説明

インピーダンス測定装置

【課題】測定時間の短縮および装置コストの低減を実現する。
【解決手段】演算制御部9は、測定対象体11のインピーダンスZmの算出に先立ち、処理系回路6に電圧信号S4を入力してデータD1への変換処理を実行させ、処理系回路7に電圧信号S4,S6を入力してデータD3,D2への変換処理を実行させ、処理系回路6から出力されるデータD1と処理系回路7から出力されるデータD2とに基づいて第1のインピーダンスを算出し、処理系回路7から出力されるデータD3,D2に基づいて第2のインピーダンスを算出し、処理系回路6,7から出力されるデータD1,D2に基づいて測定対象体11のインピーダンスZmを算出した際に処理系回路6,7間の利得差および位相差に起因してインピーダンスZmに発生する誤差の補正用の絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeを第1および第2のインピーダンスに基づいて算出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象体に流れる試験用電流と、この試験用電流が流れることに起因して測定対象体の両端間に発生する電圧とを2つの処理系で測定して、その測定値に基づいて測定対象体のインピーダンスを算出するインピーダンス測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のインピーダンス測定装置として、特開昭62−204166号公報に開示されたインピーダンス測定装置が知られている。このインピーダンス測定装置は、4個の位相検波器(第1〜第4の位相検波器)と、2つの交流信号を選択的に切り替えて位相検波器の一方の入力端子に導入するスイッチと、スイッチの切り替え動作に連動して所望位相をもつ位相信号を位相検波器の他方の入力端子に印加する可変位相信号発生器と、位相検波器の出力端子にそれぞれ接続されたアナログ/ディジタル変換器と、アナログ/ディジタル変換器の出力端子に接続されて計算および平均化処理を行う処理手段とを備えている。つまり、このインピーダンス測定装置には、位相検波器およびアナログ/ディジタル変換器で構成される処理系が4系統(4チャンネル)設けられている。
【0003】
このインピーダンス測定装置では、高速測定モードにおいては、2つの位相検波器(第1および第2の位相検波器)のうちの一方の位相検波器(例えば第1の位相検波器)および他の2つの位相検波器(第3および第4の位相検波器)のうちの一方の位相検波器(例えば第3の位相検波器)に基準位相信号がそれぞれ入力され、かつ2つの位相検波器(第1および第2の位相検波器)のうちの他方の位相検波器(例えば第2の位相検波器)および他の2つの位相検波器(第3および第4の位相検波器)のうちの他方の位相検波器(例えば第4の位相検波器)とに基準位相信号に対して90度位相の異なる位相信号がそれぞれ入力されている。また、2つの位相検波器(第1および第2の位相検波器)には、スイッチを介して電圧を示す交流信号がそれぞれ与えられ、かつ他の2つの位相検波器(第3および第4の位相検波器)には、電流を示す交流信号がそれぞれ与えられている。これにより、基準位相信号に対して同位相の電圧および電流に関する2つの信号と、基準位相信号に対して90度位相の異なる電圧および電流に関する2つの信号とが各処理系において同時に求められ、これら4つの信号に基づいて処理手段がインピーダンスを算出する。この高速測定モードによれば、上記の4つの信号が各処理系での並列処理によって求められるため、高速なインピーダンス測定が可能となっている。
【0004】
一方、高精度測定モードにおいては、スイッチの切り替えと、各位相検波器に入力する位相信号の位相の切り替えとが行われて、上記の4つの信号を直列処理してそれぞれ出力する動作を各処理系が並列して実行するため、合計16の信号が各処理系から処理手段に出力される。処理手段は、同じ処理系から出力される4つの信号に基づいてインピーダンスを算出する処理を実行することによって4つのインピーダンスを算出し、さらに、4つのインピーダンスの平均値を算出して、最終的なインピーダンスとする。この高精度測定モードによれば、この平均化処理によって、S/N比が向上し、より高精度測定が実現される。
【特許文献1】特開昭62−204166号公報(第2−3頁、第1−3図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記のインピーダンス測定装置には、以下の問題点がある。すなわち、このインピーダンス測定装置では、1つの測定対象体についてのインピーダンスを高精度で測定する都度、4つの処理系においてそれぞれ直列処理して4つの信号を出力する必要があるため、インピーダンスの測定に要する時間が長くなるという問題点がある。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、測定時間の短縮を実現し得るインピーダンス測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成すべく請求項1記載のインピーダンス測定装置は、測定対象体に流れる試験用電流の電流値に比例して変化する第1電圧信号を第1ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第1処理系と、前記試験用電流が流れることに起因して前記測定対象体の両端間に発生する電圧の電圧値に比例して変化する第2電圧信号を入力したときには第2ディジタルデータに変換して出力すると共に前記第1電圧信号を入力したときには第3ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第2処理系と、前記第1処理系による前記第1ディジタルデータへの変換処理と前記第2処理系による前記第2ディジタルデータへの変換処理とが並列的に実行されている状態において当該各処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出する演算制御部とを備えたインピーダンス測定装置であって、前記演算制御部は、前記測定対象体のインピーダンスの算出に先立ち、前記第1処理系に対して前記第1電圧信号を入力して前記第1ディジタルデータへの変換処理を実行させ、かつ前記第2処理系に対して前記第1電圧信号を入力して前記第3ディジタルデータへの変換処理を実行させると共に前記第2電圧信号を入力して前記第2ディジタルデータへの変換処理を実行させ、前記第1処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される前記第2ディジタルデータとに基づいて第1のインピーダンスを算出すると共に、当該第2処理系から出力される前記第3ディジタルデータと前記第2ディジタルデータとに基づいて第2のインピーダンスを算出し、前記第1処理系から出力される第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出した際に前記各処理系間に存在する利得差および位相差のうちの少なくとも一方に起因して当該算出したインピーダンスに発生する誤差を補正するための補正値を、前記第1のインピーダンスおよび前記第2のインピーダンスに基づいて算出する。
【0008】
請求項2記載のインピーダンス測定装置は、測定対象体に流れる試験用電流の電流値に比例して変化する第1電圧信号を入力したときには第1ディジタルデータに変換して出力すると共に当該試験用電流が流れることに起因して当該測定対象体の両端間に発生する電圧の電圧値に比例して変化する第2電圧信号を入力したときには第4ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第1処理系と、前記第2電圧信号を第2ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第2処理系と、前記第1処理系による前記第1ディジタルデータへの変換処理と前記第2処理系による前記第2ディジタルデータへの変換処理とが並列的に実行されている状態において当該各処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出する演算制御部とを備えたインピーダンス測定装置であって、前記演算制御部は、前記測定対象体のインピーダンスの算出に先立ち、前記第1処理系に対して前記第1電圧信号を入力して前記第1ディジタルデータへの変換処理を実行させると共に前記第2電圧信号を入力して前記第4ディジタルデータへの変換処理を実行させ、かつ前記第2処理系に対して前記第2電圧信号を入力して前記第2ディジタルデータへの変換処理を実行させ、前記第1処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される前記第2ディジタルデータとに基づいて第1のインピーダンスを算出すると共に、当該第1処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第4ディジタルデータとに基づいて第2のインピーダンスを算出し、前記第1処理系から出力される第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出した際に前記各処理系間に存在する利得差および位相差のうちの少なくとも一方に起因して当該算出したインピーダンスに発生する誤差を補正するための補正値を、前記第1のインピーダンスおよび前記第2のインピーダンスに基づいて算出する。
【0009】
請求項3記載のインピーダンス測定装置は、請求項1または2記載のインピーダンス測定装置において、前記試験用電流が交流電流のときに、前記演算制御部は、前記第1のインピーダンスの絶対値を前記第2のインピーダンスの絶対値で除算して、前記算出したインピーダンスの絶対値に発生する誤差を補正するための絶対値用補正値を前記補正値として算出すると共に、前記第1のインピーダンスの位相角から前記第2のインピーダンスの位相角を減算して、前記算出したインピーダンスの位相角に発生する誤差を補正するための位相角用補正値を前記補正値として算出する。
【0010】
請求項4記載のインピーダンス測定装置は、請求項1または2記載のインピーダンス測定装置において、前記試験用電流が直流電流のときに、前記演算制御部は、前記第1のインピーダンスの絶対値を前記第2のインピーダンスの絶対値で除算して、前記算出したインピーダンスの絶対値に発生する誤差を補正するための絶対値用補正値を前記補正値として算出する。
【0011】
請求項5記載のインピーダンス測定装置は、測定対象体に流れる試験用電流の電流値に比例して変化する第1電圧信号を入力したときには第1ディジタルデータに変換して出力すると共に当該試験用電流が流れることに起因して当該測定対象体の両端間に発生する電圧の電圧値に比例して変化する第2電圧信号を入力したときには第4ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第1処理系と、前記第2電圧信号を入力したときには第2ディジタルデータに変換して出力すると共に前記第1電圧信号を入力したときには第3ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第2処理系と、前記第1処理系による前記第1ディジタルデータへの変換処理と前記第2処理系による前記第2ディジタルデータへの変換処理とが並列的に実行されている状態において当該各処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出する演算制御部とを備えたインピーダンス測定装置であって、前記演算制御部は、前記測定対象体のインピーダンスの算出に先立ち、前記各処理系に対して前記第1電圧信号および前記第2電圧信号を交互に入力して前記第1ディジタルデータ、前記第2ディジタルデータ、前記第3ディジタルデータおよび前記第4ディジタルデータへの変換処理をそれぞれ実行させ、前記第1処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される前記第2ディジタルデータとに基づいて第3のインピーダンスを算出すると共に、前記第1処理系から出力される前記第4ディジタルデータと前記第2処理系から出力される前記第3ディジタルデータとに基づいて第4のインピーダンスを算出して、当該第3のインピーダンスおよび第4のインピーダンスの平均インピーダンスを算出し、前記第1処理系から出力される第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出した際に前記各処理系間に存在する利得差および位相差のうちの少なくとも一方に起因して当該算出したインピーダンスに発生する誤差を補正するための補正値を、前記平均インピーダンスおよび前記第3のインピーダンスに基づいて算出する。
【0012】
請求項6記載のインピーダンス測定装置は、請求項5記載のインピーダンス測定装置において、前記試験用電流が交流電流のときに、前記演算制御部は、前記第3のインピーダンスの絶対値を前記平均インピーダンスの絶対値で除算して、前記算出したインピーダンスの絶対値に発生する誤差を補正するための絶対値用補正値を前記補正値として算出すると共に、前記第3のインピーダンスの位相角から前記平均インピーダンスの位相角を減算して、前記算出したインピーダンスの位相角に発生する誤差を補正するための位相角用補正値を前記補正値として算出する。
【0013】
請求項7記載のインピーダンス測定装置は、請求項5記載のインピーダンス測定装置において、前記試験用電流が直流電流のときに、前記演算制御部は、前記第3のインピーダンスの絶対値を前記平均インピーダンスの絶対値で除算して、前記算出したインピーダンスの絶対値に発生する誤差を補正するための絶対値用補正値を前記補正値として算出する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載のインピーダンス測定装置では、測定対象体のインピーダンスの算出に先立ち、演算制御部が、第1処理系に対して第1電圧信号を入力して第1ディジタルデータへの変換処理を実行させ、かつ第2処理系に対して第1電圧信号を入力して第3ディジタルデータへの変換処理を実行させると共に第2電圧信号を入力して第2ディジタルデータへの変換処理を実行させ、第1処理系から出力される第1ディジタルデータと第2処理系から出力される第2ディジタルデータとに基づいて第1のインピーダンスを算出すると共に、第2処理系から出力される第3および第2ディジタルデータに基づいて第2のインピーダンスを算出し、第1および第2のインピーダンスに基づいて補正値を算出する。
【0015】
また、請求項2記載のインピーダンス測定装置では、測定対象体のインピーダンスの算出に先立ち、演算制御部が、第1処理系に対して第1電圧信号を入力して第1ディジタルデータへの変換処理を実行させると共に第2電圧信号を入力して第4ディジタルデータへの変換処理を実行させ、かつ第2処理系に対して第2電圧信号を入力して第2ディジタルデータへの変換処理を実行させ、第1処理系から出力される第1ディジタルデータと第2処理系から出力される第2ディジタルデータとに基づいて第1のインピーダンスを算出すると共に、第1処理系から出力される第1および第4ディジタルデータに基づいて第2のインピーダンスを算出し、第1および第2のインピーダンスに基づいて補正値を算出する。
【0016】
具体的には、上記の各インピーダンス測定装置では、演算制御部が、試験用電流が交流電流のときには、第1のインピーダンスの絶対値を第2のインピーダンスの絶対値で除算して絶対値用補正値を補正値として算出すると共に、第1のインピーダンスの位相角から第2のインピーダンスの位相角を減算して位相角用補正値を補正値として算出する。また、試験用電流が直流電流のときには、第1のインピーダンスの絶対値を第2のインピーダンスの絶対値で除算して絶対値用補正値を補正値として算出する。
【0017】
また、請求項5記載のインピーダンス測定装置では、測定対象体のインピーダンスの算出に先立ち、演算制御部が、第1処理系および第2処理系に対して第1電圧信号および第2電圧信号を交互に入力して第1ディジタルデータ、第2ディジタルデータ、第3ディジタルデータおよび第4ディジタルデータへの変換処理をそれぞれ実行させ、第1処理系から出力される第1ディジタルデータおよび第2処理系から出力される第2ディジタルデータに基づいて第3のインピーダンスを算出すると共に、第1処理系から出力される第4ディジタルデータおよび第2処理系から出力される第3ディジタルデータに基づいて第4のインピーダンスを算出して、第3のインピーダンスおよび第4のインピーダンスの平均インピーダンスを算出し、平均インピーダンスおよび第3のインピーダンスに基づいて補正値を算出する。
【0018】
具体的には、このインピーダンス測定装置では、演算制御部が、試験用電流が交流電流のときには、第3のインピーダンスの絶対値を平均インピーダンスの絶対値で除算して絶対値用補正値を補正値として算出すると共に、第3のインピーダンスの位相角から平均インピーダンスの位相角を減算して位相角用補正値を補正値として算出する。また、試験用電流が直流電流のときには、第3のインピーダンスの絶対値を平均インピーダンスの絶対値で除算して絶対値用補正値を補正値として算出する。
【0019】
したがって、これらのインピーダンス測定装置によれば、その後に測定対象体のインピーダンスを算出する際に、試験用電流が交流電流のときには、第1処理系および第2処理系を並列的に作動させて得られた各ディジタルデータと、絶対値用補正値および位相角用補正値とに基づいて、一方、試験用電流が直流電流のときには、第1処理系および第2処理系を並列的に作動させて得られた各ディジタルデータと、絶対値用補正値とに基づいて、測定対象体のインピーダンスを算出することができるため、インピーダンスを高速に算出することができる。また、算出したインピーダンスには、第1処理系の利得および位相遅れ、第2処理系の利得および位相遅れのいずれも含まれていないため、両処理系間での利得や位相遅れの相違の影響を受けることなく、インピーダンスを正確に算出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るインピーダンス測定装置の最良の形態について説明する。
【0021】
インピーダンス測定装置1(以下、「測定装置1」ともいう)は、図1に示すように、信号源2、電流検出系回路3、電圧検出系回路4、切換部5、第1および第2の処理系回路(本発明における処理系)6,7、記憶部8、演算制御部9および出力部10を備えて、測定対象体11のインピーダンスZmを測定可能に構成されている。なお、本例では、以下において、インピーダンスは、極座標形式(絶対値(Z)と位相角(θ))で表すものとする。
【0022】
信号源2は、演算制御部9からトリガ信号S1を入力したときに、その立ち上がりに同期して試験用信号S2の生成および出力を開始する。本例では、信号源2は、一例として交流信号(具体的には正弦波信号)としての試験用信号S2を所定の周期(数周期)だけ生成する。また、信号源2で生成された試験用信号S2は、プローブ12aを介して測定対象体11に供給される。
【0023】
電流検出系回路3は、電流検出部21および増幅部22を備えている。この場合、電流検出部21は、試験用信号S2の印加に起因して測定対象体11に流れる電流(本発明における試験用電流)I1を、プローブ12bを介して入力して、この電流I1の電流値に比例して振幅が変化する電圧信号S3を出力する。増幅部22は、電圧信号S3を予め設定された利得で増幅して、電圧信号S4(本発明における第1電圧信号)として出力する。一方、電圧検出系回路4は、電圧検出部23および増幅部24を備えている。この場合、電圧検出部23は、電流I1が流れることに起因して測定対象体11の両端間に発生する電圧V1を一対のプローブ13a,13bを介して入力して、この電圧V1の電圧値に比例して振幅が変化する電圧信号S5を出力する。増幅部24は、電圧信号S5を予め設定された利得で増幅して、電圧信号S6(本発明における第2電圧信号)として出力する。
【0024】
切換部5は、切換スイッチ(半導体スイッチやリレーなど)で構成されて、電圧信号S4および電圧信号S6を入力すると共に、演算制御部9の制御下でこれらのうちの一方を選択して出力する。具体的には、切換部5は、演算制御部9から出力される制御信号S7がLowレベルのときには電圧信号S6を選択して出力し、Highレベルのときには電圧信号S4を選択して出力する。
【0025】
第1の処理系回路6(以下、単に「処理系回路6」ともいう)は、増幅部25、フィルタ部26およびA/D変換部27を備え、電流検出系回路3から出力されたアナログ信号である電圧信号S4の振幅を示すディジタルデータ(本発明における第1ディジタルデータ)D1を出力する変換処理を実行する。具体的には、増幅部25は、電流検出系回路3から出力された電圧信号S4を予め設定された利得で増幅して、電圧信号S8として出力する。フィルタ部26は、一例として低域通過型フィルタで構成されて、電圧信号S8に含まれているノイズ成分(高周波成分)を除去して電圧信号S9として出力する。A/D変換部27は、不図示のサンプリング信号生成部からサンプリング信号の供給を受けて所定の周期で電圧信号S9をサンプリングして、その振幅を示すディジタルデータD1を出力する。この構成により、処理系回路6は、電流検出系回路3で検出された電流I1の電流値を示すディジタルデータD1を出力する。
【0026】
一方、第2の処理系回路7(以下、単に「処理系回路7」ともいう)は、増幅部28、フィルタ部29およびA/D変換部30を備え、切換部5から出力されたアナログ信号である電圧信号S6の振幅を示すディジタルデータD2(本発明における第2ディジタルデータ)または切換部5から出力された電圧信号S4の振幅を示すディジタルデータD3(本発明における第3ディジタルデータ)を出力する変換処理を実行する。具体的には、増幅部28は、切換部5から出力された電圧信号(電圧信号S4または電圧信号S6)を予め設定された利得で増幅して、電圧信号S10として出力する。フィルタ部29は、一例として低域通過型フィルタで構成されて、電圧信号S10に含まれているノイズ成分(高周波成分)を除去して電圧信号S11として出力する。A/D変換部30は、不図示のサンプリング信号生成部からサンプリング信号の供給を受けて、A/D変換部27と同じ周期で電圧信号S11をサンプリングして、その振幅を示すディジタルデータを出力する。この構成により、処理系回路7は、切換部5から電圧信号S6が出力されているときには、電圧検出系回路4で検出された電圧V1の電圧値を示すディジタルデータD2を出力し、切換部5から電圧信号S4が出力されているときには、電流検出系回路3で検出された電流I1の電流値を示すディジタルデータD3を出力する。
【0027】
記憶部8は、一例として、演算制御部9用の動作プログラムが予め記憶されたROM、および演算制御部9のワーキングメモリとして使用されるRAMを備えている。演算制御部9は、一例としてCPUで構成されている。また、演算制御部9は、記憶部8に記憶されている動作プログラムに従って作動して、トリガ信号S1および制御信号S7を出力して信号源2および切換部5に対する制御処理を実行すると共に、各ディジタルデータD1,D2,D3に基づく測定対象体11のインピーダンス算出のための補正値算出処理を実行する。また、演算制御部9は、各ディジタルデータD1,D2、および補正値算出処理で算出した補正値に基づいて、測定対象体11のインピーダンスZmを算出するインピーダンス算出処理を実行する。また、演算制御部9は、インピーダンス算出処理で算出した測定対象体11のインピーダンスZmを出力部10に出力する。
【0028】
出力部10は、一例として表示装置で構成されて、演算制御部9から入力したインピーダンスZmを画面に表示する。なお、出力部10は、表示装置に限定されず、印字装置や送信装置やインターフェース回路で構成して、インピーダンスZmを印字装置で用紙に印刷したり、送信装置で伝送路を介して外部機器に送信したり、インターフェース回路に接続された記録媒体(例えば、外部記憶装置)に記憶することもできる。
【0029】
次に、測定装置1の動作について説明する。なお、発明の理解を容易にするため、本例では、前段回路としての電流検出系回路3および電圧検出系回路4は理想的に調整されていて、各回路の利得および位相遅れは等しいものとする。一方、後段回路としての処理系回路6および処理系回路7は、それぞれの利得および位相遅れを等しくするために、回路構成が同一に構成されているものの、回路部品の特性のばらつき等に起因して、両処理系回路6,7の利得および両処理系回路6,7の位相遅れにはそれぞれ僅かな相違がある。つまり、両処理系回路6,7間には、わずかな利得差およびわずかな位相遅れの差(本発明における位相差)が存在している。このため、この測定装置1では、後述するように、その相違が存在したとしても、絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeで補正することでインピーダンスを正確に測定することが可能となっている。なお、処理系回路7の利得がAで位相遅れがαであるものとし、処理系回路6の利得がBで位相遅れがβであるものとする。
【0030】
測定対象体11に各プローブ12a,12b,13a,13bが接続された状態において、測定装置1の電源が投入されると、電流検出系回路3、電圧検出系回路4、および各処理系回路6,7が動作を開始する。一方、演算制御部9は、まず、記憶部8に後述する各補正値Ze,θeが記憶されているか否かを判別して、記憶されていないときには補正値算出処理を実行し、記憶されているときにはインピーダンス算出処理を実行する。
【0031】
この補正値算出処理では、演算制御部9は、まず、図2に示すように、制御信号S7をLowレベルに制御することにより、電圧信号S6を選択して出力可能な状態に切換部5を切り換える。次いで、演算制御部9は、トリガ信号S1を信号源2に対して出力して、所定周期分の試験用信号S2の生成および出力を開始させる。これにより、期間T1において、測定対象体11に電流I1が流れると共に、その両端間に電圧V1が発生する。このため、電流検出系回路3は、電流I1を検出して電圧信号S4を出力し、また電圧検出系回路4は、電流検出系回路3と並列的に作動して、電圧V1を検出して電圧信号S6を出力する。また、各処理系回路6,7も、電圧信号S4および電圧信号S6に対する変換処理をそれぞれ並列的に実行することにより、処理系回路6が電圧信号S4に基づいて電流I1の電流値を示すディジタルデータD1を出力し、処理系回路7が電圧信号S6に基づいて電圧V1の電圧値を示すディジタルデータD2を出力する。また、演算制御部9は、期間T1の期末において、所定周期分の各ディジタルデータD1,D2を入力して記憶部8に記憶させる。
【0032】
続いて、演算制御部9は、図2に示すように、制御信号S7をHighレベルに制御することにより、電圧信号S4を選択して出力可能な状態に切換部5を切り換えた後に、トリガ信号S1を信号源2に対して再度出力して、所定周期分の試験用信号S2の生成を再度開始させる。この場合も、上述した期間T1のときと同様にして、期間T2において、電流検出系回路3が電流I1を検出して電圧信号S4を出力し、処理系回路6が電圧信号S4に基づいて電流I1の電流値を示すディジタルデータD1を出力する。また、電圧検出系回路4が電流検出系回路3と並列的に作動して、電圧V1を検出して電圧信号S6を出力する。一方、処理系回路7は、処理系回路6と並列的に作動して、電圧信号S4に基づいて電流I1の電流値を示すディジタルデータD3を出力する変換処理を実行する。なお、処理系回路6も電圧信号S4の変換処理を実行しているが、変換処理後のディジタルデータD1については使用しないため、図2には図示しないものとする。演算制御部9は、期間T2の期末において、所定周期分の各ディジタルデータD1,D3のうちのディジタルデータD3を入力して記憶部8に記憶させる。また、演算制御部9は、期間T2の終了時に制御信号S7をLowレベルに制御することにより、電圧信号S6を選択して出力可能な状態に切換部5を再度切り換える。
【0033】
次いで、演算制御部9は、記憶部8に記憶されている各ディジタルデータD1,D2,D3に基づいて、測定対象体11のインピーダンスZmを算出する際に用いる各補正値Ze,θeを算出するための算出処理を期間T3において実行する。この場合、電流検出系回路3および電圧検出系回路4は上記したように理想的な状態(両回路での利得や位相遅れが同じ状態)に調整されているため、電流検出系回路3から出力される電圧信号S4は、電流I1の振幅を示す電圧信号(I×sin(ω×t+θi))であり、電圧検出系回路4から出力される電圧信号S6は、電圧V1の振幅を示す電圧信号(V×sin(ω×t+θv))である。ここで、θiは試験用信号S2を基準とした電圧信号S4についての位相差を示し、θvは試験用信号S2を基準とした電圧信号S6についての位相差を示すものとする。したがって、処理系回路6が電圧信号S4を変換処理して出力するディジタルデータD1は、電流I1の波形を示す最初のデータであって、B×I×sin(ω×t+θi+β)(=If)で現される。また、処理系回路7が電圧信号S6を変換処理して出力するディジタルデータD2は、電圧V1の波形を示す最初のデータであって、A×V×sin(ω×t+θv+α)(=Vf)で現され、同じく処理系回路7が電圧信号S4を変換処理して出力するディジタルデータD3は、電流I1の波形を示す2番目のデータであって、A×I×sin(ω×t+θi+α)(=Is)で現される。
【0034】
この算出処理では、演算制御部9は、まず、データVfをデータIfで除算することにより、第1のインピーダンスZ1を算出する。この場合、第1のインピーダンスZ1は、その絶対値が(A/B)×Zで、その位相角が(θv+α−(θi+β))となる。ここで、ZはV/Iを示す(以下においても同様)。次いで、演算制御部9は、データVfをデータIsで除算することにより、第2のインピーダンスZ2を算出する。この場合、第2のインピーダンスZ2は、その絶対値が(A/A)×Zで、その位相角が(θv+α−(θi+α))となる。続いて、演算制御部9は、第1のインピーダンスZ1を第2のインピーダンスZ2で除算することにより、各ディジタルデータD1,D2に基づいて算出された第1のインピーダンスZ1の絶対値および位相角に発生する各誤差(絶対値誤差および位相角誤差)を補正するための絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeを算出する。この場合、絶対値用補正値Zeは、(A/B)×Z/((A/A)×Z)=A/Bとして算出され、位相角用補正値θeは、θv+α−(θi+β)−(θv+α−(θi+α))=α−βとして算出される。演算制御部9は、算出した絶対値用補正値Ze(=A/B)および位相角用補正値θe(=α−β)を記憶部8に記憶させて、この算出処理を完了する。これにより、補正値算出処理も完了する。
【0035】
この後、測定装置1では、各プローブ12a,12b,13a,13bに新たな測定対象体11が接続される都度、演算制御部9がインピーダンス算出処理を実行する。一例として、期間T4において測定対象体11のインピーダンスZを算出するインピーダンス算出処理について説明する。なお、切換部5は、電圧信号S6を選択して出力可能な状態を維持している。このインピーダンス算出処理では、演算制御部9は、まず、図2に示すように、期間T4の期首においてトリガ信号S1を信号源2に対して出力して、所定周期分の試験用信号S2の生成を開始させる。これにより、電流検出系回路3が、測定対象体11に流れる電流I1(Ia×sin(ω×t+θi))を検出して電圧信号S4を出力し、電圧検出系回路4が、電流検出系回路3と並列的に作動して、測定対象体11の両端間に発生する電圧V1(Va×sin(ω×t+θv))を検出して電圧信号S6を出力する。また、各処理系回路6,7も並列的に作動して、処理系回路6が電圧信号S4に基づいて電流I1の電流値を示すディジタルデータD1を出力し、処理系回路7が電圧信号S6に基づいて電圧V1の電圧値を示すディジタルデータD2を出力する。演算制御部9は、所定周期分のディジタルデータD1(B×Ia×sin(ω×t+θi+β))、およびディジタルデータD2(A×Va×sin(ω×t+θv+α))を入力して記憶部8に記憶させる。
【0036】
次いで、演算制御部9は、各ディジタルデータD1,D2、絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeに基づいて、測定対象体11のインピーダンスZmを算出する。この場合、演算制御部9は、まず、各ディジタルデータD1,D2に基づいて、インピーダンスZを算出する。この場合、このインピーダンスZは、その絶対値が(A×Va)/(B×Ia)であり、その位相角が((θv+α)−(θi+β))となる。次いで、演算制御部9は、算出したインピーダンスZの絶対値((A×Va)/(B×Ia))を絶対値用補正値Ze(=A/B)で除算することによって補正して、インピーダンスZmの絶対値(Va/Ia)を算出する。また、演算制御部9は、算出したインピーダンスZの位相角((θv+α)−(θi+β))から位相角用補正値θe(=α−β)を減算することにより、算出したインピーダンスZの位相角((θv+α)−(θi+β))を補正して、インピーダンスZmの位相角(θv−θi)を算出する。この期間T4でのインピーダンスZmの算出に際しては、切換部5による各電圧信号S4,S6の切り換えが行われることなく、電流検出系回路3および電圧検出系回路4が並列的に作動し、かつ各処理系回路6,7も並列的に作動する結果、インピーダンスZmが高速に算出される。また、算出されたインピーダンスZmの絶対値(Va/Ia)および位相角(θv−θi)には、処理系回路7および処理系回路6の利得A、位相遅れα、利得Bおよび位相遅れβのいずれも含まれていないため、両処理系回路6,7間での利得や位相遅れの相違の影響を受けない正確なインピーダンスZmが算出される。最後に、演算制御部9が、算出したインピーダンスZm(絶対値(Va/Ia)および位相角(θv−θi))を記憶部8に記憶させると共に、出力部10にこれらを表示させる。これにより、インピーダンス算出処理が完了する。
【0037】
このように、この測定装置1では、測定対象体11のインピーダンスZmの算出に先立ち、演算制御部9が、処理系回路6に対して電圧信号S4を入力してディジタルデータD1への変換処理を実行させ、かつ処理系回路7に対して電圧信号S6を入力してディジタルデータD2への変換処理を実行させると共に電圧信号S4を入力してディジタルデータD3への変換処理を実行させ、処理系回路6から出力されるディジタルデータD1と処理系回路7から出力されるディジタルデータD2とに基づいて第1のインピーダンスZ1を算出すると共に、処理系回路7から出力されるディジタルデータD2,D3に基づいて第2のインピーダンスZ2を算出し、第1および第2のインピーダンスZ1,Z2に基づいて、具体的には第1のインピーダンスZ1の絶対値を第2のインピーダンスZ2の絶対値で除算して絶対値用補正値Zeを算出すると共に、第1のインピーダンスZ1の位相角から第2のインピーダンスZ2の位相角を減算して位相角用補正値θeを算出する。したがって、この測定装置1によれば、その後に測定対象体11のインピーダンスZmを算出する際に、電流検出系回路3と電圧検出系回路4、および処理系回路6と処理系回路7とをそれぞれ並列的に作動させて得られた各ディジタルデータD1,D2と、記憶部8に記憶されている絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeとに基づいて、測定対象体11のインピーダンスZmを算出することができるため、インピーダンスZmを高速に算出することができる。また、算出したインピーダンスZm(絶対値(Va/Ia)および位相角(θv−θi))には、処理系回路7および処理系回路6の利得A、位相遅れα、利得Bおよび位相遅れβのいずれも含まれていないため、両処理系回路6,7間での利得や位相遅れの相違の影響(つまり、両処理系回路6,7間の利得差や位相遅れの差(位相差)の影響)を受けることなく、インピーダンスZmを正確に算出することができる。また、従来の測定装置と異なり、位相の異なる電圧信号(0°および90°の電圧信号)を生成するための可変位相信号発生器の配設を省略できると共に系統数を少なくすることができるため、装置構成を簡略化することができる結果、装置コストを十分に低減することができる。
【0038】
なお、上述した実施の形態では、絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeの算出後において、電圧V1を示す電圧信号S6を変換処理する処理系回路7において、電圧信号S6と共に電圧信号S4を変換処理する構成を採用したが、図3に示すインピーダンス測定装置1A(以下、「測定装置1A」ともいう)のように、電流I1を示す電圧信号S4を変換処理する処理系回路6において、電圧信号S4と共に電圧信号S6を変換処理して、絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeを算出する構成を採用することもできる。以下、この測定装置1Aについて説明する。なお、測定装置1と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0039】
測定装置1Aは、図3に示すように、切換部5から出力される信号を処理系回路6が入力し、処理系回路7は電圧検出系回路4から出力される電圧信号S6のみを入力する構成とした点において測定装置1と主として相違し、他の構成は測定装置1とほぼ同一である。したがって、この構成により、測定装置1Aでは、処理系回路6は、切換部5から電圧信号S4が出力されているときには、電流検出系回路3で検出された電流I1の電流値を示すディジタルデータD1を出力し、切換部5から電圧信号S6が出力されているときには、電圧検出系回路4で検出された電圧V1の電圧値を示すディジタルデータD4(本発明における第4ディジタルデータ)を出力する。また、処理系回路7は、電圧検出系回路4で検出された電圧V1の電圧値を示すディジタルデータD2を出力する。
【0040】
また、演算制御部9Aは、処理系回路6から出力されるディジタルデータD1と処理系回路7から出力されるディジタルデータD2とに基づいて第1のインピーダンスZ1を算出すると共に、処理系回路6から出力されるディジタルデータD2,D4に基づいて第2のインピーダンスZ2を算出し、第1および第2のインピーダンスZ1,Z2に基づいて、具体的には測定装置1の演算制御部9と同様にして、第1のインピーダンスZ1の絶対値を第2のインピーダンスZ2の絶対値で除算して絶対値用補正値Zeを算出すると共に、第1のインピーダンスZ1の位相角から第2のインピーダンスZ2の位相角を減算して位相角用補正値θeを算出する。また、演算制御部9Aは、測定対象体11のインピーダンスZmを算出する際に、電流検出系回路3と電圧検出系回路4、および処理系回路6と処理系回路7とをそれぞれ並列的に作動させて得られた各ディジタルデータD1,D2と、記憶部8に記憶されている絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeとに基づいて、測定装置1の演算制御部9と同様にして、測定対象体11のインピーダンスZmを算出する。したがって、測定装置1Aにおいても、上記した測定装置1の効果と同様の効果を奏することができる。
【0041】
また、絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeを算出するためのディジタルデータを得るために、1つの切換部5で電圧信号S4,S6を切り換えて各処理系回路6,7のいずれか一方に入力させてディジタルデータに変換処理する構成について上記したが、図4に示すインピーダンス測定装置1B(以下、「測定装置1B」ともいう)のように、2つの切換部5a,5bを備えて、各処理系回路6,7において電圧信号S6および電圧信号S4をディジタルデータに変換処理する構成を採用することもできる。以下、この測定装置1Bについて説明する。なお、測定装置1と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0042】
測定装置1Bは、図4に示すように、信号源2、電流検出系回路3、電圧検出系回路4、切換部5a,5b、処理系回路6,7、記憶部8、演算制御部9Bおよび出力部10を備えて、測定対象体11のインピーダンスZmを測定可能に構成されている。この場合、切換部5aは、上記した測定装置1Aの切換部5と同一に構成されて、演算制御部9Bから出力される制御信号S7がLowレベルのときには電圧信号S4を選択して出力し、Highレベルのときには電圧信号S6を選択して出力する。一方、切換部5bは、上記した測定装置1の切換部5と同一に構成されて、演算制御部9から出力される制御信号S7がLowレベルのときには電圧信号S6を選択して出力し、Highレベルのときには電圧信号S4を選択して出力する。
【0043】
この測定装置1Bでは、処理系回路6は、切換部5から電圧信号S4が出力されているときには、電流検出系回路3で検出された電流I1の電流値を示すディジタルデータD1を出力し、切換部5から電圧信号S6が出力されているときには、電圧検出系回路4で検出された電圧V1の電圧値を示すディジタルデータD4を出力する。また、処理系回路7は、切換部5から電圧信号S4が出力されているときには、電流検出系回路3で検出された電流I1の電流値を示すディジタルデータD3を出力し、切換部5から電圧信号S6が出力されているときには、電圧検出系回路4で検出された電圧V1の電圧値を示すディジタルデータD2を出力する。
【0044】
演算制御部9Bは、測定装置1の演算制御部9に相当し、演算制御部9と同様にして、記憶部8に記憶されている動作プログラムに従って作動して、トリガ信号S1および制御信号S7を出力して信号源2および各切換部5a,5bに対する制御処理を実行する。また、演算制御部9は、各ディジタルデータD1,D2,D3,D4に基づく測定対象体11のインピーダンス算出のための補正値算出処理を実行する。また、演算制御部9は、各ディジタルデータD1,D2、および補正値算出処理で算出した補正値に基づいて、測定対象体11のインピーダンスZmを算出するインピーダンス算出処理を実行する。
【0045】
次に、測定装置1Bの動作について説明する。なお、測定装置1Bは、補正値算出処理の処理内容においてのみ測定装置1と相違し、他の動作については測定装置1と同様にして作動する。このため、以下では、この補正値算出処理について説明する。
【0046】
この補正値算出処理では、演算制御部9Bは、まず、図5に示すように、制御信号S7を制御することにより、各処理系回路6,7に対して電圧信号S4,S6を交互に入力して、電圧信号S4のディジタルデータへの変換処理および電圧信号S6のディジタルデータへの変換処理をそれぞれ実行させて、ディジタルデータD1,D2,D3,D4に変換させる。具体的には、演算制御部9Bは、まず、制御信号S7をLowレベルに制御することにより、電圧信号S4を選択して出力可能な状態に切換部5aを切り換えると共に、電圧信号S6を選択して出力可能な状態に切換部5bを切り換える。次いで、演算制御部9Bは、トリガ信号S1を信号源2に対して出力して、所定周期分の試験用信号S2の生成および出力を開始させる。これにより、期間T1において、測定対象体11に電流I1が流れると共に、その両端間に電圧V1が発生する。このため、電流検出系回路3は、電流I1を検出して電圧信号S4を出力し、また電圧検出系回路4は、電流検出系回路3と並列的に作動して、電圧V1を検出して電圧信号S6を出力する。また、各処理系回路6,7も、電圧信号S4および電圧信号S6に対する変換処理をそれぞれ並列的に実行することにより、処理系回路6が電圧信号S4に基づいて電流I1の電流値を示すディジタルデータD1を出力し、処理系回路7が電圧信号S6に基づいて電圧V1の電圧値を示すディジタルデータD2を出力する。また、演算制御部9Bは、期間T1の期末において、所定周期分の各ディジタルデータD1,D2を入力して記憶部8に記憶させる。
【0047】
続いて、演算制御部9Bは、図5に示すように、制御信号S7をHighレベルに制御することにより、電圧信号S6を選択して出力可能な状態に切換部5aを切り換えると共に、電圧信号S4を選択して出力可能な状態に切換部5bを切り換え、その後に、トリガ信号S1を信号源2に対して再度出力して、所定周期分の試験用信号S2の生成を再度開始させる。この場合には、期間T2において、電流検出系回路3が電流I1を検出して電圧信号S4を出力し、処理系回路7が電圧信号S4に基づいて電流I1の電流値を示すディジタルデータD3を出力する変換処理を実行する。一方、電圧検出系回路4が電流検出系回路3と並列的に作動して、電圧V1を検出して電圧信号S6を出力し、処理系回路6が処理系回路7と並列的に作動して、電圧信号S6に基づいて電圧V1の電圧値を示すディジタルデータD4を出力する変換処理を実行する。演算制御部9Bは、期間T2の期末において、所定周期分の各ディジタルデータD3,D4を入力して記憶部8に記憶させる。また、演算制御部9Bは、期間T2の終了時に制御信号S7をLowレベルに制御することにより、電圧信号S4を選択して出力可能な状態に切換部5aを再度切り換えると共に、電圧信号S6を選択して出力可能な状態に切換部5bを再度切り換える。
【0048】
次いで、演算制御部9Bは、記憶部8に記憶されている各ディジタルデータD1,D2,D3,D4に基づいて、測定対象体11のインピーダンスZmを算出する際に用いる各補正値Ze,θeを算出するための算出処理を期間T3において実行する。この場合、処理系回路6が電圧信号S4を変換処理して出力するディジタルデータD1は、電流I1の波形を示す最初のデータであって、B×I×sin(ω×t+θi+β)(=If)で現され、処理系回路7が電圧信号S6を変換処理して出力するディジタルデータD2は、電圧V1の波形を示す最初のデータであって、A×V×sin(ω×t+θv+α)(=Vf)で現される。また、処理系回路6が電圧信号S6を変換処理して出力するディジタルデータD4は、電圧V1の波形を示す2番目のデータであって、B×V×sin(ω×t+θv+β)(=Vs)で現され、処理系回路7が電圧信号S4を変換処理して出力するディジタルデータD3は、電流I1の波形を示す2番目のデータであって、A×I×sin(ω×t+θi+α)(=Is)で現される。
【0049】
この算出処理では、演算制御部9Bは、まず、データVfをデータIfで除算することにより、第3のインピーダンスZ3を算出する。この場合、第3のインピーダンスZ3は、その絶対値が(A/B)×Zで、その位相角が(θv+α−(θi+β))となる。次いで、データVsをデータIsで除算することにより、第4のインピーダンスZ4を算出する。この場合、第4のインピーダンスZ4は、その絶対値が(B/A)×Zで、その位相角が(θv+β−(θi+α))となる。続いて、演算制御部9Bは、第3および第4のインピーダンスZ3,Z4の平均値(相乗平均値)Zaveを算出して、記憶部8に記憶させる。この場合、平均値Zaveは、その絶対値が、√(Z3×Z4)=√((A/B)×Z×(B/A)×Z)=Zとなり、その位相角が、(θv+α−(θi+β)+θv+β−(θi+α))/2=θv−θiとなる。
【0050】
次いで、演算制御部9Bは、第3のインピーダンスZ3を平均値Zaveで除算することにより、各ディジタルデータD1,D2に基づいて算出された第3のインピーダンスZ3の絶対値および位相角に発生する各誤差(絶対値誤差および位相角誤差(位相遅れの相違による誤差))を補正するための絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeを算出する。この場合、絶対値用補正値Zeは、(A/B)×Z/Z=A/Bとして算出され、位相角用補正値θeは、θv+α−(θi+β)−(θv−θi)=α−βとして算出される。演算制御部9Bは、算出した絶対値用補正値Ze(=A/B)および位相角用補正値θe(=α−β)を記憶部8に記憶させて、この算出処理を完了する。これにより、補正値算出処理も完了する。
【0051】
この測定装置1Bにおいても、測定装置1と同じ値の絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeを補正値算出処理で算出できるため、その後において実行される測定対象体11のインピーダンスZmの測定(例えば図5に示す期間T4でのインピーダンスZmの測定)に際して、電流検出系回路3と電圧検出系回路4、および処理系回路6と処理系回路7とをそれぞれ並列的に作動させて得られた各ディジタルデータD1,D2と、記憶部8に記憶されている絶対値用補正値Zeおよび位相角用補正値θeとに基づいて、測定対象体11のインピーダンスZmを算出することができるため、インピーダンスZmを高速に算出することができる。また、算出したインピーダンスZm(絶対値(Va/Ia)および位相角(θv−θi))には、処理系回路7および処理系回路6の利得A、位相遅れα、利得Bおよび位相遅れβのいずれも含まれていないため、インピーダンスZmを正確に算出することができる。また、測定装置1と同様にして、装置コストを十分に低減することができる。
【0052】
なお、本発明は、上記した発明の実施の形態に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、上述した各測定装置1,1A,1Bでは、信号源2から測定対象体11に対して、試験用信号S2として交流信号を供給しているが、直流信号(具体的には直流定電圧信号)を供給することもできる。この場合、演算制御部9,9A,9Bは、補正値算出処理において絶対値用補正値Zeのみを算出する。また、電流検出系回路3および電圧検出系回路4の各々に増幅部22,24を配設しているが、電流検出部21および電圧検出部23に信号増幅機能が備わっているときには、増幅部22,24の配設を省いた構成を採用することもできる。同様にして、処理系回路6および処理系回路7にも増幅部25,28を配設しているが、電流検出系回路3および電圧検出系回路4において電圧信号S4,S6のレベルを調整可能であれば、これらの増幅部25,28についてもその配設を省くことができる。また、処理系回路6および処理系回路7にフィルタ部26,29をそれぞれ配設して、インピーダンスZmを高精度に算出可能な構成を採用しているが、ノイズの影響が少ないときや、インピーダンスZmを簡易に算出するときなどでは、これらのフィルタ部26,29についてもその配設を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】測定装置1の構成を示す構成図である。
【図2】測定装置1の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図3】測定装置1Aの構成を示す構成図である。
【図4】測定装置1Bの構成を示す構成図である。
【図5】測定装置1Bの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0054】
1,1A,1B 測定装置
6,7 処理系回路
9,9A,9B 演算制御部
11 測定対象体
D1,D2,D3,D4 ディジタルデータ
I1 試験用電流
S4,S6 電圧信号
V1 電圧
Zave 平均値
Ze 絶対値用補正値
Zm インピーダンス
θe 位相角用補正値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象体に流れる試験用電流の電流値に比例して変化する第1電圧信号を第1ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第1処理系と、前記試験用電流が流れることに起因して前記測定対象体の両端間に発生する電圧の電圧値に比例して変化する第2電圧信号を入力したときには第2ディジタルデータに変換して出力すると共に前記第1電圧信号を入力したときには第3ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第2処理系と、前記第1処理系による前記第1ディジタルデータへの変換処理と前記第2処理系による前記第2ディジタルデータへの変換処理とが並列的に実行されている状態において当該各処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出する演算制御部とを備えたインピーダンス測定装置であって、
前記演算制御部は、
前記測定対象体のインピーダンスの算出に先立ち、
前記第1処理系に対して前記第1電圧信号を入力して前記第1ディジタルデータへの変換処理を実行させ、かつ前記第2処理系に対して前記第1電圧信号を入力して前記第3ディジタルデータへの変換処理を実行させると共に前記第2電圧信号を入力して前記第2ディジタルデータへの変換処理を実行させ、
前記第1処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される前記第2ディジタルデータとに基づいて第1のインピーダンスを算出すると共に、当該第2処理系から出力される前記第3ディジタルデータと前記第2ディジタルデータとに基づいて第2のインピーダンスを算出し、
前記第1処理系から出力される第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出した際に前記各処理系間に存在する利得差および位相差のうちの少なくとも一方に起因して当該算出したインピーダンスに発生する誤差を補正するための補正値を、前記第1のインピーダンスおよび前記第2のインピーダンスに基づいて算出するインピーダンス測定装置。
【請求項2】
測定対象体に流れる試験用電流の電流値に比例して変化する第1電圧信号を入力したときには第1ディジタルデータに変換して出力すると共に当該試験用電流が流れることに起因して当該測定対象体の両端間に発生する電圧の電圧値に比例して変化する第2電圧信号を入力したときには第4ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第1処理系と、前記第2電圧信号を第2ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第2処理系と、前記第1処理系による前記第1ディジタルデータへの変換処理と前記第2処理系による前記第2ディジタルデータへの変換処理とが並列的に実行されている状態において当該各処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出する演算制御部とを備えたインピーダンス測定装置であって、
前記演算制御部は、
前記測定対象体のインピーダンスの算出に先立ち、
前記第1処理系に対して前記第1電圧信号を入力して前記第1ディジタルデータへの変換処理を実行させると共に前記第2電圧信号を入力して前記第4ディジタルデータへの変換処理を実行させ、かつ前記第2処理系に対して前記第2電圧信号を入力して前記第2ディジタルデータへの変換処理を実行させ、
前記第1処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される前記第2ディジタルデータとに基づいて第1のインピーダンスを算出すると共に、当該第1処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第4ディジタルデータとに基づいて第2のインピーダンスを算出し、
前記第1処理系から出力される第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出した際に前記各処理系間に存在する利得差および位相差のうちの少なくとも一方に起因して当該算出したインピーダンスに発生する誤差を補正するための補正値を、前記第1のインピーダンスおよび前記第2のインピーダンスに基づいて算出するインピーダンス測定装置。
【請求項3】
前記試験用電流が交流電流のときに、前記演算制御部は、前記第1のインピーダンスの絶対値を前記第2のインピーダンスの絶対値で除算して、前記算出したインピーダンスの絶対値に発生する誤差を補正するための絶対値用補正値を前記補正値として算出すると共に、前記第1のインピーダンスの位相角から前記第2のインピーダンスの位相角を減算して、前記算出したインピーダンスの位相角に発生する誤差を補正するための位相角用補正値を前記補正値として算出する請求項1または2記載のインピーダンス測定装置。
【請求項4】
前記試験用電流が直流電流のときに、前記演算制御部は、前記第1のインピーダンスの絶対値を前記第2のインピーダンスの絶対値で除算して、前記算出したインピーダンスの絶対値に発生する誤差を補正するための絶対値用補正値を前記補正値として算出する請求項1または2記載のインピーダンス測定装置。
【請求項5】
測定対象体に流れる試験用電流の電流値に比例して変化する第1電圧信号を入力したときには第1ディジタルデータに変換して出力すると共に当該試験用電流が流れることに起因して当該測定対象体の両端間に発生する電圧の電圧値に比例して変化する第2電圧信号を入力したときには第4ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第1処理系と、前記第2電圧信号を入力したときには第2ディジタルデータに変換して出力すると共に前記第1電圧信号を入力したときには第3ディジタルデータに変換して出力する処理を実行する第2処理系と、前記第1処理系による前記第1ディジタルデータへの変換処理と前記第2処理系による前記第2ディジタルデータへの変換処理とが並列的に実行されている状態において当該各処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出する演算制御部とを備えたインピーダンス測定装置であって、
前記演算制御部は、
前記測定対象体のインピーダンスの算出に先立ち、
前記各処理系に対して前記第1電圧信号および前記第2電圧信号を交互に入力して前記第1ディジタルデータ、前記第2ディジタルデータ、前記第3ディジタルデータおよび前記第4ディジタルデータへの変換処理をそれぞれ実行させ、
前記第1処理系から出力される前記第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される前記第2ディジタルデータとに基づいて第3のインピーダンスを算出すると共に、前記第1処理系から出力される前記第4ディジタルデータと前記第2処理系から出力される前記第3ディジタルデータとに基づいて第4のインピーダンスを算出して、当該第3のインピーダンスおよび第4のインピーダンスの平均インピーダンスを算出し、
前記第1処理系から出力される第1ディジタルデータと前記第2処理系から出力される第2ディジタルデータとに基づいて前記測定対象体のインピーダンスを算出した際に前記各処理系間に存在する利得差および位相差のうちの少なくとも一方に起因して当該算出したインピーダンスに発生する誤差を補正するための補正値を、前記平均インピーダンスおよび前記第3のインピーダンスに基づいて算出するインピーダンス測定装置。
【請求項6】
前記試験用電流が交流電流のときに、前記演算制御部は、前記第3のインピーダンスの絶対値を前記平均インピーダンスの絶対値で除算して、前記算出したインピーダンスの絶対値に発生する誤差を補正するための絶対値用補正値を前記補正値として算出すると共に、前記第3のインピーダンスの位相角から前記平均インピーダンスの位相角を減算して、前記算出したインピーダンスの位相角に発生する誤差を補正するための位相角用補正値を前記補正値として算出する請求項5記載のインピーダンス測定装置。
【請求項7】
前記試験用電流が直流電流のときに、前記演算制御部は、前記第3のインピーダンスの絶対値を前記平均インピーダンスの絶対値で除算して、前記算出したインピーダンスの絶対値に発生する誤差を補正するための絶対値用補正値を前記補正値として算出する請求項5記載のインピーダンス測定装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate