インプリント用テンプレート及びインプリント方法
【課題】凹凸パターン内への光硬化性有機材料の充填速度が低下することを防止し、インプリント処理に要する時間の増加を抑制する。
【解決手段】本実施形態によれば、インプリント用テンプレート10は、1面に凹凸パターンを有するインプリント用テンプレートであって、光透過性を有する基材12と、基材12上に設けられ、複数の粒子14を含んだ第1層16と、第1層16上に設けられ、前記凹凸パターンが形成されており、光透過性及びガス透過性を有する第2層18と、を備える。粒子14は、所定波長の光を吸収して熱を放出する。
【解決手段】本実施形態によれば、インプリント用テンプレート10は、1面に凹凸パターンを有するインプリント用テンプレートであって、光透過性を有する基材12と、基材12上に設けられ、複数の粒子14を含んだ第1層16と、第1層16上に設けられ、前記凹凸パターンが形成されており、光透過性及びガス透過性を有する第2層18と、を備える。粒子14は、所定波長の光を吸収して熱を放出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インプリント用テンプレート及びインプリント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細パターンを低コストに形成するための技術として、光ナノインプリント法が知られている。これは、基板上に形成したいパターンに対応した凹凸を有するテンプレートを、基板表面に塗布された光硬化性有機材料層に押しつけ、これに光照射を行って有機材料層を硬化させ、テンプレートを有機材料層から離型することで、パターンを転写する方法である。
【0003】
しかし、インプリント処理の回数の増加に伴い、テンプレートの凹凸パターン内への光硬化性有機材料の充填速度が低下し、インプリント処理に要する時間が長くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−76300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、凹凸パターン内への光硬化性有機材料の充填速度が低下することを防止し、インプリント処理に要する時間の増加を抑制できるインプリント用テンプレート及びインプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、インプリント用テンプレートは、1面に凹凸パターンを有するインプリント用テンプレートであって、光透過性を有する基材と、前記基材上に設けられ、複数の粒子を含んだ第1層と、前記第1層上に設けられ、前記凹凸パターンが形成されており、光透過性及びガス透過性を有する第2層と、を備える。前記粒子は、所定波長の光を吸収して熱を放出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係るテンプレートの縦断面図である。
【図2】同実施形態に係るテンプレートの製造方法を説明する工程断面図である。
【図3】図2に続く工程断面図である。
【図4】図3に続く工程断面図である。
【図5】同実施形態に係るインプリント方法を説明するフローチャートである。
【図6】同実施形態に係るインプリント方法を説明する工程断面図である。
【図7】図6に続く工程断面図である。
【図8】図7に続く工程断面図である。
【図9】図8に続く工程断面図である。
【図10】図9に続く工程断面図である。
【図11】蓄積ガス放出処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係るテンプレート10の縦断面図である。テンプレート10は、基材12と、基材12上に設けられ、複数の粒子14を含む粒子層16と、粒子層16上に設けられ凹凸パターンが形成されたパターン層18とを備えており、後述するインプリント処理に使用されるものである。
【0010】
基材12は、光透過性を有しており、例えば石英ガラスで形成されている。また、基材12は、多数の微小な孔を有するポーラス構造になっており、ガスが通過するようになっている。また、基材12は、粒子層16及びパターン層18に対応する部分、言い換えれば図1において粒子層16及びパターン層18の下方部分の厚みが薄くなっている。
【0011】
粒子層16に含まれている粒子14は、微小な粒子であり、粒子層16は光透過性を有している。粒子14は、例えば、金又は銀のナノ粒子である。このような微粒子は、光が照射されると、表面プラズモン吸収を示し、特定の波長の光を吸収して熱として周囲に放出する。粒子14が吸収する光の波長は、粒子14の材料や大きさによって異なる。
【0012】
パターン層18は、インプリント処理において被加工基板上に形成するパターンに対応した形状の凹凸パターンを有している。また、パターン層18は、多数の孔を有するポーラス構造になっており、ガスが通過するようになっている。パターン層18の孔は極めて微小であるため、後述するインプリント処理の際に使用されるインプリント材料(光硬化性有機材料)がこの孔に浸透するという問題は生じない。
【0013】
パターン層18は、例えば石英ガラスで形成され、光透過性を有したものである。
【0014】
基材12やパターン層18の微小な孔は、後述するインプリント処理の際に凹凸パターン内のガスを外部へ放出させるため、インプリント材料を凹凸パターン内に充填しやすくする。しかし、インプリント処理を繰り返し行うと、微小孔にガスが蓄積して通気性(ガス透過性)が低下し、凹凸パターン内にインプリント材料を充填させるために要する時間が長くなる。
【0015】
本実施形態に係るテンプレート10では、基材12やパターン層18の微小な孔にガスが蓄積され、通気性が低下した場合、粒子14が吸収する波長の光をテンプレート10に照射し、粒子14を発熱させる(粒子14から熱を放出させる)。これにより、テンプレート10の温度が上昇し、テンプレート10と外気との温度勾配によりガスが拡散して、微小な孔に蓄積されているガスが外に放出される。また、テンプレート10の温度上昇により、ガス圧力やガス運動量が増加し、ガスが放出されやすくなる。さらに、基材12やパターン層18の孔のポーラス径が拡張し、ガスが放出されやすくなる。このように、テンプレート10では、粒子14からの熱放出により、内部に蓄積されたガスを放出することができる。
【0016】
粒子14を含む粒子層16は、凹凸パターンを有するパターン層18の近傍(直下)に設けられているため、パターン層18を効率良く加熱し、蓄積されているガスを放出させることができる。また、粒子層16は光透過性を有しているため、後述するインプリント処理の際に、インプリント材料を硬化させるための光を透過することができる。
【0017】
また、基材12は粒子層16に対応する部分の厚みが薄くなっているため、基材12中に蓄積されているガスが放出されやすくなっている。
【0018】
次に、図2〜図4を用いて、テンプレート10の製造方法の一例を説明する。
【0019】
図2に示すように、多数の微小な孔を有するポーラス構造の石英ガラスからなる基材12を準備する。そして、基材12の表面に粒子14を含む樹脂をスピンコートにより塗布し、加熱等を行い、粒子層16を形成する。樹脂には例えばアクリル酸エステルを用いることができる。粒子14はサイズが50nm以下の金のナノ粒子である。
【0020】
図3に示すように、粒子層16上にスパッタリングにより二酸化ケイ素(SiO2)膜を成膜し、多数の微小な孔を有するポーラス構造のパターン層18を形成する。
【0021】
図4に示すように、EB(電子ビーム)描画により、パターン層18に所望の凹凸パターンを加工する。この凹凸パターンの幅は、粒子14のサイズより大きい。また、パターン層18の下方領域以外の粒子層16を除去する。
【0022】
さらに、基材12の裏面をエッチングにより加工し、粒子層16及びパターン層18の下方領域の一部を除去することで、図1に示すような、基材12とパターン層18との間に粒子層16を有するテンプレート10を製造することができる。
【0023】
次に、このようなテンプレート10を使用したインプリント方法を図5に示すフローチャート及び図6〜図11に示す工程断面図を用いて説明する。使用するテンプレート10の粒子層16の粒子14はサイズ50nm以下の金のナノ粒子とする。
【0024】
(ステップS101)図6に示すように、被加工基板20上にインプリント材料22を塗布する。インプリント材料22は、例えばアクリルモノマー等の液状の光硬化性有機材料である。
【0025】
(ステップS102)図7に示すように、塗布されたインプリント材料22に、テンプレート10のパターン層18の凹凸パターン面を接触させる。液状のインプリント材料22は、テンプレート10の凹凸パターン内に流動して入り込む。テンプレート12のパターン層18及び基材12はポーラス構造になっており、凹凸パターン内のガスが抜けやすいため、凹凸パターン内にインプリント材料22が充填しやすくなっている。
【0026】
また、このとき、インプリント材料22の充填時間の計測を開始する。
【0027】
(ステップS103)図8に示すように、凹凸パターン内にインプリント材料22が充填される。インプリント材料の充填時間の計測を終了し、充填時間を求める。
【0028】
(ステップS104)図9に示すように、テンプレート10の裏面側(図中上側)からUV光を照射する。UV光はテンプレート10の基材12、粒子層16及びパターン層18を透過してインプリント材料22に到達し、インプリント材料22を硬化させる。なお、このUV光はインプリント材料22を硬化させる波長の光であり、粒子14に吸収される波長ではない。
【0029】
(ステップS105)図10に示すように、テンプレート10をインプリント材料22から離型する。
【0030】
(ステップS106)ステップS103で求めた充填時間が所定時間未満であった場合はステップS108へ進み、所定時間以上であった場合はステップS107へ進む。
【0031】
(ステップS107)基材12やパターン層18の微小な孔にガスが蓄積され、通気性が低下したと考えられるため、図11に示すように、テンプレート10に、粒子14に吸収される波長の光を照射する。粒子14が、サイズ50nm以下の金のナノ粒子である場合、波長580nmの光を照射する。これにより、粒子14から熱が放出され、テンプレート10が昇温し、微小な孔に蓄積されたガスが放出される。
【0032】
(ステップS108)次のインプリントのショットを行う場合は、ステップS101に戻る。
【0033】
ステップS101〜S107を繰り返すことで、被加工基板20上に所望の凹凸パターンを有するインプリント材料22を複数形成することができる。また、インプリント材料22の充填速度が低下し、充填時間が所定時間以上になった場合は、粒子14に吸収される波長の光をテンプレート10に照射し、テンプレート10を昇温することで、テンプレート10内に蓄積されたガスを放出し、次のインプリントのショットの際の充填時間を短縮することができる。
【0034】
このように、本実施形態によるテンプレート10を用いることで、凹凸パターン内への光硬化性有機材料の充填速度が低下することを防止し、インプリント処理に要する時間の増加を抑制できる。
【0035】
上記実施形態では、インプリント材料22の充填時間を計測し、計測値が所定時間以上になった場合に、粒子14に吸収される波長の光をテンプレート10に照射する処理(蓄積ガス放出処理)を行っていたが、充填時間を計測せずに、前回の蓄積ガス放出処理を行ってからのインプリント処理のショット数が所定値に達したら蓄積ガス放出処理を行うようにしてもよい。言い換えれば、インプリント処理のショットを所定回数行うごとに、蓄積ガス放出処理を行うようにしてもよい。
【0036】
上記実施形態において、インプリント材料22を凹凸パターン内に充填させている間に、蓄積ガス放出処理を並行して行ってもよい。
【0037】
粒子14には、金や銀だけでなく、Ni、Cu、Cr、Al等の金属や、それらを含む合金を使用してもよい。また、粒子14に半導体材料を使用してもよい。
【0038】
粒子14の好適なサイズは、パターン層18に形成される凹凸パターンの形状に応じて決定される。例えば、凹凸パターンの深さが100nm、幅が100nmの場合は、粒子14の径を10nm以下にすることが好ましい。表面の荒れを抑制するため、粒径をパターン凹凸幅に対して5%以下にすることがさらに好ましい。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 テンプレート
12 基材
14 粒子
16 粒子層
18 パターン層
20 被加工基板
22 インプリント材料
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インプリント用テンプレート及びインプリント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細パターンを低コストに形成するための技術として、光ナノインプリント法が知られている。これは、基板上に形成したいパターンに対応した凹凸を有するテンプレートを、基板表面に塗布された光硬化性有機材料層に押しつけ、これに光照射を行って有機材料層を硬化させ、テンプレートを有機材料層から離型することで、パターンを転写する方法である。
【0003】
しかし、インプリント処理の回数の増加に伴い、テンプレートの凹凸パターン内への光硬化性有機材料の充填速度が低下し、インプリント処理に要する時間が長くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−76300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、凹凸パターン内への光硬化性有機材料の充填速度が低下することを防止し、インプリント処理に要する時間の増加を抑制できるインプリント用テンプレート及びインプリント方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、インプリント用テンプレートは、1面に凹凸パターンを有するインプリント用テンプレートであって、光透過性を有する基材と、前記基材上に設けられ、複数の粒子を含んだ第1層と、前記第1層上に設けられ、前記凹凸パターンが形成されており、光透過性及びガス透過性を有する第2層と、を備える。前記粒子は、所定波長の光を吸収して熱を放出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係るテンプレートの縦断面図である。
【図2】同実施形態に係るテンプレートの製造方法を説明する工程断面図である。
【図3】図2に続く工程断面図である。
【図4】図3に続く工程断面図である。
【図5】同実施形態に係るインプリント方法を説明するフローチャートである。
【図6】同実施形態に係るインプリント方法を説明する工程断面図である。
【図7】図6に続く工程断面図である。
【図8】図7に続く工程断面図である。
【図9】図8に続く工程断面図である。
【図10】図9に続く工程断面図である。
【図11】蓄積ガス放出処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係るテンプレート10の縦断面図である。テンプレート10は、基材12と、基材12上に設けられ、複数の粒子14を含む粒子層16と、粒子層16上に設けられ凹凸パターンが形成されたパターン層18とを備えており、後述するインプリント処理に使用されるものである。
【0010】
基材12は、光透過性を有しており、例えば石英ガラスで形成されている。また、基材12は、多数の微小な孔を有するポーラス構造になっており、ガスが通過するようになっている。また、基材12は、粒子層16及びパターン層18に対応する部分、言い換えれば図1において粒子層16及びパターン層18の下方部分の厚みが薄くなっている。
【0011】
粒子層16に含まれている粒子14は、微小な粒子であり、粒子層16は光透過性を有している。粒子14は、例えば、金又は銀のナノ粒子である。このような微粒子は、光が照射されると、表面プラズモン吸収を示し、特定の波長の光を吸収して熱として周囲に放出する。粒子14が吸収する光の波長は、粒子14の材料や大きさによって異なる。
【0012】
パターン層18は、インプリント処理において被加工基板上に形成するパターンに対応した形状の凹凸パターンを有している。また、パターン層18は、多数の孔を有するポーラス構造になっており、ガスが通過するようになっている。パターン層18の孔は極めて微小であるため、後述するインプリント処理の際に使用されるインプリント材料(光硬化性有機材料)がこの孔に浸透するという問題は生じない。
【0013】
パターン層18は、例えば石英ガラスで形成され、光透過性を有したものである。
【0014】
基材12やパターン層18の微小な孔は、後述するインプリント処理の際に凹凸パターン内のガスを外部へ放出させるため、インプリント材料を凹凸パターン内に充填しやすくする。しかし、インプリント処理を繰り返し行うと、微小孔にガスが蓄積して通気性(ガス透過性)が低下し、凹凸パターン内にインプリント材料を充填させるために要する時間が長くなる。
【0015】
本実施形態に係るテンプレート10では、基材12やパターン層18の微小な孔にガスが蓄積され、通気性が低下した場合、粒子14が吸収する波長の光をテンプレート10に照射し、粒子14を発熱させる(粒子14から熱を放出させる)。これにより、テンプレート10の温度が上昇し、テンプレート10と外気との温度勾配によりガスが拡散して、微小な孔に蓄積されているガスが外に放出される。また、テンプレート10の温度上昇により、ガス圧力やガス運動量が増加し、ガスが放出されやすくなる。さらに、基材12やパターン層18の孔のポーラス径が拡張し、ガスが放出されやすくなる。このように、テンプレート10では、粒子14からの熱放出により、内部に蓄積されたガスを放出することができる。
【0016】
粒子14を含む粒子層16は、凹凸パターンを有するパターン層18の近傍(直下)に設けられているため、パターン層18を効率良く加熱し、蓄積されているガスを放出させることができる。また、粒子層16は光透過性を有しているため、後述するインプリント処理の際に、インプリント材料を硬化させるための光を透過することができる。
【0017】
また、基材12は粒子層16に対応する部分の厚みが薄くなっているため、基材12中に蓄積されているガスが放出されやすくなっている。
【0018】
次に、図2〜図4を用いて、テンプレート10の製造方法の一例を説明する。
【0019】
図2に示すように、多数の微小な孔を有するポーラス構造の石英ガラスからなる基材12を準備する。そして、基材12の表面に粒子14を含む樹脂をスピンコートにより塗布し、加熱等を行い、粒子層16を形成する。樹脂には例えばアクリル酸エステルを用いることができる。粒子14はサイズが50nm以下の金のナノ粒子である。
【0020】
図3に示すように、粒子層16上にスパッタリングにより二酸化ケイ素(SiO2)膜を成膜し、多数の微小な孔を有するポーラス構造のパターン層18を形成する。
【0021】
図4に示すように、EB(電子ビーム)描画により、パターン層18に所望の凹凸パターンを加工する。この凹凸パターンの幅は、粒子14のサイズより大きい。また、パターン層18の下方領域以外の粒子層16を除去する。
【0022】
さらに、基材12の裏面をエッチングにより加工し、粒子層16及びパターン層18の下方領域の一部を除去することで、図1に示すような、基材12とパターン層18との間に粒子層16を有するテンプレート10を製造することができる。
【0023】
次に、このようなテンプレート10を使用したインプリント方法を図5に示すフローチャート及び図6〜図11に示す工程断面図を用いて説明する。使用するテンプレート10の粒子層16の粒子14はサイズ50nm以下の金のナノ粒子とする。
【0024】
(ステップS101)図6に示すように、被加工基板20上にインプリント材料22を塗布する。インプリント材料22は、例えばアクリルモノマー等の液状の光硬化性有機材料である。
【0025】
(ステップS102)図7に示すように、塗布されたインプリント材料22に、テンプレート10のパターン層18の凹凸パターン面を接触させる。液状のインプリント材料22は、テンプレート10の凹凸パターン内に流動して入り込む。テンプレート12のパターン層18及び基材12はポーラス構造になっており、凹凸パターン内のガスが抜けやすいため、凹凸パターン内にインプリント材料22が充填しやすくなっている。
【0026】
また、このとき、インプリント材料22の充填時間の計測を開始する。
【0027】
(ステップS103)図8に示すように、凹凸パターン内にインプリント材料22が充填される。インプリント材料の充填時間の計測を終了し、充填時間を求める。
【0028】
(ステップS104)図9に示すように、テンプレート10の裏面側(図中上側)からUV光を照射する。UV光はテンプレート10の基材12、粒子層16及びパターン層18を透過してインプリント材料22に到達し、インプリント材料22を硬化させる。なお、このUV光はインプリント材料22を硬化させる波長の光であり、粒子14に吸収される波長ではない。
【0029】
(ステップS105)図10に示すように、テンプレート10をインプリント材料22から離型する。
【0030】
(ステップS106)ステップS103で求めた充填時間が所定時間未満であった場合はステップS108へ進み、所定時間以上であった場合はステップS107へ進む。
【0031】
(ステップS107)基材12やパターン層18の微小な孔にガスが蓄積され、通気性が低下したと考えられるため、図11に示すように、テンプレート10に、粒子14に吸収される波長の光を照射する。粒子14が、サイズ50nm以下の金のナノ粒子である場合、波長580nmの光を照射する。これにより、粒子14から熱が放出され、テンプレート10が昇温し、微小な孔に蓄積されたガスが放出される。
【0032】
(ステップS108)次のインプリントのショットを行う場合は、ステップS101に戻る。
【0033】
ステップS101〜S107を繰り返すことで、被加工基板20上に所望の凹凸パターンを有するインプリント材料22を複数形成することができる。また、インプリント材料22の充填速度が低下し、充填時間が所定時間以上になった場合は、粒子14に吸収される波長の光をテンプレート10に照射し、テンプレート10を昇温することで、テンプレート10内に蓄積されたガスを放出し、次のインプリントのショットの際の充填時間を短縮することができる。
【0034】
このように、本実施形態によるテンプレート10を用いることで、凹凸パターン内への光硬化性有機材料の充填速度が低下することを防止し、インプリント処理に要する時間の増加を抑制できる。
【0035】
上記実施形態では、インプリント材料22の充填時間を計測し、計測値が所定時間以上になった場合に、粒子14に吸収される波長の光をテンプレート10に照射する処理(蓄積ガス放出処理)を行っていたが、充填時間を計測せずに、前回の蓄積ガス放出処理を行ってからのインプリント処理のショット数が所定値に達したら蓄積ガス放出処理を行うようにしてもよい。言い換えれば、インプリント処理のショットを所定回数行うごとに、蓄積ガス放出処理を行うようにしてもよい。
【0036】
上記実施形態において、インプリント材料22を凹凸パターン内に充填させている間に、蓄積ガス放出処理を並行して行ってもよい。
【0037】
粒子14には、金や銀だけでなく、Ni、Cu、Cr、Al等の金属や、それらを含む合金を使用してもよい。また、粒子14に半導体材料を使用してもよい。
【0038】
粒子14の好適なサイズは、パターン層18に形成される凹凸パターンの形状に応じて決定される。例えば、凹凸パターンの深さが100nm、幅が100nmの場合は、粒子14の径を10nm以下にすることが好ましい。表面の荒れを抑制するため、粒径をパターン凹凸幅に対して5%以下にすることがさらに好ましい。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 テンプレート
12 基材
14 粒子
16 粒子層
18 パターン層
20 被加工基板
22 インプリント材料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1面に凹凸パターンを有するインプリント用テンプレートであって、
光透過性を有する基材と、
前記基材上に設けられ、所定波長の光を吸収して熱を放出する複数の粒子を含んだ第1層と、
前記第1層上に設けられ、前記凹凸パターンが形成されており、光透過性及びガス透過性を有する第2層と、
を備え、
前記基材は、前記第1層及び前記第2層の下方領域の厚さが、前記下方領域以外での厚さよりも薄く、前記第2層はポーラス構造を有することを特徴とするインプリント用テンプレート。
【請求項2】
1面に凹凸パターンを有するインプリント用テンプレートであって、
光透過性を有する基材と、
前記基材上に設けられ、所定波長の光を吸収して熱を放出する複数の粒子を含んだ第1層と、
前記第1層上に設けられ、前記凹凸パターンが形成されており、光透過性及びガス透過性を有する第2層と、
を備えるインプリント用テンプレート。
【請求項3】
前記基材は、前記第1層及び前記第2層の下方領域の厚さが、前記下方領域以外での厚さよりも薄いことを特徴とする請求項2に記載のインプリント用テンプレート。
【請求項4】
前記第2層はポーラス構造を有することを特徴とする請求項2又は3に記載のインプリント用テンプレート。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のインプリント用テンプレートを用いたインプリント方法であって、
被加工膜上に光硬化性材料を塗布する工程と、
前記テンプレートの前記凹凸パターンを前記光硬化性材料に接触させ、前記凹凸パターン内に前記光硬化性材料を充填させる工程と、
前記テンプレートを接触させた状態で光を照射し、前記光硬化性材料を硬化させる工程と、
前記テンプレートを前記光硬化性材料から離型する工程と、
前記凹凸パターン内への前記光硬化性材料の充填時間が所定時間以上であった場合に、前記テンプレートに対して、前記所定波長の光を照射する工程と、
を備えることを特徴とするインプリント方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載のインプリント用テンプレートを用いたインプリント方法であって、
被加工膜上に光硬化性材料を塗布する工程と、
前記テンプレートの前記凹凸パターンを前記光硬化性材料に接触させ、前記凹凸パターン内に前記光硬化性材料を充填させる工程と、
前記テンプレートを接触させた状態で光を照射し、前記光硬化性材料を硬化させる工程と、
前記テンプレートを前記光硬化性材料から離型する工程と、
を繰り返して、前記被加工膜上に複数のパターンを形成し、
前記被加工膜上に所定数のパターンを形成するごとに、前記テンプレートに対して、前記所定波長の光を照射することを特徴とするインプリント方法。
【請求項1】
1面に凹凸パターンを有するインプリント用テンプレートであって、
光透過性を有する基材と、
前記基材上に設けられ、所定波長の光を吸収して熱を放出する複数の粒子を含んだ第1層と、
前記第1層上に設けられ、前記凹凸パターンが形成されており、光透過性及びガス透過性を有する第2層と、
を備え、
前記基材は、前記第1層及び前記第2層の下方領域の厚さが、前記下方領域以外での厚さよりも薄く、前記第2層はポーラス構造を有することを特徴とするインプリント用テンプレート。
【請求項2】
1面に凹凸パターンを有するインプリント用テンプレートであって、
光透過性を有する基材と、
前記基材上に設けられ、所定波長の光を吸収して熱を放出する複数の粒子を含んだ第1層と、
前記第1層上に設けられ、前記凹凸パターンが形成されており、光透過性及びガス透過性を有する第2層と、
を備えるインプリント用テンプレート。
【請求項3】
前記基材は、前記第1層及び前記第2層の下方領域の厚さが、前記下方領域以外での厚さよりも薄いことを特徴とする請求項2に記載のインプリント用テンプレート。
【請求項4】
前記第2層はポーラス構造を有することを特徴とする請求項2又は3に記載のインプリント用テンプレート。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のインプリント用テンプレートを用いたインプリント方法であって、
被加工膜上に光硬化性材料を塗布する工程と、
前記テンプレートの前記凹凸パターンを前記光硬化性材料に接触させ、前記凹凸パターン内に前記光硬化性材料を充填させる工程と、
前記テンプレートを接触させた状態で光を照射し、前記光硬化性材料を硬化させる工程と、
前記テンプレートを前記光硬化性材料から離型する工程と、
前記凹凸パターン内への前記光硬化性材料の充填時間が所定時間以上であった場合に、前記テンプレートに対して、前記所定波長の光を照射する工程と、
を備えることを特徴とするインプリント方法。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれかに記載のインプリント用テンプレートを用いたインプリント方法であって、
被加工膜上に光硬化性材料を塗布する工程と、
前記テンプレートの前記凹凸パターンを前記光硬化性材料に接触させ、前記凹凸パターン内に前記光硬化性材料を充填させる工程と、
前記テンプレートを接触させた状態で光を照射し、前記光硬化性材料を硬化させる工程と、
前記テンプレートを前記光硬化性材料から離型する工程と、
を繰り返して、前記被加工膜上に複数のパターンを形成し、
前記被加工膜上に所定数のパターンを形成するごとに、前記テンプレートに対して、前記所定波長の光を照射することを特徴とするインプリント方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−55226(P2013−55226A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192580(P2011−192580)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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