説明

インモールドラベル及びインモールドラベルの製造方法

【課題】インモールドラベルにおけるシーラントフィルムを基材裏面の全面に安定的に積層し、且つ当該インモールドラベルに十分な強度と高い意匠性を付与すること。
【解決手段】インモールド成型器に用いるためのインモールドラベルであって、基材層20と、基材層20の裏面に紫外線硬化型接着剤31(又は接着材)にて形成される仮止層30と、仮止層30の裏面にシーラントフィルムにて形成されるシーラント層40と、を有することを特徴とするインモールドラベル1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインモールド成型器に用いるインモールドラベル、及び当該インモールドラベルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インモールド成型で用いるインモールドラベルがあり、このうち、インモールドラベルの基材が溶融して接着性を発揮するものがある。この場合、インモールド成型時に金型内にインモールドラベルを入れ、溶融樹脂を射出すると、溶融樹脂の熱によりインモールドラベル自体が溶融して接着性を有する。このため、溶融樹脂と基材とが一体的に構成される。
【0003】
しかしながら、基材は接着材のみでできているわけでないため、基材のみの接着性に頼ったものであると、成型時にボトル等の成型品に対して接着力が不足する場合がある。このため、接着力を基材に付与する必要があった。また、最近では、基材に印刷を施すものが増えた。このように基材に印刷が施されている場合、基材が溶融してしまうと印刷が乱れてしまう。
【0004】
このため、基材上の印刷に影響を与えないように、基材の印刷面と反対面又は同一面に、接着性を有する接着層がラミネートされた多層のインモールドラベルがある(例えば、特許文献1〜特許文献3参照)。
【0005】
接着層を構成するものとしては様々あるが、加熱により接着力を発揮するシーラントフィルムを用いるものも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許3163645号公報
【特許文献2】特開2005−91594号公報
【特許文献3】実開平06−055727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら実際には、基材に対してシーラントフィルムを熱圧でラミネートしようとしても、熱収縮の影響から、シーラントフィルムにシワ、歪み、カール等が発生する。このため、シーラントフィルムを基材裏面の全域に対して安定的に積層することが困難であるという問題があった。
【0008】
シーラントフィルムが基材に対して均一に且つ基材の全域に形成されていないと、インモールドラベルを金型内に入れて成型する場合、容器等の樹脂成型品に対するインモールドラベルの接着性にムラが生じる場合があった。
【0009】
また、樹脂成型品を成型した直後から時間が経過すると、樹脂成型品が冷えてその体積が減り、その表面が収縮する。このとき、シーラントフィルムにインモールドラベルの基材が直接貼り付いていると、樹脂成型品の体積収縮に伴い基材も収縮するため、インモールドラベルの表面にシワが発生していた。
【0010】
このため、本発明の目的は、インモールドラベルにおけるシーラントフィルムを基材裏面の全面に安定的に積層し、且つ当該インモールドラベルに十分な強度と高い意匠性を付与することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明のインモールドラベルの構成は、インモールド成型器に用いるためのインモールドラベルであって、基材層と、前記基材層の裏面に紫外線硬化型粘着材又は接着材にて形成される仮止層と、前記仮止層の裏面にシーラントフィルムにて形成されるシーラント層と、を有することを特徴とするインモールドラベルである。
【0012】
前記仮止層において前記紫外線硬化型粘着材又は接着材にて形成される模様は、隙間を有する模様であることとしてもよい。
【0013】
また、インモールドラベルの製造方法は、インモールドラベルの製造方法であって、前記基材層の裏面に紫外線硬化型粘着材又は接着材を塗布する仮止層形成工程と、前記紫外線硬化型粘着材又は接着材に対して紫外線を照射する紫外線照射工程と、前記仮止層の裏面にシーラントフィルムを圧接するフィルム圧接工程と、を有することを特徴とするインモールドラベルの製造方法である。
【0014】
尚、前記紫外線照射工程と、前記シーラントフィルム圧接工程とは、逆であってもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上の構成及び製造方法によれば、シーラントフィルムを基材裏面の全面に安定的に積層することができる。また、シーラントフィルムが基材裏面の全域に積層することで、インモールドラベルの裏面に十分な接着力を発揮させることができる。
【0016】
また、隙間のある仮止層が存在する構成であるため、樹脂成型品の体積収縮が仮止層の隙間を狭めることにはなるものの、直接基材層を収縮させることがない。このため、樹脂成型品の収縮の影響を緩和させることができ、結果としてインモールドラベルの表面のシワを緩和することができる。この結果、意匠性が高いものとなる。
【0017】
また、仮止層において前記紫外線硬化型粘着材又は接着材にて形成される模様を、隙間を有する模様とすると、インモールド工程を経て形成されたインモールドラベルの強度を上げることができる。これは、インモールドラベルのインモールド成型時において、シーラントフィルムが熱によって紫外線硬化型粘着材又は接着材で形成された模様の隙間を埋め、シーラント層が基材層と樹脂成型品とを直接接着するためである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】インモールドラベルの構成の説明図。
【図2】インモールドラベルの製造方法の説明図。
【図3】インモールドラベルの使用状態の説明図。
【図4】インモールドラベルの製造方法の変形例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図を用いて、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
(インモールドラベル1の構成)
図1はインモールドラベル1の構成の説明図である。
【0021】
図1(a)に示すように、インモールドラベル1はロール状に連続的に形成されている。インモールド成型器の金型に入れる際には、印刷10の模様に応じて切断してインサートしてもよいし、切断せずに印刷10が金型内の適切な位置に配置されるように送ってもよい。
【0022】
図1(b)に示すように、インモールドラベル1の断面は、表面に印刷10が施された基材層20と、基材層20の裏面に紫外線硬化型粘着材(又は接着材)にて形成される仮止層30と、仮止層30の裏面にシーラントフィルムにて形成されるシーラント層40と、を有する。
【0023】
印刷10は、基材層20の表面に模様や文字が施されたもので、印刷10の表面に更に保護層を施してもよい。また、基材層20に模様が形成されている場合は、印刷10は必ずしも必要なく、表面に保護層を形成するのみでもよい。
【0024】
基材層20は、インモールド成型器に入れられるものであれば特に限定するものではないが、例えば、PET,PP,PE、PP系合成紙がある。また、単層に限らず、多層であってもよい。
【0025】
仮止層30は、基材層20の裏面全域に、紫外線硬化型粘着材31をフレキソ印刷機等で部分的に塗布したものである。部分的な塗布としては、例えば、点状(図1(c)参照)、線状、格子状(図2(b)参照)等、規則的な模様としてもよいが、これに限らずランダムな模様にしても構わない。
【0026】
また、紫外線硬化型粘着材31によって形成される仮止層30の模様は、隙間Sを有する模様であることが好ましい。これは、インモールドラベル1を容器と一体成型するインモールド成型時において、シーラントフィルムが熱によって紫外線硬化型粘着材で形成された模様の隙間を埋め、インモールドラベル1の強度を上げるためである。
【0027】
シーラント層40は、仮止層30の裏面に、熱圧で接着する性質を有するシーラントフィルムをラミネートし、積層させたものである。
【0028】
(インモールドラベル1の製造方法)
図2はインモールドラベルの製造方法の説明図である。
【0029】
図2(a)に示すように、インモールドラベル1の製造に用いるインモールドラベル製造装置100は、基材層20を送り出す基材送出ロール120と、仮止層30を形成するための紫外線硬化型粘着材塗布装置130と、シーラント層40を送り出すシーラントフィルム送出ロール140と、形成されたインモールドラベル1を巻き取るインモールドラベル巻取ロール101と、を有する。
【0030】
また、インモールドラベル製造装置100は、紫外線硬化型接着剤塗布装置130の下流でシーラントフィルム送出ロール140の上流側に紫外線照射装置150を有する。また、仮止層30にシーラント層40を圧接する圧接手段として加圧ローラ対160を有する。このように、本実施形態においては、紫外線硬化型粘着材31の塗布作業をインモールドラベル1の形成過程と一緒に、インラインで行う。
【0031】
上述の構成の装置により、次のようにインモールドラベル1を製造する。
【0032】
まず、基材送出ロール120から基材を送り出す(基材送出工程)。これが基材層20となる。この工程内で、基材層20の表面側に、印刷機110によって印刷10を施してもよい。
【0033】
基材が紫外線硬化型粘着材塗布装置130に達すると、基材層20の裏面には紫外線硬化型粘着材31が塗布される。これにより、基材層20の裏面に仮止層30が形成される(仮止層形成工程)。
【0034】
尚、図2(b)は紫外線硬化型粘着材塗布装置130の拡大斜視図であり、紫外線硬化型粘着材31を格子状に塗布して仮止層30を形成した例を示している。本実施形態においては紫外線硬化型粘着材塗布装置130はフレキソ印刷機を用いている。
【0035】
次に、仮止層30が基材層20裏面に形成された状態で、紫外線照射装置150から紫外線が照射される。すると、紫外線硬化型粘着材31に粘着力が発現する(紫外線照射工程)。
【0036】
この状態で、別途、シーラントフィルム送出ロール140から送り出されたシーラントフィルムが、基材層20と仮止層30とで形成された連続フィルムに合流し、加圧ローラ対160により圧接される(フィルム圧接工程)。すると、仮止層30に発現した粘着力により、基材層20とシーラント層40とが一体的に仮止めされる。こうして、基材層20、仮止層30、シーラント層40が積層することとなる。最後に、インモールドラベル1をインモールドラベル巻取ロール101にて巻き取る。
【0037】
このように、本実施形態は、基材層20に仮止層30を形成し、紫外線照射をした上でシーラント層40をラミネートしている。このため、インモールドラベル1積層時において、シーラントフィルムのシワ、歪み、カール等を防止することができ、シーラントフィルムを基材裏面の全面に積層した状態を保つことができる。
【0038】
また、シーラントフィルムが基材裏面の全面に安定して積層することで、インモールドラベル巻取ロール101による巻き取り作業を円滑に行うことができる。
【0039】
更に、シーラントフィルムが基材裏面の全面に安定して積層することで、インモールド成型時において、インモールドラベルの裏面に十分な接着力を発揮させることができる。
【0040】
(インモールドラベル1の使用状態)
図3はインモールドラベルの使用状態の説明図である。図3に示すように、インモールドラベル1はボトル容器等の樹脂成型品Bと一体的に形成される。
【0041】
樹脂成型品Bは、ブロー成型であっても射出成型であってもよいが、いずれもインモールドラベル1を金型内に配置した状態で、当該金型内に高温の溶融樹脂が射出される工程を経る。このため、溶融樹脂の熱によってシーラントフィルムが溶けて接着力を有し、基材層20がシーラント層40を介して樹脂成型品Bに接着される。
【0042】
本実施形態においては、仮止層30の存在により、シーラントフィルムは基材層20裏面の全面に安定的に積層される。このため、インモールドラベル1の裏面に十分な接着力を発揮させることができる。
【0043】
また、シーラントフィルムが溶けることで、溶けたシーラントフィルムが前述の仮止層30に形成された模様の隙間Sを埋め、シーラント層40が基材層20と樹脂成型品Bとを直接接着する(橋かけ構造)。このため、インモールドラベル1の強度を上げることができる。
【0044】
以上のように、本実施形態によれば、基材層20とシーラント層40とを仮止層30の紫外線硬化型粘着材31によって、基材層20裏面全域において安定して仮止めをすることができるため、成型品との接着強度の高い、見た目にも不具合がないインモールドラベル1を製造することができる。
【0045】
樹脂成型品Bを成型した直後から時間が経過すると、樹脂成型品Bが冷えてその体積が収縮する。このとき、もし仮止層がなく、樹脂成型品Bにインモールドラベルの基材が直接貼り付いているとすると、樹脂成型品Bの体積収縮に伴って基材も収縮するため、インモールドラベルの表面にシワが発生することになる。これに対して隙間Sのある仮止層30が存在する本実施形態によれば、樹脂成型品Bの体積収縮が仮止層30の隙間Sを狭めることにはなるものの、直接基材層20を収縮させることがない。このため、樹脂成型品Bの収縮の影響を緩和させることができ、結果としてインモールドラベル1の表面のシワを緩和することができる。この結果、意匠性が高いものとなる。
【0046】
図4はインモールドラベルの製造方法の変形例の説明図である。上述の実施形態においては、仮止層30とシーラント層40を圧接する前に、仮止層30に対して紫外線照射装置150による紫外線照射を行ったが、これに限るものではない。即ち、図4に示すように、紫外線照射装置150による紫外線照射を行う前に仮止層30とシーラント層40とを加圧ローラ対160により圧接する構成としてもよい。
【0047】
また、本実施形態における仮止層30は、紫外線硬化型粘着剤にて構成したが、これに限るものではない。即ち、紫外線照射によって粘着力・接着力を発現する性質であれば、紫外線硬化型以外の他の粘着材・接着材をも用いることができる。
【0048】
また、本実施形態においては、基材層20の表面に印刷10を有する構成としたが、これに限るものではない。即ち、基材層20を透明又は半透明にし、その裏面に印刷10を形成する構成としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明はインモールド成型器に用いるインモールドラベル、及び当該インモールドラベルの製造方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0050】
B…樹脂成型品
S…隙間
1…インモールドラベル
10…印刷
20…基材層
30…仮止層
31…紫外線硬化型粘着材
40…シーラント層
100…インモールドラベル製造装置
101…インモールドラベル巻取ロール
110…印刷機
120…基材送出ロール
130…紫外線硬化型粘着材塗布装置
140…シーラントフィルム送出ロール
150…紫外線照射装置
160…加圧ローラ対

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インモールド成型器に用いるためのインモールドラベルであって、
基材層と、
前記基材層の裏面に紫外線硬化型粘着材又は接着材にて形成される仮止層と、
前記仮止層の裏面にシーラントフィルムにて形成されるシーラント層と、
を有することを特徴とするインモールドラベル。
【請求項2】
前記仮止層において前記紫外線硬化型粘着材又は接着材にて形成される模様は、隙間を有する模様であることを特徴とする請求項1に記載のインモールドラベル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のインモールドラベルの製造方法であって、
前記基材層の裏面に紫外線硬化型粘着材又は接着材を塗布する仮止層形成工程と、
前記紫外線硬化型粘着材又は接着材に対して紫外線を照射する紫外線照射工程と、
前記仮止層の裏面にシーラントフィルムを圧接するフィルム圧接工程と、
を有することを特徴とするインモールドラベルの製造方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のインモールドラベルの製造方法であって、
前記基材層の裏面に紫外線硬化型粘着材又は接着材を塗布する仮止層形成工程と、
前記仮止層の裏面にシーラントフィルムを圧接するフィルム圧接工程と、
前記紫外線硬化型粘着材又は接着材に紫外線を照射する紫外線照射工程と、
を有することを特徴とするインモールドラベルの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−81100(P2011−81100A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−232141(P2009−232141)
【出願日】平成21年10月6日(2009.10.6)
【出願人】(592233347)シーレックス株式会社 (19)
【Fターム(参考)】