説明

インモールドラベル成形用ラベル受渡し装置

【課題】多数個取り金型にラベルを装着する場合に、平面状態のラベル保持間隔と各キャビィティ内にラベルを装着する疑似コアの間隔が異なっていても、疑似コアにラベルを確実に受け渡しが可能な装置を提供する。
【解決手段】昇降部材41・43の下部にある取付け板81・83に移送直交方向へ移動可能に支持された吸着保持ラベルの枚数に応じた個数のスライダ89・91の吸着部材93・95と、取付け板に対して上下方向へ移動できるカム取付け板97・99を設け、各スライダに設けられたカム軸89a・91aがカム孔101a・101bの摺動により各スライダを移送直交方向へ移動するカム板101・103と、取付け板に上下に摺動する軸部81b・83bと弾性部材81c、83cによりカム取付け板を下方へ付勢されるカム作動軸とからなり、吸着保持手段45・47を疑似コアのそれぞれ対向する高さ位置、相互間隔に一致する高低差へ移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は金型内に装着されたラベルに合成樹脂を射出して一体成形するインモールドラベル成形において切断されたラベルを金型内に装着する疑似コアに受け渡すインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インモールドラベル成形においては、切断形成されたラベルを疑似コアへ受け渡し、該疑似コアを金型のキャビィティ内に進入して装着している。上記切断形成されたラベルを疑似コアに受け渡す装置として、例えば特許文献1に示すように打抜形成したラベルを打抜形成部において疑似コアに貼着させるラベル貼着機構を備え、ラベルの打抜形成とラベル貼着機構による疑似コアへの貼着とを打抜形成部において並行するようにしてラベルを疑似コアへ受け渡している。この装置においては、ラベルシートからラベルを展開状態で打ち抜き形成するため、打ち抜かれたラベルを吸着して保持する保持部材の相互間隔を広くしなければならず、これに伴ってラベルが受け渡される疑似コアも広い間隔を設けて配置する必要がある。
【0003】
一方、金型のキャビィティに対して疑似コアを使用してラベルを装着するため、各キャビィティの相互間隔と疑似コアの相互間隔を一致させる必要があるが、同時に多数のインモールドラベル成形品を成形する場合には、各キャビィティの相互間隔を狭くする必要があり、これに伴って疑似コアの相互間隔も狭くしなければならないが、上記したようにラベルを吸着保持する保持部材の相互間隔が広いため、疑似コアの相互間隔と一致しなくなり、ラベルを疑似コアへ受け渡することが困難になる問題を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−253810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、同時に多数のインモールドラベル成形品を成形する場合には、各キャビィティの相互間隔を狭くする必要があり、これに伴って疑似コアの相互間隔も狭くしなければならないが、ラベルの保持間隔が広いため、疑似コアの相互間隔と一致しなくなり、ラベルを疑似コアへ受け渡することが困難になる点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1は、切断位置に移送されたラベルシートから切断され、移送直交方向へ展開状態で配列された複数枚のラベルを、金型に形成された複数のキャビィティ内にラベルを同時に装着するための複数個の疑似コアへ同時に受け渡すインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置において、本体フレームのラベル切断位置と疑似コアへの受渡し位置の間で往復移動するように支持される走行体と、走行体に対して昇降するように支持される昇降部材と、走行体に連結されたカムロッドのカムフォロアーが摺接して該走行体をラベルシートの移送方向へ往復移動する往復移動用カム、昇降部材に連結されたカムレバーのカムフォロアーが摺接して該昇降部材を昇降する昇降用カムが同一軸線状に設けられた単一のカム駆動軸と、カム駆動軸を所定の方向へ回転駆動する数値制御可能な電動モータと、昇降部材の下部に設けられ、上記移送直交方向へ配列された複数枚のラベルを同時に吸着して保持する吸着保持手段とを備え、吸着保持手段は、昇降部材の下部に上記移送直交方向へ延出するように設けられた取付け板に上記移送直交方向へ移動可能に支持された吸着保持されるラベルの枚数と一致する個数のスライダと、各スライダに設けられた吸着部材と、上記取付け板に対して上下方向へ移動するように支持されカム取付け板に設けられ、各スライダに設けられたカム軸がそれぞれ摺動するように支持するカム孔を有し、カム孔に対するカム軸の摺動に伴って各スライダを上記移送直交方向へ移動するカム板と、上部がカム取付け板に固定されると共に軸部が上記取付け板に上下方向へ摺動するように支持され、軸部下部と取付け板間に設けられた弾性部材により上記カム取付け板を下方へ付勢されるカム作動軸とから構成したことを最も主要な特徴とする。
【0007】
請求項2は、切断位置に移送されたラベルシートから切断され、移送直交方向へ展開状態で配列された複数枚のラベルを、金型に形成された複数のキャビィティ内にラベルを同時に装着するための複数個の疑似コアへ同時に受け渡すインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置において、本体フレームのラベル切断位置と疑似コアへの受渡し位置の間で往復移動するように支持される第1及び第2走行体と、第1及び第2走行体に対して昇降するようにそれぞれ支持される第1及び第2昇降部材と、第1及び第2走行体にそれぞれ連結されたカムロッドのカムフォロアーが摺接して各第1及び第2走行体をラベルシートの移送方向へ往復移動する往復移動用カム、第1及び第2昇降部材にそれぞれ連結されたカムレバーのカムフォロアーが摺接して第1及び第2昇降フレームを昇降する昇降用カムが同一軸線状に設けられた単一のカム駆動軸と、カム駆動軸を所定の方向へ回転駆動する数値制御可能な電動モータと、第1及び第2昇降部材の下部にそれぞれ設けられ、上記移送直交方向へ配列された複数枚のラベルを同時に吸着して保持する吸着保持手段とを備え、各吸着保持手段は、昇降部材の下部に上記移送直交方向へ延出するように設けられた取付け板に上記移送直交方向へ移動可能に支持された吸着保持されるラベルの枚数と一致する個数のスライダと、各スライダに設けられた吸着部材と、上記取付け板に対して上下方向へ移動するように支持されカム取付け板に設けられ、各スライダに設けられたカム軸がそれぞれ摺動するように支持するカム孔を有し、カム孔に対するカム軸の摺動に伴って各スライダを上記移送直交方向へ移動するカム板と、上部がカム取付け板に固定されると共に軸部が上記取付け板に上下方向へ摺動するように支持され、軸部下部と取付け板間に設けられた弾性部材により上記カム取付け板を下方へ付勢されるカム作動軸とから構成したことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、同時に多数のインモールドラベル成形品を成形する場合に、切断された平面状態のラベル保持間隔と金型の各キャビィティ内にラベルを装着する疑似金型の間隔が異なる場合であっても、疑似コアに対してラベルを確実に受け渡してインモールドラベル成形を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】インモールドラベル成形用ラベル切断受渡し装置の概略を示す正面図である。
【図2】インモールドラベル成形用ラベル受渡し装置におけるラベル受渡し装置の平面図である。
【図3】吸着保持手段の移動機構を示す説明図である。
【図4】吸着保持手段を示す説明図である。
【図5】図4のV−V線縦断面図である。
【図6】吸着保持手段の傾動機構を示す説明図である。
【図7】切断されたラベルの状態を示す説明図である。
【図8】吸着部材によるラベルの吸着状態を示す説明図である。
【図9】ラベル吸着時における吸着部材の相互間隔の拡大作用を示す説明図である。
【図10】吸着保持手段が受渡し位置側へ移動する状態を示す説明図である。
【図11】吸着部材の傾動作用を示す説明図である。
【図12】疑似コアとラベルの相対状態を示す説明図である。
【図13】ラベルを疑似コアの外周面に一致させた状態を示す説明図である。
【図14】疑似コアに対して受け渡すラベルの位置決め機構を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
昇降部材の下部に上記移送直交方向へ延出するように設けられた取付け板に上記移送直交方向へ移動可能に支持された吸着保持されるラベルの枚数と一致する個数のスライダと、各スライダに設けられた吸着部材と、上記取付け板に対して上下方向へ移動するように支持されカム取付け板に設けられ、各スライダに設けられたカム軸がそれぞれ摺動するように支持するカム孔を有し、カム孔に対するカム軸の摺動に伴って各スライダを上記移送直交方向へ移動するカム板と、上部がカム取付け板に固定されると共に軸部が上記取付け板に上下方向へ摺動するように支持され、軸部下部と取付け板間に設けられた弾性部材により上記カム取付け板を下方へ付勢されるカム作動軸とから吸着保持手段を構成することを最適の実施形態とする。
【実施例1】
【0011】
以下、実施例を示す図に従って本発明を説明する。
図1乃至図5に示すように、インモールドラベル成形において使用するラベル1を切断して疑似コア3(図11及び図12に示す)へ受け渡すインモールドラベル成形用ラベル切断受渡し装置5はラベルシート7からインモールド成形される所望形状のラベル1を切断するラベル切断手段9と、ラベルシート7から切断されたラベル1を疑似コア3へ受け渡す本発明のインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置11とから構成される。
【0012】
疑似コア3は切断されたラベル1を樹脂成形機の金型(いずれも図示せず)内に装着する際に使用する部材で、後述する受渡し位置と樹脂成形機の金型の間で移動制御される。本例においては疑似コア取付け板4に取付けられる8個の疑似コア3は、金型に2行4列配置で形成された8個のキャビィティにそれぞれ一致するように所定の間隔をおいた2行4列で配置される。
各疑似コア3はインモールドラベル成形品(図示せず)に一致する外形状で負圧源(図示せず)に接続され、外周面に形成された多数の吸引孔3aを介して切断されたラベル1を負圧吸引してインモールドラベル成形品の外形状に一致するように変形させた囲巻状態で保持する。
【0013】
本例において各疑似コア3は截頭円錐形状のカップ形状からなり、従ってその外周面は中心軸線に対して所要の角度で傾斜している。また、上記した8個の疑似コア3は、疑似コア取付け板10に対し、図示する上側に4個、所要の間隔をおいた下側に4個が配置される。該疑似コア取付け板10は、例えば成形品取出し機のチャック部に取付けられ、後述する受渡し位置と樹脂成形機における金型の間で移動制御されることにより後述する吸着保持手段45・47から各疑似コア3に受け渡されて吸着保持された8枚のラベル1を同時に金型のキャビィティ内へ装着させる。
【0014】
ラベル切断手段9は本体フレーム13上を走行されるラベルシート7に対してレーザ光を照射して4枚のラベル1を同時に溶断形成する。上記ラベルシート7は薄手状の合成樹脂シート、紙シート等に所望の図柄のラベル地が走行直交方向(図示する前後方向)に対して所定の間隔をおいて4枚分で、走行方向(図示する左右方向)に対して上記多数のラベル地行が所定の間隔をおいて印刷される。上記ラベルシート7はラベル切断手段9によるラベル切断位置に対して上記ラベル地の走行方向幅に応じた幅で間欠走行され、上記ラベル切断位置に上記ラベル地行が位置するように走行制御される。
【0015】
上記ラベル切断手段9はラベルシート7の走行直交方向へ移動可能に支持された第1可動体15と、該第1可動体15に対して走行方向へ移動可能に支持された第2可動体17と、これら第1及び第2可動体15・17をそれぞれの方向へ数値制御可能に往復移動する第1及び第2電動モータ(図示せず)と、第2可動体17の走行方向下手側にて走行直交方向へ上記ラベル地に対応する間隔をおいて設けられる4個のレーザヘッド23と、各レーザヘッド23にレーザ光を発信出力するレーザ光出力部材25とから構成される。
【0016】
上記ラベル切断手段9は第1及び第2可動体15・17をそれぞれの方向へ移動制御してラベル切断位置へ搬入されたラベルシート7の各ラベル地に対してレーザヘッド23からのレーザ光をラベル地の外形に沿って照射し、その熱で溶断してラベル1を形成する。
【0017】
本発明に係るインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置11は上記ラベル切断位置の上方にてラベル切断手段9と非干渉状態で設けられる。上記ラベル切断位置の上方に位置するインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置11の水平フレーム27には図示する前後方向へ延出する第1及び第2走行体29・31が図示する左右方向へ移動するようにそれぞれ支持される。また、上記ラベル切断位置の左方及び右方で前側に立設された左右一対の垂直フレーム33には図示する左右方向に延出する第1昇降フレーム35の両端部が、また後側に立設された左右一対の垂直フレーム33には図示する左右方向に延出する第2昇降フレーム37の両端部がそれぞれ高低差を設けて昇降するように支持される。各昇降フレーム35・37には左右方向へ延出する支持長孔35a・37aが形成される。
【0018】
上記第1及び第2走行体29・31には前後一対の昇降部材としての昇降ロッド41・43がそれぞれ上下方向へ摺動するように支持され、各昇降ロッド41・43の下部には後述する吸着保持手段45・47が取付けられ。また、各昇降ロッド41・43の上部には支持板49・51がそれぞれ取付けられ、各支持板49・51の上部には対応する支持長孔35a・37a内を図示する左右方向へ転動する回転体53・55が支持される。
【0019】
上記第1及び第2走行体29・31にはカムロッド57・59の図示左端部が回動可能に取付けられる。また、上記第1及び第2昇降フレーム35・39には中間部が揺動するように軸支されたカムレバー61・63の図示左端部が連結ロッド65・67を介して連結される。各連結ロッド65・67は軸線長さが異なり、各昇降フレーム35・39が異なる高さで昇降するように設定される。
【0020】
上記カムロッド57・59の図示する右端部には回動するように支持された二腕レバー58・60の一腕部に連結され、該二腕レバー58・60の他腕部には対応するカム69a・69bのカム面に摺接するカムフォロアー57a・59aが取付けられる。該二腕レバー58・60は引張りばね75・77のばね力によりカムフォロアー57a・59aが常にカム面に圧接するように付勢される。また、カムレバー61・63の図示する右端部にはカムフォロアー61a・63aがそれぞれ設けられ、各カムフォロアー61a・63aはカム71a・71bのカム面に摺接される。上記カム69a・69b、71a・71bは数値制御されるサーボモータ等の電動モータ79が連結された単一のカム駆動軸64に固定され、該カム駆動軸64の回転に伴って一体に回転される。
【0021】
上記カム69a・69bは後述するように第1及び第2走行体29・31がラベル切断位置(保持位置)へ移動された際には、図示する左右方向に対してラベルシート7に印刷されたラベル地の走行方向幅に一致する間隔をおくように、また第1及び第2走行体29・31が疑似コア3へラベル1を受け渡す受渡し位置へ移動された際には互いに近接するように移動させるカム面が形成される。
【0022】
上記カム71a・71bは後述するように第1及び第2走行体29・31がラベル切断位置(保持位置)へ移動された際には、各吸着保持手段45・47が切断されたラベル1に当接して吸着可能な下降位置に移動されるように、また吸着保持手段45・47が受渡し位置へ移動された際には、各吸着保持手段45・47が対応する疑似コア3にそれぞれ対向する高さ位置、従って各吸着保持手段45・47間に疑似コア3の相互間隔に一致する高低差を設けて移動させるカム面が形成される。
【0023】
各吸着保持手段45・47は上記昇降ロッド41・43の下端部に対して図示する前後方向へ延出する取付け板81・83を介して揺動するように取付けられる。各取付け板81・83と各昇降ロッド41・43には引張りばね81a・83aが設けられ、そのばね力によりを常には取付け板81・83が水平状態になるように揺動付勢される。該取付け板81・83の下面中央部には図示する前後方向へ延出するガイドレール85・87が取付けられ、該ガイドレール85には4個のスライダ89・91がそれぞれ前後方向へ移動するように支持される。
【0024】
各スライダ89・91には負圧発生源に接続されて電磁バルブの駆動により開閉制御されるホース(図示せず)に接続された吸着部材93・95が、その吸着面を下方に向けてそれぞれ取付けられる。また、上記取付け板81・83にはカム取付け板97・99が該取付け板81・83の上面側に位置し、かつ前後方向両端部にて上下方向へ摺動するように支持されて図示する上端部がカム取付け板97・99に固定されたカム作動ロッド81b・83bを昇降するように取付けられる。
【0025】
各カム取付け板97・99は対応する取付け板81・83に対し、それぞれのロッド81b・83bに装着された圧縮ばね81c・83cのばね力により常には下方へ移動するように付勢される。また、各取付け板81・83の前後方向両端面には後述するようにそれぞれの吸着保持手段45・47を疑似コア3における外周面の傾斜角度に一致するように傾動させる傾動回転体81d・83dが設けられる。上記傾動回転体81d・83dは中心軸線を結ぶ直線が疑似コア3における外周面の傾斜角度に一致する角度で傾斜するように設けられた図示する左右一対の回転ローラにより構成される。
【0026】
なお、図示する右方に位置する吸着保持手段47の取付け板83は対応する昇降ロッド43の下部に対して図示する左方へ延出して取付けられ、該吸着保持手段47が受渡し位置へ移動された際に図示する左方の吸着保持手段45に対して互いの吸着部材93・95が高低差を設けて一致させられる。
【0027】
各カム取付け板97・99には図示する前後方向両側にカム孔101a・101b、103a・103bが形成された2個のカム板101・103がそれぞれ取付けられ、それぞれのカム孔101a・101b、103a・103bには対応するスライダ89・91に設けられたカム軸89a・91aがそれぞれ摺動するように支持される。各カム板101・103はそれぞれの取付け板81・83に対して下方へ移動した際に各スライダ89・91を前後方向に対する各疑似コア3の取付け間隔に一致するように移動させる一方、それぞれの取付け板81・83に対して上方へ移動した際に各スライダ89・91を前後方向に対する切断された各ラベル1の相互間隔に一致するように移動させる。
【0028】
図示する左方の受渡し位置側で前方及び後方に位置する垂直フレーム37には傾動体105・107が上下方向へ疑似コア3の上下間隔に一致し、かつ傾動回転体81d・83dが突入するように設けられる。該傾動体105・107は傾動回転体81d・83dの配置間隔より所要の幅で狭い凹所105a・107aを有し、傾動回転体81d・83dの配置間隔と凹所105a・107aの幅の差に応じてそれぞれの吸着保持手段45・47を、その吸着保持面が疑似コア3における外周面の傾斜角度に一致する角度で傾動させる。
【0029】
次に、上記のように構成されたインモールドラベル成形用ラベル切断受渡し装置1の作用を説明する。
先ず、ラベルシート7からラベル1を切断する作用に付いて説明すると、走行方向に対してラベルシートにおける2行分(8枚分)のラベル地がラベル切断位置へ搬入されると、第1及び第2電動モータを駆動制御して対応する第1及び第2可動体15・17を走行方向及び走行直交方向の2次元方向へ移動しながら走行直交方向へ配列された4個のレーザヘッド23から出力されるレーザ光を先ず1行目に位置するラベル地の外縁に沿って走査して4枚のラベル1を切断形成した後、同様にレーザ光を2行目に位置するラベル地の外縁にそって走査して4枚個のラベル1を切断形成する。これにより1回の切断動作でラベルシート7から8枚のラベル1が切断形成される。(図7参照)
【0030】
上記状態にて駆動される電動モータ79によりカム駆動軸64が所要の方向へ回転駆動されると、回転するカム69a・69bによりカムロッド57・59を図示する右方へ移動して第1及び第2走行体29・31をラベル切断位置の上方にて切断されたラベル1相互の図示する左右方向間隔をおいた位置に位置させる動作に同調して回転するカム71a・71bによりカムレバー61・63を揺動してそれぞれの昇降ロッド41・43を下降して各吸着保持手段45・47の吸着部材93・95をそれぞれのラベル1上面に近接させて吸着にさせる。(図8参照)
【0031】
このとき、各吸着保持手段45・47の取付け板81・83に設けられたロッド81b・83bの下端が本体フレーム13の上面に当接して圧縮ばね81c・83cのばね力に抗して上方へ移動してカム取付け板97・99を上方へ移動させる。これにより各取付け板81・83に支持されたそれぞれのスライダ89・91はカム板101・103の各カム孔101a・101b、103a・103b内に摺接するカム軸89a・91aにより移送直交方向へ移動してそれぞれに設けられた吸着部材93・95の相互間隔を拡大して切断された各ラベル1に対して吸着可能に相対させる。(図4及び図9参照)
【0032】
上記動作によりそれぞれの吸着部材93・95により対応するラベル1がそれぞれ吸着保持されて各吸着部材93・95の負圧回路内に設けられた負圧検知器の全て吸着検知状態へ遷移すると、更に回転するカム69a・69bによりカムロッド57・59を図示する左方へ移動して第1及び第2走行体29・31をラベル切断位置から受渡し側へ相互が近接するように移動させると共に該動作に同調して更に回転するカム71a・71bによりカムレバー61・63を揺動してそれぞれの昇降ロッド41・43を各吸着保持手段45・47間に間隔を設けるように上方へ移動させながら受渡し位置側へ移動させる。(図10参照)
【0033】
なお、各第1及び第2走行体29・31に摺動するように支持された各昇降ロッド41・43の上部は支持板49・51に設けられた回転体53・55が 昇降するように支持された第1及び第2昇降フレーム35・37の支持長孔35a・37a内を移送方向へ転動するように支持されるため、上下方向及び移送方向に対する各吸着保持手段45・47の二次元移動を可能にしている。
【0034】
また、上記昇降ロッド41・43の上動により本体フレーム13上面に対するロッド81b・83bの当接が解除されると、圧縮ばね81c・83cのばね力によりカム取付け板97・99を下方へ移動させる。これにより各取付け板81・83に支持されたそれぞれのスライダ89・91はカム板101・103の各カム孔101a・101b、103a・103b内に摺接するカム軸89a・91aにより吸着部材93・95相互が互いに近づいて疑似コア3の行方向の相互間隔に一致するように移動させられる。(図4参照)
【0035】
上記第1及び第2走行体29・31の図示する左方への移動及び高低差を設けた昇降ロッド41・43の移動により受渡し位置にて垂直状態で位置制御されて待機している疑似コア取付け板4に設けられた各疑似コア3の上部外周面に対して吸着保持手段45・47の各吸着部材93・95に吸着保持された状態で更に図示する下方へ移動されると、それぞれの傾動体105・107の凹所105a・107aに傾動回転体81d・83dが進入する際に、各ロッド41・43の下端部に対してそれぞれの取付け板81・83を引張りばね81a・83aのばね力に抗して傾動回転体81d・83dの配置間隔と凹所105a・107aの幅の差に応じ角度で揺動し、吸着保持手段45・47の各吸着部材93・95に吸着保持されたそれぞれのラベル1を、その平面が各疑似コア3の外周面における傾斜に一致するように傾動させる。(図11、図12及び図13参照)
【0036】
そして上記状態にて各疑似コア3に形成された吸引孔3aからの吸引状態を保った状態で吸着部材93・95によるラベル1の吸着が解除されると、各疑似コア3の外周面に対して各ラベル1を巻き付いた状態で吸着させることにより受け渡しを終了する。
【0037】
本実施例は、1本のカム駆動軸64の回転により吸着保持手段45・47を図示する左右方向及び上下方向へ移動させることができ、駆動機構を簡易化して装置を低コスト化することができる。また、吸着部材93・95の相互間隔を展開状態で切断されたラベル1相互の間隔と疑似コア3相互の間隔に可変して一致させることができ、疑似コア3に対するラベル1の受渡しを円滑に行うことができる。更に、截頭円錐形状の疑似コア3の外周面にラベル1を巻き付け状態で吸着させて受け渡す際には、吸着部材93・95に保持されたラベル1の平面を疑似コア3の外周面の傾斜角度に一致するように傾動させることができ、疑似コア3の外周面に対してラベル1を均一な状態で受け渡すことができ、インモールドラベル成形品の成形品質を高めることができる。
【0038】
疑似コア3に対してラベル1を受け渡す際に、疑似コア3と吸着部材93・95に吸着保持されたラベル1を位置決めする必要がある。本例にあっては、図14に示すようにカム板101・103に各カム孔101a・101b、103a・103bの図示する上部に図示する前後方向に対する各スライダ89・91の移動を許容する図示する前後方向へ延出するカム孔延出部100を連続して形成すると共に各スライダ89・91の図示する左側下面にV字形の位置決め突部109をカム板101・103と干渉しないように左方へ突出するように設ける。また、各位置決め突部109に相対する疑似コア取付け板10には該位置決め突部109が嵌合する位置決め凹部111を設ける。
【0039】
そして各吸着保持手段45・47の傾動回転体81d・83dが傾動体105・107に進入する際に位置決め凹部111に対して位置決め突部109を嵌合して各スライダ89・91を図示する前後方向へ移動し、各疑似コア3に対して吸着部材93・95に吸着保持されたラベル1を高い位置精度で位置決めして受け渡す。
【符号の説明】
【0040】
1 ラベル
3 疑似コア
3a 吸引孔
5 インモールドラベル成形用ラベル切断受渡し装置
7 ラベルシート
9 ラベル切断手段
10 疑似コア取付け板
11 インモールドラベル成形用ラベル受渡し装置
13 本体フレーム
15 第1可動体
17 第2可動体
23 レーザヘッド
25 レーザ光出力部材
27 水平フレーム
29 第1走行体
31 第2走行体
33 垂直フレーム
35 第1昇降フレーム
35a 支持長孔
37 第2昇降フレーム
37a 支持長孔
41・43 昇降ロッド
45・47 吸着保持手段
49・51 支持板
53・55 回転体
57・59 カムロッド
57a・59a カムフォロアー
58・60 二腕レバー
61・63 カムレバー
61a・63a カムフォロアー
64 カム駆動軸
65・67 連結ロッド
カム 69a・69b、71a・71b
75・77 引張りばね
79 電動モータ
81・83 取付け板
81a・83a 引張りばね
81b・83b ロッド
81c・83c 圧縮ばね
81d・83d 傾動回転体
85・87 ガイドレール
89・91 スライダ
89a・91a カム軸
93・95 吸着部材
97・99 カム取付け板
100 カム孔延出部
101・103 カム板
カム孔 101a・101b、103a・103a
105 107 傾動体
109 位置決め突部
111 位置決め凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
切断位置に移送されたラベルシートから切断され、移送直交方向へ展開状態で配列された複数枚のラベルを、金型に形成された複数のキャビィティ内にラベルを同時に装着するための複数個の疑似コアへ同時に受け渡すインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置において、
本体フレームのラベル切断位置と疑似コアへの受渡し位置の間で往復移動するように支持される走行体と、
走行体に対して昇降するように支持される昇降部材と、
走行体に連結されたカムロッドのカムフォロアーが摺接して該走行体をラベルシートの移送方向へ往復移動する往復移動用カム、昇降部材に連結されたカムレバーのカムフォロアーが摺接して該昇降部材を昇降する昇降用カムが同一軸線状に設けられた単一のカム駆動軸と、
カム駆動軸を所定の方向へ回転駆動する数値制御可能な電動モータと、
昇降部材の下部に設けられ、上記移送直交方向へ配列された複数枚のラベルを同時に吸着して保持する吸着保持手段と、
を備え、
吸着保持手段は、
昇降部材の下部に上記移送直交方向へ延出するように設けられた取付け板に上記移送直交方向へ移動可能に支持された吸着保持されるラベルの枚数と一致する個数のスライダと、
各スライダに設けられた吸着部材と、
上記取付け板に対して上下方向へ移動するように支持されカム取付け板に設けられ、各スライダに設けられたカム軸がそれぞれ摺動するように支持するカム孔を有し、カム孔に対するカム軸の摺動に伴って各スライダを上記移送直交方向へ移動するカム板と、
上部がカム取付け板に固定されると共に軸部が上記取付け板に上下方向へ摺動するように支持され、軸部下部と取付け板間に設けられた弾性部材により上記カム取付け板を下方へ付勢されるカム作動軸と、
から構成したインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置。
【請求項2】
切断位置に移送されたラベルシートから切断され、移送直交方向へ展開状態で配列された複数枚のラベルを、金型に形成された複数のキャビィティ内にラベルを同時に装着するための複数個の疑似コアへ同時に受け渡すインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置において、
本体フレームのラベル切断位置と疑似コアへの受渡し位置の間で往復移動するように支持される第1及び第2走行体と、
第1及び第2走行体に対して昇降するようにそれぞれ支持される第1及び第2昇降部材と、
第1及び第2走行体にそれぞれ連結されたカムロッドのカムフォロアーが摺接して各第1及び第2走行体をラベルシートの移送方向へ往復移動する往復移動用カム、第1及び第2昇降部材にそれぞれ連結されたカムレバーのカムフォロアーが摺接して第1及び第2昇降フレームを昇降する昇降用カムが同一軸線状に設けられた単一のカム駆動軸と、
カム駆動軸を所定の方向へ回転駆動する数値制御可能な電動モータと、
第1及び第2昇降部材の下部にそれぞれ設けられ、上記移送直交方向へ配列された複数枚のラベルを同時に吸着して保持する吸着保持手段と、
を備え、
各吸着保持手段は、
昇降部材の下部に上記移送直交方向へ延出するように設けられた取付け板に上記移送直交方向へ移動可能に支持された吸着保持されるラベルの枚数と一致する個数のスライダと、
各スライダに設けられた吸着部材と、
上記取付け板に対して上下方向へ移動するように支持されカム取付け板に設けられ、各スライダに設けられたカム軸がそれぞれ摺動するように支持するカム孔を有し、カム孔に対するカム軸の摺動に伴って各スライダを上記移送直交方向へ移動するカム板と、
上部がカム取付け板に固定されると共に軸部が上記取付け板に上下方向へ摺動するように支持され、軸部下部と取付け板間に設けられた弾性部材により上記カム取付け板を下方へ付勢されるカム作動軸と、
から構成したインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれかにおいて、取付け板は昇降部材の下部に対して水平位置と上方又は下方のいずれかの方向へ揺動するように支持されると共に該取付け板には本体フレームに設けられた疑似コアの中心軸線に対する外周面の傾斜角度に対応する凹所を有した傾動体に係合する傾動回転体を設け、吸着保持部材が受渡し位置へ移動された際に、傾動体の凹所に対する傾動回転体の進入に伴って取付け板を所要の角度で揺動するように構成したインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置。
【請求項4】
請求項1及び2のいずれかにおいて、カムレバーは本体フレームに対して昇降するように支持され、切断位置と受け渡し位置に亘る長さの長孔を有した昇降フレームに連結されると共に昇降部材は昇降フレームの長孔内を移動するように支持され、移送方向及び上下方向に対する昇降部材の移動を可能にしたインモールドラベル成形用ラベル受渡し装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−139900(P2012−139900A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293782(P2010−293782)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(506329292)スターテクノ株式会社 (45)
【Fターム(参考)】