と上記固定レンズの光軸と一致した案内を兼ねていることを特徴とする(7)に記載のレンズ駆動装置。
【0065】
(対応する実施形態)
この(9)に記載のレンズ駆動装置に関する実施形態は、第3実施形態が対応する。
【0066】
(作用効果)
この(9)に記載のレンズ駆動装置によれば、固定部材がレンズの案内軸を兼用することにより、安定した駆動とレンズの移動精度を保証したレンズ駆動機構を構成することができる。
【0067】
(10) 上記移動体保持手段が複数の固定レンズを備えた鏡筒を兼ねており、
上記鏡筒内を上記鏡筒の光軸方向に移動可能に配置された光学素子が、上記移動体に設置される、もしくは上記移動体に形成された連結部材により上記移動体に連結されていることを特徴とする(1)に記載のインパクト駆動アクチュエータを用いたレンズ駆動装置。
【0068】
(対応する実施形態)
この(10)に記載のレンズ駆動装置に関する実施形態は、第4実施形態が対応する。
【0069】
(作用効果)
この(10)に記載のレンズ駆動装置によれば、移動体保持手段がレンズ駆動機構の鏡筒を兼ね、鏡筒内の移動レンズと移動体を連結することによって、移動体の移動精度にかかわらず、移動レンズの移動精度が保証できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1(A)乃至(C)は、本発明の第1実施形態に係るインパクト駆動アクチュエータの構成を示す斜視図、断面図及び側面図である。
【図2】図2は、移動体の移動軌跡を説明するための図である。
【図3】図3は、図1に示した拡大1の部分の拡大図である。
【図4】図4は、第1実施形態の変形例における図1に示した拡大1の部分の拡大図である。
【図5】図5は、第1実施形態の他の変形例における図1に示した拡大1の部分の拡大図である。
【図6】図6は、図1に示した拡大2の部分の拡大図である。
【図7】図7(A)乃至(C)は、本発明の第2実施形態に係るインパクト駆動アクチュエータを用いたレンズ駆動装置の構成を示す斜視図、平面図及び側面図である。
【図8】図8は、図7に示した拡大1の部分の拡大図である。
【図9】図9は、図7に示した拡大2の部分の拡大図である。
【図10】図10(A)乃至(C)は、本発明の第3実施形態に係るインパクト駆動アクチュエータを用いたレンズ駆動装置の構成を示す斜視図、側面から見た断面図、及び図10(B)のA−A断面図である。
【図11】図11(A)乃至(D)は、本発明の第4実施形態に係るインパクト駆動アクチュエータを用いたレンズ駆動装置の構成を示す正面図、側面から見た断面図、図11(B)のA−A断面図、及び図11(B)のB−B断面図である。
【図12】図12は、従来のインパクト駆動アクチュエータの構成を示す断面図である。
【図13】図13は、従来のインパクト駆動アクチュエータを用いた従来のレンズ駆動装置の構成を示す図である。
【図14】図14(A)及び(B)はそれぞれ従来のインパクト駆動アクチュエータの駆動パルスのタイミングチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0071】
1…固定部材、 1a…前方レンズ枠、 1b…後方レンズ枠、 2…変位発生手段、 3…移動体、 3a…第2の電極、 3b…鉛直部、 3c…コイル、 3d…レンズ保持部材、 3e…連結部材、 4…振動部材、 4a…基板、 4b…第1の電極、 4c…絶縁体、 5…移動体保持手段、 6…付勢手段、 7…吸着力制御手段、 8…コイルばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材と、
上記固定部材に設置され、第1の方向とその逆の第2の方向に微小変位を発生する変位手段と、
第1の平面を有し、上記変位手段の上記微小変位によって往復運動する振動基板と、
上記振動基板の上記第1の平面上に設置され、上記第1の平面と対向する面に第2の平面を有する移動体と、
上記移動体と上記振動基板との間の吸着力を制御する吸着力制御手段と、
一端が上記固定部材に固定され、上記振動基板に沿って配置された移動体保持手段と、
を具備し、
上記移動体は上記移動体保持手段と上記振動基板とに挟み込まれるように支持されることにより、上記移動体は上記振動基板と上記移動体保持手段のそれぞれと摩擦結合し、
上記吸着力制御手段により発生する吸着力により、上記移動体と上記振動基板間の摩擦力と上記移動体と上記移動体保持手段間の摩擦力とに差異が生じるように制御することを特徴とするインパクト駆動アクチュエータ。
【請求項2】
上記吸着力制御手段は、
上記振動基板の第1の平面上に形成された第1の電極と、
上記移動体の第2の平面上に形成され、上記第1の電極と絶縁層を介して対向する第2の電極と、
によって構成され、上記第1の電極と上記第2の電極との間の電位差によって静電吸着力を制御することを特徴とする請求項1に記載のインパクト駆動アクチュエータ。
【請求項3】
上記吸着力制御手段は、
上記基板上に設置された永久磁石と、
上記移動体に上記永久磁石と対向して設置された電磁石と、
によって構成され、上記電磁石に印加する電流によって上記永久磁石と上記電磁石との間の電磁吸着力を制御することを特徴とする請求項1に記載のインパクト駆動アクチュエータ。
【請求項4】
上記吸着力制御手段は、
上記振動基板上に設置された永久磁石と、
上記移動体に上記永久磁石と対向して設置された磁性体と、
によって構成されることを特徴とする請求項1に記載のインパクト駆動アクチュエータ。
【請求項5】
上記移動体と上記移動体保持手段との間に弾性部材が挿入されていることを特徴とする請求項1に記載のインパクト駆動アクチュエータ。
【請求項6】
上記移動体は光学素子を含むことを特徴とする請求項1に記載のインパクト駆動アクチュエータを用いたレンズ駆動装置。
【請求項7】
上記固定部材に固定レンズが設置されていることを特徴とする請求項6に記載のレンズ駆動装置。
【請求項8】
上記移動体保持手段は、上記光学素子と上記固定レンズの光軸と一致した案内を兼ねていることを特徴とする請求項7に記載のレンズ駆動装置。
【請求項9】
上記固定手段が上記光学素子と上記固定レンズの光軸と一致した案内を兼ねていることを特徴とする請求項7に記載のレンズ駆動装置。
【請求項10】
上記移動体保持手段が複数の固定レンズを備えた鏡筒を兼ねており、
上記鏡筒内を上記鏡筒の光軸方向に移動可能に配置された光学素子が、上記移動体に設置される、もしくは上記移動体に形成された連結部材により上記移動体に連結されていることを特徴とする請求項1に記載のインパクト駆動アクチュエータを用いたレンズ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−129821(P2007−129821A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−319867(P2005−319867)
【出願日】平成17年11月2日(2005.11.2)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】