説明

ウィンドウモールの取付け車体構造

【課題】ウィンドウパネル2に複数の異なる並設部材3、4が並設され、並設部材3、4毎に採用されるウィンドウモール5の構造が異なっても、ウィンドウモール5が、ウィンドウパネル2の縁に沿う方向に滑らかに連続しているように見えるウィンドウモール5の取付け車体構造を提供する。
【解決手段】ウィンドウモール5には、第1並設部材3側に突出し第1並設部材3の車体外側の表面に重なりウィンドウモール5の長手方向において第2並設部材4から離れている第1リップ5aと、第1リップ5aよりも車体表面側から車体内側に離れて位置し第2並設部材4側に突出し第2並設部材4のウィンドウパネル2の側縁部に対向する対向面4bに接し長手方向において第1リップ側の端末部が第1リップ5aの端末部5aeへ連続して形成される第2リップ5bとが設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウィンドウパネルを支持するためにウィンドウモールを車体に取り付けたウィンドウモールの取付け車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車体構造では、ウィンドウモールは、ウィンドウパネルの周縁部に取り付けられて、ウィンドウパネルの周縁と、ピラー等のインナパネルとの間隙を覆うために装着されている。ウィンドウモールには、ウィンドウパネルの上部から、角部を経て、側部に至るまで、連続する凹形状を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−8022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ウィンドウモールは、ウィンドウパネルとのみ関連性を持たせてデザインすればよいわけでなく、ウィンドウパネル以外の周辺物とも関連性を持たせてデザインすることが求められている。ウィンドウパネルには、ウィンドウモールを挟んで対向するように、並設部材が並設されている。そのため、ウィンドウモールには、ウィンドウパネルと並設部材とが滑らかに連続して見えるようなデザイン(構造)が採用されている。そして、複数の異なる並設部材が、ウィンドウパネルに対して同じ側に並んで並設される場合があり、この場合、並設部材毎に採用されるウィンドウモールの構造が異なることになる。異なる構造が並存しても、ウィンドウモールが、ウィンドウパネルの縁に沿う方向で異なる構造間において滑らかに連続しているように見えることが、デザイン的に望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、ウィンドウパネルに複数の異なる並設部材が並設され、並設部材毎に採用されるウィンドウモールの構造が異なっても、ウィンドウモールが、ウィンドウパネルの縁に沿う方向に滑らかに連続しているように見えるウィンドウモールの取付け車体構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車体に設けられたウィンドウパネルと、
前記ウィンドウパネルに並設され、車体外側の表面の高さが互いに近接する近接部において前記ウィンドウパネルと略同一である第1並設部材と、
前記第1並設部材の近傍で前記ウィンドウパネルに並設され、車体外側の表面の高さが互いに近接する近接部において前記ウィンドウパネルと略同一である第2並設部材と、
前記ウィンドウパネルの側縁部に設けられるウィンドウモールとを有し、
前記ウィンドウモールには、
前記第1並設部材側に突出し、前記第1並設部材の車体外側の表面に重なり、前記ウィンドウモールの長手方向において前記第2並設部材から離れている第1リップと、
前記第1リップよりも車体表面側から車体内側に離れて位置し、前記第2並設部材側に突出し、前記第2並設部材の前記ウィンドウパネルの側縁部に対向する対向面に接し、前記長手方向において前記第1リップ側の端末部が前記第1リップの端末部へ連続して形成される第2リップとが設けられるウィンドウモールの取付け車体構造であることを特徴としている。
【0007】
これによれば、第1並設部材が、ウィンドウモールを挟んでウィンドウパネルに対向するように並設されている。また、第2並設部材が、ウィンドウモールを挟んでウィンドウパネルに対向するように並設されている。第1並設部材と第2並設部材とは、ウィンドウパネルに対して同じ側に並んで並設されている。
【0008】
ウィンドウモールには、ウィンドウパネルと第1並設部材とが滑らかに連続して見えるように、第1並設部材側に突出し、第1並設部材の車体外側の表面に重なる第1リップを設けた構造が採用されている。第1並設部材が、例えば、ルーフガラスの場合、縁部が露出していると、縁部が物に当って欠ける場合があるので、第1リップを第1並設部材の車体外側の表面に重なるまで伸ばし、第1並設部材の縁部を覆っている。
【0009】
また、ウィンドウモールには、ウィンドウパネルと第2並設部材とが滑らかに連続して見えるように、第1リップよりも車体表面側から車体内側に離れて位置し、第2並設部材側に突出し、第2並設部材のウィンドウパネルの側縁部に対向する対向面に接する第2リップを設けた構造が採用されている。第2並設部材が、例えば、鋼製のアウタパネルの場合、縁部が露出していても欠けることはなく、縁部に光が当ると輝いて見えるので、第2リップを第2並設部材のウィンドウパネルの側縁部に対向する対向面に接しさせ、その対向面の直上にある縁部を露出するようにしている。
【0010】
このように、第1並設部材と第2並設部とで採用されるウィンドウモールの構造が異なっている。そして、第1並設部材と第2並設部とで採用されるウィンドウモールの構造が異なっていても、ウィンドウモールが、ウィンドウパネルの縁に沿う方向で滑らかに連続して見えるように、第1リップは、ウィンドウモールの長手方向において第2並設部材から離しておくので、第1リップが第2並設部材の縁部を隠すことはなく、第2リップは、その長手方向において第2リップの端末部から第1リップの端末部へ連続して形成される。第1リップと第2リップとは、車体表面側からの距離が異なり、互いに離れているが、その長手方向においては第1リップと第2リップとが、それらの端末部において連なっているように見える。また、第1リップの端末部が、第2並設部材に跨って重なっていると第2並設部材が第1並設部材より組付け誤差程度に多少高くなっても、第2並設部材上の第1リップの端末部を浮き上げてしまうが、第1リップの端末部は、第2並設部材に重なっていないので、第2並設部材が第1並設部材より組付け誤差程度に多少高くなっても、第1リップの端末部が浮き上がることはなく、第1リップから第2リップへの連続性を、第1リップの端末部の浮き上がりによって途切らすことがない。
【0011】
また、本発明では、前記第1リップの前記第2リップ側の端末部と前記第2リップとは、射出成形で形成され
前記第1リップの前記第2リップ側の端末部以外の部分は、押出し成形で形成されていることが好ましい。これによれば、第1リップの端末部および第2リップの端末部を射出成形によって成形するので、第1リップと第2リップの形状の成形性を高め、長手方向での第1リップから第2リップへ切換える形状を精度良く成形することができる。
【0012】
また、本発明では、前記ウィンドウパネルの近傍で前記第2並設部材に並設され、車体外側の表面の高さが互いに近接する近接部において前記第2並設部材と略同一である第3並設部材を有し、
前記第2リップを前記第2並設部材側に突出させる基部となる前記ウィンドウモールのモール基部と前記第2リップとで構成される溝部が、前記第3並設部材に形成された排水溝に連通していることが好ましい。
【0013】
これによれば、第2並設部材上に降った雨を、第2並設部材の縁部から溝部に落とし、第3並設部材、例えば、Aピラーガーニッシュ、に設けられた排水溝に流すことができる。溝部に水が溜まることはなく、排水性を向上できるだけでなく、デザイン性を更に高めることができる。
【0014】
また、本発明では、前記第1リップを前記第1並設部材側に突出させる基部となる前記ウィンドウモールのモール基部の車体外側の表面の第1凸部と、
前記第2リップを前記第2並設部材側に突出させる基部となる前記ウィンドウモールのモール基部の車体外側の表面の第2凸部とは、前記長手方向に沿って連続していることが好ましい。
【0015】
これによれば、第1リップから第2リップにかけてのウィンドウモールのモール基部に連続感を出すことができる。さらに、第1リップから第2リップにかけてのウィンドウモール全体に連続感を出すことができる。
【0016】
また、本発明では、前記第2凸部は、前記第3並設部材の縁部の延長線に沿って形成されることが好ましい。これによれば、ウィンドウモールから第3並設部材にかけて、連続感を出すことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ウィンドウパネルに複数の異なる並設部材が並設され、並設部材毎に採用されるウィンドウモールの構造が異なっても、ウィンドウモールが、ウィンドウパネルの縁に沿う方向に滑らかに連続しているように見えるウィンドウモールの取付け車体構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係るウィンドウモールの取付け車体構造を備えた車体の一部の斜視図である。
【図2】図1のウィンドウモールの第2リップ周りの拡大図である。
【図3】図2のIII−III方向の矢視断面図である。
【図4】図2のIV−IV方向の矢視断面図である。
【図5】ウィンドウモールの第1リップから第2リップに切り換わる部分の斜視図である。
【図6】本発明の他の実施形態のウィンドウモール周りの車体の一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0020】
図1に、本発明の実施形態に係るウィンドウモール5の取付け車体構造を備えた車体1を示す。車体1では、ウィンドウパネル2からルーフガラス(第1並設部材)3にかけて、流れるようなフォルムが実現されている。また、ウィンドウパネル2から鋼製のアウタパネル(第2並設部材)4にかけて、流れるようなフォルムが実現されている。ウィンドウパネル2と、ルーフガラス3及びアウタパネル4との間には、それらの境界の湾曲したラインに沿って樹脂製のウィンドウモール5が設けられている。ウィンドウモール5は、ウィンドウパネル2と、ルーフガラス3及びアウタパネル4との間に生じる間隙を塞いでいる。ウィンドウパネル2の両サイドには、鋼製のAピラー(図示省略)を保護するために、その表面側に樹脂製のAピラーガーニッシュ(第3並設部材)7が設けられている。Aピラーガーニッシュ7は、側方において、ウィンドウパネル2に外表面が滑らかに合わせられている。また、Aピラーガーニッシュ7からアウタパネル4にかけて、流れるようなフォルムが実現されている。Aピラーガーニッシュ7とアウタパネル4の間には、ピラーリップ7aが設けられている。ピラーリップ7aは、Aピラーガーニッシュ7とアウタパネル4の間に生じる間隙を塞いでいる。アウタパネル4は、ルーフガラス3の車幅方向の両側に設けられている。アウタパネル4とルーフガラス3との間には、ルーフモールディング6が設けられ、アウタパネル4からルーフガラス3にかけて外表面が滑らかに合わせられている。
【0021】
ウィンドウモール5には、ウィンドウパネル2の上側の縁部の全域にわたって、モール基部5cが設けられている。ウィンドウモール5のルーフガラス3とルーフモールディング6に対向する領域には、モール基部5cからルーフガラス3とルーフモールディング6の方向に伸びる第1リップ5aが設けられている。ウィンドウモール5のアウタパネル4に対向する領域には、モール基部5cからアウタパネル4の方向に伸びる第2リップ5bが設けられている。リップは、領域によって第1リップ5aと第2リップ5bとで切り替えられるが、モール基部5cが、ウィンドウモール5の長手方向の全域にわたり設けられているので、一体化し、ウィンドウモール5全体に連続感を出すことができる。また、第2リップ5bの延在方向に、ピラーリップ7aが、第2リップ5bに連続するように設けられている。第2リップ5bとピラーリップ7aとに連続感を出すことができる。
【0022】
図2に、図1のウィンドウモール5の第2リップ5b周りの拡大図を示す。ルーフガラス3とルーフモールディング6は、ウィンドウパネル2に並設されている。ルーフガラス3とルーフモールディング6の車体外側の表面の高さは、ウィンドウパネル2の車体外側の表面の高さと比べて、両者互いに近接する近接部において、略同一になっている。なお、この略同一は、両者の間をウィンドウモール5で塞げる程度に同一になっていればよく、遠目に略同一になっていればよいのである。
【0023】
アウタパネル4は、ウィンドウパネル2に並設されている。また、アウタパネル4は、ルーフガラス3とルーフモールディング6の近傍に配置されている。アウタパネル4の車体外側の表面の高さは、ウィンドウパネル2の車体外側の表面の高さと比べて、両者互いに近接する近接部において、略同一になっている。なお、この略同一も、両者の間をウィンドウモール5で塞げる程度に同一になっていればよく、遠目に略同一になっていればよいのである。
【0024】
ウィンドウモール5は、ウィンドウパネル2のルーフガラス3とルーフモールディング6とアウタパネル4のいずれかと対向する上部側の側縁部に設けられている。
【0025】
ウィンドウモール5のモール基部5cは、ルーフガラス3とルーフモールディング6とアウタパネル4のいずれにも対向するように、ウィンドウモール5の長手方向全域に配置されている。モール基部5cのルーフガラス3とルーフモールディング6に対向する領域には、車体外側の表面に第1凸部5dが設けられている。モール基部5cのアウタパネル4に対向する領域には、車体外側の表面に第2凸部5eが設けられている。第1凸部5dと第2凸部5eとは、長手方向に沿って連続している。
【0026】
図3に示すように、第1凸部5dは、ウィンドウモール5から突出し、第1リップ5aより高くなっている。このため、車体進行方向から見ると、第1リップ5aの一部又は全部が、第1凸部5d(モール基部5c)に隠れ、第1リップ5aを短くあるいは無いかのように見せることができる。
【0027】
図4に示すように、第2凸部5eは、ウィンドウモール5から突出し、第2リップ5bより高くなっている。このため、車体進行方向から見ると、第2リップ5bの一部又は全部が、第2凸部5e(モール基部5c)に隠れ、第2リップ5bを短くあるいは無いかのように見せることができる。また、第2凸部5eのウィンドウパネル2に対する高さは、第1凸部5dのウィンドウパネル2に対する高さと略等しくなっている。これによれば、車体進行方向から見ると、形状の異なっている第1リップ5aと第2リップ5bが隠され、同じ高さの第1凸部5dと第2凸部5eが見えるので、モール基部5c、さらには、ウィンドウモール5全体に連続感を出すことができる。
【0028】
図2と図3に示すように、第1リップ5aは、モール基部5cからルーフガラス3とルーフモールディング6の側に突出し、ルーフガラス3とルーフモールディング6の車体外側の表面に重なっている。図2に示すように、第1リップ5aは、ウィンドウモール5の長手方向において、アウタパネル4から離れている。すなわち、第1リップ5aの端末部5aeは、ウィンドウモール5の長手方向において、アウタパネル4から離れている。第1リップ5aの端末部5aeが、アウタパネル4に跨って重なっているとアウタパネル4がルーフガラス3とルーフモールディング6より組付け誤差程度に多少高くなった場合も、アウタパネル4上の第1リップ5aの端末部5aeを浮き上げてしまうが、第1リップ5aの端末部5aeは、アウタパネル4に重なっていないので、アウタパネル4がルーフガラス3とルーフモールディング6より組付け誤差程度に多少高くなっても、第1リップ5aの端末部5aeが浮き上がることはない。
【0029】
図2と図3と図4に示すように、第2リップ5bは、第1リップ5aよりも車体表面側から離れた車体内側に位置している。第2リップ5bは、モール基部5cからアウタパネル4の側に突出し、アウタパネル4のウィンドウパネル2の側縁部2aに対向する対向面4bに接している。このため、アウタパネル4の縁部4aは露出している。
【0030】
図2に示すように、第1リップ5aの第2リップ5b側の端末部5aeと、第2リップ5bの端末部とは、上下方向に離れてはいるが、近接して配置されている。第1リップ5aの第2リップ5b側の端末部5aeと、第2リップ5bの端末部とは、ウィンドウモール5の長手方向において連続して形成されている。第1リップ5aと、第2リップ5bとは、上面視すると、互いの端部が重なり、離れていない。第2リップ5bの端末部がルーフガラス3とルーフモールディング6に干渉しない限りにおいて、第1リップ5aの端末部5aeと第2リップ5bの端末部とは、上面視において、互いに重なってオーバーラップしてもよい。これにより、第1リップ5aと第2リップ5bとが、長手方向において、連なっているように見える。
【0031】
また、図2に示すように、第1リップ5aの端末部5aeと第2リップ5bと、それらを突出させている領域のモール基部5cは、射出成形で形成されている。一方、第1リップ5aの端末部5ae以外とそれを突出させている領域のモール基部5cは、押出し成形で形成されている。これによれば、第1リップ5aの端末部5ae、および、端末部5aeに近接する第2リップ5bの端末部を射出成形によって成形するので、第1リップ5aと第2リップ5bの形状の成形性を高めることができる。なお、射出成形と押出し成形の順番は、まず、押出し成形で第1リップ5a等を形成し所望の長さに切断する。次に、射出成形の型にその切断面を突っ込んだ状態で、射出成形を行い、第2リップ5b等を形成する。この射出成形により、第1リップ5aに端末部5aeがくっつき、第1リップ5aと第2リップ5bを有するウィンドウモール5が完成する。
【0032】
また、Aピラーガーニッシュ7は、アウタパネル4に並設されている。Aピラーガーニッシュ7の車体外側の表面の高さは、アウタパネル4の車体外側の表面の高さに比べて、両者互いに近接する近接部において、略同一となっている。Aピラーガーニッシュ7は、ウィンドウパネル2の近傍で、ウィンドウパネル2の側部に沿って配置されている。
【0033】
ピラーリップ7aは、第2リップ5bの延在方向に、第2リップ5bに接続して連続するように設けられている。ピラーリップ7aは、Aピラーガーニッシュ7からアウタパネル4の側に突出し、第2リップ5bと同様に、アウタパネル4の対向面4bに接している。このため、アウタパネル4の縁部4aは露出している。
【0034】
また、前記第2凸部5eは、Aピラーガーニッシュ7の縁部7dの延長線に沿って形成されている。また、Aピラーガーニッシュ7の縁部7dは、車体進行方向から見ると、ピラーリップ7aの一部又は全部を隠し、ピラーリップ7aを短くあるいは無いかのように見せることができる。また、モール基部5cは、傾斜部5fによってAピラーガーニッシュ7の下に入りこんでいる。これらにより、第1凸部5dと第2凸部5eに連なる縁部7dの延長線が強調されて見え、ウィンドウモール5からAピラーガーニッシュ7にかけて、連続感を強調することができる。
【0035】
Aピラーガーニッシュ7には、縁部7dから下端部に至る排水溝7b、7cが設けられている。図2と図4に示すように、モール基部5cと第2リップ5bとで溝部5hが構成されている。例えば、アウタパネル4等に降った雨は、その縁部4aから溝部5hに流れ込み、その溝部5hを流れて、連通する排水溝7b、7cに入り、排水溝7b、7cを流れ落ちる。溝部5hに水が溜まらないので、排水性を向上できるだけでなく、乾いた後も汚れ浮きせずデザイン性を更に高めることができる。排水溝7b、7cは、アウタパネル4から直接ピラーリップ7aを経由して流れ込む雨も排出することができる。
【0036】
図3に示すように、ウィンドウパネル2は、インナパネル8に接着剤10によって固定されている。流れ止め9は、接着剤10が固まる前に流れるのを止めると共に、ウィンドウパネル2をインナパネル8に支持させている。ルーフガラス3も、ウィンドウパネル2と同様に、インナパネル8に接着剤10によって固定され、流れ止め9によってルーフガラス3をインナパネル8に支持させている。ウィンドウパネル2の側縁部2aには、両面テープ11によって、ウィンドウモール5が固定されている。ウィンドウモール5とルーフガラス3の間隙には、スペーサ12が埋め込まれている。第1リップ5aは、弾性を有し、ルーフガラス3を下方向に押し付けている。ウィンドウモール5は、ウィンドウパネル2の側に、弾性を有する前方上側リップ(第1リップ側)5iと前方下側リップ(第1リップ側)5jを有している。前方上側リップ5iと前方下側リップ5jとは、ウィンドウパネル2を挟持している。
【0037】
図4に示すように、第2リップ5bは、弾性を有し、対向面4bを下方向に押し付けている。ウィンドウモール5は、ウィンドウパネル2の側に、弾性を有する前方上側リップ(第2リップ側)5kと前方下側リップ(第2リップ側)5lを有している。前方上側リップ5kと前方下側リップ5lとは、ウィンドウパネル2を挟持している。
【0038】
前方上側リップ5kの外表面の形状は、前方上側リップ5i(図3参照)の外表面の形状と、断面視で等しくなっている。しかし、前方上側リップ5kの厚さは、前方上側リップ5iの厚さより、薄くなっている。これは、第1リップ5aの有無による力のバランスを考慮したものである。
【0039】
また、前方下側リップ5lの厚さは、前方下側リップ5j(図3参照)の厚さと等しくなっている。しかし、前方下側リップ5lのウィンドウパネル2に向かう方向の長さは、前方下側リップ5jのウィンドウパネル2に向かう方向の長さより、長くなっている。これは、第2リップ5bの有無による力のバランスを考慮したものである。
【0040】
図5に、ウィンドウモール5の第1リップ5aから第2リップ5bに切り換わる部分の斜視図を示す。第2リップ5b側のモール基部5cの強度を確保するために、リブ5gが設けられている。これにより、第2リップ5b側のモール基部5cの厚さを薄くでき、溝部5h(図4参照)の容量を大きくしている。
【0041】
(他の実施形態)
また、他の実施形態として、図6に示すように、第2凸部5eからアウタパネル4側に突出する突出リップ5mを形成してもよい。この場合、突出リップによって溝部5hの上方の一部を覆うことができるので、外観上で溝部5hが目立ち難くなり、外観性の向上を図ることができる。また、突出リップ5mとアウタパネル4との間には隙間が形成されるので、アウタパネル4の縁部4aから溝部5hに流れ込む水の流れを阻害することなく、排水性を保つことができる。
【符号の説明】
【0042】
1 車体
2 ウィンドウパネル
3 ルーフガラス(第1並設部材)
4 アウタパネル(第2並設部材)
4a 縁部
5 ウィンドウモール
5a 第1リップ
5ae 端末部
5b 第2リップ
5d 第1凸部
5e 第2凸部
5h 溝部
7 Aピラーガーニッシュ(第3並設部材)
7a ピラーリップ
7b、7c 排水溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられたウィンドウパネルと、
前記ウィンドウパネルに並設され、車体外側の表面の高さが互いに近接する近接部において前記ウィンドウパネルと略同一である第1並設部材と、
前記第1並設部材の近傍で前記ウィンドウパネルに並設され、車体外側の表面の高さが互いに近接する近接部において前記ウィンドウパネルと略同一である第2並設部材と、
前記ウィンドウパネルの側縁部に設けられるウィンドウモールとを有し、
前記ウィンドウモールには、
前記第1並設部材側に突出し、前記第1並設部材の車体外側の表面に重なり、前記ウィンドウモールの長手方向において前記第2並設部材から離れている第1リップと、
前記第1リップよりも車体表面側から車体内側に離れて位置し、前記第2並設部材側に突出し、前記第2並設部材の前記ウィンドウパネルの側縁部に対向する対向面に接し、前記長手方向において前記第1リップ側の端末部が前記第1リップの端末部へ連続して形成される第2リップとが設けられることを特徴とするウィンドウモールの取付け車体構造。
【請求項2】
前記第1リップの前記第2リップ側の端末部と前記第2リップとは、射出成形で形成され
前記第1リップの前記第2リップ側の端末部以外の部分は、押出し成形で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のウィンドウモールの取付け車体構造。
【請求項3】
前記ウィンドウパネルの近傍で前記第2並設部材に並設され、車体外側の表面の高さが互いに近接する近接部において前記第2並設部材と略同一である第3並設部材を有し、
前記第2リップを前記第2並設部材側に突出させる基部となる前記ウィンドウモールのモール基部と前記第2リップとで構成される溝部が、前記第3並設部材に形成された排水溝に連通していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のウィンドウモールの取付け車体構造。
【請求項4】
前記第1リップを前記第1並設部材側に突出させる基部となる前記ウィンドウモールのモール基部の車体外側の表面の第1凸部と、
前記第2リップを前記第2並設部材側に突出させる基部となる前記ウィンドウモールのモール基部の車体外側の表面の第2凸部とは、前記長手方向に沿って連続していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のウィンドウモールの取付け車体構造。
【請求項5】
前記第2凸部は、前記第3並設部材の縁部の延長線に沿って形成されることを特徴とする請求項4記載に記載のウィンドウモールの取付け車体構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−84220(P2011−84220A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−239719(P2009−239719)
【出願日】平成21年10月16日(2009.10.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】